JP3219226B2 - 熱圧力定着用カプセルトナーおよびその製造方法 - Google Patents

熱圧力定着用カプセルトナーおよびその製造方法

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JP3219226B2 JP06681294A JP6681294A JP3219226B2 JP 3219226 B2 JP3219226 B2 JP 3219226B2 JP 06681294 A JP06681294 A JP 06681294A JP 6681294 A JP6681294 A JP 6681294A JP 3219226 B2 JP3219226 B2 JP 3219226B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真法、静電印刷
法、静電記録法などにおいて形成される静電潜像の現像
に用いられる熱圧力定着用カプセルトナーの製造方法、
および該方法により得られる熱圧力定着用カプセルトナ
ーに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、電子写真法としては、米国特許第2297691 号、同第
2357809 号明細書等に記載されている如く、光導電性絶
縁層を一様に帯電させ、次いでその層を露光させ、その
露光された部分上の電荷を消散させる事により電気的な
潜像を形成し、更に該潜像にトナーと呼ばれる着色され
た電荷をもった微粉末を付着させることによって可視化
させ(現像工程)、得られた可視像を転写紙等の転写材
に転写させた後(転写工程)、加熱、圧力あるいはその
他適当な定着法により永久定着させる(定着工程)工程
を有するものが存在する。従って、トナーは単に現像工
程のみならず、転写工程、定着工程の各工程において要
求される機能を備えていなければならない。
【0003】一方、定着工程としては、熱ローラー等に
よる熱圧力定着方式が広く使用されているが、加熱ロー
ラー面とトナー像面が接触する際、トナーが加熱ローラ
ー表面に付着して後続の転写紙等に転写される、いわゆ
るオフセット現象が生じる場合がある。また、高温での
定着は、紙のカール、消費エネルギーの増大等の種々の
欠点を有する。従って、定着性に関しては、特に低温定
着性、耐オフセット性の良いトナーが望まれている。
【0004】これらを改善すべく、従来より、芯材と、
芯材の表面を被覆するよう設けられた外殻とにより構成
されたカプセルトナーを用いることが提案されている。
その内、芯材として塑性変形し易い低融点ワックス等を
用いた場合(米国特許第3,269,626 号、特公昭46−1587
6 号等)、圧力のみで定着可能となるが、定着強度が劣
り、用途が限定されたものとなる。また、芯材として液
状のものを使用すると、殻材の強度が小さいと、圧力の
みで定着はするものの、現像器内で割れて機内を汚す場
合があり、殻材の強度が大きいとカプセルを破壊するの
に大きな圧力が必要となり、画像の光沢が強くなり、殻
材の強度調整が難しかった。
【0005】そこで、熱圧力定着用として、芯材として
単独使用では高温時にブロッキングを起こしてしまう
が、定着強度の向上をもたらすガラス転移点の低い樹脂
を用い、外殻として耐ブロッキング性等を付与する目的
で界面重合にて高融点の樹脂壁を形成させた熱ローラー
定着用カプセルトナーが考案されている。しかし、特開
昭61−56352 号公報では壁材料が高融点となっており、
更に強靱で割れにくくなっているため、芯材の性能を引
き出しきれていなかった。また、同様の考え方で芯材の
定着強度を改良した熱ローラー定着用カプセルトナーが
提案されている(特開昭58−205162号公報、同58−2051
63号公報、同63−128357〜128362号公報)が、製法がス
プレードライ法の為、製造設備に負担がかかると共に、
これらも殻材の工夫がなされていない為、芯材の性能を
引き出しきれていない。
【0006】更に、特開昭63−281168号公報に提案され
ているカプセルトナーでは、殻材がサーモトロピック液
晶ポリエステルとの記載があり、特開平4-184358号公報
に提案されているカプセルトナーでは、結晶性ポリエス
テルが用いられているが、いずれもポリエステルが非晶
質でない為、樹脂がシャープに融解するものの融解に必
要なエネルギー量が大きく、また芯材のTgも高いため
定着性が悪かった。また、特公平2-41344 号公報、同2-
41748 号公報、同3-35660 号公報に提案されているトナ
ーの製造方法は、シード重合を用いているが、芯材に低
ガラス転移点の材料を用いる場合、前駆体粒子をカプセ
ル化していない為、得られるトナーの保存安定性が悪か
った。
【0007】そこで、殻材として熱解離性を有する化合
物を使用するカプセルトナー(特開平4−212169
号公報)や、殻材として非晶質ポリエステルを使用する
カプセルトナー(特願平4−259088号)が提案さ
れている。殻材として非晶質ポリエステルなどの熱可塑
性樹脂を使用する場合の製造方法としては、特定の化学
的・物理的特性を有する熱可塑性樹脂を選択し、芯材原
料となる重合性単量体と着色剤を含む重合性組成物中に
溶解し、この混合物を分散媒中に懸濁させ、in si
tu法によって外殻を形成させる方法が簡便であり、工
業的にも有利に用いられる。
【0008】しかし、この方法では重合性組成物を分散
媒中に懸濁させる際に、微量の重合性単量体が分散媒中
に乳化され、加熱によりそれが乳化重合を起こして、外
殻の被覆されていない微粒子が形成されることがあるた
め、生成するトナーの保存性が悪化する。また、一般的
に懸濁重合による製造方法において、トナー表面に微粒
子が付着することによる電気抵抗、摩擦帯電性等の電気
特性を劣化させる。さらにはトナーを分散媒中から濾別
する際に、濾布等を目詰まりさせて生産性を悪化させる
等の弊害も生じる。
【0009】そこで、懸濁重合法において、乳化重合を
防ぐために分散媒中に五酸化バナジウム、塩化第二銅、
亜硝酸塩等の無機塩を添加する方法が、特開昭60−8
302号公報、特開昭62−205108号公報におい
て記載されている。しかし、これらは通常の懸濁重合に
よるトナーの製造方法であるため、定着性等のトナーの
基本性能は改善されていない。
【0010】本発明は、以上のごとき事情に基づいてな
されたものであって、その目的は、ヒートローラー等の
熱圧力定着方式において、定着性、耐オフセット性が優
れており、また、高温、高湿下でも耐ブロッキング性が
優れている熱圧力定着用カプセルトナー及びその製造法
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意研究の結果、懸濁重合法によるカプセ
ルトナーの製造において、重合性組成物中に下記の一般
式(1)で示される化合物を添加することにより、上記
の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0012】即ち、本発明の要旨は、 (1)少なくとも熱可塑性樹脂と着色剤を含有する熱溶
融性芯材と、その芯材の表面を被覆するよう設けた外殻
とにより構成される熱圧力定着用カプセルトナーの製造
方法において、重合性単量体、着色剤、下記の一般式
(1)に示される化合物および非晶質ポリエステルを主
成分とする親水性外殻材を含有する重合性組成物を分散
媒中に懸濁させた状態で重合させることにより芯材とそ
の外殻を形成することを特徴とする熱圧力定着用カプセ
ルトナーの製造方法、
【0013】
【化4】
【0014】(式中、MはFeまたはCrを、X,
1 ,Y2 はそれぞれ独立にArNHCO基またはH,
Cl,Br,NO2 を、ZはH,Na,K,NH4 ,N
4 を表す。ここで、Arは炭素数1から4のアルキル
基で置換されたフェニル基または無置換のフェニル基
を、Rは炭素数1から4のアルキル基を表す。ただし、
MがCrであるとき、Y1 及びY2 のいずれか一方がC
lである化合物を除く。) (2)前記(1)記載の製造方法により得られたカプセ
ルトナーを前駆体粒子として用い、該前駆体粒子の水系
懸濁液に少なくともビニル重合性単量体、ビニル重合性
開始剤および上記の一般式(1)に示される化合物を添
加して前駆体粒子中に吸収させた後、該前駆体粒子中の
単量体成分を重合させることを特徴とする熱圧力定着用
カプセルトナーの製造方法、並びに (3)少なくとも熱可塑性樹脂と着色剤を含有する熱溶
融性芯材と、その芯材の表面に被覆するよう設けた外殻
とにより構成される熱圧力定着用カプセルトナーにおい
て、重合性単量体、着色剤、上記の一般式(1)に示さ
れる化合物および非晶質ポリエステルを主成分とする
水性外殻材を含有する重合性組成物を分散媒中に懸濁さ
せた状態で重合させることにより芯材とその外殻を形成
して得られるものであることを特徴とする熱圧力定着用
カプセルトナー、に関するものである。
【0015】本発明の熱圧力定着用カプセルトナーの製
造方法は、次の2つの態様に大別される。即ち、第1の
態様は、少なくとも重合性単量体、着色剤、下記の一般
式(1)に示される化合物および親水性外殻材を含有す
る重合性組成物を分散媒中に懸濁させた状態で重合させ
ることにより芯材とその外殻を形成する方法であり、第
2の態様は、第1の態様(1段目反応)で得られたカプ
セルトナーを前駆体粒子として用い、該前駆体粒子の水
系懸濁液に少なくともビニル重合性単量体、ビニル重合
性開始剤および一般式(1)に示される化合物を添加し
て前駆体粒子中に吸収させた後、該前駆体粒子中の単量
体成分を重合(2段目反応)させる方法である。ここ
で、前駆体粒子とは、第2の態様における2段目反応の
単量体成分の重合に供される、カプセルトナーの前駆体
となる粒子をいう。
【0016】本発明はこのように、下記の一般式(1)
に示される化合物を用いて懸濁重合を行うことを特徴と
するものである。
【0017】まず、一般式(1)に示される化合物につ
いて、以下に説明する。一般式(1)において、MはF
eまたはCrを表わす。また、X,Y1 ,Y2はそれぞ
れ独立にArNHCO基またはH,Cl,Br,NO2
を表わす。ここで、Arは炭素数1から4のアルキル基
で置換されたフェニル基または無置換のフェニル基を表
わし、炭素数1から4のアルキル基としては、例えばメ
チル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t
−ブチル基等が挙げられる。また、ZはH,Na,K,
NH4 ,NR4 を表す。ここで、Rは炭素数1から4の
アルキル基を表し、炭素数1から4のアルキル基として
は、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−
ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0018】このような一般式(1)に示される化合物
としては、例えば保土ヶ谷化学社製荷電制御材「T−7
7」、同じく「Aizen Spilon Black TRH」等が挙げられ
る。「T−77」は、MがFe、XがPhNHCO基、
1 ,Y2 がそれぞれH,Cl、ZがH、Na、NH4
のものである。「Aizen Spilon Black TRH」は、MがC
r、XがPhNHCO基、Y1 ,Y2 がともにNO2
ZがH、Na、NH4のものである。
【0019】次に、本発明に用いられる第1の態様(第
2の態様における前駆体粒子の製造)について説明す
る。本発明のカプセルトナーの芯材は、第2の態様にお
ける前駆体粒子の芯材と共通し、少なくとも熱可塑性樹
脂と着色剤を含有する熱溶融性芯材である。この芯材の
樹脂成分は、後述のようにその調製の際に架橋剤を用い
て架橋構造を形成させたものであってもよく、あるいは
架橋剤を添加せずに調製したものでもよい。
【0020】本発明のカプセルトナーの外殻は、第2の
態様における前駆体粒子の外殻と共通し、親水性外殻材
よりなるものである。親水性外殻材とは、芯材構成材料
との混合液を水性分散媒中に分散させて、in sit
u重合を行う際に液滴表面に偏在して外殻を形成し得る
性質を有する材料をいう。このような親水性外殻材とし
ては、当該性質を有するものであれば特に限定されるも
のではなく、例えばカルボキシル基、酸無水物基、水酸
基、アミノ基、アンモニウムイオン等の親水基官能基を
有するビニル樹脂、非晶質ポリエステル、非晶質ポリエ
ステルアミド、非晶質ポリアミド、エポキシ樹脂等が挙
げられる。なかでも酸無水物基を有するビニル樹脂、非
晶質ポリエステル等が特に好適である。
【0021】本明細書においては、親水性外殻材として
酸無水物基を有するビニル樹脂、非晶質ポリエステルを
主成分とする場合を一例として挙げて、以下に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】上記の酸無水物基を有するビニル樹脂とし
ては、酸無水物基を1個以上有する共重合体が挙げら
れ、例えば酸無水物基を含有するα,β−エチレン性共
重合性単量体とその他のα,β−エチレン性共重合性単
量体の共重合体等が挙げられる。ここで、酸無水物基を
含有するα,β−エチレン性共重合性単量体としては、
無水イタコン酸、無水クロトン酸等や、下記一般式に示
される化合物、
【0023】
【化5】
【0024】(式中、Q1 およびQ2 は独立してH、炭
素数1〜3のアルキル基、又はハロゲン原子を示す。) 例えば無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水2,3
−ジメチルマレイン酸、クロロマレイン酸無水物、ジク
ロロマレイン酸無水物、ブロモマレイン酸無水物、ジブ
ロモマレイン酸無水物等を挙げることができ、好ましく
は無水マレイン酸、無水シトラコン酸等である。また、
その他のα,β−エチレン性共重合性単量体としては、
後述する芯材用ビニル樹脂の重合性単量体と同様のもの
が用いられる。
【0025】本発明における非晶質ポリエステルは、通
常、2価のアルコール単量体及び/又は3価以上の多価
アルコール単量体の1種以上と2価のカルボン酸単量体
及び/又は3価以上の多価カルボン酸単量体の1種以上
の縮重合によって得られるものが使用される。本発明に
おいては、特に構成モノマーとして1種以上の2価のア
ルコール単量体及び1種以上の2価のカルボン酸単量
体、更に少なくとも3価以上の多価アルコール単量体及
び/又は3価以上の多価カルボン酸単量体を用いて縮重
合により得られたものが好ましい。このような非晶質ポ
リエステルは、外殻の全重量中、通常50〜100重量
%含有され、外殻に含有される他の成分としては、前述
の親水性を有するビニル樹脂、非晶質ポリアミド、非晶
質ポリエステルアミド、エポキシ樹脂等を0〜50重量
%用いることができる。
【0026】2価アルコール成分としては、例えばポリ
オキシプロピレン(2.2) −2,2 −ビス (4−ヒドロキシ
フェニル) プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3) −2,
2 −ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン、ポリオ
キシプロピレン(2.0) −2,2−ビス (4−ヒドロキシフ
ェニル) プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0) −ポリ
オキシエチレン(2.0) −2,2 −ビス (4−ヒドロキシフ
ェニル) プロパン、ポリオキシプロピレン(6) −2,2 −
ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン等のビスフェ
ノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1,2 −プロピレングリコール、1,3 −プロピレング
リコール、1,4 −ブタンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、1,4−ブテンジオール、1,5 −ペンタンジオー
ル、1,6 −ヘキサンジオール、1,4 −シクロヘキサンジ
メタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールA
のプロピレン付加物、ビスフェノールAのエチレン付加
物、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0027】3価以上のアルコール成分としては、例え
ばソルビトール、1,2,3,6 −ヘキサンテトロール、1,4
−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリス
リトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4 −ブタン
トリオール、1,2,5 −ペンタントリオール、グリセロー
ル、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,
4 −ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメ
チロールプロパン、1,3,5 −トリヒドロキシメチルベン
ゼン等が挙げられる。好ましくは、3価のアルコールが
用いられる。本発明においては、これらの2価のアルコ
ール単量体及び3価以上の多価アルコール単量体から単
独であるいは複数の単量体を併用して用いることができ
る。
【0028】また、酸成分としては、カルボン酸成分で
2価の単量体として、例えばマレイン酸、フマール酸、
シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、
イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、
セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニル
コハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−オクチルコハク
酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、
及びこれらの酸の無水物、もしくは低級アルキルエステ
ル等が挙げられる。
【0029】3価以上のカルボン酸成分としては、例え
ば1,2,4 −ベンゼントリカルボン酸、2,5,7 −ナフタレ
ントリカルボン酸、1,2,4 −ナフタレントリカルボン
酸、1,2,4 −ブタントリカルボン酸、1,2,5 −ヘキサン
トリカルボン酸、1,3 −ジカルボキシル−2−メチル−
2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4 −シクロヘキ
サントリカルボン酸、テトラ (メチレンカルボキシル)
メタン、1,2,7,8 −オクタンテトラカルボン酸、ピロメ
リット酸、エンポール三量体酸及びこれらの酸無水物、
低級アルキルエステル等が挙げられる。好ましくは、3
価のカルボン酸もしくはその誘導体が用いられる。本発
明においては、これらの2価のカルボン酸単量体及び3
価以上のカルボン酸単量体から単独であるいは複数の単
量体を併用して用いることができる。
【0030】本発明における非晶質ポリエステルの製造
方法は、特に限定されることなく、上記の単量体を用い
てエステル化、エステル交換反応により製造することが
できる。ここで、非晶質とは明確な融点を有しないもの
であり、本発明において結晶質のポリエステルを用いる
と融解に必要なエネルギー量が大きく、得られるトナー
の定着性が向上できず好ましくない。
【0031】このようにして得られる非晶質ポリエステ
ルは、さらにガラス転移点が50〜80℃であることが
好ましい。50℃未満であると得られるトナーの保存安
定性が悪くなり、80℃を越えるとトナーの定着性が悪
くなる。なお本発明において、ガラス転移点とは示差走
査熱量計(セイコー電子工業社製)を用い、昇温速度10
℃/min で測定した際に、ガラス転移点以下のベースラ
インの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂
点までの間での最大傾斜を示す接線との交点の温度をい
う。
【0032】また、該非晶質ポリエステルの酸価は親水
性/親油性のバランスを調整する上で重要な因子であ
る。本発明においては、酸価が3〜50(KOHmg/
g)であることが好ましく、より好ましくは10〜30
(KOHmg/g)である。3(KOHmg/g)未満
であると、殻材となる非晶質ポリエステルがin si
tu重合中に界面に出にくくなり、得られるトナーの保
存安定性が悪く、50(KOHmg/g)を越えるとポ
リエステルが水相へ移行しやすく製造安定性が悪くな
る。ここで酸価の測定方法は、JIS K0070によ
るものである。
【0033】一方、本発明のカプセルトナーの芯材は、
少なくとも熱可塑性樹脂と着色剤を含有する熱溶融性芯
材よりなり、他に通常のトナーに含有される各種成分を
含有してもよい。
【0034】該熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹
脂、ポリエステル・ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂、
ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられ、好ましくは、
ビニル系樹脂が挙げられる。このような熱溶融性芯材の
主成分となる熱可塑性樹脂に由来するガラス転移点は、
10〜50℃であることが好ましいが、より好ましくは
20〜40℃であり、ガラス転移点が10℃未満では得
られるカプセルトナーの保存安定性が悪化し、50℃を
越えるとカプセルトナーの定着強度が悪化し好ましくな
い。このようなガラス転移点は、芯材樹脂の単量体、重
合条件等で調整できるが、第2の態様の場合、前駆体粒
子中に吸収させるビニル重合性単量体の種類や2段目反
応の条件等でも調整可能である。
【0035】前記の熱可塑性樹脂のうち、ビニル樹脂を
構成する単量体(第2の態様の場合、後述の前駆体粒子
中に吸収させるビニル重合性単量体としても用いられ
る)としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレ
ン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メ
チルスチレン、p−エチルスチレン、2,4 −ジメチルス
チレン、p−クロルスチレン、ビニルナフタレン等のス
チレン若しくはスチレン誘導体、例えばエチレン、プロ
ピレン、ブチレン、イソブチレン等の如きエチレン系不
飽和モノオレフィン類、例えば塩化ビニル、臭化ビニ
ル、弗化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ギ
酸ビニル、カプロン酸ビニル等の如きビニルエステル
類、例えばアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロ
ピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、
アクリル酸t−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸
シクロヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸
イソオクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステア
リル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸2−ヒド
ロキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2−
クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリ
ル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタ
クリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリ
ル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリ
ル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル
酸アミル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸
n−オクチル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル
酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エ
チルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸
メトキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、
メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸フェニル、メタ
クリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチル
アミノエチル等の如きエチレン性モノカルボン酸及びそ
のエステル、例えばアクリロニトリル、メタクリロニト
リル、アクリルアミド等の如きエチレン性モノカルボン
酸置換体、例えばマレイン酸ジメチル等の如きエチレン
性ジカルボン酸及びその置換体、例えばビニルメチルケ
トン等の如きビニルケトン類、例えばビニルメチルエー
テル等の如きビニルエーテル類、例えばビニリデンクロ
リド等の如きビニリデンハロゲン化物、例えばN−ビニ
ルピロール、N−ビニルピロリドン等の如きN−ビニル
化合物類が挙げられる。
【0036】本発明に係る芯材用の樹脂を構成する成分
の内、樹脂の主骨格形成にスチレンもしくはスチレン誘
導体を50〜90重量%用い、樹脂の軟化温度等の熱特
性の調節にエチレン性モノカルボン酸もしくはそのエス
テルを10〜50重量%用いることが、芯材用樹脂のガ
ラス転移点を制御し易く好ましい。
【0037】本発明に係る芯材用の樹脂を構成する単量
体組成物中には、架橋剤を使用することが好ましい。こ
の場合、架橋剤の使用方法としては特に限定されるもの
ではないが、例えば第2の態様では、前駆体粒子の調製
時(1段目反応)に架橋剤を添加して反応させ、さらに
前駆体粒子中に重合性単量体を吸収させる時にも架橋剤
を添加して2段目反応による重合に利用する態様、ある
いは1段目反応時には架橋剤を使用せず、2段目反応時
にのみ使用する態様などが挙げられる。このように架橋
剤を添加して反応させることによって、芯材を構成する
樹脂成分の分子量分布を調節することができ、非オフセ
ット域を広げることに効果的である。特に1段目反応及
び2段目反応の両方において架橋剤を添加する態様は、
前駆体粒子中の芯材の樹脂成分に架橋構造を形成させ、
さらに2段目反応においても架橋構造を形成させるた
め、高速での定着のみならず低速での定着方式において
も耐オフセット性を向上させることができる点から好適
である。
【0038】添加する架橋剤としては、例えば、ジビニ
ルベンゼン、ジビニルナフタレン、ポリエチレングリコ
ールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリ
レート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3
−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6 −ヘキシ
レングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコ
ールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタ
クリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレー
ト、2,2'−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニ
ル)プロパン、2,2'−ビス(4−アクリロキシジエトキ
シフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメ
タクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジブ
ロムネオペンチルグリコールジメタクリレート、フタル
酸ジアリルなど、一般の架橋剤を適宜(必要に応じて2
種以上組み合わせて)用いることができる。
【0039】これらの架橋剤の使用量は、1段目反応と
2段目反応の両方で添加する場合は総使用量として、あ
るいは2段目反応でのみ使用する場合は、2段目反応用
として、ビニル重合性単量体を基準にして0.001 〜15重
量%、好ましくは0.1 〜10重量%で使用するのが良い。
これらの架橋剤の使用量が15重量%より多いと得られる
トナーが熱で溶融しにくくなり、熱定着性又は熱圧力定
着性が劣ることとなる。また使用量が0.001 重量%より
少ないと、熱圧力定着において、トナーの一部が紙に完
全に固着しないでローラー表面に付着し、次の紙に転移
するというオフセット現象を防ぎにくくなる。尚、1段
目反応と2段目反応の両方で使用する場合、1段目反応
用としては、0.1〜5.0重量%、好ましくは0.5
〜3.0重量%、2段目反応用としては0.1〜5.0
重量%、好ましくは1.0〜3.0重量%が好ましい。
また、上記単量体を、不飽和ポリエステルの存在下に重
合させてグラフトもしくは架橋重合体とし、芯材用の樹
脂としても良い。
【0040】また、芯材用の熱可塑性樹脂を製造する際
使用される重合開始剤(第2の態様の場合、後述の前駆
体粒子中に吸収させるビニル重合開始剤としても用いら
れる)としては、2,2'−アゾビス(2,4 −ジメチルバレ
ロニトリル)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、1,
1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリ
ル)、2,2'−アゾビス−4−メトキシ−2,4 −ジメチル
バレロニトリル、その他のアゾ系又はジアゾ系重合開始
剤:ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパ
ーオキサイド、イソプロピルパーオキシカーボネート、
キュメンハイドロパーオキサイド、2,4 −ジクロロベン
ゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ
クミルパーオキサイドの如き過酸化物系重合開始剤が挙
げられる。
【0041】重合体の分子量及び分子量分布を調節する
目的で、又は反応時間を調節する目的等で、二種類又は
それ以上の重合開始剤を混合して使用することもでき
る。重合開始剤の使用量は、重合単量体100 重量部に対
して0.1 〜20重量部、好ましくは1〜10重量部である。
【0042】本発明においては、外殻が非晶質ポリエス
テルであれば負帯電性を有するが、帯電量の調整用に芯
材中に荷電制御剤を添加することもでき、添加する負帯
電性荷電制御剤としては、特に限定されることなく、例
えば含金属アゾ染料である「バリファーストブラック3
804」、「ボントロンS−31」(以上、オリエント
化学社製)、「ボントロンS−32」、「ボントロンS
−34」(以上、オリエント化学社製)等、銅フタロシ
アニン染料、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、
例えば「ボントロンE−81」、「ボントロンE−8
2」、「ボントロンE−85」(以上、オリエント化学
社製)、4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARGE NX
VP434」(ヘキスト社製)、ニトロイミダゾール誘導体
等を挙げることができる。
【0043】正帯電性荷電制御剤としては、特に限定さ
れることなく、例えばニグロシン染料として「ニグロシ
ンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブ
ラックSO」、「ボントロンN−01」、「ボントロン
N−07」、「ボントロンN−11」(以上、オリエン
ト化学社製)等、3級アミンを側鎖として含有するトリ
フェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例
えば「ボントロンP−51」(オリエント化学社製)、
セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARG
E PX VP435」(ヘキスト社製)等、ポリアミン樹脂、例
えば「AFP−B」(オリエント化学社製)、イミダゾ
ール誘導体等を挙げることができる。以上の荷電制御剤
は芯材中に0.1 〜8.0 重量%、好ましくは0.2 〜5.0 重
量%含有される。
【0044】芯材中には必要に応じて、熱圧力定着にお
ける耐オフセット性を改善する目的で、例えばポリオレ
フィン、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、部分ケン化脂
肪酸エステル、高級脂肪酸、高級アルコール、パラフィ
ンワックス、アミド系ワックス、多価アルコールエステ
ル、シリコンワニス、脂肪族フロロカーボン、シリコン
オイル等のオフセット防止剤を任意の一種以上含有せし
めても良い。
【0045】前記ポリオレフィンとしては、例えばポリ
プロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の樹脂であっ
て、軟化点が80〜160 ℃のものである。前記脂肪酸金属
塩としては、例えばマレイン酸と亜鉛、マグネシウム、
カルシウム等との金属塩;ステアリン酸と亜鉛、カドミ
ウム、バリウム、鉛、鉄、ニッケル、コバルト、銅、ア
ルミニウム、マグネシウム等との金属塩;二塩基性ステ
アリン酸鉛;オレイン酸と亜鉛、マグネシウム、鉄、コ
バルト、銅、鉛、カルシウム等との金属塩;パルミチン
酸とアルミニウム、カルシウム等との金属塩;カプリル
酸塩;カプロン酸鉛;リノール酸と亜鉛、コバルト等と
の金属塩;リシノール酸カルシウム;リシノレイン酸と
亜鉛、カドミウム等との金属塩及びこれらの混合物等が
挙げられる。前記脂肪酸エステルとしては、例えばマレ
イン酸エチルエステル、マレイン酸ブチルエステル、ス
テアリン酸メチルエステル、ステアリン酸ブチルエステ
ル、パルミチン酸セチルエステル、モンタン酸エチレン
グリコールエステル等が挙げられる。前記部分ケン化脂
肪酸エステルとしては、例えばモンタン酸エステルのカ
ルシウム部分ケン化物等が挙げられる。前記高級脂肪酸
としては、例えばドデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノー
ル酸、リシノール酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセ
リン酸、セラコレイン酸等及びこれらの混合物を挙げる
ことができる。前記高級アルコールとしては、例えばド
デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルア
ルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコー
ル、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール等を挙げ
ることができる。前記パラフィンワックスとしては、例
えば天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィ
ン、塩素化炭化水素等が挙げられる。前記アミド系ワッ
クスとしては、例えばステアリン酸アミド、オレイン酸
アミド、パルミチン酸アミド、ラウリル酸アミド、ベヘ
ニン酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレン
ビスステアロアミド、N,N'−m−キシリレンビスステア
リン酸アミド、N,N'−m−キシリレンビス−12−ヒドロ
キシステアリン酸アミド、N,N'−イソフタル酸ビスステ
アリルアミド、N,N'−イソフタル酸ビス−12−ヒドロキ
システアリルアミド等が挙げられる。前記多価アルコー
ルエステルとしては、例えばグリセリンステアレート、
グリセリンリシノレート、グリセリンモノベヘネート、
ソルビタンモノステアレート、プロピレングリコールモ
ノステアレート、ソルビタントリオレート等が挙げられ
る。前記シリコンワニスとしては、例えばメチルシリコ
ンワニス、フェニルシリコンワニス等が挙げられる。前
記脂肪族フロロカーボンとしては、例えば四フッ化エチ
レン、六フッ化プロピレンの低重合化合物あるいは特開
昭53−124428号公報記載の含フッ素界面活性剤等が挙げ
られる。これらのオフセット防止剤の芯材中の樹脂に対
する割合は1〜20重量%が好ましい。
【0046】本発明において、カプセルトナー、即ち第
2の態様の前駆体粒子の芯材中には着色剤が含有される
が、従来のトナー用着色剤に用いられている染料、顔料
等のすべてを使用できる。本発明に用いられる着色剤と
しては、サーマルブラック法、アセチレンブラック法、
チャンネルブラック法、ランプブラック法等により製造
される各種のカーボンブラック、カーボンブラックの表
面を樹脂で被覆しているグラフト化カーボンブラック、
ニグロシン染料、フタロシアニンブルー、パーマネント
ブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピ
グメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベン
トレッド49、ソルベントレッド146 、ソルベントブルー
35等及びそれらの混合物等を挙げる事ができ、通常、芯
材中の樹脂 100重量部に対して1〜15重量部程度が使用
される。
【0047】磁性カプセルトナーを生成させるには、芯
材中に磁性粒子を添加すれば良い。磁性粒子としては、
例えば、フェライト、マグネタイトを始めとする鉄、コ
バルト、ニッケルなどの強磁性を示す金属もしくは合金
又はこれらの元素を含む化合物、あるいは強磁性元素を
含まないが適当な熱処理を施すことによって強磁性を示
すようになる合金、例えはマンガン−銅−アルミニウ
ム、マンガン−銅−錫などのマンガンと銅とを含むホイ
スラー合金と呼ばれる種類の合金、又は二酸化クロム、
その他を挙げることができる。これらの磁性体は平均粒
径0.1 〜1μm の微粉末の形で芯材中に均一に分散され
る。そしてその含有量は、カプセルトナー100 重量部当
たり20〜70重量部、好ましくは30〜70重量部である。
【0048】なお、磁性トナーとするために磁性体微粉
末を含有せしめる場合には、着色剤の場合と同様に処理
すればよいが、そのままでは芯材材料、単量体等の有機
物質に対する親和性が低いので、磁性体微粉末をチタン
カップリング剤、シランカップリング剤、レシチン等の
いわゆるカップリング剤と共にあるいはカップリング剤
により処理した上で用いると、磁性体微粉末を均一に分
散せしめることができる。
【0049】以上の原料を用いた本発明のカプセルトナ
ーの製造方法(1段目反応による前駆体粒子の製造方
法)は、製造設備や製造工程の簡素化という点からin
situ重合法を利用する。
【0050】即ち、本発明の熱圧力定着用カプセルトナ
ーの製造方法は、少なくとも熱可塑性樹脂と着色剤を含
有する熱溶融性芯材と、その芯材の表面を被覆するよう
設けた外殻とにより構成される熱圧力定着用カプセルト
ナーの製造方法において、重合性単量体、着色剤、一般
式(1)に示される化合物および親水性外殻材を含有す
る重合性組成物を分散媒中に懸濁させた状態で重合させ
ることにより芯材とその外殻を形成することを特徴とす
るものである。以下、このin situ重合法による
製造方法について述べる。当該製造方法において、外殻
形成は、芯材構成材料と親水性外殻材(例えば非晶質ポ
リエステル等)の混合液を水系分散媒中に分散させ、親
水性外殻材が液滴の表面に偏在するという性質を利用し
て行うことができる。即ち、溶解度指数の差によって混
合液の液滴中で芯材構成材料と親水性外殻材の分離が起
こり、その状態で重合が進行してカプセル構造が形成さ
れる。これにより親水性外殻材を芯材表面に被覆したカ
プセルトナーの水系懸濁液が得られる。この方法による
と、外殻がほぼ均一な厚みを持った親水性外殻材よりな
る層として形成されるため、得られるトナーの帯電特性
が均質になるという特長を有する。特に非晶質ポリエス
テル等の帯電性を有する材料を殻材とする場合に有効で
ある。
【0051】本発明の製造方法では、このようなin
situ重合法において、上記の一般式(I)に示され
る化合物を重合性組成物に含有させるが、この化合物を
用いると次のような機構により、得られるカプセルトナ
ーの保存性、電気特性、生産性を改善することができ
る。即ち、通常のin situ重合法では重合性組成
物を分散媒中に懸濁させる際に、微量の重合性単量体が
分散媒中に乳化され、加熱によりそれが乳化重合を起こ
して、外殻で被覆されていない微粒子が形成されるが、
前記の化合物を添加すると、前記化合物が乳化単量体の
ラジカルをトラップするため、乳化重合が停止して外殻
のない微粒子の発生が抑えられ、生成するトナーの保存
性が改善される。また、外殻のない微粒子がトナー表面
に付着することによる電気抵抗、摩擦帯電性等の電気特
性を劣化も防止することができ、さらにはトナーを分散
媒中から濾別する際の、濾布等を目詰まりも低減するこ
とができる。本発明において、一般式(I)に示される
化合物の中には、荷電制御剤として用いられるものも包
含されるが、この場合上記の効果に加えて荷電制御剤と
しての効果を有する。
【0052】上記の一般式(I)に示される化合物の含
有量は、重合性組成物中、通常0.01〜5.0重量
%、好ましくは0.05〜1.0重量%である。この範
囲より少ないと、乳化重合を抑制する作用が乏しいた
め、保存性が十分に確保しにくくなり、この範囲を越え
ると上記化合物の重合禁止作用により、芯材の重合が十
分に行えない場合がある。
【0053】上記のin situ重合法による場合、
分散質の凝集、合体を防ぐ為に、分散媒中に分散安定剤
を含有させておく必要がある。分散安定剤としては、例
えばゼラチン、ゼラチン誘導体、ポリビニルアルコー
ル、ポリスチレンスルホン酸、ヒドロキシメチルセルロ
ース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウ
ム、ポリアクリル酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペン
タデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、ア
リル−アルキル−ポリエーテルスルホン酸ナトリウム、
オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリ
ン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナ
トリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウ
ム、3,3 −ジスルホンジフェニル尿素−4,4 −ジアゾ−
ビス−アミノ−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリ
ウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルア
ニリン、2,2,5,5 −テトラメチル−トリフェニルメタン
−4,4 −ジアゾ−ビス−β−ナフトール−ジスルホン酸
ナトリウム、コロイダルシリカ、アルミナ、リン酸三カ
ルシウム、水酸化第二鉄、水酸化チタン、水酸化アルミ
ニウム、その他を使用することができる。これらの分散
安定剤は二種以上を併用してもよい。
【0054】前記分散安定剤の分散媒としては、水、メ
タノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エ
チレングリコール、グリセリン、アセトニトリル、アセ
トン、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジ
オキサン等が挙げられる。これらは単独あるいは混合し
て用いることができるが、水を必須成分として用いるこ
とが好ましい。
【0055】上記の製造方法(in situ重合法に
よる1段目反応)において、前記の非晶質ポリエステル
等の親水性外殻材の添加量は、芯材100重量部に対
し、通常3〜50重量部、好ましくは5〜40重量部で
ある。3重量部未満であると外殻の膜厚が薄くなりすぎ
て得られるトナーの保存安定性が悪くなり、50重量部
を越えると分散質が高粘度になり、又、微粒化が困難と
なり製造安定性が悪くなる。
【0056】また、帯電制御を目的として本発明のカプ
セルトナーの外殻材料中には、先に例示した如き荷電制
御剤を適量添加してもよいし、また、この荷電制御剤を
得られるトナーと混合して用いることもできるが、外殻
自身で帯電性を制御しているため、それらを添加する場
合でも添加量は少なくてすむ。
【0057】次に、以上のようにして得られる前駆体粒
子を用いて、seed重合法(2段目反応)を行う本発
明の第2の態様の製造方法について述べる。この製造方
法は、前記の前駆体粒子の水系懸濁液に少なくともビニ
ル重合性単量体、ビニル重合性開始剤および前記の一般
式(1)に示される化合物を添加して前駆体粒子中に吸
収させた後、該前駆体粒子中の単量体成分を重合させる
ものである。
【0058】本発明の製造方法においては、前記のin
situ重合法による前駆体粒子の製造後、懸濁状態
のまま、直ちに少なくともビニル重合性単量体、ビニル
重合開始剤および前記の一般式(1)に示される化合物
を添加して前駆体粒子中に吸収させ、該前駆体粒子中の
単量体成分をseed重合させてもよい。こうすること
により製造工程をより簡略化できる。なお、前駆体粒子
中に吸収させるビニル重合性単量体等は、予め水乳濁液
として添加しても良い。
【0059】添加する水乳濁液は、水にビニル重合性単
量体、ビニル重合開始剤及び前記の一般式(1)に示さ
れる化合物を分散安定剤と共に乳化分散させたものであ
り、他に架橋剤、オフセット防止剤、荷電制御剤等を含
有させることもできる。用いるビニル重合性単量体とし
ては、前記の前駆体粒子に用いられるものと同じもので
もよい。また、ビニル重合開始剤、前記の一般式(1)
に示される化合物、架橋剤、分散安定剤も、前記の前駆
体粒子と同様のものを用いることができる。2段目反応
において用いる架橋剤の使用量としては、前記のとおり
である。
【0060】第2の態様において、前記の一般式(1)
に示される化合物を前駆体粒子、前駆体粒子に吸収させ
る重合性組成物中の両方に添加しても良いし、また、前
駆体粒子のみに添加した場合も本発明の効果を示す。前
記の一般式(1)に示される化合物の添加量は、前駆体
粒子に対して、通常0.01〜5.0重量%、好ましく
は0.05〜1.0重量%である。この範囲より少ない
と、乳化重合を抑制する作用が乏しいため、保存性が十
分に確保しにくくなり、この範囲を越えると上記化合物
の重合禁止作用により、芯材の重合が十分に行えない場
合がある。
【0061】また、トナーの保存安定性の更なる向上の
ため、前記の非晶質ポリエステル等の親水性外殻材を水
乳濁液に添加してもよい。そのときの添加量としては芯
材100重量部に対し、通常1〜20重量部、好ましく
は3〜15重量部である。従って、例えば第1段目反応
で親水性外殻材として非晶質ポリエステルを用い、第2
段目反応においても非晶質ポリエステルを添加する態様
や、第1段目で酸無水物基を有するビニル樹脂を用い、
第2段目反応で非晶質ポリエステルを添加する等の種々
の態様がある。
【0062】このような水乳濁液は、超音波発振機等に
より均一に分散させて調製することができる。
【0063】水乳濁液の添加量は、ビニル重合性単量体
の使用量が、前駆体粒子100重量部に対し10〜20
0重量部となるように調整する。10重量部未満では定
着性改良に効果が無く、200重量部を越えると均一に
単量体を前駆体粒子中に吸収させ難くなる。
【0064】水乳濁液の添加により、該ビニル重合性単
量体等は前駆体粒子中に吸収されて前駆体粒子の膨潤が
起こる。本発明はこの状態で前駆体粒子中の単量体成分
を重合させるものであり(2段目反応)、前駆体粒子を
種粒子とするseed重合法であるといえる。
【0065】以上のような第2の態様によると、第1の
態様でカプセルトナーを製造する場合と比較して、つぎ
の点がより改善されることになる。即ち、第1の態様で
製造したカプセルトナーは、低温定着性と保存安定性の
点で従来のものより優れるが、seed重合法を更に行
うことにより、界面科学的により均一な外殻が形成さ
れ、更なる保存安定性が優れるものとなる。また、芯材
の重合性単量体を2段(1段目反応および2段目反応)
に分けて重合させることができるため、さらに、架橋剤
を適宜使用することにより、芯材中の熱可塑性樹脂の分
子量制御が容易になり、低温定着性と耐オフセット性を
より良好にすることができる。特に高速での定着のみな
らず低速での定着にも適したトナーを提供することがで
きる。
【0066】以上の方法により製造される本発明のカプ
セルトナーの粒径は、別段制約を受けるものではない
が、平均粒径は通常3〜30μm とされる。カプセルトナ
ーの外殻の厚みは0.01〜1μm が好ましく、0.01μm 未
満では耐ブロッキング性が悪化し、1μm を超えると熱
溶融性が悪化し好ましくない。
【0067】本発明のカプセルトナーには、必要に応じ
て、流動性向上剤、クリーニング性向上剤などを用いる
ことができる。流動性向上剤としては、例えばシリカ、
アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マ
グネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチ
ウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケ
イソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸
化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、
硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケ
イ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。特にシリ
カの微粉末が好ましい。
【0068】なお、シリカの微粉末は、Si−O−Si
結合を有する微粉末であり、乾式法及び湿式法で製造さ
れたもののいずれであってもよい。また、無水二酸化ケ
イ素のほか、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、
ケイ酸カリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸亜鉛など
いずれであってもよいが、 SiO2 を85重量%以上含むも
のが好ましい。また、シラン系カップリング剤、チタン
系カップリング剤、シリコンオイル、側鎖にアミンを有
するシリコンオイルなどにより表面処理されたシリカの
微粉末などを用いることができる。
【0069】クリーニング性向上剤としては、ステアリ
ン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高
分子量体の微粒子粉末などがある。更に現像性を調整す
るための添加剤、例えばメタクリル酸メチルエステル、
メタクリル酸ブチルエステル等の重合物の微粒子粉末な
どを用いてもよい。更に調色、抵抗調整などのために少
量のカーボンブラックを用いてもよい。カーボンブラッ
クとしては従来公知のもの、例えばファーネスブラッ
ク、チャネルブラック、アセチレンブラックなどの種々
のものを用いることができる。
【0070】本発明のカプセルトナーは、磁性体微粉末
を含有するものであるときには単独で現像剤として用い
られ、また磁性体微粉末を含有しないものであるとき
は、非磁性一成分系現像剤、又はキャリアと混合して二
成分系の現像剤を調製して用いることができる。キャリ
アとしては、特に限定されないが鉄粉、フェライト、ガ
ラスビーズ等、又はそれらの樹脂被覆したもの、更には
マグネタイト微粉、フェライト微粉を樹脂中に練り込ん
だ樹脂キャリアが用いられ、トナーのキャリアに対する
混合比は0.5〜20重量%である。またキャリアの粒
径としては、15〜500μmのものが用いられる。
【0071】本発明のカプセルトナーは熱と圧力を併用
して紙等の記録材に定着させることにより良好な定着強
度を与えるが、熱圧力定着方法としては、熱と圧力が併
用されておれば、公知の熱ローラー定着方式、又は例え
ば特開平2−190870号公報記載の如く、記録材上の未定
着のトナー画像を加熱部と耐熱シートから構成された加
熱手段により、該耐熱性シートを介して加熱溶融させ、
定着せしめる定着方式、又は例えば特開平2−162356号
公報記載の如く、固定支持された加熱体と、該加熱体に
対向圧接し、且つフィルムを介して記録材を該加熱体に
密着させる加圧部材とにより、該トナーの顕画像を記録
材に加熱加圧定着する方式等の方法が本発明のカプセル
トナーの定着に適している。
【0072】
【実施例】以下、実施例、比較例および試験例により本
発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施
例等によりなんら限定されるものではない。
【0073】樹脂製造例 ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物36
7.5g(以下BPA−POと略す)、ビスフェノール
Aのエチレンオキサイド付加物146.4g(以下BP
A−EOと略す)、テレフタル酸126.0g(以下T
PAと略す)、ドデセニル無水コハク酸40.2g(以
下DSAと略す)、無水トリメリット酸77.7g(以
下TMAと略す)をガラス製2リットルの4つ口フラス
コに入れ、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデ
ンサー、及び窒素導入管を取り付け、マントルヒーター
中で、窒素気流下にて220℃にて反応せしめた。重合
度は、ASTM E28−67に準拠した軟化点より追
跡を行い、軟化点が110℃に達したとき、反応を終了
した。この樹脂を樹脂Aとする。樹脂Aの、示差走査熱
量計(セイコー電子工業社製)で測定したガラス転移点
は65℃、JIS K0070に準ずる方法により測定
した酸価は18KOHmg/gであった。
【0074】実施例1 スチレン72.0重量部、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル28.0重量部、ジビニルベンゼン0.9重量部、カ
ーボンブラック「#44」(三菱化成社製)10重量部
に、「T−77」(保土ヶ谷化学社製)を0.3重量
部、樹脂Aを15重量部、2,2'−アゾビスイソブチロニ
トリルを3.5重量部を添加し、アトライター(三井三
池化工機社製)に投入し、10℃にて5時間分散し、重
合性組成物を得た。これを、2リットルのガラス製セパ
ラブルフラスコに予め調製したリン酸三カルシウム4重
量%の水性コロイド溶液800g中に30重量%になる
量だけ添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)
を用いて、15℃にて回転数12000rpmで5分間
乳化分散させた。
【0075】次に、4つ口のガラス製の蓋をし、還流冷
却管、温度計、窒素導入管、ステンレススチール製撹拌
棒を取り付け、電熱マントルヒーター中に設置した。窒
素下にて撹拌を続けながら、85℃まで昇温し、10時
間反応せしめた。冷却後、10%塩酸水溶液にて分散媒
を溶かし、濾過、水洗を経て、45℃にて12時間、2
0mmHgで減圧乾燥し、風力分級機にて分級し、平均
粒径8μmの外殻が非晶質ポリエステルであるカプセル
トナーを得た。このカプセルトナー100重量部に、疎
水性シリカ微粉末「アエロジルR−972」(日本アエ
ロジル社製)0.4重量部を加えて混合し、本発明のカ
プセルトナーを得た。これをトナー1とする。芯材中の
樹脂に由来するガラス転移点は39.8℃、また、トナ
ー1の軟化点は128.1℃であった。
【0076】実施例2 スチレン69.0重量部、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル31.0重量部、ジビニルベンゼン0.8重量部、カ
ーボンブラック「#44」(三菱化成社製)10重量部
に、「T−77」(保土ヶ谷化学社製)を0.3重量
部、樹脂Aを10重量部、2,2'−アゾビスイソブチロニ
トリルを6.0重量部を添加し、アトライター(三井三
池化工機社製)に投入し、10℃にて5時間分散し、重
合性組成物を得た。次いで、2リットルのガラス製セパ
ラブルフラスコに予め調製したリン酸三カルシウム4重
量%の水性コロイド溶液560g中に前記重合性組成物
240gを添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業社
製)を用いて、15℃にて回転数12000rpmで5
分間乳化分散させた。次に、4つ口のガラス製の蓋を
し、還流冷却管、温度計、窒素導入管、ステンレススチ
ール製攪拌棒を取り付け、電熱マントルヒーター中に設
置した。窒素下にて攪拌を続けながら、85℃まで昇温
し、10時間重合反応を行い種粒子とし室温まで冷却
し、トナー前駆体粒子を得た。
【0077】次いで、該前駆体粒子の水系懸濁液中に、
超音波発振機にて調製したスチレン32.0重量部、ア
クリル酸2−エチルヘキシル8.0重量部、2,2'−アゾ
ビスイソブチロニトリル1.6重量部、ジビニルベンゼ
ン0.8重量部、「T−77」(保土ヶ谷化学社製)
0.1重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.2重量部、
イオン交換水80重量部からなるエマルション溶液12
2.6重量部を滴下し、窒素下にて攪拌を続けながら、
2段目の重合として85℃まで昇温し10時間反応せし
めた。冷却後10%塩酸水溶液にて分散剤を溶かし、濾
過、水洗を経て、45℃にて12時間、20mmHgで
減圧乾燥し、風力分級機にて分級し、平均粒径8μmの
外殻が非晶質ポリエステルであるカプセルトナーを得
た。このカプセルトナー100重量部に、疎水性シリカ
微粉末「アエロジルR−972」(日本アエロジル社
製)0.4重量部を加えて混合し、本発明のカプセルト
ナーを得た。これをトナー2とする。芯材中の樹脂に由
来するガラス転移点は34.7℃、またトナー2の軟化
点は120.3℃であった。
【0078】実施例3 実施例1において、「T−77」を「Aizen Spilon Bla
ck TRH」(保土ヶ谷化学社製)0.5重量部に置き換え
る以外は実施例1と同様の操作により重合反応を経由し
て水洗まで行った。45℃にて12時間、10mmHg
で減圧乾燥し、風力分級機にて分級し、平均粒径8μm
の、外殻が非晶質ポリエステル樹脂であるカプセルトナ
ーを得た。
【0079】このカプセルトナー100重量部に、疎水
性シリカ微粉末「アエロジルR−972」(日本アエロ
ジル社製)0.4重量部を加えて混合し、本発明のカプ
セルトナーを得た。これをトナー3とする。芯材中の樹
脂に由来するガラス転移点は40.5℃、またトナー3
の軟化点は131.4℃であった。
【0080】比較例1 実施例1において、T−77を除いて、実施例1と同様
の操作により重合反応を経由して水洗まで行った。20
℃にて12時間、10mmHgで減圧乾燥し、風力分級
機にて分級し、平均粒径8μmの、外殻が非晶質ポリエ
ステル樹脂であるカプセルトナーを得た。
【0081】このカプセルトナー100重量部に、疎水
性シリカ微粉末「アエロジルR−972」(日本アエロ
ジル社製)0.4重量部を加えて混合し、本発明のカプ
セルトナーを得た。これを比較トナー1とする。芯材中
の樹脂に由来するガラス転移点は40.4℃、また、比
較トナー1の軟化点は133.6℃であった。
【0082】比較例2 実施例2において、T−77を除いて、実施例2と同様
の操作により重合反応を経由して水洗まで行った。20
℃にて12時間、10mmHgで減圧乾燥し、風力分級
機にて分級し、平均粒径8μmの、外殻が非晶質ポリエ
ステル樹脂であるカプセルトナーを得た。
【0083】このカプセルトナー100重量部に、疎水
性シリカ微粉末「アエロジルR−972」(日本アエロ
ジル社製)0.4重量部を加えて混合し、本発明のカプ
セルトナーを得た。これを比較トナー2とする。芯材中
の樹脂に由来するガラス転移点は44.1℃、また、比
較トナー2の軟化点は123.0℃であった。
【0084】定着性については以下に述べる方法にて評
価した。即ち、前述の調製済み現像剤を市販の電子写真
複写機(定着ローラーの回転速度は255mm/se
c、定着装置を温度可変にし、オイル塗布装置を除去し
たもの)を用いて画像出しを行った。定着温度を70℃
から220℃にコントロールし、画像の定着性、オフセ
ット性を評価した。その結果を表に示す。
【0085】ここでの最低定着温度とは、底面が15m
m×7.5mmの砂消しゴムに500gの荷重を乗せ、
定着機を通して定着された画像の上を5往復こすり、こ
する前後の像濃度をマクベス社の反射濃度計にて光学反
射密度を測定し、以下の定義による定着率が70%を越
える際の定着ローラーの温度を言う。 定着率=(こすった後の像濃度/こする前の像濃度)
【0086】耐ブロッキング性については、各トナーを
50℃、相対湿度40%の条件下で100時間放置した
ときの凝集の発生の程度を評価し、その結果も表に示
す。
【0087】
【表1】
【0088】「T−77」を用いない比較例1及び2で
は、実施例1〜3と比べて、耐ブロッキング性が劣るも
のであった。本発明の他の実施態様を挙げれば、以下の
とおりである。 (1)少なくとも熱可塑性樹脂と着色剤を含有する熱溶
融性芯材と、その芯材の表面を被覆するよう設けた外殻
とにより構成される熱圧力定着用カプセルトナーの製造
方法において、ビニル重合性単量体、着色剤、一般式
(1)に示される化合物および親水性外殻材を含有する
重合性組成物を分散媒中に懸濁させた状態で重合させる
ことにより芯材とその外殻を形成することを特徴とする
熱圧力定着用カプセルトナーの製造方法。
【0089】(2)少なくとも熱可塑性樹脂と着色剤を
含有する熱溶融性芯材と、その芯材の表面を被覆するよ
う設けた外殻とにより構成される熱圧力定着用カプセル
トナーの製造方法において、重合性単量体、着色剤、一
般式(1)に示される化合物および親水性外殻材を含有
する重合性組成物を分散媒中に懸濁させた状態で重合さ
せることにより芯材とその外殻を形成して得られたカプ
セルトナーを前駆体粒子として用い、該前駆体粒子の水
系懸濁液に少なくともビニル重合性単量体、ビニル重合
性開始剤、親水性外殻材、および一般式(1)に示され
る化合物を添加して前駆体粒子中に吸収させた後、該前
駆体粒子中の単量体成分を重合させる熱圧力定着用カプ
セルトナーの製造方法。
【0090】(3)親水性外殻材の主成分が非晶質ポリ
エステルである前記(1)または(2)の製造方法。
【0091】
【発明の効果】本発明によると、ヒートローラー等の熱
圧力定着方式において、定着性、耐オフセット性が優れ
ており、また、高温、高湿下でも耐ブロッキング性が優
れている熱圧力定着用カプセルトナーを提供することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河辺 邦康 和歌山県和歌山市小松原6−1−55 (56)参考文献 特開 平5−204266(JP,A) 特開 平1−250962(JP,A) 特開 平5−53377(JP,A) 特開 昭58−152256(JP,A) 特開 平4−342264(JP,A) 特開 平4−70857(JP,A) 特開 昭62−129358(JP,A) 特開 平5−307277(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも熱可塑性樹脂と着色剤を含有
    する熱溶融性芯材と、その芯材の表面を被覆するよう設
    けた外殻とにより構成される熱圧力定着用カプセルトナ
    ーの製造方法において、重合性単量体、着色剤、下記の
    一般式(1)に示される化合物および非晶質ポリエステ
    ルを主成分とする親水性外殻材を含有する重合性組成物
    を分散媒中に懸濁させた状態で重合させることにより芯
    材とその外殻を形成することを特徴とする熱圧力定着用
    カプセルトナーの製造方法。 【化1】 (式中、MはFeまたはCrを、X,Y1 ,Y2 はそれ
    ぞれ独立にArNHCO基またはH,Cl,Br,NO
    2 を、ZはH,Na,K,NH4 ,NR4 を表す。ここ
    で、Arは炭素数1から4のアルキル基で置換されたフ
    ェニル基または無置換のフェニル基を、Rは炭素数1か
    ら4のアルキル基を表す。ただし、MがCrであると
    き、Y1 及びY2 のいずれか一方がClである化合物を
    除く。)
  2. 【請求項2】 請求項1記載の製造方法により得られた
    カプセルトナーを前駆体粒子として用い、該前駆体粒子
    の水系懸濁液に少なくともビニル重合性単量体、ビニル
    重合性開始剤および下記の一般式(1)に示される化合
    物を添加して前駆体粒子中に吸収させた後、該前駆体粒
    子中の単量体成分を重合させることを特徴とする熱圧力
    定着用カプセルトナーの製造方法。 【化2】 (式中、MはFeまたはCrを、X,Y1 ,Y2 はそれ
    ぞれ独立にArNHCO基またはH,Cl,Br,NO
    2 を、ZはH,Na,K,NH4 ,NR4 を表す。ここ
    で、Arは炭素数1から4のアルキル基で置換されたフ
    ェニル基または無置換のフェニル基を、Rは炭素数1か
    ら4のアルキル基を表す。ただし、MがCrであると
    き、Y1 及びY2 のいずれか一方がClである化合物を
    除く。)
  3. 【請求項3】 非晶質ポリエステルの酸価が、3〜50
    (KOHmg/g)である請求項1又は2記載の熱圧力
    定着用カプセルトナーの製造方法。
  4. 【請求項4】 少なくとも熱可塑性樹脂と着色剤を含有
    する熱溶融性芯材と、その芯材の表面に被覆するよう設
    けた外殻とにより構成される熱圧力定着用カプセルトナ
    ーにおいて、重合性単量体、着色剤、下記の一般式
    (1)に示される化合物および非晶質ポリエステルを主
    成分とする親水性外殻材を含有する重合性組成物を分散
    媒中に懸濁させた状態で重合させることにより芯材とそ
    の外殻を形成して得られるものであることを特徴とする
    熱圧力定着用カプセルトナー。 【化3】 (式中、MはFeまたはCrを、X,Y1 ,Y2 はそれ
    ぞれ独立にArNHCO基またはH,Cl,Br,NO
    2 を、ZはH,Na,K,NH4 ,NR4 を表す。ここ
    で、Arは炭素数1から4のアルキル基で置換されたフ
    ェニル基または無置換のフェニル基を、Rは炭素数1か
    ら4のアルキル基を表す。ただし、MがCrであると
    き、Y1 及びY2 のいずれか一方がClである化合物を
    除く。)
  5. 【請求項5】 熱溶融性芯材の主成分となる熱可塑性樹
    脂に由来するガラス転移点が10〜50℃である請求項
    記載の熱圧力定着用カプセルトナー。
  6. 【請求項6】 非晶質ポリエステルのガラス転移点が5
    0〜80℃である請求項記載の熱圧力定着用カプセル
    トナー。
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