JP3980399B2 - ポリアミド発泡体およびその製造方法並びに該発泡体からなる研磨パッド - Google Patents

ポリアミド発泡体およびその製造方法並びに該発泡体からなる研磨パッド Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、均一な発泡構造を有するポリアミド発泡体よりなる研磨パッドに関する。本発明の研磨パッドは、半導体ウェハー等を高精度に、かつ高効率に研磨するための研磨用途に有用である。
【0002】
【従来の技術】
集積回路を形成するための基材として使用される半導体ウェハーの鏡面加工に用いられる研磨パッドとしては、一般的に、ベロア調やスエード調などの繊維と樹脂の複合材料、あるいは熱可塑性ポリウレタン樹脂を不織布に含浸させ湿式凝固させた、圧縮変形特性が大きく、比較的柔らかいシートが多用されていた。
【0003】
近年、半導体ウェハーは、高集積化、多層配線化に伴い、一層の高平坦化等の品質向上に加えて低価格化の要求が増々高まっている。それに伴い、研磨パッドに対しても、従来以上の平坦化を可能にする等の高機能化や長時間使用可能であることが要求されている。
【0004】
従来の比較的柔軟な不織布タイプの研磨パッドは、ウェハーとの接触性が良く、研磨スラリーの保持性も良好であるが、その柔軟性のために被研磨面の平坦化が十分でない。しかも、研磨スラリーや研磨屑が不織布の空隙に目詰まりし、これが原因でウェハー表面に傷を生じやすくなる傾向にある。また、研磨スラリーや研磨屑が目詰まりし易く、しかも空隙深くまで侵入しているため洗浄が困難であり、研磨パッドの使用時間が短いという問題点も有している。
【0005】
一方、高分子発泡体を使用した研磨パッドも知られており、不織布タイプの研磨パッドに比べて剛性が高いため、ウェハーの研磨等の平坦化を要求される用途によく使用されている。また、高分子発泡体を使用した研磨パッドは独立気泡構造であるため、研磨スラリーや研磨屑が不織布タイプの研磨パッドのように空隙の奥まで侵入しないので、研磨パッドの洗浄が比較的容易で長時間の使用にも耐えられるものである。特に耐摩耗性に優れることから、高分子発泡体としては発泡ポリウレタンがよく用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
発泡ポリウレタン製の研磨パッドは、通常、発泡ポリウレタンを適宜研削またはスライスすることにより製造されている。従来、研磨パッド用の発泡ポリウレタンは、2液硬化型ポリウレタンを用いて注型発泡硬化することによって製造されている(特開2000−178374号公報、特開2000−248034号公報、特開2001−89548号公報、特開平11−322878号公報などを参照)が、この方法では、反応・発泡の均一化が困難である上、得られる発泡ポリウレタンの高硬度化にも限界があった。また、従来の発泡ポリウレタン製の研磨パッドは、被研磨面の平坦性や平坦化効率等の研磨特性が変動することがあるが、もとになる発泡ポリウレタンにおける発泡構造のばらつきがその一因と考えられる。また、平坦化効率を高めるために、より硬度の高い研磨パッドが望まれている(〔「CMPのサイエンス」株式会社サイエンスフォーラム、1997年8月20日発行〕を参照)。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、均一な発泡構造を有し、被研磨面の平坦性および平坦化効率の向上が達成でき、かつ使用時間を従来のものより延長することができる研磨パッドを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく検討を重ねた結果、本発明者らは、非反応性ガスを溶解させた特定のポリアミドを発泡させることにより、硬度が高く、微細かつ均一な発泡構造を有する発泡体が得られることを見出し、さらに検討した結果、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、テレフタル酸単位を50〜100モル%含有するジカルボン酸単位(a)と、炭素数6〜18の脂肪族ジアミン単位を50〜100モル%含有するジアミン単位(b)とからなるポリアミドから構成され、密度が0.4〜0.95g/cm、気泡サイズが20〜200μm、硬度(JIS−C硬度)が93以上であるポリアミド発泡体よりなる研磨パッドを提供する。
【0010】
また、本発明は、上記のポリアミドに非反応性ガスを加圧条件下で溶解させた後、圧力を開放し、該ポリアミドを軟化温度以上の温度で発泡させて得られる、密度が0.4〜0.95g/cm、気泡サイズが20〜200μmであるポリアミド発泡体よりなる研磨パッドを提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において使用されるポリアミドを構成するジカルボン酸単位(a)は、テレフタル酸単位を50〜100モル%含有する。ジカルボン酸単位(a)におけるテレフタル酸単位の含有量は、75〜100モル%の範囲内であることが好ましく、90〜100モル%の範囲内であることがより好ましい。テレフタル酸単位の含有量が50モル%未満の場合には、得られる発泡体の耐熱性、耐水性、耐薬品性などが低下する。
【0012】
上記のジカルボン酸単位(a)は、50モル%以下であれば、テレフタル酸単位以外の他のジカルボン酸単位を含んでいてもよい。該他のジカルボン酸単位としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸から誘導される単位を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらのなかでも芳香族ジカルボン酸から誘導される単位を用いることが好ましい。これらの他のジカルボン酸単位の含有量としては、25モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸から誘導される単位を、溶融成形が可能な範囲内で含んでいてもよい。
【0013】
また、本発明において使用されるポリアミドを構成するジアミン単位(b)は、炭素数6〜18の脂肪族ジアミン単位を50〜100モル%含有する。ジアミン単位(b)における、炭素数6〜18の脂肪族ジアミン単位の含有量は、75〜100モル%の範囲内であることが好ましく、90〜100モル%の範囲内であることがさらに好ましい。炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位の含有量が50モル%未満の場合には、得られる発泡体の耐熱性、耐水性、耐薬品性などが低下する。
炭素数6〜18の脂肪族ジアミン単位としては、例えば、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等の直鎖状脂肪族アルキレンジアミン;1−ブチル−1,2−エタンジアミン、1,1−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1−エチル−1,4−ブタンジアミン、1,2−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,4−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、3,3−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジエチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,3−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,4−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,5−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、3−メチル−1,8−オクタンジアミン、4−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、1,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,5−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,2−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の分岐鎖状脂肪族アルキレンジアミンなどから誘導される単位を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0014】
上記の脂肪族アルキレンジアミン単位の中でも、硬度、耐水性などに優れた発泡体を得る観点から、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミンから誘導される単位が好ましく、炭素数9の脂肪族ジアミン単位がより好ましく、1,9−ノナンジアミン単位および/または2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位がさらに好ましい。
【0015】
上記のジアミン単位(b)は、50モル%以下であれば、炭素数6〜18の脂肪族ジアミン単位以外の他のジアミン単位を含んでいてもよい。該他のジアミン単位としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン等の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン等の脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンなどから誘導される単位を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらの他のジアミン単位の含有量としては、25モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。
【0016】
本発明において使用されるポリアミドは、その分子鎖の末端基の10%以上が末端封止剤により封止されていることが好ましい。分子鎖の末端基が末端封止剤により封止されている割合(末端封止率)としては、40%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましい。末端封止率が10%以上のポリアミドを用いると、耐熱性などがより優れた発泡体が得られる。
【0017】
ポリアミドの末端封止率は、ポリアミドに存在している末端のカルボキシル基、末端のアミノ基および末端封止剤によって封止された末端基の数をそれぞれ測定し、下記の式(1)に従って求めることができる。各末端基の数は、1H−NMRにより、各末端基に対応する特性シグナルの積分値より求めるのが精度、簡便さの点から好ましい。
【0018】
末端封止率(%)=[(A−B)/A]×100 (1)
〔式中、Aは分子鎖の末端基の総数(これは通常、ポリアミド分子の数の2倍に等しい)を表し、Bは封止されずに残った末端カルボキシル基および末端アミノ基の合計数を表す。〕
【0019】
末端封止剤としては、ポリアミド末端のアミノ基またはカルボキシル基との反応性を有する単官能性の化合物であれば特に制限はないが、反応性および封止末端の安定性などの点から、モノカルボン酸またはモノアミンが好ましく、取扱いの容易さなどの点から、モノカルボン酸がより好ましい。その他、酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類などを使用することもできる。
【0020】
末端封止剤として使用されるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;これらの任意の混合物などを挙げることができる。これらのなかでも、反応性、封止末端の安定性、価格などの点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸が好ましい。
【0021】
また、末端封止剤として使用されるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン;これらの任意の混合物などを挙げることができる。これらのなかでも、反応性、高沸点、封止末端の安定性および価格などの点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリンが好ましい。
【0022】
本発明において使用されるポリアミドは、結晶性ポリアミドを製造する方法として知られている任意の方法を用いて製造することができる。例えば、酸クロライドとジアミンを原料とする溶液重合法または界面重合法、ジカルボン酸とジアミンを原料とする溶融重合法、固相重合法などの方法により製造することができる。
【0023】
ポリアミドは、例えば、最初にジアミン、ジカルボン酸、触媒および必要に応じて末端封止剤を一括して添加してナイロン塩を製造した後、200〜250℃の温度において加熱重合して濃硫酸中30℃における極限粘度〔η〕が0.1〜0.6dl/gのプレポリマーとし、さらに固相重合するか、または溶融押出機を用いて重合することにより製造することができる。重合の最終段階を固相重合により行う場合、減圧下または不活性ガス流通下に行うことが好ましい。このときの重合温度としては、200〜280℃の範囲内が好ましい。また、重合の最終段階を溶融押出機により行う場合の重合温度としては、370℃以下であることが好ましい。
【0024】
ポリアミドを製造するに際して、前記の末端封止剤の他に、例えば、触媒として、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、それらの塩またはエステルなどを添加することができる。上記の塩またはエステルとしては、リン酸、亜リン酸または次亜リン酸とカリウム、ナトリウム、マグネシウム、バナジウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、タングステン、ゲルマニウム、チタン、アンチモン等の金属との塩;リン酸、亜リン酸または次亜リン酸のアンモニウム塩;リン酸、亜リン酸または次亜リン酸のエチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、イソデシルエステル、オクタデシルエステル、デシルエステル、ステアリルエステル、フェニルエステルなどが挙げられる。
【0025】
本発明に用いられるポリアミドは、濃硫酸中30℃の条件下で測定した極限粘度〔η〕が、0.4〜3.0dl/gであることが好ましく、0.6〜2.0dl/gであることがより好ましく、0.8〜1.8dl/gであることがさらに好ましい。
【0026】
本発明に用いられるポリアミド発泡体は、上記で説明したポリアミドを発泡させることにより得られ、密度が0.4〜0.95g/cm、気泡サイズが20〜200μmおよび硬度(JIS−C硬度)が93以上であることを満足する。
【0027】
密度が0.4g/cm3より小さいと、発泡体が柔らかくなり過ぎるため、研磨パッドとして使用した場合、研磨後の物品の被研磨面の平坦性が低下し、また研磨効率が低下する。一方、密度が0.95g/cm3より大きいと、研磨効率が低下する。ポリアミド発泡体の密度は、被研磨面の平坦性の点から0.6〜0.9g/cm3の範囲内であることがより好ましい。
【0028】
また、気泡サイズが20μmより小さいと、研磨剤(砥粒)が気泡に詰まりやすいため研磨効率が低下し、スクラッチ傷等の研磨不良が起こりやすくなり、200μmより大きいと発泡体の表面平滑性が悪くなるため、研磨剤(砥粒)の局在化、スクラッチ傷、オレンジピール傷等の研磨不良が起こりやすくなる。ポリアミド発泡体の気泡サイズは、研磨剤(砥粒)の保持性の点から50〜150μmの範囲内であることがより好ましい。
【0029】
また、硬度が93(JIS C硬度)より小さいと研磨効率が十分ではなく、本発明の目的が達成されない。ポリアミド発泡体の硬度は、研磨効率の点から95(JIS C硬度)以上であることが好ましく、97(JIS C硬度)以上であることがより好ましい。
【0030】
本発明においてポリアミドを発泡させるために種々の発泡剤が使用可能であるが、前記したポリアミドの軟化温度以上の温度における安定性の点から非反応性ガスを用いるのが適している。
本発明における非反応性ガスとは、ポリアミドと反応しない気体であって、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム等のガスが挙げられる。これらのうちでも、ポリアミドへの溶解性および発泡体の製造コストの点から、二酸化炭素または窒素が好ましい。
【0031】
本発明に用いられるポリアミド発泡体は、上記したポリアミドに上記の非反応性ガスを加圧条件下で溶解した後、圧力を開放し、前記ポリアミドの軟化温度以上の温度で発泡させることにより製造することができる。非反応性ガスの溶解量は、均一な発泡構造を有する発泡体を得る観点から、溶解条件下における飽和量であることが望ましい。
【0032】
非反応性ガスを溶解するポリアミドとしてシート状成形体を用いると、均一な発泡構造を有する発泡体の製造が容易である点、研磨パッドとする際の工程が簡素化できる点などにおいて有利である。該シート状成形体としては、ポリアミドを一軸押出成形機、二軸押出成形機等の押出成形機または射出成形機を用いて成形したものが好ましい。シート状成形体の厚さは、発泡体の製造しやすさおよび非反応性ガスの溶解に要する時間の観点から0.8〜5mmの範囲内であることが好ましい。
【0033】
本発明におけるポリアミド発泡体は、圧力が5〜20MPaの範囲内、温度が80〜200℃の範囲内に調整された耐圧容器内において、ポリアミド成形体に非反応性ガスを溶解させ、ポリアミドの軟化温度より低い温度で圧力を開放し、次いで得られた成形体をポリアミドの軟化温度以上の温度に加熱して発泡させることにより製造することができる〔製造方法1〕。
【0034】
ポリアミドの組成にもよるが、生成する気泡のサイズは、非反応性ガスの溶解量に依存する。非反応性ガスの溶解量は溶解時の圧力および温度により調整できる。非反応性ガスの圧力が5MPa未満の場合は、非反応性ガスをポリアミド成形体に飽和量溶解するのに長時間を要する。一方、非反応性ガスの圧力が20MPaを越える場合、非反応性ガスの溶解に要する時間は短くなるが、溶解するガスの量が必要以上に多くなり、生成する気泡のサイズが著しく小さくなる。非反応性ガスの溶解時の圧力は、8〜18MPaの範囲内であることが好ましい。
また、非反応性ガスの溶解時の温度が80℃未満の場合は、非反応性ガスをポリアミド成形体に飽和量溶解するのに長時間を要する。一方、非反応性ガスの溶解時の温度が200℃を越える場合は、圧力開放時に部分的に発泡を生じたり、非反応性ガスの溶解量が著しく少なくなって、生成する気泡サイズが大きくなり過ぎる。非反応性ガスの溶解時の温度は、100〜180℃の範囲内であることが好ましい。
【0035】
非反応性ガスを溶解した成形体において、圧力を開放した後の加熱温度がポリアミドの軟化温度未満の場合には、気泡の生成や成長が不十分となる。非反応性ガスを溶解した成形体を加熱する温度は、生成する気泡のサイズおよび発泡体の強度の点から、200〜280℃の範囲内であることが好ましい。加熱発泡方法には制限はないが、非反応性ガスを溶解した成形体に熱が均一にかかる方法が、発泡構造の均一性確保の点で好ましい。加熱発泡方法としては、例えば、熱オイルバス、熱風、水蒸気等の熱媒中を通過させる方法などが挙げられる。
【0036】
また、本発明におけるポリアミド発泡体は、圧力が10〜30MPaの範囲内、温度が200〜280℃の範囲内に調整された耐圧容器内において、ポリアミド成形体に、非反応性ガスを溶解させ、加圧状態から大気圧へ圧力を開放して発泡させることによっても製造することができる〔製造方法2〕。
【0037】
ポリアミドの組成にもよるが、生成する気泡のサイズは、非反応性ガスの溶解量に依存する。非反応性ガスの溶解量は溶解時の圧力および温度により調整できる。非反応性ガスの溶解時の圧力が10MPa未満の場合は、非反応性ガスをポリアミド成形体に飽和量溶解するのに長時間を要する。一方、非反応性ガスの溶解時の圧力が30MPaを越える場合、非反応性ガスの溶解に要する時間は短くなるが、溶解するガス量が必要以上に多くなり、生成する気泡のサイズが著しく小さくなる。非反応性ガスの溶解時の圧力は、12〜28MPaの範囲内であることが好ましい。また、非反応性ガスを溶解させ、圧力を開放して発泡させる際の温度が200℃未満の場合は、非反応性ガスをポリアミド成形体に飽和量溶解させるのに長時間を費やし、しかも気泡の生成や成長が十分でない。一方、該温度が280℃を越える場合は、生成する気泡のサイズがばらつき、しかも得られる発泡シート体が変形する。発泡時の温度は、210〜260℃の範囲内であることが好ましい。
【0038】
また、本発明におけるポリアミド発泡体は、溶融状態のポリアミドに、非反応性ガスを加圧下で溶解させた後、押出成形または射出成形することによっても製造することができる〔製造方法3〕。
【0039】
この時、該ポリアミドを溶融させる温度は170〜330℃の範囲内であることが好ましい。ポリアミドを溶融させる温度が170℃に満たない場合は、実質的な可塑性が得られず、押出機シリンダー内部におけるスクリュー混練によるポリアミドの融液化が困難となる場合がある。一方、該ポリアミドを溶融させる温度が330℃を越える場合は、分解ガスが発生し、均一な発泡構造を有する発泡体が得られ難くなる場合がある。ポリアミドを溶融させる温度は180〜310℃の範囲内であることが好ましい。
【0040】
また、非反応性ガスを溶融状態のポリアミド中に溶解させる時の圧力は3〜20MPaの範囲内であることが好ましく、5〜18MPaの範囲内であることがより好ましい。非反応性ガスを溶解させる時の圧力が3MPaに満たない場合は、溶融状態のポリアミド中への非反応性ガスの溶解量が少なくなり、実質的に発泡体を得ることが難しくなる傾向がある。一方、非反応性ガスを溶解させる時の圧力が20MPaを越える場合には、得られる発泡体の気泡サイズが過度に小さくなる場合がある。
【0041】
ポリアミド発泡体を押出成形により製造する場合、押出シリンダー内部で溶融状態のポリアミドと非反応性ガスとが混合され、押出シリンダー内部およびダイ内部では未発泡状態が保持されており、ダイ出口から大気圧中に押出されることにより発泡が生じるようにすることが重要である。押出シリンダー内部またはダイ内部で発泡すると、気泡サイズが大きくなり、均一で微細な発泡体を製造することが困難となる。したがって、非反応性ガスは押出シリンダー中、好ましくは押出シリンダー中央部から注入され、注入された部分からダイ出口でポリアミドが大気中に押出されるまでの行程においては、発泡の生じない圧力が保たれていることが重要である。非反応性ガスが注入された部分からダイ出口までの圧力は、3〜20MPaの範囲内に保たれることが好ましい。
また、ポリアミドがダイから押出される時、非反応性ガスが溶解した溶融状態のポリアミドの粘度が低い場合には、気泡が巨大化したり破泡を生じたりする。均一で微細な発泡構造を有する発泡体を得るためには、非反応性ガスが溶解した溶融状態のポリアミドを実質的に押出しすることが可能な条件を採用するのが好ましい。
【0042】
ポリアミド発泡体はT−ダイ法、インフレーション法、異形押出法、チューブ押出法などの一般的な押出成形法により製造することができる。中でも、T−ダイ法が厚さの均一なシート状の発泡体が得られ易いため好ましい。
【0043】
また、ポリアミド発泡体を射出成形法で製造する場合、射出シリンダー内部で発泡が生じると、気泡サイズが大きくなり、均一で微細な発泡体を製造することが困難となる。従って、非反応性ガスは射出シリンダー中、好ましくは射出シリンダー中央部から注入され、注入された部分から射出ノズルまでの行程においては、発泡を生じない圧力に保たれることが重要である。非反応性ガスが注入された部分から射出ノズルまでの圧力は、3〜20MPaの範囲内に保たれることが好ましい。
【0044】
非反応性ガスを溶解した溶融状態のポリアミドを射出成形する際、
▲1▼低速(射出中に圧力が発泡可能な圧力まで低下する射出速度)条件で射出することにより射出と同時に金型内部で発泡体を得る方法;
▲2▼高速(射出中には発泡が生じない圧力が維持される射出速度)条件で射出し、圧力を保持したまま冷却することにより発泡の生じていない成形体を製造した後、該成形体をポリアミドの軟化温度以上の温度で加熱処理することにより発泡を生じさせ発泡体を得る方法;
などを採用することができる。
これらのなかでも特に均一な発泡構造を有する発泡体が得られ易い点から、高速条件で射出して得られる無発泡成形体を加熱処理して発泡させる方法で製造することがより好ましい。
【0045】
本発明の研磨パッドは、上記のようにして製造されたポリアミド発泡体を、その表面に気泡が露出するように研削あるいはスライスして製造される。また、得られた研磨パッドに対し、さらに所定の形状に整える、表面加工を施す、クッション層となる素材と積層する等の加工を施すこともできる。
【0046】
本発明の研磨パッドは、それ自体公知の研磨スラリーと共に、ケミカルメカニカル研磨(Chemical Mechanical Polishing、以下CMPと略称することがある)に使用することができる。研磨スラリーは、例えば、水やオイル等の液状媒体;酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素等の研磨材;塩基、酸、界面活性剤などの成分を含有している。また、CMPを行うに際し、必要に応じ、研磨スラリーと共に、潤滑油、冷却剤などを併用してもよい。
【0047】
CMPは、公知のCMP用装置を使用し、研磨スラリーを介して被研磨面と研磨パッドを、加圧下、一定速度で、一定時間接触させることによって実施することができる。研磨の対象となる物品には特に制限はないが、例えば、水晶、シリコン、ガラス、光学基板、電子回路基板、多層配線基板、ハードディスクなどが挙げられる。
【0048】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例に記したポリアミド発泡体の物性評価は次の方法で実施した。
【0049】
《発泡体の密度》
JIS K 7112に準拠して、シート状発泡体の密度を測定した。
【0050】
《発泡体の気泡サイズ》
発泡体の断面を走査型電子顕微鏡により写真撮影し、写真上で測定されたサイズと撮影時の倍率から計算して平均気泡サイズを計算した。
【0051】
《硬度》
ポリアミドの硬度は、厚さ2mmの射出成形シートを作製し、JIS−D硬度をJIS K 7311に準じて測定した。また、ポリアミド発泡体の硬度は、JIS−C硬度をJIS K 7311に準じて測定した。
【0052】
《極限粘度》
濃硫酸中30℃にて、0.05、0.10、0.20、0.40g/dlの濃度において固有粘度を測定し、これを濃度0に外挿した値を極限粘度とした。なお、固有粘度は[ln(t/t)]/cの式に従って求めた。(式中tは溶媒の流下時間(秒)を表し、tは試料溶液の流下時間(秒)を表し、cは溶液中の試料濃度(g/dl)を表す。)
【0053】
参考例1
テレフタル酸16.37kg(98.5モル)、イソフタル酸16.37kg(98.5モル)、1,9−ノナンジアミン26.92kg(170モル)、2−メチル−1,8−オクタンジアミン4.74(30モル)、安息香酸0.73kg(6モル)、亜リン酸65gおよび蒸留水60リットルを内容積200リットルのオートクレーブに入れた後、圧力容器を窒素置換した。次に100℃で30分攪拌し、2時間かけて内部温度を210℃に昇温した。そのまま1時間反応を続けた後、230℃に昇温し、その後2時間、230℃に温度を保ち、水蒸気を徐々に抜いて圧力を2.2Maに保ちながら反応させた。次に、30分かけて圧力を1Maまで下げ、更に1時間反応させることにより極限粘度0.25dl/gの低次縮合物を得た。得られた低次縮合物を減圧式反応容器に仕込み、280℃、13.3Paにて10時間溶融重合して極限粘度1.28dl/g、硬度(JIS−D硬度)80のポリアミド樹脂(以下PA−1と略称する)を製造した。
【0054】
参考例2
テレフタル酸32.73kg(197モル)、1,9−ノナンジアミン26.92kg(170モル)、2−メチル−1,8−オクタンジアミン4.74(30モル)、安息香酸0.73kg(6モル)、亜リン酸65gおよび蒸留水60リットルを内容積200リットルのオートクレーブに窒素置換した。100℃で30分攪拌し、2時間かけて内部温度を210℃に昇温した。そのまま1時間反応を続けた後、230℃に昇温し、その後2時間、230℃に温度を保ち、水蒸気を徐々に抜いて圧力を2.2MPaに保ちながら反応させた。次に、30分かけて圧力を1MPaまで下げ、更に1時間反応させることにより極限粘度0.25dl/gの低次縮合物を得た。得られた低次縮合物を2mm以下に粉砕して、100℃、減圧下で12時間乾燥し、これをタンブラー式固相重合装置を用いて、230℃、13.3Paにて10時間固相重合して極限粘度1.28dl/g、硬度(JIS−D硬度)80のポリアミド樹脂(以下PA−2と略称する)を製造した。
【0055】
参考例3
テレフタル酸22.91kg(138モル)、イソフタル酸9.82kg(59モル)、1,9−ノナンジアミン26.92kg(170モル)、2−メチル−1,8−オクタンジアミン4.74(30モル)、安息香酸0.73kg(6モル)、亜リン酸65gおよび蒸留水60リットルを内容積200リットルのオートクレーブに窒素置換した。100℃で30分攪拌し、2時間かけて内部温度を210℃に昇温した。そのまま1時間反応を続けた後、230℃に昇温し、その後2時間、230℃に温度を保ち、水蒸気を徐々に抜いて圧力を2.2MPaに保ちながら反応させた。次に、30分かけて圧力を1MPaまで下げ、更に1時間反応させることにより極限粘度0.28dl/gの低次縮合物を得た。得られた低次縮合物を100℃、減圧下で12時間乾燥し、二軸押出機〔スクリュー径40mm、L/D=28、バレル温度310/320/330/330/330/330/330/330℃、第7ゾーンは減圧(1330Pa)ベント、回転数60rpm〕に10kg/時の速度で供給して溶融重縮合を行い、極限粘度1.35dl/g、硬度(JIS−D硬度)78のポリアミド樹脂(以下PA−3と略称する)を製造した。
【0056】
参考例4
テレフタル酸13.09kg(79モル)、アゼライン酸21.00kg(118モル)、1,9−ノナンジアミン26.92kg(170モル)、2−メチル−1,8−オクタンジアミン4.74(30モル)、安息香酸0.73kg(6モル)、亜リン酸65gおよび蒸留水60リットルを内容積200リットルのオートクレーブに窒素置換した。100℃で30分攪拌し、2時間かけて内部温度を210℃に昇温した。そのまま1時間反応を続けた後、230℃に昇温し、その後2時間、230℃に温度を保ち、水蒸気を徐々に抜いて圧力を2.2MPaに保ちながら反応させた。次に、30分かけて圧力を1MPaまで下げ、更に1時間反応させることにより極限粘度0.32dl/gの低次縮合物を得た。得られた低次縮合物を100℃、減圧下で12時間乾燥し、二軸押出機〔スクリュー径40mm、L/D=28、バレル温度310/320/330/330/330/330/330/330℃、第7ゾーンは減圧(1330Pa)ベント、回転数60rpm〕に10kg/時の速度で供給して溶融重縮合を行い、極限粘度1.45dl/g、硬度(JIS−D硬度)73のポリアミド樹脂(以下PA−4と略称する)を製造した。
【0057】
実施例1
上記で得られたポリアミド(PA−1)を単軸押出成形機(65mmφ)に仕込み、シリンダー温度270〜290℃、ダイス温度290℃にて、T−ダイより押出し、60℃に調温したギャップ間隔1.8mmのロールを通過させて厚さ2mmのシートを成形した。次に、得られたシート(5cm×10cm)を耐圧容器に入れ、温度150℃、圧力15Maの条件下で10時間二酸化炭素を溶解させ、二酸化炭素を飽和量溶解させてなるガス溶解シートを得た。室温まで冷却した後、圧力を常圧とし、ガス溶解シートを耐圧容器から取り出した。次に、得られたガス溶解シートを240℃のシリコンオイル中に3分間浸漬した後に取り出し、室温まで冷却して発泡体を得た。得られた発泡体の密度は0.85g/cm、気泡サイズは20〜60μm、硬度(JIS−C硬度)が99であった。
得られた発泡体(シート状物)の表面を研削し、気泡を表面に露出させて、研磨パッドとした。
【0058】
実施例2
上記で得られたポリアミド(PA−1)を射出成形機に仕込み、シリンダー温度260〜290℃、ノズル温度290℃、金型温度120℃で、厚さ2mmのシートを成形した。次に得られたシート(5cm×10cm)を耐圧容器に入れ、温度140℃、圧力15MPaの条件下で10時間二酸化炭素を溶解させ、二酸化炭素を飽和量溶解させてなるガス溶解シートを得た。室温まで冷却した後、圧力を常圧とし、ガス溶解シートを耐圧容器から取り出した。次に、得られたガス溶解シートを240℃のシリコンオイル中に4分間浸漬した後に取り出し、室温まで冷却して発泡体を得た。得られた発泡体の密度は0.87g/cm、気泡サイズは50〜90μm、硬度(JIS−C硬度)は96であった。
得られた発泡体(シート状物)の表面を研削し、気泡を表面に露出させて、研磨パッドとした。
【0059】
比較例1
上記得られたポリアミド(PA−4)を単軸押出成形機(65mmφ)に仕込み、シリンダー温度260〜290℃、ダイス温度290℃にて、T−ダイより押出し、60℃に調温したギャップ間隔1.8mmのロールを通過させて厚さ2mmのシートを成形した。次に、得られたシート(5cm×10cm)を耐圧容器に入れ、温度150℃、圧力15Maの条件下で5時間炭酸ガスを溶解させ、二酸化炭素を飽和量溶解させてなるガス溶解シートを得た。室温まで冷却した後、圧力を常圧とし、ガス溶解シートを耐圧容器から取り出した。次に、得られたガス溶解シートを240℃のシリコンオイル中に3分間浸漬した後に取り出し、室温まで冷却して発泡体を得た。得られた発泡体の密度は0.80g/cm、気泡サイズは20〜40μm、硬度(JIS−C硬度)が89であった。
【0060】
実施例3
ポリアミド(PA−2)を二軸同方向押出機(48mmφ)に供給し、シリンダー温度310〜330℃で溶融するのと同時にシリンダー中間部より二酸化炭素を圧力15MPaで注入し、混練後、290℃に調温された40cm幅のT−ダイより押出し、60℃に調温したギャップ間隔1.8mmのロールを通過させて、成形と同時に発泡を行い、厚さ2mmの発泡シートを製造した。この際のシートの引き取り速度は0.5m/分であった。得られた発泡体の密度は0.88g/cm、気泡サイズは20〜60μm、硬度(JIS−C硬度)は99であった。
得られた発泡体(シート状物)の表面を研削し、気泡を表面に露出させて、研磨パッドとした。
【0061】
実施例4
ポリアミド(PA−3)を二軸同方向押出機(48mmφ)に供給し、シリンダー温度260〜290℃で溶融するのと同時にシリンダー中間部より二酸化炭素を圧力10MPaで注入し、混練後、240℃に調温された40cm幅のT−ダイより押出し、60℃に調温したギャップ間隔1.8mmのロールを通過させて、成形と同時に発泡を行い、厚さ2mmの発泡シートを製造した。この際のシートの引き取り速度は0.5m/分であった。得られた発泡体の密度は0.85g/cm、気泡サイズは40〜80μm、硬度(JIS−C硬度)は97であった。
得られた発泡体(シート状物)の表面を研削し、気泡を表面に露出させて、研磨パッドとした。
【0062】
実施例5
ポリアミド(PA−3)を射出成形機に供給し、シリンダー温度260〜290℃で溶融するのと同時にシリンダー中間部より二酸化炭素を圧力10MPaで注入、混練した後、50℃に調温された金型中に40cm3/秒の充填速度(充填時間:1.25秒)で注型し、室温まで冷却した後、金型を開放して、厚さ2mmの未発泡シートを製造した。次に得られたシートを240℃のシリコンオイル中に3分間浸漬した後、室温まで冷却して発泡体を得た。得られた発泡体の密度は0.86g/cm、気泡サイズは50〜90μm、硬度(JIS−C硬度)は96であった。
【0063】
比較例2
ポリアミド(PA−4)を二軸同方向押出機(48mmφ)に供給し、シリンダー温度260〜290℃で溶融するのと同時にシリンダー中間部より二酸化炭素を圧力15MPaで注入し、混練後、180℃に調温された40cm幅のT−ダイより押出し、60℃に調温したギャップ間隔1.8mmのロールを通過させて、成形と同時に発泡を行い、厚さ2mmの発泡シートを製造した。この際のシートの引き取り速度は0.5m/分であった。得られた発泡体の密度は0.86g/cm、気泡サイズは20〜40μm、硬度(JIS−C硬度)は89であった。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、均一な発泡構造を有するポリアミド発泡体よりなる研磨パッドが提供される。本発明の研磨パッドは、ケミカルメカニカル研磨に有用であり、半導体ウェハー等を高精度に、かつ高効率に研磨することを目的として使用することができる。本発明の研磨パッドは、特に、被研磨面の平坦性、平坦化効率の向上が達成でき、かつ使用時間を従来のものより延長することができる。

Claims (6)

  1. テレフタル酸単位を50〜100モル%含有するジカルボン酸単位(a)と、炭素数6〜18の脂肪族ジアミン単位を50〜100モル%含有するジアミン単位(b)とからなるポリアミドから構成され、密度が0.4〜0.95g/cm、気泡サイズが20〜200μm、硬度(JIS−C硬度)が93以上であるポリアミド発泡体よりなる研磨パッド
  2. テレフタル酸単位を50〜100モル%含有するジカルボン酸単位(a)と、炭素数6〜18の脂肪族ジアミン単位を50〜100モル%含有するジアミン単位(b)とからなるポリアミドに非反応性ガスを加圧条件下で溶解させた後、圧力を開放し、該ポリアミドを軟化温度以上の温度で発泡させて得られる、密度が0.4〜0.95g/cm、気泡サイズが20〜200μmであるポリアミド発泡体よりなる研磨パッド
  3. 非反応性ガスを溶解するポリアミドがシート状成形体であることを特徴とする請求項2に記載の研磨パッド
  4. 非反応性ガスを溶解するポリアミドが溶融状態のポリアミドであることを特徴とする請求項2に記載の研磨パッド
  5. 非反応性ガスが二酸化炭素または窒素である請求項2〜4のいずれか1項に記載の研磨パッド
  6. 炭素数6〜18の脂肪族ジアミン単位が主として炭素数9の脂肪族ジアミン単位である請求項1〜5のいずれか1項に記載の研磨パッド。
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