JP4474208B2 - 樹脂発泡体およびそれからなる研磨パッド - Google Patents

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Description

本発明は、均一性の高い発泡構造を有する樹脂発泡体及び該発泡体よりなる研磨パッドに関する。本発明の研磨パッドは、半導体ウェハー等を精度良くかつ高効率に研磨する用途に特に有用である。
集積回路を形成するための基材として使用される半導体ウェハーの鏡面加工に用いられる研磨パッドとしては、一般的に、ベロア調やスエード調などの繊維と樹脂の複合材料、あるいは熱可塑性ポリウレタン樹脂を不織布に含浸させ、湿式凝固させてなる、圧縮変形特性が大きく、比較的柔軟なシートが多用されてきた。
近年、半導体ウェハーは、半導体素子(装置)等の高集積化、多層配線化に伴う一層の高平坦化等の品質向上に加え、低価格化の要求が増々高まっている。それに伴い、半導体ウェハーを研磨する研磨パッドに対しても従来以上の平坦化を可能にする等の高機能化が求められ、さらに長時間使用可能なことが要求されている。
従来の、比較的柔軟性の高い不織布タイプの研磨パッドは、半導体ウェハーとの接触性が良く、研磨スラリーの保持性も良好であるが、その柔軟性のために被研磨面の平坦化を十分に達成できない。しかも、研磨スラリーや研磨屑が不織布の空隙に目詰まりし、これが原因でウェハー表面に傷を付けやすい傾向にある。また、研磨スラリーや研磨屑が目詰まりし易く、しかも空隙深くまで侵入するとその洗浄が困難であり、研磨パッドの使用時間が短いという問題点も有している。
一方、高分子発泡体を使用した研磨パッドも知られており、不織布タイプの研磨パッドに比べて剛性が高いため、半導体ウェハーの研磨等の表面の平坦化が要求される用途によく使用されている。また、高分子発泡体を使用した研磨パッドは独立気泡構造であるため、研磨スラリーや研磨屑が不織布タイプの研磨パッドのように空隙の奥まで侵入しないので、研磨パッドの洗浄が比較的容易で長時間の使用にも耐えられるものである。高分子発泡体としては、特に耐摩耗性に優れることから、発泡ポリウレタンがよく用いられている。
この研磨パッドは、通常、発泡ポリウレタンを適宜研削またはスライスすることにより製造されているが、研磨パッド用の発泡ポリウレタンとしては、従来、2液硬化型ポリウレタンを用いて注型発泡硬化することによって製造されてきた(特許文献1〜4等参照)。しかし、この方法では、反応及び発泡の均一化が困難である上、得られる発泡ポリウレタンの高硬度化にも限界があった。また、従来の発泡ポリウレタン製の研磨パッドでは、被研磨面の平坦性、平坦化効率等の研磨特性が変動することがあるが、これはもとになる発泡ポリウレタンにおける発泡構造のばらつきがその一因と考えられる。なお、近時において、例えば、非特許文献1に記載されているように、表面平坦化のための研磨パッドには、平坦化効率を高めるために、より硬度の高い研磨パッドが望まれている。
また、研磨パッドを用いて研磨する場合、研磨作業中に生じる研磨パッド表面の微細孔の目詰り及び研磨パッドの変形、磨耗等は、研磨速度、被研磨面の平坦性や均一性等を悪化させるため、ドレッシングと呼ばれる処理が不可欠であり、該ドレッシングが常時あるいは定期的に行われる。該「ドレッシング」とは、ダイヤモンド砥石を用いて研磨パッドの表面を削り取る作業であり、このドレッシング処理により、研磨能力の確保及び再現性のある研磨特性が維持される。しかしながら、このドレッシング処理により研磨パッド表面に形成されている面は、必ずしも研磨初期状態でなく発泡孔の変形やつぶれを生じ、結果として研磨特性の安定性に欠けることがある。
特開2000−178374号公報 特開2000−248034号公報 特開2001−89548号公報 特開平11−322878号公報 「CMPのサイエンス」株式会社サイエンスフォーラム、1997年8月20日発行
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、均一な発泡構造を有し、被研磨面の平坦性および平坦化効率の向上を図ることができ、しかも、研磨の作業中の硬度変化が少ない研磨パッド(特に研磨の作業中の温度変動に対して硬度変化が少ない研磨パッド)を与え得る樹脂発泡体及び該発泡体を用いた研磨パッドを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく検討を重ねた結果、特定の熱可塑性樹脂と特定のエラストマーの樹脂組成物を発泡させることにより、硬度が高く、しかも硬度の温度依存性が少なく、かつ均一で微細な発泡構造を有する樹脂発泡体が得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は、
(1)損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)が100℃以上、かつ示差走査型熱量計(DSC)で測定した結晶化エンタルピー(ΔH)が25J/g以下である熱可塑性樹脂40〜95重量%と損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)が20℃以下のエラストマー5〜60重量%とを含有する樹脂組成物からなり、密度が0.4〜0.95g/cm3、気泡サイズが1〜100μmである樹脂発泡体、
(2)損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)が100℃以上、かつ示差走査型熱量計(DSC)で測定した結晶化エンタルピー(ΔH)が25J/g以下である熱可塑性樹脂40〜95重量%と損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)が20℃以下のエラストマー5〜60重量%とを含有する樹脂組成物に非反応性ガスを加圧条件下で溶解させた後、圧力を開放し、該樹脂組成物を軟化温度以上の温度で発泡させて得られる、密度が0.4〜0.95g/cm3、気泡サイズが00μmである樹脂発泡体、
(3)非反応性ガスが二酸化炭素または窒素である上記(2)記載の樹脂発泡体、
(4)樹脂組成物は、80℃における貯蔵弾性率(E’80)が1×109dyn/cm2以上であり、かつ30℃における貯蔵弾性率(E’30)と80℃における貯蔵弾性率(E’80)の比率(E’30/E’80)が1.8以下である上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の樹脂発泡体、及び
(5)上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の樹脂発泡体からなる研磨パッド、に関する。
本発明によれば、均一な発泡構造を有し、硬度が高くかつ硬度の温度依存性が少ない樹脂発泡体及び該樹脂発泡体よりなる研磨パッドを提供できる。本発明の研磨パッドは、ケミカルメカニカル研磨に有用であり、半導体ウェハー等を高精度かつ高効率に研磨することができ、特に、被研磨面の平坦性及び平坦化効率を従来よりも向上することができ、しかも、使用時間を従来のものよりも延長することができる。
以下、本発明をより詳しく説明する。
本発明における樹脂組成物は、特定の熱可塑性樹脂と特定のエラストマーとを含む。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、特にポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂は、所望の物性を有する樹脂組成物が得られ易い素材であるために好ましい。
ポリアミド樹脂は、主にテレフタル酸単位からなるジカルボン酸単位(a)と主に脂肪族ジアミン単位からなるジアミン単位(b)とから構成されていることが好ましい。
上記したポリアミド樹脂自体は公知であり、原料の種類および使用量を適宜調整し、所望の物性を有するポリアミド樹脂を製造することができる。
上記ジカルボン酸単位(a)は、テレフタル酸単位を50〜100モル%含有することが好ましい。ジカルボン酸単位(a)におけるテレフタル酸単位の含有量は75〜100モル%の範囲内であることがより好ましく、90〜100モル%の範囲内であることがさらに好ましい。テレフタル酸単位の含有量が50モル%未満の場合には、得られる研磨材の耐熱性、耐水性、耐薬品性などが低下する場合がある。
上記ジカルボン酸単位(a)は、テレフタル酸単位以外の他のジカルボン酸単位を含んでいてもよい。該他のジカルボン酸単位としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、2,2−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸から誘導される単位を挙げることができる。該他のジカルボン酸単位は1種または2種以上を用いることができ、なかでも芳香族ジカルボン酸から誘導される単位を用いることが好ましい。該他のジカルボン酸単位の含有量としては、50モル%以下であることが好ましく、25モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下であることがさらに好ましい。さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸から誘導される単位を、溶融成形が可能な範囲内で含んでいてもよい。
また、上記ジアミン単位(b)は、炭素数6〜18の脂肪族ジアミン単位を50〜100モル%含有することが好ましい。ジアミン単位(b)における、炭素数6〜18の脂肪族ジアミン単位の含有量は、75〜100モル%の範囲内であることがより好ましく、90〜100モル%の範囲内であることがさらに好ましい。炭素数6〜18の脂肪族ジアミン単位の含有量が50モル%未満の場合には、得られる発泡体の耐熱性、耐水性、耐薬品などが低下する場合がある。
炭素数6〜18の脂肪族ジアミン単位としては、例えば、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等の直鎖状脂肪族アルキレンジアミン;1−ブチル−1,2−エタンジアミン、1,1−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1−エチル−1,4−ブタンジアミン、1,2−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,4−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、3,3−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジエチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,3−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,4−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,5−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、3−メチル−1,8−オクタンジアミン、4−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、1,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,5−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,2−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の分岐鎖状脂肪族アルキレンジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン等の脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミン等から誘導される単位を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
上記の脂肪族ジアミン単位の中でも、硬度、耐水性などに優れた発泡体を得る観点から、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン単位が好ましい。
本発明において使用されるポリアミド樹脂は、ポリアミドを製造する方法として知られている任意の方法を用いて製造することができる。例えば、酸クロライドとジアミンを原料とする溶液重合法または界面重合法、ジカルボン酸とジアミンを原料とする溶融重合法、固相重合法などの方法により製造することができる。
また、上記ポリウレタン樹脂は、高分子ジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させることにより得られる。
高分子ジオールとしては、例えば、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。これらの高分子ジオールは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でもポリエーテルジオールを使用することが好ましい。
ポリエーテルジオールとしては、例えば、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(テトラメチレングリコール)、ポリ(メチルテトラメチレングリコール)などが挙げられる。これらのポリエーテルジオールは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリ(テトラメチレングリコール)を使用することが好ましい。
ポリエステルジオールは、例えば、常法に従い、ジカルボン酸またはそのエステル、無水物などのエステル形成性誘導体と低分子ジオールとを直接エステル化反応またはエステル交換反応させることにより製造することができる。
ポリエステルジオールを構成するジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸等の炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。これらのジカルボン酸は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリエステルジオールを構成する低分子ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオールなどを挙げることができる。これらの低分子ジオールは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリカーボネートジオールとしては、低分子ジオールとジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネートなどのカーボネート化合物との反応により得られるものを使用できる。ポリカーボネートジオールを構成する低分子ジオールとしては、ポリエステルジオールの構成成分として先に例示した低分子ジオールを用いることができる。また、ジアルキルカーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどが挙げられる。さらに、アルキレンカーボネートとしてはエチレンカーボネートなどが挙げられる。
高分子ジオールの数平均分子量は400〜3600の範囲内にあることが好ましい。数平均分子量が400未満の場合、これを用いて得られる研磨パッドの粘弾性特性が大きく、脆くなり、被研磨面の表面のスクラッチ発生原因になることがある。一方、数平均分子量が3600を超える場合、これを用いて得られる研磨パッドは柔らかくなり被研磨面の平坦性が得られにくくなる。数平均分子量が1000〜2500の範囲内にあることが粘弾性特性の点からより好ましい。なお、本明細書でいう高分子ジオールの数平均分子量は、いずれもJIS K 1557に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量を意味する。
本発明におけるポリウレタン樹脂の製造に用いられる有機ジイソシアネートとしては、通常の熱可塑性ポリウレタンの製造に従来から用いられている公知の有機ジイソシアネートのいずれを使用してもよく、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどを挙げることができる。これらの有機ジイソシアネートは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが、得られるポリウレタン発泡体の耐摩耗性などの点から好ましい。
本発明におけるポリウレタン樹脂の製造に用いられる鎖伸長剤としては、通常の熱可塑性ポリウレタンの製造に従来から使用されている公知の鎖伸長剤のいずれを使用してもよいが、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有する分子量300以下の低分子化合物を使用することが好ましく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,9−ノナンジオール等のジオール類などが挙げられる。これらの鎖伸長剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明におけるポリウレタン樹脂は、上記の高分子ポリオール、有機イソシアナート化合物および鎖伸長剤を反応させて得ることができ、その製造方法は、特に制限されず、前記の3成分を使用し、公知のウレタン化反応を利用して、プレポリマー法およびワンショット法のいずれの方法で製造してもよい。その中でも、実質的に溶剤の不存在下に溶融重合することが好ましく、多軸スクリュー型押出機を用いて連続溶融重合することがより好ましい。
ポリウレタン樹脂を構成する上記の各成分の混合比率は、ポリウレタンに付与すべき物性、耐摩耗性などを考慮して適宜決定されるが、高分子ポリオールに含まれる水酸基および多官能鎖伸長剤に含まれる活性水素原子の合計1モルに対して、多官能有機ジイソシアネートに含まれるイソシアネート基が0.95〜1.3モルとなる割合で各成分を使用することが好ましい。イソシアネート基の割合が上記の範囲より低いと、得られる研磨材の機械的強度および耐摩耗性が低下し、上記の範囲より高いとポリウレタン系樹脂の生産性、保存安定性が低下する傾向がある。
また、上記の各成分の混合比率は、イソシアネート基由来の窒素原子の含有率が5重量%以上になるように設定することが好ましい。研磨材の硬度および耐摩耗性の観点から、イソシアネート基由来の窒素原子の含有率が6重量%以上になるように設定してポリウレタン系樹脂を製造することがより好ましく、6.2〜8重量%の範囲内となるように設定してポリウレタン樹脂を製造することがさらに好ましい。イソシアネート基由来の窒素原子の含有率が5重量%未満であるポリウレタンを用いた場合には、ポリウレタン自体の硬度が低過ぎるため、所望とする研磨パッドを得ることが困難となる場合がある。
本発明において、熱可塑性樹脂は損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)が100℃以上であることが重要である。損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)が100℃以上の熱可塑性樹脂を使用することで、研磨の作業中の温度変動に対して硬度変化が少ない発泡体を得ることができる。なお、熱可塑性樹脂は損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)が120℃以上であるものが好ましく、該ピーク温度(Tα)が120℃以上の熱可塑性樹脂を使用することでより好ましい結果が得られる。ただし、該ピーク温度(Tα)が230℃を超える熱可塑性樹脂を使用すると、非反応性ガスが十分に溶解せず、気泡サイズのばらつきを生じ、均一な発泡構造を有する発泡体が得られない場合がある。従って、熱可塑性樹脂は損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)が100〜230℃の範囲のものが好ましく、120〜170℃の範囲内のものがより好ましい。
また、本発明において、熱可塑性樹脂は、示差走査型熱量計(DSC)で測定した結晶化エンタルピー(ΔH)が25J/g以下であることが重要である。該示差走査型熱量計(DSC)で測定した結晶化エンタルピー(ΔH)が25J/g以下の熱可塑性樹脂を使用することで、内部に欠陥部(巨大気泡や亀裂)がない、均一な発泡構造を有する発泡体が容易に得られる。なお、熱可塑性樹脂は示差走査型熱量計(DSC)で測定した結晶化エンタルピー(ΔH)が0〜20J/gの範囲のものが好ましく、該結晶化エンタルピー(ΔH)が0〜15J/gの範囲のものがより好ましい。
損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)とは、主にこの温度以上になると貯蔵弾性率(E’)が急激に低下(硬さが軟化)してくる温度を表し、当該ピーク温度(Tα)が100℃以上の熱可塑性樹脂は、温度が100℃までは硬度変化が殆どみられないことが特徴的である。また、熱可塑性樹脂の示差走査型熱量計(DSC)で測定した結晶化ンタルピー(ΔH)とは、熱可塑性樹脂中の結晶部分が溶解する際に吸収される熱量である。該結晶化エンタルピー(ΔH)が25J/g以下の熱可塑性樹脂は、それを用いた樹脂組成物の発泡化を行う際に、短時間に均一に樹脂組物の軟化を行うことが可能である。そのため、より均一な発泡構造を有した発泡体を得ることができる。一方、該結晶化エンタルピーが25J/gより大きい場合には、そのような熱可塑性樹脂を用いた樹脂組成物の発泡化を行う際により長い加熱時間を必要とするため、樹脂組成物中で温度分布にムラが生じ、軟化が不均一となり、また、シートからのガス抜けが起り、均一な発泡構造を有した発泡体を得ることが困難となる。また、このような問題を解決しようとして、より高い温度で発泡化を行おうとすると、巨大気泡や亀裂が生じやすくなる。
本発明において使用される熱可塑性樹脂は、損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)が100℃以上で、かつ、示差走査型熱量計(DSC)で測定した結晶化エンタルピー(ΔH)が25J/g以下であれば、いかなる製法によって製造されたものであってもよい。また、市販品をそのまま用いることも可能である(例えば、ダイセル・デクサ社製、商品名トロガミドT5000(ポリアミド樹脂)等)。
本発明で用いる樹脂組成物における他の成分であるエラストマーとしては、例えば、ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー、スチレンエラストマー、ポリエステルエラストマー、オレフィンエラストマーなどが挙げられる。中でも、ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマーは所望の物性を有する樹脂組成物が得られる素材であるために好ましい。
ポリアミドエラストマーとしては、損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)が20℃以下のものであればよく、該ピーク温度を有するものであれば、公知のポリアミドエラストマーを制限なく使用することができる。該ポリアミドエラストマーの具体例としては、例えば、ポリアミドからなるハードセグメントと、ポリエーテル、ポリエステル又はポリエステルポリエーテルなどからなるソフトセグメントから構成される共重合体などを挙げることができる。
ポリアミドエラストマーを構成するポリアミドセグメントとしては、例えば、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などの炭素数が6以上のアミノカルボン酸から誘導されるセグメント;カプロラクタム、ラウリロラクタム、などのラクタムから誘導されるセグメント;エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、シクロヘキサンジアミンなどのジアミン成分と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などのジカルボン酸成分から誘導されるセグメントを挙げることができる。
ポリアミドエラストマーを構成するポリエーテルセグメントとしては、例えば、ポリメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコールなどのセグメントを挙げることができる。
ポリアミドエラストマーを構成するポリエステルセグメントとしては、例えば、ω−オキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸から誘導されるセグメント;ω−カプロラクトンなどのラクトンから誘導されるセグメント;グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などのジカルボン酸成分と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングルコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1.8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどのジオール成分とから誘導されるセグメントを挙げることができる。
ポリアミドエラストマーを構成するポリエステルポリエーテルセグメントとしては、例えば、上記したポリエステルセグメントのジカルボン酸成分と、ポリメチレングルコール、ポリエチレングルコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコールなどのジオール成分とから誘導されるセグメントを挙げることができる。
本発明おいて、ポリアミドエラストマーのJIS−A硬度は80〜95であることが好ましく、85〜95であるのがより好ましい。
また、本発明におけるポリウレタンエラストマーは、高分子ジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させることにより得られる。上記の熱可塑性樹脂で記述したウレタン樹脂のイソシアネート基由来の窒素原子の含有率が2.5〜5.0重量%の範囲内になるように設定することが好ましい。イソシアネート基由来の窒素原子の含有率がこの範囲内でない場合には、所望とする研磨材を得ることが困難となる場合がある。
本発明において、エラストマーは、損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)が20℃以下であることが重要である。損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)が20℃以下のエラストマーを使用することで、ドレッシング処理時、研磨パッド表面に生じる発泡孔の変形やつぶれが起こりにくくなり、結果として研磨特性の安定性が良好な発泡体を得ることができ、しかも、損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)の低下も少ない発泡体を得ることができる。なお、エラストマーは損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)が0℃以下であるものが好ましく、該ピーク温度(Tα)が−30℃以下のエラストマーを使用することでより好ましい結果が得られる。ただし、エラストマーの損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)が−80℃未満であると、そのようなエラストマーを使用して得られる発泡体は、硬度が低くなりすぎたり、研磨作業中の温度変動に対して硬度変化が大きくなったりする場合がある。従って、エラストマーは損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)が−80℃以上、20℃以下(より好ましくは0℃以下)の範囲内のものが好ましい。
本発明において使用されるエラストマーは、損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)が20℃以下であれば、いかなる製造方法によって製造されたものでもよい。また、該エラストマーは、市販品をそのまま用いることも可能である(例えば、アトフィナ・ジャパン社製、商品名ペバックス MH1657(ポリアミドエラストマー)、(株)クラレ製、商品名クラミロンU♯9190(ポリウレタンエラストマー)等)。
本発明において樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の含有量は40〜95重量%の範囲内であるのが好ましく、50〜90重量%の範囲内であることがより好ましい(エラストマーの含有量は5〜60重量%の範囲内であるのが好ましく、10〜50重量%の範囲内であるのがより好ましい。)。熱可塑性樹脂の含有量が40重量%未満の場合(エラストマーの含有量が60重量%を超える場合)は、得られる樹脂組成物による研磨パッドは、硬度の温度依存性が大きく、研磨作業中における被研磨面の平坦性の低下および研磨効率の低下が顕著になる場合がある。一方、熱可塑性樹脂の含有量が95重量%を超える場合(エラストマーの含有量が5重量%未満の場合)は、混合不良を起しやすく、その結果、発泡異常(巨大発泡)を有した発泡体になる場合がある。
また、本発明において樹脂組成物は80℃における貯蔵弾性率(E’80)が1×109dyn/cm2以上であるのが好ましい。樹脂組成物の80℃における貯蔵弾性率(E’80)が1×109dyn/cm2以上であると、研磨の作業中の温度変動に対して硬度変化がより少ない発泡体(研磨パッド)を得ることができる。樹脂組成物の80℃における貯蔵弾性率(E’80)は2×109dyn/cm2以上であることがより好ましい。ただし、樹脂組成物の80℃における貯蔵弾性率(E’80)が2×1010dyn/cm2を超えると、ドレッシング処理、研磨パッド表面に生じる発泡孔の変形やつぶれが起こりやすくなり、結果として研磨特性の安定性良好な発泡体を得ることができなくなる場合がある。よって、該樹脂組成物の80℃における貯蔵弾性率(E’80)の上限は2×1010dyn/cm2以下が好ましい。さらに本発明において樹脂組成物は、30℃における貯蔵弾性率(E’30)と80℃における貯蔵弾性率(E’80)の比率(E’30/E’80)は1.8以下であるのが好ましい。かかる条件を満足する樹脂組成物は自体の硬度の温度依存性が小さいので、樹脂発泡体の硬度も温度依存性が小さくなり、研磨作業中における被研磨面の平坦性の低下および研磨効率の低下がより一層抑制される。当該比率(E’30/E’80)は1.6以下であるのがより好ましい。ただし、当該比率(E’30/E’80)が1.0になると、ドレッシング処理時、研磨パッド表面に生じる発泡孔の変形やつぶれが起りやすくなり、結果として研磨特性の安定性良好な発泡体を得ることができなくなる場合があることから、該下限値としては1.0よりも大きいことが好ましく、1.2以上がより好ましい。
本発明における樹脂組成物の調製方法は、特に制限されず、例えば樹脂の混合に通常用いられている単軸または二軸の押出機を用いて、熱可塑性樹脂とエラストマーを所定の割合で配合した樹脂組成物を溶融混練し、ストランド状に押出した後、適当な長さに切断してペレットなどの粒状物にすることができる。
さらに、非反応性ガスを溶解する樹脂組成物としてシート状成形体を用いると、均一な発泡構造を有する発泡体の製造が容易である点、研磨パッドとする際の工程が簡素化できる点などにおいて有利である。該シート状成形体としては、樹脂組成物を一軸押出成形機、二軸押出成形機等の押出成形機または射出成形機を用いて成形したものが好ましい。シート状成形体の厚さは、発泡体の製造しやすさおよび非反応性ガスの溶解に要する時間の観点から0.8〜5mmの範囲内であることが好ましい。
本発明の樹脂発泡体は、上記で説明した樹脂組成物を発泡させることにより得られ、密度が0.4〜0.95g/cm3、気泡サイズが1〜100μmであることを満足する。
密度が0.4g/cm3より小さいと、発泡体が柔らかくなり過ぎるため、研磨パッドとして使用した場合、研磨後の被研磨面の平坦性が低下し、また研磨効率が低下する。一方、密度が0.95g/cm3より大きいと、研磨効率が低下する。樹脂発泡体の密度としては、被研磨面の平坦性の点から0.50〜0.85g/cm3の範囲内がより好ましい。
また、気泡サイズが1μmより小さいと、研磨剤(砥粒)が気泡に詰まりやすいため研磨効率が低下し、スクラッチ傷等の研磨不良が起こりやすくなり、100μmより大きいと発泡体の表面平滑性が悪くなるため、研磨剤(砥粒)の局在化、スクラッチ傷、オレンジピール傷等の研磨不良が起こりやすくなる。樹脂発泡体の気泡サイズとしては、研磨剤(砥粒)の保持性の点から5〜80μmの範囲内がより好ましい。
本発明において樹脂組成物を発泡させるために種々の発泡剤が使用可能であるが、前記した樹脂組成物の軟化温度以上の温度における安定性の点から非反応性ガスを用いるのが適している。
本発明における非反応性ガスとは、樹脂組成物と反応しない気体であって、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム等のガスが挙げられる。これらのうちでも、樹脂組成物への溶解性および発泡体の製造コストの点から、二酸化炭素または窒素が好ましい。
本発明の樹脂発泡体は、上記した樹脂組成物に上記の非反応性ガスを加圧条件下で溶解した後、圧力を開放し、前記樹脂組成物の軟化温度以上の温度で発泡させることにより製造することができる。好ましい態様としては、圧力が5〜20MPaの範囲内、温度が80〜170℃の範囲内に調整された耐圧容器内において、樹脂組成物成形体に非反応性ガスを溶解させ、樹脂組成物の軟化温度より低い温度で圧力を開放し、次いで得られた成形体を樹脂組成物の軟化温度以上の温度に加熱して発泡させる態様が挙げられる。なお、樹脂組成物への非反応性ガスの溶解量は、均一な発泡構造を有する発泡体を得る観点から、溶解条件下における飽和量であることが望ましい。
非反応性ガスを溶解する樹脂組成物としてシート状成形体を用いると、均一な発泡構造を有する発泡体の製造が容易である点、研磨パッドとする際の工程が簡素化できる点などにおいて有利である。該シート状成形体としては、樹脂組成物を一軸押出成形機、二軸押出成形機等の押出成形機または射出成形機を用いて成形したものが好ましい。シート状成形体の厚さは、発泡体の製造しやすさおよび非反応性ガスの溶解に要する時間の観点から0.8〜5mmの範囲内であることが好ましい。
樹脂組成物の組成にもよるが、生成する気泡のサイズは、非反応性ガスの溶解量に依存する。非反応性ガスの溶解量は溶解時の圧力および温度により調整できる。非反応性ガスの圧力が5MPa未満の場合は、非反応性ガスを樹脂組成物成形体に飽和量溶解するのに長時間を要する。一方、非反応性ガスの圧力が20MPaを越える場合、非反応性ガスの溶解に要する時間は短くなるが、溶解するガスの量が必要以上に多くなり、生成する気泡のサイズが著しく小さくなったり、場合によっては巨大気泡を生じたりすることがある。非反応性ガスの溶解時の圧力は、8〜15MPaの範囲内であることがより好ましい。
また、非反応性ガスの溶解時の温度が80℃未満の場合は、非反応性ガスを樹脂組成物の成形体に飽和量溶解するのに長時間を要する。一方、非反応性ガスの溶解時の温度が170℃を越える場合は、圧力開放時に部分的に発泡を生じたり、非反応性ガスの溶解量が著しく少なくなったりして、生成する気泡サイズが大きくなり過ぎる場合がある。また、樹脂組成物の成形体が異常な変形を起こすことがある。非反応性ガスの溶解時の温度は、100〜160℃の範囲内であることがより好ましい。
非反応性ガスを溶解した成形体において、圧力を開放した後の加熱温度が樹脂組成物の軟化温度未満の場合には、気泡の生成や成長が不十分となる場合がある。非反応性ガスを溶解した成形体を加熱する温度は、生成する気泡のサイズおよび発泡体の強度の点や、非反応ガスを溶解したことによる樹脂の軟化を考慮して、軟化温度をTとしたとき、(T−25)〜(T+50)℃の範囲内であることが好ましい。加熱発泡方法には制限はないが、非反応性ガスを溶解した成形体に熱が均一にかかる方法が、発泡構造の均一性確保の点で好ましい。加熱発泡方法としては、例えば、熱オイルバス、熱風、水蒸気等の熱媒中を通過させる方法などが挙げられる。
本発明の研磨パッドは、上記のようにして製造された樹脂発泡体を、その表面に気泡が露出するように研削あるいはスライスして製造される。また、得られた研磨パッドに対し、さらに所定の形状に整える、表面加工を施す、クッション層となる素材と積層する等の加工を施すこともできる。
本発明の研磨パッドは、それ自体公知の研磨スラリーと共に、ケミカルメカニカル研磨(Chemical Mechanical Polishing、以下、「CMP」と略称することがある)に使用することができる。研磨スラリーは、例えば、水やオイル等の液状媒体;酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素等の研磨材;塩基、酸、界面活性剤などの成分を含有している。また、CMPを行うに際し、必要に応じ、研磨スラリーと共に、潤滑油、冷却剤などを併用してもよい。
CMPは、公知のCMP用装置を使用し、研磨スラリーを介して被研磨面と研磨パッドを、加圧下、一定速度で、一定時間接触させることによって実施することができる。
本発明の研磨パッドの研磨対象となる物品に特に制限はないが、例えば、水晶、シリコン、ガラス、光学基板、電子回路基板、多層配線基板、ハードディスクなどが挙げられる。
[実施例]
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例に記した樹脂発泡体の物性評価は次の方法で実施した。
《発泡体の密度》
JIS K 7112に準拠して、シート状発泡体の密度を測定した。
《発泡体の気泡サイズ》
発泡体の断面を走査型電子顕微鏡により写真撮影し、写真上で測定されたサイズと撮影時の倍率から計算して平均気泡サイズを計算した。
《貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)》
厚さ2mmの射出成形シートを作製し、該シートを90℃で8時間熱処理した試験片を用いて、動的粘弾性測定装置〔DVE−V4レオスペクトラー:(株)レオロジー社製〕を使用して、所定温度における貯蔵弾性率(E’)を周波数11Hzで測定した。30℃及び80℃における貯蔵弾性率と損失弾性率(E”)がピークとなる温度(Tα)を求めた。
《示差走査熱量測定》
示差走査熱量計(メトラー社製:DSC30)を用いて、樹脂組成物を測定した。測定の際の試料量は10mgとし、窒素ガス雰囲気下、10℃/分の昇温速度で測定し、吸熱ピークのピーク面積より結晶化エンタルピー(ΔH)を求めた。
《樹脂の軟化温度》
厚さ2mmの射出成形シートを作製し、該シートを90℃で8時間熱処理した試験片を用いて、動的粘弾性測定装置[DVE−V4レオスペクトラー:(株)レオロジー社製]を使用して、所定温度における貯蔵弾性率(E’)を周波数11Hzで測定した。そして、貯蔵弾性率(E’)が1×10dyn/cmになる温度を軟化温度(T)とした。
《使用材料》
熱可塑性樹脂−1:ポリ(2,4,4−トリメチルへキシレンテレフタラミド)[ダイセル・デクサ社製、商品名トロガミドT5000]
エラストマー−1:ポリアミドエラストマー[アトフィナ・ジャパン社製、商品名ペバックスMH1657]
エラストマー−2:ポリウレタンエラストマー[(株)クラレ製、商品名クラミロンU♯9190]。
<参考例1>
熱可塑性樹脂−2の製造
数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール(略号:PTG)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(略号:MDI)及び1,4−シクロヘキサンジメタノール(略号:CHDM)〔鎖伸長剤〕をPTG:MDI:CHDMのモル比が1:48.6:47.6(窒素原子の含有率:6.5重量%)となるような割合で用い、かつ、それらの合計供給量が300g/分になるようにして、定量ポンプにより同軸で回転する二軸押出機(30mmφ、L/D=36、シリンダー温度:75〜260℃)に連続的に供給して、連続溶融重合を行ってポリウレタンを製造した。生成したポリウレタンの溶融物をストランド状で水中に連続的に押出した後、ペレタイザーでペレット状に細断し、このペレットを70℃で5時間、更に90℃で5時間除湿乾燥した。このポリウレタン樹脂を「熱可塑性樹脂−2」とした。
<参考例2>
熱可塑性樹脂−3の製造
テレフタル酸32.73kg(197モル),1,9−ノナンジアミン26.92kg(170モル)、2−メチル−1,8−オクタンジアミン4.74(30モル)、安息香酸0.73kg(6モル)、亜リン酸65g(原料に対して0.1重量%)及び蒸留水60リットルを内容積200リットルのオートクレーブに仕込み窒素置換した。100℃で30分攪拌し、2時間掛けて内部温度を210℃に昇温した。そのまま1時間反応を続けた後、230℃に昇温し、その後2時間、230℃に温度を保ち、水蒸気を徐々に抜いて圧力を2.2MPaに保ちながら反応させた。次に、30分かけて圧力を1MPaまで下げ、更に1時間反応させることにより、極限粘度0.25dl/gの低次縮合物を得た。得られた低次縮合物を2mm以下に粉砕して、100℃、減圧下で12時間乾燥し、これをタンブラー式固相重合装置を用いて、230℃、13.3Paにて10時間固相重合してポリアミド樹脂を製造した。このポリアミド樹脂を「熱可塑性樹脂−3」とした。
<参考例3>
熱可塑性樹脂−4の製造
数平均分子量500のポリ(3−メチルペンタンジオールアジペート)ジオール(略号:PMPA)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(略号:MDI)及び1,4−シクロヘキサンジメタノール(略号:CHDM)〔鎖伸長剤〕を、PMPA:MDI:CHDMのモル比が1:9.7:8.7(窒素原子の含有率:6.5重量%)となるような割合で用い、かつ、それらの合計供給量が300g/分になるようにして、定量ポンプにより同軸で回転する二軸押出機(30mmφ、L/D=36、シリンダー温度:75〜260℃)に連続的に供給して、連続溶融重合を行ってポリウレタンを製造した。生成したポリウレタンの溶融物をストランド状で水中に連続的に押出した後、ペレタイザーでペレット状に細断し、このペレットを70℃で5時間、更に90℃で5時間除湿乾燥し、ポリウレタン樹脂を得た。このポリウレタン樹脂を「熱可塑性樹脂−4」とした。
<参考例4>
熱可塑性樹脂−5の製造
数平均分子量500のポリ(3−メチルペンタンジオールアジペート)ジオール(略号:PMPA)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(略号:MDI)及び1,4−ブタンジオール(略号:BD)〔鎖伸長剤〕を、PMPA:MDI:BDのモル比が1:4.5:3.5(窒素原子の含有率:6.5重量%)となるような割合で用い、かつ、それらの合計供給量が300g/分になるようにして、定量ポンプにより同軸で回転する二軸押出機(30mmφ、L/D=36、シリンダー温度:75〜260℃)に連続的に供給して、連続溶融重合を行ってポリウレタンを製造した。生成したポリウレタンの溶融物をストランド状で水中に連続的に押出した後、ペレタイザーでペレット状に細断し、このペレットを70℃で5時間、更に90℃で5時間除湿乾燥し、ポリウレタン樹脂を得た。このポリウレタン樹脂を「熱可塑性樹脂−5」とした。
<参考例5>
エラストマー−3の製造
数平均分子量500のポリテトラメチレングリコール)(略号:PTMG)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(略号:MDI)及び1,4−ブタンジオール(略号:BD)〔鎖伸長剤〕を、PTMG:MDI:BDのモル比が1:4.4:3.4(窒素原子の含有率:6.5重量%)となるような割合で用い、かつ、それらの合計供給量が300g/分になるようにして、定量ポンプにより同軸で回転する二軸押出機(30mmφ、L/D=36、シリンダー温度:75〜260℃)に連続的に供給して、連続溶融重合を行ってポリウレタンを製造した。生成したポリウレタンの溶融物をストランド状で水中に連続的に押出した後、ペレタイザーでペレット状に細断し、このペレットを70℃で5時間、更に80℃で5時間除湿乾燥し、ポリウレタンエラストマーを得た。このポリウレタンエラストマーを「エラストマー−3」とした。
<実施例1>
熱可塑性樹脂−1(16kg)とエラストマー−1(4kg)とを配合した混合物を単軸押出機(65mmφ、シリンダー温度:210〜260℃)に供給して溶融混練して、ストランド状に水中に押出し、次いでペレタイザーで切断し樹脂組成物(A)のペレットを作製した。用いた熱可塑性樹脂、エラストマー、及び得られた樹脂組成物(A)の各物性を下記、表1にまとめた。
上記で得られた樹脂組成物(A)を単軸押出成形機(65mmφ)に仕込み、シリンダー温度210〜250℃、ダイス温度240℃にて、T−ダイより押出し、60℃に調温したギャップ間隔1.8mmのロールを通過させて厚さ2mmのシートを成形した。次に、得られたシート(5cm×10cm)を耐圧容器に入れ、温度140℃、圧力10MPaの条件下で10時間二酸化炭素を溶解させ、二酸化炭素を飽和量溶解させてなるガス溶解シートを得た。室温まで冷却した後、圧力を常圧とし、ガス溶解シートを耐圧容器から取り出した。次に、得られたガス溶解シートを145℃のシリコンオイル中に8分間浸漬した後に取り出し、室温まで冷却して発泡体を得た。得られた発泡体の密度は0.65g/cm、気泡サイズが10〜20μmであった。
得られた発泡体(シート状物)の表面を研削し、気泡を表面に露出させて、厚さ1.3mm、直径38cmの円形の研磨パッドを作製し、表面には幅0.8mm、深さ0.8cm、ピッチ6mmのX-Yグルーブ加工(格子状溝)を施した。このパッドを研磨装置(エム・エー・テェ社 MAT-BC15)の常盤に両面接着テープで貼り付けた。(株)アライドマテリアル社製のコンディショナー(#200−被覆率80%、直径10cm、荷重1kg)を用いて、プラテン回転数60rpm、コンディショナー回転数40rpmで同方向に回転させ、蒸留水を20ml/分で供給しながら10分間研磨パッドのコンディショニングを行った。コンディショニング後、SEM観察用試験片として研磨パッドの一部を切り出し、研磨パッドの表面状態を観察した。パッド表面の気泡構造に変形やつぶれが見られなかった。
<実施例2>
熱可塑性樹脂−2(16kg)とエラストマー−2(4kg)とを配合した混合物を単軸押出機(65mmφ、シリンダー温度:200〜230℃)に供給して溶融混練して、ストランド状に水中に押出し、次いでペレタイザーで切断し樹脂組成物(B)のペレットを作製した。用いた熱可塑性樹脂、エラストマー、及び得られた樹脂組成物(B)の各物性を下記、表1にまとめた。
上記で得られた樹脂組成物(B)を単軸押出成形機(65mmφ)に仕込み、シリンダー温度210〜230℃、ダイス温度230℃にて、T−ダイより押出し、60℃に調温したギャップ間隔1.8mmのロールを通過させて厚さ2mmのシートを成形した。次に、得られたシート(5cm×10cm)を耐圧容器に入れ、温度130℃、圧力10MPaの条件下で10時間二酸化炭素を溶解させ、二酸化炭素を飽和量溶解させてなるガス溶解シートを得た。室温まで冷却した後、圧力を常圧とし、ガス溶解シートを耐圧容器から取り出した。次に、得られたガス溶解シートを135℃のシリコンオイル中に8分間浸漬した後に取り出し、室温まで冷却して発泡体を得た。得られた発泡体の密度は0.60g/cm、気泡サイズが5〜15μmであった。
得られた発泡体(シート状物)の表面を研削し、気泡を表面に露出させて、厚さ1.3mm、直径38cmの円形の研磨パッドを作製し、表面には幅0.8mm、深さ0.8cm、ピッチ6mmのX-Yグルーブ加工(格子状溝)を施した。このパッドを研磨装置(エム・エー・テェ社 MAT-BC15)の常盤に両面接着テープで貼り付けた。(株)アライドマテリアル社製のコンディショナー(#200−被覆率80%、直径10cm、荷重1kg)を用いて、プラテン回転数60rpm、コンディショナー回転数40rpmで同方向に回転させ、蒸留水を20ml/分で供給しながら10分間研磨パッドのコンディショニングを行った。コンディショニング後、SEM観察用試験片として研磨パッドの一部を切り出し、研磨パッドの表面状態を観察した。パッド表面の気泡構造に変形やつぶれが見られなかった。
<実施例3>
熱可塑性樹脂−1(16kg)とエラストマー−1(16kg)とを配合した混合物を単軸押出機(65mmφ、シリンダー温度:210〜260℃)に供給して溶融混練して、ストランド状に水中に押出し、次いでペレタイザーで切断し樹脂組成物(C)のペレットを作製した。用いた熱可塑性樹脂、エラストマー、及び得られた樹脂組成物(C)の各物性を下記、表1にまとめた。
上記で得られた樹脂組成物(C)を単軸押出成形機(65mmφ)に仕込み、シリンダー温度210〜250℃、ダイス温度240℃にて、T−ダイより押出し、60℃に調温したギャップ間隔1.8mmのロールを通過させて厚さ2mmのシートを成形した。次に、得られたシート(5cm×10cm)を耐圧容器に入れ、温度140℃、圧力10MPaの条件下で10時間二酸化炭素を溶解させ、二酸化炭素を飽和量溶解させてなるガス溶解シートを得た。室温まで冷却した後、圧力を常圧とし、ガス溶解シートを耐圧容器から取り出した。次に、得られたガス溶解シートを135℃のシリコンオイル中に8分間浸漬した後に取り出し、室温まで冷却して発泡体を得た。得られた発泡体の密度は0.75g/cm、気泡サイズが10〜20μmであった。
得られた発泡体(シート状物)の表面を研削し、気泡を表面に露出させて、厚さ1.3mm、直径38cmの円形の研磨パッドを作製し、表面には幅0.8mm、深さ0.8cm、ピッチ6mmのX-Yグルーブ加工(格子状溝)を施した。このパッドを研磨装置(エム・エー・テェ社 MAT-BC15)の常盤に両面接着テープで貼り付けた。(株)アライドマテリアル社製のコンディショナー(#200−被覆率80%、直径10cm、荷重 1kg)を用いて、プラテン回転数60rpm、コンディショナー回転数40rpmで同方向に回転させ、蒸留水を20ml/分で供給しながら10分間研磨パッドのコンディショニングを行った。コンディショニング後、SEM観察用試験片として研磨パッドの一部を切り出し、研磨パッドの表面状態を観察した。パッド表面の気泡構造に変形やつぶれが見られなかった。
<比較例1>
熱可塑性樹脂−1(20kg)を単軸押出成形機(65mmφ)に仕込み、シリンダー温度210〜260℃、ダイス温度250℃にて、T−ダイより押出し、60℃に調温したギャップ間隔1.8mmのロールを通過させて厚さ2mmのシートを成形した。次に、得られたシート(5cm×10cm)を耐圧容器に入れ、温度140℃、圧力10MPaの条件下で10時間二酸化炭素を溶解させ、二酸化炭素を飽和量溶解させてなるガス溶解シートを得た。室温まで冷却した後、圧力を常圧とし、ガス溶解シートを耐圧容器から取り出した。次に、得られたガス溶解シートを145℃のシリコンオイル中に8分間浸漬した後に取り出し、室温まで冷却して発泡体を得た。得られた発泡体の密度は0.65g/cm、気泡サイズが10〜20μmであった。
得られた発泡体(シート状物)の表面を研削し、気泡を表面に露出させて、厚さ1.3mm、直径38cmの円形の研磨パッドを作製し、表面には幅0.8mm、深さ0.8cm、ピッチ6mmのX-Yグルーブ加工(格子状溝)を施した。このパッドを研磨装置(エム・エー・テェ社 MAT-BC15)の常盤に両面接着テープで貼り付けた。(株)アライドマテリアル社製のコンディショナー(#200−被覆率80%、直径10cm、荷重1kg)を用いて、プラテン回転数60rpm、コンディショナー回転数40rpmで同方向に回転させ、蒸留水を20ml/分で供給しながら10分間研磨パッドのコンディショニングを行った。コンディショニング後、SEM観察用試験片として研磨パッドの一部を切り出し、研磨パッドの表面状態を観察した。パッド表面付近の気泡に変形が見られ、穴が塞がれていた。
<比較例2>
熱可塑性樹脂−3(16kg)とエラストマー−1(4kg)とを配合した混合物を単軸押出機(65mmφ、シリンダー温度:210〜260℃)に供給して溶融混練して、ストランド状に水中に押出し、次いでペレタイザーで切断し樹脂組成物(D)のペレットを作製した。用いた熱可塑性樹脂、エラストマー、及び得られた樹脂組成物(D)の各物性を下記、表1にまとめた。
上記で得られた樹脂組成物(D)を単軸押出成形機(65mmφ)に仕込み、シリンダー温度270〜290℃、ダイス温度290℃にて、T−ダイより押出し、60℃に調温したギャップ間隔1.8mmのロールを通過させて厚さ2mmのシートを成形した。次に、得られたシート(5cm×10cm)を耐圧容器に入れ、温度150℃、圧力15MPaの条件下で10時間二酸化炭素を溶解させ、二酸化炭素を飽和量溶解させてなるガス溶解シートを得た。室温まで冷却した後、圧力を常圧とし、ガス溶解シートを耐圧容器から取り出した。次に、得られたガス溶解シートを240℃のシリコンオイル中に3分間浸漬した後に取り出し、室温まで冷却して発泡体を得た。得られた発泡体の密度は0.85g/cmであったが、気泡サイズは20〜60μmの中に200〜300μmの気泡が点在し、均一な発泡構造ではなかった。
得られた発泡体(シート状物)の表面を研削し、気泡を表面に露出させて、厚さ1.3mm、直径38cmの円形の研磨パッドを作製し、表面には幅0.8mm、深さ0.8cm、ピッチ6mmのX-Yグルーブ加工(格子状溝)を施した。このパッドを研磨装置(エム・エー・テェ社 MAT-BC15)の常盤に両面接着テープで貼り付けた。(株)アライドマテリアル社製のコンディショナー(#200−被覆率80%、直径10cm、荷重 1kg)を用いて、プラテン回転数60rpm、コンディショナー回転数40rpmで同方向に回転させ、蒸留水を20ml/分で供給しながら10分間研磨パッドのコンディショニングを行った。コンディショニング後、SEM観察用試験片として研磨パッドの一部を切り出し、研磨パッドの表面状態を観察した。パッド表面付近の気泡に変形がみられ、穴が塞がれていた。
<比較例3>
熱可塑性樹脂−4(16kg)とエラストマー−3(4kg)とを配合した混合物を単軸押出機(65mmφ、シリンダー温度:200〜230℃)に供給して溶融混練して、ストランド状に水中に押出し、次いでペレタイザーで切断し樹脂組成物(E)のペレットを作製した。用いた熱可塑性樹脂、エラストマー、及び得られた樹脂組成物(E)の各物性を下記、表1にまとめた。
上記で得られた樹脂組成物(E)を単軸押出成形機(65mmφ)に仕込み、シリンダー温度210〜230℃、ダイス温度230℃にて、T−ダイより押出し、60℃に調温したギャップ間隔1.8mmのロールを通過させて厚さ2mmのシートを成形した。次に、得られたシート(5cm×10cm)を耐圧容器に入れ、温度130℃、圧力9MPaの条件下で10時間二酸化炭素を溶解させ、二酸化炭素を飽和量溶解させてなるガス溶解シートを得た。室温まで冷却した後、圧力を常圧とし、ガス溶解シートを耐圧容器から取り出した。次に、得られたガス溶解シートを140℃のシリコンオイル中に8分間浸漬した後に取り出し、室温まで冷却して発泡体を得た。得られた発泡体の密度は0.71g/cm、気泡サイズは20〜40μmであった。
得られた発泡体(シート状物)の表面を研削し、気泡を表面に露出させて、厚さ1.5mm、直径38cmの円形の研磨パッドを作製し、表面には幅0.8mm、深さ0.8cm、ピッチ6mmのX-Yグルーブ加工(格子状溝)を施した。このパッドを研磨装置(エム・エー・テェ社 MAT-BC15)の常盤に両面接着テープで貼り付けた。(株)アライドマテリアル社製のコンディショナー(#200−被覆率80%、直径10cm、荷重1kg)を用いて、プラテン回転数60rpm、コンディショナー回転数40rpmで同方向に回転させ、蒸留水を20ml/分で供給しながら10分間研磨パッドのコンディショニングを行った。コンディショニング後、SEM観察用試験片として研磨パッドの一部を切り出し、研磨パッドの表面状態を観察した。パッド表面付近の気泡に変形がみられ、穴が塞がれていた。
<比較例4>
熱可塑性樹脂−5(16kg)とエラストマー−2(4kg)とを配合した混合物を単軸押出機(65mmφ、シリンダー温度:200〜230℃)に供給して溶融混練して、ストランド状に水中に押出し、次いでペレタイザーで切断し樹脂組成物(F)のペレットを作製した。用いた熱可塑性樹脂、エラストマー、及び得られた樹脂組成物(F)の各物性を下記、表1にまとめた。
上記で得られた樹脂組成物(F)を単軸押出成形機(65mmφ)に仕込み、シリンダー温度210〜230℃、ダイス温度230℃にて、T−ダイより押出し、60℃に調温したギャップ間隔1.8mmのロールを通過させて厚さ2mmのシートを成形した。次に、得られたシート(5cm×10cm)を耐圧容器に入れ、温度130℃、圧力9MPaの条件下で10時間二酸化炭素を溶解させ、二酸化炭素を飽和量溶解させてなるガス溶解シートを得た。室温まで冷却した後、圧力を常圧とし、ガス溶解シートを耐圧容器から取り出した。次に、得られたガス溶解シートを130℃のシリコンオイル中に8分間浸漬した後に取り出し、室温まで冷却して発泡体を得た。得られた発泡体の密度は0.72g/cm、気泡サイズは10〜20μmであった。
得られた発泡体(シート状物)の表面を研削し、気泡を表面に露出させて、厚さ1.5mm、直径38cmの円形の研磨パッドを作製し、表面には幅0.8mm、深さ0.8cm、ピッチ6mmのX-Yグルーブ加工(格子状溝)を施した。このパッドを研磨装置(エム・エー・テェ社 MAT-BC15)の常盤に両面接着テープで貼り付けた。(株)アライドマテリアル社製のコンディショナー(#200−被覆率80%、直径10cm、荷重1kg)を用いて、プラテン回転数60rpm、コンディショナー回転数40rpmで同方向に回転させ、蒸留水を20ml/分で供給しながら10分間研磨パッドのコンディショニングを行った。この樹脂組成物(F)の80℃における貯蔵弾性率(E’80)と30℃における貯蔵弾性率(E’30)の比率(E’30/E’80)が7.1と大きく、硬度の温度依存性が大きい研磨パッドであった。また、コンディショニング後、SEM観察用試験片として研磨パッドの一部を切り出し、研磨パッドの表面状態を観察した。パッド表面付近の気泡に変形がみられ、穴が塞がれていた。
Figure 0004474208


Claims (6)

  1. 損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)が100℃以上、かつ示差走査型熱量計(DSC)で測定した結晶化エンタルピー(ΔH)が25J/g以下であるポリアミド樹脂40〜95重量%と損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)が20℃以下のポリアミドエラストマー5〜60重量%とを含有する樹脂組成物からなり、密度が0.4〜0.95g/cm3、気泡サイズが1〜100μmである樹脂発泡体からなる研磨パッド
  2. 損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)が100℃以上、かつ示差走査型熱量計(DSC)で測定した結晶化エンタルピー(ΔH)が25J/g以下であるポリウレタン樹脂40〜95重量%と損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)が20℃以下のポリウレタンエラストマー5〜60重量%とを含有する樹脂組成物からなり、密度が0.4〜0.95g/cm 3 、気泡サイズが1〜100μmである樹脂発泡体からなる研磨パッド。
  3. 損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)が100℃以上、かつ示差走査型熱量計(DSC)で測定した結晶化エンタルピー(ΔH)が25J/g以下であるポリアミド樹脂40〜95重量%と損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)が20℃以下のポリアミドエラストマー5〜60重量%とを含有する樹脂組成物に非反応性ガスを加圧条件下で溶解させた後、圧力を開放し、該樹脂組成物を軟化温度以上の温度で発泡させて得られる、密度が0.4〜0.95g/cm3、気泡サイズが1〜100μmである樹脂発泡体からなる研磨パッド
  4. 損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)が100℃以上、かつ示差走査型熱量計(DSC)で測定した結晶化エンタルピー(ΔH)が25J/g以下であるポリウレタン樹脂40〜95重量%と損失弾性率(E”)の主分散のピーク温度(Tα)が20℃以下のポリウレタンエラストマー5〜60重量%とを含有する樹脂組成物に非反応性ガスを加圧条件下で溶解させた後、圧力を開放し、該樹脂組成物を軟化温度以上の温度で発泡させて得られる、密度が0.4〜0.95g/cm 3 、気泡サイズが1〜100μmである樹脂発泡体からなる研磨パッド
  5. 非反応性ガスが二酸化炭素または窒素である請求項3または4記載の樹脂発泡体からなる研磨パッド
  6. 樹脂組成物は、80℃における貯蔵弾性率(E’80)が1×109dyn/cm2以上であり、かつ30℃における貯蔵弾性率(E’30)と80℃における貯蔵弾性率(E’80)の比率(E’30/E’80)が1.8以下である請求項1〜のいずれか一項記載の樹脂発泡体からなる研磨パッド
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