JP4994807B2 - 発泡体の製造方法 - Google Patents
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[1] 非反応性ガスを含む、高分子ジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させて得られる熱可塑性ポリウレタンを調製し、該非反応性ガスを含む熱可塑性ポリウレタンを高周波誘電加熱プレス装置にて発泡させる発泡体の製造方法であって、
ゲージ圧力3〜15MPaおよび温度50〜160℃の条件下で熱可塑性ポリウレタンに非反応性ガスを溶解させて非反応性ガスを含む熱可塑性ポリウレタンを調製し、
高周波誘電加熱プレス装置にて発泡させる際の加熱温度が、熱可塑性ポリウレタンの軟化温度をT℃としたとき、(T+10)〜(T+40)℃の範囲内である、発泡体の製造方法、
[2] 非反応性ガスが二酸化炭素である[1]の製造方法、
[3] 熱可塑性ポリウレタンにおけるイソシアネート基由来の窒素原子の含有率が4.8〜7.0質量%である[1]の製造方法、
に関する。
本発明において使用される高分子材料は、得られる発泡体の用途などに応じて適宜選択することが可能であり特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタンなどを例示することができる。高分子材料は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。上記の高分子材料の中でも、得られる発泡体が耐磨耗性に優れるものとなることから、特にポリウレタンが好ましい。
また、発泡剤の使用量としては、発泡剤の種類や所望とする発泡体の密度によって適宜変更可能であるが、例えば、発泡させる直前の発泡剤を含む高分子材料の全質量(上記の添加剤等を配合した場合には、それらも含めた質量)に対する発泡剤の質量が0.01〜50質量%となる量であることが好ましい。
高分子材料の組成にもよるが、生成する気泡のサイズは、非反応性ガスの溶解量に依存する。非反応性ガスの溶解量は溶解時の圧力および温度により調整することができる。非反応性ガスの溶解時のゲージ圧力が3MPa未満の場合には、非反応性ガスを高分子材料に溶解するのに長時間を要する。一方、非反応性ガスの溶解時の圧力が15MPaを越える場合には、非反応性ガスの溶解に要する時間は短くなるが、溶解する非反応性ガスの量が必要以上に多くなり、生成する気泡のサイズが著しく小さくなりやすい。非反応性ガスの溶解時のゲージ圧力は5〜14MPaの範囲内であることがより好ましく、6〜13MPaの範囲内であることがさらに好ましく、7〜12MPaの範囲内であることが特に好ましい。
高周波誘電加熱プレス装置の高周波出力は使用するシート状成形体のサイズにもよるが、温度制御の点から1〜15kWの範囲が好ましく、1〜5kWの範囲がより好ましい。また、高周波誘電加熱プレス装置の周波数としては1〜30000MHzの範囲が好ましく、1〜300MHzの範囲がより好ましい。このような高周波誘電加熱プレス装置としては市販品を使用することができる。
また、発泡体の気泡サイズとしては、特に限定されるものではないが、5〜150μmの範囲内にあることが好ましく、20〜100μmの範囲内にあることがより好ましい。気泡サイズが5μm未満のときには、発泡体を研磨パッドとして使用する場合に、研磨スラリー中の研磨剤(砥粒)が気泡に詰まり易く、スクラッチ傷などの研磨不良が起こり易くなり、150μmを超えるときには、発泡体の表面平滑性が低下する傾向があり、発泡体を研磨パッドとして使用する場合に、研磨剤(砥粒)の局在化、スクラッチ傷、オレンジピール傷などの研磨不良が起こり易くなる。なお、本明細書における発泡体の気泡サイズとは、発泡体断面のSEM写真を倍率50倍にて撮影し、任意の100個の気泡について、それぞれその断面積を求めて該気泡が真円であると仮定した際の直径を算出し、これらの直径を平均したものを意味する。
射出成形によって作製した厚さ2mmのシートの硬度(JIS−D硬度)をJIS K7311に準じて測定した。
厚さ2mmの射出成形シートを作製し、該シートを90℃で5時間熱処理した試験片を用いて、動的粘弾性測定装置(DVEレオスペクトラー、(株)レオロジー社製)を使用して、貯蔵弾性率(E’)が1×107Paとなる温度を求めて熱可塑性ポリウレタンの軟化温度とした。
JIS K7112に準拠して、シート状発泡体の密度を測定した。
発泡体の各部における断面を走査型電子顕微鏡により写真撮影し、一定面積内に存在する気泡を画像処理ソフト(ImageJ:National Institutes of Health)を用いて解析し、気泡サイズおよび単位面積当たりの気泡数(気泡数密度)を算出した。
数平均分子量500のポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート)[略号:PMPA]、1,4−ブタンジオール[略号:BD]および50℃で加熱溶融した4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート[略号:MDI]を、PMPA:MDI:BDのモル比が1:4.5:3.5(イソシアネート基由来の窒素原子の含有率:6.5質量%)となるような割合で用い、かつそれらの合計供給量が300g/分になるようにして、定量ポンプにより同軸で回転する2軸押出機(30mmφ、L/D=36、シリンダー温度:75〜260℃)に連続的に供給して、連続溶融重合を行って熱可塑性ポリウレタンを製造した。生成した熱可塑性ポリウレタンの溶融物をストランド状で水中に連続的に押出した後、ペレタイザーでペレット状に細断し、このペレットを95℃で20時間除湿乾燥することにより、硬度(JIS−D硬度)が83、軟化温度170℃の高硬度熱可塑性ポリウレタン(以下、PU−1という)を製造した。
数平均分子量650のポリテトラメチレングリコール[略号:PTMG]、BDおよび50℃で加熱溶融したMDIを、PTMG:MDI:BDのモル比が1:7.5:6.5(イソシアネート基由来の窒素原子の含有率:6.9%)となるような割合で用いる以外は製造例1と同様にして、硬度(JIS−D硬度)が78、軟化温度170℃の高硬度熱可塑性ポリウレタン(以下、PU−2という)を製造した。
数平均分子量1000のPMPA、BDおよび50℃で加熱溶融したMDIを、PMPA:MDI:BDのモル比が1:7.1:6.1(イソシアネート基由来の窒素原子の含有率:6.0%)となるような割合で用いる以外は製造例1と同様にして、硬度(JIS−D硬度)が81、軟化温度160℃の熱可塑性ポリウレタン(以下、PU−3という)を製造した。
熱可塑性ポリウレタン(PU−1)を単軸押出成形機(65mmφ)に仕込み、シリンダー温度215〜225℃、ダイス温度225℃にてT−ダイより膜状に押出成形し、厚さ2mmのシートを成形した。次に、得られたシート(5cm×10cm)を耐圧容器に入れ、ゲージ圧力7MPa、温度130℃の条件下で5時間、二酸化炭素を溶解させ、その後、50℃に冷却後、圧力を常圧に戻して、二酸化炭素1.6質量%を含むガス溶解シートを得た。
次に、得られたガス溶解シートを5mm厚のポリテトラフルオロエチレン板で挟み、定盤温度115℃の高周波誘電加熱プレス装置(山本ビニター株式会社製)に入れ、出力1.1kW、発振周波数13.6MHzで2.0分間加熱し樹脂温度190℃した後、0.1MPaの圧力でプレスし、4分間保持させ発泡体を得た。
得られた発泡体の密度は0.75g/cm3、気泡サイズと気泡数密度は、中心部がそれぞれ21.8μmと1244個/mm2で、表面部(スキン層と発泡構造部分との境界面より0.1mm発泡構造部分寄りの部分)がそれぞれ23.0μmと1253個/mm2であり、均一な発泡構造であった。また、表面のスキン層(未発泡部分)の厚さは0.12mmであった。
熱可塑性ポリウレタン(PU−1)の代わりに熱可塑性ポリウレタン(PU−2)を使用し、ゲージ圧力を7MPaから8MPaに変更した以外は実施例1と同様にして、二酸化炭素2.0質量%を含むガス溶解シートを得た。このガス溶解シートを用いて、さらに実施例1と同様にして発泡体を得た。
得られた発泡体の密度は0.65g/cm3、気泡サイズと気泡数密度は、中心部がそれぞれ25.8μmと1215個/mm2で、表面部がそれぞれ26.6μmと1133個/mm2であり、均一な発泡構造であった。また、表面のスキン層(未発泡部分)の厚さは0.15mmであった。
熱可塑性ポリウレタン(PU−1)の代わりに熱可塑性ポリウレタン(PU−3)を使用し、二酸化炭素溶解時の温度を130℃から140℃に変更し、高周波誘電加熱プレス装置において、出力1.1kW、発振周波数13.6MHzで2.0分間加熱し樹脂温度190℃としたのを、出力1.1kW、発振周波数13.6MHzで1.8分間加熱し樹脂温度180℃としたのに変更した以外は実施例1と同様にして、二酸化炭素1.2質量%を含むガス溶解シートを得た。このガス溶解シートを用いて、さらに実施例1と同様にして、発泡体を得た。
得られた発泡体の密度は0.78g/cm3、気泡サイズと気泡数密度は、中心部がそれぞれ31.8μmと1144個/mm2で、表面部がそれぞれ33.0μmと1103個/mm2であり、均一な発泡構造であった。また、表面のスキン層(未発泡部分)の厚さは0.18mmであった。
実施例1と同様にして得た二酸化炭素1.6質量%を含むガス溶解シートを、オイルバス(160℃)に5分間浸漬し加熱発泡して発泡体を得た。
得られた発泡体の密度は0.75g/cm3、気泡サイズと気泡数密度は、中心部がそれぞれ23.3μmと664個/mm2で、表面部がそれぞれ18.5μmと877個/mm2であり、また、表面のスキン層(未発泡部分)の厚さは0.23mmと厚く、気泡むらのある発泡体であった。
実施例1と同様にして得た二酸化炭素1.6質量%を含むガス溶解シートを、熱風乾燥機(160℃)に5分間入れ加熱発泡して発泡体を得た。
得られた発泡体の密度は0.75g/cm3、気泡サイズと気泡数密度は、中心部がそれぞれ30.7μmと165個/mm2で、表面部がそれぞれ22.7μmと403個/mm2であり、また、表面のスキン層(未発泡部分)の厚さは0.53mmと厚く、気泡むらのある発泡体であった。
Claims (3)
- 非反応性ガスを含む、高分子ジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させて得られる熱可塑性ポリウレタンを調製し、該非反応性ガスを含む熱可塑性ポリウレタンを高周波誘電加熱プレス装置にて発泡させる発泡体の製造方法であって、
ゲージ圧力3〜15MPaおよび温度50〜160℃の条件下で熱可塑性ポリウレタンに非反応性ガスを溶解させて非反応性ガスを含む熱可塑性ポリウレタンを調製し、
高周波誘電加熱プレス装置にて発泡させる際の加熱温度が、熱可塑性ポリウレタンの軟化温度をT℃としたとき、(T+10)〜(T+40)℃の範囲内である、発泡体の製造方法。 - 非反応性ガスが二酸化炭素である請求項1に記載の製造方法。
- 熱可塑性ポリウレタンにおけるイソシアネート基由来の窒素原子の含有率が4.8〜7.0質量%である請求項1に記載の製造方法。
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