JP3975576B2 - 成形型 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプラズマ表示装置の背面基板の製造技術に関するものであり、より詳しくはガラス基板の上に隔壁をプレス時や充填・転写時法または成形型への充填・硬化・転写法によって形成する際に使用する成形型に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマ表示装置に使用される背面基板の構造の例を、図1に示した。図1において、電極6と隔壁3の位置関係がずれると、発光特性がずれ、表示品質が低下する。このため、位置関係が正確に制御できる製造技術が必要である。位置関係の所要精度は、作成する基板の精細度によって異なるが、±5μm程度が必要とされている。しかし、従来の製法では以下に述べるように、この精度を達成することはなかなか困難であったり、手間がかかったりしていた。
【0003】
一般的には、背面基板2はまず電極を形成し、焼成した後に、隔壁3を形成し焼成する方法で作成している。
まず、電極6は通常は銀ペースト等の導電性ペーストを使用してスクリーン印刷法で形成したり、あるいは基板全面に金属材やペースト材よりなる電極材を形成した後、フォトリソ法によってパターンエッチングして形成している。導電性ペーストの組成は導電材の粉末とガラスフリットを主成分とし、それにビヒクル分と呼ばれる有機物とその有機物の溶剤等を混合したものである。所望の形状を形成する方法としてはスクリーン印刷法、サンドブラスト法、埋め込み法、感光性ペースト法が使用されている。所定の形状を形成した後、焼成して、目的の特性を得る。一方、電極材を全面に形成する方法には、電極材が金属である場合には蒸着法などの真空成膜法が使用され、一方、上記のペースト材の場合には、スクリーン印刷法、ブレード塗布法などの方法が使用される。
【0004】
一方、隔壁3は隔壁形成用ペーストを使用して形成している。隔壁形成用ペーストは、ガラスフリットと無機物を主成分とし、それにビヒクル分と呼ばれる有機物とその有機物の溶剤等を混合したものである。通常はこのペーストを基板上にパターンニングし、焼成して形成している。パターニング方法としてはスクリーン印刷法、サンドブラスト法、埋め込み法、感光性ペースト法、それに本出願に関連するプレス法や充填・転写法が知られている。
絶縁層4はプラズマ表示装置では形成する場合が多いが、形成しない場合もある。
【0005】
隔壁3を形成する際は、電極形成時に作成した基板上のアライメントマークを使用して位置合わせを行う。基板のサイズは対角40インチ程度の場合が多く、アライメント精度±5μm 程度を達成するには、通常は、4台のCCDで基板の4隅を観察してアライメントマークを検出し、X−Y−θテーブルで位置合わせする。
この位置合わせが難しかったり手間がかかる理由は以下のようである。
まず、アライメント装置自体のアライメント精度の限界が±3μm 程度である点である。次に、ガラス基板の熱伸縮がある。ガラス基板の熱膨張係数が約80×10-7/℃であるので、1℃で1m当たり8μm 伸縮する。対角40インチの基板の巾は通常の4対3の画面の場合約0.85mなので7μm 伸縮する。従って、±5μm の精度でアライメントするには、電極形成時の作業温度と隔壁形成時の作業温度を±0.5℃程度に一致させる必要がある。これはかなり困難なことである。
但し、電極部と隔壁部を共にフォトリソ法を用いて形成する場合には、フォトマスクの基材のガラスの材質をガラス基板と同一のものにすることでかなり緩和される。この場合には、その材質のガラスを用いたガラス乾板の既製品がない場合は新規に作成しなければならない。
【0006】
位置ズレの他の原因として、ガラス基板の寸法が焼成前と焼成後で異なることも挙げられる。電極を形成する際の焼成についての対策案が知られていて、電極を形成する際、パターン形成後、焼成せずに隔壁を形成し、電極と隔壁を同時に焼成する。しかし、隔壁の形成工程によって、この方法が使用できない場合がある。例えば、隔壁をサンドブラスト法で形成する場合は隔壁用ペーストを基板ガラスの全面に塗布するが、その前に電極用ペーストを焼成しないと、サンドブラストの際に硬さが類似しているので、ブラストの選択比がとれず、結果として、所望の形状を得ることができない。
【0007】
プラズマ・アドレス液晶表示装置(PALC)の構造の例を図2に示す。また、その背面基板を含めたプラズマ・アドレス液晶表示装置の製造工程例を図3に示す。図3において、背面基板上の電極対27と隔壁28の位置関係がずれると、放電特性がずれるのでスイッチング特性がずれ、結果として表示品質が低下する。このため、電極対27と隔壁28の位置関係が正確に制御できる製造技術が必要である。位置関係の所要精度は、作成する基板の精細度によって異なるが、±10μm 以下が望ましいとされている。しかし、従来の製法は電極27、隔壁28ともにプラズマ表示装置の製造方法とほぼ同等であって、±10μm を達成することはなかなか困難であったり、手間がかかったりしていた。この状況はプラズマ表示装置の背面基板製造の際とほぼ同様である。
プラズマ表示装置の場合にあった絶縁層はプラズマ・アドレス液晶表示装置の場合にはない。その理由は、原理的にDC放電である必要があり、そのため電極が露出している必要があるからである。
【0008】
本発明に関連する隔壁形成方法である成形型プレス法と、成形型への充填・硬化・転写法の2方法を以下に説明する。
プレス法については、公知のものとしては、例えば特開平9−283017がある。方法を図4に基づいて説明する。最初に、電極7と仕様によっては絶縁層が形成してあるガラス基板8の上に隔壁形成用ペースト9を塗布し乾燥する(図4(2))。次に、隔壁形成用の成形型10をこのペーストの上に、電極7との位置を合わせながら降下させる。位置合わせは、通常はアライメントマークを使用して行う(図4(3))。そのまま加圧していくと、隔壁形成用のペーストが成形型のすきま、すなわち隔壁形成部に入っていく。成形型を離型すると、ガラス基板8上に隔壁形成用ペーストが成形された状態で残る。ただし、隔壁の形状を安定確保するために、離型する前にペーストを硬化することもある。それを焼成し、所定の隔壁11を得る(図4(5))。ただし、プラズマ・アドレス液晶表示装置の場合には成形型を離型してから、隔壁部分以外に残存している隔壁用ペースト12をサンドブラスト法等の方法で除去する。なぜなら、隔壁用ペーストが残っていると、DC放電にさしつかえるからである。
【0009】
一方、成形型への充填・硬化・転写法は例えば、特開平9−134676、特開平9−147754において開示されている。本発明は後者に関係が深いので、それを図5に基づいて説明する。図5(a)において、30は隔壁成形型である。この成形型の凸部に電極材(ペ−スト)32を塗布すると共に、その凹部に隔壁形成用ペースト31を充填し、これらをPDP用の基板40に接合し、硬化し、成形型を離型する。このようにすることによって、隔壁用ペーストと電極ペーストの固化物がPDP用の基板40の上に転写される。この出願の第一の特徴は、電極を成形型の上面に形成し転写するので、隔壁を形成する際に、従来法では隔壁と電極の間の位置合わせが必要であったのに対し、位置合わせが不要になる点である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の特開平9-147754の製造方法により得られた基板は、電極が隔壁の底面の全面に形成されるため、プラズマ表示装置の基板の製造方法としては、通常の電極構造、すなわち図1に示したような電極6が隔壁3間の空間、いわゆるセル、の底面全面でなく、底面の一部に設置される構造を有するものに適用できない。さらにまた、電極の上に絶縁層がある構造を形成することができない。本明細書においては、このようにセルの底面全面に電極を形成するか、あるいは全く形成しないかという2者択一の場合しか無い場合を非選択的であるということにする。一方、選択的に形成できるとは、セルの所望の一部分に電極を形成することができることであるとする。
本発明が解決しようとする課題は、通常の電極構造、すなわちセルの底面の一部だけに電極が配置されている構造を有するプラズマ表示装置用の背面基板の製造使われる、電極部と隔壁部の位置関係を±5〜10μm以内に容易に確保することができる成形型を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述した従来の課題を解決するため、本発明は以下の手段を講じた。すなわち、隔壁形成方法であるプレス法と型への充填・硬化・転写法の2方法に用いる成形型に、電極形成部として隔壁形成面とは材質が異なる材質であって電極部を選択的に形成することができると同時に、形成した電極部が容易に剥離して背面基板側へ転写する材質よりなる面を設けた。ここで、隔壁形成面とは、成形型のうち隔壁形成に直接関連する面であり、電極形成部も含む部分であるとする。たとえば図5(b)60に示した部分であり、また図11(1)60に示した部分である。
【0012】
電極形成部の材質については、具体的には、ひとつには電極形成部表面がメッキ金属易剥離性材料で形成されているものがある。この場合さらに好適には、メッキ金属易剥離性材料がステンレス鋼または、クロム、またはクロム合金であるものである。
【0013】
また、二つには前記成形型において、少なくとも電極形成部表面がそれ以外の隔壁形成面に対して電極用ペーストの受容性が高く、かつ該ペーストを硬化した後に剥離することができる材料面であるものである。
もし、使用したい電極用ペーストの硬化物に対して易剥離性材料を見いだすことが難しい場合には、剥離層を形成し、その上に所望の電極用ペーストを塗布する。この剥離層から剥離して、電極用ペーストは基板側に転写する。剥離層の種類としては通常の転写紙、転写シートに使用されるもののうち、焼成時に樹脂分の焼成残渣がなく、完全に消失してしまうものが使用できる。また、本発明に特に好適なものとしてUV硬化ペースト硬化物易剥離性材料とUV硬化ペーストが組合わさった剥離層がある。すなわち、UV硬化ペースト硬化物易剥離性材料を成形型の表面に形成し、その上にUV硬化ペーストを塗布し硬化する。この両者の界面が剥離層となる。さらにその上に所望の電極ペーストを塗布し、硬化する。すると、転写時に電極用ペ−ストはその下のUV硬化ペースト硬化物と共に、接着材によって成形型から基板側に移動し、UV硬化ペースト硬化物易剥離性材料面は成形型のほうに残る。UV硬化ペーストの樹脂分としては例えば、UV硬化アクリル系、エポキシ系がある。
【0014】
成形型の隔壁形成面は隔壁用ペーストに対して離型性があるものでなければならないが、易離型性材料として、ポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等が有用である。電極形成部が、メッキ金属易剥離性材料である場合と剥離層を形成してある場合には、これらの材料のいずれも好適に使用できる。
一方、電極用ペーストの硬化物が電極形成面から直接に離型する場合には、電極ペーストの選択塗布性を確保するために、隔壁形成面の材料と電極形成面の材料の組み合わせを、さらに選定する必要がある。しかし、隔壁形成面をフッ素樹脂またはシリコーン樹脂とすれば、電極形成面の材質は後記するものいずれも使用可能であり好適である。この場合、選択塗布性が必要な部分だけこの構成とすることもできる。
【0015】
基板に電極と隔壁を形成する方法として、▲1▼のプレス法においては、成形型の所定の場所に電極形成部を形成した後、基板上に形成した隔壁形成用ペースト層を成形型でプレスして隔壁を形成し、離型時に電極部がプラズマ表示装置の背面基板側あるいはプラズマ・アドレス液晶表示装置の背面基板側へ転写すると共に、隔壁も基板上に所望の形状に形成される方法とした。▲2▼の型への充填・硬化・転写法においては、成形型に電極部を形成した後に隔壁材を充填するか、あるいは順序を逆にして、成形型に隔壁材を充填した後に電極部を形成するかいずれかの工程を行った後、隔壁材を硬化し、接着材層をはさんでガラス基板と重ねて貼り合わせた後、引き剥がして電極と隔壁をガラス基板へ転写する方法とした。
【0016】
型への充填・硬化・転写法において成形型の中に埋め込む方法として、隔壁形成用ペーストの層を離型性フィルムの上に形成し、その上に成形型を、プレスして隔壁形成面に隔壁形成用ペーストを押し込み、次に、離型性フィルムとの界面から隔壁形成用ペーストを剥離して成形型の上に移し、必要に応じて不要部分を除去する方法とした。型への充填を完全に行おうとすると、余分に供給しがちであり、はみ出す部分が発生する。これをきちんと除去する必要があるので、この方法が好適である。
【0017】
<作用>
本発明によれば、電極部は隔壁形成用成形型上に形成されているので、電極と隔壁の位置関係は成形型上に電極形成部を作成する時点で決定される。従って、電極部を形成する際の温度と隔壁を形成する際の温度の差には全く依存しない。また、アライメントは各基板について毎回行うのではなく、成形型を形成する際に一度行うだけであるので、電極と隔壁の位置関係はその成形型を使用する限り一定であり、安定している。
【0018】
電極部の選択形成は、メッキ法の場合は原理的に保証される。また、電極用ペーストを使用する場合には、隔壁形成面の材料との組み合わせを上記したように選択することにより確保される。すなわち、電極形成部の表面はその他の隔壁形成面より電極用ペーストの受理性が高いので、電極用ペーストを全面に塗布しても、電極形成部の表面だけに残存させることが可能である。
一方、特開平9−147754の方法では、電極用ペーストの受理性について隔壁形成面と異なる電極形成部の表面がないので、もし所望の位置に電極を形成するとすると、何らかの方法で描く必要がある。従って、本発明の方法のほうが、生産性がはるかに高い方法である。
【0019】
また、電極の位置がセルの底部以外であって、描くことが出来ない位置であっても、本発明の方法であれば、電極を形成することができる。その具体的な方法は後述するが、例えば図7(e)(f)の構造が可能である。結果として新規な電極構造や、提案されたことはあるが製法が難しいためにあまり取り上げられることのなかった電極構造を有するプラズマ表示装置やプラズマ・アドレス液晶表示装置を製造することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本明細書において成形型とは、〔従来の技術〕で記したプレス法や充填・硬化・転写法に使う成形型のことである。成形型の材質としては特に限定されず、所望の寸法精度を賦与することができ、プレス時や充填・硬化・転写の工程で変形がすくなく必要な精度を維持することができ、硬化に影響しないものならよい。例えば金属、セラミックス、プラスチックス等が使用できる。金属型は特にプレス法に使用して好適であり、材質としては焼き入れ鋼やセラミック焼成品のプレス成形型に使用されるものがある。隔壁用ペースト材中の無機物によって磨耗するので、表面硬度を向上する処理を施したものが好ましい。セラミックス、プラスチックス、ゴム等の型は充填・硬化・転写法に使用して有用である。セラミック型は熱膨張率が小さく、硬度が高い。このため充填・硬化・転写法において、隔壁用ペーストとして加熱融解−冷却硬化型のものを使用する場合に有用である。その材質としては、窒化珪素、アルミナ、ジルコニア等がある。プラスチック型の材質としては、各種のエンジニアリングプラスチックのうち硬度が高く、靱性が高く、ペーストとの付着性が低いものが好ましい。例えば、デルリン(登録商標)、ターカイト(登録商標)、ナイロン等がある。また、フッ素樹脂、シリコーン樹脂は、ペーストとの付着性が低いプラスチック型として使用できるが、その特性を生かして他の材質の表面を被覆した状態で使用しても有用である。またシリコーンゴム等のゴム型はガラス基板の厚さムラや凹凸が激しい際に有用である。
【0021】
本明細書においてメッキ金属易剥離性材料とは、その表面上にメッキされた金属が容易に剥離できるような材料を示し、基本的には金属・合金の酸化物、金属・合金の窒化物で導電性があるものが適合する。例えば、酸化錫、酸化インジューム、酸化クロム、酸化鉄、酸化ニッケル、窒化チタン、窒化クロムである。中でも、クロムやクロム合金類は空気中で緻密な酸化膜が自然に形成され、メッキ金属が容易に剥離するので好適である。とりわけ、ステンレス鋼や、ニッケルの上に形成されたクロムメッキ膜が好適であるが、これらに限るわけではない。また窒化チタンは硬度が高いので耐磨耗の点で好ましい。
本明細書において、メッキとは電気メッキ、無電解メッキ、真空メッキのことをいう。真空メッキとは真空中で金属を蒸発させたり、スパッターしたりして、基板に析出する方法を示し、例えば、各種の蒸着法、スパッターリング法を含む方法である。
【0022】
電極材としては、銀、Ni、銀−パラジューム合金、Al,Cr−Cu−Crの積層構造が使用されることが多い。本発明でメッキ金属易剥離性材料を使用した成形型の場合には、電極構造を金属の多層とすることも可能であり、有用な場合がある。例えば、電極がプラズマにさらされる場合、耐久性の点でNiが使用されることが多い。その場合、電気抵抗の点から、膜厚をかなり厚くする必要がある。たとえば、プラズマ・アドレス液晶表示装置においては、数10μm の厚さが必要である。その場合に、Ni−Agの2層メッキ構造とし表面をNi層にすれば、総厚数μm で十分である。また、Ni−Cuの2層構造も可能であり、低コスト化に有効である。
【0023】
本明細書においてUV硬化ペースト硬化物易剥離性材料とは、その上にUV硬化ペーストを塗布することが可能であり、かつそのUV硬化ペーストをUV光で硬化した後に、容易に剥離できるような材料を示す。基本的には、官能基がほとんどないか、少ししかない材料である。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、エポキシメラミン、ポリビニルアルコール−重クロム酸硬化物等であるが、これらに限るわけではない。
【0024】
本明細書においてUV硬化ペーストとは、基本的には紫外線を照射すると硬化するペーストである。例えば、単官能モノマーと多官能モノマーと光重合開始剤とを含むものである。その中でも、硬化した後に官能基がほとんど無くなるか、あるいはかなり少なくなる組成のものが好ましい。さらに、電極を形成するペースト材料の場合には導電材料として、銀、ニッケル、銀−パラジューム、金、銅、アルミニューム、タングステン、モリブデン等の粉末を含む。さらにPDPの電極のように焼成するタイプのものの場合には、ガラスフリットとアルミナ等の無機材料の粉末を含む。その組成は、例えば特公昭61−52866に開示されているものである。
さらに詳しくは、単官能モノマーとしてはアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、メチルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどがある。多官能モノマーとしてはエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート、等がある。光重合開始剤としては例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシフェニルケトン、2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸、2,2−ジエトシキアセトフェノン、2−メチルチオキサントン、等がある。
ガラスフリットの組成は主としてガラス基板との熱融着性によって決められるが、組成例としてはホウ珪酸鉛ガラス系、ホウ珪酸亜鉛ガラス系、ホウ珪酸ビスマスガラス系がある。
【0025】
無機粉末の成分としては、例えばアルミナ、マグネシア、ジルコニア、酸化鉄、酸化クロム、酸化チタン等がある。
また、上記のUV硬化ペースト硬化物易剥離性材料との組み合わせによって剥離強度が若干異なるので、用途に応じて選択することが好ましい。
【0026】
本明細書において、電極部の選択的形成とは、メッキの場合には明確であるが電極用ペーストを使用する場合には、電極部以外にも同時に電極用ペーストを塗布した時に、電極部のみに電極用ペーストが載り、その他の隔壁形成面には載らないことをいう。ここで、塗布方法としては、ロールコート、スクリーン印刷、ブレードコートがある。さらに、選択的形成の別の方法として、塗布した場合には電極部以外にも電極用ペーストが載ったとしても、該ペーストを硬化した後に不要部分だけを圧縮空気の吹きつけたり、弱粘着性のテープ等で剥離したりして、除去することが可能な場合には、その方法を含む。
【0027】
成形型の所定位置に所定の形状の電極形成部を形成する方法については、メッキ電極とするか、またはペースト電極とするかで、当然方法が異なるが、さらに型の材質によっても好適な方法が異なる。メッキ電極の場合、成形型がステンレス鋼材なら、電極形成部は、成形型の材質であるステンレス鋼が露出し、電極形成部以外が電気の不良導体、または無電解メッキ形成不能材で被覆されていればよい。プラスチック成形型に使用するプラスチックはこれに該当する樹脂である。特に有用なものはシリコーン樹脂やフッ素樹脂である。実際に形成する方法としては、フォトリソ法によって成形型の原型の所定部をフォトレジストで覆い、次に全面にシリコーン樹脂やフッ素樹脂やその他の上記のプラスチックの膜を形成する工程を行い、その後フォトレジストを溶解して不要部のプラスチック膜を剥離する方法がある。また、該成形型が焼き入れ鋼等の金属型である場合は、電極形成部分の表面をクロムメッキ面とすることが好ましい。その他の部分はステンレス鋼の場合と同様である。
【0028】
ステンレス鋼以外の金属材では、ステンレス鋼材と同様の方法によって所定部分をメッキ可能部分とし、そこをクロムメッキして、電極形成部とする。なお、クロムメッキの下地として、通常の手順である銅メッキ、ニッケルメッキを単独、または順次施してもよい。最終の表面がクロムメッキ面であれば、剥離容易面となるのでよい。すなわち、表面が剥離容易面になるなら、下部に剥離容易面を形成をするための処理材があってもよい。
【0029】
成形型の材質がセラミック材、プラスチックスの場合の一例は、先ず所定部分を無電解メッキ可能部とする。その方法例としては、▲1▼全体を無電解メッキ法において感受性化処理と呼ばれる処理を施し、次に同様に活性化処理を行い、その後所定部以外をシリコーン樹脂、フッ素樹脂等の無電解メッキ不活性材で覆う、あるいは▲2▼先ず所定部以外を無電解メッキ不活性材で覆い、所定部分に上記の処理を施す、がある。次に無電解Niメッキを行いさらにクロムメッキを重ねて、電極形成部とする。また、別の方法例としては、ステンレス鋼板や表面がクロムの板を所定部分を覆うように貼りつけ、不要部分をフォトリソ法を利用した方法でエッチングで除去したり、レーザ加工法で除去する方法がある。
【0030】
図7(e)(f)の位置に電極形成部を設ける方法を以下に記す。成形型の隔壁形成面全面を上記の方法で電極形成が可能な表面とする。次に隔壁形成面の全面にネガ型フォトレジストを被覆する。ついで、図16に示すように、成形型の斜め方向から光を照射する。フォトマスクは使用しない。隣接する隔壁形成部が部分的に遮光するので、側面の所望部分と上面が露光する。未露光部分を現像除去し、シリコーン樹脂やフッ素樹脂等を塗布し硬化する。次に、露光した部分のフォトレジストを剥膜除去する。最後に上面にシリコーン樹脂やフッ素樹脂等のを塗布し硬化する。
【0031】
UV硬化ペーストの硬化物が容易に剥離する材料面を形成する方法としては、例えば、成形型材が何であっても、UV硬化ペースト硬化物易剥離性材料を表面とするフィルムを所定部分を覆うように貼り付け、不要部分をレーザ加工法で除去する方法がある。一方、UV硬化ペースト硬化物易剥離性材料を直接形成する方法としては、例えば、所定部分をフォトレジストで形成し、その他の部分をシリコーン樹脂、フッ素樹脂で被覆したのち、フォトレジストの上にUV硬化ペースト硬化物易剥離性材料を塗布し硬化する方法がある。シリコーン樹脂、フッ素樹脂上にはみ出たUV硬化ペースト硬化物易剥離性材料は、硬化後、容易に剥離除去することができる。エポキシメラミン系樹脂等の剥離面形成材は成形型の表面に直接形成する場合もあるが、ポリエチエンテレフタレート等のフィルムの表面に原材料塗布・硬化の順によって形成し、それを成形型の所定部分へ貼る方法もある。
【0032】
図6乃至7に、本発明による電極部を有する成形型の断面構造の例を示す。セルの底面に1本または2本の電極形成部を有するものや、隔壁の側面部分に電極部があるものも形成可能である。
また、隔壁の断面が、図6乃至7の成形型の断面構造図等において示されているが、それに制限されない。成形型を使用する利点の一つは、成形型を作成し得る範囲でかつ、隔壁を型から離型しうる範囲で、隔壁の断面形状を精密、正確に調整できる点である。例えば、断面形状が台形、半円形、半楕円形、放物面のものでもよい。
【0033】
電極部用ペーストとしては、溶剤型電極用ペースト、例えば(株)ノリタケ カンパニー社製のNP4731A、Du Pont 社製の#7713がある。また、UV硬化型の電極用Agペーストとして(株)ノリタケ カンパニー社製のNP4700A、Du Pont 社のDC201,DC202がある。電極材としてはこれらのペーストを電極形成部の上にスクリーン印刷等で選択形成したものや、メッキ法で形成したものが使用できるが、これらに限るわけではない。メッキ法には無電解メッキ法も含まれる。金属電極の上に絶縁層がある構造とする方法を以下に述べる。まず、UV硬化樹脂易剥離型表面部分にUV硬化樹脂で剥離層を形成し、次に絶縁層ペースト層を形成する。その上に無電解メッキを行うために電極形成部に無電解メッキの触媒をスクリーン印刷法等で選択形成する。次に無電解メッキを行う。さらに要望に応じて電気メッキをその上に施すこともできる。
【0034】
本発明の成形型に関連する隔壁形成用ペーストは、焼成後に隔壁となる無機成分とペースト状態とするための有機成分よりなる。無機成分としては、骨材としてアルミナ、ジルコニア、チタニア、等の酸化物系セラミックスや窒化珪素、窒化チタン等の非酸化物系セラミックスがある。焼結助剤としてはシリカ、カルシア、イットリア、マグネシア、等があり、ガラス分としてはホウ珪酸鉛系のものが普通であるが、鉛を含有していないホウ珪酸ビスマス系でも、焼成時にひび割れ発生等の問題が発生しなければ使用可能である。これらの無機成分の粉末の粒径の上限は、隔壁の巾であり、下限は別にないが実際には0.1μm 程度が下限である。好ましくは0.2μm 〜5μm の範囲のものである。
有機成分としては、硬化し、かつ焼成時に完全に消失し、炭素残渣を残さないことが必要である。ただし硬化と言っても、離型時に形状が変形しない程度の固さであればよい。このため、硬化させることができるものと、硬化しないものを混合し、硬化性を持たせることも可能である。硬化の方法としては、溶剤蒸発硬化(固化)、加熱硬化、UV硬化(紫外線照射硬化)、電子線(EB)照射硬化等がある。迅速性の点でUV硬化が望ましい。この場合、硬化する厚さを所定量に達するようにするため、強力な光源が必要である。実際には、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、セルロース系樹脂がある。無機成分と有機成分の割合は、乾燥時や焼成時の収縮によるヒビ割れ等の欠陥発生に関連し、無機成分が多いほど好ましいが、通常は重量%で無機成分が80〜95%程度である。
【0035】
転写の際に用いる接着剤のビヒクル分としては、焼成ペーストのビヒクル分と同じ特性が要求される。例えば、焼成した場合に炭素の残渣が発生したりして焼成に悪影響を及ぼさない完全燃焼型のものであることが必要である。実際にはアクリル系、セルロース系が該当するが、使用できるがこられに限るわけではない。硬化の型としては、2液硬化型、加熱硬化型、加湿硬化型、UV硬化型、粘着型等が使用できる。特に好ましいのはUV硬化型であり、ガラス基板側からUV光を照射することにより、極く短時間で硬化することができる。このため、成形型とガラス基板を重ね合わせたものを、短時間でアライメント装置からはずすことができる。また、電極、特に金属電極、のガラス基板への接着性を向上するために、ガラスフリットを混合することもある。ガラスフリットは、焼成時に融解
してガラス基板と金属電極の間の接着を確実にする。
【0036】
さらに、本出願の成形型を使用する充填・硬化・転写法では、隔壁用ペーストの硬化の時期は成形型とPDPの基板を重ね合わせる前であっても、後であってもよい。特開平9-147754には、重ね合わせた後だけが開示されているが、本発明の成形型を使用する充填・硬化・転写法においては、接着材を使用しているので、重ね合わせの前でも不都合でない。重ね合わせの前に硬化することの利点のひとつは、余分な部分へ付着した隔壁形成用ペーストを除去することが容易になる点である。また、ペースト中の溶剤の除去や硬化が容易になる点も利点である。また特開平9-147754には隔壁用ペーストを成形型に充填後、固化すると記してあるが、本明細書においては硬化は固化も含むものであるとする。
【0037】
さらに、本出願の成形型を使用する充填・硬化・転写法では、隔壁用ペーストの部分硬化物が転写に必要な接着力を有する場合には、別に接着剤を使用せず転写することが可能である。この場合、本出願の成形型を使用する充填・硬化・転写法においては該部分硬化隔壁ペーストを接着剤であるとする。
【0038】
【実施例】
本発明の発明の実施例を以下に記す。
<実施例1>
最初に、電極形成部が硬化ペースト易剥離性材料で形成されている成形型(図10(1))の製造方法について、図8乃至9に基づいて述べる。先ずプレス法に使用される金属製成形型10を用意し、ポジ型のフォトレジスト100を塗布する(図8-a)。次に電極形成部が遮光部であるフォトマスクを用い、アライメント露光する(図8-b)。これを現像すると、電極形成部だけにフォトレジストが残る(図8-c)。次に、シリコーン系離型剤やフッ素系離型剤を全面にスプレーコートし、加熱して焼き付ける(図8-d)。次に、露光して電極形成部上のフォトレジストを現像液に可溶とし、現像液を使用して除去する( 図9-e)。その後、電極形成部にエポキシ系接着剤とその上にエポキシメラミン系樹脂を塗布し、硬化する。所定の電極形成部分からはみ出たものは、セロテ−プ等で引き剥がして除去する。フッ素系離型剤がない部分、すなわち電極形成部だけにUV硬化ペースト硬化物易剥離性材料の層が形成される(図9-f)。最後に、プレス時の高さを調整するために周囲にスペーサを貼着する(図9-g)。
【0039】
次に、プラズマ表示装置の背面基板で、電極部の上に絶縁層がある形状のものを、この型を使用したプレス法で形成する方法を、図10によって説明する。図10(1)はこの型にUV硬化型絶縁層形成用ペースト15をスクリーン印刷法で形成した状態である。スクリーン版はパターンを形成していないベタ版を使用する。UV硬化型絶縁層形成用ペースト15は電極形成部すなわちUV硬化ペースト硬化物易剥離部14だけに選択的に塗布される。その他の部分はシリコーン樹脂またはフッ素樹脂であるのでUV硬化型絶縁層形成用ペースト15は付着しない。次に、このUV硬化型絶縁層形成用ペースト15をUV硬化する。さらに、その上に、市販の溶剤型電極用ペースト18を同様にベタ版でスクリーン印刷し、乾燥する。溶剤型電極用ペースト18はUV硬化型絶縁層形成用ペースト15の上にだけ選択的に付着する。別に、背面基板用のガラス板に隔壁用のペーストを全面にベタにスクリーン印刷する(図10(2))。このガラス基板と型を合わせ、プレスする。この場合に必要なアライメント精度は、せいぜい500μm であるので、3ピン等の当て治具で充分に位置合わせできる(図10(3))。また、プレス時のガラス基板とプレス型の間隔は型の周囲に設けたスペーサで調整する。所定のプレス条件を経過させた後、型を離型すると隔壁が形成され、さらにUV硬化ペースト硬化物易剥離層14とUV硬化型絶縁層形成用ペースト15の界面が剥離し、電極用ペースト18とUV硬化型絶縁層形成用ペースト15は隔壁形成用ペースト側に移る(図10(4))。
【0040】
このようにして、基板の上に電極と隔壁を形成する。電極と隔壁の相対位置の精度は成形型上の電極形成部と隔壁形成面の相対位置精度に同じく、アライメント露光時の精度であるが、略±5μm であった。基板間やロット間のバラツキはない。ただし、成形型間のバラツキはある。しかし、成形型を形成する際は、それなりに手間をかけることが可能なので、精度の高いものが形成できる。従って、バラツキを小さく抑えることが可能となる。
隔壁形成面と電極形成部の位置精度は、アライメント露光時の精度であるが、略±5μm であった。
【0041】
<実施例2>
本発明の成形型を使用しプラズマ表示装置の背面基板を製造した実施例を以下に示す。
図11の(1)に示す成形型22を以下のようにして形成した。成形型22をステンレス鋼SUS304で形成した。次に、実施例1と同様にして、電極形成部以外の隔壁形成面にフォトレジストの層を形成した。つぎに、シリコーン樹脂系の離型剤(東芝シリコーン製TSM6281)を隔壁形成面全面にスプレー塗布し、所定の条件で焼き付け硬化した。フォトレジストの層を剥離して、本発明の成形型22とした。
【0042】
次にこの成形型22を使用して背面基板の電極部と隔壁部を形成する方法を、図11によって説明する。電極部はメッキ法で形成された金属Agである。成形型の上に形成したクロムメッキ層の上に形成したAgメッキ膜は付着力が弱い。図11(2)はこの型のクロムメッキ部23に無電解メッキ法で電極のAgメッキ24を厚さ10μm 形成した状態と、ガラス基板の上に隔壁形成用ペーストを塗布し乾燥した状態である。成形型の上に形成したクロムメッキ層の上に形成したAgメッキ膜は付着力が弱い。プレス装置でこのガラス基板と成形型をプレスする(図11(3))。位置合わせ精度は実施例1と同様に当て治具を使用することで、充分達成される。所定の処理工程後、成形型を離型すると隔壁形成用ペーストは所望の形状に成形され、Agメッキ層24は成形型から剥離して、ガラス基板上の隔壁形成用ペーストの上に転写される(図11(4))。
【0043】
参考例1
本発明の成形型を使用しプラズマ・アドレス液晶表示装置の背面基板を製造した参考例を以下に示す。
図13(8)に示すシリコーンゴムを母体とする成形型を図12乃至13に示した方法で作製した。先ず、所望の隔壁の形状を有する金型母型を切削法により作成する(図12(1))。そこへ型取り用の室温硬化型シリコーンゴムの原液(例えば東芝シリコーン(株)製のTSE3450)に所定の硬化剤を所定量添加したものを注ぎ込み、真空脱泡してから(図12(2))、厚さ0.3mmのインバー合金170の板をプライマー180(例えば東芝シリコーン(株)製ME151)を塗布した状態で重ね合わせ、プレス状態で放置する(図12(3))。シリコーンゴムが硬化してから金型母型を取り外す(図12(4))。次にこの凹部を有するシリコーンゴムの表面に厚さ0.1mmのSUS304の板190を貼り合わせる(図12(5))。接着剤としては縮合型の室温硬化型のシリコーンゴム(例えば東芝シリコーン(株)製の「トスシール#371」)を用いる。続いて、SUS板190の上にドライフィルム型エッチングレジスト191(例えばニチゴーモートン社製アルフォNCP225)を貼り合わせ、開口部が電極形状であるフォトマスク192で露光し(図13(6))、現像し(図13(7))た後、第二塩化鉄の液でエッチングすると、所望の電着金属易剥離性電極形成部を有する充填・硬化・転写法用の成形型が得られる(図13(8))。ただし、露光時には、隔壁部分と電極部分のアライメントが必要である。また、エッチング時にはインバー合金もエッチングされるので、エッチング防止フィルムで覆っておく。
【0044】
次にこの成形型を使用してプラズマ・アドレス表示装置の背面基板の電極部と隔壁部を形成する方法を、図14乃至15によって説明する。プラズマ・アドレス表示装置の電極は耐スパッター性を要求される。本実施例ではメッキ法で形成された金属Niである。成形型の電極形成部のステンレス鋼SUS304材とその上に形成したNiメッキ層の間の付着力が非常に弱いことを利用している。
図13(8)の成形型のSUSの表面に無電解メッキの感受性化処理と活性化処理を引き続き施し、無電解メッキが可能な状態にする(図14(1))。この成形型の電極形成部に無電解メッキ法で電極のNiメッキ195を厚さ10μm 形成する(図14(2))。その上に無電解Agメッキ196を厚さ5μm 施す(図14(3))。次に、この型の隔壁形成部にUV硬化型の隔壁用ペースト198を充填し硬化する。充填・硬化する方法は、まず該隔壁用ペースト198をシリコーン系離型膜を形成してあるポリエステルフィルム197の上に塗布し、真空容器199の中で成形型と貼り合わせ(図14(4))、大気中に取り出し、ゴムロールでしごいて余分のペーストを周辺部へ排除し、ポリエステルフィルム197側からUV光を照射してペースト198を硬化し(図15(5))、ポリエステルフィルム197を除去し、成形型の周辺部にある不要のペースト硬化物を粘着テープで除去する方法である(図15(6))。別に、ガラス基板にガラスフリット(例えば岩城硝子社製#7570)を30wt%含有させたアクリル系UV硬化型の接着剤を厚さ20μm 塗布し、上記の隔壁用ペースト198が充填・硬化された型と貼り合わせる。その際、気泡が混入しないように、端から順次貼り合わせる。ガラス板面からUVを照射し、該アクリル系UV硬化型の接着剤を硬化する(図15(7))。位置合わせ精度は実施例1と同様に当て治具を使用することで、充分達成される。所定の処理工程後、成形型を離型すると隔壁形成用ペースト198は所望の形状に成形され、Niメッキ層195は成形型から剥離して、ガラス基板上の隔壁形成用ペーストの上に転写される(図15(8))。焼成すると、接着剤中のガラスフリットは溶融して透明になり、かつAg+Ni層と隔壁層をガラス基板に固着する。
【0045】
【発明の効果】
1、電極と隔壁の相対的位置の精度が向上するので、放電セル毎の放電状態のバラツキが減少する。その結果、画面の表示ムラが減り、PDPパネルの表示品質が向上する。また性能も安定し、大サイズ化に有効である。さらに、放電電圧の巾を狭くとることができるので、駆動回路の設計が容易になり、コスト低減に有効である。
2、金属電極を使用することができるので、同一の電流を流すための電極巾を細くすることができる。
3、焼成回数が減る。
隔壁を形成する際、従来の方法では電極部の形状の乱れを防止するために、電極ペーストを予め焼成しておく必要があった。本発明の方法ではその必要はない。すなわち、電極部としてメッキ金属を使用した場合はこの問題は全く発生しない。また、電極用ペーストを使用する場合でも、後に示すように溶剤を含む隔壁用ペーストとの接触が全くないか、あるいはほとんどないので、問題にならない。従って、電極用ペーストを隔壁用ペーストと同時に焼成する工程を採用することが可能であり、低コスト化に有効である。
4、焼成条件の管理を緩くすることができる(焼成によるガラス基板の伸縮を考慮する必要がない。)。普通のソーダライムガラスを使用することが容易になる。
5、電極の位置を隔壁の側面にも形成するとができる。従って、設計の自由度が上がり、新規な構造を採用することが容易になる。
6、従来この目的で使用されていた成形型よりも寿命が長くなる。成形型は使用するに従って、磨耗する。隔壁形成用ペーストの成分にガラスフリットや酸化物の粉末が入っているからである。しかし、本発明の成形型において、表面がシリコーン樹脂やフッ素樹脂で被覆されているものは、時々検査して、皮膜が磨耗しているなら、再被覆することができる。また、電極形成部も再形成することができる構造とすることができる。成形型は高価なので、これは有効な手段である。具体的には、従来型のプレス法用の成形型の寿命が金型の場合1万回程度であったのに対し、本発明の成形型では再生することができるので3万回以上の寿命である。
なお、本発明の方法は、プラズマ表示装置の前面基板に同様な構成の電極と隔壁がある場合には、その製造においても使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 プラズマ表示装置の構造
【図2】 プラズマ・アドレス液晶表示装置の構造
【図3】 プラズマ・アドレス液晶表示装置の製作プロセスとガラス基板上の電極と隔壁
【図4】 従来のプレス法によるプラズマ表示装置の隔壁の製造方法
【図5】 従来の成形型への充填・硬化・転写法によるプラズマ表示装置の電極と隔壁の製造方法
【図6】 本発明による電極形成部を有する成形型の断面構造の例
【図7】 本発明による電極形成部を有する成形型の断面構造の例(図6の続き)
【図8】 本発明によるUV硬化ペースト硬化物易剥離性電極形成部を有するプレス法用成形型の製法
【図9】 本発明によるUV硬化ペースト硬化物易剥離性電極形成部を有するプレス法用成形型の製法(図8の続き)
【図10】 本発明の成形型を使用したプラズマ表示装置の隔壁と電極の製造方法(1)
【図11】 本発明の成形型を使用したプラズマ表示装置の隔壁と電極の製造方法(2)
【図12】 本発明によるシリコーンゴムを母体とする成形型の製造方法
【図13】 本発明によるシリコーンゴムを母体とする成形型の製造方法(図12の続き)
【図14】 本発明の成形型を使用したプラズマ・アドレス表示装置の隔壁と電極の製造方法
【図15】 本発明の成形型を使用したプラズマ・アドレス表示装置の隔壁と電極の製造方法(図14の続き)
【図16】 本発明による成形型の型部上部だけ露光する方法(UV光を角度をつけて2方向から露光する)
【符号の説明】
1・・・プラズマ表示装置の前面基板
2・・・プラズマ表示装置の背面基板
3・・・隔壁
4・・・絶縁層
5・・・蛍光体
6・・・電極
7・・・電極
8・・・ガラス基板
9・・・隔壁形成用ペースト
10・・・成形型
11・・・隔壁
12・・・絶縁層
13・・・成形型
14・・・UV硬化ペースト易剥離層
15・・・UV硬化絶縁体層ペースト
16・・・隔壁形成用ペースト
17・・・ガラス基板
18・・・溶剤型電極ペースト
19・・・フリットシール
20・・・薄ガラス
21・・・カラーフィルタ
22・・・成形型
23・・・クロムメッキ層
24・・・Agメッキ層
25・・・隔壁形成用ペースト
26・・・ガラス基板
27・・・プラズマ・アドレス液晶表示装置の1組の電極対
28・・・プラズマ・アドレス液晶表示装置の隔壁
30・・・隔壁成形型
30a・・・電極形成面
30b・・・隔壁形成面
31・・・隔壁用ペースト
32・・・電極材
40・・・PDP用の基板
60・・・隔壁形成面
80・・・電極形成部
90・・・アライメントマーク
100・・・ポジ型フォトレジスト
110・・・エポキシメラミン樹脂
120・・・エポキシ系接着剤
130・・・被切削金属材
140・・・台
150・・・シリコーンゴム材
160・・・プレス用板
170・・・インバー合金板
180・・・プライマー
190・・・SUS304板
191・・・フォトレジスト
192・・・フォトマスク
194・・・活性化処理
195・・・Ni無電解メッキ
196・・・Ag無電解メッキ
197・・・離型剤つきポリエステルフィルム
198・・・UV硬化型隔壁用ペースト
199・・・真空チャンバ
200・・・偏光板
210・・・カラーフィルタ
220・・・信号電極
230・・・液晶
240・・・絶縁膜(ガラス)
250・・・隔壁
260・・・プラズマアドレス基板
270・・・偏光板
280・・・走査電極(カソード)
290・・・走査電極(アノード)
300・・・バックライト
310・・・未露光部
320・・・露光部
400・・・ガラス基板
410・・・ガラスフリット入りUV硬化接着剤
420・・・周辺スペーサ部
0 ・・・UV光

Claims (4)

  1. メッキ金属からなる電極および隔壁および前記隔壁間に形成された放電セルを有するプラズマ表示装置の背面基板の前記隔壁および前記電極を形成するための成形型であって、前記隔壁の形状に合致した凹部と前記放電セルの底部に合致した凸部を有する成形型であり、前記凸部にある電極形成部が金属・合金の酸化物あるいは窒化物であり、かつ導電性のあるメッキ金属易剥離性材料から形成されており、前記凸部と前記凹部の表面から構成される隔壁形成面のうち前記電極形成部以外の領域がフッ素樹脂またはシリコーン樹脂で覆われていることを特徴とする成形型。
  2. 電極用ペーストから形成される電極および隔壁および前記隔壁間に形成された放電セルを有するプラズマ表示装置の背面基板の前記隔壁および前記電極を形成するための成形型であって、前記隔壁の形状に合致した凹部と前記放電セルの底部に合致した凸部を有する成形型であり、前記凸部にある電極形成部の表面がUV硬化ペーストの層と、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、エポキシメラミン、ポリビニルアルコール−重クロム酸硬化物のいずれかからなる層とからなり、前記凸部と前記凹部の表面から構成される隔壁形成面のうち前記電極形成部以外の領域がフッ素樹脂またはシリコーン樹脂で覆われていることを特徴とする成形型。
  3. メッキ金属からなる電極および隔壁および前記隔壁間に形成された放電セルを有するプラズマ表示装置の背面基板の前記隔壁および前記電極を形成するための成形型であって、前記隔壁の形状に合致した凹部と前記放電セルの底部に合致した凸部を有する成形型であり、前記凸部にある電極形成部がステンレス鋼またはクロムまたはクロム合金からなるメッキ金属易剥離性材料から形成されており、前記凸部と前記凹部の表面から構成される隔壁形成面のうち前記電極形成部以外の領域がフッ素樹脂またはシリコーン樹脂で覆われていることを特徴とする成形型。
  4. 前記電極形成部が、前記凸部の上端面全面でなく、一部分であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の成形型。
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