JPH10315653A - 印刷用ブランケットとそれを用いる微細画像印刷法 - Google Patents

印刷用ブランケットとそれを用いる微細画像印刷法

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JPH10315653A
JPH10315653A JP15009997A JP15009997A JPH10315653A JP H10315653 A JPH10315653 A JP H10315653A JP 15009997 A JP15009997 A JP 15009997A JP 15009997 A JP15009997 A JP 15009997A JP H10315653 A JPH10315653 A JP H10315653A
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JP15009997A
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Masaaki Tsuboi
當昌 坪井
Akira Iwashita
晃 岩下
Kenichi Takita
健一 瀧田
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
TOYO SHIGYO KK
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高いインキ転移率と細線再現性を備えたブラ
ンケットおよびそのブランケット用いる微細画線印刷法
を提供する。 【解決手段】 フェニル基のモル含有量が3〜12%の
フェニルメチルビニルポリシロキサンと、比表面積50
m2/g 以上の補強性微粒子シリカと、平均粒径0.1〜5
μmの石英微粉末とを含有するシリコーンゴムからなる
表面ゴム層5aを有する印刷用ブランケット5、および
それを用いて凹版1に充填されたインキ3を被印刷物上
に転移させることからなる微細画線印刷法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高精度の細線ある
いは画素のパターンからなる画像を形成する方法に関
し、特に半導体素子回路の製造などに使用されるレジス
トパターンあるいは大面積のディスプレイパネル基板上
に、電子回路あるいは高精度のカラーフィルタパターン
を形成するのに適した印刷用ブランケットとそれを用い
る微細画像印刷法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体素子回路の製造に使用されるエッ
チング用のレジストパターンの形成や、液晶ディスプレ
イやプラズマディスプレイなどのカラーフィルタあるい
はプラズマディスプレイのセルの隔壁などのパターン形
成においては、画線や画素の微細化とともに基板の大型
化や量産化が求められるようになった。このような要求
に対して、現行のフォトリソグラフィでは、大型露光装
置の開発や設備投資に莫大な費用がかかり、しかもフォ
トマスクの適用サイズには限界があるなどの問題があ
る。したがって大型製品の製造においては、フォトリソ
グラフィ以外の方法として、所定のパターンに相当する
形状の凹部を形成した凹版を作製し、この凹版に充填し
たインキに光を照射してインキを硬化あるいは半硬化さ
せ、被印刷体に直接転写するか、あるいはブランケット
に転写してから被印刷体に再転写する印刷方法が用いら
れる。この方法は、パターンの形状が精緻で平坦であ
り、装置の大きさによる制約がなく、量産効果が高く、
低コストである点で優れている。
【0003】このような印刷方法として、ブランケット
にシリコーンゴムを用い、液晶カラーフィルタ用の着色
層(線幅約100〜300μm)を凹版オフセット方式
により印刷する例が、特開昭62−85202号公報に
開示されている。別の方法として、例えば凹版に光で硬
化するインキを充填し、次いでインキの少なくとも表層
部が半硬化状になるようにインキに露光してブランケッ
トへの転移を容易にし、その後に被印刷体に転移する例
も特開平3−19889号公報に開示されている。
【0004】一般にブランケットは、版からインキを受
理し、そのインキを被印刷体に転移させるという機能を
有している。ブランケットの特性は、印刷画素の形状の
再現性や連続印刷を行うときの安定性に大きな影響を与
える。シリコーンブランケットは臨界表面張力が低く、
インキに対するぬれ性が低いため、ブランケットから被
印刷体へのインキの転移率は高く、連続印刷の場合に安
定性は増大するが、その反面、凹版からブランケットへ
のインキ受理性が悪く、ブランケット上でインキがはじ
かれることも認められている(特開平6−122186
号公報)。このようにインキに対するぬれ性が低いシリ
コーンブランケットを用いる場合には、カラーフィルタ
における線幅の小さいブラックマトリックスや、細い電
気回路の配線などの印刷では画線が切れる懸念があっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】大型液晶ディスプレイ
のカラーフィルタ、プラズマディスプレイのセル隔壁、
あるいは電子回路形成用のパターンなどの場合には、線
幅は通常200μm以下、位置精度は±1〜10μmの
レベルが要求され、そのために凹部の形状を忠実に再現
するインキパターンを形成し、これを高い位置精度で被
印刷体に完全に転移させ得る印刷材料と印刷法が求めら
れてきた。
【0006】特開昭52−4311号公報に開示されて
いる凹版インキと通常のシリコーンゴムの系、あるいは
特開平3−19889号公報に開示されているようにブ
ランケットに接する表面を光で半硬化状態にしたインキ
と通常のシリコーンゴムの系を用いた場合においても、
凹版に充填されたインキはブランケットに充分に転移せ
ず、転移不良が生ずることがあった。さらに特開平8−
72384号公報に示されているような離型処理を施し
た凹版を用いてインキを凹版からブランケットに転移し
易くしても、通常のシリコーンゴムをブランケットに用
いた場合には、多くの画線群を有するパターンではイン
キが完全には凹版からブランケットに転移せず、また転
写されてもパターンの線幅が細くなったり、エッジ精度
が良好でないことがあった。また連続印刷を行う場合
に、印刷画像の形状や転移率などの安定性が良好ではな
かった。本発明は、上述の事情に鑑み検討を行った結果
なされたものであり、微細なパターンを再現性良く印刷
し、連続印刷の場合においても安定な印刷が可能な印刷
用ブランケットと、それを用いる印刷方法を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【問題を解決するための手段】上記の目的を解決して、
20μm程度の最細線あるいは画素から300μm程度
の細線あるいは画素を再現性良く印刷するために、本発
明においては、図1(C)に示すように、ブランケット5
の最外層を構成する表面ゴム層5aとして、フェニル基
のモル含有量が3〜12%のフェニルメチルビニルポリ
シロキサンと、比表面積が50m2/g 以上の補強性微粒
子シリカと、平均粒径0.1〜5μmの範囲のものを9
5%以上含む石英微粉末とを含有するシリコーンゴムを
用いる構成とした。
【0008】ここで、フェニルメチルビニルポリシロキ
サンのフェニル基のモル含有量は、より好ましくは5〜
10%である。フェニル基含有量が3モル%より低い
と、ブランケットと接するインキの表面を半硬化状態に
した場合でも、凹版からブランケットへの転移不良が起
こり易く、これは凹版に離型層を設けた場合でも同様で
あった。また、フェニル基含有量が12モル%より大き
い場合には、ブランケット表面の粘着性が大きすぎ、ブ
ランケットから被印刷体への転移が不充分になり易い。
3モル%以上、5モル%未満では、インキの種類によっ
ては、印刷枚数が少ない場合には凹版からブランケット
への転移が良好であっても、連続印刷において印刷枚数
が多くなると、転移状態が若干低下する傾向を示す。ま
たフェニル基含有量が10モル%より大きい場合には、
フェニル基の含有量が大きくなるに従い粘着性が増す傾
向がある。連続印刷の安定性の観点からは、フェニルメ
チルビニルポリシロキサンのフェニル基含有量は5〜1
0モル%であることが最も好ましい。
【0009】微粒子シリカは、一般にシリコーンゴムの
補強に用いられているものであり、煙霧質シリカ、沈降
シリカ等を使用することができる。微粒子シリカの比表
面積は50m2/g 以上であり、より好ましくは100〜
400m2/g である。比表面積が小さい場合にはゴムの
機械的強度が不足し、大きい場合には物性が向上せず、
さらにポリシロキサンとシリカとを混合することが困難
になるため、いずれも好ましくない。石英微粉末は、ブ
ランケットの表面ゴム層に耐摩耗性を付与するためのも
のであり、また、その粒径が5μmより大きい場合に
は、ブランケット表面の平滑性が低下し、インキ転移性
能にばらつきが生じるので好ましくない。
【0010】カラーフィルタ用の画像を印刷する場合に
は、ブランケット表面のシリコーンゴムの表面粗度が、
平均粗さ(Ra)1.0μm以下であることが好ましい。
平均粗さが1.0μmを超えると、印刷像の解像力やエ
ッジの精度が低下して、ディスプレイの透過率を下げた
り、彩度を低下させる。また、コントラストを低くする
などの問題を生ずる懸念がある。フェニル基のモル含有
量が3〜12%のフェニルメチルビニルポリシロキサン
と、比表面積が50m2/g 以上の補強性微粒子シリカ
と、平均粒径が0.1〜5μmの石英微粉末とを含有す
るシリコーンゴム層はブランケットの最外層を形成する
が、そのまま基体を兼ねてもよいし、あるいはアンカー
層を介して基体上に形成してもよい。また高硬度の弾性
体の圧縮層の上に形成してもよい。この場合、アンカー
層は、綿布層の上またはシランカップラー剤を含むポリ
マー層の上に形成することもできる。なお、圧縮層を有
しない、いわゆるソリッド型のブランケットは、微細画
線を印刷するときに好ましいものである。本発明のブラ
ンケットの最外層を構成するシリコーンゴム層の厚さは
0.1〜10mmである。薄すぎると機械的強度が低い
ため、通常0.5μm以上が好ましく、また厚すぎると
画線の寸法精度が低化するので3mm以下が好ましい。
【0011】本発明のブランケットを用いる印刷方法は
次の通りである。まず、カラーフィルタ、プラズマディ
スプレイのセルあるいは電気回路などの所望のパターン
が形成された凹版にインキを充填し、適度の離型性と粘
着性とを有するシリコーンゴムの最外層を有する本発明
のブランケットにインキを転移させ、次いでブランケッ
トから被印刷体にインキを再転移させる。
【0012】以下に、前記のようなブランケットを用い
る印刷方法を、図面を参照して詳しく説明する。図1
(a)から(c)および図2(d)は、本発明の印刷方法の一
実施例を示す略示部分断面図である。まず、光硬化性の
インキ3を凹版1の凹部2に充填し、ドクターナイフ4
あるいはローラー(図示せず)により凹版のショルダー
(非画線部)のインキを除き〔図1(a)〕、次いで、光
源6より紫外線を照射してインキ3を硬化させた後〔図
1(b)〕、ブランケット5にインキ3を転移させ〔図1
(c)〕、さらに被印刷体7に再転移させる〔図2
(d)〕。
【0013】インキとして光硬化性のものを選択使用し
て露光すると、ブランケット5に接する表面層3bは、
硬化したインキとなり、また嫌気性の光硬化性インキを
使用した場合には空気中の酸素による硬化阻害作用のた
めに、ブランケット5に接する表面層3bは露光の程度
により半硬化状で粘着性を帯びたインキとなる。インキ
の内側層3aも硬化したインキからなるため、図1(c)
に示すように、シリコーンゴムのブランケット5を加圧
しながら回転すると、インキは完全に凹版の形状を保っ
た状態でブランケット5に転移する。なお、図1(c)で
は説明の都合上、ブランケット5の直径がインキの膜厚
に比較して小さく、また、インキの厚さが大きく描かれ
ているが、実際にはブランケットの直径はインキの厚さ
より非常に大きいので、ブランケットの表面は版面に対
してほとんど平面的に接することになり、インキは凹版
に充填された形状を保ちブランケットに転移される。
【0014】凹版1には、フォトリソグラフィと湿式あ
るいは乾式のエッチング法とを組み合わせるなどの通常
用いられる方法により、あらかじめ所望のパターンが形
成してある。凹版1に形成した凹部2の幅は3〜300
μm、凹部の深さは2〜200μm程度であり、印刷画
像の用途によって規定される。カラーフィルタの場合の
凹部の深さは、インキ転移のし易さとインキ像の光学濃
度の点から一般に3μm以上が適当であり、またセルの
組立て易さの点から、8μm以下が好ましい。また凹部
の幅は、カラーフィルタの着色層用には70〜130μ
m、ブラックマトリックス用には15〜30μmであ
る。一方、プラズマディスプレイの隔壁用としては、通
常深さ70〜160μmおよび幅30〜100μmであ
る。凹版1の材料としては、金属、ガラス、セラミック
等が挙げられる。また、例えばドクターナイフ4による
損傷を防止するために、これらの材料からなる凹版1の
製版面(ショルダー部および凹部の表面)をクロム、ニ
ッケル等の硬質金属で被覆することも好ましい。被覆法
としては、例えば湿式メッキ法、スパッター法、蒸着法
などが挙げられる。
【0015】凹版1の材質としては剛性材でもよいが、
例えばステンレス鋼、燐青銅やインバー、42合金等の
低膨張性鉄合金などの可撓性のある材質も好ましく用い
られる。また、後に述べる被印刷体7の基板7aとし
て、低膨張率のガラス基板を用いる場合には、ほぼ同じ
程度の熱膨張率をもつ低膨張性鉄合金あるいはガラス
を、凹版1として用いることが望ましい。印刷によりカ
ラーフィルタを作成する場合に、凹版1として被印刷体
のガラスと同程度の熱膨張率を持つ材料が好ましいこと
は、特開平5−323111号公報に記載されている。
この低膨張性の鉄合金は可撓性が高く、被印刷体に多少
の厚さムラがあっても追従が可能であるという利点があ
るからである。上記凹版1の厚さは、材質に合わせて機
械的強度を考慮して適宜選択する。
【0016】インキとブランケットのインキ受理性との
関係によって、凹版1の少なくとも凹部全面、好ましく
は製版面全面に、離型性の良い樹脂層(以下、「離型
層」という)8を形成することが望ましい場合がある。
離型性の良い樹脂層を設けると、この離型層に接触する
光硬化性のインキは離型層から剥れてブランケットに転
移し易く、また転移後の凹版の凹部にはインキが残り難
く、インキ汚れを起こし難い。離型層8の材質として
は、離型性の高いものであれば制限はないが、パラフィ
ン系ワックス、特にテフロン等のフッ素系の樹脂あるい
はシリコーン系樹脂、特に特開平7−72494号公報
および特開平8−72384号公報に開示されているシ
リコーン樹脂が好ましい。上記離型層8のうち、凹部に
形成された部分は、充填されたインキ3をブランケット
5に転移する工程で、インキを凹部に残すことなく、完
全にブランケットに転写するためのものである。また、
凹版1の凸部、すなわち非画像部にも離型層があるが、
これはドクターナイフを引きながら凹部にインキを充填
するときにこの非画像部にインキ3を残さず、かつ連続
印刷のときにインキをブランケットに転移させた後にイ
ンキ汚れを生じ難くするためのものでもある。
【0017】シリコーンゴムのインキ受理性が強い場
合、すなわち、本発明においてシリコーンゴムのフェニ
ル基含有量が7.5モル%よりも高い場合には、ブラン
ケットから被印刷体にインキが完全に転移し得るよう
に、被印刷体7の基板7aの表面に粘着層9を設けるこ
とが好ましい場合もある〔図2(d)〕。ここで用いられ
る粘着層9の材質としては、例えば、粘着過程が溶剤賦
活型、熱賦活型、圧力賦活型、化学反応型等である接着
剤もしくは粘着剤が挙げられる。これら各種の粘着剤等
の中でも好ましいものは感圧粘着剤およびホットメルト
型粘着剤である。このような粘着剤により形成される粘
着層9の厚さは、通常0.1〜10μm、好ましくは0.
3〜5μmである。この厚さが0.1μmよりも小さい
と粘着力が充分でないことがある。一方、10μmを超
えると、特に液晶ディスプレイの場合にパネル封止が困
難になることがある。ここで、粘着層9は、通常、前記
の接着剤、もしくは粘着剤に適当な溶媒を加えて調製さ
れる塗布液を、図2(d)に示す基板7a上に塗布して作
成する。また、粘着層9は、例えば凹版オフセット印刷
法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法などの印刷法を
用いてパターン状に形成することもできる。
【0018】カラーフィルタを作製する場合に、透明な
基板7aの着色層形成面において着色層を設けない部位
に粘着層9が露出することがあるが、その場合には、露
出した粘着層9を常法に従って除去してもよい。除去手
段としては、例えばドライエッチング法、ウエットエッ
チング法、オゾン酸化法、放射エネルギー分解法、溶解
除去法などが挙げられる。ただし、粘着層をパターン状
に印刷すればエッチングの必要はない。また、ブランケ
ット面に接した半硬化インキ層を硬化させるために、ブ
ランケット上で再露光してもよい。
【0019】本発明の方法に使用するインキとしては、
光で硬化あるいは半硬化するインキ、例えば、紫外線照
射により硬化する光硬化性インキが挙げられ、この他に
も、可視光の照射により光重合あるいは光架橋の硬化機
構で硬化する光硬化性インキを使用することができる。
特に酸素の存在により光硬化阻害性を示す光重合開始剤
を用いたインキは、酸素に接している表面は半硬化状態
となり、本発明のブランケットを用いた場合に、微細画
像を再現性良く印刷することができるので極めて好まし
いものである。光硬化性インキおよび光で半硬化するイ
ンキを併せて、本発明では単に「光硬化性インキ」とい
う。
【0020】光硬化性インキは、光を照射することによ
って起こる光ラジカル重合反応を応用したものが多く、
ミリ秒または秒レベルの硬化速度を示すことが特徴であ
る。光硬化性インキとして一般的なものは、エチレン性
不飽和二重結合を1つ以上有する光重合性化合物、光重
合開始剤、その他のオリゴマーまたは樹脂からなる系で
あり、詳しくは特開平8−72384号公報に開示され
ている。光としては紫外線を用いることが多いが、開始
剤と増感剤を選択することにより可視光でも硬化させる
ことができる。また電子線で硬化するインキも使用する
ことができる。一般にラジカル反応によって光硬化する
材料の光硬化反応は、空気中の酸素によって阻害され、
多少の半硬化性を示す。したがって、光ラジカル重合に
より硬化するインキであれば基本的には全て使用可能で
ある。従来、光硬化性インキの酸素による硬化阻害は、
インキの印刷適性としては好ましくないとされてきた
が、本発明は、この酸素による硬化阻害の問題点を逆に
利用したものであり、本発明のブランケットと組み合わ
せることにより極めて精緻な微細画像を印刷することが
できる。酸素によるラジカル重合阻害の程度が不足また
は過剰である場合には、インキに光重合開始剤、増感
剤、熱重合禁止剤などの添加剤を加えることによって阻
害性を調節することもできる。
【0021】カラーフィルタの場合、画素は着色してお
り、耐熱性のある染料あるいは顔料が用いられる。現在
では200〜250℃で1時間の加熱により変退色が少
ないことから、顔料が多く用いられている。また顔料粒
子による散乱を少なくし、可視光を高率で透過させるた
めに、透過光の波長の1/2以下の粒径をもつ顔料が望
ましく、さらに望ましくは、個数平均粒径が0.15μ
m以下に分散されている顔料を用いる。顔料は通常、ポ
リカプロラクトン系化合物、長鎖アルキルポリアミノア
マイド系化合物あるいはグラフト構造を持つアクリルポ
リマーなどの分散剤によって、樹脂の一部あるいは全部
の中に分散させてあり、その後、場合によっては熱重合
防止剤、あるいはインキの凝集力向上のために有機チタ
ネートなどの架橋剤が加えられている場合もある。青の
顔料としてはフタロシアニン系顔料、インダンスレン系
顔料が、赤の顔料としてはキナクリドン系顔料、ペリレ
ン系顔料、ピロロ・ピロール系顔料、アントラキノン系
顔料、シンカシャレッド系顔料、チオインジゴ系顔料、
アゾ系顔料等が、緑の顔料としてはハロゲン化フタロシ
アニン系顔料が、それぞれ好ましい例として挙げられ
る。また、青の色相調節のために紫色顔料を、あるいは
緑の色相調節のために黄色顔料を加えることもある。さ
らに赤の色相調節のために紫の顔料を加えることもあ
る。
【0022】以上のようにして精密な微細パターン印刷
画像が得られるが、LCDディスプレイの液晶カラーフ
ィルタの場合、同様の操作を4回繰り返すことによっ
て、R、G、Bおよびブラックの微細パターンが得られ
ることになり、TFT・LCDや STN・LCD対応の
液晶カラーフィルタに使用することが可能となった。ま
た、ブラックマトリックスのパターンは、クロム、カー
ボンブラック、黒鉛などを用いて形成し、R、Gおよび
Bの着色層の画像形成のみを本発明の方法で行うことも
できる。また、プリント基板、薄膜ハイブリッドIC、
ICパッケージなどの超高精細配線のレジスト印刷、超
小型センサの素子材料、電極材料などには、それぞれに
適するレジストインキ、例えばメッキレジストインキ、
ソルダーレジストインキ、金属回路用インキなどの適用
が可能となる。また、半導体素子回路の形成に特別のレ
ジストを用いて、微細パターンを作ることができる。
【0023】被印刷体7としては、カラーフィルタの場
合には低熱膨張性ガラス、合成石英板、石英ガラス、光
学樹脂板、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、
ポリエーテルサルホン、ポリカーボネート、ポリアリレ
ートなどのプラスチックフィルム、などの透明な基板が
用いられる。半導体素子回路用の被印刷体7は、基板7
a上に直接粘着層9を積層する代わりに、被エッチング
層、フォトレジスト層、必要に応じて粘着層の順に積層
して構成する。被エッチング層としては、半導体素子回
路を構成する材料および金属材料などが好ましく用いら
れ、被エッチング層の厚さは0.1〜8μm程度が好ま
しい。被印刷体7の大きさは、特に限定されない。これ
は本発明の大きな利点である。被印刷体の基板7aの材
質は特に限定されないが、大面積アクティブマトリック
ス型液晶ディスプレイのパネル基板の場合には、通常低
膨張ガラスが用いられる。この他には、各種半導体素子
のシリコーンウェーハやプリント配線用のプラスチッ
ク、セラミックス基板あるいは通常のガラスなどが挙げ
られる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例についてさ
らに具体的に説明する。
【実施例】
<凹版の製造例> 凹版A・・・ガラス基板全面にクロム(Cr)を1000Å
の厚さに蒸着し、その後レジスト(商品名:OFPR−
800、東京応化工業(株)製)を1.0μmの厚さに塗
布し、所定のパターンで露光した後現像処理を行い、ク
ロムのパターンを得た。次いで、エッチング液として硝
酸第二セリウムアンモニウム165gおよび過塩素酸
(70%)42mlに水を加えて1リットルに調製した
溶液を用い、クロムをエッチングした。さらに得られた
クロム膜をレジストとして、エッチング液として過酸化
水素水とフッ化アンモニウムとの混合液を用いてガラス
をエッチングし、幅20μm、深さ6μmのマトリック
スパターンを備えたガラス製凹版Aを作成した。アンカ
ー剤をガラス表面に付けた後、シリコーン樹脂(商品
名:KE−20、信越化学工業(株)製)を1.0重量%
になるようにヘプタンに溶解し、これにKE−20の硬
化触媒(商品名:CAT−RA、信越化学工業(株)製)
をKE−20の2.5重量%加えて溶解した溶液を、ガ
ラス基板にスピンナーで塗布し、200℃で1時間加熱
して、乾燥膜厚0.6μmの表面処理層(離型層)をガ
ラス表面に作成した。 凹版B・・・凹版Aのエッチング時間を短くして深さ3.8
μmの凹版Bを作成した。 凹版C・・・銅のフォトエッチングを行い、格子の隔壁の
幅が20μmであり、縦330μm、横110μmおよ
び深さ5.2μmの格子状の凹部を有する凹版を作成し
た。これを全面クロムメッキして凹版Cとした。
【0025】<ブランケットの製造例> ブランケットA・・・フェニルメチルビニルポリシロキサ
ン(フェニル基モル含有量3.0%、メチル基モル含有
量96.9%、ビニル基モル含有量0.1%)100重量
部、比表面積200m2/g の煙霧質シリカ(商品名:エ
ロジル 200、日本アエロジル(株)製)20重量部、
平均粒径1.2μmの石英微粉末(商品名:クリスタラ
イト VXS、(株)龍森製)40重量部、およびシリカ
分散剤としてジフェニルシランジオール3.0重量部
を、ニーダーミキサーで均一に混合した後、 170
℃で2時間加熱処理を行い、シリコーンゴムベースを得
た。このゴムベース100重量部に、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.5重量
部を加え、二本ロールで混練りした後、平坦な表面を有
する金型により、165℃で10分間圧縮成型を行って
ブランケットを作成し、次いで200℃のオーブン中で
4時間加熱することにより加硫硬化を完結させ、ブラン
ケットAを得た。 ブランケットB・・・ブランケットAの作成において、フ
ェニルメチルビニルポリシロキサンとして、フェニル基
モル含有量5.2%、メチル基モル含有量94.7%、ビ
ニル基モル含有量0.1%のものを使用する他は、ブラ
ンケットAの場合と同様の工程により、ブランケットB
を得た。 ブランケットC・・・ブランケットAの作成において、フ
ェニルメチルビニルポリシロキサンとして、フェニル基
モル含有量7.5%、メチル基モル含有量92.4%、ビ
ニル基モル含有量0.1%のものを使用する他は、ブラ
ンケットAの場合と同様の工程により、ブランケットC
を得た。 ブランケットD(比較例)・・・ブランケットAの作成に
おいて、フェニルメチルビニルポリシロキサンの代わり
に、メチルビニルポリシロキサン(メチル基モル含有量
99.9%、ビニル基モル含有量0.1%)を使用する他
は、ブランケットAの場合と同様の工程により、ブラン
ケットDを得た。上記ブランケットは、いずれも平坦な
表面を有する金型で成形され、その表面粗度は0.2μ
mであった。
【0026】<被印刷体の製造例>厚さ0.7mmのホ
ウケイ酸ガラス基板の表面に、アクリル系粘着剤とトル
エンからなる粘着層塗布液を、乾燥膜厚が0.6μmに
なるようにフレキソ印刷法を用いて印刷し、パターン状
の粘着層を有する被印刷体を作成した。
【0027】<実施例1>カーボンブラック、ペンタエ
リスリトールトリアクリレート、アクリル樹脂系のワニ
スおよび光ラジカル発生剤を混練して、粘度120 Pa・
sec のインキを調製した。このインキを、ジルコニア製
のドクターナイフを用い、角度60゜、速度400mm/s
ec の条件で、前記凹版の製造例で述べた凹版Bの溝に
充填した後、超高圧水銀灯の光を200mJ/cm2の割合で
照射した。その後、シリコーンゴム製のブランケットC
からなるロールを上記凹版に接触して回転させ、インキ
をブランケットに転移させた。インキは完全にブランケ
ットに転移した。続いて、ブランケットロールを前記被
印刷体の製造例で述べた被印刷体の粘着層9に接触して
回転させ、ブランケット上のインキを被印刷体の粘着層
9の上に転移させた。インキはブランケットに残らず、
完全に被印刷体に転写することができた。被印刷体上に
は幅22μm、厚さ3.4μmのブラックマトリックス
パターンが形成された。
【0028】このようにして形成されたブラックマトリ
ックスパターンには、画線の部分的な太りや細りはみら
れず、またパターンの表面は平滑性に優れており、その
表面の平均粗度は0.4μmであった。次に、赤色
(R)層、緑色(G)層、および青色(B)層を、それ
ぞれ凹版Bを用いオフセット印刷法により次のようにし
て印刷した。まず、赤色顔料を含有するインキをガラス
基板の所定位置に印刷し、その後、加熱硬化させて赤色
像を形成した。同様に、緑色顔料および青色顔料を含有
するインキをそれぞれガラス基板の所定位置に印刷し、
その後、加熱硬化させて緑色像および青色像を形成する
ことにより、所定配列のRGBパターンを形成した。な
お、赤色像、緑色像および青色像は、いずれも厚さ3.
8μmに形成した。以上のようなRGBパターンの形成
方法では、あらかじめ形成されたブラックマトリックス
パターンが障壁の役割を果たすために、RGBの印刷時
には容易に所定のパターンを形成することができた。
【0029】<実施例2>黒色顔料、フェノールノボラ
ックレジン、メチロールメラミンおよび酸発生剤を含む
光硬化インキ(粘度80Pa・sec)を、セラミックコーテ
ィングを施したMDCドクターブレード(MDC Max Datw
yler 社製)を用いて、角度60゜、速度400mm/sec
の条件で、前記凹版Bの溝に充填した後、インキに紫外
線を照射して、インキの表面を半硬化状にし、内部を硬
化させた。続いて、ブランケットBからなるロールを被
印刷体に接触し回転させて、インキを被印刷体に転移さ
せた。ブランケット上のインキは残留することなく被印
刷体上に転写され、被印刷体上には幅25μm、厚さ3
μmのブラックマトリックスパターンを形成することが
できた。得られたブラックマトリックスパターンに、実
施例1に述べたR、G、Bのインキと凹版Aを用いて、
R、G、Bの順に厚さ4.9μmの着色層を印刷するこ
とにより、カラーフィルタを作成することができた。
【0030】<実施例3>黒色顔料とアクリル樹脂系ワ
ニスを含む光硬化インキを、チタン製のドクターナイフ
を用いて凹版Cに充填した。次いで、インキを凹版から
ブランケットBに転写し、さらにポリエステルフィルム
にアクリル系粘着剤を厚さ0.7μmに塗布した基板
に、ブランケットからインキパターンを再転写して、ブ
ラックマトリックスの微細パターンを作成した。赤色顔
料と光硬化樹脂とを含有する赤色インキ、緑色顔料と光
硬化樹脂とを含有する緑色インキおよび青色顔料と光硬
化樹脂とを含有する青色インキを用いて、実施例1のブ
ラックマトリックスの場合と同様にしてRGBパターン
を形成した。このようにして形成されたRGBパターン
には画線の太りや細りは見られず、またパターンの表面
は平滑性に優れていた。
【0031】<実施例4>本発明を利用して気体放電型
パネル(プラズマディスプレイ)のセル隔壁を形成する
ために、例えば特開平3−152830号公報の記載に
従い、基板ガラスに格子状誘電体を形成し、これに本発
明の印刷法によって1回の印刷により隔壁を作成した。
従来のスクリーン印刷法による場合は1回の印刷によっ
て高さ40μmの隔壁を作ることはできなかったが、本
発明を用いることにより、印刷版の深さが55〜60μ
m程度の凹版を作成すると、インキが熱収縮を受ける熱
処理後における高さ40μmの隔壁を1回の印刷で形成
することが可能になった。
【0032】上記セルの次元は、表示セルピッチ0.3
mm、隔壁の幅50μm、および高さ148μm(誘電
体層被覆金属部108μm、印刷した隔壁部40μm)
である。このパネルの基板ガラスは厚さ2mmのソーダ
ライムガラスであり、基体となる格子状金属としてはガ
ラスとの熱膨張係数を考慮して厚さ0.1mmの42%
Ni−6%Cr−Fe 合金を用い、ドットピッチは縦横と
もに0.3mm、抜き穴径は0.24mmとし、エッチン
グ加工により多数の抜き穴を持つ格子状金属板を作製し
た。次いで、誘電体材料として軟化点600℃、平均粒
径2.6μmのZnO−B23−SiO2−PbO−Al23
系のガラス粉末を用い、上記多数の抜き穴を持つ格子型
金属板を陽極とし、これと同じ組成で大きさも同程度の
金属板を陰極として、上記誘電体材料を200Vで電着
した後、大気中で軟化点以上の温度で熱処理して電着層
の厚さが8μmの格子状誘電体被覆物を得た。
【0033】ストライプ形状の隔壁となる誘電体とし
て、ZnO−B23−SiO2系ガラスにAl23−FeO
−Cr23を加えた混合粉末100部に対して、光重合
開始剤、例えば Irgacure 907(CIBA-GEIGY 社製)、ラ
ジカル重合し得るモノマー、例えばペンタエリスリトー
ルトリアクリレート、およびバインダーとしてのポリア
クリル系ワニスを含むインキビヒクル18部を配合して
凹版インキを調製した。幅 60μmのストライプ状の
凹部を持つ凹版に、鋼鉄製のドクターナイフで上記イン
キを充填し、表面が半硬化状になる程度に露光し、次い
でインキを凹版からブランケットCに転移させ、さらに
格子状の誘電体で被覆された格子状金属板が作製された
前面基板の格子状金属板上に印刷した。その後、570
℃で焼成してビヒクルの有機物を気化させることによ
り、格子状誘電体層の上に厚さ40μmのストライプ状
のガラス隔壁部を形成することができた。
【0034】得られた前面基板、隔壁、および背面基板
の対応する部分に、蛍光体をスクリーン印刷し焼成した
後、前面基板と背面ガラス板とを低融点ガラスフリット
でシールし、チップ管を通して真空排気およびガス封入
を行い、チップ管を封じて気体放電型パネルを形成し
た。
【0035】
【発明の効果】本発明の印刷用ブランケットを用いるこ
とにより、微細なパターンの再現性が良好で、かつ連続
印刷における安定性に優れた印刷が可能になり、半導体
素子回路その他各種のパターン印刷において生産効率を
向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の印刷方法の一実施例を示し、(a)は
印刷凹版の凹部に光硬化性インキを充填する工程、
(b)は印刷凹版のインキを部分硬化する工程、および
(c)はインキパターンをブランケットに転移させる工
程の略示縦断面図である。
【図2】(d)は図1に示す印刷方法の後続工程におい
て、ブランケットに転移されたインキを被印刷体に転移
させる工程の略示縦断面図である。
【符号の説明】
1 凹版 2 凹部 3 インキ 3a 内側層 3b 表面層 4 ドクターナイフ 5 ブランケット 5a 表面ゴム層 6 光源 7 被印刷体 7a 基板 8 離型層 9 粘着層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最外層が表面ゴム層からなり、該表面ゴ
    ム層はフェニル基のモル含有量が3%以上、12%以下
    のフェニルメチルビニルポリシロキサンと、比表面積5
    0m2/g 以上の補強性微粒子シリカと、平均粒径0.1μ
    m以上、5μm以下の石英微粉末とを含有するシリコー
    ンゴムからなる印刷用ブランケット。
  2. 【請求項2】 前記表面ゴム層は基布上に圧縮層を介し
    て形成されていることを特徴とする請求項1記載のブラ
    ンケット。
  3. 【請求項3】 光硬化性のインキを凹版に充填し、該イ
    ンキに光を照射してインキの空気と接する部分を半硬化
    あるいは硬化させ、次いでインキを請求項1に記載のブ
    ランケットに転写し、さらに該インキを被印刷体に転写
    することを特徴とする微細画像印刷法。
JP15009997A 1997-05-22 1997-05-22 印刷用ブランケットとそれを用いる微細画像印刷法 Pending JPH10315653A (ja)

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