JP3975271B2 - バイオマスのガス化方法、およびそれに用いられる触媒 - Google Patents

バイオマスのガス化方法、およびそれに用いられる触媒 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バイオマスのガス化方法、およびそれに用いられる触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、セルロース等のバイオマスのガス化による合成ガスの製造は、通常800℃以上の高温で行なわれている。これは、800℃未満の低温では、バイオマスの一部がタールやチャーに変換され、それが原因となって定常な運転ができなくなることによる。このように、より低温で反応した場合には、タールやチャーの生成が増加する傾向にある。このため、低温でのバイオマスのガス化は困難とされていた。
【0003】
不都合を何等伴なうことなく、バイオマスのガス化を低温で可能にするためには、適切な触媒が不可欠であるものの、そうした触媒は未だ得られていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、触媒表面上へタールやチャーを生成させることなく、800℃未満の低温でバイオマスを効率よくガス化して、水素および合成ガスを製造する方法を提供することを目的とする。
【0005】
また本発明は、800℃未満の低温でも触媒表面上へタールやチャーが生成せず、バイオマスを効率よくガス化して、水素および合成ガスを製造可能な触媒を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、 Ce(NH 4 2 (NO 3 6 およびMの水溶液を用いてインシピエントウェットネス法によりCeO 2 /Mタイプ担体(MはSiO 2 、Al 2 3 、またはZrO 2 である)を調製し、Rh(C 5 7 2 3 のアセトン溶液で前記CeO 2 /Mタイプ担体を含浸することによりRhを担持させてなる触媒が収容され、内部管が設けられた流動床反応器を800℃未満に加熱する工程と、
前記内部管内の上部から下部に、搬送ガスによりバイオマス粒子を通して、前記流動床反応器の下部から流動床反応器に前記バイオマス粒子およびその分解生成ガスを導入する工程と、
前記流動床反応器の下部から空気および水蒸気を導入する工程と、
前記バイオマス粒子及びその分解生成ガスを前記触媒表面と接触させ、空気および水蒸気と反応させることにより、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタンガス含有ガスを製造する工程とを具備することを特徴とするバイオマスのガス化方法を提供する。
【0007】
また本発明は、Ce(NH 4 2 (NO 3 6 およびMの水溶液を用いてインシピエントウェットネス法によりCeO 2 /Mタイプ担体(MはSiO 2 、Al 2 3 、またはZrO 2 である)を調製し、Rh(C 5 7 2 3 のアセトン溶液で前記CeO 2 /Mタイプ担体を含浸することによりRhを担持させてなるバイオマスガス化触媒を提供する。
【0008】
本発明者らは、天然ガスの内部熱供給型リフォーミング反応による合成ガス製造技術において、流動層反応器が非常に有効であることを見出してきた。ここでは、特に、高圧の炭素析出が非常に起こりやすい条件においても、流動層反応器を用いることにより炭素析出が顕著に抑制されることを見出した。これを、タールやチャーが生成しやすいバイオマスへ適用した。ここで非常に優れた触媒を、流動層反応器を用いてバイオマスと反応させることにより、通常ではとても実現できない低温で、ガス化率100%を得ることが可能となった。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、具体例を示して、本発明をさらに詳細に説明する。
【0010】
連続供給流動床反応器を用いて、バイオマスとしてのセルロース粒子(Merk製:粒径100〜160μm)のガス化を行なった。用いた装置の概略を図1に示す。
【0011】
フィーダーはガラス製の容器であり、供給を調節するガラスコックを底部に有する。セルロース粒子は、内径5mmおよび8mmの内部管を通したN2ガス流によって、触媒床に移動させた。ガス化反応器は、高さ66cm、内径1.8cmの石英管であり、流動床部分を有する。空気および水は、反応器の底から導入し、石英分散板を介して触媒床に到達させた。水蒸気は、マイクロフィーダーを用いて供給した。ステンレススチール製のキャピラリー管を通して上昇する間に蒸発する水は、分散板の底から反応器に導入した。
【0012】
触媒層温度は、様々な点を熱電対により測定した。3gの触媒を流動床中に添加し、大気圧下でプロセスを行なった。初期試験において、触媒は、40cm3/minのH2流で773K30分間、前処理した。反応器の外部と内部との間の温度勾配も測定した。反応器外壁に取り付けた熱電対を温度コントローラーにつないで、反応温度として制御した。CO、CO2、CH4、および炭化水素の濃度は、ガスクロパック(Gaskuropack)54)が充填されたステンレス製カラムを用いたメタネーターを具備したFID−GCにより測定した。また、水素の濃度は、モレキュラシーブ13Xが充填されたステンレス製カラムを用いたTCD−GCで測定した。流出ガスの流量は、ソープメンブレンメーターにより測定した。生成ガスの生成速度は、流出ガスのGC分析からμmol/minとして算出した。炭素変換率(C−conv)は、(CO+CO2+CH4の生成速度)/(セルロースの全C供給量)×100から算出した。C−convおよび生成速度は、25分間の平均値である。チャーの量は、セルロースの供給を停止した後に、反応温度での空気流のもとで生じるガス(主にCO2)の量により決定した。
【0013】
次に、用いた触媒について説明する。
【0014】
まず、種々の組成のCeO2/Mタイプ担体を、Ce(NH42(NO36およびMの水溶液を用いたインシピエントウェットネス法により調製した。Mとしては、SiO2(アエロジル 380、200および50m2/g)、Al23(アエロジル アルミニウムオキサイドC 100m2/g)、およびZrO2(第一希元素化学工業,100m2/g)を用いた。
【0015】
CeO2(70m2/g)もまた、第一希元素化学工業から入手した。担体は、393Kで12時間乾燥した後、空気中、773Kで3時間熱処理した。Rhは、Rh(C5723のアセトン溶液で担体を含浸することにより担持させた。触媒粒子のサイズは、74〜250μmの範囲である。各試験において、3gの触媒を用い、773Kで30分間、40cm3/minの水素流により前処理した。使用前(H2処理直後)および使用後のBET表面積は、ジェミニ(Gemini)(マイクロメトリックス(Micrometrics)製)により測定した。
【0016】
なお、市販の触媒(TOYO、CCI、G−91)の組成は、Ni:14wt%、Al23:65〜70wt%、CaO:10〜14wt%、およびK2O:1.4〜1.8wt%である。
【0017】
773Kにおいて25分間の活性試験を行ない、各触媒の評価を下記表1に示す。
【0018】
【表1】
Figure 0003975271
表1中、触媒の括弧内の数値は、CeO2の含有量(wt%)を示す。
【0019】
ここでの反応の条件は、以下のとおりである。
【0020】
セルロース供給速度:85mg/min(C:3148μmol/min, H:5245μmol/min,O:2623μmol/min)
空気流量:51cm3/min(O2:417μmol/min)
2流量:51cm3/min
生成速度およびC−convは、25分間の平均値とした。
【0021】
a:C−conv=(CO+CO2+CH4の生成速度)/(セルロースのC供給量)×100
b:チャー% (反応後のCO2生成量)/(供給されたセルロースの総C量)×100
c:タール%=(100−(C−conv%)−(チャー%))
d:Rh/CeO2触媒:6g
e:SiO2,200m2/g
f:SiO2,50m2/g
また、827Kにおいて前述と同様の条件下で活性試験を行ない、その際の触媒の評価を、下記表2にまとめる。
【0022】
【表2】
Figure 0003975271
【0023】
表1および2に示されるように、最も高いC−convを示し、BET表面積の減少が全く生じないことから、Rh/CeO2/SiO2(35)が最も高い性能を有する。すなわち、セルロースと空気と水蒸気とから水素および合成ガスが合成され、チャーは燃焼により二酸化炭素となって、触媒表面上には全く析出しなかった。
【0024】
これに対して、触媒を添加しない場合には、C−convおよび水素製造のレベルは非常に低く、主な生成物はチャーおよびタールであった。これは、反応温度が通常のガス化プロセスより低かったためである。この場合、優れた接触、および熱分解生成物と触媒との混合物が、非常に重要であると考えられる。これは、流動床反応器が反応システムに適用されたためである。市販の水蒸気リフォーミング触媒(G−91)は、C−convは増加したものの、多量のタールがG−91上に生成した。表2においては、Rh/CeO2触媒は、かなり高いC−convを示したが、反応後にBET表面積が著しく減少している。
【0025】
図2〜7には、6種類の触媒についての生成物ガスの生成速度およびC−convの時間に対する依存性を示す。ここでは、反応温度は773Kとし、3gの触媒を用いた。その他の条件は以下の通りである。
【0026】
セルロース供給速度:85mg/min(C:3148μmol/min, H:5245μmol/min,O:2622μmol/min)
空気流量:51cm3/min(O2:417μmol/min)
2流量:51cm3/min
なお、図2はRh/CeO2/SiO2(35)、図3はRh/SiO2、図4はG−91、図5はRh/CeO2、図6はRh/CeO2/Al23(30)、図7はRh/CeO2/ZrO2(50)について示してある。
【0027】
非常に低い温度において反応が行なわれたものの、Rh/CeO2/SiO2(35)上でのC−convおよび生成速度は、図2に示されるように25分の反応時間の間、非常に安定である。25分後にセルロースの供給が停止されると、CO2は触媒上のチャーの燃焼によって主に生じる。CO2生成速度は時間とともに減少し、Rh/CeO2/SiO2(35)上での減少速度は、他の触媒上より非常に高い。これは、Rh/CeO2/SiO2(35)の高い燃焼活性を示している。
【0028】
これに対して、Rh/SiO2上の炭素変換率(C−conv)は、図3に示されるように数分の間に急激に減少する。これはおそらく、堆積されたチャーがRh/SiO2を失活させ、COおよびH2の生成が時間とともに減少することによる。メタン化反応は、通常、清浄な金属表面で進行するので、メタン生成量が急激に減少したことからも、触媒の表面がタールおよびチャーで覆われたことがわかる。
【0029】
G−91触媒についてのC−conv、およびCO2以外の生成物ガスの生成は、図4に示されるように徐々に減少する。Rh/SiO2およびG−91は、チャー燃焼の活性が非常に低い。Rh/SiO2およびG−91上におけるチャーの燃焼に起因したCO2生成は、Rh/CeO2/SiO2上よりも長い時間続いた。チャーの量は、この実験から推測することができる。
【0030】
Rh/CeO2上においては、図5に示されるようにC−convは比較的低い。CO2生成速度の上昇は、時間にともなうチャー量の増加に関連している。
【0031】
図6および図7にそれぞれ示されるように、Rh/CeO2/Al23およびRh/CeO2/ZrO2上においては、C−convは時間とともに減少する。Rh/CeO2/Al23およびRh/CeO2/ZrO2上のチャー燃焼速度は、Rh/CeO2/SiO2(35)を用いた場合より非常に遅い。
【0032】
以上の結果から、生成速度の安定性および高い燃焼活性の点で、Rh/CeO2/SiO2(35)が、最も高い性能を有することが確認された。C−convは、触媒の選択のために最も重要な事項の一つであると考えられる。この意味で、Rh/CeO2/SiO2(35)は、低温(773K)において最も高い性能(C−conv、85%)を示した。さらに、それはかなりの量の水素およびCOを生成し、BET表面積は数時間の反応後にもほぼ一定に維持された。これは、CeO2とSiO2との相互作用がCeO2の焼結を妨げること、およびRhがCeO2表面に分散して効果的に作用するためである。
【0033】
Rh/CeO2/SiO2において200m2/gおよび50m2/gのようなより表面積の小さいSiO2を使用することは、セルロースガス化における触媒の性能を低下させる。これは、CeO2/SiO2の比較的小さい表面上でのRhの低い分散性に起因する。本実施例におけるガス化温度は、通常のガス化温度(>1173K)より低い(773K)ので、C−conv(23%)および水素生成量(24μmol)のレベルは、非触媒システムではよりいっそう低下する。この場合の主な生成物は、チャーおよびタールである。G−91、Rh/CeO2、Rh/SiO2、Rh/ZrO2およびRh/Al23のような他の触媒は、触媒を添加しない場合よりはC−convが向上するものの、そのC−convのレベルは、Rh/CeO2/SiO2(35)より低い。さらに、この場合のチャーおよびタールの生成量は、Rh/CeO2/SiO2の場合よりも多くなる。
【0034】
使用前および使用後の触媒のBET表面積を、前記表1にまとめた。Rh/CeO2のBET表面積は、反応により著しく減少する。Rh/CeO2/Al23上では、わずかなBETの減少が観測された。SiO2およびZrO2は、表面積の減少を抑制するのに非常に効果的である。
【0035】
触媒システムでのセルロースガス化における生成速度およびセルロースガス化中のC−convの温度依存性を、6種類の触媒について図8〜13に示す。なお、図8はRh/CeO2/SiO2(35)、図9はRh/SiO2、図10はG−91、図11はRh/CeO2、図12はRh/CeO2/Al23、図13はRh/CeO2/ZrO2について示してある。
【0036】
条件は、以下の通りである。
【0037】
触媒重量:3g
セルロース供給速度:85mg/min(C:3148μmol/min, H:5245μmol/min,O:2622μmol/min)
空気流量:51cm3/min(O2:417μmol/min)
2流量:51cm3/min
図9に示されるように、Rh/SiO2上のC−convは、773Kにおいて55%であり、973Kにおいて91%である。これらの値は、G−91上では、図10に示されるように僅かに増加する(773Kで62%、973Kで93%)。Rh/CeO2、Rh/CeO2/Al23、およびRh/CeO2/ZrO2は、図11、12および13にそれぞれ示されるように、Rh/SiO2およびG−91より高いC−convを示した。これは、CeO2がC−convの向上に非常に効果的であることを示している。炭素変換率は773Kにおいて67%であり、Rh/CeO2/SiO2上においては、図8に示されるように923Kで約100%に達する。
【0038】
温度が高くなると、COおよびH2の収率が上昇する。しかしながら、CO2およびCH4の生成速度は、反応温度の増加とともに減少する。この傾向は、合成ガス製造における熱力学によって予測される。下記表3には、種々の触媒上においてC−convが90%に達する温度をまとめた。これらの温度は、前述の図8〜図13に示した各触媒の温度依存性の結果から予測される。表3に示されるように、Rh/CeO2/SiO2(35)は、90%のC−convが達成される温度が他の触媒より非常に低い。
【0039】
【表3】
Figure 0003975271
【0040】
図14のグラフには、SiO2(380m2/g)上のCeO2含有量(mass%)の変化に伴なったRh/CeO2/SiO2の性能を示す。ここでの条件は、以下の通りである。
【0041】
触媒重量:3g
セルロース供給速度:85mg/min(C:3148μmol/min, H:5245μmol/min,O:2622μmol/min)
空気流量:51cm3/min(O2:417μmol/min)
2流量:51cm3/min
C−convは、CeO2含有量が35mass%に上昇するまで増加して86%に達し、この値は、SiO2上のCeO2量が35%を越えると減少する。その一方、チャーの生成量は、CeO2量の増加とともに徐々に減少する。これは、チャー変換へのCeO2の関与を示唆している。タールの生成は、CeO2量が35mass%となるまで減少し、80mass%のCeO2が用いられると増加する。これは、タール変換には、Rhが高分散するのに適した高表面積なCeO2が必要とされることを示唆している。
【0042】
以下に説明するように、タールは水蒸気でリフォーミングされることによって変換される。SiO2のみの場合およびRh/SiO2もまた、C−conv、水素およびCOの生成に関して非常に低い性能を示すので、SiO2上のCeO2が10および20mass%のように少ない場合には、セルロースガス化の際のRh/CeO2/SiO2におけるSiO2の負の要因を克服することが困難となる。さらに、CeO2量がより多くなると、SiO2上へのCeO2の結晶の形成を引き起こして、CeO2およびRhの分散性が低下し、その結果、触媒の性能が低下する。
【0043】
セルロースのガス化における水蒸気の影響を調べ、その結果を図15に示す。ここでは、反応温度を873Kとし、3gの触媒を用いた。その他の条件は以下の通りである。
【0044】
セルロース供給速度:85mg/min(C:3148μmol/min, H:5245μmol/min,O:2622μmol/min)
空気流量:51cm3/min(O2:417μmol/min)
2流量:51cm3/min
水蒸気を導入しない場合には、97%のC−convが達成され、少なくとも1111μmol/minの水蒸気が導入された際には100%のC−convが確認された。反応系への水蒸気の導入は、生成物の分布を大きく変化させる。水性ガスシフト反応(CO+H2O→CO2+H2)は、水蒸気の存在下で進行するので、水蒸気の流量の増加に伴なってH2およびCO2の生成速度は一定の割合で増加する。これに対して、COの生成速度は水蒸気流量の増加に伴なって減少する。さらに、メタンの生成速度は、水蒸気の流量の増加に伴なって徐々に減少し、これは、同様の反応条件の下でのメタンの水蒸気リフォーミングに起因する。こうした結果は、生成物ガスの組成が所望のものに調整されることを示している。
【0045】
図16のグラフには、Rh/CeO2/SiO2(35)を用いたセルロースガス化において、供給された水蒸気が、C−convおよび生成速度に及ぼす影響を示す。温度は773Kとし、反応条件は以下の通りである。
【0046】
セルロース供給速度:85mg/min(C:3148μmol/min, H:5246μmol/min,O:2624μmol/min)
空気流量:100cm3/min(O2:818μmol/min)
2流量:50cm3/min(N2:2046μmol/min)
2O流量:555〜11110μmol/min
図16に示されるように、水蒸気の導入によってC−convおよび生成物ガスの選択性は、飛躍的に改善された。水蒸気が導入されない場合には、C−convは88%であり、水素の生成量は少ない。一方、H2O/C=0.35の水蒸気が導入されただけで、C−convは100%に達して、水素の生成量も増加する。さらに、水素およびCO2の生成は、H2O/Cの増加に伴なって上昇している。このように、水蒸気の添加によって、C−convおよび水素生成量が著しく高められることが確認された。
【0047】
水蒸気を導入した場合の温度の影響を、図17のグラフに示す。図17のグラフには、Rh/CeO2/SiO2(35)を用いたセルロースガス化における、より低い温度での生成速度およびC−convを示す。ここでの反応条件は、次の通りである。
【0048】
セルロース供給速度:85mg/min(C:3148μmol/min, H:5246μmol/min,O:2624μmol/min)
空気流量:100cm3/min(O2:818μmol/min)
2流量:50cm3/min
2O流量:4444μmol/min
873Kにおいて、半分の量の水素がセルロース中に存在し、水蒸気はH2に変換された。この温度は、通常のガス化温度(1173K)より低い。この温度において、メタンの生成量は著しく減少したが、COの生成量はわずかに増加した。
【0049】
生成物ガスの組成は、空気流量にも依存する。反応系への空気流量の影響を調べ、その結果を図18に示す。ここでの反応温度は873Kとし、3gの触媒を用いた。その他の条件は、以下の通りである。
【0050】
セルロース供給速度:85mg/min(C:3148μmol/min, H:5245μmol/min,O:2622μmol/min)
図18(a)には、水蒸気流量833μmol/minの場合を示し、図18(b)には水蒸気流量5555μmol/minの場合を示した。
【0051】
C−convは、空気および水蒸気の関数である。図18(a)に示されるように水蒸気の量が少なく(833μmol/min)空気が存在しない場合には、C−convは86%と比較的低い。これに対して、空気を導入することによって、C−convは著しく増加する。これは、空気に対するチャーの反応性が、水蒸気に対する反応性より非常に高いためである。空気を導入することによって、CO2生成速度は著しく増加している。メタン生成は、空気流量の増加に伴なってわずかに減少する。メタンは、COの水素化(CO+3H2→CH4+H2O)によって生じるので、これはCO生成速度の減少に関連する。
【0052】
図18(b)に示すように多量の水蒸気の存在下では、空気を導入しなくてもC−convは高い。このことは、水蒸気の高い分圧のもとでチャーがガス化され得ることを示す。少量の空気および多量の水蒸気の導入は、生成物の分布を大きく変化させる。水素の生成は急激に増加して、1043μmol/minの空気が導入されたときに最大値に達するものの、空気流量がさらに増加すると徐々に減少する。水素の生成速度は3500μmol/min以上であることが望まれるので、空気流量は1000μmol/min以上4000μmol/min以下であることが好ましい。反応系に過剰の酸素が存在する場合には、タールは好ましく燃焼反応に関与して、空気流量の増加とともに水素およびCOの生成が減少する。同様の理由から、空気流量の増加に伴なって、CO2は増加しメタンの生成量は減少する。こうしたセルロースの接触ガス化において、水素、COおよびメタンは、有用な生成物であると考えられる。これは、合成ガスがクリーンな液体燃料に変換でき、メタンは気体燃料として使用できるからである。それゆえ、種々の反応条件の下での収率を比較した。
【0053】
図19は、Rh/CeO2/SiO2(35)触媒によるセルロース、水蒸気および空気からのH2+CH4収率とCO+CH4収率との関係を示す。ある反応条件の下では、H2+CH4における水素の収率は1に近い。これは、水素への効果的な変換が、低温でさえも行なわれていることを示す。同時に、炭素への変換効率もまた高い。
【0054】
本発明のガス化システムにおいて、Rh/CeO2/SiO2(35)触媒は、図1に示したように多機能であると考えられる。流動触媒床は、熱分解領域、燃焼領域、およびリフォーミング領域の3つの領域に分けられる。こうした流動床反応器における反応のモデルを、図20に模式的に示す。
【0055】
セルロース粒子は、まず、酸素および水蒸気が存在しない熱分解領域に供給される。そこで、タール、チャー、水蒸気および少量のガスへのセルロースの熱分解が進行する。このプロセスは非常に低い温度で行なわれるので、極僅かのCO、H2、CO2、およびCnmのようなガスが熱分解領域で生成される。熱分解領域で生じた全ての生成物は、N2キャリアガスによって触媒床の燃焼領域に導入される。
【0056】
酸素が存在する流動床の下部において、触媒は酸化状態にあり、タールおよびチャーの一部が、主として燃焼されてCO2およびH2Oが生じる。その後、触媒粒子は流動により上昇して、水素およびCOによって還元される。
【0057】
還元された触媒は、次いで、タールおよびチャーの水蒸気リフォーミングに寄与して、COおよび水素が生成される。多くの二次反応もまた、リフォーミング領域で進行する。水性−ガスシフト反応(CO+H2O→CO2+H2)によって、CO2も生成され、特に高い水蒸気圧の下で水素が生じる。メタンは、メタン化反応(CO+3H2→CH4+H2O)により生じる。
【0058】
水蒸気は、ガスへのC−convに直接関わり、特にチャーの変換率を著しく改善する。その結果、低温(773K)においても100%のC−convを可能にして、水素の高い収率を伴なう。これは、反応器の上部における還元されたRh/CeO2/SiO2(35)上でのチャーおよびタールの水蒸気リフォーミングの高い活性に起因する。活性の高いRh/CeO2/SiO2(35)触媒の上では、タールは完全に変換されると考えられるが、幾分かのチャーはリフォーミング領域の触媒表面に残留するかもしれない。触媒床は流動状態で存在するので、触媒は反応器の下部で酸素とさらに相互作用し、触媒表面に残存したチャーのさらなる燃焼に寄与する。
【0059】
流動床反応器は、CO2およびO2を用いたメタンリフォーミングにおける反応性の低い炭素質成分を除去するために、非常に効果的である。Rh/CeO2/SiO2触媒の高い性能は、RhとCeO2との組み合わせによる円滑な酸化還元特性に起因すると考えられる。安定性の観点からも、Rh/CeO2/SiO2は高い性能を有している。SiO2は、CeO2の焼結を妨げて、Rh金属粒子はCeO2上に均一に分散されてとどまる。さらに、流動床反応器は、発熱領域から吸熱領域への熱移動を促進して、反応器の温度を均一にする。
【0060】
本システムにおいて、反応器の下部は発熱領域であり、反応器の上部は吸熱領域である。一方、反応器の下部と上部との間、および外部と内部との間の温度差は、わずか(15K)である。高活性なRh/CeO2/SiO2触媒と流動床反応器との組み合わせによって、水素および合成ガスをバイオマスから低温かつ高いエネルギー効率で製造する新規なシステムが得られた。
【0061】
以上の例では、バイオマスの一例としてセルロースを用い、そのガス化について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0062】
連続供給流動床反応器を用いて、823〜973Kの温度範囲で、バイオマスとしての杉の粉末のガス化を行なった。杉の粉末の組成は、(C:45.99wt%、H2O:10wt%、H:5.31wt%、O:38.25wt%、N:0.11wt%、Cl:0.1wt%、S:0.2wt%)である。
【0063】
ここで用いた装置は、図1に示したものとほとんど同様である。
【0064】
ガス化反応器は、高さ66cmの石英管である。この反応器の中央には、高さ5cm、内径18mmの流動床部分が設けられている。流動床部分の直後の反応器上部の内径は、30mmと大きく、この領域でガスの流速は急激に低下して、触媒粒子は流動床部分に容易に戻る。
【0065】
バイオマスフィーダーは、直径約0.5mmの小さな開口を底部に有するガラス容器からなり、エレクトリックバイブレーターで容器を振動させることによってバイオマスが連続的に供給される。バイオマスの供給速度は、振動速度により制御した。バイオマス粒子は、内径8.5mmの内管を通ってN2ガス流により触媒床に運ばれる。空気は、反応器の底部からガス化剤として導入され、これも触媒粒子を流動させる。
【0066】
触媒床温度は、様々な点を熱電対により測定した。生成ガスのサンプルは、マイクロシリンジによりサンプリング口から収集し、ガスクロマトグラフ(GC)により分析した。CO、CO2、CH4、H2およびH2Oが生成物として得られた。CO、CO2およびCH4の濃度は、前述と同様のFID−GCにより決定し、水素の濃度は、前述と同様のTCD−GCにより決定した。
【0067】
炭素転換率(C−conv)は、(CO+CO2+CH4の生成速度)/(バイオマス中の炭素供給速度)により算出した。C−convは、20分間の平均値である。チャーの量は、バイオマスの供給を停止した後に、反応温度での空気流のもとで生じるガス(主としてCO2)の量により決定した。チャーの量は、(CO2+CO全量)/(供給されたバイオマス中の全カーボン量)により算出した。タールの量は、(100−(C−conv)(%)−チャー量(%))として定義した。
【0068】
次に、用いた触媒について説明する。
【0069】
CeO2/SiO2は、Ce(NH42(NO36およびSiO2(アエロジル380m2/g)の水溶液を用いたインシピエントウェットネス法により調製した。CeO2の担持は60wt%であり、括弧内に示した。担体は、393Kで12時間乾燥した後、空気中、773Kで2時間、および873Kで1時間熱処理した。Rhは、Rh(C5723のアセトン溶液で担体を含浸することにより、CeO2/SiO2上に担持させた。アセトン溶媒を蒸発させた後、触媒を393Kで12時間乾燥した。最終的な触媒は、圧縮し、粉砕して、粒径44〜149μmに篩い分けした。Rhの担持量は、触媒の1.2×10-4mol/gとした。それぞれの実験において、3gの触媒を用い、773Kで0.5時間、水素流で処理した。使用前(H2処理直後)および使用後のBET表面積は、BET法により測定した。
【0070】
比較のために、市販の水蒸気リフォーミング触媒(TOYO、CCI、G−91)およびドロマイトを用意した。水蒸気リフォーミング触媒(TOYO、CCI、G−91)の組成は、Ni:14wt%、Al23:65〜70wt%、CaO:10〜14wt%、およびK2O:1.4〜1.8wt%である。ドロマイトの組成は、MgO:21.0wt%、CaO:30.0wt%、SiO2:0.7wt%、Fe23:0.1wt%、およびAl23:0.5wt%である。反応の前、ドロマイトは773Kで3時間の熱処理、引き続いて773Kで0.5時間水素処理した。
【0071】
まず、3gのRh/CeO2/SiO2(60)触媒を用い、873Kにおいてバイオマスとしての杉の粉末のガス化を行なった。Rh/CeO2/SiO2(60)触媒についての生成物ガスの生成速度およびC−convの時間に対する依存性を、図21のグラフに示す。
【0072】
ここでの反応条件は以下の通りである。
【0073】
バイオマス供給速度:60mg/min(H2O:10%、C:2299μmol/min, H:3852μmol/min,全O:1767μmol/min)
空気流量:100cm3/min(N2:3274μmol/min、O2:818μmol/min)(底部から供給)
2流量:50cm3/min(頂部から供給)
触媒の失活は、バイオマスの触媒ガス化において深刻な問題であるので、触媒の安定性は、この系において非常に重要である。図21に示されるように、20分間の反応の間、873Kという低い温度においてもC−convは95%と非常に安定である。生成された水素とCOとの比(H2/CO)は1.7であり、これも安定である。バイオマスの供給が停止されると、CO2および少量のCOが生成された。このCO2およびCOは、触媒上に堆積した炭素質が反応中に燃焼することによって生成されたと考えられる。全CO2+CO量は、チャー量に相当する。
【0074】
前述と同様のRh/CeO2/SiO2(60)触媒を3g用いて、823K〜973Kの範囲で温度を変化させて、バイオマスのガス化試験を行なった。ここでの反応条件は、以下のとおりである。
【0075】
バイオマス供給速度:60mg/min(H2O:10%、C:2299μmol/min, H:3852μmol/min,O:1767μmol/min)
空気流量:100cm3/min(N2:3274μmol/min、O2:818μmol/min)(底部から供給)
2流量:50cm3/min(頂部から供給)
また、市販の水蒸気リフォーミング触媒(G−91)およびドロマイトを用いて、上述と同様の条件でバイオマスのガス化を行なった。さらに、触媒を用いない系についても、上述と同様の条件でバイオマスのガス化を行なった。なお、ドロマイトおよび無触媒系では、反応温度は1173Kまでとした。
【0076】
各ガス化試験について、生成ガスの生成速度、C−conv、チャー量、タール量、およびBET表面積を下記表4にまとめる。
【0077】
【表4】
Figure 0003975271
【0078】
表4に示されるように、Rh/CeO2/SiO2(60)上に堆積したチャーの量は、他の触媒上に堆積したものより非常に少ない。これは、触媒の酸化活性に関連する。本発明者らは、この触媒上でのメタンの燃焼活性が著しく高いことを確認している。このような反応条件のもと、CO2生成速度は、CO生成速度より大きい。これは、触媒表面の不活性なタールおよびチャーが変換され、燃焼によりCO2を生成することにより説明される。これによって、高いC−convが実現される。さらに、メタンを生成するCOの水素化および水性−ガスシフト反応のような種々の二次反応が、Rh/CeO2/SiO2(60)上で生じる。これらは全て、COの減少およびCO2の増加に寄与する。図21は、この系においてメタンが実質的に生成され、その生成速度が非常に安定であることを示している。
【0079】
図22のグラフには、種々の反応系における異なる温度でのC−convを示す。この結果から、823K〜973Kの温度範囲においては、C−convが、Rh/CeO2/SiO2(60)>G−91>ドロマイト>無触媒の順であることがわかる。Rh/CeO2/SiO2(60)上のC−convは、873〜973Kにおいて95%を越えて高い。G−91では、973KにおいてもC−convは95%に達しない。ドロマイトおよび無触媒については、1173KにおいてもC−convは95%に達しない。前述の表4に示されたチャー量の比較から、高いC−convは、チャーの量が少量であることに起因することがわかる。これは、Rh/CeO2/SiO2(60)が、チャーの除去に非常に高い性能を有することを示す。さらに、Rh/CeO2/SiO2(60)上でのタールの生成量は、他の系より非常に少ない。このこともまた、Rh/CeO2/SiO2(60)が、ガスへのタールの変換の非常に高い活性を有していることを示す。
【0080】
図23のグラフには、それぞれの系でのCO+H2+CH4生成速度の温度依存性を示す。生成ガスが燃料合成(Fischer−Tropsch、メタノール、およびジメチルエーテル)に用いられる場合、COおよびH2は有用な生成物である。生成物が発電に用いられる場合には、CO,H2、およびCH4が有用な生成物である。それゆえ、CO+H2+CH4の全生成速度が重要である。全生成速度の温度依存性は、図22のグラフに示したC−convの温度依存性に類似している。
【0081】
Rh/CeO2/SiO2(60)上での有用な生成物の生成は、他の触媒の場合よりも非常に低い温度で達成される。ドロマイトおよび無触媒の場合、1173Kにおける全生成速度は、823KにおけるRh/CeO2/SiO2(60)の全生成速度より遥かに小さい。このことから、Rh/CeO2/SiO2(60)は、バイオマスのガス化において、エネルギー的に非常に有効な系を与えることがわかる。Rh/CeO2/SiO2(60)とG−91とにおける全生成速度の差は、C−convにおける差より小さく見える。前述の表4に示したように、Rh/CeO2/SiO2(60)上ではかなりの量のCH4が生成され、G−91上ではCH4は生じない。メタン生成(CO+3H2→CH4+H2O)では、かなりの量のCOおよびH2が消費される。このため、Rh/CeO2/SiO2(60)とG−91とにおける全生成速度の見かけ上の差が小さい。
【0082】
G−91上のチャーの量は、Rh/CeO2/SiO2(60)上の量より非常に多い。チャー状炭素の堆積は、合成ガス製造プロセスにおける触媒の失活を引き起こす。したがって、市販の水蒸気リフォーミング触媒(G−91)は、Rh/CeO2/SiO2(60)より非常に容易に失活する。チャーまたはコーク状の物質は、吸着剤の表面に堆積することが知られている。非触媒システムでは床中でのそのような吸着がないため、今回の実験系でのそれらの収率は低い。チャーまたはコーク状の物質は、反応器の頂部における冷却領域に堆積して、完全には燃焼されない。
【0083】
使用後および使用前の各触媒のBET表面積を、前記表4にまとめた。使用後のRh/CeO2/SiO2(60)触媒の表面積は、使用前のものとほとんど一致している。このことは、Rh/CeO2触媒の深刻な問題であるCeO2の焼結が、反応条件のもとでSiO2により妨げられることを意味する。さらに、同様のRh/CeO2/SiO2(60)触媒を、種々の温度で杉の粉末のガス化に用いたところ、失活は全く観測されなかった。このことから、バイオマス中に存在するSおよびClのような有害物質は、触媒活性に影響しないこともわかる。
【0084】
最後に、Rh/CeO2/SiO2(60)は、流動床連続供給反応器で823〜923Kという低温においても、バイオマスのガス化に効果的に触媒作用を及ぼして、約98%のC−convをもたらす。この触媒は、リフォーミングおよび燃焼反応の両方において高い活性を有するので、タールは完全にガス化されて、非常に少量のチャーが生じる。バイオマス中に含有されるSおよびClは、触媒活性に影響を及ぼすことはなく、反応中に失活は全く観測されない。Rh/CeO2/SiO2(60)のBET表面積は、ガス化反応の間、維持される。流動床反応器とこの触媒との組み合わせによって、低温かつ高いエネルギー効率でバイオマスをガス化して、合成ガスを製造する新規なシステムが得られた。
【0085】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、触媒表面上へタールやチャーを生成させることなく、800℃未満の低温でバイオマスを効率よくガス化して、水素および合成ガスを製造する方法方法が提供される。また本発明によれば、800℃未満の低温でも触媒表面上へタールやチャーが蓄積せず、バイオマスを効率よくガス化して、水素および合成ガスを製造可能な触媒が提供される。
【0086】
本発明により、バイオマスからの合成ガス製造におけるエネルギーの効率を劇的に向上させることができるため、エネルギー関連産業および合成ガスを変換する化学産業に好適に利用することができ、その工業的価値は絶大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に用いた連続供給流動床反応器の構成を表わす概略図。
【図2】Rh/CeO2/SiO2(35)でのセルロースガス化におけるC−convおよび生成物分布の時間依存性を表わすグラフ図。
【図3】Rh/SiO2でのセルロースガス化におけるC−convおよび生成物分布の時間依存性を表わすグラフ図。
【図4】G−91でのセルロースガス化におけるC−convおよび生成物分布の時間依存性を表わすグラフ図。
【図5】Rh/CeO2でのセルロースガス化におけるC−convおよび生成物分布の時間依存性を表わすグラフ図。
【図6】Rh/CeO2/Al23(30)でのセルロースガス化におけるC−convおよび生成物分布の時間依存性を表わすグラフ図。
【図7】Rh/CeO2/ZrO2(50)でのセルロースガス化におけるC−convおよび生成物分布の時間依存性を表わすグラフ図。
【図8】Rh/CeO2/SiO2(35)でのセルロースガス化におけるC−convおよび生成物分布の温度依存性を表わすグラフ図。
【図9】Rh/SiO2でのセルロースガス化におけるC−convおよび生成物分布の温度依存性を表わすグラフ図。
【図10】G−91でのセルロースガス化におけるC−convおよび生成物分布の温度依存性を表わすグラフ図。
【図11】Rh/CeO2でのセルロースガス化におけるC−convおよび生成物分布の温度依存性を表わすグラフ図。
【図12】Rh/CeO2/Al23でのセルロースガス化におけるC−convおよび生成物分布の温度依存性を表わすグラフ図。
【図13】Rh/CeO2/ZrO2でのセルロースガス化におけるC−convおよび生成物分布の温度依存性を表わすグラフ図。
【図14】Rh/CeO2/SiO2中のCeO2含有量がC−conv、タール生成およびチャー生成に及ぼす影響を表わすグラフ図。
【図15】Rh/CeO2/SiO2(35)を用いたセルロースのガス化における水蒸気の影響を表わすグラフ図。
【図16】Rh/CeO2/SiO2(35)を用いたセルロースのガス化における水蒸気の影響を表わすグラフ図。
【図17】Rh/CeO2/SiO2(35)を用いたセルロースのガス化における温度の影響を表わすグラフ図。
【図18】Rh/CeO2/SiO2(35)を用いたセルロースのガス化における空気流量の影響を表わすグラフ図。
【図19】種々の反応条件の下でのRh/CeO2/SiO2(35)を用いたセルロースのガス化における水素収率とC収率との間の関係を表わすグラフ図。
【図20】本発明の一実施形態における流動床反応器中での反応モデルを表わす模式図。
【図21】Rh/CeO2/SiO2(60)での杉の粉末のガス化におけるC−convおよび生成物分布の時間依存性を表わすグラフ図。
【図22】Rh/CeO2/SiO2(60)での杉の粉末のガス化におけるC−convの温度依存性を表わすグラフ図。
【図23】Rh/CeO2/SiO2(60)での杉の粉末のガス化におけるCO+H2+CH4の生成速度の温度依存性を表わす図。

Claims (15)

  1. Ce(NH 4 2 (NO 3 6 およびMの水溶液を用いてインシピエントウェットネス法によりCeO 2 /Mタイプ担体(MはSiO 2 、Al 2 3 、またはZrO 2 である)を調製し、Rh(C 5 7 2 3 のアセトン溶液で前記CeO 2 /Mタイプ担体を含浸することによりRhを担持させてなる触媒が収容され、内部管が設けられた流動床反応器を800℃未満に加熱する工程と、
    前記内部管内の上部から下部に、搬送ガスによりバイオマス粒子を通して、前記流動床反応器の下部から流動床反応器に前記バイオマス粒子およびその分解生成ガスを導入する工程と、
    前記流動床反応器の下部から空気および水蒸気を導入する工程と、
    前記バイオマス粒子及びその分解生成ガスを前記触媒表面と接触させ、空気および水蒸気と反応させることにより、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタンガス含有ガスを製造する工程とを具備することを特徴とするバイオマスのガス化方法。
  2. 前記流動床反応器は、500〜700℃に加熱されることを特徴とする請求項1に記載のバイオマスガス化方法。
  3. 前記MはSiO2であることを特徴とする請求項1または2に記載のバイオマスガス化方法。
  4. 前記バイオマスはセルロースであり、前記触媒におけるCeO2の含有量は35wt%以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のバイオマスガス化方法。
  5. 前記触媒におけるCeO2の含有量は60wt%以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のバイオマスガス化方法。
  6. 前記SiO2の表面積は380m2/g以上であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のバイオマスガス化方法。
  7. 大気圧下で行なわれることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のバイオマスガス化方法。
  8. 前記空気の流量は1000μmol/min以上4000μmol/min以下であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のバイオマスガス化方法。
  9. 前記水蒸気の流量は1111μmol/min以上であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のバイオマスガス化方法。
  10. Ce(NH 4 2 (NO 3 6 およびMの水溶液を用いてインシピエントウェットネス法によりCeO 2 /Mタイプ担体(MはSiO 2 、Al 2 3 、またはZrO 2 である)を調製し、Rh(C 5 7 2 3 のアセトン溶液で前記CeO 2 /Mタイプ担体を含浸することによりRhを担持させてなるバイオマスガス化触媒。
  11. 前記MはSiO2であることを特徴とする請求項10に記載のバイオマスガス化用触媒。
  12. 前記CeO2の含有量は35wt%以上であることを特徴とする請求項10または11に記載のバイオマスガス化用触媒。
  13. 前記CeO2の含有量は60wt%以上であることを特徴とする請求項10ないし12のいずれか1項に記載のバイオマスガス化用触媒。
  14. 前記SiO2の表面積は380m2/g以上であることを特徴とする請求項10ないし13のいずれか1項に記載のバイオマスガス化用触媒。
  15. 粒径74〜240μmであることを特徴とする請求項10ないし14のいずれか1項に記載のバイオマスガス化用触媒。
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