JP3975038B2 - 耐火性塗料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は耐火性塗料に関する。さらに詳しくは、建築材料の耐火性を被覆により向上させるために使用される耐火性塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築材料の分野においては、耐火性が重要な意味を持っている。近年、樹脂材料の用途拡大に伴って、樹脂材料が建築材料として広く利用され、耐火性能を有する樹脂材料が求められている。
【0003】
このような耐火性能としては、単に樹脂材料自体が燃え難いばかりではなく、樹脂材料を建築部材に耐火性被覆材として用いる場合には、建築部材を火炎から保護する性質も要求されている。樹脂材料は、本質的に燃焼又は溶融する性質を有するが、耐火性材料として使用するためには、燃焼したり溶融して脱落しないことが必要である。
【0004】
耐火被覆においては、現場施工の工程を少なくしたいという要望から、予め、梁、柱などに被覆しておく場合があるが、梁−柱の取合部、接合部、外壁等を取り付ける金具部分には予め被覆することはできない。このような部分は現場施行とならざるを得ないが、現場施行を考えるとシート状または板状の被覆材を被覆するより、吹き付け等の塗装形態の方が施行しやすい。さらに複雑な形状の構造体を被覆する場合にも塗装形態の方が好ましい。
【0005】
吹き付けタイプの耐火被覆としてはロックウール吹き付けが一般的であるが、耐火性能を満足するためには被覆厚みが厚くなる。被覆厚みを薄くするという点では耐火塗料が広く知られているが、従来の耐火塗料は加熱膨張後の残渣が脆く、火災の際、膨張残渣が脱落する危険性があったり、その成分に水への溶解度の高い多価アルコールを含有しており、耐水性に問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の観点から、現在、被覆厚みが薄く、膨張後の残渣が強固な耐火性塗料が求められている。本発明の目的は、燃焼後の残渣が充分な形状保持能力を有することにより、格別顕著な耐火性能を発現し、人体に対し安全で、いかなる部位に対しても被覆塗装を容易に行うことが出来る熱膨張性耐火性塗料を提供することにある。
【0007】
以下に、具体的な従来技術を挙げて、本発明が解決した課題について説明する。
【0009】
特公昭63−7238号公報には、熱膨張性黒鉛とリン化合物から成る発泡性の防火組成物が例示されている。この組成物はパテ状物質の形態にするために低分子量の炭化水素類を用いており、垂直部位に使用した際には、保持力不足のために加熱時に発泡前にだれが生じてしまい、十分な防火性能が発揮されないという課題がある。これに対し、本発明の耐火性塗料は、樹脂バインダーを選定することで十分な保持力を確保でき、垂直部位に使用しても加熱時、発泡前にだれが生じることがないため、加熱条件に依らず、十分な耐火性能が発揮できる。
【0010】
特開平5−70540号公報には、ウレタン樹脂をバインダーとして、熱膨張性黒鉛、リン化合物、多価アルコール、含チッソ化合物系発泡剤を使用した塗料が例示されている。しかしながら、水への溶解度の高い多価アルコールを使用しているため、塗料としての耐水性に問題があり、一方、多価アルコールを使用しなければ残渣の強度が不充分であった。
【0011】
特開平9−227716号公報、特開平10−7838号公報には、膨張後の残渣が強固な耐火性樹脂組成物が提案されているが、粘度的な問題点から被覆用塗料として用いるのは困難である。
【0012】
PCT出願(PCT/JP97/02258)の公開公報WO98/31730には、熱膨張性の耐火性シート状成形体が例示されているが、シート状の成形体であり、建築部材の特殊な部位に被覆することは難しい。
【0014】
これらに対し、本発明の耐火性塗料は、いかなる部位にも被覆塗装でき、また、多価アルコールを用いずとも十分な残渣強度を確保でき、耐水性の点でも全く問題がない。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エポキシ樹脂と硬化剤と無機充填剤とを含有する耐火性塗料において、
(1)エポキシ樹脂と硬化剤との合計量100重量部に対し、
(2)中和処理された熱膨張性黒鉛及びリン化合物をその合計量で15〜400重量部含有し、
(3)中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物の重量比が、(熱膨張性黒鉛/リン化合物)=0.01〜9であり、
(4)さらに、金属炭酸塩及び含水無機物を10〜400重量部含有し、
(5)中和処理された熱膨張性黒鉛、リン化合物、金属炭酸塩及び含水無機物の総合計量が200〜500重量部であり、
(6)耐火性塗料の粘度が、B型粘度計による測定粘度で1〜1000psである耐火性塗料であって、
上記エポキシ樹脂は火災による加熱時に炭化層を形成して膨張断熱層に形状保持性を与えるものであり、上記金属炭酸塩は燃焼時に発泡して発泡焼成物を形成して膨張断熱層に形状保持性を与えるものであることを特徴とする耐火性塗料を提供するものである。
【0017】
さらに、本発明は、前記の中和処理された熱膨張性黒鉛の平均粒度が、20〜200メッシュである前記の耐火性塗料を提供するものである。
【0018】
また、本発明は、前記の金属炭酸塩が、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛からなる群から選ばれた一種または二種以上の金属炭酸塩である前記の耐火性塗料を提供するものである。
【0019】
さらに、本発明は、前記の含水無機物が、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイトからなる群から選ばれた一種または二種以上の含水無機物である前記の耐火性塗料を提供するものである。
【0020】
また、本発明は、前記の耐火性塗料が無溶剤塗料である前記の耐火性塗料を提供するものである。
【0021】
さらに、本発明は、基材に、前記の耐火性塗料を塗布し、硬化塗膜により被覆された耐火性塗料被覆基材を提供するものである。
【0022】
また、本発明は、前記基材が、不織布、織布、フィルム、プラスチック板、木材板、セラミック板、ロックウールボード、石膏ボード、金属板のいずれかである前記の耐火性塗料被覆基材を提供するものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳述する。
【0024】
本発明の耐火性塗料の耐火性能は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、中和処理された熱膨張性黒鉛を含有する特定の無機充填剤とを特定の配合量で組み合わせることにより、相乗的に発現する。その作用機構は明らかでないが、エポキシ樹脂の架橋構造が耐火性塗膜の強度に寄与し、火災による加熱時に熱膨張性黒鉛が膨張断熱層を形成して熱の伝達を阻止する。その際、エポキシ樹脂が炭化して膨張断熱層として寄与し、エポキシ樹脂の架橋構造が熱膨張後の形状保持性に対しても有利に働くと考えられる。無機充填剤は、加熱の際に熱容量を増大させ、さらにリン化合物を添加すると、膨張断熱層及び無機充填材の形状保持能力がさらに優れたものになる。
【0025】
本発明に用いるエポキシ樹脂は特に限定されず、塗料に用いられる公知のエポキシ樹脂を使用できる。例えば、2官能のグリシジルエーテル型として、ポリエチレングリコール型、ポリプロピレングリコール型、ネオペンチルグリコール型、1,6-ヘキサンジオール型、トリメチロールプロパン型、ビスフェノールA型、プロピレンオキサイドービスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールF型などが挙げられる。グリシジルエステル型として、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水フタル酸型、ダイマー酸型、p-オキシ安息香酸型等が挙げられる。多官能のグリシジルエーテル型として、例えば、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、DPPノボラック型、ジシクロペンタジエン・フェノール型等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
【0026】
本発明に用いるエポキシ樹脂は、加熱後の炭化層の断熱性と形状保持性を発揮するが、その効果を妨げない範囲で、樹脂成分として他の樹脂を添加しても構わない。好ましい添加量としてはエポキシ樹脂1に対して、それ以外の樹脂が重量比で5までである。この範囲を超えると本発明の効果が現れない場合がある。
【0027】
本発明に用いる硬化剤は、エポキシ樹脂の硬化剤として一般的に使用されている硬化剤が使用でき、重付加型として、例えば、ポリアミン、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカプタン等が挙げられる。触媒型として、例えば、3級アミン、イミダゾール類、ルイス酸錯体等が挙げられる。硬化剤の添加量はエポキシ樹脂が硬化する量的範囲であればよく、一般に、エポキシ樹脂20〜90重量%に対し、80〜10重量%である。
【0028】
次に、本発明に用いる無機充填剤について説明する。
【0029】
熱膨張性黒鉛は、従来公知の物質であり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたもので、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。
【0030】
本発明においては、上記のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛を、更に、アンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和する。脂肪族低級アミンとしては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物としては、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
【0031】
中和処理された熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュのものが好ましい。粒度が200メッシュより細かいと、黒鉛の膨張度が小さくなり、十分な耐火断熱層が得られない。粒度が20メッシュより大きいと、膨張度が大きいという点では効果があるが、樹脂と混練する際、分散性が悪くなり、物性の低下が避けられない。
【0032】
上記無機充填剤として用いる金属炭酸塩は、燃焼時に発泡して発泡焼成物を形成するため、形状保持性を高めるという点から好ましい。具体的には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種類以上が併用されても良い。
【0033】
上記無機充填剤として用いる含水無機物は、加熱時に脱水し、吸熱する効果を有するため、耐熱性を高めるという点から好ましい。具体的には、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種類以上が併用されても良い。
【0034】
含水無機物及び金属炭酸塩の粒径としては、0.5〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜50μmである。
【0035】
含水無機物及び金属炭酸塩は、添加量が少ないときは、分散性が性能を大きく左右するため、粒径の小さいものが好ましい。しかしながら、0.5μm未満では二次凝集が起こり、分散性が悪くなる。含水無機物及び金属炭酸塩の添加量が多いときは、高充填が進むにつれて粘度が高くなる。しかしながら、粒径を大きくすると、耐火性塗料の粘度の上昇をより低くおさえることができるため、添加量をさらに増すことが可能となる。100μmを超えると、塗膜の表面性、塗膜強度が低下する場合がある。
【0037】
次に、本発明で用いるリン化合物について説明する。リン化合物としては特に限定されず、例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;下記構造式(1)で表される化合物等が挙げられる。なかでも、ポリリン酸アンモニウム類が好ましい。上記リン化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0038】
【化1】
【0039】
式中、R1、R3は水素、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または、炭素数6〜16のアリール基を表す。R2は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、または、炭素数6〜16のアリールオキシ基を表す。
【0040】
赤リンとしては、市販の赤リンを用いることができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティングしたもの等が好ましい。
【0041】
ポリリン酸アンモニウム類としては、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられる。これらは市販品を使用できる。
【0042】
上記構造式(1)で表される化合物としては、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。
【0043】
本発明においては、エポキシ樹脂と硬化剤との合計量100重量部に対して、リン化合物と中和処理された熱膨張性黒鉛との合計量は15〜400重量部である。これらが15重量部未満であると、充分な耐火性能が得られない。400重量部を超えると、塗膜の機械的物性の低下が大きく、使用に耐えられない場合がある。好ましくは50〜350重量部、より好ましくは100〜320重量部である。
【0044】
また、中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物の重量比は、(熱膨張性黒鉛/リン化合物)=0.01〜9である。また、重量比が0.01未満であれば膨張倍率が不十分で満足する耐火性能が得られず、9をこえると断熱層の形成が不充分になり、耐火性が低下する。
【0045】
含水無機物及び金属炭酸塩の配合量は10〜400重量部である。含水無機物の配合量が10重量部未満であると上述の含水無機物の吸熱効果が十分に発揮されない。400重量部をこえると凝集力が不足するため、十分な塗膜強度が得られない。また、金属炭酸塩の配合量が10重量部未満であると上述のように残渣強度が不充分となる。400重量部をこえると凝集力が不足するため、十分な塗膜強度が得られないと同時に燃焼時に膨張を阻害し、十分な耐火性が得られなくなる。
【0046】
さらに、金属炭酸塩及び含水無機物を、熱膨張性黒鉛とリン化合物に加えたすべての合計量は、200〜500重量部である。合計量が200重量部未満は十分な耐火性能を得ることができない。500重量部を超えると、粘度が高くなり塗料形態になりにくく、仮に塗料として被覆対象物に塗布できたとしても塗膜の機械的物性の低下が大きく、使用に耐えられない場合がある。
【0047】
上記の組成を有する耐火性塗料は、B型粘度計による測定粘度が1〜1000psの範囲でなければならない。本発明の耐火性塗料は施工性が良好であり、溶剤系、エマルジョン系のいずれの形態でも作製することが可能である。使用するエポキシ樹脂、無機充填剤の添加量、溶剤または水の量により調節することによってこの粘度を確保できる。粘度が1ps未満であると、塗布後の塗膜にダレが生じ、1000psを超えると粘度が高すぎて塗布が困難になる。
【0048】
粘度が小さい場合(1〜200ps)は、スプレーガン吹き付け、より粘度が大きい場合(200ps以上)はロール塗り等の多様な塗布方法が可能となり、塗布厚みの設定も容易である。
【0049】
本発明の熱膨張性耐火性塗料は、上記のように溶剤または水等で粘度を調節しても良いが、溶剤若しくは水を用いず、エポキシ樹脂及び硬化剤の粘度で塗料の粘度を調節することが好ましい。
【0050】
エポキシ樹脂で塗料の粘度を調節するには、粘度の低いエポキシ樹脂及び硬化剤を用いる。粘度の低いエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0051】
また、溶剤または水を用いず塗料の粘度を調節する方法として、塗料を加温し粘度を下げる方法がある。この際、エポキシ樹脂に硬化剤を加えた後に加温すると塗布する前に硬化してしまう恐れがあるため、加温した本発明の耐火性塗料に、硬化剤を混合して塗布することが好ましい。
【0052】
溶剤または水を用いないで粘度を調節する場合、無機充填剤の合計量はエポキシ樹脂100重量部に対して300重量部以下が好ましい。無機充填剤の量が300重量部を超えると上記手法でも粘度を最適に調節することが困難となるからである。
【0053】
溶剤を用いて粘度を調節する場合、溶剤は特に限定されない。例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0054】
本発明の耐火性塗料は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に、粘度調整剤、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料等が添加されてもよい。
【0055】
本発明の耐火性塗料は、各成分を公知の混練・攪拌装置を用い製造できる。また、従来公知の塗布方法により、耐火性を付与したい基材に塗布できる。
【0056】
本発明の耐火性塗料は、塗布する際に、硬化剤と混合し、耐火性の架橋した硬化塗膜を形成する。
【0057】
エポキシ樹脂の硬化方法は、特に限定されず、公知の方法により行うことが出来る。
【0058】
塗料の使用方法としては特に限定はない。耐火性を付与したい基剤に直接塗布して使用する場合には、一般的なプライマーを塗布し、その上に耐火性塗料を塗布してもよい。また、耐火性塗料の上に、意匠性、耐候性向上のためにトップコートを施してもよい。
【0059】
また、予め、不織布、織布、フィルム、プラスチック板、木材板、セラミック板、ロックウールボード、石膏ボード、金属板等に耐火性塗料を塗布し、それらを、耐火性を付与したい部材に被覆して使用することも可能である。
【0060】
【実施例】
次に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0061】
「実施例1、比較例1〜3」
エポキシ樹脂、硬化剤、中和処理された熱膨張性黒鉛、ポリリン酸アンモニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムを、「表1」に示した配合割合で、各成分を混練し、耐火性塗料を得た。得られた耐火性塗料を0.3mmの離型処理されたPETフィルムに塗布し、150℃のオーブンで15分間加熱硬化させ各評価に用いる所定厚みのシート状の耐火性塗料被覆基材を作製した。
【0062】
<断熱性評価>
上記で得られたシート状の耐火性塗料被覆基材を切断して、長さ100mm、幅100mm、厚さ2.0mmの試験片に、コーンカロリーメータ(CONE2A、アトラス社製)を用いて、50kW/m2(水平方向)の照射熱量を15分間与えた後、試験片の裏面(加熱面が表)の温度が260℃以下のものを○、260℃を超えるものを×とした。結果を「表1」に示す。
【0063】
<形状保持性評価>
上記耐火性評価後の試験片(残渣)の破断強度を、フィンガーフィーリングテスター(カトーテック社製)を用いて測定した。
測定条件
圧縮強度:0.1cm/s
圧子:平面、0.25cm2
上記測定で破断点荷重が0から1kg/cm2未満のものを×、1kg/cm2以上2.5kg/cm2未満のものを△、2.5kg/cm2以上のものを○とした。結果を「表1」に示す。
【0064】
なお、形状保持性評価で△以下であるものは非常に脆く、試験片を長手方向にたてるだけで崩れるものであり、実際に耐火材料として用いる際には、燃焼中に脱落するため、耐火性能が発現するのは短時間であると予想される。
【0065】
<粘度>
調整後の塗料の粘度を、B型粘度計(東京計器社製「BBH」)を用い、23℃でローター5番、1rpmまたは5rpmにて測定した。
【0066】
<塗膜強度>
JIS K6301に準拠し、試験片を200mm/minの速度で引張試験を行い、破断する(クラックが入る)までの伸度を測定し、20%以上を○、20%未満を×とした。この伸度が20%未満であると塗布後の部材に衝撃が加わったり、歪みが生じた場合に、容易にクラックが入り、部分的に耐火性能が低下する。上記で得られた耐火性塗料被覆基材を、2号ダンベル(平行部分の幅10mm、平行部分の長さ25mm、厚み2mm)を打ち抜き、試験片とした。
【0067】
<酸素指数>
JIS K7201に準拠し、上記で得られたシート状の耐火性塗料被覆基材を切り抜いて得た試験片(長さ150mm,幅60mm,厚み1mm)を酸素指数測定器(キャンドル法燃焼試験機D型、東洋精機社製)で測定した。酸素指数が40以上のものを○、40未満のものを×とした。
【0068】
<耐火試験>
実施例1及び比較例2のみ下記の要領でJIS A1304に準拠し耐火試験を実施した。
試験体;角鋼管柱 300×300×1200mm、 厚み12mm
熱電対位置;各コーナー4点及び各平面部中央4点の計8点
柱に厚みが2mmになるように塗料を塗布し、完全硬化させた後1時間耐火試験を行った。その際熱電対で鋼材温度を記録し、1時間後の鋼材温度が平均350℃、最高450℃以下を○とした。
【0069】
【表1】
*1残渣崩壊
エポキシ樹脂(1):ビスフェノールF型エポキシ樹脂(粘度33ps、油化シェルエポキシ社製、エピコートE807)
エポキシ樹脂(2):ビスフェノールF型エポキシ樹脂(粘度1.7ps、油化シェルエポキシ社製、エピコートYL6795)
ジアミン系硬化剤(1):(粘度25ps、油化シェルエポキシ社製、エピキュアFL052)
ジアミン系硬化剤(2):(粘度2.7ps、油化シェルエポキシ社製、エピキュアYLH854)
熱膨張性黒鉛:中和処理熱膨張性黒鉛(80mesh、東ソー社製、フレームカットGREP−EG)
ポリリン酸アンモニウム:(クラリアント社製、EXOLIT AP422)
水酸化アルミニウム:(平均粒系18μm、昭和電工社製、ハイジライトH−31)
炭酸カルシウム:(平均粒系8μm、備北粉化社製、BF−300)
【0070】
「表1」より、実施例の耐火性塗料は、優れた耐火性能、断熱性能、形状保持性を有していることが分かる。
【0071】
【発明の効果】
本発明の耐火性塗料は、格別顕著な耐火性を有しており、幅広い用途に提供できるものである。
Claims (7)
- エポキシ樹脂と硬化剤と無機充填剤とを含有する耐火性塗料において、
(1)エポキシ樹脂と硬化剤との合計量100重量部に対し、
(2)中和処理された熱膨張性黒鉛及びリン化合物をその合計量で15〜400重量部含有し、
(3)中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物の重量比が、(熱膨張性黒鉛/リン化合物)=0.01〜9であり、
(4)さらに、金属炭酸塩及び含水無機物を10〜400重量部含有し、
(5)中和処理された熱膨張性黒鉛、リン化合物、金属炭酸塩及び含水無機物の総合計量が200〜500重量部であり、
(6)耐火性塗料の粘度が、B型粘度計による測定粘度で1〜1000psである耐火性塗料であって、
上記エポキシ樹脂は火災による加熱時に炭化層を形成して膨張断熱層に形状保持性を与えるものであり、上記金属炭酸塩は燃焼時に発泡して発泡焼成物を形成して膨張断熱層に形状保持性を与えるものであることを特徴とする耐火性塗料。 - 前記中和処理された熱膨張性黒鉛の平均粒度が、20〜200メッシュである請求項1記載の耐火性塗料。
- 前記金属炭酸塩が、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛からなる群から選ばれた一種または二種以上の金属炭酸塩である請求項1または2記載の耐火性塗料。
- 前記含水無機物が、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイトからなる群から選ばれた一種または二種以上の含水無機物である請求項1、2または3記載の耐火性塗料。
- 前記耐火性塗料が無溶剤塗料である請求項1、2、3または4記載の耐火性塗料。
- 基材に、請求項1、2、3、4または5記載の耐火性塗料を塗布し、硬化塗膜により被覆された耐火性塗料被覆基材。
- 前記基材が、不織布、織布、フィルム、プラスチック板、木材板、セラミック板、ロックウールボード、石膏ボード、金属板のいずれかである請求項6記載の耐火性塗料被覆基材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33286599A JP3975038B2 (ja) | 1999-11-24 | 1999-11-24 | 耐火性塗料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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