JP3973713B2 - 分散処理システムにおける稼働情報自動取得通知方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、分散処理システムにおける稼働情報の自動取得および自動通知の方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、大規模なデータ処理を行うシステムは、ホストコンピュータと、そのホストコンピュータに接続された多数の端末からなる集中処理システムが大多数であった。
【0003】
このホストコンピュータを有する従来の集中処理システムでは、ホストコンピュータのCPU、メモリ、ディスク等の利用時間に応じて処理を依頼した者に課金したり、あるいはそれらの利用時間によってホストコンピュータの稼働状況を把握・管理のが一般的であった。
【0004】
上記CPU、メモリ、ディスク等の利用時間等に関する情報(以下稼働情報という)を収集する方法としては、ユーザー(個人的なエンドユーザー、所定の使用者のグループ、たとえば企業内における所定の部門を含む。以下この明細書において同じ)がホストコンピュータを使用するときに、ユーザーID、処理業務のコード等とともに、処理にかかったCPU、メモリ、ディスク等の利用時間をホストコンピュータに記録しておき、定期的にオペレータがホストコンピュータを使用して上記稼働情報を集計させ、集計結果を出力してそれを各ユーザーに配布するのが一般的であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の集中処理システムの稼働情報収集方法は、最近主流になりつつあるクライアントサーバシステムと呼ばれる分散処理システムにそのまま適用できない問題があった。
【0006】
クライアントサーバーシステムは、要求に応じて所定の処理を行うサーバー(複数でもよい)と、そのサーバーに処理を要求するクライアントPCと、これらのクライアントPCとサーバーを接続する通信回線とからなっている。
【0007】
このクライアントサーバーシステムは、柔軟性に富み、システムに対する要求に応じてネットワーク状あるいはツリー状など任意のネットワークに構成することができる。また、離れた場所にある複数の情報処理拠点にそれぞれサーバーを配置し、これらのサーバーを通信回線によって結んで全体として統一した情報処理を行うことができる。また、各情報処理拠点では、サーバーとそれに接続されたクライアントPCとを使用して、それぞれの要求に合った処理を行うこともできる。さらに、システムの拡張・変更も、サーバーおよびクライアントPCの増設・変更によって容易に行うことができる。
【0008】
このため、最近では、たとえば本店と支店とが散開している企業等において、本店と各支店とにサーバーを分散配置し、各サーバーに多数のクライアントPCを接続し、さらに各支店・本店のサーバーを通信回線で結び、クライアントサーバーシステムによる分散処理を行うところが増加していた。
【0009】
上記クライアントサーバーシステムでは、各支店・本店がそれぞれのサーバーを使用して独自の情報処理を行い、さらに全社的に統一した情報処理を行う必要がある場合には、各支店・本店の情報を一カ所に集中させて特定のサーバーによって統一的な情報処理を行っていた。
【0010】
しかし、このような分散処理システムでは、各サーバーの稼働時間等の稼働情報を収集するのが困難であった。
【0011】
すなわち、上記分散処理システムは、各サーバーが地理的に離れた場所に分散配置されているため、オペレーターが各サーバーに稼働情報を集計させ、これを特定のサーバーに転送する方法では操作が煩雑であり、多くの労力がかかることになる。
【0012】
また、分散処理システムでは、大量の稼働情報を通信回線を通じて収集するために、通信回線の障害時等に対しても、確実に稼働情報を収集できるようにしなければならない。
【0013】
このため、上記のような分散処理システムに適した稼働情報の自動収集方法の開発が待たれていた。
【0014】
また、従来の稼働情報の収集・通知方法は、稼働情報の集計結果を紙に出力し、これを各ユーザーに配布するようにしていたが、その印刷と配布のための時間と労力は軽視できないものであった。このため、稼働情報を可能な限り簡便な手段で各ユーザーに自動通知する方法の開発も待たれていた。
【0015】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、分散処理システムの各サーバーの稼働情報を簡単確実に収集でき、収集した稼働情報を各ユーザーに簡単な手段によって通知できる分散処理システムにおける稼働情報の自動取得および自動通知方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本願請求項1に係る分散処理システムにおける稼働情報自動取得通知方法は、
複数の分散サーバーと所定の運用サーバーとを有する分散処理システムにおいて、
前記各分散サーバーは、制御された時間と条件の下にそれぞれの分散サーバーの稼働情報を取得し、前記稼働情報の取得が未完の分散サーバーは、稼働情報取得未完の旨の情報を当該分散サーバーに登録し、稼働情報を取得し終えた分散サーバーは、取得した稼働情報を稼働情報ファイルに格納するとともに、稼働情報取得完了の旨の情報を当該分散サーバーに登録し、
前記運用サーバーは、各分散サーバーの稼働情報の取得状況を確認し、前記運用サーバーに、稼働情報の取得が完了した分散サーバーを稼働情報収集対象サーバーとして登録するとともに、稼働情報の取得が完了していない分散サーバーを取得状況確認サーバーとして登録し、
前記運用サーバーは、前記取得状況確認サーバーに対して所定時間後に再び稼働情報の取得状況を確認し、前記稼働情報収集対象サーバーに対して前記稼働情報ファイルの転送命令を送信し、
前記転送命令の指示を受信した前記分散サーバーは前記稼働情報ファイルを前記運用サーバーに送信し、
受信して各分散サーバーの稼働情報を収集し、 次に、前記運用サーバー収集された稼働情報について統計的解析を行い、システム利用状況報告あるいは警告を自動的に各ユーザーに送信する、ことを特徴とするものである。
【0017】
本願請求項2に係る分散処理システムにおける稼働情報自動取得通知方法は、上記請求項1の方法において、
前記各分散サーバーにおける稼働情報の取得は、前記運用サーバーの命令により、任意の時間と条件の下に取得されることを特徴とするものである。
【0018】
本願請求項3に係る分散処理システムにおける稼働情報自動取得通知方法は、上記請求項1に係る方法において、
前記分散サーバーに、計時用カレンダーテーブルと、ディスク利用率を取得するディスク利用率取得プログラムと、業務アプリケーション利用率を取得する業務アプリケーション利用率取得プログラムと、オペレーションシステムを介してCPU・メモリ利用率を取得するCPU・メモリ利用率取得プログラムと、各分散サーバーの稼働情報を格納する稼働情報ファイルと、各分散サーバーの稼働情報取得状況を登録する処理状況ファイルと、稼働情報ファイルを転送するファイル転送プログラムとを備え、
前記運用サーバーに、前記各分散サーバーの稼働情報の取得状況をチェックする稼働情報取得状況チェックプログラムと、稼働情報取得済みの分散サーバーに対して稼働情報ファイルの転送を指示する稼働情報転送指示プログラムと、各分散サーバーから転送された稼働情報ファイルを受信する転送ファイル受信プログラムと、転送された稼働情報を統計的に解析して処理済稼働情報ファイルに格納するデータ解析プログラムと、システムの利用状況報告あるいは警告を発する状況/警告メールプログラムと、メール送信先テーブルとを備え、
は、前記カレンダーテーブルと連動した前記ディスク利用率取得プログラムと、業務アプリケーション利用率取得プログラムと、CPU・メモリ利用率取得プログラムとによって稼働情報を取得し、稼働情報の取得を完了していない分散サーバーは稼働情報の取得が完了していない旨の情報を前記処理状況ファイルに登録し、稼働情報の取得を完了した分散サーバーは取得した稼働情報を稼働情報ファイルに格納するとともに、稼働情報の取得が完了した旨の情報を処理状況ファイルに登録し、
前記運用サーバーは、前記稼働情報取得状況チェックプログラムによって各分散サーバーの稼働情報収集状況をチェックした後に、稼働情報の収集が完了した分散サーバーの前記ファイル転送プログラムに対して前記稼働情報転送指示プログラムから稼働情報ファイルの転送命令を発し、前記転送ファイル受信プログラムによって転送された稼働情報ファイルを受信し、
前記運用サーバーは、前記転送ファイル受信プログラムが受信した各分散サーバーの稼働情報ファイルを、データ解析プログラムが入力して統計的に解析して処理済稼働情報ファイルに格納し、
前記運用サーバーは、状況/警告メールプログラムが、各ユーザーの処理済稼働情報について所定の基準でシステム利用状況報告あるいは警告のいずれを発するかを判別し、所定の通信手段によって各ユーザーにシステムの利用状況報告あるいは警告を送信する、ことを特徴とするものである。
【0019】
本願請求項4に係る分散処理システムにおける稼働情報自動取得通知方法は、上記請求項3の方法において、
前記ディスク利用率取得プログラムと、業務アプリケーション利用率取得プログラムと、CPU・メモリ利用率取得プログラムは、利用率取得プログラム制御手段によって制御され、その制御された時間と条件の下に各分散サーバーの稼働情報を取得することを特徴とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による分散処理システムにおける稼働情報自動取得通知方法の一実施形態について添付の図面を用いて以下に説明する。
【0021】
図1に本発明の「分散処理システムにおける稼働情報自動取得通知方法」を実施するためのシステム構成と、その処理の流れを示す。
【0022】
本発明の稼働情報自動取得通知方法を実施する分散処理システム1は、多数の分散サーバー2(図1においては1つのみ示す)と、運用サーバー3とを有している。さらに本実施形態ではメールサーバー20を有している。
【0023】
分散サーバー2は、上記例では各支店・本店に配置するサーバーに該当し、各情報処理拠点の情報処理を行うサーバーである。運用サーバー3は、各分散サーバー2で一旦取得された稼働情報を自動的に取得通知するサーバーである。メールサーバー20は、運用サーバー3が集計した稼働情報を各ユーザー(個人的なエンドユーザーの他、システムを運用管理するシステム管理者等の第三者を含む)に電子メールによって通知するサーバーである。
【0024】
分散サーバー2には、図示しないクライアントPCが多数接続されている。これらクライアントPCの要求により、分散サーバー2は、そのCPU、メモリ、ディスクを使用して要求された業務処理を行う。また、システム構成によっては、一つのサーバーは他のサーバーからの要求により、特定の業務を処理することもある。
【0025】
本実施形態の分散サーバー2は、業務処理を行うのと同時にその業務処理に要したディスクの利用率、CPU・メモリ利用率、処理用プログラム(業務アプリケーション)利用率を取得することができる。
【0026】
このため、分散サーバー2は、稼働情報を取得するプログラムを制御する利用率取得プログラム制御手段4と、計時用のカレンダーテーブル5と、ディスク利用率取得プログラム6と、業務アプリケーション利用率取得プログラム7と、CPU・メモリ利用率取得プログラム8とを備えている。これらの稼働情報取得用のプログラムの他に、分散サーバー2は、サーバー全体を管理するOS(オペレーションシステム)9と、ディスク利用率、業務アプリケーション利用率、CPU・メモリ利用率等を格納する稼働情報ファイル10と、稼働情報ファイル10の内容を転送するファイル転送プログラム11とを有している。
【0027】
一方、運用サーバー3は、分散サーバー2の稼働情報ファイル10にアクセスして稼働情報の取得状況を確認する稼働情報取得状況チェックプログラム12と、ファイル転送プログラム11に命令を送って稼働情報ファイル10の内容を転送させる稼働情報転送指示プログラム13と、ファイル転送プログラム11から転送されたファイルを受信する転送ファイル受信プログラム14と、転送されたファイルのデータを解析してCPU・メモリ利用率、ディスク利用率、業務アプリケーション利用率別の処理済稼働情報ファイル15を出力するデータ解析プログラム16と、稼働の状況や警告を発する状況/警告メールプログラム17と、状況/警告メールプログラム17がメッセージを送信する相手を登録したメール送信先テーブル18とを有している。
【0028】
メールサーバー20は、状況/警告メールプログラム17の命令により、状況/警告メールプログラム17が指定した送信先へメッセージを送信する通信手段(図示せず)を有している。
【0029】
次に、上記構成のシステムによる稼働情報の自動取得・自動通知方法について、図2と図1とを用いて以下に説明する。
【0030】
図2は、本発明の分散処理システムにおける稼働情報自動取得通知方法の処理の流れを示したブロック図である。
【0031】
図2の左側に示した処理段階の大別から明らかなように、本発明による「分散処理システムにおける稼働情報自動取得通知方法」は、大きく4つの処理工程を有している。4つの処理工程とは、稼働情報の取得、収集、加工、通知の各処理工程である。これら各処理工程について以下に説明する。
【0032】
「稼働情報の取得」の処理工程では、最初に、稼働情報を収集するために利用率取得プログラム6,7,8を起動する(ステップ100)。この利用率取得プログラム6,7,8の起動は、各分散サーバー2の利用率取得プログラム制御手段4によって起動される。
【0033】
利用率取得プログラム制御手段4は、各利用率取得プログラム6,7,8の起動・終了を制御し、さらに各利用率取得プログラム6,7,8の作動時の条件を決定するプログラムである。この利用率取得プログラム制御手段4には、各利用率取得プログラム6,7,8の作動日時、ディスク、CPU、メモリの利用率をチェックする時間間隔、業務アプリケーションについて取得する情報(種類、利用者、件数等)などの条件を設定することができる。
【0034】
利用率取得プログラム制御手段4に上記諸条件を設定し、かつ、カレンダーテーブル5と連動させることにより(図1参照)、設定した時間に起動し、設定したタイミングで自動的に分散サーバー2の稼働情報を取得することができる。
【0035】
また、この利用率取得プログラム制御手段4に対して、運用サーバー3から所定の条件を与えてその条件の下に作動させることができる。この方法によれば、運用サーバー3から指令を出し、任意の時間に所定の条件で特定の分散サーバー2、あるいはすべての分散サーバー2から稼働情報を収集することができる。
【0036】
上記利用率取得プログラム制御手段4によって起動された利用率取得プログラム6,7,8は、それぞれディスク利用率、業務アプリケーション利用率、CPU・メモリ利用率を取得する(ステップ110,120,130)。このとき、利用率取得プログラム6,7,8は、カレンダーテーブル5と連動し、利用率取得プログラム制御手段4によって設定されたタイミング(時間間隔)で、ディスク、CPU等にアクセスしてディスク、CPU等の利用率をチェックし、それらのディスク、CPU等の利用率の最大値、最小値、平均値等(これらを本明細書ではまとめて利用率という)を算出する。
【0037】
なお、CPU・メモリ利用率は、実際にはOS9によってチェックされるものであるので、CPU・メモリ利用率取得プログラム8はOS9に取得命令を発し、OS9によってCPU・メモリ利用率を取得する(図1参照)。
【0038】
上記のように利用率取得プログラム6,7,8がディスク、CPU等の利用率の情報を取得している間、各利用率取得プログラム6,7,8は、それぞれの稼働情報の取得が完了していない旨を処理状況ファイル10aに登録する。
【0039】
このような状態で、利用率取得プログラム6,7,8は、利用率取得プログラム制御手段4によって設定された一定の時間帯内に稼働情報を取得し、ディスク利用率、業務アプリケーション利用率、CPU・メモリ利用率をそれぞれ稼働情報ファイル10に登録する(ステップ140,150,160)。
【0040】
取得した稼働情報を稼働情報ファイル10に登録し終えると、利用率取得プログラム6,7,8は、処理状況ファイル10aに稼働情報取得の完了を登録する(ステップ170,180,190)。
【0041】
以上が各分散サーバー2における稼働情報の取得である。次に、運用サーバー3による稼働情報収集について以下に説明する。
【0042】
「稼働情報の収集」処理工程では、最初に運用サーバー3によって各分散サーバー2における稼働情報の取得状況を確認する(ステップ200)。この稼働情報の取得状況の確認は、図1に示すように、運用サーバー3の稼働情報取得状況チェックプログラム12が所定のタイミングで各分散サーバー2の処理状況ファイル10aにアクセスし、利用率取得プログラム6,7,8による稼働情報取得完了の登録がされているか否かを確認する。
【0043】
この結果、稼働情報の取得が完了している分散サーバー2については、稼働情報取得状況チェックプログラム12はそれらを稼働情報収集対象サーバーとして所定のファイルに登録する。一方、稼働情報の取得が完了していない分散サーバー2については、取得状況確認サーバーとして登録し、所定時間後に再び稼働情報の取得状況を確認する(ステップ210)。
【0044】
稼働情報取得状況チェックプログラム12は、上記各分散サーバー2の稼働情報の取得状況を確認しながら、稼働情報収集対象サーバーについては順次稼働情報転送指示プログラム13へ稼働情報ファイル10の転送を指示する(ステップ220)。
【0045】
稼働情報ファイル10の転送は、図1に示すように、稼働情報取得状況チェックプログラム12と稼働情報転送指示プログラム13とファイル転送プログラム11と転送ファイル受信プログラム14とによって行われる。稼働情報取得状況チェックプログラム12は、稼働情報収集対象サーバー名を稼働情報転送指示プログラム13に出力する。稼働情報転送指示プログラム13は、上記稼働情報収集対象サーバーのファイル転送プログラム11にファイル転送命令を出力する。ファイル転送命令を受けたサーバーのファイル転送プログラム11は、その分散サーバーの稼働情報ファイル10を運用サーバー3の転送ファイル受信プログラム14に転送する。上記操作を繰り返し行うことにより、転送ファイル受信プログラム14に各分散サーバー2(たとえば、A店ないしT店の分散サーバー)の稼働情報が収集される。
【0046】
以上が稼働情報の収集工程であるが、次に、運用サーバー3における稼働情報の加工について説明する。
【0047】
「稼働情報加工」の処理では、収集した稼働情報を、ディスク利用率、業務アプリケーション利用率、CPU・メモリ利用率のそれぞれについて、時間帯別、各分散サーバー別、各業務コード別、ユーザー別に、合計値、ピーク値、平均値等を算出する(ステップ230)。
【0048】
図1に示すように、上記処理はデータ解析プログラム16によって行われる。データ解析プログラム16は、転送ファイル受信プログラム14から各店の稼働情報を入力し、これらをディスク利用率、業務アプリケーション利用率、CPU・メモリ利用率別に整理し、各利用率について、時間帯、分散サーバー、業務コード、ユーザーごとに、合計値、ピーク値、平均値等を算出する。算出した稼働情報は、処理済稼働情報ファイル15に格納する。なお、上記稼働情報の算出値は例示であって、適用するシステムに応じて種々の統計値を算出することができる。
【0049】
以上が稼働情報の加工工程である。次に算出した稼働情報を各ユーザーに通知する工程について以下に説明する。
【0050】
「稼働情報通知」の処理工程は、警告あるいはシステムの利用状況の通知をする分散サーバーの決定から始まる(ステップ240)。警告は、たとえば、ディスク利用率、CPU・メモリ利用率等のピーク値や平均値が所定のしきい値を超えるような分散サーバー2に発せされる。これらの分散サーバー2では、甚だしい場合には処理が不能になることが考えられるからである。これに対してシステムの利用状況の通知は、上記しきい値に達しない分散サーバー2にシステムの利用状況のみを通知する。各ユーザーが自分の利用状況を把握する資料にするためである。
【0051】
この警告・システム利用状況を通知は、図1に示す状況/警告メールプログラム17によって行われる。状況/警告メールプログラム17は、処理済稼働情報ファイル15より、CPU・メモリ利用率、ディスク利用率、業務アプリケーション利用率等の稼働情報を入力し、それらを所定の基準(しきい値)によって警告を送る分散サーバー2と利用状況のみを通知する分散サーバー2とに振り分ける。
【0052】
次に、状況/警告メールプログラム17は、通知する電子メールの種類により、メール送信先テーブル18を参照してメールの送信先を決定する。このように送る電子メールの種類に応じて送信先を決定するのは、たとえばCPU・メモリ、ディスクの利用率が所定のしきい値を超える場合は、その分散サーバー2のシステム管理者に送って対応処置を採る必要があるのに対し、システムの利用状況は各ユーザー(この場合はエンドユーザーをいう)に送られる必要があるからである。
【0053】
このとき、状況/警告メールプログラム17は、通信回線の負荷を考慮し、送信するシステム利用状況の情報を適宜要約した少量の情報を送ることを決定することもできる。たとえば、運用サーバー3に格納している稼働情報のファイル名のみを通知し、ユーザーがそのファイルを参照したい場合は、ユーザーが運用サーバー3にアクセスするようにすれば、一律に稼働情報を通知する場合と比べて、全体の通信量を大幅に減少させることができる。
【0054】
次に、状況/警告メールプログラム17は、メールサーバー20により、上記決定した送信内容の電子メールをそれぞれの送信先へ送信する(ステップ250)。
【0055】
これにより、メールサーバー20は、各ユーザーのクライアントPCやサーバーへ警告やシステム利用状況を送信する。なお、送信する警告や稼働情報の形式を汎用性があるデータ形式にすることができる。このようにすれば、ユーザーは、各自のコンピュータのワードプロセッサや表計算ソフトウェアでその警告や稼働情報を参照あるいは加工することができる。
【0056】
このように、本発明の方法によれば、利用率取得プログラム制御手段4に適当な稼働情報取得の時間と条件を設定すれば、カレンダーテーブル5と利用率取得プログラム制御手段4とにより、利用率取得プログラム6,7,8が自動的に起動し、その分散サーバー2のディスク利用率、業務アプリケーション利用率、CPU・メモリ利用率等の稼働情報を自動的に取得する。
【0057】
一方、運用サーバー3は、稼働情報取得状況チェックプログラム12の作用により、各分散サーバー2の稼働情報の取得状態を自動的にチェックし、稼働情報転送指示プログラム13、ファイル転送プログラム11、転送ファイル受信プログラム14により、稼働情報の取得が完了した分散サーバー2から稼働情報を自動的に収集する。
【0058】
さらに、運用サーバー3において、データ解析プログラム16が自動的に収集した分散サーバー2の稼働情報を自動的に解析し、さらに状況/警告メールプログラム17により、警告やシステムの利用状況を通知するユーザーを判別し、メールサーバー20を介してそれぞれユーザーに警告やシステム利用状況を自動的に通知する。警告やシステムの利用状況の情報を通知された各ユーザーは、それぞれのコンピュータにおいて、それらの警告等を見ることができ、データを取り扱うことができるようになる。
【0059】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明による「分散処理システムにおける稼働情報自動取得通知方法」によれば、遠隔地にそれぞれ分散配置された分散処理システムにおいても、各情報処理拠点での分散サーバーの稼働情報が自動的に取得され、これが所定の運用サーバーに収集され、自動的に解析された上で各ユーザーに適当な内容(警告あるいは利用状況報告)の電子メールとして送信される。
【0060】
これにより、従来分散サーバーにおいてオペレーターが所定の時期にその分散サーバーの稼働情報を特別に集計し、これを特定のサーバーに送信し、送信された特定サーバーにおいてオペレータがデータを解析し、解析結果を各ユーザーに知らせていた方法に比べて大幅に労力と時間を節約でき、かつ、確実にシステムの稼働情報を収集・通知することができる。
【0061】
さらに、本発明の方法において、運用サーバーから各分散サーバーの利用率取得プログラム制御手段に対して、所定の時間と条件で稼働情報を収集する命令を発するようにすれば、任意の時間に任意の条件で稼働情報を収集でき、便利かつ柔軟な稼働情報の収集を行うことができる。
【0062】
また、、本発明の方法によれば、稼働情報の取得が終了した分散サーバーから順次稼働情報ファイルを転送させるので、通信回線の利用時間が短時間かつ分散的になるので、通信回線の障害に対しても、高い信頼性を確保することができる。
【0063】
さらに、本発明の方法によれば、収集された稼働情報を電子メールによって、各ユーザーのコンピュータあるいはサーバーに直接送信し、各ユーザーがワードプロセッサや表計算ソフトウェア等によってこれらのデータを取り扱えるようにしているので、紙に出力、仕分け、発送によって各ユーザーに稼働情報を通知していた従来の方法に比べて大幅な労力と時間の軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による「分散処理システムにおける稼働情報自動取得通知方法」を実施するための分散処理システムの構成と、その処理の流れを概略して示したブロック図。
【図2】本発明の「分散処理システムにおける稼働情報自動取得通知方法」による処理の流れを示したフローチャート。
【符号の説明】
1 分散処理システム
2 分散サーバー
3 運用サーバー
4 メールサーバー
5 カレンダーテーブル
6 ディスク利用率取得プログラム
7 業務アプリケーション利用率取得プログラム
8 CPU・メモリ利用率取得プログラム
9 OS
10 稼働情報ファイル
10a 処理状況ファイル
11 ファイル転送プログラム
12 稼働情報取得状況チェックプログラム
13 稼働情報転送指示プログラム
14 転送ファイル受信プログラム
15 処理済稼働情報ファイル
16 データ解析プログラム
17 状況/警告メールプログラム
18 メール送信先テーブル
20 メールサーバー
Claims (4)
- 複数の分散サーバーと所定の運用サーバーとを有する分散処理システムにおいて、
前記各分散サーバーは、制御された時間と条件の下にそれぞれの分散サーバーの稼働情報を取得し、前記稼働情報の取得が未完の分散サーバーは、稼働情報取得未完の旨の情報を当該分散サーバーに登録し、稼働情報を取得し終えた分散サーバーは、取得した稼働情報を稼働情報ファイルに格納するとともに、稼働情報取得完了の旨の情報を当該分散サーバーに登録し、
前記運用サーバーは、各分散サーバーの稼働情報の取得状況を確認し、前記運用サーバーに、稼働情報の取得が完了した分散サーバーを稼働情報収集対象サーバーとして登録するとともに、稼働情報の取得が完了していない分散サーバーを取得状況確認サーバーとして登録し、
前記運用サーバーは、前記取得状況確認サーバーに対して所定時間後に再び稼働情報の取得状況を確認し、前記稼働情報収集対象サーバーに対して前記稼働情報ファイルの転送命令を送信し、
前記転送命令の指示を受信した前記分散サーバーは前記稼働情報ファイルを前記運用サーバーに送信し、
前記運用サーバーは前記稼働情報ファイルを受信して各分散サーバーの稼働情報を収集し、収集された稼働情報について統計的解析を行い、システム利用状況報告あるいは警告を自動的に各ユーザーに送信する、ことを特徴とする分散処理システムにおける稼働情報自動取得通知方法。 - 前記各分散サーバーにおける稼働情報の取得は、前記運用サーバーの命令により、任意の時間と条件の下に取得されることを特徴とする請求項1に記載の分散処理システムにおける稼働情報自動取得通知方法。
- 前記分散サーバーに、計時用カレンダーテーブルと、ディスク利用率を取得するディスク利用率取得プログラムと、業務アプリケーション利用率を取得する業務アプリケーション利用率取得プログラムと、オペレーションシステムを介してCPU・メモリ利用率を取得するCPU・メモリ利用率取得プログラムと、各分散サーバーの稼働情報を格納する稼働情報ファイルと、各分散サーバーの稼働情報取得状況を登録する処理状況ファイルと、稼働情報ファイルを転送するファイル転送プログラムとを備え、
前記運用サーバーに、前記各分散サーバーの稼働情報の取得状況をチェックする稼働情報取得状況チェックプログラムと、稼働情報取得済みの分散サーバーに対して稼働情報ファイルの転送を指示する稼働情報転送指示プログラムと、各分散サーバーから転送された稼働情報ファイルを受信する転送ファイル受信プログラムと、転送された稼働情報を統計的に解析して処理済稼働情報ファイルに格納するデータ解析プログラムと、システムの利用状況報告あるいは警告を発する状況/警告メールプログラムと、メール送信先テーブルとを備え、
前記各分散サーバーは、前記カレンダーテーブルと連動した前記ディスク利用率取得プログラムと、業務アプリケーション利用率取得プログラムと、CPU・メモリ利用率取得プログラムとによって稼働情報を取得し、稼働情報の取得を完了していない分散サーバーは稼働情報の取得が完了していない旨の情報を前記処理状況ファイルに登録し、稼働情報の取得を完了した分散サーバーは取得した稼働情報を稼働情報ファイルに格納するとともに、稼働情報の取得が完了した旨の情報を処理状況ファイルに登録し、
前記運用サーバーは、前記稼働情報取得状況チェックプログラムによって各分散サーバーの稼働情報収集状況をチェックした後に、稼働情報の収集が完了した分散サーバーの前記ファイル転送プログラムに対して前記稼働情報転送指示プログラムから稼働情報ファイルの転送命令を発し、前記転送ファイル受信プログラムによって転送された稼働情報ファイルを受信し、
前記運用サーバーは、前記転送ファイル受信プログラムが受信した各分散サーバーの稼働情報ファイルを、データ解析プログラムが入力して統計的に解析して処理済稼働情報ファイルに格納し、
前記運用サーバーは、状況/警告メールプログラムが、各ユーザーの処理済稼働情報について所定の基準でシステム利用状況報告あるいは警告のいずれを発するかを判別し、所定の通信手段によって各ユーザーにシステムの利用状況報告あるいは警告を送信する、ことを特徴とする請求項1に記載の分散処理システムにおける稼働情報自動取得通知方法。 - 前記ディスク利用率取得プログラムと、業務アプリケーション利用率取得プログラムと、CPU・メモリ利用率取得プログラムは、利用率取得プログラム制御手段によって制御され、その制御された時間と条件の下に各分散サーバーの稼働情報を取得することを特徴とする請求項3に記載の分散処理システムにおける稼働情報自動取得通知方法。
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