JP3973290B2 - 樹脂付鉄板材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄板に樹脂を成形して一体化した樹脂付鉄板材に関するもので、空調装置のドアに用いて好適な技術である。
【0002】
【従来の技術】
例えば、空調装置のドアとして、図4〜図6に示すものが知られている。このドアは、内外気切替ドアに用いられる親子ドアのうちの親ドアJ1 であり、プレス成形された鉄板J2 と、この鉄板J2 の貫通穴J3 に連通するダクトJ4 および子ドアの軸受部J5 を形成する樹脂部材J6 とから構成される。
この親ドアJ1 は、樹脂付鉄板材の一例であり、鉄板J2 を樹脂成形型に収め、その型内に樹脂を注入することで、鉄板J2 に樹脂部材J6 が一体成形される、いわゆるアウトサート成形品である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記で示した親ドアJ1 では、鉄板J2 の一方の面は、ダクトJ4 や子ドアの軸受部J5 により樹脂部材J6 が多くなり、逆に鉄板J2 の他方の面は、樹脂部材J6 が少なくなる。このように、鉄板J2 の表裏の樹脂量に大きな偏りがあると、樹脂成形直後に発生する樹脂の収縮(図5の矢印α参照)によって、鉄板J2 に反り(図5の矢印β参照)が発生してしまい、結果的に親ドアJ1 が反る不具合がある。
【0004】
【発明の目的】
本発明は、鉄板を樹脂成形型に収め、その型内に樹脂を注入することで、鉄板に樹脂部材を一体成形してなる樹脂付鉄板に適用される技術で、鉄板の表裏の樹脂量に大きな偏りがあっても、鉄板の反りの発生が防止できる樹脂付鉄板材の提供にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の樹脂付鉄板材は、次の技術的手段を採用した。
〔請求項1の手段〕
樹脂部材の多い側の面では、鉄板に接する樹脂部材に肉盗み部を設けたことにより、樹脂成形直後に発生する樹脂の収縮が鉄板に与える影響が小さく抑えられる。
また、樹脂部材の少ない側の面では、鉄板に対して略垂直方向に突出するリブを樹脂部材によって設けたことにより、樹脂成形直後に樹脂部材の多い側に鉄板が反ろうとする力が作用しても、リブが反る力に対向して作用する。
このように、肉盗み部とリブとを設けることによって、樹脂成形直後に発生する樹脂の収縮によって鉄板が反るのが抑えられる。
【0006】
板の反りが抑えられるため、親ドアの反りを抑えることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
〔実施形態〕
図1〜図3を用いて実施形態を説明する。なお、本実施形態は、本発明を空調装置の親子ドアに適用したもので、図1は親ドアの平面図、図2は図1のA−A線に沿う断面図、図3は図1のB−B線に沿う断面図である。
親子ドアは、親ドア1と子ドア(図示しない)とから構成されるもので、親ドア1に設けられた貫通穴2を子ドアが開閉するように設けられている。
【0008】
親ドア1は、鉄板3、樹脂部材4、パッキング(図示しない)および回動軸(図示しない)から構成される。
鉄板3は、親ドア1の基体を成すプレス成形品で、略中央部に貫通穴2が設けられている。
樹脂部材4は、鉄板3に設けられた貫通穴2に連通したダクト5、および子ドアの軸を支持する軸受部6を形成するものである。
この樹脂部材4は、鉄板3を樹脂成形型に収め、その状態で樹脂成形型に樹脂を注入し、樹脂が硬化した後に鉄板3を樹脂成形型から取り出すことで鉄板3に一体成形されるものである。
【0009】
樹脂部材4の一方の面(図2の左側の面)は、ダクト5と軸受部6が形成されて樹脂部材4が多くなり、他方の面(図2の右側の面)は、鉄板固着用樹脂7のみが形成されて樹脂部材4が少なくなる。このように、親子ドアは、鉄板3の表裏の樹脂量に大きな偏りがあるが、樹脂部材4の多い側の面では、鉄板3に接する樹脂部材4に肉盗み部8(図1のハッチングで示される部分)が設けられ、逆の樹脂部材4の少ない側の面では、鉄板3に対して垂直方向に突出するリブ9(図3のハッチングで示される部分)が樹脂部材4によって形成されている。リブ9は、貫通穴2の一辺に沿って設けられている。
【0010】
このように、樹脂部材4の多い側の面(ダクト5と軸受部6が形成される面)では、樹脂部材4の鉄板3に接する部分に肉盗み部8が設けられているため、樹脂成形直後にダクト5や軸受部6が収縮しても、その樹脂収縮が鉄板3に与える引っ張り力が小さく抑えられる。
また、樹脂部材4の少ない側の面では、リブ9が樹脂部材4によって形成されているため、樹脂成形直後に反対面のダクト5や軸受部6が収縮して鉄板3に反る力が発生しても、リブ9が反る力に対向し、鉄板3の反りを抑えることができる。
このように、樹脂部材4による肉盗み部8とリブ9とを設けることによって、樹脂成形直後に発生する樹脂の収縮によって鉄板3が反るのが抑えられ、結果的に親ドア1が反る不具合が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】親ドアの平面図である(実施形態)。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である(実施形態)。
【図3】図1のB−B線に沿う断面図である(実施形態)。
【図4】親ドアの平面図である(従来例)。
【図5】図4のC−C線に沿う断面図である(従来例)。
【図6】親ドアの側面図である(従来例)。
【符号の説明】
1 親ドア(樹脂付鉄板材)
2 貫通穴
3 鉄板
4 樹脂部材
5 ダクト
6 軸受部
8 肉盗み部
9 リブ

Claims (2)

  1. 鉄板を樹脂成形型に収めて前記鉄板に樹脂部材を一体的に成形してなり、空調装置に用いられる親子ドアの親ドアである樹脂付鉄板材において、
    前記鉄板における前記樹脂部材の多い側の面では、前記鉄板に接する前記樹脂部材に肉盗み部を設けるとともに、
    前記鉄板における前記樹脂部材の少ない側の面では、前記鉄板に対して略垂直方向に突出するリブを前記樹脂部材によって設け
    前記鉄板には、略中央部に貫通穴が設けられ、
    前記リブは、前記貫通穴の一辺に沿って設けられたことを特徴とする樹脂付鉄板材。
  2. 請求項1の樹脂付鉄板材において、
    記樹脂部材は、前記鉄板に設けられた前記貫通穴に連通したダクト、およびこのダクトを開閉する子ドアの軸を支持する軸受部を形成することを特徴とする樹脂付鉄板材。
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