JP3973149B2 - データリカバリ回路とデータリカバリ方法 - Google Patents

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  • Stabilization Of Oscillater, Synchronisation, Frequency Synthesizers (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、データリカバリ回路とデータリカバリ方法に関し、例えば光通信に用いられる電気的信号処理技術に利用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報通信機器の高速化に伴い、データ転送速度が飛躍的に向上しており、高速シリアルインターフェースの需要が急増している。高速インターフェースでは入力データとクロックを自動的に同期化する技術が必須である。
【非特許文献1】
Seema Butala Anand et a1.,“A CMOS Clock Recovery Circuit for 2.5Gb/s NRZ DATA”, 1EEE J.SOLID-STATE CIRCUITS,vol.36 No.3,MARCH 2001
【非特許文献2】
Kamran Iravani et a1.,“Clock and Data Recovery for 1.25Gb/s Ethernet Tranceiver in 0.35um CMOS ”, IEEE 1998 CUSTOM INTEGRATED CIRCUITS CONFERENCE(Ethernetは登録商標)
【非特許文献3】
Toshio Tanahashi et al,.“A 2Gb/s 21CH Low-Latency Transceiver Circuit for Inter-Processor Communication” ISSCC2001
【0003】
上記非特許文献1と2には、アナログPLLを用いて、データからクロックを抽出する技術が述べられている。非特許文献3には、入力データとクロックの位相を比較し、デジタルDLLによってクロックの位相を調整する技術が述べられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記非特許文献1、2のようなアナログPLL方式では、各チャネル毎にアナログPLLが必要となるため、多チャンネル化した場合、デジタル回路−アナログ回路間のノイズの干渉が問題となる。また、アナログ回路の専用電源が多数必要になることや、フィルタ容量等による面積の増大等の問題もある。
【0005】
上記非特許文献3のようなデジタルDLL方式では、入力データとクロックの位相比較の結果が、そのデータの取り込みにフィードバックされる方式では無く、数ビット後のデータの取り込みに反映される。そのため、各ビット毎に最適なクロックに合わせることができず、フィードバックされるまでのデータ及びクロックの位相の変動量が大きいと、データが正しく取り込めない場合がある。また、クロックを切替える方式のため、データリカバリ回路でリタイミングしたデータとクロックを受ける回路、例えば、シリアル−パラレル変換回路等では、クロックを切替えたとき、クロック相の位相差分、クロックスキューが発生するという問題が生じる。
【0006】
この発明の目的は、簡素化を図りつつ応答性を改善したデータリカバリ回路とデータリカバリ方法を提供することにある。この発明の他の目的は、多チャンネルに好適なデータリカバリ回路とデータリカバリ方法を提供することにある。この発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。同期化回路で参照クロックに同期した多相クロックを形成し、第1シフトレジスタにより入力データを上記多相のクロックのそれぞれに同期して取り込み、かつ、多クロックの中の1つのクロックに位相を合わせ、第2シフトレジスタにより上記第1シフトレジスタから出力されたデータを保持し、位相比較器により上記第2シフトレジスタの保持でからデータエッジを検出し、選択クロック相に対する進み又は遅れを判定し、選択信号生成回路により判定結果から上記選択されたクロック相が上記データエッジに対応するよう選択信号を形成し、セレクタで上記選択信号により上記第2レジスタに保持された多クロックに対応したデータの中から1つのデータ及びそれに対応した選択クロックを出力する。
【0008】
本願において開示される発明のうち他の代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。入力データを参照クロックに同期した多相クロックを用いてそれぞれて取り込んで1つのクロックに位相を合せし、上記複数のデータをシフトレジスタに保持させてデータエッジを検出して、選択クロックとの位相差を判定し、上記選択クロック相が上記データエッジに対応するように選択信号を形成して保持された複数のデータの中から1つのデータ及びそれに対応した選択クロックを選ぶ。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1には、この発明に係るデータリカバリ回路の一実施例のブロック図が示されている。入力データ(非同期)は、入力バッファIBを通してクロック相合わせシフトレジスタ1に取り込まれる。参照クロックは、入力データとは非同期の基準クロック信号である。この参照クロックの周波数は、上記入力データを出力させる送信側回路側のクロック信号に対応して設定される。ただし、この参照クロックと、上記入力データとは非同期である。
【0010】
参照クロックは、上記入力データに対応した入力バッファIB1と同等の入力バッファIB2を通して多相出力PLL回路6に入力される。この多相出力PLL回路6は、特に制限されないが、参照クロックに同期化された8相のパルスを形成する。例えば、電圧制御発振回路を4段の差動型リングオシレータで構成し、電圧制御発振回路の1/8分周したクロックと上記参照クロックとを位相比較器で比較し、両者が一致するような制御信号をループフィルタ(チャージポンプ回路)で形成して、上記電圧制御発振回路の周波数を制御して両者を同期化させ、上記電圧制御発振回路の発振出力の各ノードから発振出力を取り出すことで8相のクロックパルスを形成する。
【0011】
上記クロック相合わせレジスタ1は、多相(8相)クロックでデータを取り込んだ後、異相クロック間を転送して最終的に単一クロック相に乗せ替える動作を行う。データ保持シフトレジスタ2は、データを取り込むクロック相が決定されるまで入力されたデータを保持する。位相比較器(データエッジ検出回路)3は、多相クロックで取り込んだデータからデータエッジを検出し、選択したクロッ相がデータエッジにより遅れていればUP(アップ)信号、進んでいればDN(ダウン)信号をUP/DN(アップ/ダウン)カウンタに出力する。UP/DNカウンタ4は、位相比較器3から出力されたUP/DN信号からセレクタ選択信号を生成する。セレクタ5は、セレクタ選択信号を受けて、最適なクロック相で取り込んだデータを、データ保持シフトレジスタ部から選択して出力する。
【0012】
図2には、前記位相比較器でのデータエッジ検出動作を説明するための概略タイミング図が示されている。この実施例のデータリカバリー回路(以下、単にDR回路という)はデジタル回路で構成される。DR回路では、前記のような多相PLLの多相クロックを用いて入力データのエッジを検出し、最適なクロックでリタイミングしたデータとそのクロックを出力する。
【0013】
上記多相PLLとして前記のような8相PLLを用いた場合を例に説明する。図に示すようにデータエッジが8相クロックφ0〜φ7のうち、φ2とφ3の間にある場合について説明する。まず、エッジフラグが初期位置φ0に設定される。その後、位相比較器でのエッジ検出によりエッジフラグが移動して、最終的にφ2もしくはφ3になる。同期データはエッジフラグの位置より、π(半周期)遅れたφ6もしくはφ7で取り込んだデータ(D6 or D7)を出力する。
【0014】
例えば、セレクト信号(UP/DNカウンタ出力)の切替わりに応じて位相比較器の入力を切替えることも考えられるが、入カデータを切替えた後に切替えた後のデータにおける位相判定結果がUP/DNカウンタにフィードバックされるまでに、数サイクルの遅延が生じる。そのため、リアルタイムに位相判定とクロック相の切替えを行なうことができない。それに対して、前記図3の実施例のように位相比較器を各クロック相で取り込んだデータ毎に並列に配置しておき、各々、位相判定を行うことで、各クロック相での判定結果(UP,DN信号)が常に出力されている。
【0015】
UP/DNカウンタは、シフトレジスタ方式により各判定結果を全て受けており、セレクト信号(UP/DNカウンタの出力)が切替わった時、位相比較器の入力をセレクタで切替える必要がなく、次のサイクルで切替えた後のクロック相の判定結果からセレクト信号を切替えることができる。すなわち、1サイクル毎にクロック相の切替えと位相判定を行なうことができる。
【0016】
データエッジの位相判定を行ない、セレクト信号(UP/DNカウンタの出力)を出力する間、シフトレジスタによって取り込んだデータを保持しておくことで、判定結果をそのデータに直接反映することができ、リアルタイムで各ビット毎に最適なクロック相でデータを取り込むことができる。この実施例では、位相比較器とUP/DNカウンタを調整範囲の分だけ並列に配置するものであるため、その数を変えることで、ワンダに対する動作範囲を容易に拡張できる。
【0017】
図4には、図1のクロック相合わせシフトレジスタの一実施例の概略ブロック図が示されている。先頭の8つのフリップフロップ回路F/Fで、8相クロックφ0〜φ7で入力データをそれぞれが取り込む。その後、異相クロック間を転送し、最終的に単一クロック相、例えばこの実施例ではクロックφ0に乗せ替える。本回路ブロック以降の回路では、基本的に乗せ替えたクロック相φ0で動作させる。
【0018】
図5には、図1の位相比較器とデータ保持シフトレジスタの一実施例の概略ブロック図が示されている。この実施例では、クロック相合わせシフトレジスタで単一クロックに乗せ替えたデータを、データ保持シフトレジスタで数ビット分保持する。保持されたデータから、あるクロック相で取り込んだデータ、π進んだクロック相で取り込んだデータ、π遅れたクロック相で取り込んだデータを各々、位相比較回路部に入力する。
【0019】
位相比較回路部では3つのデータを比較し、UP、DN、FIX信号を出力する。点線で囲んだ位相比較回路部の単位回路を各データ毎に並列に配置することで、各相のエッジの位相判定を同時に行ない、UP[−8 〜8]、DN[−8〜8]FIX[−8〜8]を常に出力する。セレクタ等で入力データを切替える必要がなく、検出結果をそのデータの取り込みにフィードバツクさせることが可能となる。同図は、±2πの範囲で動作範囲を調整できる場合の例が示されおり、データ保持シフトレジスタと、位相比較回路郁の数を拡張することで、調整範囲を容易に変更できる。データ検出部は動作速度に応じてラッチで刻むようにされる。
【0020】
データエッジ検出回路のアルゴリズムは、次の通りである。UP出力は、データエッジに対して、φnとφn+πが遅れていく場合であり、DN出力は、データエッジに対して、φn−πとφnが進でいる場合であり、φn−π、φn及びφn+πの間にデータエッジが無い場合や入力データのデューティ(duty)が悪い(広い)場合や、フリップフロップ回路F/Fのセットアップ/ホールド、及びデータジッタの大きさに依っては、φnとφn−πと、φnとφn+πの両方にデータエッジが入る(狭い))場合が存在するため、その場合はFIX信号を出力するようにする。
【0021】
図6には、図1のUP/DNカウンタの一実施例の回路図が示されている。UP/DNカウンタはシフトレジスタ方式になっており、各クロック相毎の位相判定信号を常に入力している。そのため、データ選択信号が切替わった場合、入力を切替える必要がなくなり、次のサイクルで切替えた後のクロック相による検出結果からセレクト信号の切替えを行なうことができる。
【0022】
回路動作は以下のようになる。まず、UP/DNカウンタ部のフリップフロップ回路F/Fをセット又はリセットして、SEL0にHその他をLとする(初期状態)。最初のクロックで、UP0がHの場合はSEL0のフラグ '1’をSEL−1にシフトし、DN0がHの場合はSEL1にシフトし、FIX0がHの場合はSEL0のまま保持する。以下、1サイクル毎にフラグ(データ選択信号)の移動を繰り返す。
【0023】
同図は±2πの範囲で調整できる場合の例で、位相比較器と同様にカウンタ郁を拡張することで、調整範囲を容易に変更できる。なお、この実施例では、データ選択信号が両端まで行った場合、フラグが消滅しないように、SEL−8はUP−8でFIX,SEL8はDN8でFIXとなるようにしてある。両端のフラグが立った場合、エラー信号として出力させ、データのリタイミングを初期状態からやり直す機能として使用できる。
【0024】
図7には、図1のデータ保持シフトレジスタの一実施例の概略ブロック図が示されている。この実施例では、位相比較器で示したデータ保持シフトレジスタに追加して、データエッジから位相判定を行ない、UP/DNカウンタ部でセレクト信号を出力するまでの間、データを保持できるようにフリップフロップ回路F/Fが追加される。前記図5、図6の回路では、2クロック後にセレクト信号を出力する仕様となっているため、その分のデータを保持できるようにする。
【0025】
データエッジの検出結果から、データエッジよりπ遅れたクロックで取り込んだデータを出力する。SEL0=Hであれば、D00 の位相判定結果からエッジがφ0近傍にあることを示しているため、その2クロック後のD0-2T から、π遅れたクロックで取り込んだデータD4-2T を選択して出力する。データエッジ検出部、UP/DNカウンタ部のフリップフロップ回路F/F数が増えれば、その分だけデータ保持用のフリップフロップ回路F/Fを追加すれば良い。
【0026】
前記セレクタは、UP/DNカウンタの出力のセレクト信号に対応するデータを、データ保持シフトレジスタから選択する。例えば、セレクト信号SEL0がHの場合は、SEL0Dを取り出すようにする。これによって、データエッジの検出結果をそのデータの取り込みに反映させることができる。
【0027】
図8には、図4のクロック相合わせシフトレジスタの動作の一例を説明するためのタイミング図が示されている。多相クロックは、φ0〜φ7の8相クロックが用いられ、それぞれの立ち上がりエッジに同期してにデータを取り込む。8相クロックで取り込み後のデータは、DA0〜DA7のようにそれぞれのクロックに対応した信号であるので、単一のクロックφ0に乗せ替えられる。前記のようにφ0とφ1の間に入力データのデータエッジがある場合には、D1−D2間でデータが '0’から '1’に切り替わる。
【0028】
図9には、データエッジ検出回路以降の回路動作の一例を説明するためのタイミング図が示されている。クロックφ0に乗せ替えられた後のデータD0〜D7において、各クロックφ0においてレベルが異なるデータD0〜D7からクロックφ1とφ2の間にデータエッジがあることが判る。
【0029】
図10には、データエッジ検出回路以降の回路動作の一例を説明するためのタイミング図が示されている。同図には、シフトレジスタ保持データの中から3つのデータD4-T、D00 、D40 とD5-T、D10 、D50 及びD6-T、D20 、D60 が示され、それに対応して形成されたデータ選択信号(UP/DNカウンタ出力)及びDR回路の出力(DOUT,CKOUT)が示されている。
【0030】
前記位相比較器において、前記説明したようなアルゴリズムを用いると、φnとφn−πと、φnとφn+πの両方にデータエッジが入る(狭い))場合にFIXが出力されるため、初期状態でφnがデータの中央にあたるような場合では、エッジフラグが全く移動しない可能性が考えられる。そこで、の場合にUP又はDNを出すようなアルゴリズムに変更し、エッジフラグの固定を防ぐようにすればよい。
【0031】
図11には、この発明が適用される高速シリアルインターフェイスの一実施例のブロック図が示されている。この実施例のDR回路は、入力データを取り込むのに適したロック相を決定して、データを取りこむ回路であるため、入力インターフェイス全般に利用できるものであるが、特に、高速シリアルインターフェイスでは、データとクロックの位相関係が最適でないと正くデータを受信することができないため必須技術である。
【0032】
複数からなる全チャネルに共通の多相PLLと、各チャネル毎に独立に配置したDR回路により構成され、多相PLLから各DR回路多相クロックが供給される。シリアル−パラレル変換回路にはDR回路でリタイミングしたデータとクロックが供給される。シリアル−パラレル変換回路にはDR回路でリタイミングしたデータとクロックが供給される。
【0033】
図12には、この発明が適用される高速光伝送システムの一実施例の概略図が示されている。受信側の信号処理受信LSIでは、光伝送路を通して転送レートA(例A=40)Gbpsの光信号が受信側の光モジュールに入力される。光モジュールでは、転送レートをA/K(例K=16のときには2.5)GbpsのK本のパラレルデータに分割される。この光モジュールでは、パラレルデータR0〜Rkの他に各パラレルデータの一部を抽出したデータから成るデスキュー信号RDが出力されて上記受信側の信号処理LSIに入力される。なお、送信側での信号処理LSI→光モジュール間のデータ転送は、上記と同様である。送信側の光モジュールでは、上記受信側とは逆に逆にデスキュー信号RDとR0〜Rkをシリアルデータにした上で光信号の形態で光伝送路に送信する。
【0034】
図13には、受信側の信号処理LSIのデータ変換処理部の一実施例の概略図が示されている。受信信号R0〜Rk及び上記デスキュー信号RDは、位相同期回路により内部クロックと同期化され、シリアル−パラレル変換回路(以下、S/P回路という)によりnビットパラレルデータに変換される。上記信号処理LSIはデスキュー信号RDと各パラレルデータR0〜Rkとの位相差を検出し補正する事によりトータルAGbpsの正しいデータを取り込む。この位相同期回路に前記実施例のDR回路が用いられる。
【0035】
この実施例では、入力データの位相判定には、多相クロックのあるクロック相(φn)と、π進んだクロック相(φn−π)、π遅れたクロック相(φn+π)で取り込んだデータにより行う。クロック相(φn)がデータエッジより遅れていれば、φnとφn−πの間にデータエッジがくるため、前記図5に示したようにそれぞれのクロック相で取り込んだデータのEx−OR(排他的論理和)によって判定できる。この時、位相比較器はUP信号を出力する。進んでいる場合も同様の原理で検出でき、DN信号を出力する。また、データエッジが検出されない場合にはFIX信号を出力する。
【0036】
以上説明した実施例によれば、各データビット毎に最適なクロック相でデータで取り込める。データのワンダの大きさに応じて、任意に拡張ができ、拡張により最大周波数は変わらない。デジタル方式のため、ノイズ耐性の問題が小さい。データ選択方式のため、クロック選択方式のようなスキューは発生しない。
【0037】
以上説明した実施例では、データエッジの位相判定結果を、そのデータの取り込みにリアルタイムにフィードバックさせる方式であるため、毎回、最適なクロック相で取り込んだデータを選択できる。データ保持シフトレジスタ、位相比較器、UP/DNカウンタの数を増やすことで、データ選択範囲を拡張することができる。アナログ方式の場合、アナログ回路部とデジタル回路部のノイズの干渉が問題となるが、デジタル回路で構成すればその問題を回避できる。クロックを切替える方式は、クロックを切替えた場合にクロック相の位相差分だけクロツクスキューが発生するが、データ選択方式ではクロックは変化しない。
【0038】
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、 これまでに説明した実施例では、データエッジの立ち上がり(rise)と立ち下がり(fall)の両方をデータエッジの位相判定の対象とした。両方で判定するほうが位相調整回数は増えるが、データのデューティが悪い場合では、両方にエッジが入る場合があるので、位相判定を立ち上がり又は立ち下がりのいずれか一方だけにするようにアルゴリズムを変更する。
【0039】
本願発明においてはクロック相数に限らず適用できるため、クロック相を8相以外にしてもよい。特にクロック相聞の位相差が小さいほうが調整単位が小さくなるため、クロックを8相以上にすれば、データ取り込みの精度は上がる。多相クロックを生成する方法として、多相PLLを用いる方法以外にも、単相PLLのクロックからディレイ素子を用いて、クロックを多相化することもできる。また、多相クロックから、クロックを合成して、クロック相数を増やすこともできる。位相比較間隔を±π以外にする。φnがデータの中央付近にある場合では、±πでは正しく判定できた場合でも、間隔を変更すると正しく判定できない場合が生じる。ただし、クロックφnがエッジに近い場合は問題なく、±πよりはデータ取り込みの精度は低くなるが、動作可能である。
【0040】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。同期化回路で参照クロックに同期した多相クロックを形成し、第1シフトレジスタにより入力データを上記多相のクロックのそれぞれに同期して取り込み、かつ、多クロックの中の1つのクロックに位相を合わせ、第2シフトレジスタにより上記第1シフトレジスタから出力されたデータを保持し、位相比較器により上記第2シフトレジスタの保持でからデータエッジを検出し、選択クロック相に対する進み又は遅れを判定し、選択信号生成回路により判定結果から上記選択されたクロック相が上記データエッジに対応するよう選択信号を形成し、セレクタで上記選択信号により上記第2レジスタに保持された多クロックに対応したデータの中から1つのデータ及びそれに対応した選択クロックを出力することにより、簡素化を図りつつ応答性を改善したデータリカバリ回路を得ることができる。
【0041】
入力データを参照クロックに同期した多相クロックを用いてそれぞれて取り込んで1つのクロックに位相を合せし、上記複数のデータをシフトレジスタに保持させてデータエッジを検出して、選択クロックとの位相差を判定し、上記選択クロック相が上記データエッジに対応するように選択信号を形成して保持された複数のデータの中から1つのデータ及びそれに対応した選択クロックを選ぶことにより、簡素化を図りつつ応答性を改善したデータリカバリ方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るデータリカバリ回路の一実施例を示すブロック図である。
【図2】図1の位相比較器でのデータエッジ検出動作を説明するための概略タイミング図である。
【図3】図1の位相比較器でのデータエッジ検出動作の説明図である。
【図4】図1のクロック相合わせシフトレジスタの一実施例を示す概略ブロック図である。
【図5】図1の位相比較器とデータ保持シフトレジスタの一実施例を示す概略ブロック図である。
【図6】図1のUP/DNカウンタの一実施例を示す回路図である。
【図7】図1のデータ保持シフトレジスタの一実施例を示す概略ブロック図である。
【図8】図4のクロック相合わせシフトレジスタの動作の一例を説明するためのタイミング図である。
【図9】図1のデータエッジ検出回路以降の回路動作の一例を説明するためのタイミング図である。
【図10】図1のデータエッジ検出回路以降の回路動作の一例を説明するためのタイミング図である。
【図11】この発明が適用される高速シアルインターフェイスの一実施例を示すブロック図である。
【図12】この発明が適用される高速光伝送システムの一実施例を示す概略図である。
【図13】図12の受信側の信号処理LSIのデータ変換処理部の一実施例を示す概略図である。
【符号の説明】
1…クロック相合わせシフトレジスタ、2…データ保持シフトレジスタ、3…位相比較器、4…UP/DNカウンタ、5…セレクタ、6…多相PLL回路、φ1〜φ7…クロック。

Claims (5)

  1. 参照クロックを受け、それに同期した多相クロックを形成する同期化回路と、
    入力データを上記同期化回路で形成された多相のクロックのそれぞれに同期して取り込み、かつ、多クロックの中の1つのクロックに位相を合わせる第1シフトレジスタと、
    上記第1シフトレジスタを通して出力されたデータを保持する第2シフトレジスタと、
    上記多相クロックのそれぞれにより取り込まれたデータを受けてデータエッジを検出し、かかるデータエッジに対する選択クロック相の進み又は遅れを判定する位相比較器と、
    上記位相比較器の判定結果を受けて、上記選択されたクロック相が上記データエッジに対応するよう選択信号を形成する選択信号生成回路と、
    上記選択信号生成回路により形成された選択信号により上記第2レジスタに保持された多クロックに対応したデータの中から1つのデータ及びそれに対応した選択クロックを出力するセレクタとを備えてなることを特徴とするデータリカバリ回路。
  2. 請求項1において、
    上記同期化回路は、多相出力のPLL回路により構成され、
    上記選択信号生成回路は、上記位相比較器からの判定出力によりアップ/ダウン計数動作を行うアップ/ダウンカウンタにより構成されるものであることを特徴とするデータリカバリ回路。
  3. 請求項2において、
    上記多相クロックは、N相からなり、
    上記第1シフトレジスタは、N相クロックのそれぞれにより入力データを取り込むN個のフリップフロップ回路と、上記N個のフリップフロップ回路にそれぞれ縦列形態に接続された複数のフリップフロップ回路からなるN個のシフトレジスタからなり、最終段のフリップフロップ回路から上記N相のクロックのうちの1つのクロックに同期したN個のデータをパラレルに出力するものであることを特徴とするデータリカバリ回路。
  4. 請求項3において、
    上記第2シフトレジスタは、上記第1シフトレジスタからパラレルに出力されるN個のデータをそれぞれ受けるシフトレジスタからなり、
    上記位相比較器は、上記N相の中の1つのクロックで取り込んだデータと、半周期(π)進んだクロック相で取り込んだデータ及び半周期遅れてクロック相で取り込んだデータを比較し、位相進み、位相遅れ及び位相固定の判定信号を出力し、
    上記アップ/ダウンカウンタは、位相進みの判定出力によりアップカウント動作を行い、位相遅れの判定出力によりダウンカウント動作を行い、位相固定の判定出力により以前の状態を保持するするものであることを特徴とするデータリカバリ回路。
  5. 入力データを参照クロックに同期した多相クロックを用いてそれぞれて取り込んで、それら複数のデータを多クロックの中の1つのクロックに位相を合せし、
    上記多クロックのそれぞれに対応した複数のデータをシフトレジスタに保持させて、そのデータ列からデータエッジを検出して、選択クロックとの位相差を判定し、
    上記判定結果により上記選択クロック相が上記データエッジに対応するように選択信号を形成して、上記レジスタに保持された多クロックに対応した複数のデータの中から1つのデータ及びそれに対応した選択クロックを選ぶようにしてなることを特徴とするデータリカバリ方法。
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