JP3972969B2 - 壁構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、断熱された建築、構築物における冬、および夏の結露防止に好適な木造建築物における壁構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、断熱層を形成し、かつ壁内結露の発生防止を図った壁構造としては、図5に示すようなものがあった。すなわち、従来の壁構造Dは、室内側に位置する内装材21と、石膏ボードや合板等からなる内装下地材22と、ポリエチレンシート等からなる防湿兼気密層23と、防湿兼気密層23の屋外側に配した断熱層24と、断熱層24の屋外側に張設した透湿シート25と、透湿シート25の屋外面に設けた通気層26と、通気層26の屋外側に配した外装材27とから構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記したような従来の壁構造Dには、次のような欠点があった。すなわち、上記したようなの構成のものは、冬期の暖房時における暖房効果のみを狙った設計となっており、冬期において、室内空間B内の湿気は防湿兼気密層23にて遮られて屋外側に移動することがなく、よって冷却されることによる結露を生じることがない。
【0004】
しかし、夏の高温多湿季における冷房使用時に、防湿兼気密層23は室温と同等の温度に冷却されており、屋外Cの湿気が通気層6から断熱層24を透過して防湿兼気密層23近傍に至ると冷却され、結露を生じる。さらに、日射によって外装材27の室内側が高温となり、付近の構造材等の部材が含む水分を蒸発させ、さらに多くの湿気を発し、防湿兼気密層23の近傍での結露の発生を助長する。従って、従来の構成の壁構造Dは、特に夏期において断熱層24の断熱性の低下、防湿兼気密層23付近の部材の腐朽、さらには建築、構築物の腐朽等を招き、建築、構築物の断熱性や耐震性の低下を招き易いのみならず、寿命も短くなり易いものであった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述したような課題を解決するために、室内空間に面し防湿性を有する内装材と、内装材の屋外側に配する内装下地材と、内装下地材の屋外側に配する調湿性を有する調湿層と、調湿層の屋外側に配し柱間に断熱材を充填して形成する断熱層と、断熱層の屋外側に配する透湿性を有する透湿シートと、透湿シートの屋外側に設けた通気層と、通気層の屋外側に配した断熱性を有する外装材とから構成する壁構造を提案する。
【0006】
【作用】
本発明は、内装下地材と断熱層の間に調湿材を配したので、夏の高温多湿季における冷房使用時において内装下地材の屋外側近傍において湿度が高くなっても、調湿材がある程度湿気を吸収して湿気を調節するので、結露が生じにくい。また、外装材として断熱性を有する部材を用いたので、直射日光によって外装材表面の温度が上昇しても通気層内の空気の温度上昇は抑えることができ、従って通気層内の温度の上昇に伴う付近の構造材等が含む水分の蒸発を防ぐことができ、壁構造内における結露の発生を夏期、冬期のあらゆる状況を通して防止するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を用いて本発明の壁構造について説明する。図1において、Aは壁構造、Bは室内空間、Cは屋外、1は内装材、2は内装下地材、3は調湿層、4は断熱層、5は透湿シート、6は通気層、7は外装材である。
【0008】
内装材1は、例えばビニールクロス等のある程度の防湿性を有するものからなり、室内空間Bの内装として機能すると共に、冬期の暖房使用時において室内空間Bから発する湿気が屋外側、すなわち断熱層6側に大量に透過しないように遮り、壁構造A内の壁内結露の発生を防止するものである。内装材1としては、防湿性を有するものなら何でも良く、防湿性を有するものと有しないものの複合材でも構わない。
【0009】
内装下地材2は、内装材1の屋外側に配し、難燃性、もしくは不燃性を有するものであることが好ましく、例えば石膏ボード、ケイ酸カルシウム板、炭酸カルシウム板、パーライトセメント板、ロックウール板、スレート板、ALC板、PC板、その他の無機質軽量体、無機質軽量発泡体等の無機ボード、あるいはこれらの複合板よりなるものである。内装下地材2は、内装材1や調湿層3と一体化されているものを用いても構わない。
【0010】
調湿層3は、内装下地材2の屋外側に配し、湿気の吸収、放出する機能、すなわち、近傍の湿気が多いときには湿気を吸収し、湿気が少ないときには湿気を放出する性質を有するもので、活性炭、シリカゲル、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、合板等の調湿性を有する物質からなり、平板状に形成したもの、もしくはシート状に形成したもの、もしくは内装下地材2もしくは断熱層4と一体化したものを用いる。
【0011】
調湿層3は、従来の壁構造Dにおける防湿兼気密層23に相当する位置に配する。従来の壁構造Dにおいて、防湿兼気密層23は夏期において屋外Cからの湿気を屋外側で遮ってしまい、室内空間Bで冷房を使用した際にはそこで冷却されて結露を発生させるものであった。しかし、本発明の壁構造Aでは防湿兼気密層23の代わりに調湿層3を設けて湿度を調節するので、内装材1の屋外側にて湿気を遮っても結露が生じるには至らず、従って壁内結露が生じないものである。
【0012】
断熱層4は、柱間に配し、例えばスチレンフォーム(スチレンボード)、ポリウレタンフォーム(ウレタンボード)、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム等の合成樹脂発泡体からなるものをボード状に形成して柱間に嵌装して形成するか、もしくは現場発泡により形成するか、あるいはグラスウール、ロックウール等のうち少なくとも1種以上を充填するかによって形成する。なお、断熱層4は透湿性を有するものである。
【0013】
透湿シート5は、断熱層4の屋外側に配するもので、湿気を透過する性質を有しつつ、風を遮断し、かつ防水性を有するもので、断熱層4が屋外側にはみ出ないように支持しつつ壁構造Aに気密性の確保し、また屋外Cから雨水等が浸入しても、透湿シート5よりも室内空間B側に浸入することがないようにするものである。
【0014】
通気層6は、透湿シート5と外装材7の間に形成するもので、屋外Cから浸入した湿気や雨水等を外部へ放出し、断熱層4や周囲の構造材腐食するのを防止するものである。なお、通気層6はその上下にて屋外Cと連通していることが好ましい。
【0015】
外装材7は、通気層6の屋外側に配して屋外Cに面し、断熱性を有する部材であり、例えば図2に示すような金属サイディング材11からなる。金属サイディング材11は、表面材12と、裏面材13の間に断熱材14を介在したもので、長手方向に対する幅方向の一方端には雄型連結部15、もう一方端には雌型連結部16を形成したものである。
【0016】
表面材12は鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー金属板を含む)の一種をロール成形、プレス成形、押出成形等によって各種形状に成形したものである。なお、表面材12の表面は白色系、もしくは銀色系とすることにより、太陽光による熱の吸収量を小さくし、夏期における通気層6内の温度上昇の抑制に寄与することができる。
【0017】
裏面材13は金属材、あるいはアスベスト紙、クラフト紙、アスファルトフェルト、金属箔(Al、Fe、Pb、Cu)、合成樹脂シート、ゴムシート、布シート、石膏紙、水酸化アルミ紙、ガラス繊維不織布等の1種、または2種以上をラミネートしたもの、あるいは防水処理、難燃処理されたシート等からなるものである。
【0018】
断熱材14は例えばスチレンフォーム(スチレンボード)、ポリウレタンフォーム(ウレタンボード)、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム等の合成樹脂発泡体からなるもの、あるいは所定形状に形成されたものを接着剤等で貼着したもの、あるいは各種軟質フォーム、グラスウール、ロックウール等の変形が容易なもの等のうち少なくとも1種以上からなる。
【0019】
雄型連結部15は、金属サイディング材11の長手方向に対する幅方向の一方端に、雌型連結部16は、もう一方端にそれぞれ形成するもので、図2においては表面材12の長手方向に対する幅方向の一方端に雄型連結部15、もう一方端に雌型連結部16を形成したものである。また、雄型連結部15と雌型連結部16を、それぞれが嵌合可能な形状に形成することで、金属サイディング材11は容易に施工でき、また通気層6の屋外C側に隙間無く連続した外装材7を形成できる。
【0020】
外装材7として、金属サイディング材11等の断熱性を有する部材を用いることで、太陽光によって外装材7の表面の温度が上昇しても通気層6内の空気の温度上昇は抑えることができ、従って通気層6内の温度の上昇に伴って通気層6近傍の構造材や胴縁等が含む水分が蒸発するのを防ぐことができる。従って、通気層6より室内側へ浸入する湿気が太陽光によって増加するのを防止することができ、夏期における壁構造A内における結露の発生の防止を助長することができる。
【0021】
本発明の壁構造Aは、上記のような構成により、冬期はもとより夏期においても内部結露を防止でき、四季を通じて結露の発生を防止できるものである。
【0022】
なお、金属サイディング材11は、図3(a)〜(e)、図4(a)〜(f)に示すような形状のものを使用することができる。
【0023】
【発明の効果】
上述したように本発明に係る壁構造によれば、▲1▼内装下地材と断熱層の間に調湿材を配したので、夏の高温多湿季における冷房使用時において内装下地材の屋外側近傍において湿度が高くなっても、調湿材が調湿しある程度湿気を吸収するので、結露が生じにくい。▲2▼外装材として断熱性を有する部材を用いたので、直射日光によって外装材表面の温度が上昇しても通気層内の空気の温度上昇は抑えることができ、従って通気層内の温度の上昇に伴う付近の構造材等が含む水分の蒸発を防ぐことができ、壁構造内における結露の発生を夏期、冬期のあらゆる状況を通して防止できる。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る壁構造の説明図である。
【図2】外装材の例である。
【図3】外装材のその他の例である。
【図4】外装材のその他の例である。
【図5】壁構造の従来例である。
【符号の説明】
A 壁構造
B 室内空間
C 屋外
D 壁構造
1 内装材
2 内装下地材
3 調湿層
4 断熱層
5 透湿シート
6 通気層
7 外装材
11 金属サイディング材
12 表面材
13 裏面材
14 断熱材
15 雄型連結部
16 雌型連結部
21 内装材
22 内装下地材
23 防湿兼気密層
24 断熱層
25 透湿シート
26 通気層
27 外装材

Claims (1)

  1. 室内空間に面する防湿性を有する内装材と、該内装材の屋外側に配する内装下地材と、該内装下地材の屋外側に配する調湿性を有する調湿層と、該調湿層の屋外側に配し柱間に断熱材を充填して形成する断熱層と、該断熱層の屋外側に配する透湿性を有する透湿シートと、該透湿シートの屋外側に設けた通気層と、該通気層の屋外側に配した断熱性を有する外装材とから構成することを特徴とする壁構造。
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