JP3972831B2 - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関の運転状態に応じてそのバルブタイミングを可変制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
こうしたバルブタイミング制御装置にあっては、内燃機関の出力軸であるクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を変更することにより、同カムシャフトにより開閉駆動されるバルブのバルブタイミングを変更するようにしている。こうしたバルブタイミング制御装置の一例としては、ベーン式のバルブタイミング制御装置がある。このベーン式のバルブタイミング制御装置は、例えばクランクシャフトに駆動連結されたハウジングと、同ハウジング内に回動可能に配設され、ハウジング内を進角圧力室と遅角圧力室とに区画するとともにカムシャフトに連結されるベーン体とを備えている。そして、進角圧力室または遅角圧力室に作動油が供給されることにより、ハウジングとベーン体が相対回動し、最終的にクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相、すなわちバルブタイミングが変更される。また、バルブタイミングを保持する場合には、進角圧力室及び遅角圧力室に対する作動油の供給及び排出が停止され、各圧力室における作動油の圧力が等しくされる。
【0003】
ところで、機関始動時には、オイルポンプによって十分な量の作動油を供給することができないために、上記各圧力室に供給される作動油の圧力は通常運転時と比較して低くなる。ここで、ベーン体には、カムシャフトがバルブを開閉駆動する際に生じる反力トルクが作用するため、このように作動油の圧力が低くなる状況では、ベーン体が反力トルクの変化に応じて回動してしまい、バルブタイミングを一定に維持することが困難になる。また、ベーン体がハウジングの内壁に衝突し、打音が発生する場合もある。
【0004】
そこで、近年のベーン式のバルブタイミング制御装置には、機関始動時においてハウジングとベーン体との相対回動を規制するロック機構を備えるものが多い。このロック機構は、例えばベーン体に摺動可能に配設されたロックピンと、ハウジングの内壁に設けられ、ロックピンの先端部が挿入されるロック穴とを備えて構成されている。そして、作動油の圧力が低下している機関停止時等には、ロックピンの先端部がロック穴に挿入される。これによりハウジングとベーン体との相対回動が規制される。
【0005】
また、このロック機構には、ロック解除用の圧力室が設けられており、この圧力室にはロックピンをロック穴から離脱させる方向に押圧する圧力が上記各圧力室から導入される。
【0006】
そして、機関始動後に、オイルポンプによる十分な作動油の供給が可能となり、上記各圧力室のうちの少なくとも一方の圧力が十分に高まると、ロック解除用の圧力室の圧力も高まり、ロックピンがロック穴から離脱してハウジングとベーン体との相対回動の規制が解除される。こうして相対回動の規制が解除されると、ハウジングとベーン体との相対回動が可能となり、遅角圧力室と進角圧力室との圧力調整に基づいてバルブタイミングの変更が行われるようになる。
【0007】
ここで、ロックピンの解除は作動油の油圧により行われるため、油圧の状態によっては、ロック機構に誤作動が生じるおそれがある。例えば、機関始動時には、オイルポンプが停止状態から起動することにより、一時的にポンプ吐出圧が急上昇してロックピンが強制的に解除されてしまうおそれがある。そこで特許文献1に記載の装置では、機関始動時において、各圧力室の双方への作動油供給を遮断することにより、一時的なポンプ吐出圧の急上昇に起因するロック機構の誤作動を抑えるようにしている。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−41012号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ロック機構の誤作動は上述したようなものだけではなく、例えば、次のようなものもある。すなわち、各圧力室からの作動油の漏洩に起因してそれら圧力室の圧力が低下した時や機関始動時などのように作動油の油圧が低い状態において、バルブタイミングを変更しようとすると、ロックピンの解除がなされる前にハウジングとベーン体との相対回動が開始されてしまう場合がある。この場合には、ロックピンがロック穴の側壁などに押し付けられるなどして、ロックが解除されなくなり、バルブタイミング装置の作動不良を引き起こすおそれがある。上記従来の装置ではこのような不具合に対して対処することができず、この点においてなお改善の余地を残すものとなっていた。
【0010】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ロック機構を備える可変バルブタイミング機構にあって、ロックの解除不全の発生を好適に抑制することのできる内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段及びその作用効果について以下に記載する
【0024】
請求項に記載に発明は、相対回動することにより内燃機関のバルブタイミングを変更可能な第1及び第2の回転体と、同第1の回転体に対する前記第2の回転体の回転位相を変更するための作動流体が供給される第1及び第2の圧力室と、前記第1及び第2の回転体のバルブタイミング最大制御位置に対応した回転位相においてこれら回転体の相対回動を規制すると共に、前記第1及び第2の圧力室の少なくとも一方に供給される流体圧に基づき同規制を解除するロック機構と、作動流体を前記第1及び第2の圧力室に供給するポンプの吐出圧を検出する圧力センサとを備える内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記圧力センサの検出値が、前記作動流体の粘度あるいはその相関値に基づいて設定される許容圧力以上になるまで、前記第1及び第2の圧力室のうち、前記バルブタイミング最大制御位置を維持する側の一方の圧力室に対し作動流体を供給した後に、他方の圧力室に作動流体を供給することをその要旨とする。
【0025】
同構成では、圧力センサによって検出されるポンプの吐出圧が、許容圧力以上になるまでの間、前記一方の圧力室に対し作動流体を供給するようにしている。ここで、前記一方の圧力室に作動流体が供給される際に圧力センサによって検出されるポンプの吐出圧と、同圧力室内の流体圧とは、作動流体の粘度によって異なるようになる。そこで、上記請求項に記載の構成では、この作動流体の粘度あるいはその相関値に基づいて上記許容圧力を設定するようにしている。従って、この許容圧力は上記の流体圧差に対応した好適な値が設定され、位相変更に先立って行われる上記圧力室への作動流体の供給を好適に実施することができる。その結果、ロックの解除不全の発生を好適に抑制することができるようになる。
【0026】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記許容圧力は、前記作動流体の粘度あるいはその相関値の増大に伴って高く設定されることをその要旨とする。
【0027】
作動流体の粘度が高くなるほど、流路内の流体圧は上昇するが、その流動性も低下するため、上記制御位置を維持する側の圧力室内の流体圧と、上記圧力センサで検出された流体圧との差が大きくなる。そこで、上記請求項に記載の構成では、前記作動流体の粘度あるいはその相関値の増大に伴って前記許容圧力を高めるようにしている。そのため、粘度の増加に伴って流動性が低下する状況にあってもより高い圧力で、いわば強制的に上記圧力室に作動流体が供給されるため、確実に上記圧力室内の流体圧を高めることができ、もってロック機構の解除も確実に行うことができるようになる。
【0028】
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記相関値は作動流体の温度であることをその要旨とする。
【0029】
作動流体の粘度は、その流体温度が高くなるほど低下する傾向にある。このような傾向に着目した上記請求項に記載の構成によれば、作動流体の温度に基づいてその粘度を推定することができ、上記請求項1または2に記載の作用効果が得られるようになる。
【0030】
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記相関値は冷却水温であることをその要旨とする。
【0031】
作動流体の粘度は、内燃機関の冷却水温が高くなるほど低下する傾向にある。このような傾向に着目した上記請求項に記載の構成によれば、内燃機関に一般的に設けられている水温センサの検出値である冷却水温が、作動流体の粘度についてその相関値として用いられる。従って、作動流体の粘度を検出するためのセンサを別途設けることなく、上記請求項1または2に記載の作用効果が得られるようになる。
【0032】
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記相関値は冷却水温及び吸気温であることをその要旨とする。
【0033】
冷却水温の変化に対する吸気温の影響、換言すれば冷却水温の変化に対する外気温の影響は、作動流体の粘度、換言すれば作動流体の温度の変化に対する吸気温の影響と比較すると小さい。そのため例えば、吸気温が低いときには、冷却水温は高いものの、作動流体の温度は低いといった状況も想定される。この点、上記請求項に記載の構成によれば、冷却水温のみならず吸気温も考慮に入れた値が、作動流体の粘度と相関関係にある値として利用される。そのため、作動流体の粘度に対する相関関係の精度がより高まり、ひいては上記請求項1または2に記載の作用効果も自ずと精度の高いものとなる。なお、この場合にも、内燃機関に一般的に設けられている水温センサ及び吸気温センサの検出値である冷却水温及び吸気温が、作動流体の粘度の代わりに用いられる。従って、作動流体の粘度を検出するためのセンサを別途設けることなく、上記請求項1または2に記載の作用効果が得られるようになる。
【0034】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態について、図1〜図5を参照して詳細に説明する。
【0035】
図1は、本実施形態のバルブタイミング制御装置の可変バルブタイミング機構の構造と、同制御装置の油圧回路構造とを併せて示している。
この図1に示すように、上記可変バルブタイミング機構は、第1の回転体であって略円環形状のハウジング103と、その内部に収容された第2の回転体であるベーン体101とを有している。ベーン体101は、吸気バルブを駆動するカムシャフト130に、またハウジング103は機関出力軸であるクランクシャフトに同期して回転するカムプーリ105に、それぞれ一体回転可能に連結されている。なおこの例では、カムシャフトは同図1の時計回り方向に回転するものとする。
【0036】
ベーン体101の外周には、その径方向に延びる複数のベーン102が形成されている。また、ハウジング103の内周には、その周方向に延びる複数の凹部104が形成されており、ベーン102はこの凹部104内にそれぞれ配設されている。そして各凹部104内には、ベーン102によって区画されることで、第1の圧力室である進角圧力室106と第2の圧力室である遅角圧力室107とがそれぞれ形成されている。なお、図1では、ベーン102並びに凹部104をそれぞれ2つずつ示すが、この数は適宜に変更してよい。
【0037】
これら進角圧力室106、遅角圧力室107はそれぞれ適宜の油通路を介して油圧制御弁120に接続されており、同油圧制御弁120には、クランクシャフトに駆動連結されたオイルポンプ121から送られる作動流体である作動油が供給される。この油圧制御弁120は、同弁に印加される電圧のデューティ比に応じて、進角圧力室106あるいは遅角圧力室107への作動油供給量を調整することのできる弁となっている。そして油圧制御弁120は、電子制御装置122の指令信号に基づいて動作し、作動油を進角圧力室106や遅角圧力室107内に供給、あるいは進角圧力室106や遅角圧力室107内から排出させる。そして、ベーン102は、その両側面に形成された進角圧力室106内と遅角圧力室107内との流体圧の差、すなわち油圧の差により、上記凹部104内における相対回動位相が所望の位相に設定される。その結果、ベーン体101はハウジング103に対して相対回動される、ひいてはカムプーリ105に対するカムシャフト130の相対回転位相が変更されて、吸気バルブのバルブタイミングが変更される。
【0038】
なお、バルブタイミング制御は、具体的には次のように行われる。
電子制御装置122には、水温センサ10によって検出される冷却水温THW、クランク角センサによって検出される機関回転速度、及びスロットルセンサによって検出されるスロットル弁開度等の機関運転状態を表すパラメータが入力される。そして、電子制御装置122は、これらのパラメータを基に機関運転状態に応じた適切なバルブタイミングを演算し、それに応じたベーン体101の相対回動位相の目標値を算出する。この目標値が現在の位相と異なる場合、電子制御装置122は、進角圧力室106及び遅角圧力室107のいずれか一方から作動油を排出するとともに、他方に対しては作動油を供給するように油圧制御弁120を作動制御する。その結果生じる進角圧力室106と遅角圧力室107との圧力の偏差に応じてベーン体101はハウジング103に対して相対回動し、バルブタイミングが調整される。
【0039】
そして、こうした調整の結果、目標値が現在の位相と一致した場合、電子制御装置122は、進角圧力室106及び遅角圧力室107に対する作動油の供給及び排出を停止するよう油圧制御弁120を作動制御する。その結果、進角圧力室106内及び遅角圧力室107内の圧力は均等に保持され、ベーン体101の相対回動位相も維持されるようになる。
【0040】
なお、この可変バルブタイミング機構では、ベーン体101は、ベーン102が凹部104の一方の側壁に当接する位相から同凹部104の反対側の側壁に当接する位相までの範囲で相対回動できるようになっている。すなわち、この相対回動可能な位相の範囲が、このバルブタイミング制御装置における回動位相の制御範囲となる。以下では、ベーン体101が最も遅角方向(カムシャフト130の回転方向とは逆方向)に相対回動したときの位置、すなわち上記制御範囲の遅角側の最大制御位置を「最遅角位置」という。そしてこの位置は、上記油圧制御弁120が電子制御装置122によって作動制御されていないときの初期位置、すなわち機関停止時の位置として設定されている。一方、最も進角方向(カムシャフト130の回転方向)に相対回動したときの位置、すなわち上記制御範囲の進角側の最大制御位置を「最進角位置」という。
【0041】
このように本実施形態のバルブタイミング制御装置では、進角圧力室106内及び遅角圧力室107内の圧力制御に基づき、ベーン体101を上記「最遅角位置」から「最進角位置」までの範囲で相対回動させている。そしてこの相対回動によって、クランクシャフトに対するカムシャフト130の相対回転位相を変更し、同カムシャフト130の回転に伴い開閉駆動される吸気バルブの開閉弁時期(バルブタイミング)を可変としている。
【0042】
また、本実施形態の可変バルブタイミング機構には、機関始動時などの圧力低下時にベーン体101の相対回動を規制するロック機構が設けられている。
すなわち、図1に示すように、ベーン102の一つには、カムシャフト130の軸方向と平行に延びる段付きの収容孔30が形成されており、この収容孔30の内部の空間には、ロックピン31が往復摺動可能に配設されている。
【0043】
このロックピン31は、図2及び図3にその断面構造を示すように、外周面が上記収容孔30の内周面に摺接した状態で、図2に示す位置から図3に示す位置までの間をカムシャフト130の軸方向に移動するようになっている。また、ロックピン31はコイルばね33によってカムプーリ105側に向けて付勢されている。このロックピン31の端部には拡径された段部31aが形成されており、この段部31aと上記収容孔30の段部30aとの間には環状の空間であるロック解除用圧力室37が形成されている。このロック解除用圧力室37は、上記ベーン102に形成された進角側油通路35を通じて進角圧力室106に接続されており、同進角圧力室106内の圧力が伝達されるようになっている。
【0044】
一方、ハウジング103には、ベーン体101が上記最遅角位置に位置するときに、上記ロックピン31が挿入可能なロック穴32が形成されている。図2に示すように、ロックピン31がコイルばね33の付勢力によってこのロック穴32内に挿入することで、ベーン体101はハウジング103に機械的に締結され、その相対回動が規制(ロック)されるようになる。
【0045】
このロック穴32とロックピン31の先端部とで形成される空間はロック解除用圧力室38となっており、上記ベーン102とハウジング103との摺接面に形成された遅角側油通路36を通じて遅角圧力室107に接続され、同遅角圧力室107内の圧力が伝達されるようになっている。
【0046】
上記ロック解除用圧力室37、38内の作動油の圧力は、上記ロックピン31を収容孔30から離脱させる方向に作用する。したがって、進角圧力室106及び遅角圧力室107の一方若しくは両方の圧力が高まり、これらと接続されたロック解除用圧力室37、38内の圧力が十分に高まると、図3に示すように、ロックピン31は収容孔30から離脱する方向に移動して、上記相対回動の規制(ロック)が解除される。
【0047】
他方、上記油圧制御弁120が作動制御されていないときには、オイルポンプ121と遅角圧力室107とが連通するように油回路は構成されている。従って、機関始動時にあって油圧制御弁120が動作していないときには、オイルポンプ121から遅角圧力室107に向けて作動油が供給される。
【0048】
こうして本実施形態のバルブタイミング制御装置では、機関始動直後の圧力低下時にはベーン体101の相対回動を最遅角位置で規制(ロック)し、オイルポンプ121が十分な作動油を供給できるようになると上記相対回動の規制を解除して、バルブタイミング制御を行えるようにしている。
【0049】
ところで、機関始動時にはオイルポンプ121が十分な作動油を供給できないため、こうしたバルブタイミング制御装置にあって、機関始動直後に進角要求がなされると、ロックピン31がロック穴32から解除される前にハウジング103とベーン体101との相対回動が開始されてしまう場合がある。この場合には、ロックピン31がロック穴32の側壁などに押し付けられるなどして、ロック機構の解除不全が発生し、ひいては可変バルブタイミング機構の作動不良を引き起こすおそれがある。
【0050】
そこで本実施形態にかかるバルブタイミング制御装置では、機関始動直後に進角要求がなされたときには、所定時間、遅角圧力室107に作動油を供給してロック解除用圧力室38に作動油を供給する。そして、ロックピン31を解除する方向への予圧をかけた後で、進角圧力室106に作動油を供給することで、上記ロック解除用圧力室37、38に確実に油圧を作用させ、ロック機構を確実に解除できるようにしている。
【0051】
ここで、遅角圧力室107に作動油を供給する所定時間が短すぎると、同遅角圧力室107内の油圧が不足してしまうため、ロックピン31に対してその解除を行うことのできる十分な予圧をかけることができない。また、上記所定時間が長すぎると、ロックピン31に十分な予圧をかけることはできるものの、進角要求がなされてから実際に進角圧力室106に作動油が供給されるまでの時間が長くなり、不要な待機時間が生じることになる。このように不必要に長い待機時間が設定されると、例えば次のような不具合が生じるおそれがある。
【0052】
すなわち、近年、電動機及び内燃機関を駆動源として搭載するハイブリット車両が実用化されている。このハイブリット車両では、電動機の出力特性に適合した車両走行状態と内燃機関の出力特性に適合した車両走行状態とに応じて、駆動源が切り替えられる。ここで、電動機を駆動源として車両走行が行われるときにあっても、内燃機関のクランクシャフトは回転しており、同機関の気筒内では吸入空気の圧縮が行われる。この吸入空気の圧縮による負荷は、電動機の負荷抵抗になる。そこで、電動機によって車両走行が行われるときには、内燃機関の吸気バルブの閉じタイミングを圧縮上死点近傍に変更して実質的な圧縮行程の短縮を図って上記負荷を低減するようにしている。一方、内燃機関によって車両走行が行われるときには、吸気バルブの閉じタイミングを進角させて十分な圧縮行程を確保し、車両走行に必要な出力トルクを得るようにしている。逆に言えば、機関始動直後は速やかに吸気バルブを進角させないと十分な出力トルクが得られなくなる。従って、上述した待機時間が不必要に長くなると、機関始動直後の出力トルクの低下時間が長くなってしまう。もちろん、ハイブリッド車両だけではなく、内燃機関のみを駆動源として搭載する車両にあっても、進角要求がなされた後は、できるだけ速やかに進角制御が行われた方がよい。
【0053】
そこで、本実施形態では、遅角圧力室107に作動油を供給する所定時間を、同遅角圧力室107内の油圧状態を推定するパラメータに基づいて可変設定することで、ロック機構の解除に必要な予圧を過不足なくに付与するための時間を設定し、ロックの解除不全の発生を抑制するようにしている。
【0054】
以下、こうした本実施形態における進角待機処理の詳細を、図4、図5を併せ参照して説明する。
図4は、機関始動時に実行される、そうした進角待機処理における電子制御装置122の処理手順を示している。
【0055】
この処理が開始されるとまず、冷却水温THWが読み込まれる(S100)。次に、電子制御装置122から進角要求がなされているか否かが判定される(S110)。そして、進角要求がなされていない場合には(S110でNO)、本処理を終了する。
【0056】
一方、進角要求がなされている場合には(S110でYES)、冷却水温THWに基づき、図5に例示する待機時間マップから、待機時間WATが求められる。この待機時間マップは、図5に示すように、ある所定の温度に達するまでは、冷却水温THWが高くなるにつれて待機時間は短くなるように設定されており、また、所定の温度を超えると、冷却水温THWが高くなるにつれて待機時間は長くなるように設定されている。換言すれば、冷却水温THWが所定値以下の場合には、冷却水温THWの低下に伴って、待機時間WATは増大するように設定されている。また、冷却水温THWが所定値以上の場合には、冷却水温THWの増大に伴って、待機時間WATは増大するように設定されているが、これらは以下の理由による。
【0057】
一般に冷却水温THWが低くなるほど、作動油の温度は低くなる傾向にある。そしてこのように作動油の温度が低くなるほど同作動油の粘度は増加して、その流動性は低下し、遅角圧力室107への作動油の単位時間当たりの供給量が減少する。そこで、冷却水温THWが所定値以下の領域にあるときには、冷却水温THWが低くなるに伴って待機時間WATが長くなるように設定することで、遅角圧力室107へはより多くの作動油が供給されるようになり、確実に遅角圧力室107内の油圧を高めることができるようになる。
【0058】
他方、冷却水温THWが高くなるほど、作動油の温度は高くなる傾向にある。そしてこのように作動油の温度が高くなるほど同作動油の粘度は低下する。このように作動油の粘度が低下するほど、油回路内の油圧は低下することが知られている。そこで、冷却水温THWが所定値以上の領域にあるときには、冷却水温THWが高くなるに伴って待機時間WATが長くなるように設定することで、遅角圧力室107へはより多くの作動油が供給されるようになり、確実に遅角圧力室107内の油圧を高めることができるようになる。
【0059】
さて、S120にて待機時間WATが求められると、次に、進角要求後時間ATが待機時間WAT以上となったか否かが判定される(S130)。すなわち、遅角圧力室107に十分な作動油が供給され、同遅角圧力室107内の油圧が上昇したか否かが判定される。ここで、進角要求後時間ATは、電子制御装置122から進角要求がなされてから今回の処理が行われるまでの経過時間のことであり、電子制御装置122内のタイマカウンタ等で計測されている。そして、進角要求後時間ATが待機時間WAT以上になるまで、S130での比較判定が繰り返し行われ、進角要求後時間ATが待機時間WAT以上になると(S130でYES)、油圧制御弁120に対して進角制御信号が出力され、実際に可変バルブタイミング機構は進角制御される(S140)。そして、本処理を終了する。
【0060】
このように、本実施形態では、遅角圧力室107内及び進角圧力室106内の双方の油圧によって解除されるロックピン31を備える可変バルブタイミング機構にあって、進角要求がなされたときには、まず、遅角圧力室107に作動油を供給するようにしている。そのため、進角制御に先立って、ロック解除用圧力室38には予圧が付与され、ロックピン31が解除されやすい状態になる。そして、進角制御が実行されて進角圧力室106にも作動油が供給されることにより、ロック解除用圧力室37にも作動油が供給され、ロックピン31はロック解除用圧力室37、38の油圧によって確実に解除されるようになる。このとき、作動油の粘度と相関関係にある冷却水温THWに基づいて待機時間WAT、すなわち遅角圧力室107に作動油を供給する時間を、上述した傾向をもって可変設定するようにしている。従って、遅角圧力室107内の油圧を確実に高めることのできる時間が過不足なく設定される。
【0061】
以上説明したように、第1の実施形態における内燃機関のバルブタイミング制御装置によれば、次のような効果が得られるようになる。
(1)遅角圧力室107内及び進角圧力室106内の双方の油圧によって解除されるロックピン31を備える可変バルブタイミング機構にあって、進角要求がなされたときには、まず、遅角圧力室107に作動油を供給するようにしている。そのため、ロック機構を確実に解除することができるようになる。
【0062】
(2)進角制御に先立って、遅角圧力室107に作動油を供給するようにしているが、その供給時間を遅角圧力室107内の油圧状態を推定するパラメータに基づいて可変設定するようにしている。より具体的には、遅角圧力室107に作動油が供給されると、遅角圧力室107内の油圧は上昇するようになるが、このときの油圧上昇の態様は作動油の粘度によって変化する。そこで、遅角圧力室107に作動油を供給する時間を、作動油の粘度の相関値である冷却水温THWに基づいて可変設定するようにしている。従って、進角制御に先立って行われる遅角圧力室107への作動油の供給時間を好適に設定することができ、もって、ロック機構の解除に必要な予圧を十分に付与するための時間を好適に設定することができるようになる。
【0063】
(3)上記待機時間マップを、作動油の粘度の相関値である冷却水温THWが所定値以上の領域にある場合には、作動油の粘度低下に伴って待機時間WATが増大するように設定している。また、冷却水温THWが所定値以下の領域にある場合には、作動油の粘度増加に伴って待機時間WATが増大するようにも設定している。従って、作動流体の粘度の変化に対応して確実に遅角圧力室107内の油圧を高めることができ、もってロック機構の解除も確実に行うことができるようになる。
【0064】
(4)進角制御に先立って、遅角圧力室107に作動油を供給するようにしているため、進角制御が実行される際の進角圧力室106内と遅角圧力室107内との油圧の差が小さくなり、ハウジング103とベーン体101との相対回動も緩やかに行われるようになる。そのため、同相対回動が速やかに実行される場合と比較して、ロック機構の解除に要する時間も確保しやすくなり、ロックピン31の解除方向への移動速度が低下しやすい油圧低下時、すなわち上述したような機関始動直後にあっても、ロック機構の解除を確実に行うことができるようになる。
【0065】
(5)遅角圧力室107内の油圧状態を推定することのできるパラメータである作動油の粘度の相関値である冷却水温THWに基づいて、上記待機時間WATを求めるようにしている。ここで、冷却水温THWは、内燃機関に一般的に設けられている水温センサによって検出される値である。従って、作動油の粘度を検出するセンサを別途設けることなく、上述した効果が得られるようになる。
【0066】
(6)油回路内の油圧が低下している機関始動時に、上記進角待機処理を実行するようにしている。従って、油圧低下に起因するロック機構の解除不全を好適に抑制することができる。
【0067】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を説明する。
本実施形態は、第1の実施形態と比較して、進角待機処理の態様が異なる点以外は基本的に第1の実施形態と同一であり、可変バルブタイミング機構の構成も同一である。そこで以下では、第1の実施形態と異なる点を中心に、本実施形態における進角待機処理について、図6、図7を併せ参照して詳細に説明する。
【0068】
さて、内燃機関の運転が停止されると、オイルポンプ121も停止される。そのため、機関停止中には遅角圧力室107内及び進角圧力室106内の作動油が徐々に漏洩するとともに両圧力室内の油圧も低下し、機関始動時おいてロック機構を解除する際の油圧が不足するようになる。そこで、本実施形態では、遅角圧力室107に作動油を供給する時間を、機関始動前の機関停止時間に基づいて可変設定するようにしている。
【0069】
図6は、機関始動時に実行される、そうした進角待機処理における電子制御装置122の処理手順を示している。
この処理が開始されるとまず、機関停止時間STが読み込まれる(S200)。この機関停止時間STは、機関停止がなされたときから機関始動がなされるまでの間の時間であり、イグニッションスイッチのオフ・オン時間を、電子制御装置122内のタイマカウンタ等で計測している。
【0070】
次に、機関停止時間STに基づき、図7に例示する待機時間マップから、待機時間WTが求められる(S210)。この待機時間マップは、図6に示すように、機関停止時間STが長くなるほど、待機時間WTも長くなるように設定されているが、これは以下の理由による。
【0071】
すなわち、上述したように、機関停止中はオイルポンプ121の稼働が停止するため、機関停止時間STが長くなるほど、遅角圧力室107内や進角圧力室106内から漏洩する作動油の量は増大し、両圧力室内の油圧は低下する。そこで、機関停止時間STが長くなるに伴って、遅角圧力室107に作動油が供給される時間である待機時間WTが長くなるように待機時間マップを設定することにより、遅角圧力室107から漏洩した分に相当する量の作動油を同遅角圧力室107に供給することができる。従って、遅角圧力室107内の油圧を確実に高めることができ、もってロック機構の解除も確実に行うことができるようになる。
【0072】
次に、電子制御装置122から進角要求がなされているか否かが判定される(S220)。そして、進角要求がなされていない場合には(S220でNO)、本処理を終了する。
【0073】
一方、進角要求がなされている場合には(S220でYES)、機関始動後時間ONTが待機時間WT以上となったか否かが判定される(S230)。すなわち、遅角圧力室107に十分な作動油が供給され、同遅角圧力室107内の油圧が上昇したか否かが判定される。ここで、機関始動後時間ONTは、機関始動がなされてからS220の判定処理が行われるまでの経過時間のことであり、電子制御装置122内のタイマカウンタ等で計測されている。そして、機関始動後時間ONTが待機時間WT以上になるまで、S230での比較判定が繰り返し行われ、機関始動後時間ONTが待機時間WT以上になると(S230でYES)、油圧制御弁120に対して進角制御信号が出力され、実際に可変バルブタイミング機構は進角制御される(S240)。そして、本処理を終了する。
【0074】
このような第2の実施形態における内燃機関のバルブタイミング制御装置によれば、次のような効果が得られるようになる。
(1)進角制御に先立って、遅角圧力室107に作動油を供給するようにしているが、その供給時間を遅角圧力室107内の油圧状態を推定するパラメータに基づいて可変設定するようにしている。より具体的には、機関停止時間ST内に遅角圧力室107から漏洩した作動油を補充できるように、上記供給時間である待機時間WTを可変設定するようにしている。従って、進角制御に先立って行われる遅角圧力室107への作動油の供給時間を好適に設定することができ、もって、進角制御が開始されるまでの待機時間を好適に設定することができるようになる。
【0075】
(2)また、機関停止時間STが長くなるほど、上記待機時間WTが長くなるように設定している。そのため、機関停止時間ST内に低下した、遅角圧力室107内の油圧を確実に高めることができ、もってロック機構の解除も確実に行うことができるようになる。
【0076】
(第3の実施形態)
次に、本発明を具体化した第3の実施形態を説明する。
本実施形態は、第1の実施形態と比較して、進角待機処理の態様が異なるとともに、図8に示すように、油圧制御弁120とオイルポンプ121との間の油圧、すなわちオイルポンプ121の吐出圧を検出する圧力センサ140を備える点以外は基本的に第1の実施形態と同一である。そこで以下では、第1の実施形態と異なる点を中心に、本実施形態における進角待機処理について、図9、図10を併せ参照して詳細に説明する。
【0077】
一般に冷却水温THWが低くなるほど、作動油の温度は低くなる傾向にある。そしてこのように作動油の温度が低くなるほど同作動油の粘度は増加して、その流動性は低下する。そのため、遅角圧力室107への作動油供給の初期段階では、圧力センサ140で検出された油圧Pと遅角圧力室107内の油圧との間に差が生じるとともに、この差は作動油の粘度が高くなるほど大きくなる。そこで、本実施形態では、上記油圧Pが、作動油の粘度の増大に伴って高められる許容圧力OKP以上になってから、進角制御を行うようにしている。
【0078】
図9は、機関始動時に実行される、そうした進角待機処理における電子制御装置122の処理手順を示している。
この処理が開始されるとまず、冷却水温THWが読み込まれる(S300)。次に、電子制御装置122から進角要求がなされているか否かが判定される(S310)。そして、進角要求がなされていない場合には(S310でNO)、本処理を終了する。
【0079】
一方、進角要求がなされている場合には(S310でYES)、冷却水温THWに基づき、図10に例示する許容圧力算出マップから、許容圧力OKPが求められる(S320)。この許容圧力OKPは、遅角圧力室107への作動油供給を、進角圧力室106への作動油供給に切り替える際の判定に用いられる油圧であり、かつ、上述した予圧を十分に確保できる値となっている。また、許容圧力算出マップは、図10に示すように、冷却水温THWが高くなるほど許容圧力OKPは高くなるように設定されているが、これは以下の理由による。
【0080】
上述したように、遅角圧力室107への作動油供給の初期段階では、圧力センサ140で検出された油圧Pと遅角圧力室107内の油圧との間に差が生じる。ここで、冷却水温THWが低く、換言すれば作動油の粘度が低くその流動性が高いときには、オイルポンプ121から遅角圧力室107に速やかに作動油が供給されるため、上記圧力差は速やかに解消される。一方、作動油の粘度が高く、その流動性が低いときには、オイルポンプ121から遅角圧力室107への作動油供給が滞るため、上記圧力差の解消にはある程度の時間を要する。そこで、冷却水温THWが低くなるほど(作動油の粘度が増大するほど)、上記許容圧力OKPを高めることで、強制的に遅角圧力室107に作動油を供給し、確実に遅角圧力室107内の油圧を高められるようにしている。
【0081】
さて、S320にて許容圧力OKPが求められると、次に、圧力センサ140で検出された油圧Pが許容圧力OKP以上となったか否かが判定される(S330)。すなわち、遅角圧力室107に十分な作動油が供給され、同遅角圧力室107内の油圧が上昇したか否かが判定される。そして、油圧Pが許容圧力OKP以上になるまで、S330での比較判定が繰り返し行われ、油圧Pが許容圧力OKP以上になると(S330でYES)、油圧制御弁120に対して進角制御信号が出力され、実際に可変バルブタイミング機構は進角制御される(S340)。そして、本処理を終了する。
【0082】
以上説明したように、第3の実施形態における内燃機関のバルブタイミング制御装置によれば、次のような効果が得られるようになる。
(1)許容圧力OKPを冷却水温THWに応じて、換言すれば作動油の粘度に応じて設定するようにしている。そのため、上記油圧Pと遅角圧力室107内の油圧との圧力差に対応した好適な許容圧力OKPが設定され、進角制御に先立って行われる遅角圧力室107への作動油の供給を好適に実施することができる。その結果、ロック機構の解除不全の発生を好適に抑制することができるようになる。
【0083】
(2)また、冷却水温THWが低くなるほど(作動油の粘度が増大するほど)、上記許容圧力OKPを高めるようにしている。そのため、作動油の流動性が低下するほど、強制的に遅角圧力室107に作動油が供給されるようになる。従って、確実に遅角圧力室107内の油圧が高められ、もってロック機構の解除を確実に行うことができるようになる。
【0084】
(3)一般に、油圧制御弁120と遅角圧力室107との間の油圧は、油圧制御弁120の作動や、油圧制御弁120と遅角圧力室107との間の作動油の量等に影響を受けて変動する。これに較べ、油圧制御弁120とオイルポンプ121との間の油圧は比較的安定していることが知られている。このような油圧の変化が比較的に穏やかな部位に上記圧力センサ140を設けるようにしている。そのため、油圧Pと許容圧力OKPとの比較判定も、自ずと精度の高いものとなる。
【0085】
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・第1の実施形態と第2の実施形態とを組み合わせて実施してもよい。例えば以下のようにすることもできる。
【0086】
(a)第1の実施形態において算出される待機時間WATと、第2の実施形態において算出される待機時間WTとを比較し、より長い時間が設定されている方の待機時間を採用して、同待機時間が経過するまで、進角制御を待機させるようにしてもよい。
【0087】
(b)冷却水温THWから推定される遅角圧力室107内の油圧上昇と、機関停止時間STから推定される作動油の残留量とに基づいて進角制御を待機する待機時間を求めるようにしてもよい。
【0088】
そしてこれらの場合には、ロック機構の解除不全の発生をより確実に抑制することができるようになる。
・第1の実施形態と第3の実施形態とを組み合わせて実施してもよい。例えば以下のようにすることもできる。
【0089】
(c)第1の実施形態において算出される待機時間WAT以上に進角要求後時間ATが経過し、かつ、第3の実施形態で説明した油圧Pが同実施形態で算出される許容圧力OKP以上になったときに進角制御を実行するようにしてもよい。
【0090】
このような場合にも、ロック機構の解除不全の発生をより確実に抑制することができるようになる。
・第2の実施形態と第3の実施形態とを組み合わせて実施してもよい。例えば以下のようにすることもできる。
【0091】
(d)第2の実施形態において算出される待機時間WT以上に機関始動後時間ONTが経過し、かつ、第3の実施形態で説明した油圧Pが同実施形態で算出される許容圧力OKP以上になったときに進角制御を実行するようにしてもよい。
【0092】
このような場合にも、ロック機構の解除不全の発生をより確実に抑制することができるようになる。
・第1〜第3の実施形態を組み合わせて実施してもよい。例えば以下のようにすることもできる。
【0093】
(e)第1の実施形態において算出される待機時間WATと、第2の実施形態において算出される待機時間WTとを比較し、より長い時間が設定されている方の待機時間を採用する。そして、進角要求がなされてから前記選択された待機時間が経過するとともに、第3の実施形態で説明した油圧Pが同実施形態で算出される許容圧力OKP以上になったときに進角制御を実行するようにしてもよい。
【0094】
(f)冷却水温THWから推測される遅角圧力室107内の油圧変化と、機関停止時間STから推測される作動油の残留量とに基づいて進角制御を待機する待機時間を求める。そして、進角要求がなされてから前記求められた待機時間が経過するとともに、第3の実施形態で説明した油圧Pが同実施形態で算出される許容圧力OKP以上になったときに進角制御を実行するようにしてもよい。
【0095】
これらの場合にも、ロック機構の解除不全の発生をより確実に抑制することができるようになる。
・第2の実施形態では、機関停止時間STに基づいて待機時間WTを求めるようにした。ここで、機関停止直後の作動油の粘度が高いほど、遅角圧力室107や進角圧力室106から漏洩する作動油の量は減少し、遅角圧力室107内の油圧低下量も小さくなる。そこで、作動油の粘度あるいはその相関値(例えば冷却水温THW)が増大するほど、待機時間WTが短くなるように補正してもよい。この場合には、待機時間WTを、作動油の漏洩量に対応させてさらに好適に設定することができるようになる。
【0096】
・一般に、冷却水温THWの変化に対する吸気温の影響、換言すれば冷却水温THWの変化に対する外気温の影響は、作動油の粘度、換言すれば作動油の温度の変化に対する吸気温の影響と比較すると小さい。そのため例えば、吸気温が低いときには、冷却水温THWは高いものの、作動油の温度は低いといった状況も想定される。そこで、第1の実施形態における待機時間WATの算出、あるいは第2の実施形態における待機時間WTの算出に際して、冷却水温THWのみならず吸気温も考慮した値を作動油の粘度と相関関係にある値として利用してもよい。この場合には、作動油の粘度に対する相関関係の精度がより高まり、ひいては上記各実施形態の作用効果も自ずと精度の高いものとなる。なお、この場合にも、内燃機関に一般的に設けられている水温センサ及び吸気温センサの検出値である冷却水温THW及び吸気温が、作動油の粘度の代わりに用いられる。従って、作動油の粘度を検出するためのセンサを別途設ける必要もない。
【0097】
・上記第1及び第2の実施形態では、作動油の粘度を表す相関値として冷却水温THWを用いるようにしたが、作動油の温度を検出する油温センサを別途内燃機関に設け、その検出値を同粘度を表す相関値として用いるようにしてもよい。
【0098】
・機関停止中にはオイルポンプ121も停止するため、上述したようなロック解除用圧力室37、38内の圧力低下も著しいものとなる。そこで、上記各実施形態では、上述した進角待機処理を機関始動時に実行するようにした。他方、機関運転中にあっても、遅角圧力室107及び進角圧力室106からの作動油の漏洩等により、ロック解除用圧力室37、38内の圧力が低下し、ロック機構のロック解除不全が発生するおそれはある。そこで、機関運転中に上記第1及び第3の実施形態で説明した進角待機処理を実行するようにしてもよい。この場合には、機関運転中におけるロック機構のロック解除不全の発生を抑えることができるようになる。
【0099】
・上記各実施形態では、ロック機構は最遅角位置でベーン体101及びハウジング103の相対回動を規制する構成としていたが、最進角位置で同ベーン体101及びハウジング103の相対回動を規制するロック機構を備える構成についても同様に本発明は適用可能である。また、上記各実施形態では、吸気バルブを駆動するカムシャフト130に可変バルブタイミング機構を備える場合について例示したが、排気バルブを駆動するカムシャフトに可変バルブタイミング機構を備える場合にも、同様に本発明は適用可能である。
【0100】
そしてこれらの場合も、上記各実施形態に準じた態様でバルブタイミング制御を行うことで、同様の効果が得られるようになる。
・上記各実施形態では、遅角圧力室107に作動油を供給した後、進角圧力室106への作動油供給を行うようにした。この他にも、遅角圧力室107内の圧力が進角圧力室106内の圧力に対して高くなるように両圧力室に作動油を供給する。そして上記待機時間WAT経過後や待機時間WT経過後、あるいは油圧Pが許容圧力OKP以上となってから、進角圧力室106内の圧力が遅角圧力室107内の圧力に対して高くなるように両圧力室に作動油を供給するようにしてもよい。
【0101】
・上記各実施形態では、いわゆるベーン式の可変バルブタイミング機構の制御装置に本発明を適用した場合について説明した。この他にも、ヘリカルギヤ式の可変バルブタイミング機構など、互いに相対回動する回転体を備え、それらの動作により機関バルブのバルブタイミングを変更する機構にあって、各回転体の動作を規制するロック機構を備える可変バルブタイミング機構の制御装置であれば、本発明は同様に適用することができる。
【0102】
その他、上記各実施形態あるいはその変形例から把握することができる技術思想について、以下にその効果とともに記載する
【0105】
(ハ)相対回動することにより内燃機関のバルブタイミングを変更可能な第1及び第2の回転体と、同第1の回転体に対する前記第2の回転体の回転位相を変更するための作動流体が供給される第1及び第2の圧力室と、前記第1及び第2の回転体のバルブタイミング最大制御位置に対応した所定回転位相においてこれら回転体の相対回動を規制すると共に、前記第1及び第2の圧力室に供給される流体圧に基づき同規制を解除するロック機構と、作動流体を前記第1及び第2の圧力室に供給するポンプの吐出圧を検出する圧力センサとを備える内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、前記ロック機構による前記所定回転位相からの位相変更に際して、前記第1及び第2の圧力室のうち、前記バルブタイミング最大制御位置を維持する側の一方の圧力室に対し、前記作動流体の粘度あるいはその相関値と機関始動前の機関停止時間とのうちの少なくとも一方に基づいて可変設定される所定時間が経過するまで作動流体を供給するとともに、前記圧力センサの検出値が、前記作動流体の粘度あるいはその相関値に基づいて設定される許容圧力以上になるまで、前記一方の圧力室に対し作動流体を供給した後に、他方の圧力室に作動流体を供給することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【0106】
同装置によれば、ロック機構の解除不全の発生をより確実に抑制することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第1の実施形態における可変バルブタイミング機構の構造を示す模式図。
【図2】同実施形態における可変バルブタイミング機構のロック機構についてその断面構造を示す図。
【図3】同実施形態における可変バルブタイミング機構のロック機構についてその断面構造を示す図。
【図4】同実施形態における進角待機処理の手順を示すフローチャート。
【図5】同実施形態において待機時間を算出するためのマップ構造を示す図。
【図6】第2の実施形態における進角待機処理の手順を示すフローチャート。
【図7】同実施形態において待機時間を算出するためのマップ構造を示す図。
【図8】第3の実施形態における油回路の一部を示す模式図。
【図9】同実施形態における進角待機処理の手順を示すフローチャート。
【図10】同実施形態において許容油圧を算出するためのマップ構造を示す図。
【符号の説明】
10…水温センサ、30…収容孔、30a…段部、31…ロックピン、31a…段部、32…ロック孔、33…コイルばね、35…進角側油通路、36…遅角側油通路、37、38…ロック解除用圧力室、101…ベーン体、102…ベーン、103…ハウジング、104…凹部、105…カムプーリ、106…進角圧力室、107…遅角圧力室、120…油圧制御弁、121…オイルポンプ、122…電子制御装置、130…カムシャフト、140…圧力センサ。

Claims (5)

  1. 相対回動することにより内燃機関のバルブタイミングを変更可能な第1及び第2の回転体と、同第1の回転体に対する前記第2の回転体の回転位相を変更するための作動流体が供給される第1及び第2の圧力室と、前記第1及び第2の回転体のバルブタイミング最大制御位置に対応した回転位相においてこれら回転体の相対回動を規制すると共に、前記第1及び第2の圧力室の少なくとも一方に供給される流体圧に基づき同規制を解除するロック機構と、作動流体を前記第1及び第2の圧力室に供給するポンプの吐出圧を検出する圧力センサとを備える内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記圧力センサの検出値が、前記作動流体の粘度あるいはその相関値に基づいて設定される許容圧力以上になるまで、前記第1及び第2の圧力室のうち、前記バルブタイミング最大制御位置を維持する側の一方の圧力室に対し作動流体を供給した後に、他方の圧力室に作動流体を供給する
    ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 前記許容圧力は、前記作動流体の粘度あるいはその相関値の増大に伴って高く設定される
    請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  3. 前記相関値は作動流体の温度である
    請求項1または2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  4. 前記相関値は冷却水温である
    請求項1または2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  5. 前記相関値は冷却水温及び吸気温である
    請求項1または2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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