JP2009133263A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロック機構が固着してアンロック状態になっている場合であってもこれを速やかに解除して位相変更制御を早期に開始することのできる内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供する。
【解決手段】電子制御装置50は油圧調整弁40の制御量を変更してバルブタイミング変更機構20に設けられた進角用油圧室26及び遅角用油圧室27の油圧を変化させることにより、カムシャフト12と出力軸11との相対回転位相を変更する位相変更制御を実行する。バルブタイミング変更機構20は前記両油圧室26,27の少なくとも一方の油圧に基づいてロックピンを抜脱し、ロック状態とアンロック状態とを切り換えるロック機構30を備えており、電子制御装置50は位相変更制御の実行に先立って前記両油圧室26,27の少なくとも一方の油圧を変動させてロックピンを加振するロックピン加振制御を実行する。
【選択図】図1

Description

この発明は内燃機関の出力軸に対するカムシャフトの相対回転位相を変更することにより機関バルブの開閉タイミングを変更するバルブタイミング変更機構と、前記相対回転位相を所定の位相に保持するロック機構とを備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置に関する。
車両に搭載される内燃機関にあっては、燃費や出力、排気性状の向上を図るために吸気バルブ及び排気バルブの開閉時期、いわゆるバルブタイミングを機関運転状態に応じて変更するバルブタイミング変更機構が設けられている。
図6に示されるように、こうしたバルブタイミング変更機構にあっては、内燃機関の出力軸にタイミングチェーンを介して連結されるスプロケット1に一体に形成されたハウジング2の中に、カムシャフト3の先端に固定されたロータ4が回動可能に収容されている。ロータ4にはその径方向に向かって突出する複数のベーン5が設けられているとともに、ハウジング2にはそれらベーン5をそれぞれ収容する収容室6が設けられている。これにより、各収容室6はベーンを介して進角用油圧室7と遅角用油圧室8とにそれぞれ区画されている。
このように構成されたバルブタイミング変更機構を備える内燃機関のバルブタイミング制御装置にあっては、各油圧室7,8内の油圧を調整することによりハウジング2内でロータ4を回動させ、スプロケット1に対するロータ4及びカムシャフト3の相対回転位相を変更する。こうしてカムシャフト3の相対回転位相を進角側又は遅角側に変更することにより、吸気バルブや排気バルブのバルブタイミングを機関運転状態に応じた適切なタイミングに変更することができるようになる。
また、上記のような油圧駆動式のバルブタイミング変更機構にあっては、機関始動時等のように、オイルポンプから供給される油圧が小さいときには各油圧室7,8内の油圧だけではロータ4を保持することが難しく、バルブタイミングが不安定になってしまう。そこで、ロータ4を所定の位相に固定するロック機構9を設けるようにしている(例えば特許文献1)。図6に示されるように、こうしたロック機構9にあっては、ロータ4におけるベーン5の一部に出没可能な状態でロックピン9aを設けるとともに、ハウジング2の収容室6における所定の位置にこのロックピン9aが挿入される係合穴9bを設けている。
そして、各油圧室7,8内の油圧が小さいときにはロックピン9aをベーン5から突出させて係合穴9bに挿入し、ロックピン9aと係合穴9bとの機械的な係合によりロータ4の回動を規制するロック状態とする。一方で、各油圧室7,8内の油圧が所定圧力以上になるとロックピン9aをベーン5内に収容し、ロックピン9aと係合穴9bとの係合を解除するアンロック状態とする。
こうしたロック機構9を有するバルブタイミング変更機構によれば、各油圧室7,8内の油圧が十分に確保できないときであっても、バルブタイミングを所定のタイミングに保持し、機関運転状態を安定させることができるようになる。
特開2002‐317610号公報
ところで、何らかの理由によりロック機構9によるロック状態が完全に解除される前にロータ4が回動されると、ロック機構9の係合部位、すなわちロックピン9aと係合穴9bとの接触部位における接触圧力が増大し、それによってロックピン9aが固着状態となってベーン5へのロックピン9aの収容動作が阻害されるおそれがある。
このようにロック機構9が固着し、ロック状態の解除動作が阻害されると、速やかにバルブタイミングを変更することができなくなってしまう。そればかりか、ロック機構9によるロック状態が解除されていない状態のまま進角用油圧室7又は遅角用油圧室8内の油圧が増大されると、ロックピン9aの破損や変形等をまねくおそれもある。
この発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的はロック機構が固着してアンロック状態になっている場合であってもこれを速やかに解除して位相変更制御を早期に開始することのできる内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関の出力軸に連結される第1の回転体の内部に第2の回転体を回動可能に収容し同第2の回転体の径方向に延伸するベーンによって区画される進角用油圧室及び遅角用油圧室の油圧を作動油供給機構の制御量の変更を通じて変化させることにより前記第2の回転体を回動させて同第2の回転体に固定されたカムシャフトと前記出力軸との相対回転位相を変更するバルブタイミング変更機構と、前記第1の回転体に形成された凹部及び前記ベーンに往復動可能に設けられたロックピンを備え、同ロックピンを凹部に嵌合させて前記第1の回転体に対する前記第2の回転体の相対回動を規制するロック状態と前記進角用油圧室及び前記遅角用油圧室の少なくとも一方に供給される油圧に基づいて前記ロックピンを前記凹部から抜脱して前記第2の回転体の相対回動を許容するアンロック状態とに切り替えられるロック機構とを備え、機関運転中に前記ロック機構を前記アンロック状態とするとともに前記進角用油圧室及び前記遅角用油圧室内の油圧を制御して前記相対回転位相を機関運転状態に基づいて設定される目標位相に一致させる位相変更制御を実行する内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記位相変更制御の実行に先立ち、前記作動油供給機構の制御量を所定周期をもって連続的に変動させることにより前記進角用油圧室及び前記遅角用油圧室の少なくとも一方の油圧を変化させて前記凹部に嵌合された前記ロックピンを加振するロックピン加振制御を実行する制御手段を備えることをその要旨とする。
上記構成によれば、位相変更制御の実行に先立ってロックピン加振制御を実行するようにしているため、ロックピンと凹部内壁との接触圧力がロックピンの振動に伴って増減するようになる。そして、このように接触圧力を短期間で増減させることにより、ロックピンと凹部内壁とが固着している場合であってもこの固着を速やかに解消することができ、油圧によってロックピンを凹部から抜脱してロック機構をアンロック状態に移行させることができる。これにより、ロックピンが凹部内壁に固着してロック機構がアンロック状態になっている場合であってもこれを速やかに解除して位相変更制御を早期に開始することができるようになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記制御手段は前記ロックピン加振制御に際し前記進角用油圧室と前記遅角用油圧室とに交互に油圧が供給されるように前記作動油供給機構の制御量を変動させることをその要旨とする。
同構成によれば、ロックピン加振制御に伴い進角用油圧室と遅角用油圧室とに交互に油圧が供給されてロックピンと凹部内壁とが離間・近接するようにロックピンが振動することとなるため、ロックピンと凹部内壁とが一部融着しているような強固な固着状態にあってもこれを速やかに解消することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記作動油供給機構はその制御量が基準制御量であるときに前記両油圧室に対する作動油の供給を停止するものであって、同制御量が前記基準制御量よりも大きくなるほど前記両油圧室のうち一方の油圧室に対する作動油の供給量が増大する一方、同制御量が前記基準制御量よりも小さくなるほど前記両油圧室のうち他方の油圧室に対する作動油の供給量が増大するものであり、前記制御手段は前記ロックピン加振制御に際し前記基準制御量を跨ぐように前記作動油供給機構の制御量を変動させることをその要旨とする。
同構成によれば、作動油供給機構の制御量に基づいて、各油圧室に対する作動油の供給を停止する状態、進角用油圧室に作動油を供給する状態、遅角用油圧室に作動油を供給する状態が切り替えられようになる。また、作動油供給機構の制御量を各油圧室への作動油の供給が停止される基準制御量よりも大きな値と、同基準制御量よりも小さな値とに交互に変更して同基準制御量を跨ぐように変動させることにより進角用油圧室と遅角用油圧室とに交互に作動油を供給してロックピン加振制御を実行することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記制御手段は前記ロックピン加振制御に際し前記制御量を前記基準制御量よりも小さい値と同基準制御量よりも大きい値との間で離散的に変動させることをその要旨とする。
同構成によれば、ロックピン加振制御に際して作動油供給機構の制御量を基準制御量よりも大きい値と小さい値との間で連続的に徐々に変更する場合よりも、進角用油圧室に作動油を供給する状態と遅角用油圧室に作動油を供給する状態とを速やかに切り替えることができる。これにより、ロックピンが振動する際の振動速度を増大させることでき、固着状態を一層速やかに解消することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記制御手段は前記ロックピン加振制御に際し前記作動油供給機構の制御量をその最大変更範囲をもって変動させることをその要旨とする。
同構成によれば、作動油供給機構の制御量をその最大変更範囲をもって変動させるため、進角用油圧室に対する作動油の供給量が最大になる状態と、遅角用油圧室に対する作動油の供給量が最大になる状態との間で作動油供給機構の制御状態が変化するようになる。その結果、ロックピン加振制御に伴って第2の回転体及びロックピンに作用する油圧がより大きく変動するようになり、固着状態を好適に解消することができるようになる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5に記載のいずれか一項に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記ロック機構によるロック状態が解除された旨を判定するロック状態判定手段を更に備え、同ロック状態判定手段によってロック状態が解除された旨の判定がなされたことに基づいて前記ロックピン加振制御を終了し、前記位相変更制御を開始することをその要旨とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記ロック状態判定手段は前記相対回転位相が所定量以上変化したことに基づいてロック状態が解除された旨を判定することをその要旨とする。
例えば、ロックピン加振制御が所定期間継続されたことをもってロック状態が解除されたものとして位相変更制御を開始することもできるが、ロック状態が解除されていないまま位相変更制御が開始されてロック機構に過大な負荷が作用することを確実に回避する上では、上記請求項5に記載されるように、ロック機構によるロック状態が解除された旨を判定するロック状態判定手段を設け、同ロック状態判定手段によってロック状態が解除された旨の判定がなされたことに基づいてロックピン加振制御を終了し、位相変更制御を開始するといった構成をすることが望ましい。
尚、ロックピン加振制御が実行されることよってロック状態が解除された場合には、第2の回転体は前記第1の回転体に対して相対回転可能になるため、上記相対回転位相の変動が大きなものとなる。したがって、具体的には上記請求項7に記載の発明によるように、相対回転位相が所定量以上変化したことに基づいてロック状態が解除された旨の判定を行うことができる。
請求項8に記載の発明は、請求項6又は請求項7に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記ロック状態判定手段によって前記ロック機構のロック状態が解除された旨の判定がなされる前に前記ロックピン加振制御が所定期間以上継続したことを条件に前記バルブタイミング変更機構に異常が生じている旨を判定する異常判定手段を更に備えることをその要旨とする。
同構成によれば、ロックピン加振制御が所定期間以上継続してもロック機構のロック状態が解除された旨の判定がなされない場合には、バルブタイミング変更機構に異常が生じている旨の判定がなされるようになり、この判定に基づいて修理や点検の実施を促すことができるようになる。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記作動油供給機構は前記内燃機関の駆動力を利用して駆動される機械式のオイルポンプから吐出される作動油を前記各油圧室に供給するものであり、前記ロックピン加振制御は機関回転速度が所定回転速度未満であることを条件に実行されることをその要旨とする。
同構成によれば、オイルポンプから吐出される作動油の量が少なく、作動油の油圧低下に起因するロック機構の解除不良が発生しやすいときにのみ、ロックピン加振制御を実行するようにしているため、ロックピン加振制御が不必要に実行され位相変更制御の開始が遅くなることを回避して相対回転位相を機関運転状態に即した目標位相に速やかに変更することができるようになる。
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記ロックピン加振制御は作動油の油温が所定温度以上であることを条件に実行されることをその要旨とする。
同構成によれば、作動油の温度上昇に伴う粘性低下により各油圧室等から漏出する作動油の量が多く、ロック機構の解除不良が発生しやすいときにのみ、ロックピン加振制御を実行するようにしているため、位相変更制御の開始が不必要に遅くなることを回避して、相対回転位相を機関運転状態に即した目標位相に速やかに変更することができるようになる。尚、同構成を上記請求項9に記載の発明に適用する場合にあっては、機関回転速度が所定回転速度未満である、作動油の油温が所定温度以上である、といった二つの条件の論理和が真であるときにロックピン加振制御を実行するようにしてもよいし、その論理積が真であるときにロックピン加振制御を実行するようにしてもよい。
以下、この発明にかかる内燃機関のバルブタイミング制御装置を、バルブタイミング変更機構を備えた車載内燃機関を統括的に制御する電子制御装置に具体化した一実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。尚、図1は本実施形態にかかる電子制御装置50、及びその制御対象としての内燃機関10の概略構成を示す模式図である。
図1に示されるように本実施形態にかかる内燃機関10の出力軸11には、図示しない吸気バルブ、排気バルブを開閉するカムシャフト12がタイミングチェーン13を介して連結されている。尚、図1にあっては吸気側のカムシャフト12のみが図示されている。
各カムシャフト12の先端にはバルブタイミング変更機構20がそれぞれ設けられており、タイミングチェーン13はこのバルブタイミング変更機構20のスプロケット21に巻き掛けられている。これにより、機関運転に伴い出力軸11が回転するとその駆動力がタイミングチェーン13を介してバルブタイミング変更機構20に伝達され、バルブタイミング変更機構20とともにカムシャフト12が回転する。
図2に示されるようにスプロケット21と一体に形成されたバルブタイミング変更機構20のハウジング22の中には、カムシャフト12と連結されたロータ23が回動可能に収容されている。尚、図2はバルブタイミング変更機構20の内部構造を示す断面図である。
図2に示されるようにロータ23にはその中心から径方向に突出する4つのベーン24が設けられているとともに、ハウジング22にはこれらベーン24をそれぞれ収容する4つの収容室25が設けられている。これにより、ハウジング22内にロータ23が収容された状態において、収容室25はベーン24によって進角用油圧室26と遅角用油圧室27とに区画されている。このようにベーン24を挟むように配設された進角用油圧室26及び遅角用油圧室27内の油圧を調整することにより、ベーン24が収容室25内で移動し、ロータ23がハウジング22内で回動するようになる。
進角用油圧室26及び遅角用油圧室27への作動油の供給は、図1に示されるように内燃機関10の出力軸11に連結された機械式のオイルポンプ15によって行われる。図1に示されるようにバルブタイミング変更機構20の進角用油圧室26には進角用油路42が、また遅角用油圧室27には遅角用油路43がそれぞれ接続されている。進角用油路42及び遅角用油路43は、油圧調整弁40を介して供給油路41及び還流油路44に接続されている。
オイルポンプ15は供給油路41の途中に設けられており、オイルポンプ15によってオイルパン14からくみ上げられた作動油は、供給油路41を通じて各油圧室26,27に選択的に供給される。また、ロータ23の回動に伴い各油圧室26,27から排出される作動油は還流油路44を通じてオイルパン14に戻される。尚、オイルポンプ15から吐出される作動油の一部は、図示しない潤滑油通路を通じて機関各部に潤滑油として供給され、機関各部の潤滑に供された後、オイルパン14へと戻される。
油圧調整弁40は電気的な駆動信号に基づいて駆動されるソレノイドバルブからなり、吸気側及び排気側の各バルブタイミング変更機構20について各別に設けられている。油圧調整弁40は、駆動信号のデューティー比の大小に応じて上記各油路41〜44の接続態様を切り替える。具体的には、デューティー比が50%のときに図1に示されるように上記各油路41〜44の連通を全て遮断する状態になる。そして、デューティー比が50%よりも小さいときには、供給油路41と進角用油路42とを連通するとともに還流油路44と遅角用油路43とを連通する状態になり、デューティー比が小さくなるほど進角用油圧室26に供給される作動油の量を増大させる。一方、デューティー比が50%よりも大きいときには、供給油路41と遅角用油路43とを連通するとともに還流油路44と進角用油路42とを連通する状態になり、デューティー比が大きくなるほど遅角用油圧室27に供給される作動油の量を増大させる。
これにより、デューティー比が50%よりも小いときには、オイルポンプ15によってくみ上げられた作動油が供給油路41及び進角用油路42を通じて進角用油圧室26へと供給されるとともに、遅角用油圧室27内の作動油が遅角用油路43及び還流油路44を通じてオイルパン14へと戻されるようになる。こうして進角用油圧室26内の油圧が増大すると、ロータ23がハウジング22内で図2における右回り、すなわち破線矢印で示される進角側に回動する。これに伴いカムシャフト12が進角側に回動し、出力軸11に対するカムシャフト12の相対回転位相がバルブタイミングを進角させる方向に変位する。
一方、デューティー比が50%よりも大きいときには、オイルポンプ15によってくみ上げられた作動油が供給油路41及び遅角用油路43を通じて遅角用油圧室27へと供給されるとともに、進角用油圧室26内の作動油が進角用油路42及び還流油路44を通じてオイルパン14へと戻されるようになる。こうして遅角用油圧室27内の油圧が増大すると、ロータ23がハウジング22内で図2における左回り、すなわち破線矢印で示される遅角側に回動する。これに伴いカムシャフト12が遅角側に回動し、出力軸11に対するカムシャフト12の相対回転位相がバルブタイミングを遅角させる方向に変位する。
また、デューティー比が50%に設定されたときには、各油圧室26,27内の作動油の給排が停止されるため、各油圧室26,27内の油圧によってハウジング22内でのロータ23の回動が規制され、バルブタイミングが保持される。
ところで、上記のような油圧駆動式のバルブタイミング変更機構20にあっては、オイルポンプ15から各油圧室26,27に供給される油圧が小さい機関始動時には、各油圧室26,27内の油圧が不足してロータ23を所定の位相に保持することが難しく、バルブタイミングが不安定になってしまう。そこで、本実施形態のバルブタイミング変更機構20にあっては、機械的な係合によりロータ23を所定の位相に保持するロック機構30を設け、機関始動時のように各油圧室26,27内の油圧が小さいときには、このロック機構30によってロータ23を所定の位相に保持するようにしている。尚、本実施形態のバルブタイミング変更機構20にあってはロック機構30によってバルブタイミングが最も遅角側になる最遅角位相にロータ23を保持するようにしている。
ロック機構30は、図2及び図3に示されるように4つの収容室25のうちの1つに形成された係合穴33と、ベーン24から出没するように往復動可能に設けられてこの係合穴33に挿入されるロックピン31とを含んで構成されている。尚、図3(a),(b)はロック機構30近傍を拡大して示すバルブタイミング変更機構20の断面図である。
図3に示されるようにロックピン31はスプリング32によって常にベーン24から突出する方向に付勢されている。そして、図3(a),(b)の下方に示されるように係合穴33の底部には進角用油圧室26から連通してロックピン31の先端部に進角用油圧室26内の作動油の油圧を作用させるロック解除用油路が形成されている。これにより、オイルポンプ15が駆動されず、進角用油圧室26内の油圧が低下する機関停止時には図3(a)に示されるようにスプリング32による付勢力の作用によってロックピン31がベーン24から突出して係合穴33に係合し、ロータ23の移動を規制する。
一方、機関運転が開始され、進角用油圧室26内の油圧が所定の圧力以上になると図3(b)に破線矢印で示されるようにその油圧によってロックピン31がスプリング32の付勢力に抗して押し戻されるようになり、ロックピン31と係合穴33との係合が解除される。
こうしたロック機構30を有するバルブタイミング変更機構20によれば、機関始動時のように各油圧室26,27内の油圧を十分に確保できないときであってもロックピン31の機械的な係合によりロータ23の回動を規制することができ、バルブタイミングが不安定になることを回避することができるようになる。
こうしたバルブタイミング変更機構20によるバルブタイミングの変更は内燃機関10を統括的に制御する電子制御装置50によって行われる。電子制御装置50には、内燃機関10の出力軸11の回転角CA、及び出力軸11の回転速度である機関回転速度NEを検出するクランク角センサ51、カムシャフト12の回転角CAMAを検出するカムポジションセンサ52、機関冷却水温THWを検出する水温センサ53、内燃機関10の吸入空気量GAを検出するエアフロメータ54、運転者によるアクセル操作量ACCPを検出するアクセルポジションセンサ55等の各種センサが接続されている。電子制御装置50は、これら各種センサから出力される信号を取り込み、各種演算処理を実行してその結果に基づいて機関各部を制御する。
例えば、アクセル操作量ACCPに基づいて出力要求の大きさを推定し、出力要求の大きさに見合った出力を発生するように内燃機関10の燃料噴射量を制御する。また、出力軸11の回転角CAと、カムシャフト12の回転角CAMAとに基づいてバルブタイミング変更機構20における現在の相対回転位相を算出する。そして、機関回転速度NEや、吸入空気量GAに基づいて最適なバルブタイミングとなるように目標位相を算出し、実際の相対回転位相がこの目標位相に一致するように油圧調整弁40に出力する駆動信号のデューティー比を設定する。このようにデューティー比を設定して油圧調整弁40を制御することによって進角用油圧室26及び遅角用油圧室27に供給する作動油の量を調整し、出力軸11とカムシャフト12の相対回転位相を変更する位相変更制御を実行することにより、吸気バルブや排気バルブのバルブタイミングを機関運転状態に応じた適切なタイミングに変更する。
ところで、何らかの理由によりロック機構30によるロック状態が完全に解除される前にロータ23が回動されると、ロック機構30の係合部位、すなわちロックピン31と係合穴33との接触部位における接触圧力が増大し、それによってロックピン31が固着状態となってベーン24へのロックピン31の収容動作が阻害されるおそれがある。
このようにロック機構30が固着し、ロック状態の解除動作が阻害されると、速やかに位相変更制御を開始してバルブタイミングを変更することができなくなってしまう。そればかりか、ロック機構30によるロック状態が完全に解除されていない状態のまま位相変更制御が開始され、進角用油圧室26又は遅角用油圧室27内の油圧が増大されると、ロックピン31の破損や変形等をまねくおそれもある。
こうしたロックピン31の固着によるロック機構30の解除不良を解消するために、ロックピン31が固着状態にあるときに、一旦目標とする回転方向と反対側にロータ23を回動させた後、油圧を徐々に変化させることでロックピン31を係合穴33から確実に抜脱した後に位相を変更させるようにすることも考えられる。しかしながら、こうした構成を採用した場合には、固着が解消されない場合に再度これを繰り返す必要がありアンロック状態とするまでに長期間を要することとなる。また、こうしたプロセスを繰り返すことにより固着状態を解消する効果もある程度は期待できるものの、実際には、短期間に集中してロックピン31と係合穴33の内壁の接触圧力を変動させなければ、ほとんどの場合、ロックピン31の固着状態を解消することはできない。
そこで、本実施形態の内燃機関10にあっては、位相変更制御の実行に先立ってロックピン31を振動させることにより、短期間に集中してロックピン31と係合穴33の内壁との接触圧力を変動させるロックピン加振制御を実行するようにしている。
以下、図4を参照してこのロックピン加振制御について詳しく説明する。尚、図4はロックピン加振制御にかかる一連の処理の流れを示すフローチャートである。この一連の処理は機関運転中に電子制御装置50によって繰り返し実行される。
この一連の処理が開始されると、まずステップS100において、電子制御装置50はバルブタイミング変更機構20の駆動前提条件が成立しているか否かを判定する。ここでは、バルブタイミング変更機構20の駆動前提条件としてバルブタイミング変更機構20が故障していないこと、機関冷却水温THWが所定水温THWst以上であることが設定されており、これらの条件の論理積が真であることをもって駆動前提条件が成立している旨の判定がなされる。
ステップS100において、バルブタイミング変更機構20の駆動前提条件が成立していない旨の判定がなされた場合(ステップS100:NO)には、バルブタイミング変更機構20を駆動せずにこの処理を一旦終了する。
一方、ステップS100において、バルブタイミング変更機構20の駆動前提条件が成立している旨の判定がなされた場合(ステップS100:YES)には、ステップS110へと進む。そしてステップS110において、機関運転状態がロックピン31の固着によるロック機構30の解除不良が発生しやすい状態にあるか否かを判定する。
オイルポンプ15から吐出される作動油の量が少なく、進角用油圧室26内の油圧が低下しているときにはロック解除用油路34を通じてロックピン31に作用する油圧が小さくなるため、ロックピン31の固着によるロック機構の解除不良が発生しやすい。また、作動油の油温THOが高いときには、作動油の粘性低下により各油圧室26,27から漏出する作動油の量が多く、同様にロックピン31に作用する油圧が小さくなるため、ロックピン31の固着によるロック機構30の解除不良が発生しやすい。
そこで、このステップS110では、機関回転速度NEが所定回転速度未満である、作動油の油温THOが所定温度以上である、といった二つの条件の論理和が真であることをもってロックピン31の固着によるロック機構30の解除不良が発生しやすい機関運転状態であると判定する。尚、作動油の油温THOは、機関冷却水温THW、及び内燃機関10の発熱量と高い相関を有する燃料噴射量等に基づいて推定される。
ステップS110において、機関回転速度NE及び油温THOに基づいて機関運転状態がロック機構30の解除不良が発生しやすい状態にはない旨の判定がなされた場合(ステップS110:NO)には、ステップS200へと進む。そして、ステップS200において従来行われてきた位相変更制御と同様に機関運転状態に基づいて目標位相を設定し、その目標位相と実際の相対回転位相が一致するように油圧調整弁40の駆動信号のデューティー比を設定することにより位相変更制御を実行する。こうして位相変更制御を実行するとこの処理を一旦終了する。
一方、ステップS110において、機関回転速度NE及び油温THOに基づいて機関運転状態がロック機構30の解除不良が発生しやすい状態にある旨の判定がなされた場合(ステップS110:YES)には、ステップS120へと進む。
ステップS120では、ロック解除フラグが「OFF」であるか否かを判定する。このロック解除フラグはロック機構30の状態に応じて電子制御装置50のメモリに記憶されるものであり、ロック機構30がアンロック状態にある旨の判定がなされているときには「ON」に、ロック機構30がロック状態にある旨の判定がなされているときには「OFF」に設定される。尚、制御開始時には、このロック解除フラグは初期値である「OFF」に設定されている。
ステップS120において、ロック解除フラグが「ON」である旨の判定がなされた場合(ステップS120:NO)には、既にロック機構30がアンロック状態になっているため、ステップS200へと進み、上述したように位相変更制御を実行する。
一方、ステップS120において、ロック解除フラグが「OFF」である旨の判定がなされた場合(ステップS120:YES)には、ロック機構30が未だにロック状態にあるため、ステップS130へと進み、ロックピン加振制御を実行する。
ステップS130では、油圧調整弁40に出力する駆動信号のデューティー比を遅角用油圧室27に対する作動油の供給量が最大になる100%と、進角用油圧室26に対する作動油の供給量が最大になる0%とに所定の周期をもって交互に変更することによりロックピン加振制御を実行する。こうしてデューティー比を100%と0%とに交互に変更することにより、遅角用油圧室27と進角用油圧室26とに交互に作動油が供給されるようになり、ロータ23が遅角側、進角側に交互に回動して振動するとともにベーン24とハウジング22とを機械的に係合しているロックピン31が振動するようになる。
こうしてロックピン加振制御を開始するとステップS140へと進み、ステップS140では、バルブタイミング変更機構20における相対回転位相が所定量α以上になったか否かを判定する。尚、この所定量αは、ロック機構30がロック状態にある状態でロータ23が回動し得る回動量、いわゆる「あそび」の範囲よりも大きな値に設定されている。これにより、バルブタイミング変更機構20の相対回転位相が最遅角位相から所定量α以上にまで変位したことをもって、ロックピン31の係合が解除されたことが判定されるようになっている。
ステップS140において、相対回転位相が所定量α未満である旨の判定がなされた場合(ステップS140:NO)には、ロックピン31が未だに解除されていないと判定し、ステップS130に戻ってロックピン加振制御を継続する。
一方、ステップS140において、相対回転位相が所定量α以上になった旨の判定がなされた場合(ステップS140:YES)には、ロックピン31の係合が解除されたと判定し、ロックピン加振制御を終了してステップS150へと進む。
そして、ステップS150において、ロック解除フラグを「ON」に設定する。こうしてロック解除フラグを「ON」に設定するとこの処理を一旦終了する。
こうしてロックピン加振制御を実行してロック機構30による係合が解除された場合には、ロック解除フラグが「ON」に設定されているため、次の制御周期におけるステップS120において、ロック解除フラグが「ON」に設定されている旨の判定がなされ(ステップS120:NO)、ステップS200へと進んで位相変更処理が開始される。
このように機関運転状態がロック機構30の解除不良が発生しやすい状態にある場合には位相変更制御に先立ってロックピン加振制御が実行され、油圧調整弁40に出力される駆動信号のデューティー比が100%と0%に交互に変更されるようになる。これにより、ロータ23が振動するとともに、進角用油圧室26の油圧の変動によってロックピン31が振動し、ロックピン31の固着が解消されるようになる。
次に、図5を参照してこうしたロックピン加振制御の作用を更に詳しく説明する。尚、図5はロックピン加振制御にかかるデューティー比の変化と、バルブタイミング変更機構20における相対回転位相の変化との関係を示すタイムチャートである。
図5に示されるように時刻T1において、ロックピン加振制御が開始されると図5の上段に示されるように油圧調整弁40の駆動信号のデューティー比が短期間の間に100%と0%とに交互に変更される。これにより、ロックピン31が固着してロック機構30の解除不良が生じている場合には、ロータ23及びロックピン31が振動し、図5の下段に示されるように相対回転位相が僅かに変動する。
そして、ロックピン加振制御が継続されることにより、ロックピン31の固着が解消され、ロック機構30がロック状態になると、相対回転位相は大きく変化するようになる。
その結果、時刻T2において、相対回転位相が所定量αよりも大きくなった旨の判定がなされ、ロック機構30による係合が解除されたと判定されてロックピン加振制御が終了されるとともに、位相変更制御が開始される。
こうして位相変更制御が開始されると、機関運転状態に基づいて目標位相が設定され、相対回転位相がこの目標位相と一致するようにデューティー比が制御される。具体的には、図5に示されるように目標位相と実際の相対回転位相との差が大きいときにはデューティー比が0%に設定され、進角用油圧室26に対する作動油の供給量が最大になるように油圧調整弁40が制御される。そして、実際の相対回転位相が目標位相に近づくとともにデューティー比が50%に近づくよう増大され、遅角用油圧室27に対する作動油の供給量が次第に減少される。そして、相対回転位相が目標位相と一致するとデューティー比が50%に設定され、遅角用油圧室27に対する作動油の供給が停止されて相対回転位相が保持されるようになる(時刻T3以降)。
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)位相変更制御の実行に先立ってロックピン加振制御を実行するようにしているため、ロックピン31と係合穴33の内壁との接触圧力がロックピン31の振動に伴って増減するようになる。そして、このように接触圧力を短期間で増減させることにより、ロックピン31と係合穴33の内壁とが固着している場合であってもこの固着を速やかに解消することができ、油圧によってロックピン31を係合穴33から抜脱してロック機構30をアンロック状態に移行させることができる。これにより、ロックピン31が係合穴33の内壁に固着してロック機構30がアンロック状態になっている場合であってもこれを速やかに解除して位相変更制御を早期に開始することができるようになる。
(2)上記実施形態によれば、ロックピン加振制御に際し進角用油圧室26と遅角用油圧室27とに交互に油圧が供給されるように油圧調整弁40を駆動するため、ロックピン31と係合穴33の内壁とが離間・近接するようにロックピン31が振動することとなる。そのため、ロックピン31と係合穴33の内壁とが一部融着しているような強固な固着状態にあってもこれを速やかに解消することができる。
(3)上記実施形態の油圧調整弁40は、その制御量である駆動信号のデューティー比が基準制御量の50%に設定されているときに進角用油圧室26及び遅角用油圧室27の双方に対する作動油の供給を停止するものである。そして、デューティー比が50%よりも大きくなるほど遅角用油圧室27に対する作動油の供給量が増大する一方、デューティー比が50%よりも小さくなるほど進角用油圧室26に対する作動油の供給量が増大する。そのため、油圧調整弁40の制御量である駆動信号のデューティー比に基づいて、各油圧室26,27に対する作動油の供給を停止する状態、進角用油圧室26に作動油を供給する状態、遅角用油圧室27に作動油を供給する状態を切り替えることができる。また、デューティー比を基準制御量である50%よりも大きな値と、50%よりも小さな値とに交互に変更して同基準制御量を跨ぐように変動させることにより進角用油圧室26と遅角用油圧室27とに交互に作動油を供給してロックピン加振制御を実行することができる。
(4)ロックピン加振制御に際して油圧調整弁40の駆動信号のデューティー比を基準制御量である50%よりも大きな100%と、50%よりも小さな0%に交互に変更し、基準制御量よりも小さい値と大きい値との間で離散的に変動させるようにしている。これにより、ロックピン加振制御に際してデューティー比を50%よりも大きい値と小さい値との間で連続的に徐々に変更する場合よりも、進角用油圧室26に作動油を供給する状態と遅角用油圧室27に作動油を供給する状態とを速やかに切り替ることができる。これにより、ロックピン31が振動する際の振動速度を増大させることでき、固着状態を一層速やかに解消することができる。
(5)油圧調整弁40の制御量であるデューティー比をその最大変更範囲、すなわち0%〜100%の間で変動させるため、進角用油圧室26に対する作動油の供給量が最大になる状態(デューティー比0%)と、遅角用油圧室27に対する作動油の供給量が最大になる状態(デューティー比100%)との間で油圧調整弁40の制御状態が変化するようになる。その結果、ロックピン加振制御に伴ってロータ23及びロックピン31に作用する油圧が最も大きく変動するようになり、固着状態を好適に解消することができるようになる。
(6)図4を参照して説明したようにステップS140において、相対回転位相が所定量α以上になった旨の判定がなされたことに基づいてロック機構30によるロック状態が解除されたと判定し、ロックピン加振制御を終了して位相変更制御を開始するようにしている。そのため、ロック状態が解除されていないまま位相変更制御が開始されてロック機構30に過大な負荷が作用することを確実に回避することができる。
(7)機関回転速度NEが所定回転速度未満であることを条件にロックピン加振制御を実行するようにしているため、オイルポンプ15から吐出される作動油の量が少なく、作動油の油圧低下に起因するロック機構30の解除不良が発生しやすいときにのみ、ロックピン加振制御を実行することができる。これにより、ロックピン加振制御が不必要に実行され位相変更制御の開始が遅くなることを回避して相対回転位相を機関運転状態に即した目標位相に速やかに変更することができる。
(8)機関冷却水温THW、及び内燃機関10の発熱量と相関を有する燃料噴射量に基づいて作動油の油温THOを推定し、作動油の油温THOが所定温度以上であることを条件にロックピン加振制御を実行するようにしている。そのため、温度上昇に伴う作動油の粘性低下により各油圧室26,27等から漏出する作動油の量が多く、ロック機構30の解除不良が発生しやすいときにのみ、ロックピン加振制御を実行することができる。これにより、位相変更制御の開始が不必要に遅くなることを回避して、相対回転位相を機関運転状態に即した目標位相に速やかに変更することができるようになる。
尚、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・バルブタイミング変更機構20に異常が生じている旨を判定する異常判定手段として、図4を参照して説明したロックピン加振制御にかかる一連の処理の中に、ロック機構30のロック状態が解除された旨の判定がなされる前にロックピン加振制御が所定期間以上継続したことを条件にバルブタイミング変更機構20に異常が生じている旨を判定する異常判定を行うステップを更に設けることもできる。
こうした構成を採用すれば、ロックピン加振制御が所定期間以上継続してもロック機構30のロック状態が解除された旨の判定がなされない場合には、バルブタイミング変更機構20に異常が生じている旨の判定がなされるようになり、この判定に基づいて修理や点検の実施を促すことができるようになる。
・上記実施形態では、ロック状態判定手段としてロックピン加振制御に伴うバルブタイミング変更機構20の相対回転位相が所定量α以上になったことに基づいてロック機構30によるロック状態が解除された旨を判定する構成(ステップS140)を示した。これに対して、こうしたロック状態判定手段を省略し、ロックピン加振制御が所定期間実行されたことに基づいてロック機構30が解除されたと推定してロックピン加振制御を終了し、位相変更制御を開始する構成を採用することもできる。
・また、ロック状態判定手段として、ロックピン31が収容されたことを検出するスイッチ等を設け、ロック機構30によるロック状態の解除を直接検出する構成を採用することもできる。
・機関回転速度NEが所定回転速度未満である、オイルポンプ15によって供給される作動油の油温THOが所定温度以上である、といったといった二つの条件の論理和が真であることをもってロックピン31の固着によるロック機構30の解除不良が発生しやすい機関運転状態であると判定し、ロックピン加振制御を実行する構成を示した。これに対して、このうちどちらか一方の条件のみをロックピン加振制御の実行条件とする構成を採用することもできる。また、これら二つの条件の他に更に実行条件を設ける構成や、こうした実行条件を設けずに位相変更制御の実行に先立って常にロックピン加振制御を実行する構成を採用することもできる。
・上記実施形態では、デューティー比を100%と0%に交互に変更することにより、ロックピン加振制御を実行する構成を示したが、ロックピン加振制御はデューティー比を50%よりも大きな値と、50%よりも小さな値との間で交互に変更するものであればよい。そのため、ロックピン加振制御に際して変更するデューティー比の値は適宜変更することができ、例えば、デューティー比を80%と0%に交互に変更することによりロックピン加振制御を実行することもできる。
・また、上記ロックピン加振制御はデューティー比を50%よりも大きな所定の値と、50%よりも小さな所定の値の二つの値に交互に変更する構成に限定されるものではない。すなわちデューティー比を変更するにあたり、その値が50%を跨ぐように増減される構成であれば、デューティー比の変動幅を徐々に増大させる、変動中心を変化させるといった構成を採用し、その値を変化させる構成を採用することもできる。
・上記実施形態では、作動油供給機構として、ソレノイドバルブからなる油圧調整弁40を設け、この油圧調整弁40を制御する駆動信号のデューティー比を変更することによりロックピン加振制御を実行する構成を示したが、作動油供給機構の構成は、進角用油圧室26、遅角用油圧室27に供給する作動油の油圧を変更してロックピン31を振動させることのできるものであればよい。
・また、上記実施形態では、進角用油圧室26と遅角用油圧室27とに交互に作動油を供給する構成を示したが、進角用油圧室26及び遅角用油圧室27の少なくとも一方に供給する作動油の量を増減する構成を採用した場合であっても、ロックピン31を振動させるロックピン加振制御を実行することができる。
この発明の第1実施形態にかかる電子制御装置、及びその制御対象としての内燃機関の概略構成を示す模式図。 同実施形態にかかるバルブタイミング変更機構の断面図。 (a)、(b)は同実施形態にかかるロック機構の断面図。 同実施形態のロックピン加振制御にかかる一連の処理の流れを示すフローチャート。 同実施形態のロックピン加振制御にかかるデューティー比の変化とバルブタイミング変更機構における相対回転位相の変化との関係を示すタイムチャート。 一般のバルブタイミング変更機構の断面図。
符号の説明
10…内燃機関、11…出力軸、12…カムシャフト、13…タイミングチェーン、14…オイルパン、15…オイルポンプ、20…バルブタイミング変更機構、21…スプロケット、22…ハウジング、23…ロータ、24…ベーン、25…収容室、26…進角用油圧室、27…遅角用油圧室、30…ロック機構、31…ロックピン、32…スプリング、33…係合穴、34…ロック解除用油路、40…油圧調整弁、41…供給油路、42…進角用油路、43…遅角用油路、44…還流油路、50…電子制御装置、51…クランク角センサ、52…水温センサ、53…エアフロメータ、54…アクセルポジションセンサ。

Claims (10)

  1. 内燃機関の出力軸に連結される第1の回転体の内部に第2の回転体を回動可能に収容し同第2の回転体の径方向に延伸するベーンによって区画される進角用油圧室及び遅角用油圧室の油圧を作動油供給機構の制御量の変更を通じて変化させることにより前記第2の回転体を回動させて同第2の回転体に固定されたカムシャフトと前記出力軸との相対回転位相を変更するバルブタイミング変更機構と、
    前記第1の回転体に形成された凹部及び前記ベーンに往復動可能に設けられたロックピンを備え、同ロックピンを凹部に嵌合させて前記第1の回転体に対する前記第2の回転体の相対回動を規制するロック状態と前記進角用油圧室及び前記遅角用油圧室の少なくとも一方に供給される油圧に基づいて前記ロックピンを前記凹部から抜脱して前記第2の回転体の相対回動を許容するアンロック状態とに切り替えられるロック機構とを備え、
    機関運転中に前記ロック機構を前記アンロック状態とするとともに前記進角用油圧室及び前記遅角用油圧室内の油圧を制御して前記相対回転位相を機関運転状態に基づいて設定される目標位相に一致させる位相変更制御を実行する内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記位相変更制御の実行に先立ち、前記作動油供給機構の制御量を所定周期をもって連続的に変動させることにより前記進角用油圧室及び前記遅角用油圧室の少なくとも一方の油圧を変化させて前記凹部に嵌合された前記ロックピンを加振するロックピン加振制御を実行する制御手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記制御手段は前記ロックピン加振制御に際し前記進角用油圧室と前記遅角用油圧室とに交互に油圧が供給されるように前記作動油供給機構の制御量を変動させる
    ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  3. 請求項2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記作動油供給機構はその制御量が基準制御量であるときに前記両油圧室に対する作動油の供給を停止するものであって、同制御量が前記基準制御量よりも大きくなるほど前記両油圧室のうち一方の油圧室に対する作動油の供給量が増大する一方、同制御量が前記基準制御量よりも小さくなるほど前記両油圧室のうち他方の油圧室に対する作動油の供給量が増大するものであり、
    前記制御手段は前記ロックピン加振制御に際し前記基準制御量を跨ぐように前記作動油供給機構の制御量を変動させる
    ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  4. 請求項3に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記制御手段は前記ロックピン加振制御に際し前記制御量を前記基準制御量よりも小さい値と同基準制御量よりも大きい値との間で離散的に変動させる
    ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記制御手段は前記ロックピン加振制御に際し前記作動油供給機構の制御量をその最大変更範囲をもって変動させる
    ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  6. 前記ロック機構によるロック状態が解除された旨を判定するロック状態判定手段を更に備え、同ロック状態判定手段によってロック状態が解除された旨の判定がなされたことに基づいて前記ロックピン加振制御を終了し、前記位相変更制御を開始する
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  7. 請求項6に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記ロック状態判定手段は前記相対回転位相が所定量以上変化したことに基づいてロック状態が解除された旨を判定する
    ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  8. 前記ロック状態判定手段によって前記ロック機構のロック状態が解除された旨の判定がなされる前に前記ロックピン加振制御が所定期間以上継続したことを条件に前記バルブタイミング変更機構に異常が生じている旨を判定する異常判定手段を更に備える
    請求項6又は請求項7に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  9. 前記作動油供給機構は前記内燃機関の駆動力を利用して駆動される機械式のオイルポンプから吐出される作動油を前記各油圧室に供給するものであり、
    前記ロックピン加振制御は機関回転速度が所定回転速度未満であることを条件に実行される
    請求項1〜8のいずれか一項に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  10. 前記ロックピン加振制御は作動油の油温が所定温度以上であることを条件に実行される
    請求項1〜9のいずれか一項に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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