JP3970499B2 - 中間牽引用および先端牽引用低摩擦外被ケーブル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケーブル中間を牽引機で牽引しつつ管路内に布設する中間牽引機使用布設方式による布設に好適な中間牽引用低摩擦外被ケーブル、および圧送布設などの先端牽引布設方式による布設に好適な先端牽引用低摩擦外被ケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光ファイバケーブルなどのケーブルを管路内に布設する方法として、ケーブル中間を牽引機で牽引しつつ管路内に布設する中間牽引機使用布設方式と称する方法が知られている。
【0003】
この布設方式では、ケーブルの布設張力を減少させるとともに、布設長の長尺化を図るため、潤滑剤をケーブル表面に塗布することにより、ケーブルと管路あるいはケーブル同士の摩擦力を低減することが通常行われている。
【0004】
しかしながら、このような方法では、布設の都度、潤滑剤を塗布しなければならないうえ、牽引機のベルトとケーブルとのスリップを防止するため、中間牽引機の直前でケーブル表面に付着している潤滑剤を一旦除去し、牽引機を通過した後に再度潤滑剤を塗布しなければならず、布設作業が煩雑であるという難点があった。
【0005】
また、光ファイバケーブルなどのケーブルを布設する方法として、予め布設された管路に、空気の圧力を利用してケーブルを搬送し布設する圧送布設方式と称する方法が知られている。
【0006】
この圧送方式では、ケーブルの円滑かつ長距離の圧送を可能にするため、管路内部に予め潤滑剤を塗布したり、あるいは潤滑剤をケーブル表面に塗布することにより、ケーブルと管路内面との摩擦力を低減することが通常行われている。
【0007】
しかしながら、このような方法では、布設の都度、潤滑剤を塗布しなければならず、布設作業が煩雑になるうえ、1本の管路に複数本のケーブルを布設する多条布設に対応できないという問題があった。すなわち、たとえば潤滑剤を塗布して布設した光ファイバケーブルが存在する管路に、潤滑剤を塗布したケーブルを新たに布設しようとすると、既設済みのケーブル表面の潤滑剤はすでに散逸しており、新設のケーブル表面に潤滑剤を塗布しても大きな抵抗を受けずに円滑に布設することは困難であった。
【0008】
そこで、これらの問題に対処して、ケーブル自身を低摩擦化することが検討され、低摩擦のケーブル外被を備えた中間牽引用低摩擦外被ケーブルおよび先端牽引用低摩擦外被ケーブルの開発が進められている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ケーブルの摩擦力は、ケーブル外被の摩擦係数を小さくする程低減される。しかしながら、摩擦係数を過度に小さくすると、中間牽引用ケーブルの場合、ケーブルが牽引機のベルトとスリップし、所定の牽引速度が維持されないおそれがある。また、ドラムからケーブルを繰り出す際に、ケーブルの落ち込みや巻き崩れが発生し、ケーブルの円滑な布設がかえって妨げられるおそれがある。また、先端牽引用ケーブルの場合にも、同様に、ドラムからケーブルを繰り出す際に、ケーブルの落ち込みや巻き崩れが発生し、ケーブルの円滑な布設がかえって妨げられるおそれがある。
【0010】
一方、摩擦係数を大きくすると、ケーブルの摩擦力が大きくなってしまい、従来の潤滑剤を塗布した場合のような布設張力の低減や布設長の確保は困難である。
【0011】
本発明は、このような点に対処してなされたもので、潤滑剤を塗布することなく、従来の潤滑剤を塗布した場合と同等もしくはそれ以上の布設張力の低減および布設長の確保が可能で、しかも、牽引機でのスリップや、ケーブル繰出し時のドラムでの落ち込みや巻き崩れが発生することのない中間牽引用低摩擦外被ケーブル、および潤滑剤を塗布することなく管路内に布設することができ、しかも、ドラムからの円滑な繰り出しが損なわれることのない先端牽引用低摩擦外被ケーブルを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願の請求項1記載の発明の中間牽引用低摩擦外被ケーブルは、最外層に低摩擦外被を備える中間牽引用低摩擦外被ケーブルであって、前記低摩擦外被は、エルカ酸アミドを500ppm〜1000ppm含有する低密度ポリエチレン樹脂、エルカ酸アミドを100ppm〜300ppm含有する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレンビスオレイン酸アミドを300ppm〜1500ppm含有する低密度ポリエチレン樹脂およびエチレンビスオレイン酸アミドを300ppm〜1500ppm含有する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂から選択される1種であり、同一材料同士の静摩擦係数(JIS K 7125)が0.18〜0.40で、動摩擦係数(JIS K 7125)が0.15〜0.35となる材料で構成されてなることを特徴としている。
【0013】
上記構成の中間牽引用低摩擦外被ケーブルにおいては、ケーブル中間を牽引機で牽引しつつ管路内に布設する方式を適用して、ケーブルと管路あるいはケーブル同士の摩擦力が、従来の潤滑剤を塗布した場合と同等もしくはそれ以上に低減され、従来の潤滑剤を塗布した場合と同等もしくはそれ以上の布設張力の低減および布設長の確保が可能であるとともに、牽引機でのスリップや、ケーブル繰出し時のドラムでの落ち込みや巻き崩れの発生も防止される。
【0014】
すなわち、従来の潤滑剤を塗布した場合と同等もしくはそれ以上の摩擦力低減効果を得るための上記静摩擦係数および動摩擦係数の上限値はそれぞれ0.40および0.35であり、一方、牽引機でのスリップや、ケーブル繰出し時のドラムでの落ち込みや巻き崩れの発生も防止することができる上記静摩擦係数および動摩擦係数の下限値はそれぞれ0.18および0.15である。したがって、上記静摩擦係数および動摩擦係数がそれぞれ0.18〜0.40および0.15〜0.35の範囲とされた上記構成の低摩擦外被ケーブルは、従来の潤滑剤を塗布した場合と同等もしくはそれ以上の布設張力の低減および布設長の確保が可能であるとともに、牽引機でのスリップや、ケーブル繰出し時のドラムでの落ち込みや巻き崩れの発生も防止される。
【0015】
本発明においては、請求項2に記載したように、前記低摩擦外被を、エルカ酸アミドを 1500ppm 〜 5500ppm 含有する同一材料同士の静摩擦係数(JIS K 7125)が0.18〜0.40で、動摩擦係数(JIS K 7125)が0.15〜0.35となる難燃化ポリエチレン樹脂で構成することができる。これにより、ケーブルにさらに難燃性を具備させることができる。
【0016】
また、上記目的を達成するため、本願の請求項3記載の発明の先端牽引用低摩擦外被ケーブルは、最外層に低摩擦外被を備える先端牽引用低摩擦外被ケーブルであって、
前記低摩擦外被は、エルカ酸アミドを1000ppm〜2500ppm含有する低密度ポリエチレン樹脂またはエルカ酸アミドを200ppm〜500ppm含有する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂であり、同一材料同士の静摩擦係数(JIS K 7125)が0.08〜0.20で、動摩擦係数(JIS K 7125)が0.05〜0.15となる材料で構成されてなることを特徴としている。
【0017】
上記構成の先端牽引用低摩擦外被ケーブルにおいては、ケーブルと管路あるいはケーブル同士の摩擦力が、従来の潤滑剤を塗布した場合と同等もしくはそれ以上に低減されるため、潤滑剤を塗布することなく布設することができるうえ、ケーブル繰り出し時のドラムでのケーブルの落ち込みや巻崩れの発生も防止される。
【0018】
すなわち、従来の潤滑剤を塗布した場合と同等もしくはそれ以上の摩擦力低減効果を得るための上記静摩擦係数および動摩擦係数の上限値はそれぞれ0.20および0.15であり、一方、ケーブル繰り出し時のドラムでの落ち込みや巻き崩れの発生を防止可能な上記静摩擦係数および動摩擦係数の下限値はそれぞれ0.08および0.05である。したがって、上記静摩擦係数および動摩擦係数がそれぞれ0.08〜0.20および0.05〜0.15の範囲とされた上記構成の低摩擦外被ケーブルは、潤滑剤を塗布することなく布設可能で、かつ、ケーブル繰り出し時のドラムでの落ち込みや巻き崩れの発生も防止される。
【0019】
本発明においては、請求項4に記載したように、前記低摩擦外被を、エルカ酸アミドを 3000ppm 〜 6000ppm 含有する同一材料同士の静摩擦係数(JIS K 7125)が0.12〜0.20で、動摩擦係数(JIS K 7125)が0.08〜0.15となる難燃化ポリエチレン樹脂で構成することができる。これにより、ケーブルにさらに難燃性を具備させることができる。ここで、低摩擦外被を構成する材料の、同一材料同士の静摩擦係数および動摩擦係数の下限値が、それぞれ0.12および0.08とされているのは、難燃性材料の場合にこれより低い静摩擦係数および動摩擦係数を有する材料を得ることが事実上困難であるからである。
【0020】
なお、本発明の先端牽引用低摩擦外被ケーブルには、空気の圧力を利用して布設されるものの他、予め管路内に引き通された牽引用ロープの後端部と被布設ケーブルの先端部とを布設管路の上流側で連結し、被布設ケーブルを直接送り出す中間牽引機を用いることなく、布設管路の下流側に設置した先端牽引機で牽引ロープを牽引することにより、管路内にケーブルを布設する方法に用いられるケーブルも含まれる。この布設方法においては、被布設ケーブルを牽引するのは先端牽引機であるが、先端牽引機のベルトで送り出されるのは牽引用ロープであって、被布設ケーブルは先端牽引機のベルトで送り出されることがないため、牽引機のベルトと被布設ケーブルとのスリップを考慮する必要はない。
【0021】
【発明の実施の形態】
まず、本願発明の中間牽引用低摩擦外被ケーブルの実施の形態を図面を用いて説明する。
【0022】
図1は、本発明にかかる中間牽引機使用布設方式対応の低摩擦外被光ファイバケーブルの一例を示す断面図である。
【0023】
図1において、1は、中心にFRPや単鋼線などからなるテンションメンバ2を有し、外周に複数の溝3がS方向、Z方向または所定の周期で反転するSZ方向のらせん状に設けられた高密度ポリエチレン製のスロットロッドを示している。このスロットロッド1の各溝3内には、複数枚の光ファイバテープ心線4、例えば 4心光ファイバテープ心線が積層されて収納されている。
【0024】
そして、このように光ファイバテープ心線4が収納されたスロットロッド1の外周には、押えテープおよび/または吸水テープの巻回層5が設けられ、さらにその上に外被6が設けられている。
【0025】
外被6は、本発明の特徴をなすものであり、JIS K 7125に準拠して測定された同一材料同士の静摩擦係数が0.18〜0.40で動摩擦係数が0.15〜0.35となる材料により形成されている。
【0026】
このような材料としては、ポリエチレンなどの樹脂に、エルカ酸アミドやエチレンビスオレイン酸アミドなどの滑剤を上記条件を満足するように配合したものが使用される。具体的には、エルカ酸アミドを500ppm〜1000ppm の範囲で配合した低密度ポリエチレン樹脂、エルカ酸アミドを100ppm〜300ppm の範囲で配合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレンビスオレイン酸アミドを300ppm〜1500ppm の範囲で配合した低密度ポリエチレン樹脂、エチレンビスオレイン酸アミドを300ppm〜1500ppmの範囲で配合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂などが例示される。また、難燃性が要求される用途には、日本ユニカー社製のNUC9739やJPO社製のCA1155B(以上、いずれも商品名)などの難燃化ポリエチレン樹脂にエルカ酸アミドを1500ppm〜5500ppm の範囲で配合したものを使用することができる。
【0027】
なお、JIS K 7125に準拠して測定された同一材料同士の静摩擦係数および動摩擦係数のいずれか一方でも前記範囲より小さいと、ケーブル繰り出し時にドラムでの落ち込みや巻き崩れが発生して、布設に支障をきたすおそれがある。また、逆に、JIS K 7125に準拠して測定された同一材料同士の静摩擦係数および動摩擦係数のいずれか一方でも前記範囲を超えると、ケーブルと管路、あるいはケーブル同士の摩擦力が、従来の潤滑剤を塗布した場合に比べて大きくなり、布設施工が困難になるおそれがある。
【0028】
このように構成される低摩擦外被光ファイバケーブルにおいては、ケーブルと管路あるいはケーブル同士の摩擦力が、従来の潤滑剤を塗布した場合と同等もしくはそれ以上に低減されるため、潤滑剤を塗布することなく円滑な布設を行うことができる。したがって、布設時の潤滑剤塗布作業や、中間牽引機の直前で一旦潤滑剤を除去し、中間牽引機通過後再度塗布するといった煩雑な作業が不要となり、布設作業の作業性が向上する。しかも、牽引機のベルトとの間でスリップを生じたり、ケーブルを繰り出す際に、ドラムでケーブルが落ち込んだり巻き崩れが生ずることもない。
【0029】
なお、上記の例は、本発明を、いわゆるスペーサ型光ファイバケーブルに適用した例であるが、本発明はこのような例に限定されるものではなく、その他の各種光ファイバケーブル、電力ケーブル、通信ケーブルなどにも適用可能である。
【0030】
次に、本願発明の先端牽引用低摩擦外被ケーブルの実施の形態を図面を用いて説明する。
【0031】
図2は、本発明にかかる圧送布設方式対応の低摩擦外被光ファイバケーブルの一例を示す断面図である。
【0032】
図2において、11は、中心にFRPや単鋼線などからなるテンションメンバ12を有し、外周に複数の溝3がS方向、Z方向または所定の周期で反転するSZ方向のらせん状に設けられた高密度ポリエチレン製のスロットロッドを示している。このスロットロッド1の各溝13内には、複数枚の光ファイバテープ心線14、例えば 4心光ファイバテープ心線が積層されて収納されている。
【0033】
そして、このように光ファイバテープ心線14が収納されたスロットロッド11の外周には、押えテープおよび/または吸水テープの巻回層15が設けられ、さらにその上に外被16が設けられている。
【0034】
外被16は、本発明の特徴をなすものであり、JIS K 7125に準拠して測定された同一材料同士の静摩擦係数(JIS K 7125)が0.08〜0.20で、動摩擦係数(JIS K 7125)が0.05〜0.15となる材料により形成されている。
【0035】
このような材料としては、ポリエチレンなどの樹脂に、エルカ酸アミドやエチレンビスオレイン酸アミドなどの滑剤を上記条件を満足するように配合したものが使用される。具体的には、エルカ酸アミドを 1000ppm〜2500ppm の範囲で配合した低密度ポリエチレン樹脂、エルカ酸アミドを200ppm〜500ppmの範囲で配合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂などが例示される。また、難燃性が要求される用途には、日本ユニカー社製のNUC9739やJPO社製のCA1155B(以上、いずれも商品名)などの難燃化ポリエチレン樹脂にエルカ酸アミドを3000ppm〜6000ppm の範囲で配合したものを使用することができる。
【0036】
JIS K 7125に準拠して測定された同一材料同士の静摩擦係数および動摩擦係数のいずれか一方でも前記範囲より小さいと、ケーブル繰り出し時にドラムでの落ち込みや巻き崩れが発生して、布設に支障をきたすおそれがある。また、逆に、JIS K 7125に準拠して測定された同一材料同士の静摩擦係数および動摩擦係数のいずれかでも前記範囲を超えると、ケーブルと管路、あるいはケーブル同士の摩擦力が、従来の潤滑剤を塗布した場合に比べて大きくなり、圧送距離が短くなるおそれがある。
【0037】
なお、難燃性材料の場合、滑剤を多量に配合するなどしても上記静摩擦係数および動摩擦係数がそれぞれ0.12および0.08より小さい材料を得ることは困難である。したがって、難燃性材料を使用する場合、同一材料同士の静摩擦係数(JIS K 7125)が0.12〜0.20で、動摩擦係数(JIS K 7125)が0.08〜0.15となる材料が選択される。
【0038】
このように構成される低摩擦外被ケーブルにおいては、ケーブルと管路あるいはケーブル同士の摩擦力が、従来の潤滑剤を塗布した場合と同等もしくはそれ以上に低減されるため、潤滑剤を塗布することなく、潤滑剤を塗布した場合と同等もしくはそれ以上のの距離を布設することができる。したがって、布設時の潤滑剤塗布作業を省略することができ、布設作業の作業性が向上する。また、摩擦力の低下は長期間安定して保持されるため、従来のように、潤滑剤が散逸して低摩擦効果が失われることもなく、多条布設が可能となる。しかも、ケーブルを繰り出す際に、ドラムでケーブルが落ち込んだり巻き崩れが生ずることもない。
【0039】
なお、上記の例は、本発明を、いわゆる圧送布設方式対応のケーブルに適用した例であるが、本発明はこのような例に限定されるものではなく、中間牽引機を使用せず、ケーブル先端側に接続された牽引ロープのみが牽引機を通過する布設方式対応の各種ケーブルに広く適用可能で、上記と同様の効果を得ることができる。
【0040】
【実施例】
次に、本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明する。
【0041】
実施例1
中心に 2.6mmφの単鋼線からなるテンションメンバを有し、外周にS撚りに15本の溝が設けられた外径15.8mmのポリエチレン製のスロットロッドの各溝に、 4心光ファイバテープ心線を 5枚積層して収納し、その外周に吸水テープを巻き付けた後、その上に、滑剤としてエルカ酸アミド 500ppm を配合した低密度ポリエチレン樹脂を、 1.5mmの厚さに押出被覆して外被を形成した。得られた光ファイバケーブルの外径は約19mm、質量は約0.29kg/mであった。
【0042】
実施例2〜12、比較例1〜6
外被の形成材料を表1および表2に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして光ファイバケーブルを製造した。
【0043】
実施例13
中心に 2.6mmφの単鋼線からなるテンションメンバを有し、外周にS撚りに15本の溝が設けられた外径15.8mmのポリエチレン製のスロットロッドの各溝に、 4心光ファイバテープ心線を 5枚積層して収納し、その外周に吸水テープを巻き付けた後、その上に、滑剤としてエルカ酸アミド1500ppm を配合した難燃化ポリエチレン樹脂を、 2.2mmの厚さに押出被覆して外被を形成した。得られた光ファイバケーブルの外径は約21.4mm、質量は約0.33kg/mであった。
【0044】
実施例14〜20、比較例7〜10
外被の形成材料を表3および表4に示すように変えた以外は、実施例13と同様にして光ファイバケーブルを製造した。
【0045】
上記実施例および比較例で得られた各光ファイバケーブルについて、実際の布設を模擬した牽引布設試験を行い、その特性を評価した。結果を、外被の常温 (23℃)における静摩擦係数および動摩擦係数とともに、表1〜4に併せ示す。なお、静摩擦係数および動摩擦係数は、ケーブルとは別に外被と同じ材料を用いて作製したシートについて JIS K 7125 に準拠して測定した値である。
【0046】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
これらの結果からも明らかなように、本発明にかかる光ファイバケーブルは、潤滑剤の塗布を必要としないうえ、ドラムでの落ち込みや巻き崩れが発生することもなく、また、牽引機のベルトとの間でスリップが生ずることもなく、十分に実用可能な中間牽引用低摩擦外被ケーブルであることが確認された。
【0047】
実施例21
中心に 2.6mmφの単鋼線からなるテンションメンバを有し、外周にS撚りに15本の溝が設けられた外径15.8mmのポリエチレン製のスロットロッドの各溝に、 4心光ファイバテープ心線を 5枚積層して収納し、その外周に吸水テープを巻き付けた後、その上に、滑剤としてエルカ酸アミド 500ppm を配合した低密度ポリエチレン樹脂を、 1.5mmの厚さに押出被覆して外被を形成した。得られた光ファイバケーブルの外径は約19mm、質量は約0.29kg/mであった。
【0048】
実施例22〜24、比較例11〜14
外被の形成材料を表5に示すように変えた以外は、実施例21と同様にして光ファイバケーブルを製造した。
【0049】
実施例25
中心に 2.6mmφの単鋼線からなるテンションメンバを有し、外周にS撚りに15本の溝が設けられた外径15.8mmのポリエチレン製のスロットロッドの各溝に、 4心光ファイバテープ心線を 5枚積層して収納し、その外周に吸水テープを巻き付けた後、その上に、滑剤としてエルカ酸アミド2500ppm を配合した難燃化ポリエチレン樹脂を、 2.2mmの厚さに押出被覆して外被を形成した。得られた光ファイバケーブルの外径は約21.4mm、質量は約0.33kg/mであった。
【0050】
実施例26〜28、比較例15〜18
外被の形成材料を表6に示すように変えた以外は、実施例25と同様にして光ファイバケーブルを製造した。
【0051】
上記実施例および比較例で得られた各光ファイバケーブルの先端に牽引ロープを接続して牽引機で牽引し、布設時の張力増加の有無、長尺布設性およびドラムでのケーブルの落込みあるいは巻き崩れの発生の有無を調べた。結果を、外被の常温(23℃)における静摩擦係数および動摩擦係数とともに、表5、6に併せ示す。なお、長尺布設性は、従来のケーブル表面に潤滑剤を塗布して布設した場合と同等以上の場合に良好、劣る場合に不良と判定したものである。また、静摩擦係数および動摩擦係数は、ケーブルとは別に外被と同じ材料を用いて作製したシートについて JIS K 7125 に準拠して測定した値である。
【0052】
【表5】
【表6】
これらの結果からも明らかなように、本発明にかかる光ファイバケーブルは、潤滑剤の塗布を必要としないうえ、ドラムでの落ち込みや巻き崩れが発生することもなく、十分に実用可能な先端牽引用低摩擦外被ケーブルであることが確認された。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる中間牽引用低摩擦外被ケーブルは、潤滑剤を塗布することなく、また、中間牽引機でのスリップや、ケーブル繰り出し時のドラムでの落ち込みや巻き崩れを生じさせることなく、布設することができる。
【0054】
また、本発明にかかる先端牽引用低摩擦外被ケーブルは、潤滑剤を塗布することなく布設することができ、多条布設にも十分対応可能であるうえ、ケーブルを繰り出す際のドラムでの落ち込みや巻き崩れが生じることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる中間牽引用低摩擦外被光ファイバケーブルの一例を示す断面図。
【図2】本発明にかかる先端牽引用低摩擦外被光ファイバケーブルの一例を示す断面図。
【符号の説明】
1、11………スロットロッド
2、12………テンションメンバ
4、14………光ファイバテープ心線
6、16………外被
Claims (4)
- 最外層に低摩擦外被を備える中間牽引用低摩擦外被ケーブルであって、前記低摩擦外被は、エルカ酸アミドを500ppm〜1000ppm含有する低密度ポリエチレン樹脂、エルカ酸アミドを100ppm〜300ppm含有する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレンビスオレイン酸アミドを300ppm〜1500ppm含有する低密度ポリエチレン樹脂およびエチレンビスオレイン酸アミドを300ppm〜1500ppm含有する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂から選択される1種であり、同一材料同士の静摩擦係数(JIS K 7125)が0.18〜0.40で、動摩擦係数(JIS K 7125)が0.15〜0.35となる材料で構成されてなることを特徴とする中間牽引用低摩擦外被ケーブル。
- 最外層に低摩擦外被を備える中間牽引用低摩擦外被ケーブルであって、前記低摩擦外被は、エルカ酸アミドを1500ppm〜5500ppm含有する同一材料同士の静摩擦係数(JIS K 7125)が0.18〜0.40で、動摩擦係数(JIS K 7125)が0.15〜0.35となる難燃化ポリエチレン樹脂で構成されてなることを特徴とする中間牽引用低摩擦外被ケーブル。
- 最外層に低摩擦外被を備える先端牽引用低摩擦外被ケーブルであって、
前記低摩擦外被は、エルカ酸アミドを1000ppm〜2500ppm含有する低密度ポリエチレン樹脂またはエルカ酸アミドを200ppm〜500ppm含有する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂であり、同一材料同士の静摩擦係数(JIS K 7125)が0.08〜0.20で、動摩擦係数(JIS K 7125)が0.05〜0.15となる材料で構成されてなることを特徴とする先端牽引用低摩擦外被ケーブル。 - 最外層に低摩擦外被を備える先端牽引用低摩擦外被ケーブルであって、前記低摩擦外被は、エルカ酸アミドを3000ppm〜6000ppm含有する同一材料同士の静摩擦係数(JIS K 7125)が0.12〜0.20で、動摩擦係数(JIS K 7125)が0.08〜0.15となる難燃化ポリエチレン樹脂で構成されてなることを特徴とする先端牽引用低摩擦外被ケーブル。
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