JP4948408B2 - ドライインサートを有する光チューブ組立体 - Google Patents

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Description

〔関連出願〕
本願は、2004年5月18日に出願された米国特許出願第10/847,807号明細書の一部継続(CIP)出願であり、この米国特許出願は、2003年9月12日に出願された米国特許出願第10/661,204号明細書の一部継続出願であり、この米国特許出願は、2002年12月19日に出願された米国特許出願第10/326,022号明細書の一部継続であり、これら米国特許出願を参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。
本発明は、概略的には、光導波路のドライパッケージングに関する。本発明は、詳細には、少なくとも1本の光導波路を保護するための少なくとも1つのドライインサート(dry insert)を有する光チューブ組立体に関する。
光ファイバケーブルは、光信号、例えば音声、映像及び(又は)データ情報を送る光導波路、例えば光ファイバを有する。光ファイバケーブルの形態の一タイプは、チューブ内に納められた光導波路を有し、それにより、チューブ組立体が形成される。一般的に言って、チューブは、光導波路を保護するが、光導波路は、チューブ内で一段と保護されなければならない。例えば、光導波路は、ベンディング(曲げ)に順応するようチューブとの間で或る程度の相対運動を生じる必要がある。他方、光導波路は、チューブに適切に結合されるべきであり、それにより、光導波路は、例えば引張力を及ぼしてケーブルを布設する際にチューブ内で変位するのが阻止される。さらに、チューブ組立体は、内部への水の侵入を阻止する必要がある。さらに、チューブ組立体は、過度の光学的性能の劣化を生じさせないで、所定温度範囲において動作できることが必要である。
従来型光チューブ組立体は、チューブをチキソトロープ物質、例えばグリースで満たすことによりこれら要件を満足させている。チキソトロープ物質は一般に、光導波路とチューブとの間の適度の運動、緩衝及び光導波路の結合を可能にする。さらに、チキソトロープ物質は、チューブ内への水の流入を止めるのに有効である。しかしながら、光導波路のコネクタ接続前に、チキソトロープ物質を光導波路からきれいに取り除かなければならない。チキソトロープ物質を光導波路から取り除くことは、厄介で時間のかかるプロセスである。さらに、チキソトロープ物質の粘度は一般に、温度依存性である。粘度の変化により、チキソトロープ物質は、比較的高温でチューブの端からしたたり落ちる場合があり、又、チキソトロープ物質は、比較的低温で光減衰を引き起こす場合がある。
ケーブルの設計において、チキソトロープ物質をチューブから無くすことが試みられたが、かかる設計は、これら設計が上述の要件の全てを満たしてはいないので、全体として不適切であると共に(或いは)製造費が高くつく。チキソトロープ物質をチューブから無くした1つの例は、米国特許第4,909,592号明細書に開示された発明であり、この米国特許は、従来型吸水膨張性テープ及び(又は)収納状態のヤーンを有するチューブを開示している。例えば、従来型吸水膨張性テープは、典型的には、吸水膨張性粉末をサンドイッチした2つの薄手の不織層から形成され、それにより、バッファチューブ内部の空間を充填することはない比較的薄手のテープが形成される。その結果、従来型吸水膨張性テープは、非充填空間があるので、光導波路にとって適切な結合をもたらしていない。さらに、この空間により、チューブ内の水が、従来型吸水膨張性テープによって閉じこめられないで、チューブに沿って移動しうる。この結果、この設計では、チューブ内に、光ファイバとチューブを適切に結合するための多数の吸水膨張性コンポーネントが必要である。さらに、バッファチューブ内に多数の吸水膨張性コンポーネントを用いることは、そのことによりケーブルのコストと共に製造上の複雑さが増大するので、経済的ではない。
チキソトロープ物質を光ファイバケーブルから無くした別の例は、米国特許第6,278,826号明細書に開示された発明であり、この米国特許は、ゼロよりも多い含水量又は率を有し、超吸収性ポリマーが詰め込まれたフォームを開示している。フォームの含水量は、フォームの難燃性を向上させるものとして説明されている。これと同様に、この設計のフォームは、比較的高価であり、ケーブルのコストを増大させる。
米国特許第4,909,592号明細書 米国特許第6,278,826号明細書
次に、本発明の好ましい実施形態を示す添付の図面を参照して本発明を以下に詳細に説明する。しかしながら、本発明は、多くの種々の形態で実施でき、本明細書に記載する実施形態に限定されるものと解釈されてはならず、それどころか、これら実施形態は、開示により本発明の範囲が当業者に十分に理解されるように提供されている。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、本発明を明確に示すよう作成されている。
本発明の一特徴による例示のチューブ組立体10が図1に示されている。チューブ組立体10は、少なくとも1本の光導波路12と、少なくとも1つのドライインサート14と、チューブ18とを有する。この場合、少なくとも1本の光導波路12は、リボン13のスタックの形態をし、このスタックは、スタックのコーナー部の間のさしわたりの対角線寸法Dを有している。ドライインサート14は、少なくとも1本の光導波路12を全体的に包囲し、このドライインサートは、チューブ18内に納められたコア15を形成している。ドライインサート14は、例えば、緩衝、結合、水の流入の阻止のような機能を実行し、曲げに順応する。ドライインサート14は、コネクタ接続前に取り除き又はクリーニングを必要とする残滓又はフィルムを後に残さないで光導波路をドライインサートから容易に取り外すことができるので有利である。さらに、従来型チキソトロープ物質とは異なり、ドライインサート14は、温度が変化しても粘性が変わらず又は高温でチューブの端からしたたり落ちるすなわち滴下する傾向がない。さらに、チューブ組立体10は、ドライインサート14を光導波路12周りに保持する他の適当なコンポーネント、例えばバインダポリエステル糸17を有するのがよい。これと同様に、ドライインサート14をこれらの周りにチューブ18を押出し成形する前に互いに保持するために2本又は3本以上の糸を互いに縫い合わせるのがよい。図1aは、チューブ組立体10の変形例であるチューブ組立体10′を示している。具体的に説明すると、チューブ組立体10′は、対角線寸法Dを備えた24本のルース光導波路12を含むが、任意適当な本数の光導波路を使用できる。さらに、光導波路12をバインダ、吸水膨張性糸、テープ、包装材又は他の適当な材料を用いて1つ又は2つ以上のグループの状態に束ねるのがよい。さらに、チューブ組立体10又は10′は、図5に示すようなケーブルの一部であってもよい。さらに、本発明のドライインサート14をチューブレス設計のケーブルに用いることができる。
図示のように、光導波路12は、光ファイバリボンの一部をなす光ファイバである。この場合、光導波路は、リボンスタック13を形成するリボンフォーマットの複数本のシングルモード光ファイバである。リボンスタック13は、螺旋撚り又はS−Z撚りを有するのがよい。さらに、他形式又は他形態の光導波路を用いてもよい。例えば、光導波路12は、マルチモードファイバ、ピュアモードファイバ、エルビウムドープファイバ、偏波面維持ファイバ、他の適当なタイプの光導波路及び(又は)これらの組合せであってよい。さらに、光導波路12は、ルース型であってもよく、バンドル型であってもよい。各光導波路12は、シリカ又は石英を主成分とするコアを有するのがよく、このコアは、光信号を伝えることができ、コアよりも屈折率の低いシリカを主成分とする被覆材によって包囲されている。さらに、1つ又は2つ以上の被膜を光導波路12に被着させるのがよい。例えば、軟質の一次被膜が、被覆材を包囲し、比較的硬質の二次被膜が、一次被膜を包囲する。一実施形態では、1本又は2本以上の光導波路12は、2003年7月18日に出願された米国特許出願第10/632,219号明細書に開示されている被覆システムを有し、この米国特許出願を参照により引用し、その開示内容を本明細書の一部とする。光導波路12は、識別手段、例えばインキ又は識別のための他の適当な標識を更に有するのがよい。当然のことながら、光導波路は、タイトバッファ層を更に有するのがよい。適当な光ファイバは、ニューヨーク州コーニング所在のコーニング・インコーポレイテッド(Corning Incorporated)から市販されている。
他の実施形態では、リボンスタック13は、所定のMAC数を備えたコーナー光導波路12aを有するのがよく、それにより、圧縮力を受けたときのコーナー光導波路の光減衰が阻止される。換言すると、所定のMAC数を備えたコーナー光導波路を選択することにより、圧縮力に起因する光減衰の影響を受けにくい光導波路が、比較的高いレベルの圧縮を受けるリボンスタック場所に配置される。本明細書において用いる「MAC数」は、モードフィールズ直径(MFD)を所与の光導波路12aに関するカットオフ波長で割って算出したものであり、この場合、両方の量は、マイクロメートルで表され、したがってMAC数は、無次元である。換言すると、MFDは一般に、マイクロメートルで表され、カットオフ波長は、一般に、ナノメートルで表され、したがって、カットオフ波長を1000で割ってこれをマイクロメートルに変換しなければならず、それにより、無次元の数が得られる。
一実施形態では、コーナー光導波路12aのうちの1本又は2本以上は、所定のMAC数を有する。具体的に説明すると、MAC数は、約7.35以下、より好ましくは約7.00以下、最も好ましくは約6.85以下である。一例を挙げると、コーナー光導波路12aは、MFDが9.11μm以下、カットオフ波長が1240nm以上であり、それにより得られるMAC数が7.35以下となるように選択されている。一般的に言って、MAC数は、MFDに正比例し、カットオフ波長に反比例する。リボンスタック13は、4本のコーナー光導波路12aを有するが、他の形態として、リボンスタックは、これ以上のコーナー位置を有してもよい。例えば、全体として符号がプラスの形状を持つリボンスタックは、8つの外コーナーを有する。これと同様に、リボンスタックは、他の形態では、これとは異なる数のコーナー位置を有してもよい。
さらに、本発明のリボン実施形態は、正のリボン余長(ERL)を有するのがよい。ただし、負のERLが可能である。本明細書で用いる“ERL”は、特定のリボンの長さからリボンを収容したチューブ又はケーブルの長さを引いてリボンを収納したチューブ又はケーブルの長さで除算したものとして定義され、これは、100を乗算することにより百分率として表現できる。チューブ長を用いてERLを計算するか、ケーブル長を用いてERLを計算するかは、特定の形態で決まる。さらに、ケーブルの個々のリボンは、互いに異なる値のERLを有しもよい。一例を挙げると、ケーブルのリボンは、正のERL、好ましくは、約0.0%〜約0.2%以上の正のERLを有する。これと同様に、ルース又はバンドル型光ファイバを有する実施形態は、正のファイバ余長(EFL)を有するのがよい。
図2は、例示のドライインサート14の断面図である。ドライインサート14は、製造中、連続用途のためにリールから繰出し可能な1つ又は2つ以上の細長い材料で形成されている。ドライインサート14を互いに異なる機能を実行できる複数の層で形成してもよいが、ドライインサートは、圧縮可能な単一の層、例えばフェルト材料であるのがよい。ドライインサート14は、光導波路12をチューブ18からの衝撃から保護し、それにより、光導波路12の光減衰度を1310nmの基準波長では約0.4dB/km以下、1550nm及び1625nmの基準波長では0.3dB/km以下に維持し、より好ましくは、減衰度は、それぞれの波長について0.35/0.25である。一実施形態では、ドライインサート14は、2つの別々の層で作られる。例えば、図2は、圧縮可能な層であるドライインサート14の第1の層14a及び吸水膨張性層である第2の層14bを示している。この場合、第1の層14aは、適度の結合特性をもたらす所定のばね定数を持つ圧縮可能な材料で作られる。一例を挙げると、第1の層は、フォームテープ、好ましくは連続気泡フォームテープであるが、任意適当な圧縮可能な材料、例えば独立気泡フォームテープを使用してもよい。図2に示すように、第2の層14bは、任意適当な構造のものであってよく、好ましい実施形態では、1つ又は2つ以上のコンポーネントを有する適当な吸水膨張性テープである。例えば、吸水膨張性テープは、図2の2つの互いに異なる細部を示す引出し円によって示されているように、互いに異なる構造を有してもよいが、一般に、少なくとも1つのテープ、例えば、複数個の吸水膨張性粒子14eを有する不織テープ14fを有する。しかしながら、ドライインサート14は、1種類又は2種類以上の材料で作られた他形式の粒子を有してもよい。
第1の層14aと第2の層14bは好ましくは、接着剤14dによって互いに取り付けられ、これら層を分離するには約5ニュートン以上の力が必要であるようになっている。接着剤14dを製造中、層のうち一方又は両方に吹き付けるのがよく、それにより接着剤のクラスタが生じるのを阻止する微細なミストが作られるようにするのがよいが、他の適当な塗布方法も又可能である。しかしながら、接着剤は、1つ又は2つ以上の層に塗布される他の形態、例えば粉末のものであってもよい。用いられる接着剤の形態がどのようなものであれ、ドライインサートが光導波路の周りに配置されたときに、これが減衰レベルを増大させてはならない。これと同様に、吸水膨張性粒子又は団塊状粒子、例えば接着剤及び(又は)吸水膨張性粒子は、マイクロベンディングを引き起こしてはならない。換言すると、接着剤14d又は他の団塊状材料、例えば接着剤と吸水膨張性粉末の平均粒径は、比較的小さいもの、例えば、600ミクロン以下、好ましくは約450ミクロン以下、最も好ましくは約300ミクロン以下であるべきであり、したがって、粒子がドライインサート14の一部を通って光導波路に当たった場合でも、これら粒子は、マイクロベンディングレベルを増大させないようになっている。本明細書で用いる「平均粒径」という用語は、ドライインサート14に用いられる1種類又は2種類以上の物質の粒子を意味している。
図2の細部を示す右側の引出し円内に示すように、第2の層14bは、2つの不織テープ状材料14fの間に設けられた吸水膨張性粒子14eを有する吸水膨張性テープであり、この第2の層14bは、接着剤14dにより第1の層14aに取り付けられている。この構造は、粒子がマイクロベンディングを生じさせるのを阻止する。というのは、不織テープが第1の層14aと吸水膨張性粒子14eとの間でバッファとして働くからである。粒子がドライインサート14の一部を通って光導波路に押しつけられても、これら粒子が、マイクロベンディングレベルを増大させないように、吸水膨張性粉末の平均粒径は、比較的小さいもの、例えば、600ミクロン以下、好ましくは約450ミクロン以下、最も好ましくは約300ミクロン以下とされる。第2の層14bは、例えば図2の詳細を示す左側の引出し円内に示すような他の構造を有してもよい。具体的に説明すると、この実施形態は、単一の不織テープ14fの片面に取り付けられた吸水膨張性粒子14eを示し、次に、この単一の不織テープ14fは、圧縮可能な第1の層14aに取り付けられて吸水膨張性粒子14eがバッファ層無しで第1の層と第2の層との間に配置されるようにする。この構造では、接着剤14fは、吸水膨張性粒子14eを取り付けると共にドライインサート14の第1の層14aと第2の層14bを互いに取り付けるよう機能する。しかしながら、ドライインサート14のこの構造により一般に、接着剤と吸水膨張性粒子で形成された団塊状材料の平均粒径が大きくなる。換言すると、あらゆることが等しいとすれば、団塊状粒子が生じさせるので、このドライインサート構造の平均粒径は、吸水膨張性粒子だけと比較して、一般的に大きい。その結果、これにより、平均粒径が大きすぎる、マイクロベンディングが増大する場合がある。そこで、この構造では、団塊状粒子又は複合粒子の平均粒径は、マイクロベンディングを阻止する上では上述したのと同一の範囲にあるべきである。
同様に、ドライインサート14の内面は、マイクロベンディングレベルを増大させてはならない。このため、好ましい実施形態では、光導波路に接触可能な層の表面は、比較的滑らかな表面であるべきである。例えば、フォームがドライインサート14の第1の層14aとして用いられる場合、フォームの気泡の平均的な大きさは好ましくは、約1000ミクロン以下、より好ましくは約700ミクロン以下であり、それにより、比較的滑らかな表面が得られる。さらに、フォームは、大きさが互いに異なる気泡、例えば、光導波路から見て遠くに位置する気泡が大きく、光導波路に接触することができるフォームの表面の近くの気泡が小さい層を有するのがよい。他の変形例は、フォーム層の表面を平滑化するための表面処理が施される。表面処理としては、表面を平滑化するための加熱又は気泡を適当な材料で充填することが挙げられる。さらに、第1の層14a、例えばフォームは、ドライインサート14の吸水膨張性粒子及び(又は)接着剤がマイクロベンディングを生じさせないよう緩衝作用をもたらす。
一実施形態では、第1の層は、連続気泡ポリウレタン(PU)フォームテープである。PUフォームテープは、エーテル系PUかエステル系PUかのいずれかであるのがよいが、他の適当なフォームテープでは、圧縮可能な層、例えばポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム又はEVAフォームを用いてもよい。しかしながら、好ましい実施形態では、エーテル系フォームテープが用いられる。というのは、このエーテル系フォームテープは、湿気を受けたときにエステル系PUフォームよりも良好に働くからである。換言すると、エステル系PUフォームは、水分で分解する場合があり、これに対し、エーテル系PUフォームは、一般的に、水分に対して強い。さらに、フォーム層は、約1b/ft3〜約3b/ft3(1.1kg/m3〜3.3kg/m3)の所定の密度を有するが、好ましい実施形態では、この密度は、約2b/ft3(2.2kg/m3)である。ドライインサート14は、製造中の破断を阻止するよう所定の極限引張強度を更に有する。一般的に言って、ドライインサートが圧縮可能な層と吸水膨張性層の両方を有している状態では、引張強度の大部分は、吸水膨張性層によって提供される。ドライインサートの極限引張強度は好ましくは、ドライインサート14の1cm幅W当たり約20ニュートン以上であり、より好ましくは、ドライインサート14の1cm幅W当たり約30ニュートン以上である。
ドライインサート14は好ましくは、吸水膨張性物質の膨張高さの大部分が水にさらされて約120秒以内に、より好ましくは約90秒以内に生じるような吸水膨張速度を有する。さらに、ドライインサート14は好ましくは、非制限的膨張状態では、蒸留水に関し、約18mm、5%イオン性水溶液即ち塩水に関し約8mmの最大膨張高さを有するが、他の適当な最大膨張高さを有するドライインサートを使用してもよい。好ましくは、チューブ組立体は、吸水膨張比が約3以上、より好ましくは約5以上、最も好ましくは約7以上の状態に構成される。吸水膨張比は、ドライインサートの非制限的膨張状態の断面積をチューブ組立体中の自由空間で除算したものと定義される。チューブ組立体の自由空間は、チューブの内径の領域から光導波路が占める領域を引いたものとして定義される。例えば、ドライインサートが50mm2の非制限的膨張状態断面積を有し、チューブが10mm2の自由空間を有している場合、吸水膨張比は、5である。
ドライインサート14を組立て中に圧縮して、光導波路12がチューブ18に沿って長手方向に容易にずらされるのを阻止する所定の通常の力がこのドライインサートによって生じるようにするのがよい。ドライインサート14は好ましくは、チューブ直径及び(又は)ケーブル直径を最小限に抑えるために約5mm以下の非圧縮高さhを有するが、ドライインサート14について任意適当な高さhを用いてもよい。さらに、ドライインサート14の高さhは、幅全体にわたり一定である必要はなく、様々であってよく、それにより、光導波路の断面形状への合致が行われて緩衝作用が向上し、それにより光学的性能が向上する(図10)。第2の層14bは、チューブ18内への水の侵入を阻止する吸水膨張性層、例えばテープである。
ドライインサート14の圧縮は実際には、ドライインサート14の局所最大圧縮である。図1の場合、ドライインサート14の局所最大圧縮は、直径を横切ってリボンスタックのコーナー部のところで生じる。図1においてドライインサート14の圧縮度の割合を計算するには、チューブ18の内径、リボンスタックの対角線寸法D及びドライインサート14の非圧縮高さhを知る必要がある。一例を挙げると、チューブ18の内径は、7.1mmであり、リボンスタックの対角線寸法Dは、5.1mmであり、直径を横切るドライインサート14の非圧縮高さhは、3.0mm(2×1.5mm)である。対角線寸法D(5.1mm)及び直径を横切るドライインサート14の非圧縮高さh(3.0mm)を加えることにより、8.1mmの非圧縮寸法が得られる。リボンスタック及びドライインサート14を内径が7.1mmのチューブ18内に配置すると、ドライインサートは、全部で1mm(8.1mm−7.1mm)圧縮される。かくして、ドライインサート14は、チューブ18の直径を横切って約30%圧縮される。
図2aは、3つの互いに異なるドライインサート14に関する例示の圧縮曲線200,202,204を示すグラフ図である。具体的に説明すると、曲線200,202は、各々が圧縮可能な連続気泡エーテル系PUフォーム層及び吸水膨張性層を有する2つの互いに異なるドライインサートを表している。曲線200,202はそれぞれ、高さhが約1.5mm、約1.8mmのドライインサートを表している。他方、曲線204は、圧縮可能な連続気泡エステル系PUフォーム層及び吸水膨張性層を有し、高さが約1.8mmのドライインサートを表している。圧縮曲線を得るのに、インストロン(Instron)機を用いてドライインサートサンプルを圧縮するのに必要な力を測定しながらドライインサートサンプルを直径が約2.2インチ(5.6mm)の2枚の円形プレートの間に配置した。
図示のように、3つ全てのドライインサート14に関する圧縮曲線は、圧縮範囲全体として非直線状である。しかしながら一般的に言って、圧縮曲線200,202,204は、最大約0.70mmまでの全体として直線圧縮状態を有する。一実施形態では、ドライインサート14は、約10ニュートンの力で約10.0mm以下の圧縮度を有する。一般的に言って、フォーム層は、吸水膨張性層が比較的非圧縮性である間、圧縮されている。
他の実施形態では、ドライインサート14の第1の層14aは、チューブ組立体10内では非圧縮状態であるが、光導波路の運動が開始された場合に圧縮を開始する。他の変形例としては、ドライインサート14の一部をチューブ18に取り付け又は結合することが挙げられる。例えば、接着剤、グルー、エラストマー及び(又は)ポリマー14cは、ドライインサート14をチューブ18に取り付けるためにチューブ18に接触しているドライインサート14の表面の一部に施される。例えば、層14cは、チューブ18の押出し成形中、少なくとも部分的に溶けるポリマー層であり、それにより層14cとチューブ18との間に結合部が作られる。さらに、ドライインサート14を、長手方向に配置するのではなく、光導波路12に螺旋に巻き付けることが可能である。さらに別の実施形態では、2つ又は3つ以上のドライインサートを1本又は2本以上の光導波路12の周りに形成してもよく、例えば、2つの半部がチューブ18内に配置される。
他の実施形態は、ケーブルコア15及び(又は)ドライインサート14をチューブ18内に結合するのに用いられる一過性グルー/接着剤を含むのがよい。グルー/接着剤等は、例えば製造プロセス中、ドライインサート14の半径方向外向きの表面に塗布される。一過性グルー/接着剤は、高温状態にある間にドライインサート14の外面に塗布され又はかかる外面に融着され、そしてケーブルが急冷され又は冷えたときに冷却され又は凍らされる。一例を挙げると、適当な一過性グルーは、ニュージャージー州ブリッジウォータ所在のナショナル・スターチ・アンド・ケミカル・カンパニー(National Starch and Chemical Company)からLITE−LOK(登録商標)70−003Aという商品名で入手できる。一過性グルー又は他の適当な接着剤/物質を図2b〜図2dに示すような連続又は間欠的形態を有するビードの状態で塗布するのがよい。例えば、1つ又は2つ以上の接着剤/グルービードをドライインサートに沿って長手方向に塗布し、長手方向に間隔を置いたビードの状態で塗布し、ドライインサートの長手方向軸線に沿ってジグザグのビードの状態で塗布し、又は任意他の適当な形態で塗布してもよい。
一用途では、一過性グルー/接着剤等の複数個のビードが、ドライインサート14に塗布される。例えば、3つの連続した又は非連続的なビードを、ドライインサートがリボンスタックの周りに形成されたときに、これらビードが約120°の間隔をおくような場所に設けるのがよい。これと同様に、4つのビードを、ドライインサートが光導波路周りに形成されたときに、これらが約90°の間隔をおくような場所に設けるのがよい。長手方向軸線に沿って互いに間隔を置いて設けられたビードを有する実施形態では、ビードは、約20mm〜約800mm以上の長手方向間隔Sを有するのがよいが、他の適当な間隔を使用してもよい。さらに、必要な材料の量を最小限に抑えるためにビードを間欠的に塗布するのがよく、それにより、製造費が減少する一方で、依然として十分な結合/付着が得られる。
チューブ組立体10は、チキソトロープ物質で満たされていないので、チューブは、変形し又は潰れる場合があり、それにより、丸形のチューブではなく、楕円形の形をしたチューブが形成される。2003年5月30日に出願された米国特許出願第10/448,509号明細書は、チューブが所定の平均楕円度(長円度)を有するバイモーダルポリマー材料(bimodal polymeric material)から作られたドライチューブ組立体を記載し、この米国特許出願を参照により引用し、その開示内容を本明細書の一部とする。本明細書で用いる「楕円度」という用語は、チューブ18の長軸直径D1と短軸直径D2の差を長軸直径D1で除算してから100倍した値であり、それにより、楕円度が百分率として表される。バイモーダルポリマー材料は、少なくとも比較的高分子量の第1のポリマー材料及び比較的低分子材料の第2のポリマー材料を含む材料をデュアルリアクタ(dual reactor)法で製造したものを含む。このデュアルリアクタ法は、所望の材料特性をもたらし、かかるデュアルリアクタ法は、単純ポストリアクタ法(simple post reactor )と混同されるべきではなく、かかる単純ポストリアクタ法は、ポリマー配合物中の両方の樹脂の特性を損なう。一実施形態では、チューブの平均楕円度は、約10%以下である。一例を挙げると、チューブ18は、ミシガン州ミッドランド所在のダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Company)からDGDA−2490NTという商品名で入手できるHDPEから形成される。
図3は、種々の形態のチューブについて標準化された光リボン引抜き力(N/m)を示す棒グラフ図である。リボン引抜き力試験により、長さ10メートルのケーブルからリボンスタックの動きを開始させるのに必要な力を測定した。当然のことながら、この引抜き力試験は、同じようにルース又はバンドル型光導波路に当てはまる。具体的に説明すると、リボンのスタックをチューブから引き抜き、動きを開始させるのに必要な力をケーブルの長さで除算しそれにより光リボン引抜き力を標準化した。比較のためのベースラインとして、棒30は、従来型グリース(チキソトロープ物質)充填チューブ(図11)内に納められた120本のファイバ(120心)から成るリボンスタックに関して約4.8N/mのリボン引抜き力を示している。棒32は、チューブ内にルースに納められた144本のファイバ(144心)から成るリボンスタック(図12)周りに吸水膨張性テープを有するだけの従来型ドライチューブ設計に関するリボン引抜き力を示している。具体的に説明すると、棒32は、144心リボンスタックに関して約0.6N/mのリボン引抜き力を示している。かくして、従来設計のドライチューブ(図12)は、従来型グリース充填チューブ(図11)のリボン引抜き力の約12%のリボン引抜き力を有し、これは、適切なケーブル性能を得るには不適切である。
棒34,36,38,39は、本発明のチューブ組立体を示している。具体的に説明すると、棒34は、ドライインサート14の圧縮率が約0%の状態で、非圧縮高さhが約1.5mmのドライインサート14を有するチューブ組立体10からの144心スタックのリボン引抜き力を示している。この実施形態では、棒34は、約1.0N/mのリボン引抜き力を示し、これは、従来型ドライチューブと比較して驚くべき改良結果である。棒36,38は、ドライインサート14がチューブ組立体10内でその元の高さから平均圧縮高さまで1%だけ圧縮された形態を示している。具体的に説明すると、棒36は、この実施形態では、ドライインサート14が約30%圧縮されていることを除き、棒34とほぼ同じチューブ組立体のリボン引抜き力を示している。この実施形態では、棒36は、約2.7N/mのリボン引抜き力を示している。棒38は、非圧縮高さhが約3mmのドライインサート14を含むチューブ組立体からの144心リボンスタックのリボン引抜き力を示し、このドライインサートは、チューブ内で約30%だけ圧縮されている。この実施形態では、棒38は、約0.5N/mのリボン引抜き力を示している。棒39は、ドライインサート14及びグルービードの圧縮率が約17%の状態で、非圧縮高さhが約1.5mmのドライインサート14を含むチューブ組立体10からの144心スタックのリボン引抜き力を示している。この場合、4つのグルービードをドライインサートに沿って長手方向に連続して塗布してこれらが約90°の間隔を置いて位置するようにした。この実施形態に関するリボン引抜き力は、約4.0N/mであった。図示のように、接着剤/グルービードの塗布により、ドライインサートの圧縮率が低い状態でリボン引抜き力が増大した。かくして、本発明の技術的思想によれば、ドライインサート14の圧縮率は好ましくは、約10%〜約90%であるが、圧縮率の他の適当な範囲は、所望の性能をもたらすことができる。それにもかかわらず、ドライインサート14の圧縮率は、光導波路のうちのどれについても過度の光減衰を生じさせるほど大きいものであってはならず、接着剤/グルービードの使用により最適化できる。好ましくは、リボン引抜き力又は他の形態の光導波路に関する引抜き力は、約0.5N/m〜約5.0N/mであり、より好ましくは約1N/m〜約4N/mである。
図4は、本発明のチューブ組立体10の例示の製造ライン40を概略的に示している。製造ライン40は、少なくとも1つの光導波路繰出しリール41と、ドライインサート繰出しリール42と、オプションとしての圧縮ステーション43と、グルー/接着剤ステーション43aと、結合ステーション44と、クロスヘッド押出し機45と、水トラフ46と、巻取りリール49とを有している。さらに、チューブ組立体10の周りにはシース20が施されているのがよく、それにより、図5に示すようなケーブル50が形成される。シース20は、抗張力体(抗張力部材)19a及びジャケット19bを有するのがよく、これらは、チューブ組立体10と同一のラインで又は別の製造ラインで製造できる。例示の製造法は、少なくとも1本の光導波路12及びドライインサート14をそれぞれのリール41,42から繰り出すステップを有する。分かりやすくするために、光導波路12及びドライインサート14について繰出しリールが1つしか示されていないが、製造ラインは、本発明のチューブ組立体及びケーブルを製造するのに任意適当な数の繰出しリールを有することができる。次に、ドライインサート14を圧縮ステーション43で所定の高さhに圧縮し、オプションとしての接着剤/グルーをステーション43aでドライインサート14の外面に塗布する。次に、ドライインサート14を全体として光導波路12周りに位置決めし、所望ならば、結合ステーションにおいて、1本又は2本以上の結合糸をドライインサート14に巻き付け又はこの周りに縫い付け、それによりコア15を形成する。しかる後、コア15をクロスヘッド押出し機45内に送り込み、ここで、チューブ18をコア15周りに押し出し、それによりチューブ組立体10を形成する。次に、チューブ18を水トラフ46内で急冷し、次にチューブ組立体10を巻取りリール49に巻き付ける。ダッシュ記号で表したボックスで示すように、一製造ラインがケーブル50を作るよう構成されている場合、抗張力体19aをリール47から繰り出し、チューブ18に隣接して位置決めし、クロスヘッド押出し機48を用いてジャケット19bを抗張力体19a及びチューブ18の周りに押し出す。しかる後、ケーブル50は、第2の水トラフ46に入り、その後巻取りリール49に巻き付けられる。さらに、本発明の技術的思想に従って他のケーブル及び(又は)製造ラインが可能である。例えば、ケーブル及び(又は)製造ラインは、チューブ18と抗張力体19aとの間に吸水膨張性テープ19c及び(又は)外装を有するのがよいが、他の適当なケーブルコンポーネントを使用することが可能である。
図6は、図3に用いたのとほぼ同じチューブ組立体を有するケーブルに関するリボン結合力の結果を示すグラフ図である。リボン結合力試験は、ケーブルに例えばケーブルの布設中引張作用を加えたときに光導波路に加えられる力をモデル化するために用いられる。リボン引抜き力とリボン結合力との間の結果は、同一の一般的範囲にある力を有する場合があるが、リボン結合力は一般に、実際のケーブル性能の良好な指標である。
この場合、リボン結合試験は、引張溝車をケーブル端部のそれぞれのシース上に配置することにより600ポンド(272kg)の引張力をケーブルの250m長さ分に加えることによりダクトに納めた状態の地下ケーブル布設をシミュレートしている。しかしながら、他のシミュレーションにおいてリボン結合状態を特徴付けるために、他の適当な荷重、長さ及び(又は)布設形態を使用することができる。次に、光導波路の長さに沿って光導波路に加わる力をケーブルの端から測定する。ブリルアン・オプティカル・タイム−ドメイン・レフレクトメータ(Brillouin Optical Time-Domain Reflectometer:BOTDR)を用いて光導波路に加わる力を測定する。曲線の最良適合勾配を求めることにより、リボン結合力が標準化される。
比較のためのベースラインとして、曲線60は、従来型グリース充填チューブ(図11)内に納められた120本のファイバから成るリボンスタックを有するケーブルに関して約1.75N/mの標準化リボン結合力を示している。曲線62は、チューブ内にルースに納められた144本のファイバから成るリボンスタック周りに吸水膨張性テープを有する従来型ドライチューブ設計のケーブルに関するリボン引抜き力を示している。具体的に説明すると、曲線62は、144心リボンスタックに関して約0.15N/mの標準化リボン結合力を示している。かくして、従来設計のドライチューブ(図12)は、従来型グリース充填チューブ(図11)の標準化リボン結合力の約9%の標準化リボン結合力を有し、これは、適切なケーブル性能を得るには不適切である。換言すると、従来型ドライチューブケーブルのリボンスタックは、ケーブルシースの延伸中、例えば、架空雪、加重、架空ギャッロッピング、ケーブル掘り返し中やケーブル布設中の引張の際、変位しやすい。
曲線64,66,68,69は、本発明のケーブルを示している。具体的に説明すると、曲線64は、ドライインサート14の圧縮率が約0%の状態で、非圧縮高さhが約1.5mmのドライインサート14を有するチューブ組立体10と、144心スタックを有するケーブルのリボン結合力を示している。この実施形態では、曲線64は、約0.80N/mのリボン結合力を示し、これは、図12の従来型ドライケーブルと比較して改良結果を示している。曲線66,68は、ドライインサート14がチューブ組立体10内でその元の高さから平均圧縮高さまで1%だけ圧縮された形態を示している。具体的に説明すると、曲線66は、この実施形態では、ドライインサート14が約30%圧縮されていることを除き、曲線64とほぼ同じケーブルのリボン結合力を示している。この実施形態では、曲線66は、約2.80N/mのリボン結合力を示している。曲線68は、非圧縮高さhが約3mmのドライインサート14を含むチューブ組立体を有するケーブルと、144心リボンスタックを有するケーブルのリボン結合力を示し、このドライインサートは、チューブ内で約30%だけ圧縮されている。この実施形態では、曲線68は、約0.75N/mのリボン結合力を示している。曲線69は、チューブ内で約17%圧縮され、接着剤/グルービードを有する非圧縮高さhが約1.5mmのドライインサート14を含むチューブ組立体10を有するケーブルと、144心スタックを有するケーブルのリボン結合力を示している。この場合、4つのグルービードをドライインサートに沿って長手方向に連続して塗布してこれらが約90°の間隔を置いて位置するようにした。図示のように、曲線69は、ドライインサートの圧縮率を少なくした状態で曲線66とほぼ同じリボン結合力、即ち、約2.80N/mを示している。かくして、本発明の技術的思想によれば、リボン決抗力は、約0.5N/m〜約5.0N/mであり、より好ましくは約1N/m〜約4N/mである。しかしながら、他の適当な範囲のリボン結合力は、所望の性能をもたらすことができる。
さらに、本発明の技術的思想は、ドライインサートの他の形態に利用できる。図7に示すように、ドライインサート74は、第1の層74a及び種々の適当な種類の吸水膨張性物質を含む第2の層74bを有している。一実施形態では、2つの互いに異なる吸水膨張性物質が、第2の層14内又はこの上に設けられ、チューブ組立体10が、多くの環境に関して有用であると共に向上した止水性能を有するようになっている。例えば、第2の層14bは、イオン化液、例えば塩水に有効な第1の吸水膨張性コンポーネント76及び非イオン化液に効果的な第2の吸水膨張性コンポーネント78を有するのがよい。一例を挙げると、第1の吸水膨張性材料は、ポリアクリルアミドであり、第2の吸水膨張性物質は、高吸水性ポリアクリレートである。さらに、第1及び第2の吸水膨張性コンポーネント76,78は、吸水膨張性テープの所定の部分を占めるのがよい。吸水膨張性材料を交互に配置することにより、テープは、標準的用途、塩水用途又はこれら両方に有用である。互いに異なる吸水膨張性物質の他の変形例としては、吸水膨張性物質に種々の膨張速度、ゲル強度及び(又は)テープとの付着性を与えることが挙げられる。
図8は、ドライインサートの別の実施形態を示している。ドライインサート84は、3つの層で作られる。層84a,84cは、結合力を少なくとも1本の光導波路に与えるよう圧縮可能である層84bをサンドイッチした吸水膨張性層である。これと同様に、ドライインサートの他の実施形態としては、例えば吸水膨張性層をサンドイッチした少なくとも2つの圧縮性層のような他の変形例が挙げられる。2つの圧縮可能な層は、少なくとも1本の光導波路に加えられる通常の力を個別調整するために互いに異なるばね定数を有するのがよい。
図9は、本発明の別の実施形態の層94a,94bを有するドライインサート94を示している。層94aは、少なくとも1つの孔95が貫通して形成された独立気泡フォームで形成され、層94bは、少なくとも1つの吸水膨張性物質を含むが、圧縮可能な層に他の適当な材料を用いることができる。独立気泡フォームは、受動的な止水材料として働き、この受動的な止水材料は、水がこれに沿って侵入するのを阻止し、孔95により、層94bの活性化された吸水膨張性物質が、光導波路に向かって半径方向内方に移動することができる。活性化された吸水膨張性物質が半径方向内方に移動して溝を効果的に止めることができるようにする孔95の任意適当な寸法形状及び(又は)パターンが、許容可能である。孔の寸法形状及び(又は)パターンを選択してこれら穴をスタックのコーナー光導波路の周りに配置し、それにより、コーナー光導波路の性能を向上させることができる。例えば、孔95は、ドライインサートの圧縮性に変化を与えることができ、それにより、光学的性能を維持するために光導波路に加えられる通常の力を個別調整できる。
図10は、本発明の他の技術的思想を示したドライインサート104を示している。ドライインサート104は、層104a,104bを示している。層104aは、層104b上に設けられた複数個の非連続圧縮性要素で形成され、この層104bは、連続した吸水膨張性層である。一実施形態では、層104の要素は、リボンスタックの布設長さと全体として相関関係にある一定の間隔で配置される。さらに、これら要素は、これらの幅w全体にわたり変化する高さhを有する。換言すると、これら要素は、これが全体を包囲するようになった光導波路の形状に一致するよう形作られている。
図13は、チューブ組立体10を採用している本発明の別の実施形態であるケーブル130を示している。ケーブル130は、チューブ組立体10の周りに設けられ、チューブ組立体10を例えば圧潰力及び環境効果から保護するシースシステム137を有している。この場合、シースシステム137は、バインダ糸(見えず)により固定された吸水膨張性テープ132と、1対のリップコード135と、外装テープ136と、ジャケット138とを有している。外装テープ136は好ましくは、圧延成形されるが、他の適当な製造法を利用してもよい。1対のリップコート135は全体として、外装オーバーラップから約90°の間隔を置いて互いに約180°の間隔を置いて設けられ、それにより、使用中における外装テープの縁にリップコードの剪断作用が加わるのが阻止される。好ましい実施形態では、外装テープに裂け目を入れるのに適したリップコードは、2003年8月29日に出願された米国特許出願第10/652,046号明細書に開示されているような構造を有し、この米国特許出願を参照により引用し、その開示内容を本明細書の一部とする。外装テープ136は、誘電体か金属材料かのいずれかであるのがよい。誘電体外装テープが用いられる場合、ケーブルは、埋設用途においてケーブルの存在場所を突き止めるための金属製ワイヤを更に有するのがよい。換言すると、金属製ワイヤは、ケーブルを音に反応可能にする。ジャケット138は、外装テープ136を全体的に包囲し、ケーブル130に環境保護作用をもたらしている。当然のことながら、他の適当なシースシステムをチューブ組立体の周りに使用することができる。
図14は、光ファイバケーブル140を示している。ケーブル140は、少なくとも1本の光導波路12及びシースシステム142内にケーブルコア141を形成するドライインサート14を有している。換言すると、ケーブル140は、ケーブルコア141への接近がシースシステム142を切断して開くことによってのみ達成されるのでチューブレス設計である。シースシステム142は、この中に埋め込まれ、互いに約180°の間隔を置いて設けられた抗張力体142aを更に有し、それにより、優先的な曲がり部がケーブルに与えられている。当然のことながら、他の形態のシースシステム、例えば、抗張力体142aの種々のタイプ、量及び(又は)配置状態が可能である。ケーブル140は、ケーブルコア141とシース142との間に設けられ、シース142に裂け目を入れ、それによりケーブルコア141への技術者の容易な接近を可能にする1本又は2本以上のリップコード145を更に有するのがよい。
図15は、中心部材151の周りに撚り合わされた複数本のチューブ組立体10を有する光ファイバケーブル150を示している。具体的に説明すると、チューブ組立体10は、複数本のフィラーロッド153と共に、中心部材151の周りにS−Zに撚られており、1本又は2本以上のバインダ糸(見えず)で固定され、それにより、撚りケーブルコアが形成されている。撚りケーブルコアの周りには、吸水膨張性テープ156が設けられ、この吸水膨張性テープは、ジャケット158がこの上に押し出される前にバインダ糸(見えず)で固定される。オプションとして、アラミド繊維、他の適当な抗張力体(及び)止水コンポーネント、例えば吸水膨張性ヤーンを中心部材151の周りに撚り合わせるのがよく、それにより撚りケーブルコアの一部が形成される。これと同様に、ケーブル150の昼間部に沿う水の侵入を阻止するために吸水膨張性コンポーネント、例えばヤーン又はテープを中心部材151の周りに配置するのがよい。ケーブル150の他の変形例は、外装テープ、内側ジャケット及び(又は)種々の本数のチューブ組立体を有してもよい。
図16及び図17は、本発明の例示のチューブレス設計のケーブルを示している。具体的に説明すると、ケーブル160は、ジャケット168のキャビティ内でドライインサート14により全体が包囲された少なくとも1本の光導波路12を有するドロップケーブルである。ケーブル160は、少なくとも1本の抗張力体164を更に有する。他のチューブレスドロップケーブル形態、例えば、丸形の形態又は長円形の形態も又、可能である。図17は、共通ジャケット178により互いに連結されたメッセンジャー区分172とキャリヤ区分174を有するチューブレス8の字形ドロップケーブル170を示している。メッセンジャー部分172は、抗張力体173を有し、キャリヤ区分174は、キャリヤ区分174は、全体がドライインサート14により包囲された少なくとも1本の光導波路12が納められたキャビティを有する。キャリヤ区分174は、この中に設けられ、キャリヤ区分174をメッセンジャー区分172から分離したときの収縮を阻止する少なくとも1本の座屈防止部材175を更に有するのがよい。図16及び図17は、図2のドライインサートを示しているが、任意適当なドライインサートを使用できる。
特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に属する本発明の多くの改造例及び他の実施形態は、当業者には明らかになろう。例えば、光導波路を種々のリボンスタック又は形態、例えば、リボンスタックの段付きプロフィールの状態に形成できる。本発明のケーブルは、S−Z撚り形態ではなく、螺旋に撚り合わされた2本の光チューブ組立体を更に有してもよい。さらに、本発明のドライインサートを図示のように互いに積層してもよく、或いは、個々のコンポーネントとして取り付けてもよい。したがって、本発明は、本明細書において開示した特定の実施形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で改造及び他の実施形態を想到できることは理解されるべきである。特定の用語を本明細書において用いたが、これら用語は、一般的で且つ説明的な意味でのみ用いられており、本発明を限定する目的で用いられているわけではない。本発明をシリカ系光導波路に関して説明したが、本発明の技術的思想は、他の適当な光導波路及び(又は)ケーブル形態に適用できる。
本発明のチューブ組立体の断面図である。 本発明の別のチューブ組立体の断面図である。 図1のチューブ組立体のドライインサートの断面図である。 3種類の互いに異なるドライインサートに関する圧縮曲線を示すグラフ図である。 図2のドライインサートへの接着剤/グルー塗布の一形態を示す図である。 図2のドライインサートへの接着剤/グルー塗布の別の形態を示す図である。 図2のドライインサートへの接着剤/グルー塗布の別の形態を示す図である。 種々のチューブ形態に関する光リボン引抜き力を示す棒グラフ図である。 本発明の製造ラインの略図である。 本発明の一実施形態としての光ファイバケーブルの断面図である。 種々のケーブル形態と関連した光ファイバ結合力を示すグラフ図である。 本発明の技術的思想による別のドライインサートの斜視図である。 本発明の技術的思想による別のドライインサートの斜視図である。 本発明の技術的思想による別のドライインサートの斜視図である。 本発明の技術的思想による別のドライインサートの斜視図である。 従来型グリース充填チューブ組立体を有するケーブルの断面図である。 従来型ドライチューブ組立体を有するケーブルの断面図である。 本発明の外装層を備えた光ファイバケーブルの断面図である。 本発明のチューブレス光ファイバケーブルの断面図である。 本発明のストランデッド(撚り)チューブを有する光ファイバケーブルの断面図である。 本発明のチューブレス光ファイバケーブルの断面図である。 本発明のチューブレス光ファイバケーブルの断面図である。

Claims (3)

  1. 光チューブ組立体であって、
    チューブと、
    前記チューブ内に納められた少なくとも1本の光導波路と、
    少なくとも1つのドライインサートとを有し、前記少なくとも1つのドライインサートは、第1の層及び第2の層を有し、
    前記第1の層はフォーム層であり、
    前記第2の層は、2つの不織テープ状材料の間に設けられマイクロベンディングを阻止する平均粒径が600ミクロン以下の複数個の吸水膨張性粒子を有する吸水膨張性テープである吸水膨張性層であり、
    前記第1の層は接着剤によって前記第2の層に取り付けられ、前記ドライインサートは前記チューブ内に納められ、且つ前記少なくとも1本の光導波路の回りに設けられ、
    前記フォーム層は、連続気泡のエーテル系ポリウレタンフォームであり、前記気泡の平均的大きさが、1000ミクロン以下であり、さらに、前記光導波路から見て遠くに位置する気泡が大きく、光導波路に接触するフォームの表面の近くの気泡が小さく、
    前記少なくとも1本の光導波路は、リボンの一部であり、前記リボンは、0.5N/m〜5.0N/mの標準化された引抜き力を有し、
    前記少なくとも1つのドライインサートは、非圧縮高さhが、5mm以下である、
    ことを特徴とする光チューブ組立体。
  2. 前記光チューブ組立体は、光ファイバケーブルの一部である、
    請求項1に記載の光チューブ組立体。
  3. 前記光チューブ組立体は、光ファイバケーブルの一部であり、前記光ファイバケーブルは、外装テープを有する、
    請求項1に記載の光チューブ組立体。
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