JP3970134B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents
電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、端末用プリンターとして、電子写真技術を応用したプリンターが広く普及してきている。これらは、主としてレーザー光を光源とするレーザービームプリンターであり、その光源としては、コストや装置の大きさなどの点から半導体レーザーが用いられる。
【0003】
現在、主として用いられている半導体レーザーは、その発振波長が650〜820nmと長波長のため、これらの長波長の光に十分な感度を有する電子写真感光体の開発が進められてきた。
【0004】
フタロシアニン顔料は、こうした長波長領域まで感度を有する電荷発生物質として極めて有効である。
【0006】
フタロシアニン顔料としては、オキシチタニウムフタロシアニンやガリウムフタロシアニンが、従来のフタロシアニン顔料に比べ優れた感度特性を有しており、これまでに特開昭61−239248号公報、特開昭61−217050号公報、特開昭62−67094号公報、特開昭63−218768号公報、特開昭64−17066号公報、特開平5−98181号公報、特開平5−263007号公報および特開平10−67946号公報などに様々な結晶形が開示されている。
【0007】
また、特開平7−128888号公報や特開平9−34149号公報には、フタロシアニン顔料の問題点を改良するために、特定のアゾ顔料との組み合わせが開示されているが、より高感度特性を維持しつつ、画像欠陥の無い画像を提供する電子写真感光体が望まれていた。
【0008】
フタロシアニン顔料を用いた電子写真感光体は、このように優れた感度特性を有している反面、生成したフォトキャリアが感光層に残存しやすく、一種のメモリーとして電位変動を起こしやすいという欠点があった。
【0009】
原理的には確認されたわけではないが、電荷発生層中に残された電子が、何らかの理由で電荷発生層と電荷輸送層の界面、または電荷発生層と中間層あるいは中間層と導電層との界面に移行し、界面近傍のホール注入のバリア性を上げるかまたは下げるものと思われる。
【0010】
実際に電子写真感光体として用いた場合に現れる現象としては、電荷輸送層と電荷発生層の界面に電子が留まる場合は、連続プリント時の明部電位や残留電位の低下として現れる。
【0011】
例えば、現在プリンターで広く使用されている、暗部電位部分を非現像部とし明部電位部分を現像部分とする現像プロセス(いわゆる反転現像系)で使用した場合、前プリント時に光が当たった箇所の感度が速くなり、次プリント時に全面白画像を取ると、前プリント部分が黒く浮き出る、いわゆるゴースト現象(以下、ポジゴーストと称す)が顕著に現れてしまう。
【0012】
また、電荷発生層と中間層または中間層と導電層の界面に電子が留まる場合は、逆にプリント時の明部電位の上昇として現れる。
【0013】
反転現像系で使用した場合、前プリント時に光が当たった箇所の感度が遅くなり、次プリント時に全面黒画像を取ると、前プリント部分が白く浮き出る、いわゆるゴースト現象(以下、ネガゴーストと称す)が顕著に現れてしまう。
【0014】
ゴースト現象のうち、ネガゴーストはプリント初期に、ポジゴーストは連続プリント中に出ることが多い。
【0015】
この現象は、特に電荷発生層の接着層として中間層などを使用した電子写真感光体はこの現象が著しく、低温低湿などの環境下では、電荷発生層および中間層の電子に対する体積抵抗が上がるため、電子が電荷発生層中に充満しやすく、さらにゴースト現象が出やすいという欠点があった。
【0016】
また、特開2001−66804号公報や特開2001−290293号公報には、かかるゴーストを改善するために、カリックスアレーン化合物を用いることが開示されているが、近年のさらなる高画質化およびカラー化に対してはさらなる改善が望まれている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高感度、特に半導体レーザー波長領域で高感度であり、かつ、ゴーストなどの画像欠陥の少ない画像を供給可能な電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、支持体および該支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体において、
該感光層が、下記式(1)で示される構造を有するアゾ化カリックス[n]アレーン化合物、および、電荷発生物質としてのフタロシアニン顔料を含有する
ことを特徴とする電子写真感光体である。
【0019】
【外2】
【0020】
(式(1)中、nは4〜8の整数を示す。R11〜R13は、それぞれ独立に、水素原子、または、置換または無置換のアルキル基を示す。n個のR11は同一であってもよく、異なってもよい。n個のR12は同一であってもよく、異なってもよい。n個のR13は同一であってもよく、異なってもよい。n個のY11は、総て−CHCl−であるか、または、総て−CHBr−である。Ar11は、置換または無置換の芳香族炭化水素環、または、置換または無置換の複素環を示す。n個のAr11は同一であってもよく、異なってもよい。)
【0021】
また、本発明は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0023】
上記式(1)中のR11〜R13のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などが挙げられ、Ar11の芳香族炭化水素環としては、ベンゼン、ナフタレン、フルオレン、フェナンスレン、アンスラセン、フルオランテンおよびピレンなどが挙げられ、複素環としては、フラン、チオフェン、ピリジン、インドール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、ベンゾカルバゾール、アクリドン、ジベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾトリアゾール、オキサチアゾール、チアゾール、フェナジン、シンノリンおよびベンゾシンノリンなどが挙げられる。
【0024】
上記各基が有してもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などのアルキル基、メトキシ基およびエトキシ基などのアルコキシ基、ジメチルアミノ基およびジエチルアミノ基などのジアルキルアミノ基、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基、フッ素原子、塩素原子および臭素原子などのハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基またはハロメチル基などが挙げられる。
【0025】
上記n個のR12およびR13は、同一であることが好ましく、総て水素原子であることがより好ましい。
【0026】
上記n個のAr11の少なくとも1つは、フェニル基であることが好ましく、該フェニル基は、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子などの電子吸引性基で置換されていることがより好ましい。
【0027】
上記n個のY11は、総て−CHCl−であるか、または、総て−CHBr−である。
【0028】
上記式(1)で示される構造を有するアゾ化カリックス[n]アレーン化合物のうち、
(1)アゾ化カリックス[4]アレーン化合物、
(2)アゾ化カリックス[6]アレーン化合物、
(3)アゾ化カリックス[8]アレーン化合物
の各好適例を以下に示す。
【0029】
(1)下記式で示される構造を有するアゾ化カリックス[4]アレーン化合物(表1〜3)
【外3】
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0033】
(2)下記式で示される構造を有するアゾ化カリックス[6]アレーン化合物(表4)
【外4】
【0034】
【表4】
【0035】
(3)下記式で示される構造を有するアゾ化カリックス[8]アレーン化合物(表5)
【外5】
【0036】
【表5】
【0037】
これらの中でも、例示化合物1〜6、13〜20が好ましく、さらには、例示化合物1、2、5、6、13、14、17および19がより好ましい。
【0038】
また、本発明においては、感光層に電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を含有させる。
【0040】
フタロシアニン顔料としては、無金属フタロシアニン、軸配位子を有してもよい金属フタロシアニンなどいかなるフタロシアニンでも使用でき、置換基を有してもよいが、特にオキシチタニウムフタロシアニンおよびガリウムフタロシアニンが、優れた感度を有している一方、ゴーストが発生しやすい電荷発生物質なので、本発明が有効に作用し好ましい。ガリウムフタロシアニンの中でも、ヒドロキシガリウムフタロシアニンがより好ましい。
【0041】
さらに、いかなる結晶形でもよいが、その中でも、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの7.4°±0.2°、28.2°±0.2°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°、16.6°、25.5°、28.3°に強いピークを有する結晶形のクロロガリウムフタロシアニン、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの27.2°±0.2°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニンが、特に優れた感度特性を有しており、その一方でゴーストがより発生しやすい電荷発生物質なので、本発明がより有効に作用し好ましい。
【0042】
さらには、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの7.4°±0.2°、28.2°±0.2°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの27.2°±0.2°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニンが好ましい。
【0043】
また、その中でも特に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの7.3°、24.9°、28.1°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.0°、14.2°、23.9°、27.1°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニン、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°、27.3°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニンが好ましい。
【0044】
本発明の電子写真感光体の感光層の層構成は、上記式(1)で示される構造を有するアゾ化カリックス[n]アレーン化合物と、電荷発生物質と、電荷輸送物質を単一の層に含有する単層型と、上記式(1)で示される構造を有するアゾ化カリックス[n]アレーン化合物および電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を積層する積層型があるが、積層型の感光層が好ましい。また、電荷発生層と電荷輸送層の積層関係はどちらが上であってもよいが、電荷発生層が下層であることが好ましい。
【0045】
支持体は、導電性を有するものであればよく、アルミニウムやステンレスなどの金属、プラスチックおよび紙などが挙げられ、形状としては円筒状またはフィルム状などが挙げられる。
【0046】
支持体と感光層の間には、バリア機能と接着機能を持つ中間層を設けることもできる。
【0047】
中間層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ポリアミド、にかわおよびゼラチンなどが用いられる。これらは、過当な溶剤に溶解して支持体上に塗布される。
【0048】
中間層の膜厚は、0.2〜3.0μmであることが好ましい。
【0049】
さらに、支持体と中間層との間に、支持体のムラや欠陥の被覆、干渉縞防止を目的とした導電層を設けることが好適である。
【0050】
これは、カーボンブラック、金属粒子および金属酸化物などの導電性粉体を、結着樹脂中に分散して形成することができる。
【0051】
導電層の膜厚は、5〜40μmであることが好ましく、特には10〜30μmであることがより好ましい。
【0052】
単層型の感光層を形成する場合、上記式(1)で示される構造を有するアゾ化カリックス[n]アレーン化合物と電荷発生物質と電荷輸送物質を、適当な結着樹脂溶液中に混合して、この混合液を支持体上に塗布乾燥して形成される。
【0053】
積層型の感光層を形成する場合、電荷発生層は、上記式(1)で示される構造を有するアゾ化カリックス[n]アレーン化合物および電荷発生物質を、過当な結着樹脂溶液と共に分散し、この分散液を塗布乾燥して形成する方法が挙げられる。
【0054】
電荷輸送層は、主として電荷輸送物質と結着樹脂とを溶剤中に溶解させた塗料を塗布乾燥して形成する。
【0055】
電荷輸送物質としては、各種のトリアリールアミン系化合物、ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、ピラゾリン系化合物、オキサゾール系化合物、チアゾール系化合物およびトリアリルメタン系化合物などが挙げられるが、上記式(1)で示される構造を有するアゾ化カリックス[n]アレーン化合物と組み合わせる電荷輸送物質としては、トリアリールアミン系化合物が好ましい。
【0056】
各層に用いる結着樹脂としては、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリビニルカルバゾール、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリサルホン、ポリアリレート、塩化ビニリデン、アクリロニトリル共重合体およびポリビニルベンザールなどの樹脂が挙げられるが、上記式(1)で示される構造を有するアゾ化カリックス[n]アレーン化合物を分散させる樹脂としては、ポリビニルブチラール、ポリビニルベンザールが好ましい。
【0057】
感光層の塗布方法としては、ディッピング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法およびビームコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
【0058】
単層型の感光層の場合、膜厚は、5〜40μmであることが好ましく、特には10〜30μmであることが好ましい。
【0059】
積層型の感光層の場合、電荷発生層の膜厚は、0.01〜10μmであることが好ましく、特には0.05〜5μmであることが好ましい。また、電荷輸送層の膜厚は、5〜40μmであることが好ましく、特には10〜30μmであることが好ましい。
【0060】
積層型の感光層の場合、電荷発生物質の含有量は、電荷発生層全質量に対して30〜90質量%であることが好ましく、さらには50〜80質量%であることが好ましい。また、電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層全質量に対して20〜80質量%であることが好ましく、さらには30〜70質量%であることが好ましい。
【0061】
単層型の感光層の場合、電荷発生物質の含有量は、感光層全質量に対して1〜30質量%であることが好ましい。また、電荷輸送物質の含有量は、感光層全質量に対して30〜70質量%であることが好ましい。
【0062】
いずれの場合においても、上記式(1)で示される構造を有するアゾ化カリックス[n]アレーン化合物の含有量は、電荷発生物質に対して0.001〜20質量%であることが好ましく、特に0.01〜10質量%であることが好ましい。
【0063】
感光層上には、感光層を保護することを目的として保護層を設けてもよい。
【0064】
保護層は、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリカーボネート(ポリカーボネートZ、変性ポリカーボネートなど)、ナイロン、ポリイミド、ポリアリレート、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリル酸コポリマーおよびスチレン−アクリロニトリルコポリマーなどの樹脂を適当な有機溶剤によって溶解し、感光層の上に塗布、乾燥して形成できる。
【0065】
保護層の膜厚は、0.05〜20μmであることが好ましい。
【0066】
また、保護層中に導電性粒子や紫外線吸収剤などを含ませてもよい。導電性粒子としては、例えば酸化錫粒子などの金属酸化物が好ましい。
【0067】
次に、本発明の電子写真感光体を用いた電子写真装置について説明する。
【0068】
図1において、1は本発明のドラム型電子写真感光体であり軸1aを中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動する。
【0069】
該電子写真感光体1は、その回転過程で帯電手段2により、その周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、不図示の露光手段(スリット露光あるいはレーザービーム走査露光など)により、露光光Lを受ける。これにより、電子写真感光体周面に露光像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0070】
その静電潜像は、次いで、現像手段4でトナー現像され、そのトナー現像像が転写手段(コロナ転写手段)5により、不図示の給紙部から電子写真感光体1と転写手段5との間に電子写真感光体1の回転と同期取りされて給送された転写材9の面に順次転写されていく。
【0071】
像転写を受けた転写材9は、電子写真感光体面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けて複写物(コピー)として機外ヘプリントアウトされる。像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段6にて転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、前露光手段7により除電処理がされて繰り返して像形成に使用される。
【0072】
また、図2に示す装置では、少なくとも電子写真感光体1、帯電手段2および現像手段4を容器20に納めてプロセスカートリッジとし、そのプロセスカートリッジを装置本体のレールなどの案内手段12を用いて着脱自在に構成している。クリーニング手段6は、容器20内に配置しても配置しなくてもよい。
【0073】
また、図3および図4に示すように、帯電手段として接触帯電手段10を用い、電圧印加された接触帯電手段10を電子写真感光体1に接触させることにより電子写真感光体1の帯電を行ってもよい。
【0074】
図3および図4に示す装置では、電子写真感光体1上のトナー像も接触転写手段23で転写材9に転写される。すなわち、電圧印加された接触転写手段23を転写材9に接触させることにより電子写真感光体1上のトナー像を転写材9に転写させる。
【0075】
さらに、図4に示す装置では、少なくとも電子写真感光体1および接触帯電手段10を第1の容器21に納めて第1のプロセスカートリッジとし、少なくとも現像手段4を第2の容器22に納めて第2のプロセスカートリッジとし、これら第1のプロセスカートリッジと、第2のプロセスカートリッジとを着脱自在に構成している。クリーニング手段6は、容器21内に配置しても配置しなくてもよい。
【0076】
なお、帯電手段が接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0077】
露光光Lは、電子写真装置を複写機やプリンターとして使用する場合には、原稿からの反射光や透過光を用いる、あるいは、原稿を読み取り信号化にしたがって、この信号によりレーザービームの走査、発光ダイオードアレイの駆動、または液晶シャッターアレイの駆動などを行うことにより行われる。
【0078】
【実施例】
以下、実施例にしたがい、本発明をより一層詳細に説明する。
【0079】
(実施例1)
10%の酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した酸化チタン粉体50部、レゾール型フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノール5部およびシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサン・ポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3000)0.002部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散して導電層用塗料を調製した。
【0080】
支持体としてのアルミニウムシリンダー(直径30mm×長さ260.5mm)上に、上記塗料を浸漬塗布し、140℃で30分間乾燥させ、膜厚が20μmの導電層を形成した。
【0081】
この上に、6−66−610−12四元系ポリアミド共重合体樹脂5部をメタノール70部/ブタノール25部の混合溶媒に溶解した溶液をディッピング法で塗布、乾燥し、膜厚が1μmの中間層を設けた。
【0082】
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶型のヒドロキシガリウムフタロシアニン10部と、例示化合物(5)0.1部およびポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業社製)5部をシクロヘキサノン250部に添加し、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで1時間分散し、これに250部の酢酸エチルを加えて希釈し、これを中間層上に塗布した後、100℃で10分間乾燥して、膜厚が0.16μmの電荷発生層を形成した。
【0083】
次に、下記式で示される構造を有する電荷輸送物質10部と、
【外6】
【0084】
ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ−200、三菱ガス化学社製)10部をモノクロロベンゼン70部に溶解した溶液を作製し、電荷発生層上にディッピング法により塗布した。これを110℃の温度で1時間乾燥し、膜厚が25μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作製した。
【0085】
(実施例2)
実施例1において、例示化合物(5)0.1部を例示化合物(1)0.01部に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0086】
(実施例3)
実施例1において、例示化合物(5)0.1部を例示化合物(1)10部に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例3の電子写真感光体を作製した。
【0087】
(実施例4)
実施例1において、例示化合物(5)0.1部を例示化合物(1)0.5部と例示化合物(2)0.5部との組み合わせに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0088】
(実施例5)
実施例1において、例示化合物(5)0.1部を例示化合物(16)0.1部に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0089】
(実施例6)
実施例1において、例示化合物(5)0.1部を例示化合物(19)0.1部に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0090】
(実施例7)
実施例1において、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶型のヒドロキシガリウムフタロシアニンを、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.0°、14.2°、23.9°および27.1°に強いピークを有する結晶型のオキシチタニウムフタロシアニンに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0091】
(実施例8)
実施例1と同様にして電荷発生層までを形成した。
【0092】
次に、下記式で示される構造を有する電荷輸送物質10部と、
【外7】
【0093】
ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ−400、三菱ガス化学社製)10部をモノクロロベンゼン100部に溶解した溶液を作製し、電荷発生層上にディッピング法により塗布した。これを150℃の温度で30分間乾燥し、膜厚が15μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作製した。
【0094】
(実施例9)
実施例1と同様にして電荷発生層までを形成した。
【0095】
次に、下記式で示される構造を有する電荷輸送物質7部と、
【外8】
【0096】
下記式で示される構造を有する電荷輸送物質3部と、
【外9】
【0097】
ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ−200、三菱ガス化学社製)10部をモノクロロベンゼン70部に溶解した溶液を作製し、電荷発生層上にディッピング法により塗布した。これを110℃の温度で1時間乾燥し、膜厚が32μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作製した。
【0098】
(比較例1)
実施例1において、例示化合物(5)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0099】
(比較例2)
実施例7において、例示化合物(5)を添加しなかった以外は、実施例7と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0100】
(比較例3)
実施例7において、例示化合物(5)0.1部を、下記式で示される構造を有するビスアゾ顔料3部
【外10】
に変更した以外は、実施例7と同様に電子写真感光体を作製した。
【0101】
(比較例4)
実施例1において、例示化合物(5)0.1部を下記式で示される構造を有するカリックスアレーン化合物0.1部
【外11】
【0102】
に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0103】
(比較例5)
実施例1において、例示化合物(5)0.1部を下記式で示される構造を有するカリックスアレーン化合物0.1部
【外12】
【0104】
に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0105】
(比較例6)
比較例5において、カリックスアレーン化合物の添加量を0.01部に変更した以外は、比較例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0106】
(評価)
これら作製した各電子写真感光体を用いて、明部電位測定およびゴースト画像評価を行った。
【0107】
評価機には、レーザービームプリンター(商品名レーザージェット4000、ヒューレットパッカード社製)を現像バイアスが可変できるように改造して使用した。この評価機の露光装置には、発振波長が780nmの半導体レーザーが備わる。
【0108】
23℃、55%RHの常温常湿(N/N)環境下での、初期の明部電位の測定およびゴースト画像評価を行った。
【0109】
その後、同環境下で1000枚の通紙耐久試験を行い、耐久直後および15時間後での明部電位の測定およびゴースト画像の評価を行った。
【0110】
次に、作製した各電子写真感光体を評価機と共に、15℃、10%RHの低温低湿(L/L)下で3日間放置した後、明部電位の測定およびゴースト画像の評価を行った。
【0111】
その後、同環境下で1000枚の通紙耐久試験を行い、耐久直後および15時間後での明部電位の測定およびゴースト画像の評価を行った。
【0112】
通紙耐久の条件は、1分間4枚プリントの間欠モードで、耐久パターンは、約0.5mm幅の線を縦10mmおきに印字するモードで行った。
【0113】
明部電位の測定は、評価機から現像用カートリッジを抜き取り、そこに電位測定装置を挿入して行った。
【0114】
電位測定装置は、現像用カートリッジの現像位置に電位測定プローブを配置することで構成されており、電子写真感光体に対する電位測定プローブの位置は、電子写真感光体軸方向のほぼ中央、電子写真感光体表面からのギャップを3mmとした。画像データは全面黒画像とした。
【0115】
ゴースト画像評価は以下のようにした。
【0116】
ゴースト画像は、5mm角の黒四角パターンをドラム一周分任意の数だけ印字し、その後、全面ハーフトーン画像(1ドット1スペースのドット密度の画像)または全面白画像とした。ゴースト画像サンプルは、2通りの現像バイアスボリューム、F5(中心値)、F9(濃度薄い)の各モードでサンプリングした。評価は目視で行い、ゴーストの程度で下記のようにランク付けした。
ランク1は「いずれのモードでもゴーストは全く見えないレベル」、
ランク2は「特定のモードでゴーストがうっすら見えるレベル」、
ランク3は「いずれのモードでもゴーストがうっすら見えるレベル」、
ランク4は「いずれのモードでもゴーストが見えるレベル」
ランク5は「いずれのモードでもゴーストがはっきり見えるレベル」
評価結果を表6および7に示す。
【0117】
【表6】
【0118】
【表7】
【0119】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、高感度、特に半導体レーザー波長領域で高感度であり、かつ、ゴーストなどの画像欠陥の少ない画像を供給可能な電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体を有する電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
【図2】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを具備する電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
【図3】本発明の電子写真感光体を有する別のプロセスカートリッジを具備する電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
【図4】本発明の電子写真感光体を有する別のプロセスカートリッジを具備する電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
【符号の説明】
1 電子写真感光体
1a 軸
2 帯電手段
4 現像手段
5 転写手段
6 クリーニング手段
7 前露光手段
8 定着手段
9 転写材
10 接触帯電手段
12 案内手段
20,21,22 容器
23 接触転写手段
L 露光光
Claims (14)
- 支持体および該支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体において、
該感光層が、下記式(1)で示される構造を有するアゾ化カリックス[n]アレーン化合物、および、電荷発生物質としてのフタロシアニン顔料を含有する
ことを特徴とする電子写真感光体。
【外1】
(式(1)中、nは4〜8の整数を示す。R11〜R13は、それぞれ独立に、水素原子、または、置換または無置換のアルキル基を示す。n個のR11は同一であってもよく、異なってもよい。n個のR12は同一であってもよく、異なってもよい。n個のR13は同一であってもよく、異なってもよい。n個のY11は、総て−CHCl−であるか、または、総て−CHBr−である。Ar11は、置換または無置換の芳香族炭化水素環、または、置換または無置換の複素環を示す。n個のAr11は同一であってもよく、異なってもよい。) - 前記n個のAr11の少なくとも1つが、シアノ基、ニトロ基およびハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されたフェニル基である請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記フタロシアニン顔料が、オキシチタニウムフタロシアニンである請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記オキシチタニウムフタロシアニンが、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの27.2°±0.2°に強いピークを有する結晶形である請求項3に記載の電子写真感光体。
- 前記オキシチタニウムフタロシアニンが、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.0°、14.2°、23.9°、27.1°に強いピークを有する結晶形である請求項4に記載の電子写真感光体。
- 前記フタロシアニン顔料が、ガリウムフタロシアニンである請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記ガリウムフタロシアニン顔料が、ヒドロキシガリウムフタロシアニンである請求項6に記載の電子写真感光体。
- 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニンが、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの7.4°±0.2°、28.2°±0.2°に強いピークを有する結晶形である請求項7に記載の電子写真感光体。
- 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニンが、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.3°、24.9°、28.1°に強いピークを有する結晶形である請求項8に記載の電子写真感光体。
- 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニンが、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強いピークを有する結晶形である請求項8に記載の電子写真感光体。
- 前記アゾ化カリックス[n]アレーン化合物の含有量が、前記電荷発生物質に対して0.01〜10質量%である請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記感光層が、前記式(1)で示される構造を有するアゾ化カリックス[n]アレーン化合物および前記電荷発生物質としてのフタロシアニン顔料を含有する電荷発生層、ならびに、電荷輸送層の少なくとも2層からなる請求項1〜11のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を備えることを特徴とする電子写真装置。
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