JP3970038B2 - トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電荷潜像を顕在化する画像形成方法やトナージェット記録方法に用いる重合法トナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては多数の方法が知られているが、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成し、ついで該潜像をトナーで現像を行って可視像とし、必要に応じて紙などの転写材にトナー画像を転写した後、熱・圧力等により転写材上にトナー画像を定着して複写物又は印刷物を得るものである。
【0003】
また、トナーを用いて現像する方法或いは、トナー画像を定着する方法としては、従来各種の方法が提案されている。
【0004】
従来、これらの目的に使用するトナーは、一般的に熱可塑性樹脂中に染料または顔料からなる着色剤を溶融混練し、均一に分散させた後、微粉砕装置により微粉砕し、微粉砕物を分級機により分級して所望の粒径を有するトナーを製造してきた。
【0005】
この製造方法ではかなり優れたトナーを製造し得るが、ある種の制限、即ち、トナー用材料の選択範囲に制限がある。例えば、樹脂着色剤分散体が十分に脆く、経済的に可能な製造装置で微粉砕し得るものでなければならない。ところがこれらの要求を満たすために樹脂着色剤分散体を脆くすると、該分散体を実際に高速で微粉砕した場合、形成された粒子の粒経範囲が広くなりやすく、特に比較的大きな割合で微粒子がこれに含まれるという問題が生じる。
【0006】
更に、このように脆性の高い材料から得られるトナーは、複写機等の現像器中で更なる微粉砕乃至は粉化を受けやすい。また、この方法では、着色剤等の固体微粒子を樹脂中に完全に均一分散することは困難であり、その分散の度合によっては、画像形成時におけるカブリの増大、画像濃度低下、混色性あるいは透明性の不良の原因となるので、着色剤の分散には十分な注意を払わなければならない。また、粉砕粒子の破断面に着色剤が露出することにより、現像特性の変動を引き起こす場合もある。
【0007】
一方、これら粉砕法によるトナーの問題点を克服するため、特公昭36−10231号、同43−10799号および同51−14895号公報等による懸濁重合法トナーを始めとして、各種重合法トナーやその製造方法が提案されている。例えば、懸濁重合法トナーでは、重合性単量体、着色剤及び重合開始剤、更に必要に応じて架橋剤、荷電制御剤、その他添加剤を均一に溶解又は分散せしめて単量体組成物とした後、該単量体組成物を、分散安定剤を含有する媒体、例えば、水相中に適当な撹拌機を用いて分散し、同時に重合反応を行わせ、濾別、乾燥して所望の粒径を有するトナー粒子を得る。この方法では、粉砕工程が全く含まれないため、トナーに脆性が必要ではなく、樹脂として軟質の材料を使用することができ、また、粒子表面への着色剤の露出が生ぜず、均一な摩擦帯電性を有するトナーが得られるという利点がある。また、得られるトナーの粒度分布が比較的シャープなことから分級工程を省略又は、分級したとしても、高収率でトナーが得られる。
【0008】
しかしながら、重合体トナーは媒体中で直接トナー粒子を生成させるため、トナー表面が媒体の影響を受けやすい。
【0009】
例えば、媒体が水系媒体の場合、一般に極性の高い極性樹脂や荷電制御剤は、トナー表面近傍に局在化しやすくなる。その結果として粉砕トナーと比較して、非常に少量の荷電制御剤で、均一で高い帯電性をトナーに付与出来るが、荷電制御剤のような極性の高い材料は、極一部ではあるが、水系媒体中へ溶解してしまうものもある。そのため、重合反応終了後の媒体からトナー粒子を濾別する工程で、非常に注意を払う必要がある。
【0010】
即ち、如何に、効率良く各トナー粒子の表面を均一に洗浄するかということが重要である。各トナー粒子の表面が均一に洗浄されていないと、トナーの帯電量分布がブロードとなり、特に、高温多湿下などの、トナーが帯電しにくい環境下では、画像濃度低下、カブリ等の問題が発生しやすくなる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、こうした問題点を解消して、効率良く各トナー粒子の表面を均一に洗浄でき、得られたトナーによって画像を形成した場合において、高い画像濃度が安定して維持され、カブリの発生等を生じない、優れた画像特性を有するトナーが得られる重合法トナーの製造方法を提供することである。
【0012】
更に、本発明の目的は、高温多湿の環境下においても安定して高品質画像を得ることができ、耐久性のあるトナーが得られる重合法トナーの製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の本発明によって達成される。
【0014】
即ち、本発明は、水系媒体中で合成されるトナーを、濾過手段により洗浄、脱水し、得られた湿潤状態の着色重合体粒子を乾燥手段により乾燥してトナーを製造するトナーの製造方法において、該濾過手段は真空式のベルトフィルターであり、該ベルトフィルターにおける真空吸引をベルト中央部及びベルト端部立ち上がり部において別々に行うことを特徴とするトナーの製造方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0018】
本発明者らは、上記した従来技術の課題を解決すべく鋭意検討の結果、効率良く各トナー粒子の表面を均一に洗浄するためには、該着色樹脂粒子を媒体から濾別する方法が大きく影響を与えていることを見出した。
【0019】
更に、本発明者等は、真空式のベルトフィルターによりスラリーから固体粒子を分離する際、ベルト中央部のケーキの含水率とベルト端部立ち上がり部のケーキの含水率の差を解消することで、効率良く各トナー粒子の表面を均一に洗浄できることを知見して本発明に至った。
【0020】
更に、本発明者等は、真空式のベルトフィルターによりスラリーから固体粒子を分離する際、ケーキを真空吸引する際、ケーキ上に発生するクラックを防止することで、効率良く各トナー粒子の表面を均一に洗浄できることを知見して本発明に至った。
【0021】
本発明のトナーは、少なくとも樹脂と着色剤を含有するものであるが、必要に応じて定着性改良剤である離型剤や荷電制御剤等を含有することも出来る。更に、上記樹脂と着色剤を主成分とするトナー粒子に対して無機微粒子や有機微粒子等で構成される外添剤を添加したものであってもよい。
【0022】
本発明のトナーは、懸濁重合法や、必要な添加剤の乳化液を加えた液中にて単量体を乳化重合し、微粒の重合体粒子を製造し、その後に、有機溶媒、凝集剤等を添加して会合する方法で製造することが出来る。会合の際にトナーの構成に必要な離型剤や着色剤などの分散液と混合して会合させて調製する方法や、単量体中に離型剤や着色剤などのトナー構成成分を分散した上で乳化重合する方法などがあげられる。尚、ここで会合とは、樹脂粒子及び着色剤粒子が複数個融着することを示す。
【0023】
また、本発明でいうところの水系媒体とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものを示す。
【0024】
重合法の製造方法としては特に限定されるものではないが、下記の様な製造方法を挙げることが出来る。
【0025】
即ち、重合性単量体中に着色剤や必要に応じて離型剤、荷電制御剤、更に重合開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解或いは分散させる。この各種構成材料が溶解或いは分散された重合性単量体を、分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザー等を使用し、トナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、撹拌機構を有する反応装置へ移し、加熱することで重合反応を進行させる。反応終了後、分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、更に乾燥することで本発明のトナーを調製する。
【0026】
また、本発明のトナーを製造する方法として樹脂粒子を水系媒体中で融着させて調製する方法も挙げることが出来る。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることが出来る。即ち、樹脂粒子と着色剤等の構成材料の分散粒子、或いは樹脂及び着色剤等より構成される微粒子を複数以上会合させる方法、特に水系媒体中にてこれらを、乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させ、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、本発明のトナーを形成することが出来る。尚、ここにおいて凝集剤と同時に水に対して無限溶解する有機溶媒を加えてもよい。
【0027】
本発明に用いられる好ましい単量体としては、具体的には、スチレン,o(m−、p−)−メチルスチレン,m(p−)−エチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸プロピル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アクリル酸ドデシル,(メタ)アクリル酸ステアリル,(メタ)アクリル酸ベヘニル,(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル,(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル,(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン,イソプレン,シクロヘキセン,(メタ)アクリロニトリル,アクリル酸アミド等のエン系単量体が好ましく用いられる。これらは、単独または一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−P139〜192(John Wiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)が、40〜75℃を示すように単量体を適宜混合し用いられる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場合には、トナーの保存安定性や現像剤の耐久安定性の面から問題が生じ、一方75℃を超える場合は定着点の上昇をもたらし、特にフルカラートナーの場合においては各色トナーの混色が不十分となり色再現性に乏しく、更にOHP画像の透明性を著しく低下させ高画質の面から好ましくない。
【0028】
外殻樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定される。具体的なGPCの測定方法としては、予めトナーを、ソックスレー抽出器を用いトルエン溶剤で20時間抽出を行った後、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去せしめ、更に低軟化点物質は溶解するが外殻樹脂は溶解し得ない有機溶剤、例えばクロロホルム等を加え十分洗浄を行った後、THF(テトラヒドロフラン)に可溶した溶液をポア径が0.3μmの耐溶剤性メンブランフィルターでろ過したサンプルをウォーターズ社製150Cを用い、カラム構成は昭和電工製A−801、802、803、804、805、806、807を連結し標準ポリスチレン樹脂の検量線を用い分子量分布を測定し得る。得られた樹脂成分の数平均分子量(Mn)は5000〜100000であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は2〜100を示す外殻樹脂が本発明には好ましい。
【0029】
本発明においては、コア/シェル構造を有するトナーを製造する場合、低軟化点物質を内包化せしめるため、外殻樹脂中に更に極性樹脂を添加せしめることが特に好ましい。
【0030】
本発明に用いられる極性樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体,マレイン酸共重合体,飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂が好ましく用いられる。該極性樹脂は、外殻樹脂又は単量体と反応しうる不飽和基を分子中にあまり含まないものが特に好ましい。仮に多くの不飽和基を有する極性樹脂を含む場合においては、外殻樹脂層を形成する単量体と架橋反応が起き、特に、フルカラー用トナーとしては、極めて高分子量になり四色トナーの混色には不利となり好ましくない。
【0031】
また、本発明においては、トナーの表面に更に最外殻樹脂層を設けても良い。該最外殻樹脂層のガラス転移温度は、耐ブロッキング性の更なる向上のため外殻樹脂層のガラス転移温度以上に設計されること、更に定着性を損なわない程度に架橋されていることが好ましい。また、該最外殻樹脂層には帯電性向上のため極性樹脂や荷電制御剤が含有されていることが好ましい。
【0032】
該最外殻層を設ける方法としては、特に限定されるものではないが例えば以下のような方法が挙げられる。
1.重合反応後半、または終了後、反応系中に必要に応じて、極性樹脂、荷電制御剤、架橋剤等を溶解、分散したモノマーを添加し重合粒子に吸着させ、重合開始剤を添加し重合を行う方法。
2.必要に応じて、極性樹脂、荷電制御剤、架橋剤等を含有したモノマーからなる乳化重合粒子またはソープフリー重合粒子を反応系中に添加し、重合粒子表面に凝集、必要に応じて熱等により固着させる方法。
3.必要に応じて、極性樹脂、荷電制御剤、架橋剤等を含有したモノマーからなる乳化重合粒子またはソープフリー重合粒子を乾式で機械的にトナー粒子表面に固着させる方法。
である。
【0033】
本発明に用いられる着色剤は、黒色着色剤としてカーボンブラック,磁性体,以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
【0034】
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168等が好適に用いられる。
【0035】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物,ジケトピロロピロール化合物,アンスラキノン,キナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
【0036】
本発明に用いられるシアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体,アンスラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が利用出来る。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用出来る。
【0037】
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることが出来る。
【0038】
本発明に用いられる着色剤は、カラートナーの場合、色相角,彩度,明度,耐候性,OHP透明性,トナー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は、樹脂100質量部に対し1〜20質量部添加して用いられる。
【0039】
黒色着色剤として磁性体を用いた場合には、他の着色剤と異なり樹脂100質量部に対し4〜150質量部添加して用いられる。
【0040】
本発明に用いられる荷電制御剤としては、公知のものが利用出来るが、カラートナーの場合は、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持出来る荷電制御剤が好ましい。具体的化合物としては、ネガ系としてサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の金属化合物,スルホン酸、カルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物,ホウ素化合物,尿素化合物,ケイ素化合物,カリークスアレーン等が利用でき、ポジ系として四級アンモニウム塩,該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物,グアニジン化合物,イミダゾール化合物等が好ましく用いられる。該荷電制御剤は樹脂100質量部に対し0.5〜10質量部が好ましい。
【0041】
本発明で使用される重合開始剤として、例えば、2,2’−アゾビスー(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等の過酸化物系重合開始剤が用いられる。
【0042】
該重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが一般的には単量体に対し0.5〜20質量%添加され用いられる。開始剤の種類は、重合方法により若干異なるが、十時間半減期温度を参考に、単独又は混合し利用される。また、重合度を制御するため公知の架橋剤・連鎖移動剤・重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
【0043】
本発明のトナー製造方法においては、重合時に用いる分散安定剤を、酸に可溶な無機系酸化物とするのが好ましい。更に、該無機系酸化物はリン酸化合物であることが好ましい。リン酸化合物としては、例えば、リン酸三カルシウム,リン酸マグネシウム,リン酸アルミニウム,リン酸亜鉛等が挙げられる。これらの分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜10.0質量部を使用することが好ましい。
【0044】
更に、該分散安定剤は、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい均一な粒度を有す分散粒子を得るために、分散媒中にて高速撹拌下にて該無機化合物を生成させて用いることも出来る。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速撹袢下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで懸濁重合方法に好ましい分散安定剤を得ることが出来る。また、これら分散安定剤の微細化のため0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。
【0045】
該界面活性剤として、具体的には、市販のノニオン,アニオン,カチオン型の界面活性剤が利用でき、例えばドデシル硫酸ナトリウム,テトラデシル硫酸ナトリウム,ペンタデシル硫酸ナトリウム,オクチル硫酸ナトリウム,オレイン酸ナトリウム,ラウリル酸ナトリウム,ステアリン酸カリウム,オレイン酸カルシウム等が好ましく用いられる。
【0046】
該重合法に用いる分散安定剤は、一般にトナーの帯電性能を著しく低下させるため、該分散安定剤を除去する必要がある。分散安定剤の除去が不完全であると、トナーが帯電しにくい環境下では、画像濃度低下、カブリ等の問題が発生しやすくなる。
【0047】
分散安定剤の除去方法としては、媒体からの濾別前に酸またはアルカリを加えて分散安定剤を媒体中に溶解させ、媒体と共に濾別することが一般的である。ここで、濾別後のトナー表面には若干の媒体である水分が付着している。そして、この水分中には先の分散安定剤が溶解しており、この分散安定剤を溶解した水分が付着しているトナーを後工程で乾燥すると、水分のみ除去され、溶解していた分散安定剤は濃縮されトナー表面に固着する。
【0048】
このような濾別方法で分散安定剤の残存量を小さくするには、濾別後の含水トナーに洗浄液を加え水分中の分散安定剤濃度を小さくした上で再濾別し、付着水分中の分散安定剤量を小さくする方法があり、必要により洗浄水添加、再濾別の工程を数回繰り返すことにより所望する分散安定剤の残存許容量以下にすることが可能である。ここで、濾別後のトナーの水分付着量(以下、含水率)が重要である。先に説明した通り分散安定剤は、乾燥工程では除去されずに濃縮されるので、分散安定剤の残存量は付着水分中の分散安定剤濃度と付着水分量の積によって決まるからである。
【0049】
ここで、濾別に用いる濾過装置としては、洗浄機能を兼ね備えた濾過洗浄装置が好適である。「洗浄機能」とは、濾別後のトナーに洗浄水を加えてリスラリー液としたり、濾別後のトナーをケーキ状として、該ケーキに洗浄水を通過させることを指す。
【0050】
洗浄機能を兼ね備えた濾過洗浄装置としては、特開平08−160661号公報に開示されるベルトフィルターがあり、該ベルトフィルターは、ケーキにまんべんなく洗浄水を降りかけられるので、均一洗浄性に優れるという利点がある。
【0051】
また、該ベルトフィルターは2つのタイプに大別することが出来る。一つはドレンネジベルトを有し、ドレンネジベルトと真空パンが摺擦しながら真空を気密する構造のタイプで、もう一つはドレンネジベルトを廃し、濾布と真空パンが密着するようにして、ドレンネジベルトを使用しないタイプである。
【0052】
ドレンネジベルトを有するベルトフィルターとしては住友重機械(株)製の商品名「イーグルフィルター」が、ドレンネジベルトを使用しないベルトフィルターとしては月島機械(株)製の商品名「水平ベルトフィルター」や月島機械(株)製の商品名「シンクロフィルタ」等がある。本発明は両方のタイプのベルトフィルターの両者に適用出来る。
【0053】
濾別後のトナー粒子の含水率が大きいと、
1.後工程の乾燥機の負荷が大きくなり乾燥コストの増加を招く。
2.先に説明した理由により分散安定剤の残存量が大きくなりトナー帯電性能の低下、又は、洗浄回数の増加によりコストアップする。
3.濾別後のトナーがケーキ状にならず粘土状となり濾布に付着し、排出工程で全量排出されずに回収率が低下する、濾布が目詰まりしやすい。
という問題点があった。
【0054】
即ち、本発明者等は、トナー粒子の洗浄性は、ベルトフィルターにおけるベルト中央部におけるケーキ含水率とベルト端部立ち上がり部におけるケーキ含水率に依存することに着目し、ケーキ中央部と両端面部の含水率差を解消することで、ケーキを効率良く均一に洗浄出来ることを知見して本発明に至った。
【0055】
更に、本発明者等は、トナー粒子の洗浄性は、ベルトフィルターのケーキ形成ゾーン、ケーキ洗浄ゾーン、ケーキ脱水ゾーンの、各ゾーンにおける真空度と、ケーキ形成ゾーン、ケーキ洗浄ゾーン、ケーキ脱水ゾーンの、各ゾーン上におけるケーキ表面状態に依存することに着目し、ケーキ表面に真空吸引時に発生するクラックを防止することで、ケーキを効率良く均一に洗浄出来ることを知見して本発明に至った。
【0056】
尚、ここでクラックとは、真空吸引によってケーキ表面に発生するひび割れのことを指す。
【0057】
即ち、本発明者等が検討した結果、ベルトフィルターにおいて濾別後のトナー粒子の含水率が大きい原因は、大別して以下の2つにあると考えられる。
1.一つは、ベルト端部立ち上がり部の真空吸引がなされてないことによるもの。
2.もう一つは、ベルト上でのケーキ表面のクラックによるもの。
と考えられる。
【0058】
以下、ベルトフィルターにおいて濾別後のトナー粒子の含水率が大きい原因の一つである、ベルト端部立ち上がり部の真空吸引がなされてないことによるものについて説明する。
【0059】
通常ベルトフィルターでは、図8に示す通り、I部分をベルト中央部、II部分をベルト端部立ち上がり部とした場合、真空トレイ4はベルト中央部のみに設置されている。従って真空吸引はベルト中央部のみであり、真空トレイが設置されていないベルト端部立ち上がり部では真空吸引は行っていない。
【0060】
本発明者等が検討した結果、上記の真空吸引の方法では、ベルト中央部での真空吸引でケーキ含水率が低下されていても、真空吸引されていないベルト端部立ち上がり部のケーキが脱水ゾーン後の排出工程で混入することで、結果的に高含水率を引起す。
【0061】
本発明のトナーの製造方法の特徴は、上記のような高含水率を引起す原因を防止することで、ケーキを効率良く均一に洗浄出来るトナーの製造方法を提供出来ることにある。
【0062】
即ち、本発明の特徴は、水系媒体中で合成されるトナーを、濾過手段により洗浄、脱水し、得られた湿潤状態の着色重合体粒子を乾燥手段により乾燥してトナーを製造するトナーの製造方法において、該濾過手段は、真空式のベルトフィルターであり、該ベルトフィルターにおける真空吸引をベルト中央部及びベルト端部立ち上がり部において、別々に行うことにある。
【0063】
本発明者等が検討した結果、図1の(a)に示すように、ベルト中央部の真空トレイ4の左右両端に、左右独立したベルト端部立ち上がり部用の真空トレイ10を設け、ベルト端部立ち上がり部の真空吸引を可能とすることで、ベルト中央部と両端面部の含水率差が解消出来ることが分かった。
【0064】
ここで、本発明者等が検討した結果、図4に示すように、真空トレイをベルト中央部用真空トレイと、ベルト端部立ち上がり部用真空トレイを、部屋を分けずに一体式のものとし、一体式真空トレイ12で真空吸引を行うと、スラリー供給量の振れ或いはスラリー濃度の振れ等によるケーキ厚が変動した場合、ベルト端部立ち上がり部で真空漏れを起こし、結果的にベルト中央部の真空度も低下してしまうことで含水率が高くなり好ましくない。従ってベルト中央部とベルト端部立ち上がり部とに、別々に真空トレイを設置し、真空吸引をベルト中央部及びベルト端部立ち上がり部において、別々に行うことが好ましい。
【0065】
更に、本発明者等が検討した結果、該ベルトフィルターのケーキ形成ゾーン、ケーキ洗浄ゾーン、ケーキ脱水ゾーンの、ベルト端部立ち上がり部における真空度は、該ケーキ形成ゾーン、ケーキ洗浄ゾーン、ケーキ脱水ゾーンの少なくとも一つのゾーンで異ならせる制御方法が好ましい。
【0066】
更に、該制御方法としては、該ケーキ形成ゾーン及び該ケーキ洗浄ゾーンにおける真空度を、該ケーキ脱水ゾーンにおける真空度より、低真空とする制御方法が好ましい。
【0067】
即ち、本発明者等が検討した結果、ベルト端部立ち上がり部における真空度は、該ケーキ形成ゾーン及び該ケーキ洗浄ゾーンにおいては、大気圧に対して、0〜−15kPaとすることが好ましく、更には、0〜−10kPaとすることが好ましい。また、該ケーキ脱水ゾーンにおいては、大気圧に対して、−40〜−80kPaとすることが好ましく、更には−60〜−80kPaとすることが好ましい。
【0068】
即ち、本発明者等が検討した結果、該ケーキ形成ゾーンのベルト端部立ち上がり部における真空吸引を、−15kPaより高真空で行うと、ベルト中央部と端部立ち上がり部の交点部分(図4における点線丸部III)においてクラックを誘発させ好ましくない。その理由については、真空吸引時における吸引力のベクトルの違いによるものと考えている。つまりベルト中央部ではケーキに対して垂直に真空吸引されるが、ベルト端部立ち上がり部では斜め下方向に真空吸引される。従って、ベルト中央部と端部立ち上がり部の交点部分(図4における点線丸部III)で真空吸引時における吸引力のベクトルの違いによりクラックが発生すると考えられる。また、該ケーキ洗浄ゾーンのベルト端部立ち上がり部における真空吸引を、−15kPaより高真空で行うと、該ケーキ洗浄ゾーンのベルト中央部でリスラリーされたものがベルト端部立ち上がり部における真空吸引に引き寄せられるため、ケーキ厚が不均一となる。ケーキ厚が不均一になると、洗浄水がケーキ厚の薄い部分にばかり流れるという洗浄水のショートパスが発生し、また、次のケーキ脱水ゾーンでは、ケーキ厚が薄くなった部分でクラックが発生し、真空漏れを起こすことで含水率が高くなる。以上の様に、結果的に洗浄性及び脱水性の悪化を引起すため好ましくない。また該ケーキ脱水ゾーンのベルト端部立ち上がり部における真空吸引を、−40kPaより低真空で行うと、ベルト中央部との含水率差が解消されず好ましくない。
【0069】
即ち、該真空式ベルトフィルターの、各ゾーンのベルト端部立ち上がり部における真空度を上記のように制御することにより、ベルト中央部とベルト端部立ち上がり部におけるケーキ含水率差が解消され、洗浄性に優れたケーキを得ることか出来る。
【0070】
尚、真空吸引方法は、ベルト端部立ち上がり部の真空度が任意に制御できる方法であれば特に限定はない。図1(a)に示すように、ベルト中央部真空トレイ4とベルト端部立ち上がり部真空トレイ10に、独立した真空ポンプ9を設け、それぞれの真空ポンプで真空度を制御する方法でも構わないし、図2(a)に示すように、ケーキ形成ゾーンベルト端部立ち上がり部真空トレイ10A、ケーキ洗浄ゾーンベルト端部立ち上がり部真空トレイ10B、ケーキ脱液ゾーンベルト端部立ち上がり部真空トレイ10Cの各ゾーンベルト端部立ち上がり部真空トレイごとに独立した真空ポンプ9を設け、それぞれの真空ポンプで真空度を制御する方法でも構わない。また、図1(b)に示すように、ベルト中央部真空トレイ4とベルト端部立ち上がり部真空トレイ10の真空吸引を行うための真空ポンプ9を1台とし、真空吸引配管をパラレル接合して、リークバルブ等の真空度制御機器11で真空度を調整制御する方法でも構わないし、図2(b)に示すように、ケーキ形成ゾーンベルト端部立ち上がり部真空トレイ10A、ケーキ洗浄ゾーンベルト端部立ち上がり部真空トレイ10B、ケーキ脱液ゾーンベルト端部立ち上がり部真空トレイ10Cの真空吸引を行うための真空ポンプ9を1台とし、真空吸引配管をパラレル接合して、リークバルブ等の真空度制御機器11で真空度を調整制御する方法でも構わない。
【0071】
次に、ベルトフィルターにおいて濾別後のトナー粒子の含水率が大きい原因のもう一つである、ベルト上でのケーキ表面のクラックによるものについて以下に説明する。
【0072】
通常ベルトフィルターでは、図9に示すように、ケーキ形成ゾーンベルト中央部真空トレイ4A、ケーキ洗浄ゾーンベルト中央部真空トレイ4B、ケーキ脱水ゾーンベルト中央部真空トレイ4Cの各ゾーン中央部真空トレイごとには真空度を制御しておらず、ケーキ脱水ゾーンベルト中央部真空トレイ4Cにおける真空度でケーキ形成ゾーン、ケーキ洗浄ゾーンの真空吸引を行っている。
【0073】
本発明者等が検討した結果、上記の真空吸引の方法では、特にケーキ形成ゾーン上のケーキにクラックが発生しやすい。ケーキ形成ゾーンにクラックが発生すると、ケーキ洗浄ゾーンでは、洗浄水がクラックにばかり流れるという洗浄水のショートパスが発生する。またケーキ脱水ゾーン上でケーキにクラックがあると、クラックから真空漏れを起こすことで含水率が高くなり、結果的に洗浄性及び脱水性の悪化を引起す。
【0074】
本発明のトナーの製造方法の特徴は、上記のような高含水率を引起す原因を防止することで、ケーキを効率良く均一に洗浄出来るトナーの製造方法を提供出来ることにある。
【0075】
即ち、本発明の特徴は、水系媒体中で合成されるトナーを、濾過手段により洗浄、脱水し、得られた湿潤状態の着色重合体粒子を乾燥手段により乾燥してトナーを製造するトナーの製造方法において、該濾過手段は、真空式のベルトフィルターであり、該ベルトフィルターは少なくともケーキ形成ゾーン、ケーキ洗浄ゾーン、ケーキ脱水ゾーンが配列されるよう構成されており、該各ゾーンのベルト中央部における真空度が、少なくとも一つのゾーンで異なることを特徴とするトナーの製造方法である。
【0076】
本発明者等が検討した結果、洗浄性及び脱水性の悪化を引起す原因となるクラックを防止するためには、ケーキ形成ゾーン、ケーキ洗浄ゾーン、ケーキ脱水ゾーンのベルト中央部における真空度を、少なくとも一つのゾーンで異ならせる制御方法が好ましい。
【0077】
更に、該制御方法としては、該ケーキ形成ゾーンのベルト中央部における真空度を、該ケーキ洗浄ゾーン及びケーキ脱水ゾーンのベルト中央部における真空度より、低真空とする制御方法が好ましいことが分かった。
【0078】
即ち、本発明者等が検討した結果、大気圧に対して、ケーキ形成ゾーンのベルト中央部における真空度は、−10〜−80kPaとすることが好ましく、更には−20〜80kPaとすることが好ましい。更にケーキ洗浄ゾーン及びケーキ脱水ゾーンのベルト中央部における真空度は、−20〜−80kPaとすることが好ましく、更には−40〜80kPaとすることが好ましい。
【0079】
即ち、該真空式ベルトフィルターの、ケーキ形成ゾーン、ケーキ洗浄ゾーン、ケーキ脱液ゾーンにおけるベルト中央部の真空度を、上記のように制御することにより、ケーキ表面にクラックが発生することなく、洗浄性及び脱水性に優れたケーキを得ることか出来る。
【0080】
尚、真空吸引方法は、各ゾーンのベルト中央部の真空度が任意に制御できる方法であれば特に限定はない。図3(a)に示すように、ケーキ形成ゾーンベルト中央部真空トレイ4A、ケーキ洗浄ゾーンベルト中央部真空トレイ4B、ケーキ脱液ゾーンベルト中央部真空トレイ4Cの各ゾーンごとに真空ポンプ9を設け、それぞれの真空ポンプで各ゾーンのベルト中央部の真空度を制御する方法でも構わないし、図3(b)に示すように、真空ポンプ9を1台とし、真空吸引配管をパラレル接合して、リークバルブ等の真空度制御機器11で各ゾーンのベルト中央部の真空度を調整制御する方法でも構わない。
【0081】
更に、本発明のトナーの製造方法においては、洗浄性及び脱水性の悪化を引起す原因となるクラックを防止するために、該ケーキ洗浄ゾーンにおける洗浄方法は、ベルト上部から洗浄水を散布する方式の可動式或いは固定式、且つ、単独式或いは多段式の洗浄ノズルにおいて行われることが好ましいことが分かった。
【0082】
また、該洗浄ノズルに供給する洗浄水圧力は、0.1MPa以上1.0MPa以下であることが好ましく、更には、0.2MPa以上0.8MPa以下であることが好ましい。
【0083】
本発明者等が検討した結果、該洗浄ノズルに供給する洗浄水圧力が、0.1MPa未満の場合、低圧過ぎるため発生したクラックを消滅させることが難しいことから好ましくない。逆に1.0MPa超の場合、高圧過ぎるためかえってクラック発生を助長させることから好ましくない。
【0084】
即ち、洗浄ゾーンにおける洗浄方式を、ベルト上部から洗浄水を散布する方式の可動式或いは固定式、且つ、単独式或いは多段式の洗浄ノズルにおいて行い、且つ、洗浄ノズルに供給する洗浄水圧力を制御することにより、スラリー供給量の振れ或いはスラリー濃度の振れ等によるケーキ厚の変動でクラックが発生しても、洗浄ノズルから散布する洗浄水圧で、クラックを消滅させることが出来る。
【0085】
尚、洗浄ノズルの仕様においては、クラックを消滅させることができるタイプのものなら特に限定はない。
【0086】
更に、本発明のトナーの製造方法においては、該ケーキ形成ゾーンに供給されるスラリー温度は、20℃以上、且つ、着色重合体粒子のガラス転移点Tg−10℃以下の温度であることが好ましい。
【0087】
即ち、本発明者等が検討した結果、スラリー温度を加温(好ましくは20℃以上、更に好ましくは30℃以上)とすることにより、常温のスラリーに比べ、脱水性が向上する(その理由については、加温することにより液粘度が低下するためと考えている)。但し、スラリー温度を着色重合体粒子のガラス転移点Tg−10℃以上まで加熱すると、着色重合体粒子が凝集してしまい、固液分離装置への供給が連続的にできなくなってしまう。また、脱水後、解砕し、乾操して得られた着色重合体粒子表面は凹凸になり、重合粒子特有の球形度を損なってしまう。
【0088】
従って、真空式ベルトフィルターにおけるスラリー温度は、20℃以上(更に好ましくは30℃以上)、且つ、着色重合体粒子のガラス転移点Tg−10℃以下の温度であることが好ましい。
【0089】
更に、本発明のトナーの製造方法においては、該ケーキ洗浄ゾーンに供給される洗浄水温度が、20℃以上65℃以下の温度であることが好ましい。
【0090】
即ち、本発明者等が検討した結果、該洗浄ゾーンに供給される洗浄水温度を加温(好ましくは20℃以上、更に好ましくは30℃以上)とすることにより、常温の洗浄水に比べ、脱水性が向上する(その理由については、加温することにより液粘度が低下するためと考えている)。但し、洗浄水温度が65℃以上の高い場合には、着色重合体粒子ケーキがブロッキングしてしまい、脱水後、解砕し、乾燥して得られた着色重合体粒子表面は凹凸になり、重合粒子特有の球形度を損なってしまう。
【0091】
従って、真空式ベルトフィルターにおける、該ケーキ洗浄ゾーンに供給される洗浄水温度は、20℃以上65℃以下が好ましく、更には30℃以上55℃以下の温度であることが好ましい。
【0092】
本発明のトナーの重量平均径としては、3乃至15μmであることが好ましく、更には5乃至8μmであることが好ましい。トナーの重量平均径を3乃至15μm(更には5乃至8μm)とすることにより、画像評価に優れたトナーを得ることができる。
【0093】
また、本発明者等が検討した結果、該ベルトフィルターに使用される濾布の材質は公知のものが使用でき、特に限定はないが、濾布の通気度は1.5cc/sec/cm2未満であることが好ましく、更には0.3以上1.0cc/sec/cm2以下であることが好ましい。通気度が1.5cc/sec/cm2以上の場合、濾液側への固形物のリークが多くなり好ましくない。逆に0.3cc/sec/cm2以下では濾過時間が掛かりすぎで好ましくない。
【0094】
また、濾布の厚さは真空トレイとの密着性を高めるために薄い方が好ましい。具体的には2.0mm以下が好ましく、更には1.0mm以下が好ましい。濾布の厚さが2.1mm以上ある場合、真空トレイとの密着性が悪くなることで、濾布と真空トレイの間からリークを起こすことがあり好ましくない。
【0095】
該ベルトフィルターより排出されたケーキは、流動層乾燥機、気流乾燥機、真空乾燥機などの乾燥機で乾燥される。
【0096】
本発明のトナーには、各種トナー性能付与のために、外添剤を添加しても良い。使用される外添剤としては、例えば、金属酸化物(酸化アルミニウム,酸化チタン,チタン酸ストロンチウム,酸化セリウム,酸化マグネシウム,酸化クロム,酸化錫,酸化亜鉛,など)・窒化物(窒化ケイ素など)・炭化物(炭化ケイ素など)・金属塩(硫酸カルシウム,硫酸バリウム,炭酸カルシウムなど)・脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウムなど)・カーボンブラック・シリカなどが用いられる。
【0097】
これら外添剤は、トナー粒子100質量部に対し、0.01〜10質量部が用いられ、好ましくは0.05〜5質量部が用いられる。これら外添剤は、単独で用いても、また、複数併用しても良い。それぞれ、疎水化処理を行ったものが、より好ましい。
【0098】
【実施例】
以上、本発明の基本的な構成と特色について述べたが、以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。しかしながら、もちろん、これによって本発明が何ら限定されるものではない。
【0099】
[実施例1]
イオン交換水700質量部に、0.1M−Na3PO4水溶液450質量部を投入し、60℃に加温した後、クレアミックスCLS−30S(エム、テクニック社製)を用いて、4500rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2水溶液68質量部を徐々に添加し、リン酸カルシウム塩を含む水系媒体を得た。
【0100】
一方、
Figure 0003970038
上記処方を60℃に加温し、均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0101】
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下において、クレアミックスにて4500rpmで15分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。
【0102】
その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、70℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、80℃/減圧下で残存モノマーを留去し、スラリー温度を30℃まで冷却した後、塩酸を加えリン酸カルシウム塩を溶解させ、図5に示すドレンネジベルト方式のベルトフィルター(住友重機械工業社製イーグルフィルターを以下の通り改造した改造機)を用いて、表1に示した条件にて脱水・洗浄して、重合トナー粒子のウエットケーキを得た。
【0103】
図5に示すドレンネジベルト方式のベルトフィルターは、複数のロール1間に張架され、矢印Aの方向に連続駆動される無端状のドレンネジベルト2上に濾布3が配置され、ドレンネジベルト2の下方には、複数に分割された固定式の真空トレイが設置された構造を有している。本実施例においては、ベルト中央部の真空トレイを3台(4A,4B,4C)設置し、且つ、図示しないベルト端部立ち上がり部の真空トレイを3台設置し、且つ、それぞれ各ゾーンの真空吸引が可能なよう図示しない真空ポンプを別個に設置した。分散安定剤を溶解せしめたスラリーは、濾過面の上部より送液口5を介して濾布3上に供給され、真空作用により濾過、脱水される。濾液は、真空トレイに集められ、図示しない濾液管より図示しない真空タンクへ送られる。濾過されたケーキ6と濾布3は、ドレンネジベルト2と共に走行し、その間に上部より1基乃至複数基のケーキ洗浄装置7より洗浄液が散布され、ケーキ6中の溶解性物質が濾液と共に排出されるようになっている。脱水ケーキ6は、加圧装置8により加圧脱水された後ロール1によってもたらされる曲率もしくは図示しないディスチャージロールにより、濾布3より剥離される。
【0104】
[含水率の評価]
含水率は、含水粒子5gをアルミ皿に採取し、それを精秤(A[g])し、105℃に設定した乾燥機に1時間放置し、冷却後精秤(B[g])し、以下の式で計算した。
含水率=((A−B)/A)×100[%]
【0105】
この含水率の値が35%以下の場合は、実質的な問題はないが、35%を超えると分散安定剤の残存量が大きくなりトナー帯電性能が低下する。本実施例のウエットケーキの含水率は問題ないレベルであった。
含水率
○ :25%未満
○△:25以上30%未満
△ :30以上35%未満
× :35%以上
【0106】
[洗浄状態の評価]
洗浄状態は残存する分散安定剤量によって評価した。残存分散安定剤量については、蛍光X線分析装置(RIX3000)を用い定量分析した。この残存分散安定剤量の値が200ppm以下の場合は、実質的な問題はないが、200ppmを超えるとトナー帯電性が低下する。本実施例の残存分散安定剤量は、問題ないレベルであった。
残存分散安定剤量
○ :100ppm未満
○△:100以上130ppm未満
△ :130以上160ppm未満
△×:160以上200ppm未満
× :200ppm以上
【0107】
上記で得られたトナー粒子を乾燥し、その後、該着色粒子100質量部に対して、BET法による比表面積が200m2/gである疎水性シリカを1.0質量部添加し、混合機にて混合しトナーを得た。
【0108】
尚、本実施例において、得られたトナーの重量平均粒径は、6.8μmであった。
【0109】
尚、トナー平径及び粒度分布は即ち測定装置としては、コールターカウンタTA−IIあるいはコールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いた。電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて、約1%NaCl水溶液を調製した。測定方法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナーの体積、個数を測定して体積分布と個数分布を算出した。それから本発明に係る体積分布から求めた重量基準の重量平均粒径(D4)(各チャンネルの代表値をチャンネル毎の代表値とする)を求めた。
【0110】
[画像性能の評価]
画像性能は温度30℃,湿度80%の環境下で連続3000枚の耐久テストを行い、カブリを測定して評価した。耐久テストはキヤノン社製LBP−2030改造機を用いて行った。紙上のカブリについては、反射式濃度計(TOKYO DENSHOKU CO.,LTD社製 REFLECTOMETER ODEL TC−6DS)を用いて測定した。即ち、反射濃度計で測定したプリント後の白地部の反射濃度最悪値をDsとし、プリント前の用紙について反射濃度計で測定した反射濃度平均値をDrとした時に、これらの値の差(Ds−Dr)を求め、これを紙上カブリとした。この紙上カブリ量が2%以下の場合は、実質的に紙上カブリのない良好な画像となるが、2%を超えると紙上カブリが目立つ不鮮明な画像となる。本実施例では、3000枚耐久後の画像について評価したが、問題のないカブリのレベルであった。
【0111】
ベタ白反射濃度最悪値Ds−未使用紙反射濃度平均値Dr=紙上カブリ%
○ :カブリ0.5%未満
○△:カブリ0.5以上1.0%未満
△ :カブリ1.0以上1.5%未満
△×:カブリ1.5以上2.0%未満
× :カブリ2.0%以上
【0112】
結果を表2に示す。
【0113】
[比較例1]
実施例1の処方を使用し、脱水・洗浄装置をドレンネジベルト方式のベルトフィルター(住友重機械工業社製イーグルフィルター)を用いて、表1に示した条件にて脱水・洗浄して、重合トナー粒子のウエットケーキを得た。尚、本比較例においては、真空吸引はベルト中央部のみとし、ベルト端部立ち上がり部は真空吸引しなかった。また、洗浄方式をオーバーフロー型とした。
【0114】
上記により得られたウエットケーキを、実施例1と同様にして、含水率について評価した。その結果、含水率は実施例1に比べ、劣る結果となった。
【0115】
更に、上記で得られたウエットケーキを乾燥してトナー粒子とし、実施例1と同様にして、洗浄状態について評価した。その結果、残存分散安定剤量は実施例1に比べ、劣る結果となった。
【0116】
更に、上記で得られたトナーを実施例1と同様に外添して、画出し試験を行い、カブリについて確認した。その結果、1000枚を超えたところからカブリが2%を頻繁に上回るようになり実用に供せないレベルの画像であった。
【0117】
結果を表2に示す。
【0118】
【表1】
Figure 0003970038
【0119】
【表2】
Figure 0003970038
【0120】
[実施例2]
実施例1の処方を使用し、脱水・洗浄装置を図6に示す真空トレイ往復動型のベルトフィルター(以下の通り改造した改造機)を用いて、表3に示す条件にて脱水・洗浄し、重合トナー粒子のウエットケーキを得た。
【0121】
図6に示す真空トレイ往復動型のベルトフィルターは、複数のロール1間に張架され、矢印Aの方向に連続駆動される無端状の濾布3の下方に、複数に分割された真空トレイが設置され、真空トレイは矢印B方向に往復動する構造を有している。本実施例においては、ベルト中央部の真空トレイを3台(4A,4B,4C)設置し、且つ、図示しないベルト端部立ち上がり部の真空トレイを3台設置し、且つ、それぞれ各ゾーンの真空吸引が可能なよう図示しない真空ポンプを別個に設置した。分散安定剤を溶解せしめたスラリーは、濾過面の上部より送液口5を介して濾布3上に供給され、間欠的な真空作用により濾過、脱水される。濾液は、真空トレイに集められ、図示しない濾液管より図示しない真空タンクへ送られる。濾過されたケーキ6は、濾布3と共に走行し、その間に上部より1基乃至複数基のケーキ洗浄装置7より洗浄液が散布され、ケーキ6中の溶解性物質が濾液と共に排出されるようになっている。脱水ケーキ6は、ロール1によってもたらされる曲率もしくは図示しないディスチャージロールにより、濾布3より剥離される。
【0122】
上記により得られたウエットケーキの含水率は問題ないレベルであった。その後、乾燥して着色樹脂粒子を得た。
【0123】
更に、上記で得られたトナーを、実施例1と同様にして、洗浄状態について評価した。その結果、残存分散安定剤量は問題ないレベルであった。
【0124】
更に、上記で得られたトナーを用いて実施例1と同様に外添して、画出し試験を行い、カブリについて確認したところ、3000枚に渡りカブリが2%を超えることなく高品質の画像を安定して得ることができた。
【0125】
尚、本実施例において、得られたトナーの重量平均粒径は、6.7μmであった。
【0126】
結果を表4に示す。
【0127】
[実施例3]
実施例1の処方を使用し、脱水・洗浄装置を図7に示す濾布間欠運動型のベルトフィルター(以下の通り改造した改造機)を用いて、表3に示す条件にて脱水・洗浄し、重合トナー粒子のウエットケーキを得た。
【0128】
図7に示す濾布間欠運動型のベルトフィルターは、複数のロール1間に張架され、矢印Aの方向に間欠駆動される無端状の濾布3の下方に、複数に分割された固定式の真空トレイが設置された構造を有している。本実施例においては、ベルト中央部の真空トレイを3台(4A,4B,4C)設置し、且つ、図示しないベルト端部立ち上がり部の真空トレイを3台設置し、且つ、それぞれ各ゾーンの真空吸引が可能なよう図示しない真空ポンプを別個に設置した。分散安定剤を溶解せしめたスラリーは、濾過面の上部より送液口5を介して濾布3上に供給され、間欠的な真空作用により濾過、脱水される。濾液は、真空トレイに集められ、図示しない濾液管より図示しない真空タンクへ送られる。濾過されたケーキ6は、濾布3と共に走行し、その間に上部より1基乃至複数基のケーキ洗浄装置7より洗浄液が散布され、ケーキ6中の溶解性物質が濾液と共に排出されるようになっている。脱水ケーキ6は、ロール1によってもたらされる曲率もしくは図示しないディスチャージロールにより、濾布3より剥離、排出される。
【0129】
上記により得られたウエットケーキの含水率は問題ないレベルであった。その後、乾燥して着色樹脂粒子を得た。
【0130】
更に、上記で得られたトナーを、実施例1と同様にして、洗浄状態について評価した。その結果、残存分散安定剤量は問題ないレベルであった。
【0131】
更に、上記で得られたトナーを用いて実施例1と同様に外添して、画出し試験を行い、カブリについて確認したところ、3000枚に渡りカブリが2%を超えることなく高品質の画像を安定して得ることができた。
【0132】
尚、本実施例において、得られたトナーの重量平均粒径は、6.9μmであった。
【0133】
結果を表4に示す。
【0134】
[実施例4]
イオン交換水700質量部に、0.1M−Na3PO4水溶液450質量部を投入し、60℃に加温した後、クレアミックスCLS−30S(エム、テクニック社製)を用いて、4500rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2水溶液68質量部を徐々に添加し、リン酸カルシウム塩を含む水系媒体を得た。
【0135】
一方、
Figure 0003970038
上記処方を60℃に加温し、均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサネート8質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0136】
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下において、クレアミックスにて4500rpmで15分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。
【0137】
その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、70℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、重合開始剤の残さ物を溶解する目的で炭酸ナトリウムを添加し、80℃/減圧下で残存モノマーを留去し、スラリー温度を30℃まで冷却した。その後、図7に示す如き濾布間欠運動型のベルトフィルター(表3に示す通り改造した改造機)(月島機械社製、シンクロフィルタ)を用いて下記の条件にて脱水・洗浄して、重合トナー粒子のウエットケーキを得た。更に得られたウエットケーキをリスラリーし、塩酸を加えリン酸カルシウム塩を溶解させ、再度図7に示す如き濾布間欠運動型のベルトフィルター(表3に示す通り改造した改造機)を用いて表3に示す条件にて脱水・洗浄して、重合トナー粒子のウエットケーキを得た。
【0138】
上記の塩酸を加えリン酸カルシウム塩を溶解させ、図7に示す濾布間欠運動型のベルトフィルター(表3に示す通り改造した改造機)を用いて脱水・洗浄したことにより得られたウエットケーキの含水率は問題ないレベルであった。その後、乾燥してトナー粒子を得た。
【0139】
更に、上記で得られたトナーを、実施例1と同様にして、洗浄状態について評価した。その結果、残存分散安定剤量は問題ないレベルであった。
【0140】
更に、上記で得られたトナーを用いて実施例1と同様に外添して、画出し試験を行い、カブリについて確認したところ、3000枚に渡りカブリが2%を超えることなく高品質の画像を安定して得ることができた。
【0141】
尚、本実施例において、得られたトナーの重量平均粒径は、6.5μmであった。
【0142】
結果を表4に示す。
【0143】
[比較例2]
実施例1の処方を使用し、脱水・洗浄装置を真空トレイ往復動型のベルトフィルターを用いて、表3に示した条件にて脱水・洗浄し、重合トナー粒子のウエットケーキを得た。尚、本比較例においては、真空吸引はベルト中央部のみとし、ベルト端部立ち上がり部は真空吸引しなかった。また、洗浄方式をオーバーフロー型とした。
【0144】
上記により得られたウエットケーキを、実施例1と同様にして、含水率について評価した。その結果、含水率は実施例1に比べ、劣る結果となった。
【0145】
更に、上記で得られたウエットケーキを乾燥してトナー粒子とし、実施例1と同様にして、洗浄状態について評価した。その結果、残存分散安定剤量は実施例1に比べ、劣る結果となった。
【0146】
更に、上記で得られたトナーを実施例1と同様に外添して、画出し試験を行い、カブリについて確認した。その結果、1000枚を超えたところからカブリが2%を頻繁に上回るようになり実用に供せないレベルの画像であった。
【0147】
結果を表4に示す。
【0148】
[比較例3]
実施例1の処方を使用し、脱水・洗浄装置を濾布間欠運動型のベルトフィルターを用いて、表3に示す条件にて脱水・洗浄し、重合トナー粒子のウエットケーキを得た。尚、本比較例においては、真空吸引はベルト中央部のみとし、ベルト端部立ち上がり部は真空吸引しなかった。また、洗浄方式をオーバーフロー型とした。
【0149】
上記により得られたウエットケーキを、実施例1と同様にして、含水率について評価した。その結果、含水率は実施例1に比べ、劣る結果となった。
【0150】
更に、上記で得られたウエットケーキを乾燥してトナー粒子とし、実施例1と同様にして、洗浄状態について評価した。その結果、残存分散安定剤量は実施例1に比べ、劣る結果となった。
【0151】
更に、上記で得られたトナーを実施例1と同様に外添して、画出し試験を行い、カブリについて確認した。その結果、1000枚を超えたところからカブリが2%を頻繁に上回るようになり実用に供せないレベルの画像であった。
【0152】
結果を表4に示す。
【0153】
[比較例4]
実施例4の処方を使用し、濾布間欠運動型のベルトフィルターを用いて、表3に示す条件にて脱水・洗浄して、重合トナー粒子のウエットケーキを得た。更に得られたウエットケーキをリスラリーし、塩酸を加えリン酸カルシウム塩を溶解させ、再度図7に示す濾布間欠運動型のベルトフィルターを用いて表3に示す条件にて脱水・洗浄して、重合トナー粒子のウエットケーキを得た。尚、本比較例においては、真空吸引はベルト中央部のみとし、ベルト端部立ち上がり部は真空吸引しなかった。また、洗浄方式をオーバーフロー型とした。
【0154】
上記により得られたウエットケーキを、実施例1と同様にして、含水率について評価した。その結果、含水率は実施例1に比べ、劣る結果となった。
【0155】
更に、上記で得られたウエットケーキを乾燥してトナー粒子とし、実施例1と同様にして、洗浄状態について評価した。その結果、残存分散安定剤量は実施例1に比べ、劣る結果となった。
【0156】
更に、上記で得られたトナーを実施例1と同様に外添して、画出し試験を行い、カブリについて確認した。その結果、1000枚を超えたところからカブリが2%を頻繁に上回るようになり実用に供せないレベルの画像であった。
【0157】
結果を表4に示す。
【0158】
【表3】
Figure 0003970038
【0159】
【表4】
Figure 0003970038
【0160】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、効率良く各トナー粒子の表面を均一に洗浄でき、得られたトナーによって画像を形成した場合において、カブリの発生等を生じない、優れた画像特性を有するトナーが得られる重合法トナーの製造法方が提供される。
【0161】
更に本発明によれば、高温多湿の環境下においても安定して高品質画像を得ることができ、耐久性のあるトナーが得られる重合法トナーの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いたベルトフィルターの概略的断面図である。
【図2】本発明に用いたベルトフィルターの概略的構成図である。
【図3】本発明に用いたベルトフィルターの概略的構成図である。
【図4】検討用ベルトフィルターの概略的断面図である。
【図5】本発明に用いたベルトフィルターの概略的断面図である。
【図6】本発明に用いたベルトフィルターの概略的断面図である。
【図7】本発明に用いたベルトフィルターの概略的断面図である。
【図8】従来のベルトフィルターの真空トレイの概略的断面図である。
【図9】従来のベルトフィルターの真空トレイの概略的構成図である。
【符号の説明】
I ベルト中央部
II ベルト端面立ち上がり部
III ベルト中央部とベルト端面立ち上がりの交点部分
1 ロール
2 ドレンネジベルト
3 濾布
4 ベルト中央部真空トレイ
4A ケーキ形成ゾーンベルト中央部真空トレイ
4B ケーキ洗浄ゾーンベルト中央部真空トレイ
4C ケーキ脱水ゾーンベルト中央部真空トレイ
5 送液口
6 ケーキ
7 ケーキ洗浄装置
8 加圧装置
9 真空ポンプ
10 ベルト端部立ち上がり部真空トレイ
10A ケーキ形成ゾーンベルト端部立ち上がり部真空トレイ
10B ケーキ洗浄ゾーンベルト端部立ち上がり真空トレイ
10C ケーキ脱水ゾーンベルト端部立ち上がり真空トレイ
11 真空度調節機器
12 ベルト中央部及びベルト端部立ち上がり部一体式真空トレイ

Claims (10)

  1. 水系媒体中で合成されるトナーを、濾過手段により洗浄し、脱水し、得られた湿潤状態の着色重合体粒子を乾燥手段により乾燥してトナーを製造するトナーの製造方法において、
    該濾過手段は真空式のベルトフィルターであり、
    該ベルトフィルターにおける真空吸引を、ベルト中央部及びベルト端部立ち上がり部において、別々に行うことを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 該ベルトフィルターは少なくともケーキ形成ゾーン、ケーキ洗浄ゾーン、ケーキ脱水ゾーンが配列されるよう構成されており、該ケーキ形成ゾーン及び該ケーキ洗浄ゾーンにおけるベルト端部立ち上がり部の真空度が、該ケーキ脱水ゾーンにおけるベルト端部立ち上がり部の真空度より、低真空であることを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
  3. 該ケーキ形成ゾーン及び該ケーキ洗浄ゾーンのベルト端部立ち上がり部における真空度が、大気圧に対して、0〜−15kPaであり、且つ、該ケーキ脱水ゾーンのベルト端部立ち上がり部における真空度が、−40〜−80kPaであることを特徴とする請求項2に記載のトナーの製造方法。
  4. 該ベルトフィルターは少なくともケーキ形成ゾーン、ケーキ洗浄ゾーン、ケーキ脱水ゾーンが配列されるよう構成されており、該ケーキ形成ゾーンにおけるベルト中央部の真空度が、該ケーキ洗浄及び該ケーキ脱水ゾーンにおけるベルト中央部の真空度より、低真空であることを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
  5. 該ケーキ形成ゾーンのベルト中央部における真空度が、大気圧に対して、−10〜−80kPaであり、且つ、該ケーキ洗浄及び該ケーキ脱水ゾーンのベルト中央部における真空度が、−40〜−80kPaであることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
  6. 該ケーキ洗浄ゾーンにおける洗浄は、ベルト上部から洗浄水を散布する方式の可動式或いは固定式、且つ、単独式或いは多段式の洗浄ノズルにおいて行われることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  7. 該洗浄ノズルに供給する洗浄水圧力が、0.1MPa以上1.0MPa以下であることを特徴とする請求項に記載のトナーの製造方法。
  8. 該ケーキ形成ゾーンに供給されるスラリー温度が、20℃以上、且つ、着色重合体粒子のガラス転移点Tg−10℃以下の温度であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  9. 該ケーキ洗浄ゾーンに供給される洗浄水温度が、20℃以上65℃以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  10. 得られるトナーの重量平均径が、3乃至15μmであることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のトナーの製造方法。
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