JP4898334B2 - トナー粒子の製造方法 - Google Patents

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本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法、トナージェット法の如き画像形成方法における静電荷潜像を顕像化するためのトナーを構成するトナー粒子の製造方法に関する。
従来、電子写真法は、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像してトナー画像を形成し、必要に応じて紙の如き転写材にトナー画像を転写した後、加熱、圧力、加熱圧力或いは溶剤蒸気により定着し、定着画像を得るものである。
近年トナーは、粉砕トナーと湿式で造粒するトナーとに大別されている。粉砕トナーは熱可塑性樹脂中に着色剤を溶融混合し、均一に分散した後、溶融混練物を冷却固化させ、混練物を微粉砕装置により微粉砕し、微粉砕物を分級機により分級して所望の粒径のトナー粒子を得ることにより製造されている。
一方、湿式で造粒されるトナーは、小粒径化や、粒度分布のシャープ化が可能であり、さらに離型剤を多量導入するのに有利なために注目されている。湿式で造粒する具体的なトナー製造方法としては、懸濁重合法、乳化重合法、さらには別途重縮合したポリエステル等を用いる溶解懸濁法等、その他各種重合法トナーの製造方法が提案されている。
例えば懸濁重合法・溶解懸濁法では液状分散媒体中で所望の粒径を有するトナー粒子を形成してトナー粒子分散液を得る。その後、濾過装置のような固液分離装置に代表される分離手段を用いてトナー粒子分散液からトナー粒子を分離し、洗浄して不純物を除去する。得られた湿潤トナー粒子ケーキは、乾燥させ、そして必要に応じて分級を行い、その後、必要に応じて添加剤を加えることによりトナーを製造している(例えば、特許文献1参照)。
また、乳化重合法では、まず重合性単量体、重合開始剤、界面活性剤、さらに必要に応じて架橋剤、連鎖移動剤、その他添加剤を含んだ単量体組成物を水系媒体中に適当な撹拌機を用いて分散し、重合反応を行わせ、所望の粒径を有する乳化樹脂粒子を得る。その後、着色剤を界面活性剤含有の水系媒体中に均一に微分散させ、前記の乳化樹脂粒子と会合(凝集及び融着)させて所望の粒径を有するトナー粒子分散液を得る。その後は、懸濁重合法、溶解懸濁法と同様にして濾過・洗浄・乾燥・分級を経てトナーを製造する(例えば、特許文献2参照)。
この様な湿式で造粒されるトナー粒子は、液状分散媒体中で生成するため、その表面が液状分散媒体中に分散または溶解している各種成分によって影響を受け易い。例えば懸濁重合法では液状分散媒体として、一般に、各種の分散安定剤を含有する水系媒体が用いられているが、生成するトナー粒子の表面には、この分散安定剤が付着する。
また、懸濁重合法で生成するトナーでは、帯電性を向上させるために、一般に、正帯電性または負帯電性の帯電制御剤を重合性単量体組成物中に含有させて重合している。しかしながら、極性が高い帯電制御剤は、その一部が水系分散媒体中に溶解し、生成するトナー粒子の表面に付着する。重合後の濾過・洗浄工程において、このトナー粒子表面に付着した各種成分が十分かつ均一に洗浄、除去されていないと、トナーの帯電量分布がブロードとなり、特に高温高湿条件下では、画像濃度が低下したり、カブリが発生し易くなったりする。
更に乳化凝集法でトナー粒子を生成する場合、乳化剤として界面活性剤を多く使用する必要がある。生成するトナー粒子表面にこの界面活性剤が多く残存すると、上記した画像濃度の低下、カブリの発生が懸濁重合法によるトナーよりも顕著に発生する傾向がある。
そのため、湿式で造粒するトナー粒子の製造方法(以下、しばしば「湿式造粒法」という。)において、生成したトナー粒子を洗浄するための様々な方法が提案されている。
例えば、濾過洗浄機として濾布と真空トレイが密着したベルトフィルターを用いて、トナー粒子分散液からトナー粒子を分離し、洗浄する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。この方法によれば、トナー粒子分散液からトナー粒子を効率良く分離、洗浄して、優れた画像特性を有するトナーが得られる。
この方法は優れた分離・洗浄方法ではある。しかし、近年、ユーザーによるニーズの多様化により、電子写真画像は写真画像の如き高精細な画像が求められており、このような状況下では未だ改善の余地があった。
電子写真画像において高精細な画像を得るための有効な手段の1つとして現像剤であるトナー粒子の小粒径化がある。粉砕法でこの小粒径化を行うと多大な粉砕エネルギーが必要なため好ましくない。一方、湿式造粒法においてはトナー粒子の小粒径化は容易である。しかし、小粒径化した場合には、トナー粒子分散液からトナー粒子を分離する際、水切れ性が悪く、得られた湿潤トナー粒子ケーキの含水率が高くなる傾向にある。これは湿潤トナー粒子で形成するケーキの単位容積あたりの粒子表面積が増加するためと考えられる。この水切れ性の悪化は、前記したトナー粒子表面に付着した各種成分の洗浄不足につながる。
この水切れ性の悪化を回避するための方法として、ダイラタンシー効果を利用した濾過・洗浄方法が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。この方法では衝撃・振動によりダイラタンシー効果が得られてケーキが液状化することによって含水率の低下が得られると記載されている。しかしながら本出願人の検討ではこの方法では充分な含水率の低下を得ることができなかった。
また、重合反応終了後のスラリーは、攪拌等により多量の泡が発生してしまいやすく、粒子を濾過・洗浄する前に粒子含有スラリーの泡を減らしておくことが検討されている。濾過工程に泡を含有するスラリーを供給した場合、不均一なケーキが形成され、脱水不良・洗浄不良を起こしてしまうという問題が生じてしまう。また、連続式のベルトフィルター、サイホンピラー型セントリフュージ、デカンタ型遠心分離機等を用いた場合は、ケーキが形成される速度・洗浄水を脱液する速度が著しく低下することも問題となっていた。
この泡の発生を抑制する手段として、攪拌条件をコントロールすることが提案されている(例えば、特許文献5参照)。この方法は、気体の液中への巻き込みを軽減する観点から抑泡に効果がある。しかしながら、例えば、スラリーに酸及びアルカリを添加した場合、液相に溶解する物質と添加する酸及びアルカリが反応し、ガスを発生することがある。このような化学的な反応によりスラリー内部より発生した泡は、単に攪拌条件をコントロールするだけでは抑制が困難であった。
したがって、製造プロセス条件による発泡、化学的反応による発泡を始めとして、その他あらゆる状況により生じる泡に対して抑泡・脱泡可能であり、泡が殆どないスラリーを濾過・洗浄工程に供給できる製造方法が要求されていた。
また、脱泡を目的とするものではないが、形状制御や脱溶剤のために脱泡機を用いた提案もある(例えば、特許文献6参照)。
特開昭51−14895号公報 特開平5−265252号公報 特開2002−365839号公報 特開2004−302099号公報 特開2002−214836号公報 特開2005−10723号公報
本発明は、上述の如き問題を解決したトナー粒子の製造方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明は、湿式で造粒されるトナー粒子の製造方法において、トナー粒子分散液からトナー粒子を効率良く分離・洗浄して得られた湿潤トナー粒子ケーキの含水率を低下させ得るトナー粒子の製造方法を提供することを目的とする。
更に、本発明は、トナー粒子分散液からトナー粒子を効率良く分離・洗浄して優れた画像特性を有するトナー粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意検討の結果、ベルトフィルター上に形成されたトナー粒子から成るケーキに対して良好なケーキ形成を維持しながら適当な圧縮気体を通気させることにより、得られる湿潤トナー粒子ケーキの含水率が低下することを見出し、本発明を完成させた。
更には、湿潤トナー粒子ケーキの含水率を低下させることにより、トナー粒子表面に付着した各種成分の均一な洗浄が可能となり、得られたトナーは優れた画像特性を有する画像を形成することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、液状分散媒体中でのトナー粒子の製造方法であって、トナー粒子を含有するスラリーに対して圧搾しながら通気する圧搾通気手段を具備したベルトフィルターを用いて固液分離して、湿潤トナー粒子ケーキを形成する濾過工程を少なくとも有し、該圧搾通気手段は、少なくとも通気を行う穿孔を有する穿孔部と、該穿孔部を取り囲み、通気時には前記ベルトフィルターの濾布に接するように設けられた弾性を有する弾力部を具備し、該穿孔部から圧縮空気を通気し、該圧縮空気の圧力P1(kPa)が、10≦P1≦900 であることを特徴とするトナー粒子の製造方法である。
以下、本発明について説明する。
図1、図2及び図3は、本発明に用いることのできるベルトフィルターの好適な例である。但し、本発明はこれらに限定されない。
図1、図2において、1はロール、2は濾布、3は送液口、4は真空トレイ、5はケーキ、6は濾布洗浄装置、7はケーキ洗浄装置、8は圧搾通気機構である。
また、図2は図1内のA−A’断面図であり、圧搾通気機構8の好ましい例としての概略図である。図2において、9は接離機構、10は圧縮気体導入口、11はケーシング、15は圧搾通気手段である。
また、図3は、図2内のB−B’断面図であり、圧搾通気手段15のケーキ5と接する部分の局部拡大図である。図3において12は弾力部材、13は穿孔部材、14は圧縮気体出口である。
以下、図1、図2及び図3を用いて本発明のトナー粒子の製造方法の好ましい一態様について説明する。
図1に示すベルトフィルターは、濾布2がロール1の間に張架され、ロール1の回転により矢印Cの方向に連続又は間欠駆動される。濾布2の駆動上側の下方には、1体もしくは複数に分割された固定式の真空トレイ4が設置されている。この真空トレイ4は真空ポンプ(図示しない)により減圧される構造を有している。
種々の湿式造粒法により得られたトナー粒子分散液中のトナー粒子表面には、各種の分散安定剤が存在する。この分散安定剤を溶解、又は除去するため、それぞれの湿式造粒方法に適した前処理を行う。この前処理を行った後、トナー粒子分散液は、送液口を介して濾布2上に供給され、減圧の影響を受けて濾過、予備脱水される(ケーキ形成工程)。
また、懸濁重合法による湿式造粒法の場合、トナー粒子表面に存在する分散剤を溶解させるために酸処理を行うが、この際、発泡が生じやすい。この発泡現象はケーキ形成工程での濾過・脱水効果に悪影響を及ぼし、効率を低下させる恐れがある。よって酸処理を行う際には、発泡を抑制する機器や方法を選択したり、脱泡処理を行ったりすることが好ましい。脱泡処理に関しては、後述する。
一方、ケーキ作成工程等の各工程で濾別された濾液は、真空トレイ4に集められ、図示しない濾液管により図示しない真空タンクヘ送られる。この時、減圧作用を有効に働かせるためには、濾布2は間欠駆動させることが好ましく、減圧状態では、濾布2と真空トレイ4が密着しており摺擦しないことが好ましい。濾布を連続駆動させると濾布2と真空トレイ4との密着性に不具合が生じ易く、高真空度を得るのが難しく、高真空度が得られないと濾過、予備脱水効果が不十分となり、液状分散媒体からトナー粒子を効果的に固液分離することが困難となる。
次に濾過、予備脱水されたケーキ5(すなわち脱液された洗浄前トナー粒子ケーキ)と濾布2は、ロール1の回転により矢印Cの方向に送られて、上部に1基乃至複数基のケーキ洗浄装置7を有する洗浄工程に送られる。ケーキ洗浄装置7からは、必要に応じて1種又は複数種の洗浄液が散布され、それによってケーキ5中の溶解物質又は分散物質が洗浄・除去される。そして真空トレイ4に集められた濾液と共にこれらの物質は排出される。この時も上記したように高真空度を得るために、濾布2と真空トレイ4が密着しており摺擦しないことが好ましい。
次に洗浄されたケーキ5(すなわち洗浄水含有トナー粒子ケーキ)と濾布2は、ロール1の回転により矢印Cの方向に送られて、脱水工程に送られる。脱水工程は図1に示すように複数のスパン(図1では脱水工程が2スパンの場合を示す)に分かれていることが好ましく、矢印C方向に対して下流側のスパンに圧搾通気手段を有する圧搾通気機構8が少なくとも1スパン設置されていることが好ましい。図示するように最下流側に圧搾通気機構8を設けることにより前スパンで絞りきれなかった水分を最終スパンでさらに絞ることができ、脱水作用が有効に働く。
該圧搾通気機構8は接離機構9を有しており、穿孔を有する穿孔部13、該穿孔部を取り囲むようにして設けられ、弾性を有する弾力部12を有する圧搾通気手段15がケーキ5に対して接離可能な構造となっている。穿孔部13は、図3に示すように、例えば適当な鉄板にパンチングにより貫通した孔(圧縮気体出口14)を複数持つ構成となっている。
接離機構9が働き、穿孔部13がケーキ5に接し、圧搾が行われる。更に、接触状態で、圧縮気体出口14から圧縮気体が吹き出させて、圧縮気体をケーキ5中に通気させる。この際、弾力部12もケーキに接しさせ、圧縮気体がケーキに集中して作用するようにする。こうして圧搾通気を行うことにより、ケーキ5に含まれる水分を減少させる。また水分と共にトナー粒子表面に付着した各種成分がトナー粒子から分離し、均一な洗浄が行える。孔(圧縮気体出口14)数としては特に限定されないが、複数の孔が形成する孔の合計面積を、パンチング前の鉄板表面積に対して20%以上70%以下にすることが圧搾通気機構の強度面と適当な通気量を得るためには好ましい。
この時、穿孔部13に設けられている圧縮気体出口14がケーキ5の状態により詰まりを起こす場合等は、フィルター、メッシュ等で覆って詰まりを防止しても良い。
接離機構9は上記したケーキ5との接離運動が可能であれば特に限定されるものではないが油圧機構であることが好ましい。油圧機構であると弾力部12及び穿孔部13とケーキ5が接する際の圧力が調整し易く、接離運動の制御にも有効である。
圧搾時、弾力部12は、濾布2対して(実際には、トナーケーキを介して接触している)、圧力P2(kPa)をもって当接されていることが好ましく、その際の圧力は、
20≦P2≦1000
であることが好ましい。尚、この圧力P2は、ケーキ5に圧縮気体を通気させる際に圧搾通気部から圧縮気体がもれて、ケーキ外を通過してしまうのを防ぐためのシール圧として働く。よって、20kPa未満であると圧縮気体出口14から圧縮気体が通気される際、シール圧力不足となり、良好なケーキ状態が維持できなくなる。良好なケーキ状態が維持できないとケーキ5が破裂する如く飛び散ったり、クラックが入ったりしてしまうため、トナー粒子表面に付着した各種成分をトナー粒子から分離することができなくなる。また、1000kPaを超えるとP2の圧力でケーキ5内のトナー粒子が変形したりして悪影響を及ぼす恐れがあるために好ましくない。
前記弾力部12は、穿孔部13を取り囲むように設けられるものであり、穿孔部13の周囲に下記の範囲の幅D(mm)を有して設けられることが好ましい。
30≦D≦300
接触幅が30mm未満であると、穿孔部13から通気する際に所望のシール効果が得られにくく、弾力部12から圧縮気体が漏れて、湿潤トナー粒子ケーキの含水率を良好に低下させにくい。特に、移動方向に対して下流側の弾力部12と接する湿潤トナー粒子ケーキは含水率が低減されているためシールを行いにくいが、上記の接触幅を持ってシールした場合には、良好なシールが可能となる。接触幅が300mmを超える場合には、穿孔部13の面積を十分に確保しにくくなる。また、十分な穿孔部の面積を確保するためには、装置が大きくなり好ましくない。
前記した弾力部12を構成する部材としては、上記シールを充分に行うことが可能な構成部材であれば特に限定されるものではないが、軟質のゴムであることが好ましく、ゴム硬度F(°)が、
10≦F≦40
の部材が好ましい。具体的には、上記の硬度を有するクロロプレンゴムやEPDM(エチレンプロピレンゴム)が好ましく、特にはクロロプレンゴムが好ましい。
ゴム硬度が10°未満であると部材の耐久性に劣るようになりやすく、40°を超える場合には良好なシールが得られず、圧縮気体が漏れる怖れがある。
尚、ゴム硬度の測定には、決められた形の押針をスプリングの力で試料の表面に押し付けて変形を与え、試料の抵抗力とスプリングの力がつりあった位置での「試料への押し込み深さ」をもとに硬度を測定するアスカーゴム硬度計(型式C/JIS K7312準拠規格)を用いた。
また、該圧縮気体はコスト面から圧縮空気であることが好ましく、圧縮空気の圧力P1(kPa)は、
10≦P1≦900
であることが好ましい。
圧縮空気の圧力が10kPa未満であると通気が不十分で所望の含水率低下が得られにくい。900kPaを超える場合には、ケーキ5が破裂する如く飛び散ったりしやすくなり、良好なケーキ状態の維持が困難となることに加えて、圧縮空気の製造に高いコストがかかる。
また、前記穿孔部の単位面積・単位時間当たりの通気量G(m/m・s)は、
0.01≦G≦0.5
であることが好ましい。
通気量が0.01m/m・s未満であると所望の含水率低減が得られにくい。また、0.5m/m・sを超える場合には、下流側の真空ポンプの容量を大きくする必要があり、高コストとなる。
この圧搾通気時にも前記したように濾布2は間欠駆動させることが好ましい。すなわち本発明に係るベルトフィルターが濾布間欠運動型ベルトフィルターである場合には、濾布2が間欠運動している間の停止時に接離機構を連動させてケーキ5と弾力部12及び穿孔部13を接触させれば弾力部12とケーキ5のシール作用も良好に働くために圧縮気体の通気も容易にできる。また、本発明に係るベルトフィルターが真空式のベルトフィルターであり、圧縮気体通気時にも真空トレイ4からの真空状態を形成させておくのが好ましいため、通気時には濾布2と真空トレイ4が密着しており摺擦しない構成となっていることが好ましい。真空トレイ4から高真空度を形成しておくと、圧搾通気時に濾布2上のケーキ5が良好なケーキ状態で維持される。
脱水されたケーキ5は、ロール1によってもたらされる曲率により、濾布2より剥離される。
得られた湿潤トナー粒子ケーキの含水率は30%以下であることが好ましく、さらには25%以下であることが好ましい。30%を超えると後工程である乾燥工程への輸送に支障をきたしたり、乾燥工程の効率が低下したりして好ましくない。この乾燥効率の低下は、トナー粒子の熱劣化を誘発することにもなるため、トナー品質の点からも好ましくない。
また、該乾燥工程は、熱気流中に該湿潤トナー粒子ケーキを粉粒状に分散させて、熱気流と並流して送りながら乾燥する気流乾燥工程であることが好ましい。気流乾燥は短時間に大量の湿潤トナー粒子を乾燥でき、さらに低コストである。
また、上記のベルトフィルターに供給する被濾過物としては、脱泡工程で脱泡処理されたトナー粒子を含有するスラリーを用いることが好ましい。脱泡処理を予め施しておくことにより、トナー粒子含有ケーキの含水率の低減を効率良く行うことができる。
脱泡方法としては、I.加圧脱泡、II.減圧脱泡、III.遠心脱泡、IV.超音波を用いた脱泡、V.サイクロン方式による脱泡、さらにI〜IVの組み合わせなど何れの脱泡方式でも良い。その中でも、脱泡効率の観点から、減圧による脱泡が好ましい。
減圧による脱泡装置として、DPシリーズ(エム・テクニック社製)、バブルバスター(アシザワ・ファインテック社製)、デアマイルド(大平洋機工社製)、VISCO DEAERATOR(ターボ工業社製)等が挙げられるが、それらに限定されない。
また、減圧による脱泡に関しては、薄膜を形成しつつ脱泡処理を行う装置を用いることがより好ましい。
本発明に好ましく用いられる脱泡機を、図4及び5を用いて説明する。
図4は、回転板よりスラリーを噴霧するタイプの減圧式の脱泡機の断面図を示す。
図5は、回転容器にスラリーを薄膜状に広がるように供給するタイプの減圧式の脱泡機の断面図を示す。
図4に示す脱泡機においては、真空ポンプ23によりベッセル17内を減圧状態とすることで、装置下部の吸引口14よりスラリーが吸引される。次いで、高速回転するシャフト29内部に具備された流入経路16をスラリーが通過することにより、液相はシャフト29内壁面側に、泡はシャフト中心部側へ遠心分離される。この際、泡は減圧下のベッセル17内へ引かれ膨張し、結果、スラリーが脱気される。
シャフト29内部を通過したスラリーは、回転板18中央入口に送液され遠心力により、薄膜状に広がることで脱泡が進行する。この際、回転板の外縁部の周速は、2m/s以上30m/s以下の範囲内であることが好ましい。回転板の外縁部の周速が2m/sより小さい場合、十分な遠心効果・薄膜効果が得られず、脱泡性能が損なわれる。
また、回転板の外縁部の周速が30m/sより大きい場合、大きなせん断力が付与され、トナー粒子がダメージを受ける可能性がある。
更に、遠心力により外部に移送されたスラリーは、パンチングプレート19、次いでフィルター20を通過し、微細に噴霧化された状態でベッセル17の壁面に噴霧され、壁面に沿って薄膜流化することで、微細な泡も効率的に脱泡される。
このように、数段階の脱泡作用を経由したスラリーは、ベッセル17下部に溜められ、排出ポンプ21により連続的に排出された後に、本発明にかかるベルトフィルターへ輸送される。
図5に示す脱泡機においては、真空ポンプ23によりベッセル24内を減圧状態とすることで、スラリー吸引口27よりスラリーが吸引され、高速回転する回転容器25の中央部にスラリーが供給される。供給されたスラリーは、強力な遠心力により回転容器25内面に沿って薄膜状態に広がり、効率的に脱泡される。この際、強力なずり応力の作用でスラリー中の泡が分散されることで効率良く脱泡が進行する。
その後、上記作用にて脱泡されたスラリーは、遠心力により回転容器25の内周部に溜まり、減圧を上回る遠心力により、スラリー排出口26より強制的に装置外部に排出される。
トナー粒子が非磁性トナーの場合、脱泡処理後のトナー粒子含有スラリーの嵩密度(kg/l)が0.75以下とすることが好ましく、より好ましくは0.85以下となるように脱泡を行うことが好ましい。また、トナー粒子が磁性トナーの場合、脱泡処理後のトナー粒子含有スラリーの嵩密度(kg/l)が0.86以上とすることが好ましく、より好ましくは0.98以上となるように脱泡を行うことが好ましい。これらの範囲で脱泡を行うことにより、後の脱水、洗浄、濾過工程において、良好な洗浄、濾過を行うことができ、生産効率を改善することができる。
また、脱泡処理前のトナー粒子含有スラリーの嵩密度をC(kg/l)、脱泡処理後のトナー粒子含有スラリーの嵩密度をA(kg/l)とした時、
1.05≦A/C≦3.00
の範囲内になるように脱泡することが好ましい。さらに、A/Cは
1.30≦A/C≦2.50
の範囲内にすることがより好ましい。
上記関係を満たす場合、トナー粒子が磁性であるか、非磁性であるかに係わらず、良好な脱泡が達成されるものと思われる。
A/Cが1.05より小さい場合、泡の減少度合いが小さく、後に続く、濾過・洗浄工程における洗浄性・効率において、十分な効果が得られにくくなる。また、A/Cが3.00を超える場合、急激なスラリー体積の収縮の衝撃により、トナー粒子表面がダメージを受ける可能性がある。
また、嵩密度(kg/l)は、1リットルのメスシリンダーにスラリーを投入し、質量を測定することにより決定している。
また、減圧下でスラリーを脱泡する場合、すなわち減圧処理における減圧度が5kPa以上50kPa以下の範囲内であることが好ましい。特に、脱泡機から連続的にスラリーをポンプにより排出する場合、減圧度が5kPaより小さいと、ポンプ負荷の増大、ポンプ定量性の不安定化、ポンプ後の排出口から大気を吸引することによる逆流や再発泡が生じる可能性がある。
また、減圧度が50kPaより大きい場合、脱泡性能の低下に繋がる。
更に、脱泡処理前のトナー粒子含有スラリー中のトナー粒子の濃度が10乃至45質量%の範囲内であることが好ましい。その中のトナー粒子の濃度が45質量%を超えると脱泡機内でのトナー粒子の堆積が生じ、収率が低下するだけでなく、スラリーの流れを妨げ、脱泡作用を低下させる場合がある。特に、薄膜を形成しながら脱泡を行う場合はこのような不都合が特に顕著である。また、その中のトナー粒子の濃度が10質量%より小さい場合、スラリー粘度が低く、流動性が高いため、脱泡処理後のスラリーを慎重に取扱わないと、再発泡する可能性がある。
本発明のトナー粒子の製造方法は、非磁性トナー粒子の製造だけではなく、磁性トナー粒子の製造方法にも好ましく用いることができる。
懸濁重合法で磁性トナーを製造する際に使用される磁性体は、その表面が疎水化されていることが好ましい。磁性体を疎水化する際には、水系媒体中で、磁性体粒子を一次粒子となるよう分散しつつカップリング剤を加水分解しながら表面処理する方法を用いることが非常に好ましい。この疎水化処理方法は、気相中で処理するより磁性体粒子同士の合一が生じにくく、また疎水化処理による磁性体粒子間の帯電反発作用が働くため、磁性体はほぼ一次粒子の状態で表面処理される。
カップリング剤を水系媒体中で加水分解しながら磁性体表面を処理する方法は、クロロシラン類やシラザン類のようにガスを発生するようなカップリング剤を使用する必要がない。また、これまで気相中では磁性体粒子同士が合一しやすくて、良好な処理を施すことが困難であった高粘性のカップリング剤も使用できるようになるため、疎水化の効果は絶大である。
本発明に係わる磁性体の表面処理において使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。その中でもより好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、下記一般式
SiY
[式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、グリシドキシ基、メタクリル基の如き官能基を示し、nは1〜3の整数を示す]
で示されるものである。
例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
中でも十分な疎水性を得る為に以下の式で示されるアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を併用することがより好ましい。
2p+1−Si−(OC2q+1
[式中、pは2〜20の整数を示し、qは1〜3の整数を示す]
上記式において、pが2より小さいと疎水化処理は容易となるが、疎水性を十分に付与することが困難であり、粒子表面への磁性粒子の露出を抑制するのが難しくなる。またpが20より大きいと、疎水性は十分になるが、磁性体粒子同士の合一が多くなり、磁性体粒子をトナー粒子中に十分に分散させることが困難になり、トナーの粒度分布がブロード気味になる。また、qが3より大きいとシランカップリング剤の反応性が低下して疎水化が十分に行われにくくなる。
より好ましくは、上記式においてpが3〜15の整数であり、qが1又は2であるアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用することである。
その処理量は磁性体100質量部に対して、シランカップリング剤が総量で0.05質量部以上20質量部以下、好ましくは0.1質量部以上10質量部以下であり、磁性体粒子の表面積、カップリング剤の反応性に応じて処理剤の量を調整することが好ましい。
また、上記疎水化処理時に用いられる水系媒体とは、水を主要成分としている媒体である。具体的には、水系媒体として水そのもの、水に少量の界面活性剤を添加したもの、水にpH調整剤を添加したもの、水に有機溶剤を添加したものが挙げられる。界面活性剤としては、ポリビニルアルコールの如きノニオン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、水に対して0.1質量%以上5質量%以下添加するのが良い。pH調整剤としては、塩酸の如き無機酸が挙げられ、有機溶剤としてはアルコール類等が挙げられる。
なお、複数種のシランカップリング剤を用いる場合、同時に又は時間差をもって複数種のカップリング剤を投入し、磁性体の処理を行うことができる。
こうして得られる磁性体は粒子の凝集が抑制されており、個々の粒子表面が均一に疎水化処理されているため、磁性体の重合性単量体中での分散性は良好なものとなる。
磁性体は、四三酸化鉄、γ−酸化鉄等、酸化鉄を主成分とするものであり、リン、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、珪素などの元素を含んでもよい。これら磁性体は、窒素吸着法によるBET比表面積が2m/g以上30m/g以下であることが好ましく、より好ましくは3m/g以上28m/g以下である。更にモース硬度が5以上7以下のものが好ましい。
例えば懸濁重合法による湿式造粒法の場合、トナーに用いられる磁性体は、結着樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下を用いることが好ましい。より好ましくは20質量部以上180質量部以下を用いることである。10質量部未満ではトナーの着色力が乏しく、カブリの抑制も困難である。一方、200質量部を超えると、個々のトナー粒子への磁性体の均一な分散が難しくなるだけでなく、得られたトナーのトナー担持体への磁力による保持力が強まり現像性が低下したり、定着性が低下したりしてしまう。
なお、トナー中の磁性体の含有量の測定は、パーキンエルマー社製熱分析装置、TGA7で測定する。測定方法は、窒素雰囲気下において昇温速度25℃/分で常温から900℃までトナーを加熱し、100℃から750℃までの間の減量質量%を結着樹脂量とし、残存質量を近似的に磁性体量とする。
本発明に係わる磁性トナーに用いられる磁性体は、例えばマグネタイトの場合、下記方法で製造できる。第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量または当量以上の水酸化ナトリウムの如きアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHを7以上(好ましくはpH8乃至14)に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応を行い、磁性酸化鉄粒子の芯となる種晶をまず生成する。
次に、種晶を含むスラリー状の液に前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを6乃至14に維持しながら空気を吹込みながら水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄粒子を成長させる。酸化反応が進むにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは6未満にしない方が好ましい。酸化反応の終期に液のpHを調整し、磁性酸化鉄が一次粒子になるよう十分に撹拌し、カップリング剤を添加して十分に混合撹拌し、撹拌後に濾過し、乾燥し、軽く解砕することで疎水性処理磁性酸化鉄粒子が得られる。或いは、酸化反応終了後、洗浄、濾過して得られた酸化鉄粒子を、乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを調整し、十分撹拌しながらシランカップリング剤を添加し、カップリング処理を行っても良い。いずれにせよ、酸化反応終了後に乾燥工程を経ずにカップリング剤処理を行うことが好ましい。
第一鉄塩としては、一般的に硫酸法チタン製造に副生する硫酸鉄、鋼板の表面洗浄に伴って副生する硫酸鉄の利用が可能であり、更に塩化鉄等が可能である。
水溶液法による磁性酸化鉄の製造方法において、硫酸鉄を用いる場合、一般に反応時の粘度の上昇を防ぐこと、及び硫酸鉄の溶解度からその水溶液は鉄濃度0.5mol/l以上2.0mol/l以下のものが用いられる。硫酸鉄の濃度は一般に薄いほど製品の粒度が細かくなる傾向を有する。また、反応に際しては、空気量が多い程、また反応温度が低いほど微粒化しやすい。
このようにして製造された疎水性磁性体粒子を材料とした磁性トナーを使用することにより、安定したトナーの帯電性が得られ、転写効率が高く、高画質及び高安定性が可能となる。
上記のようにして得られた磁性体は、トナー粒子に含有される着色剤としても好適に用いることができるが、本発明で製造されるトナーに好適に用いることのできる上記磁性体以外の着色剤として、カーボンブラック及び以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤が挙げられる。
イエロー色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いることができ、具体的には、顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、17、23、62、65、73、74、81、83、93、94、95、97、98、109、110、111、117、120、127、128、129、137、138、139、147、151、154、155、167、168、173、174、176、180、181、183、191及びC.I.バットイエロー1、3、20等、染料としては、C.I.ソルベントイエロー19、44、77、79、81、82、93、98、103、104、112、162等が挙げられ、これらのものが単独で或いは併用して用いられる。
マゼンタ色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いることができ、具体的には、顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,48:2、48:3、48:4、49,50,51,52,53,54,55,57,57:1、58,60,63,64,68,81,81:1、83,87,88,89,90,112,114,122,123,144、146,150,163,166,169,177,184,185,202,206,207,209,220,221,238、254等、C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35等、染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,52,58,63,81,82,83,84,100,109,111,121,122等、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27等、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40等、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28等の塩基性染料等が挙げられ、これらのものが単独で或いは併用して用いられる。
シアン色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いることができ、具体的には、顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17、60、62、66等、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45、染料としては、C.I.ソルベントブルー25、36、60、70、93、95等が挙げられ、これらのものが単独で或いは併用して用いられる。
これらの着色剤は、単独で又は2種以上を混合し、また更には固溶体の状態で用いることができる。本発明の着色剤は、色相角、彩度、明度、耐侯性、OHP透明性及びトナー粒子中への分散性の点から選択される。着色剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
トナー粒子には離型剤を含有させても良い。離型剤としては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックスおよびその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等天然ワックス及びその誘導体などで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。更には、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、或いはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックスなども使用できる。
離型剤として使用できるワックスの具体的な例としては、ビスコール(登録商標)330−P、550−P、660−P、TS−200(三洋化成工業社);ハイワックス400P、200P、100P、410P、420P、320P、220P、210P、110P(三井化学社);サゾールH1、H2、C80、C105、C77(シューマン・サゾール社);HNP−1、HNP−3、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12(日本精鑞株式会社);ユニリン(登録商標)350、425、550、700、ユニシッド(登録商標)350、425、550、700(東洋ペトロライト社);木ろう、蜜ろう、ライスワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス(株式会社セラリカNODAにて入手可能)等が挙げられる。
トナー粒子には、荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用できる。更に、例えば懸濁重合法による湿式造粒法の場合、トナー粒子を製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料或いはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、スルフォン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。ポジ系荷電制御剤としては四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。
荷電制御剤をトナー粒子に含有させる方法としては、トナー粒子内部に添加する方法とトナー粒子に外部添加する方法とがある。これらの荷電制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、内部添加する場合は、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上5質量部以下の範囲で用いられる。また、外部添加する場合、トナー粒子100質量部に対し好ましくは0.005質量部以上1.0質量部以下、より好ましくは0.01質量部以上0.3質量部以下である。
本発明において例えば乳化重合法や懸濁重合法の場合、用いられる重合性単量体としては以下のものが挙げられる。スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類;その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。
乳化重合法や懸濁重合法の場合、重合性単量体に樹脂(高分子重合体)を添加して重合しても良い。単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、ニトリル基等親水性官能基含有の樹脂をトナー粒子中に導入したいときには、これらの官能基を有する単量体とスチレン又はエチレン等のビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、或いはグラフト共重合体等の共重合体の形で、或いはポリエステル、ポリアミド等の重縮合体の形で、或いはポリエーテル、ポリイミン等の重付加重合体の形で使用が可能となる。
本発明において、重合性単量体に添加して使用されるポリエステル樹脂を得るために用いられるアルコール成分と酸成分を以下に例示する。アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、水素化ビスフェノールA、式(I)で示されるビスフェノール誘導体又は該式(I)で表される化合物の水添物:
Figure 0004898334
[式中、Rはエチレン基またはプロピレン基を示し、x及びyはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。]
又は、下記式(II)で表されるジオール又は該式(II)で表される化合物の水添物が挙げられる。
Figure 0004898334
酸成分としての2価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸またはその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸またはその無水物、また更に炭素数6〜18のアルキルまたはアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物などが挙げられる。
更に、アルコール成分としてグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの如き多価アルコールが挙げられ、酸成分としてトリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物の如き多価カルボン酸が挙げられる。
前記ポリエステル樹脂は全成分中45モル%以上55モル%以下がアルコール成分であり、55モル%以下45モル%以上が酸成分であることが好ましい。また、本発明においては、得られるトナー粒子の物性に悪影響を及ぼさない限り2種以上のポリエステル樹脂を併用したり、例えば、シリコーンやフルオロアルキル基含有化合物により変性したりして物性を調整することも好適に行われる。また、このような極性官能基を含む樹脂を使用する場合、その平均分子量は5,000以上が好ましい。
また、上記以外の樹脂を単量体系中に添加しても良く、用いられる樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが単独で又は混合して使用できる。
これら樹脂の添加量としては、単量体100質量部に対し1質量部以上20質量部以下が好ましい。1質量部未満では添加効果が小さく、一方、20質量部より多く添加すると重合トナーの種々の物性設計が難しくなるためである。
更に、単量体を重合して得られるトナー粒子の分子量範囲とは異なる分子量の重合体を単量体中に溶解して重合しても良い。
本発明のトナー粒子の製造方法において、重合性単量体の重合反応を開始させるために重合開始剤を使用する場合は、重合反応時に半減期0.5時間以上30時間以下であるものを、重合性単量体100質量部に対し0.5質量部以上20質量部以下の添加量で重合反応を行うと、分子量1万乃至10万の間に極大を有する重合体を得ることができ、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与えることが出来る。重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
トナーを製造する際は、架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量は重合性単量体100質量部に対して0.001質量部以上15質量部以下である。
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独で又は2種以上の混合物として用いられる。
例えば懸濁重合法を選択した場合の具体的なトナー製造方法について説明する。
まず、重合性単量体中に着色剤、離型剤、可塑剤、荷電制御剤、架橋剤等トナーとして必要な成分及びその他の添加剤、例えば重合反応で生成する重合体の粘度を低下させるために入れる有機溶媒、樹脂成分(高分子重合体)、分散剤等を適宜加えて、均一に溶解または分散させて着色剤含有重合性単量体組成物を得る。この時、必要に応じて温調操作を行っても良い。この着色剤含有重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系散媒体中に分散させ、懸濁し造粒する。
このとき着色剤含有重合性単量体組成物の造粒を行うと同時に、又は造粒を行った後、上記組成物の重合を行う(重合工程)。造粒後に、重合を行う場合には、重合開始剤は造粒後に添加すればよい。
重合開始剤添加の具体的なタイミングとしては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時と同時に加えても良いし、着色剤含有重合性単量体組成物を水系媒体中に懸濁する直前に添加混合しても良い。また、造粒後に重合を開始させる場合には、上述した如く、造粒後に添加することができる。また、重合反応中に追加の重合性単量体或いは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることも出来る。
造粒後は、温調を行いながら通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。
トナー粒子を製造する場合には、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難いため好ましい。こうした無機分散剤の例としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛等の燐酸多価金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機水酸化物;シリカ、ベントナイト、アルミナ等の無機酸化物が挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2質量部以上20質量部以下を単独で使用することが好ましい。また、0.001質量部以上0.1質量部以下の界面活性剤を併用しても良い。
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中で前記無機分散剤粒子を生成させて用いることが出来る。例えば、燐酸カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合に依る超微粒トナー粒子が発生し難くなるので、より好都合である。無機分散剤は、重合終了後に酸又はアルカリで溶解して、濾過、洗浄等の次工程によりほぼ完全に取り除くことが出来る。
前記重合工程においては、重合温度は40℃以上、一般には50℃以上90℃以下の温度に設定して重合を行う。この温度範囲で重合を行うと、トナー粒子内部に封じられるべき離型剤やワックスの類が、相分離により析出して内包化がより完全となる。また、残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期に、反応温度を90℃以上150℃以下に上げても良い。重合反応の終了後、得られたトナー粒子分散液は本発明にかかる圧搾通気機構付きのベルトフィルターにて濾過、洗浄した後、好ましくは気流乾燥装置によって乾燥される。
一般的には、得られたトナー粒子は分級工程において所望の粒径範囲外の粗粉や微粉が除去される。なお、分級工程は従来トナーの製造に用いられる公知の方法により行うことができ、特に限定されない。分級工程を経て得られたトナー粒子に無機微粉体等の外添剤を混合して該トナー粒子表面に付着させることによって、トナーを得ることができる。
本発明においては、製造工程から分級工程を省き直接トナーを得ることも、また更に高精度な分級工程を行って、精度良く粗粉や微粉をカットすることも、望ましい形態の一つである。
本発明において、トナー粒子には、外添剤として流動性付与剤を添加することが好ましい。好ましい流動性付与剤としては、個数平均一次粒子径が4nm以上80nm以下の無機微粒子が挙げられる。
無機微粒子としては、シリカ,アルミナ,酸化チタンなどの微粒子が使用できる。例えば、シリカ微粒子としてはケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粒子の内部にあるシラノール基が少なく、またNaO、SO 等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム,塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、それらも包含する。
無機微粒子の添加量は、トナー粒子に対して0.1質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。添加量が0.1質量%未満ではその効果が十分ではなく、3.0質量%より多いと定着性を低下させることがある。なお、無機微粒子の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量できる。
無機微粒子は、疎水化処理されたものであることが高温高湿環境下での特性から好ましい。疎水化処理の処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物の如き処理剤を単独で用いてもよく、或いは併用しても良い。
無機微粒子の処理方法としては、例えば第一段反応としてシリル化反応を行ってシラノール基を化学結合により消失させた後、第二段反応としてシリコーンオイルにより表面に疎水性の薄膜を形成する方法が挙げられる。
上記シリコーンオイルは、25℃における粘度が10mm/s以上200,000mm/s以下のものが、更には3,000mm/s以上80,000mm/s以下のものが好ましい。10mm/s未満では、無機微粒子に安定性が無く、熱および機械的な応力により画質が劣化する傾向がある。200,000mm/sを超える場合は、均一な処理が困難になる傾向がある。
使用されるシリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が特に好ましい。
シリコーンオイルによる無機微粒子の処理の方法としては、例えばシラン化合物で処理された無機微粒子とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合してもよいし、無機微粒子にシリコーンオイルを噴霧する方法を用いてもよい。或いは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解或いは分散させた後、無機微粒子を加えて混合し溶剤を除去する方法でもよい。無機微粒子の凝集体の生成が比較的少ない点で噴霧機を用いる方法がより好ましい。
シリコーンオイルの処理量は無機微粒子100質量部に対し1質量部以上40質量部以下、好ましくは3質量部以上35質量部以下が良い。
シリカ微粒子を用いる場合には、トナーに良好な流動性を付与させる為に、窒素吸着によるBET法で測定した比表面積が20乃至350m/gの範囲内のものが好ましく、25乃至300m/gのものがより好ましい。
比表面積はBET法に従って、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出する。
また、クリーニング性向上等の目的で、一次粒径が30nmを超える(より好ましくは一次粒径が50nm以上)の無機又は有機の球状に近い微粒子を外添剤としてトナー粒子に添加することも好ましい形態のひとつである。この無機又は有機の微粒子は比表面積が50m/g未満(より好ましくは比表面積が30m/g未満)のものを好ましく用いることができる。このような微粒子として、例えば球状シリカ粒子、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂粒子等が好ましく用いられる。
実質的な悪影響をトナーに与えない範囲内で更に他の外添剤をトナー粒子に添加して用いることができる。例えば、ポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末などの滑剤粉末;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤;酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末などの流動性付与剤;ケーキング防止剤などが挙げられる。また、逆極性の有機微粒子又は無機微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。これらの外添剤も表面を疎水化処理して用いることが可能である。
本発明において製造されるトナー粒子を含有するトナーは、一成分系現像剤、或いは、磁性キャリアと混合され二成分系現像剤として使用できる。
磁性キャリアは、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロムから選ばれる元素を単独で又は複合フェライト状態で用いて生成される。磁性キャリアの形状としては、球状、扁平又は不定形がある。更に磁性キャリア粒子表面状態の微細構造(例えば表面凹凸性)をもコントロールすることが好ましい。キャリアの製法としては、一般的には、上記無機酸化物を焼成、造粒することにより、予め磁性キャリアコア粒子を生成した後、このキャリアコア粒子を樹脂でコーティングする方法が用いられている。磁性キャリアのトナーへの負荷を軽減する目的から、無機酸化物と樹脂を混練後、粉砕、分級することにより低密度分散キャリアを得る方法や、無機酸化物とモノマーとの混練物を直接水系媒体中にて懸濁重合させて真球状の磁性キャリアを得る方法も利用することが可能である。
これらのうち、上記キャリアコア粒子の表面を樹脂で被覆してなる被覆キャリアが特に好ましい。キャリアコア粒子の表面を樹脂で被覆する方法としては、樹脂を溶剤中に溶解又は懸濁して塗布することによりキャリアコアに付着させる方法、又は単に樹脂粉体とキャリアコア粒子とを混合して付着させる方法が適用できる。
キャリア粒子表面への被覆物質としてはトナー材料により異なるが、例えばポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂などが挙げられる。これらは単独或は複数で用いられる。
キャリアの磁性特性は以下のものが良い。磁気的に飽和させた後の、磁界の強さ79.6kA/mにおける磁化の強さ(σ1000)は3.77μWb/cm以上37.7μWb/cm以下であることが好ましい。更に高画質化を達成するために、12.6μWb/cm以上31.4μWb/cm以下であることがより好ましい。この磁化の強さが37.7μWb/cmより大きい場合には、高画質なトナー画像が得られにくくなる。一方、3.77Wb/cm未満であると、磁気的な拘束力も減少するためにキャリア付着を生じやすい。
本発明で用いられるトナーと磁性キャリアとを混合して二成分現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度が2質量%以上15質量%以下、好ましくは4質量%以上13質量%以下であると通常良好な結果が得られる。
本発明で用いたそれぞれの測定方法について以下に述べる。
(1)トナーの粒度分布の測定
トナーの粒度分布は種々の方法によって測定できるが、本発明においてはコールターカウンターを用いて行うことが好ましい。
測定装置としてはコールターカウンターマルチサイザーI型あるいはII型あるいはIIe型(コールター社製)を用い、個数平均分布、体積平均分布を出力するインターフェイス(日科機製)及び一般的なパーソナルコンピューターを接続し、特級又は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を電解液として調製する。
具体的には、前記電解液100乃至150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩)を0.1乃至5ml加え、さらに測定試料を2乃至20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1乃至3分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーII型により、アパチャーとして100μmアパチャーを用いて、個数を基準として2乃至40μmのトナー粒子の粒度分布を測定する。
(2)湿潤トナー粒子洗浄状態の評価
洗浄状態は、湿潤トナー粒子表面に残存する分散安定剤量によって評価した。残存分散安定剤量については、蛍光X線分析装置(RIX3000)を用いて定量分析した。この測定装置では、トナーサンプルは159N/mmの圧力で錠剤成型器により直径40mmのペレットを作製し、ターゲット(サンプルから放出される蛍光X線を分光するための分光結晶。例えばRh。)を適宜設定し、例えば管電圧を40kVとし、管電流を90mAとし、2θ角を144.7degとする条件で測定を行い、蛍光X線分析によりトナーサンプル中の所定の金属元素を測定する。この測定結果と、定量したい金属元素について予め作成した検量線を用いて金属元素の定量を行う。この残存分散安定剤量は、帯電性の観点から180ppm以下であることが好ましい。
(3)含水率の測定
本発明における含水率は、湿潤トナー粒子5gをアルミ皿に採取し、それを精秤(A[g])し、105℃に設定した乾燥機に1時間放置し、冷却後精秤(B[g])し、以下の式で計算した値である。
含水率(%)=((A−B)/A)×100
(実施例)
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。
(実施例1)
イオン交換水700質量部に、0.1モル/リットル−NaPO水溶液450質量部を投入し、60℃に加温した後、クレアミックスCLS−30S(エム・テクニック社製)を用いて、4500rpmで撹拌した。これに1.0モル/リットル−CaCl水溶液68質量部を添加し、リン酸カルシウム塩を含む水系媒体を得た。
一方、
(モノマー) スチレン 170質量部
n−ブチルアクリレート 30質量部
(着色剤) C.I.ピグメントブルー15:3 10質量部
(荷電制御剤) BONTRON E−88
(オリエント化学工業社製) 2質量部
(極性レジン) 飽和ポリエステル
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)とテレフタル酸との重縮合物(モル比10:12)、Tg=68℃、Mw=10000、Mw/Mn=5.12) 15質量部
(離型剤) 炭化水素系ワックス
(Mn=850、融点:107℃、25℃における針入度:1)
6質量部
からなる上記処方を60℃に加温し、均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8質量部を溶解し、着色剤含有重合性単量体組成物を調製した。
前記水系媒体中に上記着色剤含有重合性単量体組成物を投入し、60℃,窒素雰囲気下において、クレアミックスにて4500rpmで15分間撹拌し、着色剤含有重合性単量体組成物を造粒した。
その後、フルゾーン撹拌翼(神鋼パンテック社製)で撹拌しつつ、70℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、フルゾーン攪拌翼で攪拌を続けながら飽和水蒸気(ピュアスチーム:スチーム圧力205kPa,温度120℃)を導入した。飽和水蒸気の導入開始から20分後に、容器内の内容物の温度は100℃に達し、蒸留留分が出始めた。所定量の留分を得ることで残存モノマーを留去し、冷却してトナー粒子分散液を得た。
このトナー粒子分散液に塩酸を加えてトナー粒子表面のリン酸カルシウム塩を溶解した。得られたトナー粒子含有スラリーの嵩密度は0.65kg/lであった。
この得られたトナー粒子含有スラリーを図4に示す態様の脱泡機に導入し、下記条件で脱泡を行った。
本体容量 : 10リットル
回転板の周速 : 17m/s
スラリー供給量: 180リットル/hr
減圧度 : 20kPa
次に、排出ポンプを用いて、脱泡機より連続的にスラリー(被濾過物)を排出し、140kg/hrで連続的に、図1乃至3に示す圧搾通気機構を具備したベルトフィルター(月島機械社製、シンクロフィルター改造型)に送り、下記の条件で脱水・洗浄して、湿潤トナー粒子のケーキを得た。ポンプを介してベルトフィルターへ供給されるスラリーの嵩密度は、1.0kg/リットルであった。
<圧搾通気機構方式のベルトフィルターを用いた脱水・洗浄条件>
スラリー供給量 :140kg/時間
ベルトスピード :停止時間/移動時間=10/1の割合で稼動させ、平均0.7m/分
洗浄水の量 :50kg/時間
真空度 :−70kPa(大気圧から70kPa減圧)
シール圧(弾力部を濾布に押し当てる圧) :400kPa
弾力部の幅(進行方向上流部及び下流部) :100mm
弾力部の幅(側部) :90mm
圧縮気体 :圧縮空気
通気圧 :200kPa
通気量 :0.04m/m・s
ゴム材質 :クロロプレンゴム
ゴム硬度 :20°
圧搾時間 :70秒(最終スパンに圧搾通気機構を設置し、最終スパンにベルトが停止する時間75秒中の70秒圧搾した)
通気時間 :60秒(圧搾時間70秒中の60秒通気した)
上記により得られた湿潤トナー粒子の含水率は20%であった。また、この時の湿潤トナー粒子ケーキの洗浄状態を上記した蛍光X線分析装置で分析したところ残存する分散安定剤量は100ppmであり良好なものであった。
その後、湿潤トナー粒子のケーキを解砕後、気流乾燥機(セイシン企業社製:フラッシュジェットドライヤー、配管径0.1016m)を用いて、以下の条件で気流乾燥を行うことによりトナー粒子を得た。
<気流乾燥機乾燥条件>
吹込み温度:90℃
吹込み風量:10m/min
湿潤トナー粒子供給量:50kg/hr
上記で得られた該トナー粒子100質量部に対して、BET法による比表面積が200m/gである疎水性シリカを1.0質量部添加し、混合機にて混合しトナーを得た。本実施例において得られたトナーの重量平均粒径(D4)は、6.8μmであった。
<画質の評価>
温度30℃、湿度80%の環境下で連続3000枚の耐久テストを行い、3000枚時におけるカブリの程度を測定して画質を評価した。耐久テストはキヤノン社製レーザービームプリンタ LBP−2360を用いて行った。
紙上のカブリについては、反射式濃度計(TOKYODENSHOKUCO.,LTD社製REFLECTOMETER MODEL TC−6DS)を用いて測定した。即ち、反射式濃度計で測定したプリント後の白地部の反射濃度最悪値をDsとし、プリント前の用紙について反射式濃度計で測定した反射濃度平均値をDrとした時に、これらの値の差(Ds−Dr)を求め、これを紙上カブリとした。この紙上カブリ量が2%以下の場合は、実質的に紙上カブリのない良好な画像であったが、2%を超えると紙上カブリが目立つ不鮮明な画像であった。
カブリの評価は以下のランクで表示した。評価結果を表1に示す。
A:良好
B:カブリが多く画像が不鮮明
(実施例2)
実施例1の脱水・洗浄条件においてスラリー供給量を180kg/時間に変更した以外は実施例1と同様にしてトナーを製造し、又、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1の脱水・洗浄条件において通気圧を600kPa、通気量を0.2m/m・s、シール圧を800kPaにした以外は実施例1と同様にしてトナーを製造し、又、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1の脱水・洗浄条件において通気圧を100kPa、通気量を0.02m/m・sにした以外は実施例1と同様にしてトナーを製造し、又、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1の脱水・洗浄条件においてシール圧を800kPaにした以外は実施例1と同様にしてトナーを製造し、又、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1の脱水・洗浄条件において、用いたクロロプレンゴムをゴム硬度が30°のものにした以外は実施例1と同様にしてトナーを製造し、又、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1の脱水・洗浄条件において、圧搾通気機構の弾力部を幅が4方共に50mmのものにした以外は実施例1と同様にしてトナーを製造し、又、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例1の脱水・洗浄条件において、用いたクロロプレンゴムをゴム硬度が50°のものにした以外は実施例1と同様にしてトナーを製造し、又、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例9)
実施例1の脱水・洗浄条件において、圧搾通気機構の弾力部を幅が、進行方向上流部及び下流部に関しては350mm、側部に関しては50mmのものにした以外は実施例1と同様にしてトナーを製造し、又、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例10)
実施例1の脱水・洗浄条件において、圧搾通気機構の弾力部を幅が、進行方向上流部及び下流部に関しては50mm、側部に関しては350mmのものにした以外は実施例1と同様にしてトナーを製造し、又、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1の脱水・洗浄条件において、圧搾通気機構を働かせず実施例1と同様の操作を行った。その結果、湿潤トナー粒子の含水率が35%と非常に高かったため、気流乾燥機の湿潤トナー粒子供給量を25kg/hrに落として乾燥を行った。その他は実施例1と同様にしてトナーを製造し、又、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例11)
図5に示す態様の脱泡機を用いること以外は、実施例1と同様の成分・製造方法でトナーを作成した。
尚、図5に示す脱泡機の作動条件は以下のとおりである:
回転容器の回転数: 2000rpm
スラリー供給量: 2000kg/hr
減圧度 : 5kPa
脱泡処理前のトナースラリーの嵩密度は0.65kg/lであり、脱泡が終了後に濾過機へ供給されるスラリーの嵩密度は1.01kg/lであった。
また、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示す。
(実施例12)
イオン交換水700質量部に、0.1モル/リットル−NaPO水溶液450質量部を投入し、60℃に加温した後、クレアミックスCLS−30S(エム、テクニック社製)を用いて、4500rpmで攪拌した。これに1.0モル/リットル−CaCl水溶液68質量部を添加し、リン酸カルシウム塩を含む水系媒体を得た。
一方、
(モノマー) スチレン 170質量部
n−ブチルアクリレート 40質量部
(着色剤) 下記製法により得られた磁性体 180質量部
(荷電制御剤) BONTRON E−88
(オリエント化学工業社製) 2質量部
(極性レジン) 飽和ポリエステル
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)とテレフタル酸との重縮合物(モル比10:12)、Tg=68℃、Mw=10000、Mw/Mn=5.12) 15質量部
(離型剤) 炭化水素系ワックス
(Mn=850、融点:107℃、25℃における針入度:1)
5質量部
ここで、使用した磁性体は、以下のように製造した。
<磁性体の製造>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.0乃至1.1当量の苛性ソーダ溶液、鉄元素に対しリン元素換算で1.5質量%のヘキサメタ燐酸ソーダ、鉄元素に対して珪素元素換算で1.5質量%の珪酸ソーダを混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。
水溶液をpH9に維持しながら、空気を吹き込み、80乃至90℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.9乃至1.2当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH8に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。このスラリーを濾過、洗浄した。次に、この含水スラリーを別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを約4.5に調整し、十分撹拌しながらn−ヘキシルトリメトキシシランを磁性酸化鉄100質量部に対し2.0質量部添加し、加水分解を行った。その後、分散液のpHを約10にし、縮合反応を行い、カップリング処理を行った。生成した疎水性磁性微粒子を常法により洗浄、濾過、乾燥し、得られた粒子を解砕処理した。得られた磁性微粒子は、体積平均粒径が0.20μmであった。
上記した処方物を60℃に加温し、均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤tert−ブチルペルオキシピバレート8質量部を溶解し、磁性体含有重合性単量体組成物を調製した。
次いで、前記水系媒体中に上記磁性体含有重合性単量体組成物を投入し、60℃,窒素雰囲気下において、クレアミックスにて4500rpmで15分間撹拌し、磁性体含有重合性単量体組成物を造粒した。
その後、フルゾーン撹拌翼(神鋼パンテック社製)で撹拌しつつ、70℃に昇温し、8時間反応させた。重合反応終了後、フルゾーン攪拌翼で攪拌を続けながら飽和水蒸気(ピュアスチーム:スチーム圧力205kPa,温度120℃)を導入した。飽和水蒸気の導入開始から20分後に、容器内の内容物の温度は100℃に達し、蒸留留分が出始めた。所定量の留分を得ることで残存モノマーを留去し、冷却して磁性トナー粒子分散液を得た。
その後は、スラリー供給量を200kg/時間にした以外は実施例1と同様の操作をして磁性トナー粒子を得た。
得られた磁性トナー粒子100質量部と、個数平均一次粒径12nmのシリカ微粒子(BET比表面積180m/g)にヘキサメチルジシラザンで処理をした後、シリコーンオイルで処理し、処理後のBET値が120m/gの疎水性シリカ微粉体(個数平均一次粒子径12nm)1.0質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、磁性トナーを得た。本実施例において得られたトナーの重量平均粒径は、6.4μmであった。
<画質の評価>
画像特性は温度30℃、湿度80%の環境下で連続5000枚の耐久テストを行い、カブリを測定して評価した。耐久テストはキヤノン社製のレーザービームプリンタ LBP−1760を用いて行った。
上記のLBP−1760を用い、プリント枚数を5000枚に変更した以外は、実施例1と同様の評価を行った。
本実施例では、5000枚耐久後の画像について評価したが、耐久中、問題のないカブリのレベルであった。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例12の磁性トナー粒子の脱水・洗浄において、圧搾通気機構を働かせず実施例12と同様の操作を行った。この結果、湿潤トナー粒子の含水率が37%と非常に高かったため、気流乾燥機の湿潤トナー粒子供給量を25kg/hrに落として乾燥を行った。その他は実施例12と同様にしてトナーを製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0004898334
圧搾通気手段を有する圧搾通気機構を具備したベルトフィルター概略図である。 図1内のA−A’断面図である。 図2内のB−B’断面図である。 回転板よりスラリーを噴霧するタイプの減圧式脱泡機の概略的断面図である。 回転容器にスラリーを薄膜状に広がるように供給するタイプの減圧式脱泡機の概略的断面図である。
符号の説明
1 ロール
2 濾布
3 送液口
4 真空トレイ
5 ケーキ
6 濾布洗浄装置
7 ケーキ洗浄装置
8 圧搾通気機構
9 接離機構
10 圧縮気体導入口
11 ケーシング
12 弾力部材
13 穿孔部材
14 圧縮気体出口
15 圧搾通気手段
16 流入経路
17 ベッセル
18 回転板
19 パンチングプレート
20 フィルター
21 排出ポンプ
23 真空ポンプ
24 ベッセル
25 回転容器
26 スラリー排出口
27 スラリー吸引口
29 シャフト

Claims (14)

  1. 液状分散媒体中でのトナー粒子の製造方法であって、
    トナー粒子を含有するスラリーに対して圧搾しながら通気する圧搾通気手段を具備したベルトフィルターを用いて固液分離して、湿潤トナー粒子ケーキを形成する濾過工程を少なくとも有し、
    該圧搾通気手段は、少なくとも通気を行う穿孔を有する穿孔部と、該穿孔部を取り囲み、通気時には前記ベルトフィルターの濾布に接するように設けられた弾性を有する弾力部を具備し、
    該穿孔部から圧縮空気を通気し、
    該圧縮空気の圧力P1(kPa)が、
    10≦P1≦900
    であることを特徴とするトナー粒子の製造方法。
  2. 前記湿潤トナー粒子ケーキを形成する濾過工程が、
    (1)トナー粒子を含有するスラリーを脱液して洗浄前トナー粒子ケーキを得る工程;
    (2)得られた該洗浄前トナー粒子ケーキを洗浄して洗浄水含有トナー粒子ケーキを得る工程;
    (3)該洗浄水含有トナー粒子ケーキに対し、前記圧搾通気手段によって圧搾しながら通気して前記湿潤トナー粒子ケーキを形成する工程;
    を有することを特徴とする請求項1に記載のトナー粒子の製造方法。
  3. 前記弾力部の構成部材が軟質のゴムであり、該構成部材のゴム硬度F(°)が、
    10≦F≦40
    であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー粒子の製造方法。
  4. 前記穿孔部の単位面積・単位時間当たりの通気量G(m/m・s)が、
    0.01≦G≦0.50
    であることを特徴とする請求項1乃至3に記載のトナー粒子の製造方法。
  5. 通気時において、前記穿孔部から通気される気体が圧搾通気部からもれないように、前記弾力部が濾布に圧接されており、その際の圧力P2(kPa)が、
    20≦P2≦1000
    であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
  6. 前記スラリーに含まれる前記トナー粒子が、重合性単量体及び着色剤を少なくとも有する重合性単量体組成物を水系分散媒体中で重合して生成されたトナー粒子であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
  7. 前記ベルトフィルターが真空式のベルトフィルターであり、真空濾過する際、減圧状態では、濾布と真空トレイとが摺擦しないことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
  8. 前記ベルトフィルターが濾布間欠運動型のベルトフィルターであることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
  9. 前記圧搾通気手段が、前記湿潤トナー粒子ケーキと接離可能であり、前記圧搾通気手段は該濾布間欠運動型ベルトフィルターの濾布の間欠運動と連動することを特徴とする請求項に記載のトナー粒子の製造方法。
  10. 前記弾力部は、穿孔部の周囲に幅D(mm)を有しており、該幅Dが、
    30≦D≦300
    であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
  11. 前記濾過工程に供給される被濾過物が、脱泡工程で脱泡処理されたトナー粒子を含有するスラリーであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
  12. 前記脱泡処理が、減圧可能な容器にトナー粒子を含有するスラリーを供給し、減圧処理を行う工程であることを特徴とする請求項11に記載のトナー粒子の製造方法。
  13. 前記減圧処理が、5kPa以上50kPa以下の減圧下において行われることを特徴とする請求項12に記載のトナー粒子の製造方法。
  14. 脱泡処理前のトナー粒子含有スラリーの嵩密度をC(kg/l)、脱泡処理後のトナー粒子含有スラリーの嵩密度をA(kg/l)とした時、前記脱泡処理が、下記関係
    1.05≦A/C≦3.00
    を満たすように処理を行う工程であることを特徴とする請求項12又は13に記載のトナー粒子の製造方法。
JP2006204834A 2005-07-29 2006-07-27 トナー粒子の製造方法 Active JP4898334B2 (ja)

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