JP3789092B2 - トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法、トナージェット法のごとき画像形成方法における静電荷潜像を顕像化するためのトナーを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法、静電記録法、磁気記録法、トナージェット法のごとき画像形成方法における静電荷潜像を顕像化するためのトナーを製造する方法としては、例えば特公昭36−10231号公報、特公昭43−10799号公報及び特公昭51−14895号公報による懸濁重合法トナーを始めとして、各種重合法によるトナーの製造方法が提案されている。
【0003】
上記トナーの製造方法は、例えば懸濁重合によるトナーでは、重合性単量体、着色剤(磁性体)、及び重合開始剤、さらに必要に応じて架橋剤、荷電制御剤、その他添加剤を溶解又は分散せしめて単量体組成物とした後、該単量体組成物を分散安定剤を含有する連続相、例えば、水相中に適当な攪拌機を用いて分散し、同時に重合反応を行わせて所望の粒径を有するトナー粒子を得る。
【0004】
このトナー製造方法では、粉砕工程が全く含まれないために、得られるトナーに脆性が必要でなく、樹脂として軟質の材料を使用することができ、トナーの微粒子化が容易に可能であることから、得られるトナーの粒度分布が比較的シャープで分級工程を省略することができ、又は分級したとしても、高収率でトナーが得られる。
【0005】
また、上記トナーの製造方法では、離型剤として低軟化点物質を多量にトナー中に内包化することができるから、耐オフセット性に優れるトナーが得られるという利点がある。さらには得られるトナーの形状が球状であることから、流動性に優れ高画質化に有利なトナーが得られるという利点がある。
【0006】
上記トナーの製造方法では、得られる重合トナー中に顔料を均一に分散せしめること、すなわち液状重合性単量体に顔料を分散させる分散工程が非常に重要であり、従来から該分散工程においては、例えば図1に示す分散装置が一般的によく用いられてきた。この分散装置では、処理タンク1内に処理物2とメディア粒子3を投入し、処理タンクの回転により生ずるずり力やせん断力により、処理物がメディア層内を通過し、重合性単量体中への顔料の分散が行われる。
【0007】
しかし従来の分散装置は、処理タンク内のメディア粒子3中の処理物2の流れが弱く、処理物の滞留が起きやすいため分散にむらが生じ易く、また処理タンク容積の大部分をメディア粒子が占めるため、大量生産を目的としてスケールアップを行った場合、処理タンクの単位体積当たりの処理量が少ないため製造コストが非常に高くなりやすい。また、大量にメディア粒子を使用するためメディア粒子のコンタミといった問題が生じやすい。
【0008】
一方で前述したトナーの製造方法では、分散工程によって得られた処理物に樹脂、WAXなどを添加し、均一に溶解混合せしめ、微粒状重合性単量体混合物を得る溶解工程が行われる。この溶解工程も、トナーを製造する上で非常に重要であり、従来から該溶解工程においては、図2に示す溶解装置が一般的によく用いられてきた。なお図2において(10)はモータ、(11)は攪拌軸、(12)は邪魔板、(13)は攪拌翼(三枚平パドル翼)、(14)は処理タンクである。
【0009】
上記の溶解装置では、処理タンク(14)内に備え付けられた邪魔板(12)の効果により、攪拌翼(13)を攪拌させると処理タンク(14)内において攪拌軸(11)に向かう流れが生じ、槽内は均一な混合状態となる。攪拌翼(13)には、アンカー翼、傾斜パドル翼、平パドル翼、ファドラー翼、マックスブレンド翼(住友重機械工業株式会社)、フルゾーン翼(神鋼パンテック株式会社)ヘリカルリボン翼、ブルマージン翼、スーパミックス翼(佐竹化学機械工業製)、A310翼(LIGHTNIN製)、A320翼(LIGHTNIN製)、インターミグ翼(エカート製)等が例示される。
【0010】
しかし、上記従来の溶解装置は、処理タンク内を均一に混合する能力は優れているが、処理物に付与するせん断力が攪拌翼の特性上非常に弱いため、分散工程において微細に分散された顔料が、溶解工程においてせん断力不足のため再凝集する恐れがあった。特に顔料が磁性体である場合、磁気力や比重が大きいといった磁性体の性質上、溶解工程における再凝集及び沈降等が懸念されていた。
【0011】
さらには、上記した重合トナーの製造システムは、従来の粉砕トナーの製造システムに比べ、トナー当たりにかかるコストが高く、製造システムのコストを粉砕トナー並に低減することが求められていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述のごとき問題を解決した静電画像を現像するための重合トナーの製造方法を提供することにある。
【0013】
詳しくは、重合法によるトナー製造において、長時間の使用においても画像濃度が高く、画像再現性に優れ、顔料の分散が均質な重合トナーを製造する製造方法を提供することにある。
【0014】
さらには、重合法によるトナーの製造において、均質に顔料がトナー中に分散しているシャープな粒度分布を有するトナーを効率よく製造する製造方法を提供することにある。
【0015】
さらには、重合法によるトナーの製造において、大容量かつ低コストで重合トナーを製造する方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するための方法であって、少なくとも重合性単量体に着色剤を分散する分散工程と、該分散工程によって得られた処理物に他の添加剤を溶解・混合する溶解工程とを含むトナーの製造方法において、分散工程及び前記溶解工程は、有底筒状の攪拌槽と、この攪拌槽に収容された収容物を均一に攪拌する第一の攪拌翼と、この第一の攪拌翼よりも小さな攪拌翼直径を有し収容物を攪拌する第二の攪拌翼とを有する同一攪拌装置内で処理され、分散工程では、攪拌槽に収容された重合性単量体及び着色剤を第一及び第二の攪拌翼で攪拌することにより、重合性単量体へ着色剤を分散させ、溶解工程では、攪拌槽に収容された処理物及び他の添加剤を第一及び第二の攪拌翼で攪拌することにより、他の添加剤を溶解・混合させることを特徴とするトナーの製造方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明者等は鋭意検討の結果、顔料を重合性単量体中へ均一に分散させ、シャープな粒度分布を持つトナーを得、重合トナーの製造装置コストを低減するには、分散工程及び溶解工程を同一容器内で処理し、この時使用される攪拌装置が少なくとも二つ以上の、攪拌翼直径の異なる攪拌翼を有することが重要であることを見出した。
【0018】
本発明のトナーの製造方法では、顔料の分散に効果的な攪拌翼と処理物全体を均一に攪拌混合する攪拌翼とを同一容器内で使用し、顔料に適度なせん断力を付与し、かつ、槽内を均一に攪拌混合せしめることにより、微細に顔料の分散を行い、同時に、WAX等を均一に溶解せしめるのに好適であり、従来よりも微細でかつ均一な顔料の分散及びWAX等の溶解混合を行うことが可能となった。
【0019】
まず本発明において用いられる攪拌装置について説明する。この攪拌装置は、有底筒状の攪拌槽と、この攪拌槽に収容された収容物を均一に攪拌する第一の攪拌翼と、この第一の攪拌翼よりも小さな攪拌翼直径を有し収容物を攪拌する第二の攪拌翼とを有する。
【0020】
前記攪拌槽は、重合性単量体に着色剤を分散させるのに十分なものであれば特に限定されない。また攪拌槽の形状についても特に限定されず、例えば攪拌槽の胴部断面形状は円形の他、楕円形等の非円形、多角形等の形状であっても良い。
【0021】
前記第一の攪拌翼は、攪拌槽に収容された収容物を、攪拌槽全体に均一に攪拌することができる攪拌翼であれば特に限定されず、従来より知られている種々の形状の攪拌翼を用いることができる。このような第一の攪拌翼としては、図3や図4に示されているように、攪拌槽に設置したときに、攪拌槽底部に沿って延出し、かつ攪拌槽周壁に沿って前記周壁の長手方向に延出するコの字型の攪拌翼(アンカー翼)等が挙げられる。
【0022】
前記第二の攪拌翼は、第一の攪拌翼よりの小さな攪拌翼直径を有する攪拌翼であれば特に限定されず、従来より知られている種々の形状の攪拌翼を用いることができる。第二の攪拌翼は、攪拌時において収容物に対する剪断力が大きなものであることが好ましく、このような第二の攪拌翼としては、円盤部とこの円盤部の表面に設けられ円盤部の周方向に沿って断続的に設けられる突起とを有する攪拌翼が特に好ましい。
【0023】
第二の攪拌翼の具体例としてせん断力を効果的に付与する攪拌翼には、例えばディスクタービン翼、噴流式ホモジナイザー(クレアミックス:エム・テクニック株製、TKホモミキサー:特殊機化工業株製)、等が挙げられる。この中で、好ましいのは、ディスクタービン翼である。大量生産時を想定した場合、噴流式ホモジナイザーは、装置コストが高く、製造装置のコストダウンの点で好ましくない。
【0024】
さらにディスクタービン翼にも種々の形状の翼があるが、中でも特に好ましいのは、エッチドタービン(図5参照)である。エッチドタービンは、外周上に複数のエッジ(31)がついており、このエッジが顔料の凝集をほぐすのに、非常に効果的であり好ましい。
【0025】
本発明に用いられる攪拌装置の一例を図3に示す。
図3中において、(21)は処理タンクジャケット、(22)は攪拌槽である処理タンク、(23)は処理物、(24)はモータ、(25)は攪拌軸、(26)は第二の攪拌翼であるエッジドタービン、(27)は温水・冷却水導入口、(28)は温水・冷却水排出口、(29)はモータ、(30)は第一の攪拌翼であるアンカーパドルである。
【0026】
上記攪拌装置を用いた本発明のトナーの製造のうち、分散工程及び溶解工程について説明する。なお分散工程及び溶解工程で用いられる重合性単量体、着色剤、ワックス等のトナー材料については後に説明する。
【0027】
まず重合性単量体と着色剤を処理タンク(22)に投入し、処理タンクジャケット(21)内へ温水及び冷却水を温水・冷却水導入口(27)より導入し、温水・冷却水排出口(28)より排出し、タンク内の処理物(23)を所定の温度に保ち、モータ(29)を作動させ、アンカーパドル(30)を回転させる。次いでモータ(24)を作動させ、所定の回転数で攪拌軸(25)を回転させる。その際のエッジドタービン(26)の回転に伴う衝突・せん断・圧力変動などの効果により、所定時間経過後、均一で微細な分散状態が達成される。図3の攪拌装置では、アンカーパドル(30)の回転に伴い、処理タンク(22)の壁面部分及び底部が攪拌されるため、処理物(23)の滞留、顔料の沈降が防止される。
【0028】
次いで処理物(23)にワックス等の他の添加物を、例えば加温による液状状態などのように適当な形態で添加する。タンク内の処理物(23)は、アンカーパドル(30)によって全体的に攪拌され、エッジドタービン(26)によって剪断力の大きい攪拌が局所的に行われることから、他の添加物はすぐに処理物(23)中に均一に混合し、また着色剤の沈降や再凝集が防止される。
【0029】
また、後工程である、水系分散媒中に該微粒状重合性単量体混合物を投入しトナー粒子を生成する造粒工程、の直前まで、アンカーパドル(30)による全体攪拌と、エッジドタービン(26)による、微粒状重合性単量体混合物にせん断力を付与し続ける攪拌とが行われるため、顔料等の着色剤の再凝集が防止され、着色剤の分散状態の良好な重合性単量体を得ることができる。
【0030】
本発明では、該分散・溶解工程時において使用する、せん断力の大きな攪拌翼は一枚に限られる必要はなく、処理物の物性や処理量などに応じて、増減することが好ましい(図3、4参照)。通常、装置形状は相似でスケールUPを行うが、処理物が非ニュートン流体の場合など、必ずしも装置形状が相似では、スケールUPがうまくいかないケースがあり、攪拌翼の枚数を調整することが好ましい。さらには、高粘度の処理物などは、攪拌翼を複数枚にすることにより、分散の均一化が促進される。
【0031】
また本発明では、分散工程及び溶解工程において、第二の攪拌翼の直径をdとし、前記攪拌槽の内径をDとしたときに0.50≧d/D≧0.15であることが好ましく、さらには0.40≧d/D≧0.20であることがより好ましい。
【0032】
前記d/Dが上記範囲よりも小さいと、せん断力が不足し、均一な分散状態にするのに必要な処理時間が増加し好ましくない。また、上記範囲よりも大きいと、消費動力が攪拌羽直径dの5乗に比例し増加することからランニングコストが高く好ましくない。さらに、攪拌羽直径dが大きくなるにつれ、処理物界面に生じるボルテックスも大きくなる。それに伴い、タンク壁面への処理物の飛散の増加による付着の問題、また、処理物中への気泡の巻き込みが増加し、投下エネルギーが気泡に吸収され、分散効率が低下するため好ましくない。
【0033】
また本発明では、分散工程及び溶解工程において、第二の攪拌翼の周速をAとしたときに、40m/s≧A≧5m/sであることが好ましく、さらには30m/s≧A≧10m/sであることがより好ましい。
【0034】
前記Aが上記範囲よりも小さいと、せん断力が周速に比例することから、十分なせん断力が得られず、所望の分散状態を達成できず好ましくない。また上記範囲よりも大きいと、消費動力が回転数の3乗に比例し増加することから、モータが肥大化し設備投資が大きくなり好ましくない。
【0035】
また本発明では、分散工程及び溶解工程において、第二の攪拌翼の攪拌槽内における据え付け位置は、処理物の比重及び粘度に応じ適宜、中心若しくは偏心させることが好ましい。また分散工程及び溶解工程において、第一及び第二の攪拌翼の回転方向については特に限定されないが、第一及び第二の攪拌翼の回転方向が逆の場合、同方向の場合に比べ、処理物に強い剪断力を付与し、かつ、タンク内がより乱流状態となり、均一な状態になるため好ましい。
【0036】
また本発明では、分散工程及び溶解工程において、第二の攪拌翼の攪拌翼直径をdとし、第二の攪拌翼から攪拌槽内の処理物液面位置までの距離をBとしたときに、Bはdよりも大きいことが好ましく、さらには1.5倍以上であることがより好ましい。
【0037】
前記B及びdの関係が上記数値よりも小さいと、処理物中への気体の巻き込みが激しく、攪拌エネルギーが気泡に吸収され、分散効率が低下するため好ましくない。さらには、処理物のタンク壁面への飛散が激しく、ハンドリング性が悪く、かつ、固形分濃度が変化するため、好ましくない。
【0038】
また本発明では、分散工程において、同軸上に少なくとも第二の攪拌翼を二枚設置した場合、第二の攪拌翼間の距離をCとしたときに、Cはdの0.5倍以上であることが好ましく、さらには1.0倍以上であることがより好ましい。
【0039】
前記Cとdの関係が上記数値よりも小さいと、下側の第二の攪拌翼による流れと上側の第二の攪拌翼による流れとが互いに大きく干渉しあうため理想的な流動状態が得られず、分散の効率が悪く好ましくない。
【0040】
以上のことからわかるように、分散工程及び溶解工程を同一容器内で処理し、この時使用される攪拌装置が、少なくとも二つ以上の異なる攪拌翼を有することにより、次工程である水系分散媒中に該微粒状重合性単量体混合物を投入し、トナー粒子を生成する造粒工程直前まで、微粒状重合性単量体混合物にせん断力を付与し続けることができ、さらに槽内部を均一に攪拌混合できるため、顔料の再凝集や槽底部における顔料の沈降が防止でき、均質に顔料がトナー中に分散している、シャープな粒度分布を有するトナーを効率よく製造できる。さらには、従来に比べ、製造工程も削減でき、コストパフォーマンスも高く有利である。
【0041】
また、分散工程時、メディアを使用しないためメディアのコンタミもない。さらには、顔料に水系媒体中でカップリング剤を加水分解しながら表面処理した磁性体を用いた場合、一般のメディアによる分散機で行うと磁性体の表面への衝撃力が非常に大きく、表面処理された部分が剥がれ落ち、本来の磁性体の表面が露出し、互いに静電気的に引き付け合い凝集するため、均一に分散を達成することが困難であり、放置安定性も良くない。しかし、前述したような攪拌装置を用いる本発明では、表面処理された部分を損傷することなしに均一な分散を達成することが可能であり有利である。
【0042】
次に本発明のトナーの製造方法で製造されるトナーについて説明する。本発明は、結着樹脂と着色剤を少なくとも含むトナーを重合法によって製造するものであり、重合によって結着樹脂を形成する重合性単量体としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。
【0043】
本発明に係わるトナーの製造においては、重合性単量体系に樹脂を添加して重合しても良い。水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できない重合性単量体、例えばアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルホン酸基、グリシジル基、ニトリル基等親水性官能基含有の単量体成分をトナー中に導入したい時には、これらとスチレンあるいはエチレン等ビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体等、共重合体の形にして、あるいはポリエステル、ポリアミド等の重縮合体、ポリエーテル、ポリイミン等重付加重合体の形で使用が可能となる。
【0044】
本発明に使用されるポリエステル樹脂を構成するアルコール成分と酸成分を以下に例示する。
【0045】
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、水素化ビスフェノールA、式(I)で示されるビスフェノール誘導体及びその水添物、また式(II)で示されるジオール及びその水添物等が挙げられる。
【0046】
【化1】
Figure 0003789092
[式中、Rはエチレン又はプロピレン基であり、x、yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。]
【化2】
Figure 0003789092
【0047】
二価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸又はその無水物、またさらに炭素数6〜18のアルキル又はアルケニル基で置換されたコハク酸若しくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。
【0048】
さらに、アルコール成分としてグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの如き多価アルコールが挙げられ、酸成分としてトリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物の如き多価カルボン酸が挙げられる。
【0049】
前記ポリエステル樹脂は全成分中45〜55モル%がアルコール成分であり、55〜45モル%が酸成分であることが好ましい。
【0050】
本発明においては、得られるトナー粒子の物性に悪影響を及ぼさない限り二種以上のポリエステル樹脂を併用したり、例えばシリコーンやフルオロアルキル基含有化合物によりポリエステル樹脂を変性したりして物性を調製することも好適に行われる。また、極性官能基を含む高分子重合体を使用する場合、その平均分子量は5,000以上が好ましく用いられる。
【0051】
また、上記以外の樹脂を単量体系中に添加しても良く、用いられる樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが単独或いは混合して使用できる。
【0052】
これら樹脂の添加量としては、重合性単量体100質量部に対し1〜20質量部が好ましい。1質量部未満では添加効果が小さく、一方20質量部以上添加すると重合トナーの種々の物性設計が難しくなる。さらに、重合性単量体を重合して得られるトナーの分子量範囲とは異なる分子量の重合体を重合性単量体中に溶解して重合しても良い。
【0053】
次に本発明で製造されるトナーに含まれる着色剤について説明する。まず着色剤として好適に用いることのできる磁性体について説明する。
【0054】
磁性体表面は親水性であり、重合性単量体は疎水性である。このため磁性体表面が親水性であると、分散工程及び溶解工程後における重合時に、分散性の良好なトナーを得ることは非常に困難である。このため本発明では着色剤として磁性体を用いる場合はカップリング剤で疎水化処理されている磁性体を用いることが好ましい。
【0055】
着色剤として疎水化処理された磁性体を用いる場合でも、分散媒である重合性単量体と磁性体のなじみが良くないものは、磁性体の分散が劣るものとなる傾向にある。
【0056】
従来、重合トナーに使用される磁性体の表面改質に関しては、数多く提案されている。例えば、特開昭59−200254号公報、特開昭59−200256号公報、特開昭59−200257号公報、特開昭59−224102号公報等に磁性体の各種シランカップリング剤処理技術が提案されており、特開昭63−250660号公報では、ケイ素元素含有磁性粒子をシランカップリング剤で処理する技術が開示されている。
【0057】
しかしながら、これらの処理により磁性体表面の疎水化を均一に行うことが困難であるという問題があり、したがって磁性体同士の合一や疎水化されていない磁性体粒子の発生を避けることができず、粒度分布も広いものとなってしまうことが多い。
【0058】
また、疎水化磁性酸化鉄を用いる例として特開昭54−84731号公報にアルキルトリアルコキシシランで処理した磁性酸化鉄を含有するトナーが提案されている。この磁性酸化鉄の添加により、確かにトナーの電子写真諸特性は向上しているものの、磁性酸化鉄の表面活性は元来小さく、処理の段階で合一粒子が生じたり、疎水化が不均一であったりで、必ずしも満足のいくものではない。
【0059】
また、小粒径の磁性体を用いた場合、均一な処理がより困難なものとなり、本発明に適用するにはさらなる改良が必要である。
【0060】
さらに、磁性体の内包性向上の為、処理剤等を多量に使用したり、高粘性の処理剤等を使用した場合、疎水化度は確かに上がるものの、粒子同士の合一等が生じやすい。
【0061】
このように、従来の表面処理磁性体を用いた重合トナーでは、表面処理の均一性は必ずしも達成されておらず、トナー中に磁性体を均一に分散することは難しい。
【0062】
そこで、本発明に使用される磁性体においては、その粒子表面を疎水化する際、水系媒体中で、磁性体粒子を一次粒径となるよう分散しつつカップリング剤を加水分解しながら表面処理する方法を用いることが非常に好ましい。この疎水化処理方法は気相中で処理するより、磁性体粒子同士の合一が生じにくく、また疎水化処理による磁性体粒子間の帯電反発作用が働き、磁性体はほぼ一次粒子の状態で表面処理される。
【0063】
カップリング剤を水系媒体中で加水分解しながら磁性体表面を処理する方法は、クロロシラン類やシラザン類のようにガスを発生するようなカップリング剤を使用する必要もなく、さらに、これまで気相中では磁性体粒子同士が合一しやすくて良好な処理が困難であった高粘性のカップリング剤も使用できるようになり、疎水化の効果は絶大である。
【0064】
本発明に係わる磁性体の表面処理において使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、下記一般式で示されるものである。
【0065】
【化3】
mSiYn
[式中、Rはアルコオキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、グリシドキシ基、メタクリル基の如き炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す。]
【0066】
このようなシランカップリング剤としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピリトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0067】
この中で、磁性体の分散性の向上には、二重結合を有するシランカップリング剤を用いる事が好ましく、フェニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランがより好ましい。これは、特に懸濁重合を行う場合、二重結合を有するカップリング剤で処理すると、磁性体と重合性単量体とのなじみが良好になる為であると考えられ、トナー粒子中での磁性体の分散性が良好なものとなる。
【0068】
しかし、これら二重結合を有するカップリング剤のみの使用では、磁性体に十分な疎水性を持たせる事は困難であり、疎水性が十分でない磁性体がトナー表面に露出する等の影響により、トナーの粒度分布も広い物となってしまう傾向にある。この理由は定かではないが、カップリング剤自身の疎水性や、磁性体表面の活性基との反応性、及び、磁性体表面の被覆性が劣る事によるものであると考えている。このため、十分な疎水性を得る為に以下の式で示されるアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を併用する事がより好ましい。
【0069】
【化4】
p2p+1−Si−(OCq2q+13
[式中、pは2〜20の整数を示し、qは1〜3の整数を示す]
【0070】
上記式におけるpが2より小さいと疎水化処理は容易となるが、疎水性を十分に付与することが困難であり、トナー粒子からの磁性粒子の露出を抑制するのが難しくなる。またpが20より大きいと疎水性は十分になるが、磁性体粒子同士の合一が多くなり、磁性体粒子を十分に分散性させることが困難になり、粒度分布がブロード気味になる。
【0071】
また、qが3より大きいとシランカップリング剤の反応性が低下して疎水化が十分に行われにくくなる。
【0072】
特に式中のpが2〜20の整数(より好ましくは、3〜15の整数)を示し、qが1〜3の整数(より好ましくは、1又は2の整数)を示すアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用するのが良い。
【0073】
前述のごときシランカップリング剤の処理量は磁性体100質量部に対して、シランカップリング剤が総量で0.05〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部であり、磁性体の表面積、カップリング剤の反応性に応じて処理剤の量を調整する事が好ましい。
【0074】
ここで前記水系媒体とは水を主要成分としている媒体である。具体的には水系媒体として水そのもの、水に少量の界面活性剤を添加したもの、水にpH調製剤を添加したもの、水に有機溶剤を添加したものが上げられる。界面活性剤としては、ポリビニルアルコールの如きノンイオン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、水に対して0.1〜5wt%添加するのが良い。pH調製剤としては、塩酸の如き無機酸が挙げられ、有機溶剤としてはアルコール類等が挙げられる。
【0075】
表面処理時における撹拌は、例えば撹拌羽根を有する混合機(具体的には、アトライター、TKホモミキサーの如き高剪断力混合装置)で、磁性体粒子が水系媒体中で、一次粒子になるように十分に行うのが良い。
【0076】
なお、複数種のシランカップリング剤を用いる場合、これらのシランカップリング剤間における投入のタイミングは任意であり、同時あるいは時間差をもって複数種のカップリング剤を投入し、磁性体の処理を行う。
【0077】
本発明において用いられる磁性体は、リン、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ケイ素などの元素を含んでもよい四三酸化鉄やγ−酸化鉄等の酸化鉄を主成分とするものであり、一種又は二種以上併用して用いられる。これら磁性体は、窒素吸着法によるBET比表面積が好ましくは2〜30m2/g、特に3〜28m2/g、さらにモース硬度が5〜7のものが好ましい。
【0078】
本発明に用いる磁性体の疎水化度は35%から95%であることが好ましい。疎水化度は磁性体表面の処理剤の種類及び量により任意に変える事が可能である。疎水化度とは磁性体の親水性を示しており、疎水化度が低いものは親水性が高い事を意味する。そのため、疎水化度が低い磁性体を用いた場合、本発明に好適に用いられる懸濁重合法では、造粒中に磁性体が水系に移行してしまい、粒度分布がブロードになると共に、磁性体がトナー表面に露出、あるいはトナーから遊離して存在する事になり好ましくない。また、重合性単量体中での分散性も劣るもものとなりやすい。
【0079】
一方、疎水化度を95%以上とするためには、磁性体表面の処理材を多量に使用せねばならず、このような状態では磁性体の合一が生じ易く、処理の均一性が損なわれてしまう傾向にある。
【0080】
なお、磁性体の疎水化度は以下の方法により測定することができる。
磁性体の疎水化度の測定はメタノール滴定試験により行う。メタノール滴定試験は、疎水化された表面を有する磁性体の疎水化度を確認する実験的試験である。メタノールを用いた疎水化度測定は次のように行う。磁性体0.1gを容量250mlのビーカーの水50mlに添加する。その後メタノールを液中に徐々に添加し滴定を行う。この際メタノールは液底部より供給し、緩やかに攪拌しながら行う。磁性粒子の沈降終了は、液面に磁性体の浮遊物が確認されなくなった時点とし、疎水化度は、沈降終了時点に達した際のメタノール及び水混合液中のメタノールの体積百分率として表される。
【0081】
本発明に用いられる磁性体は、結着樹脂(又は重合性単量体)100質量部に対して、10質量部乃至200質量部を用いることが好ましい。さらに好ましくは20〜180質量部を用いることが良い。10質量部未満ではトナーの着色力が乏しく、カブリの抑制も困難である。一方、200質量部を越えると、トナー担持体への磁力による保持力が強まり現像性が低下したり、個々のトナー粒子への磁性体の均一な分散が難しくなるだけでなく、定着性が低下してしまうことがある。
【0082】
なお、トナー中の磁性体の含有量の測定は、パーキンエルマー社製熱分析装置、TGA7で測定することができる。測定方法は、窒素雰囲気下において昇温速度25℃/分で常温から900℃までトナーを加熱し、100℃から750℃まで間の減量重量%を結着樹脂量とし、残存重量を近似的に磁性体量とする。
【0083】
本発明に用いられる磁性体は、例えばマグネタイトの場合、下記方法で製造される。
【0084】
まず第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量又は当量以上の水酸化ナトリウムの如きアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHをpH7以上(好ましくはpH8〜14)に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応を行い、磁性酸化鉄粒子の芯となる種晶をまず生成する。
【0085】
次に、種晶を含むスラリー状の液に前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを6〜14に維持しながら空気を吹き込み、水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄粒子を成長させる。酸化反応が進むにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは6未満にしない方が好ましい。
【0086】
酸化反応の終期に液のpHを調製し、磁性酸化鉄が一次粒子になるよう十分に攪拌し、カップリング剤を添加して十分に混合攪拌し、攪拌後に濾過し、乾燥し、軽く解砕することで疎水性処理磁性酸化鉄粒子が得られる。あるいは、酸化反応終了後、洗浄、濾過して得られた酸化鉄粒子を、乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを調製し、十分攪拌しながらシランカップリング剤を添加し、カップリング処理を行っても良い。いずれにせよ、酸化反応終了後に乾燥工程を経ずに表面処理を行うことが肝要であり、本発明における重要なポイントである。
【0087】
第一鉄塩としては、一般的に硫酸法チタン製造に副生する硫酸鉄、鋼板の表面洗浄に伴って副生する硫酸鉄の利用が可能であり、さらに塩化鉄等が可能である。
【0088】
水溶液法による磁性酸化鉄の製造方法は一般に反応時の粘度の上昇を防ぐこと、及び、硫酸鉄の溶解度から鉄濃度0.5〜2mol/lが用いられる。硫酸鉄の濃度は一般に薄いほど製品の粒度が細かくなる傾向を有する。また、反応に際しては、空気量が多い程、そして反応温度が低いほど微粒化しやすい。
【0089】
このようにして製造された疎水性磁性体粒子を材料を使用すると、帯電性が安定しており、転写効率が高く、高画質及び高安定性が可能なトナーを得ることが可能となる。
【0090】
次に、本発明のトナーの製造方法として好適に用いることのできる、上記磁性体以外の着色剤として、カーボンブラック及び以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤が挙げられる。
【0091】
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168、180等が好適に用いられる。
【0092】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48;2、48;3、48;4、57;1、81;1、122、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
【0093】
本発明に用いられるシアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用される。
【0094】
これらの着色剤は、単独又は混合しさらには固溶体の状態で用いることができる。本発明の着色剤は、色相角、彩度、明度、耐侯性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は、結着樹脂(又は重合性単量体)100質量部に対し1〜20質量部添加して用いられる。
【0095】
本発明では、前述した重合性単量体に着色剤を分散工程にて分散し、得られた処理物に他の添加剤を溶解工程にて溶解・混合する。本発明に用いられる他の添加剤としては、前記処理物に溶解するものであれば特に限定されず、例えばワックス等、重合性単量体に可溶なトナー材料成分や、重合開始剤や架橋剤等、トナーの製造に用いられる製造用の材料などが挙げられる。なお、前記処理物に溶解しない添加物は、分散工程にて添加、分散させることができる。
【0096】
他の添加剤として本発明に用いられる離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等天然ワックス及びその誘導体などで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。
【0097】
さらには、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックスなども使用できる。
【0098】
本発明ではトナーの製造において荷電制御剤を用いても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用できる。さらに、トナーを直接重合法を用いて製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
【0099】
具体的な化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩又は金属錯体、スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。ポジ系荷電制御剤として四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。
【0100】
荷電制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー母粒子内部に添加する方法と外部添加する方法がある。これらの荷電制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、内部添加する場合は、好ましくは結着樹脂(又は重合性単量体)100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。また、外部添加する場合、トナー100質量部に対し好ましくは0.005から1.0質量部、より好ましくは0.01から0.3質量部である。
【0101】
本発明のトナーの製造において使用される重合開始剤としては、重合反応時に半減期0.5〜30時間であるものを、重合性単量体に対し0.5〜20質量部の添加量で重合反応を行うと、分子量1万〜10万の間に極大を有する重合体を得、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与えることができる。
【0102】
重合開始剤例としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
【0103】
本発明にてトナーを製造するに当たっては、架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量としては、重合性単量体100部に対し0.001〜15重量%である。
【0104】
ここで架橋剤としては、主として二個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を二個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び三個以上のビニル基を有する化合物;が単独若しくは混合物として用いられる。
【0105】
本発明では、一旦得られた重合粒子にさらに重合性単量体を吸着せしめた後、重合開始剤を用い重合せしめるシード重合方法も好適に利用することができる。このとき、吸着せしめる重合性単量体中に、極性を有する化合物を分散あるいは溶解させて使用することも可能である。
【0106】
前述した分散工程及び溶解工程にて得られた処理物である重合性単量体系は、懸濁重合法等の重合法によって重合粒子を形成することでトナー粒子とし、必要に応じて外添剤やキャリア粒子等を混合してトナーとすることができる。
【0107】
ここでトナーの好適な製造方法である懸濁重合おいては、一般に上述のトナー組成物、すなわち重合性単量体中に顔料、離型剤、可塑剤、荷電制御剤、架橋剤等トナーの材料としての成分、及びその他の添加剤、例えば重合反応で生成する重合体の粘度を低下させるために入れる有機溶媒、高分子重合体、分散剤等を適宜加えて、均一に溶解又は分散せしめた重合性単量体系を、分散安定剤を含有する水系分散媒中に懸濁する。
【0108】
この時、高速撹拌機若しくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に分散し、所望の粒径の液滴粒子を形成することが、得られるトナー粒子の粒径をシャープにする上で好ましい。重合開始剤添加の時期としては、重合性単量体系に他の添加剤を添加する時と同時であっても良いし、水系分散媒中に重合性単量体系を懸濁する直前であっても良い。また、造粒中、造粒直後、重合反応を開始する前に、重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加える事もできる。造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持されかつ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。
【0109】
前述のようなトナーの製造(重合)工程においては、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機、無機分散剤が使用でき、中でも無機分散剤は、有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いので、好ましく使用できる。
【0110】
こうした無機分散剤の例としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナ等の無機酸化物が挙げられる。
【0111】
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2〜20質量部を単独で使用する事が望ましいが、超微粒子を発生し難いもののトナーを微粒子化するのには性質上やや不十分な傾向にあるので、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。
【0112】
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
【0113】
前記無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系分散媒中にて前記無機分散剤粒子を生成させて用いることができる。例えば、燐酸カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系分散媒中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合に依る超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。
【0114】
重合反応終期に残存重合性単量体を除去する時には、分散媒中の無機分散剤が重合性単量体除去の障害となることから、水系分散媒を交換するか、イオン交換樹脂で脱塩した方が良い。無機分散剤は、重合終了後、酸あるいはアルカリで溶解してほぼ完全に取り除くことができる。
【0115】
前記重合工程においては、重合温度を40℃以上、一般には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。この温度範囲で重合を行うと、内部に封じられるべき離型剤やワックスの類が、相分離により析出して内包化がより完全となる。残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90〜150℃にまで上げる事は可能である。
【0116】
重合トナー粒子は重合終了後、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、無機微粉体を混合し表面に付着させることで、トナーを得ることができる。また、製造工程に分級工程を入れ、粗粉や微粉をカットすることも、本発明の望ましい形態の一つである。
【0117】
本発明では、前述した重合工程にて得られたトナー粒子に、流動化剤として個数平均一次粒子径4〜80nmの無機微粉末を添加することも好ましい形態である。本発明で用いられる無機微粉末としては、シリカ、アルミナ、酸化チタンなどが使用できる。
【0118】
例えば、ケイ酸微粉体としてはケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2-等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、前記乾式シリカはそれらも包含する。
【0119】
平均一次粒径が4〜80nmの無機微粉末の添加量は、トナー母粒子に対して0.1〜3.0重量%であることが好ましく、添加量が0.1重量%未満ではその効果が十分ではなく、3.0重量%以上では定着性が悪くなる傾向にある。なお無機微粉末の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量できる。
【0120】
無機微粉末は、疎水化処理された物であることが高温高湿環境下での特性から好ましい。疎水化処理の処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカッブリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物の如き処理剤を単独で使用或いは併用することが可能である。
【0121】
無機微粉末の処理方法としては、例えば第一段反応としてシリル化反応を行いシラノール基を化学結合により消失させた後、第二段反応としてシリコーンオイルにより表面に疎水性の薄膜を形成する方法が挙げられる。
【0122】
上記シリコーンオイルは、25℃における粘度が10〜200,000mm2/sのものが、さらには3,000〜80,000mm2/sのものが好ましい。10mm2/s未満では、無機微粉末に安定性がなく、熱及び機械的な応力により、画質が劣化する傾向がある。200,000mm2/sを超える場合は、均一な処理が困難になる傾向がある。
【0123】
使用されるシリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が特に好ましい。
【0124】
シリコーンオイルの処理の方法としては、例えばシラン化合物で処理されたシリカとシリコーンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合してもよいし、シリカにシリコーンオイルを噴霧する方法を用いてもよい。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、シリカ微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法でもよい。無機微粉末の凝集体の生成が比較的少ない点で噴霧機を用いる方法がより好ましい。シリコーンオイルの処理量はシリカ100質量部に対し1〜40質量部、好ましくは3〜35質量部が良い。
【0125】
本発明で用いられるシリカは、トナーに良好な流動性を付与させる為に、窒素吸着によるBET法で測定した比表面積が20〜350m2/gの範囲内のものが好ましく、より好ましくは25〜300m2/gのものがさらに良い。比表面積はBET法に従って、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで求めることができる。
【0126】
また本発明では、クリーニング性向上等の目的で、一次粒径30nmを超える(好ましくは比表面積が50m2/g未満)、より好ましくは一次粒径50nm以上(好ましくは比表面積が30m2/g未満)の無機又は有機の球状に近い微粒子を前述したトナー粒子にさらに添加することも好ましい形態のひとつである。このような微粒子としては、例えば球状シリカ粒子、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂粒子等が好ましくは挙げられる。
【0127】
本発明には、実質的な悪影響を与えない範囲内でさらに他の外部添加剤、例えばテフロン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末、あるいは酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤、あるいは例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末などの流動性付与剤、ケーキング防止剤、また、逆極性の有機微粒子、及び無機微粒子を現像性向上剤として少量用いる事もできる。これらの添加剤も表面を疎水化処理して用いることも可能である。
【0128】
本発明おいて製造されるトナーは、一成分現像剤として使用できる。例えば、一成分系現像剤として、磁性体をトナー中に含有せしめた重合トナーの場合には、現像スリーブ中に内蔵せしめたマグネットを利用し、重合トナーを搬送及び帯電せしめる方法がある。しかし、必ずしも上記のような一成分現像剤に限られる必要はなく、二成分現像剤として用いても良い。
【0129】
二成分系現像剤として用いる場合には、本発明で製造されたトナーと共に、キャリアを用い現像剤として使用する。磁性キャリアは、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム元素からなる元素を単独で含むか又は複合フェライト状態で構成される。磁性キャリアの形状として、球状、扁平又は不定形がある。
【0130】
さらに磁性キャリア粒子表面状態の微細構造(例えば表面凹凸性)をもコントロールすることが好ましい。一般的には、上記無機酸化物を焼成、造粒することにより、あらかじめ、磁性キャリアコア粒子を生成した後、樹脂にコーティングする方法が用いられている。磁性キャリアのトナーへの負荷を軽減する意味合いから、無機酸化物と樹脂を混練後、粉砕、分級して低密度分散キャリアを得る方法や、さらには、直接無機酸化物とモノマーとの混練物を水系媒体中にて懸濁重合せしめ真球状の磁性キャリアを得る方法も利用することが可能である。
【0131】
上記キャリア粒子の表面を樹脂で被覆する被覆キャリアは、特に好ましい。その方法としては、樹脂を溶剤中に溶解若しくは懸濁せしめて塗布しキャリアに付着せしめる方法、単に樹脂粉体とキャリア粒子とを混合して付着させる方法が適用できる。
【0132】
キャリア粒子表面への固着物質としては、トナー材料により異なるが、例えばポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアシド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂などが挙げられる。これらは単独或いは複数で用いられる。
【0133】
キャリアの磁性特性は以下のものが良い。磁気的に飽和させた後の、磁界の強さ79.6kA/mにおける磁化の強さ(σ1000)は3.77乃至37.7μWb/cm3であることが好ましい。さらに高画質化を達成するために、好ましくは12.6乃至31.4 Wb/cm3であることがよい。37.7μWb/cm3より大きい場合には、高画質なトナー画像が得られにくくなる。3.77Wb/cm3未満であると、磁気的な拘束力も減少するためにキャリア付着を生じやすい。
【0134】
本発明で製造されたトナー粒子と磁性キャリアとを混合して二成分現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2質量%〜15質量%、好ましくは4質量%〜13質量%にすると通常良好な結果が得られる。
また、本発明においては、トナーの平均粒径及び粒度分布はコールターカウンターTA−II型あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)等種々の方法で測定可能であるが、本発明においてはコールターマルチサイザー(コールター社製)を用い、これに、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続し、電解液として1級塩化ナトリウムを用いた1%NaCl水溶液を調製することが好ましい。この他に電解液には例えばISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。
【0135】
測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーによりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて2μm以上のトナー粒子の体積、個数を測定し、体積分布と個数分布とを算出する。それから、本発明に係わる所の体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(D4:各チャンネルの中央値をチャンネルの代表値とする)と個数分布から求めた個数基準の長さ平均粒径(D1)と個数変動係数を求める。
【0136】
個数変動係数は下記式で示される。なお式中、Sはトナー粒子の体積分布における標準偏差を示し、D1はトナー粒子の個数平均粒径(μm)を示す。すなわち個数変動係数は、その値が小さいほどトナー粒子の粒度分布がシャープであり、値が大きいとトナー粒子の粒度分布がブロードであることを示す。
【数1】
個数変動係数=[S/D1]×100
【0137】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。尚、以下の配合における部数は全て質量部である。
【0138】
<表面処理磁性体の製造例(1)>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.0〜1.1当量の苛性ソーダ溶液を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。次いでこの水溶液のpHを9前後に維持しながら空気を吹き込み、80〜90℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調整した。次いでこのスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し、0.9〜1.2当量となるよう硫酸第一鉄不要液を加えた後、スラリー液をpH8に維持し、空気を吹き込み、80〜90℃で酸化反応を行い、磁性粒子のスラリー液を調整した。洗浄、濾過した後この含水スラリーを一旦取り出した。この時、含水サンプルを少量採取し、含水量を計っておいた。
【0139】
次に、この含水スラリーを乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを約6に調製し、十分攪拌しながらγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランカップリング剤を1.3重量部(磁性粒子の量は含水サンプルから含水量を引いた値として計算した)添加し、カップリング処理を行った。生成した疎水性磁性粒子を常法により洗浄、濾過、乾燥し、得られた粒子を十分解砕処理し、体積平均粒径が0.19μmの表面処理磁性体(1)を得た。
【0140】
<磁性体の製造例(1)>
表面処理磁性体の製造例1と同様に酸化反応を進め、酸化反応後に生成した磁性酸化鉄粒子を洗浄、濾過後、表面処理を行わずに乾燥し、凝集している粒子を解砕処理し磁性体(1)を得た。
【0141】
<実施例1>
図3示す分散・溶解装置を使用した。
スチレン: 80部
負荷電性制御剤(モノアゾ染料系のFe化合物) 1部
n−ブチルアクリレート: 20部
不飽和ポリエステル樹脂: 0.5部
飽和ポリエステル樹脂: 5部
表面処理磁性体(1): 100部
【0142】
上記処方を、処理タンク(22)に投入後、処理タンクジャケット(21)内へ温水を、温水・冷却水導入口(27)より導入し、排出口(28)より排出し、処理物(23)を約60℃まで30分かけて昇温しながら、モーター(24)を作動させ、約36.7rpsで攪拌軸(25)を、約1.5rpsにてアンカー翼(30)を回転させ顔料の分散を開始した。また、攪拌翼(26)には、図5に示すエッジドタービンを用い、処理タンク内径600mm、撹拌翼径133mmのものを使用し、d/D=0.22に設定した。この時、攪拌翼(26)の周速は、約15m/sであった。
【0143】
次いで、処理物温度が60度に達した時点で、エステルワックス(DSCにおける吸熱ピークの極大値72℃):10部を添加し、引き続き運転を行い、90分経過した後、重合開始剤t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサネート:3部を添加して、微粒状重合性単量体混合物を得た。
【0144】
一方高速攪拌装置TK−ホモミキサーを備えた容器中にイオン交換水720質量部に0.1モル−Na3PO4水溶液450質量部と1N塩酸を16質量部を添加し回転数を200rpsに調整し、60℃の加温せしめた。ここに1.0モル/リットル−CaCl2水溶液68質量部を添加し微少な難水溶性分散剤Ca3(PO42を含む分散媒体系を調整した。温度60℃に加温した微粒状重合性単量体混合物を温度60℃に加温した分散媒体系中に投入し、TK−ホモミキサーを240rpsで回転させながら15分間造粒した。
【0145】
その後高速攪拌機からプロペラ攪拌羽に攪拌機を変え、80℃に昇温し8時間反応させた。重合終了後スラリーを一部分サンプリングし、少量サンプリングを行い、粒度分布を測定すると共に光学顕微鏡にて、造粒時の液滴を観察したところ白球は存在せず、均一に磁性体が分散していた。結果を表1に記す。
【0146】
重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、希塩酸を添加して分散剤を溶解し、固液分離、水洗、ろ過、乾燥することにより重合トナー粒子を得た。また、重合終了時、少量サンプリングを行い、コールターマルチサイザーで粒度分布を測定した。結果を表1に示す。
【0147】
その後、該重合粒子100部と、一次粒径12nmのシリカにヘキサメチルジシラザンで処理をした後シリコーンオイルで処理し、処理後のBET値が120m2/gの疎水性シリカ微粉体1.0部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、現像剤を調製した。
【0148】
この現像剤を用いて、キヤノン製LBP1760改造機にて、15℃/10%下で画出しを行った。画出し終了後、画像濃度の測定を行った。画像濃度はベタ画像部を形成し、このベタ画像をマクベス反射濃度計(マクベス社製)にて測定を行った。結果を表1に示す。
【0149】
<実施例2>
攪拌翼(26)の翼径を250mmとし、d/D=0.42に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。分散・溶解工程時の撹拌条件、造粒工程時及びその他のトナーの物性値を表1にまとめて記す。
【0150】
<実施例3>
攪拌翼(26)の翼径を110mmとし、d/D=0.18に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。分散・溶解工程時の撹拌条件、造粒工程時及びその他のトナーの物性値を表1にまとめて記す。
【0151】
<実施例4>
攪拌翼(26)の翼径を360mmとし、d/D=0.42に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。分散・溶解工程時の撹拌条件、造粒工程時及びその他のトナーの物性値を表1にまとめて記す。
【0152】
<実施例5>
攪拌翼(26)の翼径を60mmとし、d/D=0.10に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。分散・溶解工程時の撹拌条件、造粒工程時及びその他のトナーの物性値を表1にまとめて記す。
【0153】
<実施例6>
攪拌翼(26)の周速を8m/sに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。分散・溶解工程時の撹拌条件、造粒工程時及びその他のトナーの物性値を表1にまとめて記す。
【0154】
<実施例7>
攪拌翼(26)の周速を35m/sに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。分散・溶解工程時の撹拌条件、造粒工程時及びその他のトナーの物性値を表1にまとめて記す。
【0155】
<実施例8>
攪拌翼(26)の周速を3m/sに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。分散・溶解工程時の撹拌条件、造粒工程時及びその他のトナーの物性値を表1にまとめて記す。
【0156】
<実施例9>
攪拌翼(26)の周速を50m/sに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。分散・溶解工程時の撹拌条件、造粒工程時及びその他のトナーの物性値を表1にまとめて記す。
【0157】
<実施例10>
攪拌翼(26)の形状を図6のプロペラ翼に変更した以外は、実施例6と同様の操作を行った。分散・溶解工程時の撹拌条件、造粒工程時及びその他のトナーの物性値を表1にまとめて記す。
【0158】
<参考例1>
原材料の表面処理磁性体(1)を磁性体(1)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。分散・溶解工程時の撹拌条件、造粒工程時及びその他のトナーの物性値を表1にまとめて記す。
【0159】
<比較例1>
図3の装置を使用し、実施例1と同条件で2時間にかけて顔料の分散を行った。その後、図2に示す装置内に分散物を移送し、30分かけて60℃まで昇温しながらモーター(10)を始動し、1.5rpsで攪拌翼(11)の攪拌を開始した。
【0160】
次いで、処理物温度が60℃に達した時点でエステルワックス(DSCにおける吸熱ピークの極大値72℃):10部を添加し、引き続き運転を行い、90分経過した後、重合開始剤t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサネート:3部を添加して微粒状重合性単量体混合物を得た。これ以降については、実施例1と同様の操作を行った。分散工程時の撹拌条件、造粒工程時及びその他のトナーの物性値を表1にまとめて記す。
【0161】
<比較例2>
図1に示すメディア型分散機に直径1mmのメディア粒子(3)(ジルコニア製)を20kg充填(充填量55%)した後、処理タンク(1)内に実施例1と同組成の重合性単量体混合物(2)を投入し、大気圧の状態で処理タンク(1)を周速1.5m/sで60分攪拌し分散を行った。
【0162】
次いで、図2に示す装置に分散物を移送した。分散工程以降、比較例1と同様の操作を行った。分散工程時の撹拌条件、被処理物及びトナーの物性値を表1にまとめて記す。
【0163】
【表1】
Figure 0003789092
【0164】
なお、表中における評価基準を以下に示す。
【0165】
<個数変動係数>
反応工程終了時においてサンプリングし、粒度分布を測定し、個数変動係数を計算した。値が小さいほど粒度分布がシャープであることを示す。
A:28.0%未満
B:28.1%以上32.0%未満
C:32.1%以上36.0%未満
D:36.1%以上
【0166】
<白球>
造粒時に白球を観察した。なお白球とは、顔料が含有されない、もしくは顔料の含有率の低いトナー粒子のことであり、光学式顕微鏡によって観察される。白球が少ないほど、処理物中での顔料の分散が均一であることを意味する。
A:白球なし。
B:やや白球が観察される。
C:白球観察されるが、実用上問題ないレベル。
D:白球観察される、実用上問題好ましくないレベル。
【0167】
<画像濃度>
A:1.4以上
B:1.4未満1.2以上
C:1.2未満1.0以上
D:1.0未満
【0168】
<実施例11>
下記のようにして、水系分散媒及び重合性単量体組成物を調製した。
【0169】
(1)水系分散媒の調製
高速攪拌装置TK−ホモミキサーを備えた容器中で、下記の成分を混合し、60℃に加温した後、200rpsで撹拌した。
・水 950質量部
・0.1モル/リットル−Na3PO4水溶液 450質量部
【0170】
次に容器内を窒素置換すると共に、これに1.0モル/リットルのCaCl2水溶液68質量部を添加して反応させ、リン酸カルシウム塩の微粒子を含む水系分散媒を得た。
【0171】
(2)重合性単量体組成物の調製
・スチレン 140質量部
・2−エチルヘキシルアクリレート 35質量部
・ジ−t−ブチルサリチル酸金属化合物 2質量部
・ポリエステル樹脂(酸価5、ピーク分子量7000) 15質量部
・ジビニルベンゼン 0.8質量部
・着色剤(C.I.ピグメントイエロー180) 12質量部
上記処方を、処理タンク(22)に投入後、処理物(23)を約60℃まで30分かけて昇温しながら、実施例1と同様の条件で、分散を行った。
【0172】
次いで、処理物温度が65℃に達した時点で、エステルワックス(DSCにおける吸熱ピークの極大値72℃):28部を添加し、引き続き運転を行い、90分経過した後、微粒状重合性単量体混合物を得た。分散・溶解工程時の撹拌条件を表2にまとめて記す。
【0173】
上記で調製した水系分散媒が入っている高速回転剪断撹拌機TK−ホモミキサーの回転数を250rpsのとし、この中に、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8質量部をスチレン35質量部に溶解したものを、20秒間かけて添加した。開始剤添加が終了して5分間経過後、上記で調製した微粒状重合性単量体混合物を投入して造粒を開始した。
【0174】
15分間の造粒後、プロペラ撹拌羽根を備えた撹拌機の容器内に移し、内温65℃で重合を継続させた。6時間後、重合温度を80℃に昇温し、加熱撹拌を5時間継続して重合を完了した。
【0175】
重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、希塩酸を添加して分散剤を溶解し、固液分離、水洗、ろ過、乾燥することにより重合トナー粒子を得た。
【0176】
得られたイエロートナー粒子100質量部と、BET法による比表面積が100m2/gである疎水性酸化チタン微粉体1.5質量部とを混合し、負摩擦帯電性のイエロートナーを得た。造粒工程時及びその他のトナーの物性値を表2にまとめて記す。
【0177】
このイエロートナー5質量部に対し、アクリルコートされたフェライトキャリア95質量部を混合して現像剤を調整し、市販のデジタルフルカラー複写機(CLC500、キヤノン製)の改造機を用いて、イエロートナーの画出しを行った。画出し終了後、画像濃度の測定を行った。画像濃度はベタ画像部を形成し、このベタ画像をマクベス反射濃度計(マクベス社製)にて測定を行った。結果を表2に示す。
【0178】
<比較例>図3の装置を使用し、実施例10と同条件で2時間にかけて顔料の分散を行った。その後、図2に示す装置内に移送し、30分かけて60℃まで昇温しながらモーター(10)を始動し、攪拌翼(11)を1.5rpsで攪拌を行った。
【0179】
次いで処理物温度が60℃に達した時点で、エステルワックス(DSCにおける吸熱ピークの極大値72℃):10部を添加し、引き続き90分間運転を行い、微粒状重合性単量体混合物を得た。これ以降については、実施例1と同様の操作を行った。分散・溶解工程時の撹拌条件、造粒工程時及びその他のトナーの物性値を表2にまとめて記す。
【0180】
<比較例>図1に示すメディア型分散機に直径1mmのメディア粒子(3)(ジルコニア製)を20kg充填(充填量55%)した後、処理タンク(1)内に実施例11と同組成の重合性単量体混合物(2)を投入し、大気圧の状態で処理タンク(1)を周速1.5m/sで60分攪拌し分散を行った。次いで、図2に示す装置に移送した。分散工程以降、比較例5と同様の操作を行った。分散工程時の撹拌条件、被処理物及びトナーの物性値を表2にまとめて記す。
【0181】
【表2】
Figure 0003789092
【0182】
【発明の効果】
本発明のトナーの製造方法によれば、少なくとも重合性単量体に着色剤を分散する分散工程と、該分散工程によって得られた処理物に他の添加剤を溶解・混合する溶解工程とを含むトナーの製造方法において、分散工程及び溶解工程は、有底筒状の攪拌槽と、この攪拌槽に収容された収容物を均一に攪拌する第一の攪拌翼と、この第一の攪拌翼よりも小さな攪拌翼直径を有し収容物を攪拌する第二の攪拌翼とを有する同一攪拌装置内で処理され、分散工程では、攪拌槽に収容された重合性単量体及び着色剤を前記第一及び第二の攪拌翼で攪拌することにより、重合性単量体へ着色剤を分散させ、溶解工程では、攪拌槽に収容された処理物及び他の添加剤を第一及び第二の攪拌翼で攪拌することにより、他の添加剤を溶解・混合させることから、重合法によるトナー製造において、長時間の使用においても画像濃度が高く、画像再現性に優れ、顔料の分散が均質な重合トナーを効率よく得られる。さらには、重合法によるトナーの製造において、均質に顔料がトナー中に分散している、シャープな粒度分布を有するトナーを効率よく得られる。さらには、重合法によるトナーの製造において、大容量かつ低コストで重合トナーを製造することが可能である。
【0183】
また本発明では、第二の攪拌翼の直径をdとし、攪拌槽の内径をDとしたときに0.50≧d/D≧0.15であると、均一な分散状態を速やかに実現し、かつランニングコストを下げる上でより効果的であり、0.40≧d/D≧0.20であるとより一層効果的である。
【0184】
また本発明では、第二の攪拌翼の周速をAとしたときに40m/s≧A≧5m/sであると、良好な分散状態を実現し、かつイニシャルコストを下げる上でより効果的であり、30m/s≧A≧10m/sであるとより一層効果的である。
【0185】
また本発明では、第一の攪拌翼は攪拌槽全体に収容物を均一に攪拌混合する形状の翼であり、第二の攪拌翼は攪拌時において収容物に対するせん断力の大きな形状の翼であると、着色剤の分散、他の添加物の混合・溶解を促進し、着色剤の再凝集や沈降を防止する上でより効果的である。
【0186】
また、本発明では、第一の攪拌翼は、攪拌槽内に設置したときに、攪拌槽底部に沿って延出しかつ攪拌槽周壁に沿って周壁の長手方向に延出するコの字型の攪拌翼であり、第二の攪拌翼は、円盤部とこの円盤部の表面に設けられ円盤部の周方向に沿って断続的に設けられる突起とを有する攪拌翼であると、着色剤の分散、他の添加物の混合・溶解を促進し、着色剤の再凝集や沈降を防止する上でより一層効果的である。
【0187】
また、本発明では、着色剤はカップリング剤で疎水化処理されている磁性体であると、長時間の使用においても画像濃度が高く、画像再現性に優れ、顔料の分散が均質で、シャープな粒度分布を有する磁性トナーを効率よくかつ低コストで製造する上でより効果的である。
【0188】
また、本発明では、着色剤は水系媒体中でカップリング剤を加水分解することによって表面処理した磁性体であると、長時間の使用においても画像濃度が高く、画像再現性に優れ、顔料の分散が均質で、シャープな粒度分布を有する磁性トナーを効率よくかつ低コストで製造する上でより一層効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のトナーの製造方法に用いられる分散装置の一例を示す図である。
【図2】従来のトナーの製造方法に用いられる溶解装置の一例を示す図である。
【図3】本発明のトナーの製造方法に用いられる攪拌装置の一例を示す図である。
【図4】本発明のトナーの製造方法に用いられる攪拌装置の他の例を示す図である。
【図5】本発明のトナーの製造方法に用いられる第二の攪拌翼の一例を示す図である。
【図6】本発明のトナーの製造方法に用いられる第二の攪拌翼の他の例を示す図である。
【符号の説明】
1、14、22 処理タンク
2、23 処理物
3 メディア粒子
10、24、29 モータ
11、25 攪拌軸
12 邪魔板
13 攪拌翼
21 処理タンクジャケット
26 エッジドタービン
27 温水・冷却水導入口
28 温水・冷却水排出口
30 アンカーパドル
31 エッジ

Claims (9)

  1. 少なくとも重合性単量体に着色剤を分散する分散工程と、該分散工程によって得られた処理物に他の添加剤を溶解・混合する溶解工程とを含むトナーの製造方法において、
    前記分散工程及び前記溶解工程は、有底筒状の攪拌槽と、この攪拌槽に収容された収容物を均一に攪拌する第一の攪拌翼と、この第一の攪拌翼よりも小さな攪拌翼直径を有し前記収容物を攪拌する第二の攪拌翼とを有する同一攪拌装置内で処理され、
    前記分散工程では、前記攪拌槽に収容された前記重合性単量体及び前記着色剤を前記第一及び第二の攪拌翼で攪拌することにより、重合性単量体へ着色剤を分散させ、
    前記溶解工程では、前記攪拌槽に収容された前記処理物及び前記他の添加剤を前記第一及び第二の攪拌翼で攪拌することにより、他の添加剤を溶解・混合させることを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 前記第二の攪拌翼の直径をdとし、前記攪拌槽の内径をDとしたときに0.50≧d/D≧0.15であることを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
  3. 前記第二の攪拌翼の直径をdとし、前記攪拌槽の内径をDとしたときに0.40≧d/D≧0.20であることを特徴とする請求項2に記載のトナーの製造方法。
  4. 前記第二の攪拌翼の周速をAとしたときに40m/s≧A≧5m/sであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
  5. 前記第二の攪拌翼の周速をAとしたときに30m/s≧A≧10m/sであることを特徴とする請求項4に記載のトナーの製造方法。
  6. 前記第一の攪拌翼は前記攪拌槽全体に前記収容物を均一に攪拌混合する形状の翼であり、前記第二の攪拌翼は攪拌時において収容物に対するせん断力の大きな形状の翼であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
  7. 前記第一の攪拌翼は、前記攪拌槽内に設置したときに、攪拌槽底部に沿って延出しかつ攪拌槽周壁に沿って前記周壁の長手方向に延出するコの字型の攪拌翼であり、前記第二の攪拌翼は、円盤部とこの円盤部の表面に設けられ円盤部の周方向に沿って断続的に設けられる突起とを有する攪拌翼であることを特徴とする請求項6に記載のトナーの製造方法。
  8. 前記着色剤は、カップリング剤で疎水化処理されている磁性体であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
  9. 前記着色剤は、水系媒体中でカップリング剤を加水分解することによって表面処理した磁性体であることを特徴とする請求項8に記載のトナーの製造方法。
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