JP3913035B2 - 磁性トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法、トナージェット法のごとき画像形成方法における静電荷潜像を顕像化するための磁性トナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、磁性を有するトナー及び画像形成方法に関しては多くの提案がなされている。
【0003】
米国特許第3,909,258号明細書には、電気的に導電性を有する磁性トナーを用いて現像する方法が提案されている。これは、内部に磁性を有する円筒状の導電性スリーブ上に導電性磁性トナーを支持し、これを静電像に接触せしめ現像するものである。この際、現像部において、記録体表面とスリーブ表面の間にトナー粒子により導電路が形成され、この導電路を経てスリーブよりトナー粒子に電荷が導かれ、静電像の画像部との間のクーロン力によりトナー粒子が画像部に付着して現像される。この導電性磁性トナーを用いる現像方法は従来の二成分現像方法にまつわる問題点を回避した優れた方法であるが、反面トナーが導電性であるため、現像した画像を、記録体から普通紙等の最終的な支持部材へ静電的に転写することが困難であるという問題を有している。
【0004】
静電的に転写することが可能な高抵抗の磁性トナーを用いる現像方法として、トナー粒子の誘電分極を利用した現像方法がある。しかし、かかる方法は本質的に現像速度がおそい、現像画像の濃度が十分に得られていない等の問題点を有しており、実用上困難である。
【0005】
高抵抗の絶縁性の磁性トナーを用いるその他の現像方法として、トナー粒子相互の摩擦、トナー粒子とスリーブ等との摩擦等によりトナー粒子を摩擦帯電し、これを静電像保持部材に接触して現像する方法が知られている。しかしこの方法は、トナー粒子と摩擦部材との接触回数が少なく、また、用いられる磁性トナーはトナー粒子表面に磁性体が多く露出しているため、摩擦帯電が不十分となりやすく帯電不良による画像不良などの問題があった。
【0006】
さらに、特開昭55−18656号公報等において、ジャンピング現像方法が提案されている。これは、スリーブ上に磁性トナーを極めて薄く塗布し、これを摩擦帯電し、次いでこれを静電像に極めて近接して現像するものである。この方法は、磁性トナーをスリーブ上に薄く塗布することによりスリーブとトナーの接触する機会を増し、十分な摩擦帯電を可能にしている点で優れた方法である。
【0007】
しかしながら、絶縁性磁性トナーを用いる現像方法には、用いる絶縁性磁性トナーに関わる不安定要素がある。それは、絶縁性磁性トナー中には微粉末状の磁性体が相当量混合分散されており、該磁性体の一部がトナー粒子の表面に露出しているため、磁性トナーの流動性及び摩擦帯電性に影響し、結果として、磁性トナーの現像特性、耐久性等の磁性トナーに要求される種々の特性の変動あるいは劣化を引き起こすというものである。
【0008】
従来の磁性体を含有する磁性トナーを用いた場合に、上述した問題が生じてしまうのは、磁性トナーの表面に磁性体が露出していることがその大きな原因と考えられる。すなわち、磁性トナーの表面に、トナーを構成する樹脂に比して相対的に抵抗の低い磁性体微粒子が露出することにより、トナー帯電性能の低下、トナー流動性の低下、その上、長期間の使用においては、トナー同士あるいは規制部材との摺擦による磁性体の剥離に伴う画像濃度の低下やスリーブゴーストと呼ばれる濃淡のムラの発生などトナーの劣化などが引き起こされるのである。
【0009】
このようなトナーは、従来からトナーは、結着樹脂、着色剤等を溶融混合し、均一に分散した後、微粉砕装置により粉砕し、分級機により分級して、所望の粒径を有するトナーとして製造(粉砕法)されて来たが、トナーの微小粒径化には材料の選択範囲に制限がある。例えば、樹脂着色剤分散体が充分に脆く、経済的に使用可能な製造装置で微粉砕し得るものでなくてはならない。この要求から、樹脂着色剤分散体を脆くするため、この樹脂着色剤分散体を実際に高速で微粉砕する場合に、広い粒径範囲の粒子が形成され易く、特に比較的大きな割合の微粒子(過度に粉砕された粒子)がこれに含まれるという問題が生ずる。更に、このように高度に脆性の材料は、複写機等において現像用トナーとして使用する際、しばしば、更に微粉砕ないし粉化を受ける。
【0010】
また、粉砕法では、磁性粉あるいは着色剤等の固体微粒子を樹脂中へ完全に均一に分散することは困難であり、その分散の度合によっては、かぶりの増大、画像濃度の低下の原因となる。さらに、粉砕法は、本質的に、トナーの表面に磁性酸化鉄粒子が露出してしまうため、トナーの流動性や過酷環境下での帯電安定性にどうしても問題が残る。
【0011】
すなわち、粉砕法においては、高精細・高画質化で要求されるトナーの微粒子化に限界があり、それに伴い粉体特性、特にトナーの均一帯電性および流動性が著しく減衰する。
【0012】
上述の様な粉砕法によるトナーの問題点を克服するため、更には上記のごとき要求を満たすため、特公昭36−10231号公報、特公昭43−10799号公報及び特公昭51−14895号公報による懸濁重合法トナーを始めとして、各種重合法によるトナーの製造方法が提案されている。
【0013】
例えば懸濁重合によるトナーでは、重合性単量体、着色剤(磁性体)、及び重合開始剤、更に必要に応じて架橋剤、荷電制御剤、その他添加剤を溶解又は分散せしめて単量体組成物とした後、該単量体組成物を分散安定剤を含有する連続相、例えば、水相中に適当な撹拌機を用いて分散し、同時に重合反応を行わせて所望の粒径を有するトナー粒子を得る。
【0014】
このトナー製造方法では、粉砕工程が全く含まれないために、トナーに脆性が必要でなく、樹脂として軟質の材料を使用することができ、トナーの微粒子化が容易に可能であることから得られるトナーの粒度分布が比較的シャープで分級工程を省略することができ、又は分級したとしても、高収率でトナーが得られる。
【0015】
更には、得られるトナーの形状が球状であることから流動性に優れ、高画質化に有利となる。
【0016】
しかしながら、このような重合トナーの製造方法において、磁性体を用いると、その流動性及び帯電特性は著しく低下する。これは、磁性粒子は一般的に親水性であるために重合トナーを製造する際、水系分散媒体の影響から磁性体粒子がトナー表面に存在しやすいためであり、この問題を解決するためには磁性体の有する表面特性の改質が重要となる。
【0017】
重合トナー中の磁性体の分散性及び、内包性向上のための表面改質に関しては、数多く提案されている。例えば、特開昭59−200254号公報、特開昭59−200256号公報、特開昭59−200257号公報、特開昭59−224102号公報等に磁性体の各種シランカップリング剤処理技術が提案されており、特開昭63−250660号公報、特開平10−239897号公報では、ケイ素元素含有磁性粒子をシランカップリング剤で処理する技術が開示されている。
【0018】
しかしながら、これらの処理によりトナー中の分散性はある程度向上するものの、磁性体表面の疎水化を均一に行うことが困難であるという問題があり、したがって、磁性体同士の合一や疎水化されていない磁性体粒子の発生を避けることができず、トナー中の分散性を良好なレベルにまで向上させるには不十分である。
【0019】
さらには、トナー中に、均一に磁性体を分散せしめるためには、液状重合性単量体に磁性体を分散させる分散工程が非常に重要であり、従来から、該分散工程においては、図1に示す装置が一般的によく用いられてきた。
【0020】
この従来の装置は、処理タンク1内に処理物2とメディア粒子3を投入し、処理タンクの回転により生ずる遠心力により、処理物がメディア層内を通過し分散が行なわれ得る。
【0021】
しかし、従来の装置は、処理タンク内の処理物の流れが弱く、処理物の滞留が起きやすいため分散にむらが生じ易く、また処理タンク容積の大部分をメディア粒子が占めるため、大量生産を目的として、スケールアップを行なった場合、処理タンクの単位体積あたりの処理量が少ないため製造コストが非常に高くなる。また、大量にメディア粒子を使用するためメディア粒子のコンタミといった問題がある。
【0022】
また不均一な表面処理の磁性体を用いた場合、あるいは、均一な分散が行われない場合、処理物に分散むらが生じ、後工程である、造粒工程において粒度がブロードになる。さらには、重合工程において、不均一な表面処理及び分散不足により、磁性体及び離型剤がトナー粒子中で偏在を起こし、磁性体がトナー粒子表面に存在したり、磁性体が再凝集し、その結果、釜壁面及び撹拌羽への付着が激しく発生し、生産効率が低下するなどの問題がある。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述のごとき問題を解決した磁性トナーの製造方法を提供することにある。
【0024】
詳しくは、重合法による磁性トナーの製造において、均質に磁性体がトナー中に分散し、かつシャープな粒度分布を有し、さらに、重合時における釜付着の少ない製造方法を提供することにある。さらには、大容量かつ低コストで重合トナーを製造する方法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも重合性単量体と磁性体を有し、該重合性単量体を重合して得られる、磁性トナーの製造方法において、
少なくとも重合性単量体とシランカップリング剤で処理された磁性体とを含有する分散液を、処理物タンク内のDSインペラを備えた撹拌軸とアンカーパドルとを回転させて磁性体を分散させる分散工程を有し、該分散工程において、分散後の分散液中における前記磁性体のストークス径をB(μm)、前記磁性体の体積平均粒径をA(μm)、重合性単量体100質量部中の磁性体の部数をX(質量部)とした時、前記磁性体は下式(1)と、(2)又は(3)を満たし、前記分散液を水系媒体中で懸濁、重合することを特徴とする磁性トナーの製造方法に関する。
(1)1≦B/A≦Y (2)Y=−0.09X+12(20≦X≦100)
(3)Y=3.0 (100<X)
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明者等は鋭意検討の結果、磁性体を重合性単量体中へ均一に分散させ、シャープな粒度分布を持つトナーを得、重合時の釜付着を低減するには、分散工程において、分散後の分散液中における前記磁性体のストークス径をB(μm)、前記磁性体の体積平均粒径をA(μm)、分散液100質量部中の磁性体の部数をX(質量部)とした時、前記磁性体は次式
(1)1≦B/A≦Y、(2)Y=−0.09X+12(20≦X≦100)又は(3)Y=3.0(100<X)、
好ましくは
(4)1≦B/A≦Y、(5)Y=−0.85X+11(20≦X≦100)又は(6)Y=2.5(100<X)、
より好ましくは
(7)1≦B/A≦Y、(8)Y=−0.80X+10(20≦X≦100)又は(9)Y=2.0(100<X)
を満たすことが重要であることを見出した。
【0027】
ここで、ストークス径が大きいということは、重合性単量体組成物中での磁性体の分散粒径が大きいことを意味し、磁性体の体積平均粒径との比、即ち、B/Aが大きなものは重合性単量体組成物中で磁性体が数個から複数個凝集した状態で存在することを示唆する。このような状態においては、本発明において好適なトナーの製造方法である、懸濁重合法でトナーを製造した場合、造粒時においてはトナー組成物(重合性単量体、磁性体等)が不均一になり易く、粒度分布が広いものとなってしまい、さらに、液滴形成後の重合時においては、液滴中での磁性体の偏在等が生じやすく、液滴の安定性が劣るものとなり、重合釜及び撹拌羽等への付着が生じやすく、生産性が低下するためである。
【0028】
また、ストークス径は、磁性体の添加量が増加するに従い、小さくなる傾向を示す。これは、磁性体の添加量が増加するほど、重合性単量体組成物中での、磁性体粒子同士の距離が小さくなるため、粒子同士の反発力が大きくなり、安定した状態を保つことができるためであると考えている。また、磁性体の部数が、100質量部以上では、粒子同士の反発力の増加が非常に小さくなるため、ストークス径は、部数の増加に関わらず、ほぼ一定の値を取る。
【0029】
よって、本発明における、B/Aの上限は、部数によって変化し、磁性体の部数をXとすると、B/A≦Y、Y=−0.09X+12(20≦X≦100)又はY=3.0(100<X)の範囲であることが好ましい。
【0030】
一方、ストークス径が小さいということは、重合性単量体組成物中での磁性体の分散粒径はほぼ一次粒径に近い状態であることを意味し、B/Aが1.0未満となるとは考えにくい。
【0031】
ここで、ストークス径について説明する。
【0032】
重合性単量体組成物中でのストークス径とは、重合性単量体中に、磁性体及び結着樹脂をいれ、後述する分散方法にて分散させた後、タービスキャン(Formal action社製)にて沈降速度Vを求め、以下の式から求めた値である。
【0033】
タービスキャンは、一定時間毎に上記溶液の粒子界面の位置を測定する装置であり、透過光により測定を行った。これにより得られた粒子界面の移動距離と移動に要した時間から、沈降速度を求めるものである。具体的には、上記混合溶液をサンプル管に約5cmの高さになるように入れ、automatic scanにてスキャン間隔を3分、スキャン回数を161回とし、23℃,60%RHにて測定を行う。
【0034】
【数1】
Figure 0003913035
【0035】
ここで、Vは粒子の移動速度(m/s)、ρcは重合性単量体の密度(900kg/m3)、ρpは磁性体の密度(kg/m3)、gは重力定数(9.81m/s2)、νは重合性単量体の動的粘度(8.1×10-7m/s)、φは重合性単量体組成物中における磁性体の体積分率である。なお、磁性体の密度は真密度計により測定した値を用いた。具体的にはマイクロメリティックス アキュピック1330(島津製作所)を用いた。また、磁性体の体積平均粒径は、透過型電子顕微鏡を用いて測定する。具体的には、エポキシ樹脂中へ観察すべきトナー粒子、あるいは、磁性体を十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ得られた硬化物を、ミクロトームにより薄片状のサンプルとして、透過型電子顕微鏡(TEM)において1万倍ないしは4万倍の拡大倍率の写真で、視野中の一次粒径と確認出来る磁性体粒子100個を測定する。そして磁性体の投影面積に等しい円相当径をもとに体積平均径の算出を行う。
【0036】
本発明において、ストークス径は磁性体の処理剤、処理方法、及び磁性体の分散方法により調整することが可能である。これは次の理由によるものであると考えている。
【0037】
まず、分散方法について以下に説明する。
【0038】
磁性体の表面処理された部分を損傷することなく、適度なせん断力を付与し、均一な分散を達成する装置として、図3に示すような、tooth disk turbineに代表される撹拌翼を撹拌軸に取り付けた分散装置、高圧式分散機(アルティマイザー:スギノマシン製、ナノマイザー、ハーモナイザー:ナノマイザー株製、マイクロフルイダイザー:みずほ工業株製)、及び超音波式分散機(超音波ホモジナイザー(RUS−300,600,1200TCVP、MUS600TCVP−5、MUS−1200TCVP−2等):日本精機株製、GRR及びSRRシリーズ等:テルソニック社製(スイス)等も挙げられる。この中で、特に好ましいのは、DS翼に代表される撹拌翼を撹拌軸に取り付けた分散装置である。大量生産時を想定した場合、噴流式ホモジナイザーは、装置コストが高く、また、高圧分散機及び超音波式分散機等は、処理物を高圧に加圧するチャンバー部や振動子の磨耗による、処理物中へのコンタミなどの恐れがあり、あまり好ましくない。
【0039】
以上のように、該分散工程時において、少なくとも撹拌軸に撹拌翼を取り付けた撹拌分散装置を用いると、分散むらが生じにくく、微粒状単量体混合物の磁性体の粒度分布がシャープになり、かつメディアを使用しないためメディアのコンタミもない。さらには、水系媒体中でカップリング剤を加水分解しながら表面処理した磁性体は、一般のメディアによる分散機で行なうと磁性体の表面への衝撃力が非常に大きく、表面処理された部分が剥がれ落ち、本来の磁性体の表面が露出し、互いに静電気的に引き付け合い凝集するため、均一に分散を達成することが困難であり、放置安定性も良くない。しかし、本発明の撹拌分散装置の場合、表面処理された部分を損傷することなしに均一な分散を達成することが可能であり、コストパフォーマンスも高く、有利である。
【0040】
そして、本発明者等は、鋭意検討の結果、磁性体、重合性単量体を含有する分散工程を図2、4、5及び6に示す分散装置において行なうことにより、従来よりも微細でかつ均一な状態に分散できることを見出した。
【0041】
以下にこれらの図をもとに本発明を詳細に説明する。
【0042】
図2は、装置本体を組み込んだシステム図である。図3は、図2中の撹拌部分の拡大図である。
【0043】
11は処理物タンク、12は処理物タンクジャケット、13は処理物、14はモーター、15は撹拌軸、16は上羽、17は下羽、18は冷却水導入口、19は冷却水排出口である。処理物13を処理物タンク11に投入後、処理物タンクジャケット12内へ冷却水を、冷却水導入口18より導入し、排出口19より排出し、処理物13を所定の温度に保ち、モーター14を作動させ、所定の回転数で撹拌軸15を回転させる。その際の撹拌翼の回転に伴う衝突・せん断・圧力変動などの効果により、所定時間経過後、均一で微細な分散状態が達成される。また、磁性体の分散状態は、撹拌軸15の回転数及び分散時間に比例し向上すると考えている。
【0044】
また、本発明においては、処理物13の液粘度に対し、随時、均一に処理物が循環するようなd/D〔d:撹拌翼16、17の翼直径、D:処理物タンク11のタンク直径〕に設定を行い分散を行うことが好ましい。撹拌軸15の回転数や撹拌翼16、17の翼直径が小さい場合、処理物タンク11内で、処理物が均一に循環せず、分散が均一に行われない。また、本発明に使用する着色剤である磁性体は比重が大きいため、処理物タンク11の底部に沈降する傾向がある。こうした場合、d/Dや回転数の増加により解決できるが、d/Dや回転数の増加に伴い、処理物界面上の撹拌軸を中心に生じるボルテックスが大きくなるため、処理物中への気泡の巻き込み、タンク壁面への処理物の飛翔が激しくなる傾向にあり好ましくない。気泡の巻き込みが激しいと、撹拌エネルギーが処理物以外、すなわち気泡に対しても使用されるため、分散効率が低下するため好ましくない。また、タンク壁面への付着が激しくなると、処理物の固形分濃度が変化し、ハンドリング性も悪いため好ましくない。このような場合、撹拌軸を多軸とすること、もしくは、循環式とすることにより解決できる。具体的には、図4、図5及び図6に示した装置システムを使用することが好ましい。
【0045】
まず図4及び図5について説明する。図4は、撹拌軸15が1本からなる1軸式、図5は、撹拌軸15が2本からなる多軸式である。図4及び図5中において、11は処理物タンク、12は処理物タンクジャケット、13は処理物、14はモーター、15は撹拌軸、16は上羽、17は下羽、18は冷却水導入口、19は冷却水排出口、20はモーター、21はアンカーパドルである。処理物13を処理物タンク11に投入後、処理物タンクジャケット12内へ冷却水を、冷却水導入口18より導入し、排出口19より排出し、処理物13を所定の温度に保ち、モーター20を作動させ、アンカーパドル21を回転させる。ついで、モーター14を作動させ、所定の回転数で撹拌軸15を回転させる。その際の撹拌翼16、17の回転に伴う衝突・せん断・圧力変動などの効果により、所定時間経過後、均一で微細な分散状態が達成される。図4の装置システムでは、アンカーパドル20の回転に伴い、処理物タンク11の壁面部分及び底部が撹拌されるため、処理物13の循環不足,処理物13内の磁性体の沈降が防止される。
【0046】
次いで図6について説明する。図6中において、11は処理物タンク、12は処理物タンクジャケット、13は処理物、14はモーター、15は撹拌軸、16は上羽、17は下羽、18は冷却水導入口、19は冷却水排出口、22は処理物循環ラインである。処理物13を処理物タンク11に投入後、処理物タンクジャケット12内へ冷却水を、冷却水導入口18より導入し、排出口19より排出し、処理物13を所定の温度に保ち、モーター14を作動させ、所定の回転数で撹拌軸15を回転させる。ついで、撹拌を行いながら、ポンプ23を作動させ、処理物13が、処理物タンク11の底部より排出され、循環ライン22を通過し、再び処理物タンク11内に戻る。その際の、撹拌翼16、17の回転に伴う衝突・せん断・圧力変動などの効果により、所定時間経過後、均一で微細な分散状態が達成される。
【0047】
上記のように、図6の装置システムでは、循環ライン22により、処理物13の循環が促進され、処理物13の循環不足、処理物13内の磁性体の沈降が防げる。また、循環ライン中に、静止型混合機24を設置し分散を促進することも出来る。
【0048】
図7は静止型混合機24の断面図である。静止型混合機24中に、処理物が入ると、図7中のエレメントにより、分割・転換・反転などの作用を受け、処理物は順次混合される。具体的な静止型混合機としては、(株)ノリタケ カンパニー リミテド社製スタティックミキサーが好ましく利用されるが、これに限定されるものではない。
【0049】
以上、図4、図5及び図6の装置システムは、図2に示した装置システムに比べ、アンカー翼もしくは循環式と組み合わせることにより、d/Dを小さくすることができる。よって、モーター14の消費動力は、撹拌翼16、17の翼直径の5乗に比例し増加するため、本生産プラントへのスケールUPを行う場合、図4、図5及び図6に示した装置システムのほうが、コスト的に優れる。また撹拌翼径を小さくできるため、処理物中への気泡の巻き込みや処理物の飛散も抑えられるため好ましい。
【0050】
該分散工程時において使用する多段翼の組み合わせとして、上羽にプロペラ翼に代表される吐出流量の大きな羽形状、下羽にDSインペラに代表されるせん断力の大きな羽形状の組み合わせ、もしくは、上下翼共にDSインペラに代表されるせん断力の大きな羽形状が好ましい。上羽により処理物が、下羽方向に連続的に吐出されるため、処理物に対し均一に下羽のせん断力が加わり、さらに、上羽により生じる強い循環流と下羽との循環流の衝突により、せん断効果が促進され分散が効率よく行われる。本発明において用いられる撹拌翼の種類は、上記に限られる必要はない。また、多断翼の枚数についても、上記のように2枚に限られる必要はなく、処理物の物性や処理量などに応じて、増減することが好ましい。
【0051】
また、該分散工程において、撹拌翼と液面位置(図2、4、5、6に詳細)の距離Xが、撹拌翼の直径dよりも大きく、さらには1.5倍以上であることが好ましい。それ以下では、処理物中への気体の巻き込みが激しく、撹拌エネルギーが気泡に吸収され、分散効率が低下するため好ましくない。さらには、処理物のタンク壁面への飛散が激しく、ハンドリング性が悪く、かつ、固形分濃度が変化するため、好ましくない。
【0052】
該分散工程において、同軸上に少なくとも2枚設置された撹拌翼間Y(図2、4、5、6に詳細)が、撹拌翼の直径dの0.5倍以上であり、さらには1.0倍以上であることが好ましい。それ以下の場合、下羽と上羽流れが、互いに大きく干渉しあうため理想的な流動状態が得られず、分散の効率が低下する。
【0053】
該分散工程において、撹拌翼と処理物タンクの底部との距離Z(図2、4、5、6に詳細)が、撹拌翼の直径dの2.5倍以下であり、さらには2.0倍以下であることが好ましい。それ以上では、タンク底部での下羽により生じる流れが弱いため、タンク底部に磁性体が沈降しやすく、理想的な分散状態が得られず好ましくない。
【0054】
該分散工程において、撹拌翼の直径dとタンク内径Dの関係が、0.5≧d/D≧0.15であり、さらには0.40≧d/D≧0.20であることが好ましい。それ以下では、タンク壁面付近において、処理物の流動が不十分となり、均一に分散が行われず好ましくない。また、それ以上では、消費動力は、撹拌羽直径dの5乗に比例し増加するため、ランニングコストが高く好ましくない。さらに、撹拌羽直径dが大きくなるにつれ、処理物界面に生じるボルテックスも大きくなる。それに伴い処理物中への気泡の巻き込みが増加し、投下エネルギーが気泡に吸収され、分散効率が低下するため好ましくない。
【0055】
さらに、本発明において、分散工程における分散液の粘度E(Pa・s)は1≦E≦100であり、更には1≦E≦70の範囲を満たすことが好ましい。
【0056】
これは、重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、トナーの液滴を生成する造粒工程において、トナーの液滴は、分裂と合一を繰り返し、安定した液滴が形成されるが、一般に粘度が高いと粒度がブロードになるためである。
【0057】
さらに、1≦E≦70であり、1.0≦B/A≦Y、Y=−0.09X+12(20≦X≦100)又はY=3.0(100<X)であると、粒度分布がシャープで、個々の液滴中で磁性体が安定した状態で分散を維持できるため、相乗効果が期待でき、壁付着が非常に少なくなると考えている。
【0058】
さらに、本発明において、分散工程における液状単量体混合物中に、磁性体を投入するスピードC(kg/s)は、Eを重合性単量体質量(kg)とした時、1.5×10-4≦C/E≦3.5×10-3を満たすことが好ましく、更に好ましくは、4.5×10-4≦C/E≦1.5×10-3である。投入スピードが、3.5×10-3Eより大きい場合、磁性体が大量の気泡を巻き込みながら、重合性単量体中に投下されることがあり、分散効率が低下し好ましくない。また、投入スピードが、1.5×10-4Eより小さい場合、生産時におけるタクト時間の増加につながり、生産効率が低下するため好ましくない。
【0059】
次に本発明のトナーの製造方法として好適に用いることの出来る磁性体について説明する。
【0060】
第一に、磁性体表面は親水性であり、重合性単量体は疎水性である。このため、磁性体表面の疎水化処理が不均一であると、磁性体の良好な分散性は得られない。また、物理的に(機械的あるいは、超音波分散等)磁性体を分散させても、表面処理が不均一な磁性体は再び凝集してしまい、ストークス径は大きなものとなってしまう。
【0061】
第二に、均一な処理であっても、分散媒である重合性単量体と磁性体のなじみが良くないものは、磁性体の分散が劣るものとなる。
【0062】
従来、重合トナーに使用される磁性体の表面改質に関しては、数多く提案されている。例えば、特開昭59−200254号公報、特開昭59−200256号公報、特開昭59−200257号公報、特開昭59−224102号公報等に磁性体の各種シランカップリング剤処理技術が提案されており、特開昭63−250660号公報では、ケイ素元素含有磁性粒子をシランカップリング剤で処理する技術が開示されている。
【0063】
しかしながら、これらの処理により磁性体表面の疎水化を均一に行うことが困難であるという問題があり、したがって、磁性体同士の合一や疎水化されていない磁性体粒子の発生を避けることができず、ストークス径は大きくなり、粒度分布も広いものとなってしまう。また、疎水化磁性酸化鉄を用いる例として特開昭54−84731号公報にアルキルトリアルコキシシランで処理した磁性酸化鉄を含有するトナーが提案されている。この磁性酸化鉄の添加により、確かにトナーの電子写真諸特性は向上しているものの、磁性酸化鉄の表面活性は元来小さく、処理の段階で合一粒子が生じたり、疎水化が不均一であったりで、必ずしも満足のいくものではない。また、小粒径の磁性体を用いた場合、均一な処理がより困難なものとなり、本発明に適用するにはさらなる改良が必要である。さらに、磁性体の内包性向上の為、処理剤等を多量に使用したり、高粘性の処理剤等を使用した場合、疎水化度は確かに上がるものの、粒子同士の合一等が生じてストークス径は逆に大きなものとなってしまう。
【0064】
このように、従来の表面処理磁性体を用いた重合トナーでは、表面処理の均一性は必ずしも達成されておらず、トナー中に磁性体を均一に分散することは難しい。
【0065】
そこで、本発明の磁性トナーに使用される磁性体においては、その粒子表面を疎水化する際、水系媒体中で、磁性体粒子を一次粒径となるよう分散しつつカップリング剤を加水分解しながら表面処理する方法を用いることが非常に好ましい。この疎水化処理方法は気相中で処理するより、磁性体粒子同士の合一が生じにくく、また疎水化処理による磁性体粒子間の帯電反発作用が働き、磁性体はほぼ一次粒子の状態で表面処理される。
【0066】
カップリング剤を水系媒体中で加水分解しながら磁性体表面を処理する方法は、クロロシラン類やシラザン類のようにガスを発生するようなカップリング剤を使用する必要もなく、さらに、これまで気相中では磁性体粒子同士が合一しやすくて、良好な処理が困難であった高粘性のカップリング剤も使用できるようになり、疎水化の効果は絶大である。
【0067】
本発明に係わる磁性体の表面処理において使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、一般式
RmSiYn
[式中、Rはアルコオキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、グリシドキシ基、メタクリル基の如き炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す。]
で示されるものである。例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピリトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0068】
この中で、磁性体の分散性の向上には、2重結合を有するシランカップリング剤を用いる事が好ましく、フェニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランがより好ましい。これは、特に懸濁重合を行う場合、2重結合を有するカップリング剤で処理すると、磁性体と重合性単量体とのなじみが良好になる為であると考えられ、トナー粒子中での磁性体の分散性が良好なものとなる。
【0069】
しかし、これら2重結合を有するカップリング剤のみの使用では、磁性体に十分な疎水性を持たせることは困難であり、疎水性が十分で無い磁性体がトナー表面に露出する等の影響により、トナーの粒度分布も広いものとなってしまう。この理由は定かではないが、カップリング剤自身の疎水性や、磁性体表面の活性基との反応性、及び、磁性体表面の被覆性が劣ることによるものであると考えている。このため、十分な疎水性を得る為に以下の式で示されるアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を併用することがより好ましい。
【0070】
p2p+1−Si−(OCq2q+13
[式中、pは2〜20の整数を示し、qは1〜3の整数を示す]
【0071】
上記式におけるpが2より小さいと、疎水化処理は容易となるが、疎水性を十分に付与することが困難であり、トナー粒子からの磁性粒子の露出を抑制するのが難しくなる。またpが20より大きいと、疎水性は十分になるが、磁性体粒子同士の合一が多くなり、磁性体粒子を十分に分散性させることが困難になり、粒度分布がブロード気味になる。
【0072】
また、qが3より大きいと、シランカップリング剤の反応性が低下して疎水化が十分に行われにくくなる。
【0073】
特に、式中のpが2〜20の整数(より好ましくは、3〜15の整数)を示し、qが1〜3の整数(より好ましくは、1又は2の整数)を示すアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用するのが良い。
【0074】
その処理量は磁性体100質量部に対して、シランカップリング剤の総量が0.05〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部であり、磁性体の表面積、カップリング剤の反応性に応じて処理剤の量を調整することが好ましい。
【0075】
ここで、水系媒体とは、水を主要成分としている媒体である。具体的には、水系媒体として水そのもの、水に少量の界面活性剤を添加したもの、水にpH調整剤を添加したもの、水に有機溶剤を添加したものが挙げられる。界面活性剤としては、ポリビニルアルコールの如きノンイオン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、水に対して0.1〜5質量%添加するのが良い。pH調整剤としては、塩酸の如き無機酸が挙げられ、有機溶剤としてはアルコール類等が挙げられる。
【0076】
撹拌は、例えば撹拌羽根を有する混合機(具体的には、アトライター、TKホモミキサーの如き高剪断力混合装置)で、磁性体粒子が水系媒体中で、一次粒子になるように充分におこなうのが良い。
【0077】
なお、複数種のシランカップリング剤を用いる場合、同時、あるいは時間差をもって複数種のカップリング剤を投入し、磁性体の処理を行う。
【0078】
こうして得られる磁性体は粒子の凝集が見られず、個々の粒子表面が均一に疎水化処理されているため、ストークス径は小さなものとなり、磁性体の分散性は良好なものとなる。
【0079】
本発明のトナーにおいて用いられる磁性体は、リン、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、珪素などの元素を含んでもよい。また、磁性体は四三酸化鉄、γ−酸化鉄等、酸化鉄を主成分とするものであり、これらを1種または2種以上併用して用いられる。これら磁性体は、窒素吸着法によるBET比表面積が好ましくは2〜30m2/g、特に3〜28m2/g、更にモース硬度が5〜7のものが好ましい。
【0080】
磁性体の形状としては、多面体、8面体、6面体、球形、針状、鱗片状などがあるが、多面体、8面体、6面体、球形等の異方性の少ないものが画像濃度を高める上で好ましい。こういった磁性体の形状はSEMなどによって確認することができる。磁性体の体積平均粒径としては0.05〜0.4μmが好ましく、より好ましくは0.1〜0.3μmである。体積平均径が0.05μm未満の場合、黒色度の低下が顕著となり、白黒用トナーの着色剤としては着色力が不十分となるうえに、磁性体どうしの凝集が強くなるため、分散性が悪化する。また、磁性体表面の均一性処理が非常に困難なものとなる。一方、体積平均径が0.4μmを超えてしまうと、一般の着色剤と同様に着色力が不足するようになる。加えて、特に小粒径トナー用の着色剤として使用する場合、個々のトナー粒子に均一に磁性粒子を分散させることが確率的に困難となり、分散性が悪化しやすい。
【0081】
本発明に用いる磁性体の疎水化度は35%から95%であることが好ましい。疎水化度は磁性体表面の処理剤の種類及び量により任意に変えることが可能である。疎水化度とは磁性体の親水性を示しており、疎水化度が低いものは親水性が高いことを意味する。そのため、疎水化度が低い磁性体を用いた場合、本発明に好適に用いられる懸濁重合法では、造粒中に磁性体が水系に移行してしまい、粒度分布がブロードになると共に、磁性体がトナー表面に露出、あるいはトナーから遊離して存在することになり好ましくない。また、重合性単量体中での分散性も劣るもものとなる。一方、疎水化度が95%とするためには、磁性体表面の処理剤を多量に使用せねばならず、この様な状態では磁性体の合一が生じ易く、処理の均一性が損なわれてしまう。
【0082】
なお、本発明における疎水化度とは以下の方法により測定されたものである。
【0083】
磁性体の疎水化度の測定は、メタノール滴定試験により行う。メタノール滴定試験は、疎水化された表面を有する磁性体の疎水化度を確認する実験的試験である。
【0084】
メタノールを用いた疎水化度測定は次のように行う。磁性体0.1gを容量250mlのビーカーの水50mlに添加する。その後メタノールを液中に徐々に添加し滴定を行う。この際メタノールは液底部より供給し、緩やかに撹拌しながら行う。磁性粒子の沈降終了は、液面に磁性体の浮遊物が確認されなくなった時点とし、疎水化度は、沈降終了時点に達した際のメタノール及び水混合液中のメタノールの体積百分率としてあらわされる。
【0085】
本発明のトナーに用られる磁性体は、結着樹脂100質量部に対して、10質量部乃至200質量部を用いることが好ましい。さらに好ましくは20乃至180質量部を用いることが良い。10質量部未満ではトナーの着色力が乏しく、カブリの抑制も困難である。一方、200質量部を超えると、トナー担持体への磁力による保持力が強まり現像性が低下したり、個々のトナー粒子への磁性体の均一な分散が難しくなるだけでなく、定着性が低下してしまう。
【0086】
なお、トナー中の磁性体の含有量の測定は、パーキンエルマー社製熱分析装置、TGA7で測定した。測定方法は、窒素雰囲気下において昇温速度25℃/分で常温から900℃までトナーを加熱し、100℃から750℃まで間の減量質量%を結着樹脂量とし、残存質量を近似的に磁性体量とした。
【0087】
本発明に係わる磁性トナーに用いられる磁性体は、例えばマグネタイトの場合、下記方法で製造される。
【0088】
第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量または当量以上の水酸化ナトリウムの如きアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHをpH7以上(好ましくはpH8〜14)に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応をおこない、磁性酸化鉄粒子の芯となる種晶をまず生成する。
【0089】
次に、種晶を含むスラリー状の液に前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを6〜14に維持しながら空気を吹込みながら水酸化第一鉄の反応をすすめ種晶を芯にして磁性酸化鉄粒子を成長させる。酸化反応がすすむにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは6未満にしない方が好ましい。酸化反応の終期に液のpHを調整し、磁性酸化鉄が一次粒子になるよう十分に撹拌し、カップリング剤を添加して十分に混合撹拌し、撹拌後に濾過し、乾燥し、軽く解砕することで疎水性処理磁性酸化鉄粒子が得られる。あるいは、酸化反応終了後、洗浄、濾過して得られた酸化鉄粒子を、乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを調整し、十分撹拌しながらシランカップリング剤を添加し、カップリング処理を行っても良い。いずれにせよ、酸化反応終了後に乾燥工程を経ずに表面処理を行うことが肝要であり、本発明のトナーにおける重要なポイントである。
【0090】
第一鉄塩としては、一般的に硫酸法チタン製造に副生する硫酸鉄、鋼板の表面洗浄に伴って副生する硫酸鉄の利用が可能であり、更に塩化鉄等が可能である。
【0091】
水溶液法による磁性酸化鉄の製造方法は一般に反応時の粘度の上昇を防ぐこと、及び、硫酸鉄の溶解度から鉄濃度0.5〜2mol/lが用いられる。硫酸鉄の濃度は一般に薄いほど製品の粒度が細かくなる傾向を有する。また、反応に際しては、空気量が多い程、そして反応温度が低いほど微粒化しやすい。
【0092】
このようにして製造された疎水性磁性体粒子を材料とした磁性トナーを使用することにより、安定したトナーの帯電性が得られ、転写効率が高く、高画質及び高安定性が可能となる。
【0093】
本発明に係わる磁性トナーに使用可能な離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックスびその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等天然ワックス及びその誘導体などで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。さらには、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックスなども使用できる。
【0094】
本発明のトナーには、荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用できる。さらに、トナーを直接重合法を用いて製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。ポジ系荷電制御剤として四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。電荷制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー母粒子内部に添加する方法と外部添加する方法がある。これらの電荷制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、内部添加する場合は、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。また、外部添加する場合、トナー100質量部に対し、好ましくは0.005〜1.0質量部、より好ましくは0.01〜0.3質量部である。
【0095】
本発明のトナーに使用される重合性単量体系を構成する重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
【0096】
重合性単量体としては、スチレン・o−メチルスチレン・m−メチルスチレン・p−メチルスチレン・p−メトキシスチレン・p−エチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル・アクリル酸エチル・アクリル酸n−ブチル・アクリル酸イソブチル・アクリル酸n−プロピル・アクリル酸n−オクチル・アクリル酸ドデシル・アクリル酸2−エチルヘキシル・アクリル酸ステアリル・アクリル酸2−クロルエチル・アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル・メタクリル酸エチル・メタクリル酸n−プロピル・メタクリル酸n−ブチル・メタクリル酸イソブチル・メタクリル酸n−オクチル・メタクリル酸ドデシル・メタクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸ステアリル・メタクリル酸フェニル・メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類、その他のアクリロニトリル・メタクリロニトリル・アクリルアミド等の単量体が挙げられる。
【0097】
本発明に係わるトナーの製造においては、単量体系に樹脂を添加して重合しても良い。例えば、単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、ニトリル基等、親水性官能基含有の単量体成分をトナー中に導入したい時には、これらとスチレンあるいはエチレン等ビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体等、共重合体の形にして、あるいはポリエステル、ポリアミド等の重縮合体、ポリエーテル、ポリイミン等重付加重合体の形で使用が可能となる。
【0098】
本発明に使用されるポリエステル樹脂を構成するアルコール成分と酸成分を以下に例示する。
【0099】
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、水素化ビスフェノールA、式(I)で示されるビスフェノール誘導体;
【0100】
【化1】
Figure 0003913035
[式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x,yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。]
あるいは式(I)の化合物の水添物、また、式(II)で示されるジオール;
【0101】
【化2】
Figure 0003913035
あるいは式(II)の化合物の水添物のジオールが挙げられる。
【0102】
2価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸またはその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸またはその無水物、またさらに炭素数6〜18のアルキルまたはアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物などが挙げられる。
【0103】
さらに、アルコール成分としてグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの如き多価アルコールが挙げられ、酸成分としてトリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物の如き多価カルボン酸が挙げられる。
【0104】
前記ポリエステル樹脂は全成分中45〜55モル%がアルコール成分であり、55〜45モル%が酸成分であることが好ましい。
【0105】
本発明においては、得られるトナー粒子の物性に悪影響を及ぼさない限り2種以上のポリエステル樹脂を併用したり、例えば、シリコーンやフルオロアルキル基含有化合物により変性したりして物性を調整することも好適に行われる。
【0106】
また、このような極性官能基を含む高分子重合体を使用する場合、その平均分子量は5,000以上が好ましく用いられる。
【0107】
また、上記以外の樹脂を単量体系中に添加しても良く、用いられる樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが単独或いは混合して使用できる。
【0108】
これら樹脂の添加量としては、単量体100質量部に対し1〜20質量部が好ましい。1質量部未満では添加効果が小さく、一方20質量部を超えて添加すると重合トナーの種々の物性設計が難しくなる。
【0109】
さらに、単量体を重合して得られるトナーの分子量範囲とは異なる分子量の重合体を単量体中に溶解して重合しても良い。
【0110】
本発明のトナーの製造において使用される重合開始剤としては、重合反応時に半減期0.5〜30時間であるものを、重合性単量体100質量部に対し0.5〜20質量部の添加量で重合反応を行なうと、分子量1万〜10万の間に極大を有する重合体を得、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与えることが出来る。重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
【0111】
本発明のトナーを製造する際は、架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対し0.001〜15質量部である。
【0112】
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合物として用いられる。
【0113】
本発明のトナーの好適な製造方法である、懸濁重合においては、一般に上述のトナー組成物、すなわち重合性単量体中に磁性体、離型剤、可塑剤、荷電制御剤、架橋剤、場合によって着色剤等、トナーとして必要な成分及びその他の添加剤、例えば重合反応で生成する重合体の粘度を低下させるために入れる有機溶媒、高分子重合体、分散剤等を適宜加えて、適度なせん断力を付与し、均一に重合性単量体組成物を分散・溶解・混合することが可能な図2、図4、図5及び図6に示した装置などを用い、均一に溶解または分散せしめた単量体系を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとするほうが、得られるトナー粒子の粒径がシャープになる。重合開始剤添加の時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒中、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることも出来る。
【0114】
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行なえば良い。
【0115】
本発明のトナーを製造する場合には、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機・無機分散剤が使用でき、中でも無機分散剤が有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いので、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナ等の無機酸化物が挙げられる。
【0116】
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2〜20質量部を単独で使用することが望ましいが、超微粒子を発生し難いもののトナーの微粒化はやや苦手であるので、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。
【0117】
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
【0118】
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて前記無機分散剤粒子を生成させて用いることが出来る。例えば、燐酸カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることが出来、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合に依る超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。重合反応終期に残存重合性単量体を除去する時には障害となることから、水系媒体を交換するか、イオン交換樹脂で脱塩したほうが良い。無機分散剤は、重合終了後酸あるいはアルカリで溶解して、ほぼ完全に取り除くことが出来る。
【0119】
前記重合工程においては、重合温度は40℃以上、一般には50〜90℃の温度に設定して重合を行なう。この温度範囲で重合を行なうと、内部に封じられるべき離型剤やワックスの類が、相分離により析出して内包化がより完全となる。残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90〜150℃にまで上げることは可能である。
【0120】
重合トナー粒子は重合終了後、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、無機微粉体を混合し表面に付着させることで、トナーを得ることができる。また、製造工程に分級工程を入れ、粗粉や微粉をカットすることも、本発明の望ましい形態の一つである。
【0121】
本発明においてトナーは、流動化剤として個数平均一次粒子径4〜80nmの無機微粉末が添加されることも好ましい形態である。
【0122】
本発明で用いられる無機微粒子としては、シリカ,アルミナ,酸化チタンなどが使用できる。
【0123】
例えば、ケイ酸微粉体としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O,SO3 -等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム,塩化チタン等、他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
【0124】
平均一次粒径が4〜80nmの無機微粒子の添加量は、トナー母粒子に対して0.1〜3.0質量%であることが好ましく、添加量が0.1質量%未満ではその効果が十分ではなく、3.0質量%超では定着性が悪くなる。
【0125】
なお、無機微粉末の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量できる。
【0126】
無機微粒子は、疎水化処理されたものであることが高温高湿環境下での特性から好ましい。
【0127】
疎水化処理の処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物の如き処理剤を単独で或いは併用して処理しても良い。
【0128】
無機微粒子の処理方法としては、例えば第一段反応としてシリル化反応を行ないシラノール基を化学結合により消失させた後、第二段反応としてシリコーンオイルにより表面に疎水性の薄膜を形成することができる。
【0129】
上記シリコーンオイルは、25℃における粘度が10〜200,000mm2/sのものが、さらには3,000〜80,000mm2/sのものが好ましい。10mm2/s未満では、無機微粒子に安定性が無く、熱および機械的な応力により、画質が劣化する傾向がある。200,000mm2/sを超える場合は、均一な処理が困難になる傾向がある。
【0130】
使用されるシリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が特に好ましい。
【0131】
シリコーンオイルの処理の方法としては、例えばシラン化合物で処理されたシリカとシリコーンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合してもよいし、シリカにシリコーンオイルを噴霧する方法を用いてもよい。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、シリカ微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法でもよい。無機微粒子の凝集体の生成が比較的少ない点で噴霧機を用いる方法がより好ましい。
【0132】
シリコーンオイルの処理量はシリカ100質量部に対し1〜40質量部、好ましくは3〜35質量部が良い。
【0133】
本発明で用いられるシリカは、トナーに良好な流動性を付与させる為に、窒素吸着によるBET法で測定した比表面積が20〜350m2/g範囲内のものが好ましく、より好ましくは25〜300m2/gのものが更に良い。
【0134】
比表面積はBET法に従って、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出する。
【0135】
また、本発明の磁性トナーは、クリーニング性向上等の目的で、さらに一次粒径30nmを超える(好ましくは比表面積が50m2/g未満)、より好ましくは一次粒径50nm以上(好ましくは比表面積が30m2/g未満)の無機又は有機の球状に近い微粒子をさらに添加することも好ましい形態のひとつである。例えば球状シリカ粒子、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂粒子等が好ましく用いられる。
【0136】
本発明に用いられる磁性トナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばポリ弗化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末、あるいは酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤、あるいは例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末などの流動性付与剤、ケーキング防止剤、また、逆極性の有機微粒子、及び無機微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。これらの添加剤も表面を疎水化処理して用いることも可能である。
【0137】
本発明において製造し得るトナーは、一成分現像剤として使用できる。たとえば、一成分系現像剤として、磁性体をトナー中に含有せしめた重合トナーの場合には、現像スリーブ中に内蔵せしめたマグネットを利用し、重合トナーを搬送及び帯電せしめる方法がある。しかし、必ずしも上記のような一成分現像剤に限られる必要はなく、二成分現像剤として用いても良い。
【0138】
また、本発明においては、トナーの平均粒径及び粒度分布はコールターカウンターTA−II型あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)等種々の方法で測定可能であるが、本発明においてはコールターマルチサイザー(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。たとえば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない前記コールターマルチサイザーによりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナー粒子の体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出した。
【0139】
それから、本発明に係わる体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(D4:各チャンネルの中央値をチャンネルの代表値とする)と重量変動係数(S4)、個数分布から求めた個数基準の長さ平均粒径(D1)と個数変動係数(S1)を求めた。個数変動係数は
個数変動係数=[S/D1]×100
で示され、式中、Sはトナー粒子の体積分布における標準偏差を示し、D1は、トナー粒子の個数平均径(μm)を示す。すなわち、変動係数の値が小さいほどトナー粒子の粒度分布はシャープであり、値が大きいとブロードな粒度分布であることを示す。
【0140】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。尚、以下の配合における部数は全て質量部である。
【0141】
・表面処理磁性体の製造例(1)
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対してl.0〜1.1当量の苛性ソーダ溶液を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。
【0142】
水溶液のpHを9前後に維持しながら、空気を吹き込み、80〜90℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。次いでこのスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し、0.9〜1.2当量となるよう硫酸第一鉄不溶液を加えた後、スラリー液をpH8に維持し、空気を吹き込み、80〜90℃で酸化反応を行い、磁性粒子のスラリー液を調製した。洗浄、濾過した後この含水スラリー液を一旦取り出した。この時、含水サンプルを少量採取し、含水量を計っておいた。
【0143】
次に、この含水サンプルを乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを約6に調整し、十分撹拌しながらn−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤を磁性酸化鉄100部に対し1.0部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランカップリング剤を1.0部(磁性粒子の量は含水サンプルから含水量を引いた値として計算した)添加し、カップリング処理を行った。生成した疎水性磁性粒子を常法により洗浄、濾過、乾燥し、得られた粒子を十分解砕処理し、体積平均粒径が0.19μmの表面処理磁性体(1)を得た。
【0144】
・表面処理磁性体の製造例(2)
表面処理磁性体の製造例1において処理剤をγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2.0部としたこと以外は表面処理磁性体の製造例1と同様にして、表面処理磁性体(2)を得た。得られた磁性体の物性を表1に示す。
【0145】
・表面処理磁性体の製造例(3)
表面処理磁性体の製造例1と同様に酸化反応を進め、酸化反応終了後に生成した磁性酸化鉄粒子を洗浄、濾過、乾燥し、凝集している粒子を十分に解砕処理し磁性体を得た。この磁性体100部を、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5.0部を含むトルエン溶液に分散させ、100℃で3時間熱処理を行うと共に乾燥した。その後、凝集している粒子を十分に解砕処理し、表面処理磁性体(3)を得た。
【0146】
・表面処理磁性体の製造例(4)
表面処理磁性体の製造例1と同様に酸化反応を進め酸化反応終了後に生成した磁性酸化鉄粒子を洗浄、濾過、乾燥を行った。その後、得られた磁性酸化鉄100部に対し、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン3.0部を用い気相中にて表面処理を行った。その後、凝集している粒子を十分に解砕処理し、表面処理磁性体(4)を得た。
【0147】
・磁性体の製造例(1)
表面処理磁性体の製造例1と同様に酸化反応を進め、酸化反応後に生成した磁性酸化鉄粒子を洗浄、濾過後、表面処理を行わずに、乾燥し、凝集している粒子を解砕処理し磁性体(1)を得た。
【0148】
(実施例1)
図5に示す、分散システムを使用した。
【0149】
スチレン: 80部
負荷電性制御剤(モノアゾ染料系のFe化合物) 1部
n−ブチルアクリレート: 20部
不飽和ポリエステル樹脂: 1部
飽和ポリエステル樹脂: 5部
上記処方を、処理物タンク11に投入後、処理物タンクジャケット12内へ冷却水を、冷却水導入口18より導入し、排出口19より排出し、処理物13を約15℃の温度に保ち、撹拌翼16、17には、上羽及び下羽に、図3に示すtooth disk turbineを用いた。また、処理物タンク内径600mm、撹拌翼径130mmのものを使用し、d/D=0.22に設定した。
【0150】
次いで、X=250mm、Y=150mm、Z=130mmになるように撹拌翼を調整し、モーター14を作動させ、約1400rpmで撹拌軸15を、70rpmにてアンカー翼を回転させた。撹拌翼を回転した状態で、表面処理磁性体(1):90部を、投入速度0.10kg/sにて投入した。この時の撹拌条件については、表1にまとめて記す。
【0151】
この時、該磁性体を重合性単量体混合物に2時間かけて分散工程において分散した。所定時間経過後、分散液を調製工程に搬送した。この時、分散液を少量サンプリングし、タービスキャンにて、ストークス径の測定を行い、分散液中のB/Aを求めた結果、B/A=2.2(Y=3.9)であった。結果を表1に記す。
【0152】
調製工程においては、該単量体組成物を60℃に加温し、エステルワックス(DSCにおける吸熱ピークの極大値72℃):10部を添加混合溶解し、これに重合開始剤t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサネート:3部を添加して、重合性単量体組成物を調製した。
【0153】
一方、高速撹拌装置TK−ホモミキサーを備えた容器中に、イオン交換水720部に0.1モル−Na3PO4水溶液450部と1N塩酸16部を添加し回転数を200rpsに調整し、60℃の加温せしめた。ここに1.0モル/リットル−CaCl2水溶液68部を添加し微少な難水溶性分散剤Ca3(PO42を含む分散媒体系を調製した。温度60℃に加温した重合性単量体組成物を温度60℃に加温した媒体系中に投入し、TK−ホモミキサーを250rpsで回転させながら15分間造粒した。
【0154】
その後高速撹拌機からプロペラ撹拌羽に撹拌機を変え、80℃に昇温し8時間反応させた。重合後スラリーを抜き取り、トナー凝集物の付着具合を観察したところ、反応釜及び撹拌羽に付着物は、多少存在したが、水で簡単に洗い落とせる程度であった。重合終了後スラリーを一部分サンプリングし、少量サンプリングを行い、粒度分布を測定すると共に光学顕微鏡にて、造粒時の液滴を観察したところ白球は存在せず、均一に白球が分散していた。結果を表1に記す。
【0155】
(実施例2)
撹拌軸15の回転数を1100rpmに変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。分散工程における、B/A=3.0(Y=3.9)であった。分散工程時の撹拌条件及び、重合後の分散工程時の撹拌条件及び、重合後の壁付着、トナー物性については、表1にまとめて記す。
【0156】
(実施例3)
撹拌軸15の回転数を800rpmに変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。分散工程における、B/A=3.5(Y=3.9)であった。分散工程時の撹拌条件及び、重合後の壁付着、トナー物性については、表1にまとめて記す。
【0157】
(実施例4)
表面処理磁性体1の部数を40部に変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。分散工程における、B/A=6.0(Y=8.4)であった。分散工程時の撹拌条件及び、重合後の壁付着、トナー物性については、表1にまとめて記す。
【0158】
(実施例5)
撹拌軸15の回転数を1100rpmに変更した以外は実施例4と同様の操作を行った。分散工程における、B/A=7.1(Y=8.4)であった。分散工程時の撹拌条件及び、重合後の壁付着、トナー物性については、表1にまとめて記す。
【0159】
(実施例6)
撹拌軸15の回転数を800rpmに変更した以外は実施例4と同様の操作を行った。分散工程における、B/A=7.9(Y=8.4)であった。分散工程時の撹拌条件及び、重合後の壁付着、トナー物性については、表1にまとめて記す。
【0160】
(実施例7)
表面処理磁性体(1)の投入速度を0.25kg/sに変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。分散工程における、B/A=3.1(Y=3.9)であった。分散工程時の撹拌条件及び、重合後の壁付着、トナー物性については、表1にまとめて記す。
【0161】
(実施例8)
表面処理磁性体(1)の投入速度を0.45kg/sに変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。分散工程における、B/A=3.7(Y=3.9)であった。分散工程時の撹拌条件及び、重合後の壁付着、トナー物性については、表1にまとめて記す。
【0162】
(実施例9)
撹拌翼の上羽17を取り外し、1段翼に変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。分散工程における、B/A=3.2(Y=3.9)であった。分散工程時の撹拌条件及び、重合後の壁付着、トナー物性については、表1にまとめて記す。
【0163】
(実施例10)
図4の装置により分散を行った以外は実施例1と同様の操作を行った。分散工程における、B/A=3.3(Y=3.9)であった。分散工程時の撹拌条件及び、重合後の壁付着、トナー物性については、表1にまとめて記す。
【0164】
(実施例11)
図2の装置により分散を行った以外は実施例1と同様の操作を行った。分散工程における、B/A=3.6(Y=3.9)であった。分散工程時の撹拌条件及び、重合後の壁付着、トナー物性については、表1にまとめて記す。
【0165】
(実施例12)
d/Dを0.60に変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。分散工程における、B/A=3.5(Y=3.9)であった。分散工程時の撹拌条件及び、重合後の壁付着、トナー物性については、表1にまとめて記す。
【0166】
(実施例13)
d/Dを0.12に変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。分散工程における、B/A=3.7(Y=3.9)であった。分散工程時の撹拌条件及び、重合後の壁付着、トナー物性については、表1にまとめて記す。
【0167】
(実施例14)
実施例1において、表面処理磁性体(1)に代えて、表面処理磁性体(2)を使用した以外は実施例1と同様の操作を行った。分散工程における、B/A=3.8(Y=3.9)であった。分散工程時の撹拌条件及び、重合後の壁付着、トナー物性については、表1にまとめて記す。
【0168】
(実施例15)
実施例1において、表面処理磁性体(1)の部数を120部に変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。分散工程における、B/A=2.0(Y=3.0)であった。分散工程時の撹拌条件及び、重合後の壁付着、トナー物性については、表1にまとめて記す。
【0169】
(実施例16)
実施例1において、用いる撹拌翼をtooth disk turbineから、プロペラ3枚翼に変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。分散工程における、B/A=3.2(Y=3.9)であった。分散工程時の撹拌条件及び、重合後の壁付着、トナー物性については、表1にまとめて記す。
【0170】
(比較例1)
図1に示すメディア型分散機に、直径1mmのメディア粒子(2)(ジルコニア製)を20kg充填(充填量55%)した後、処理タンク1内に実施例1と同組成の重合性単量体混合物を投入し、大気圧の状態で処理タンク1を周速6m/minで5分間撹拌し分散を行い、重合性単量体混合物を得た。分散終了時サンプリングを行い、タービスキャンによりストークス径を測定し、B/Aを求め結果、B/A=4.1(Y=3.9)であった。分散工程以降、操作は実施例1と同様に行ない重合トナーを得た。分散工程時の撹拌条件及び、重合後の壁付着、トナー物性については、表1にまとめて記す。
【0171】
(比較例2)
分散時間を50時間に変更した以外は比較例1と同様の操作を行った。分散工程における、B/A=4.2(Y=3.9)であった。分散工程時の撹拌条件及び、重合後の壁付着、トナー物性については、表1にまとめて記す。
【0172】
(比較例3)
実施例1において、表面処理磁性体(1)に代えて、表面処理磁性体(3)を使用した以外は実施例1と同様の操作を行った。分散工程における、B/A=4.4(Y=3.9)であった。分散工程時の撹拌条件及び、重合後の壁付着、トナー物性については、表1にまとめて記す。
【0173】
(比較例4)
実施例1において、表面処理磁性体(1)に代えて、表面処理磁性体(4)を使用した以外は実施例1と同様の操作を行った。分散工程における、B/A=4.5(Y=3.9)であった。分散工程時の撹拌条件及び、重合後の壁付着、トナー物性については、表1にまとめて記す。
【0174】
(比較例5)
実施例1において、表面処理磁性体(1)に代えて、磁性体(1)を使用した以外は実施例1と同様の操作を行った。分散工程における、B/A=4.9(Y=3.9)であった。分散工程時の撹拌条件及び、重合後の壁付着、トナー物性については、表1にまとめて記す。
【0175】
[個数変動係数]
反応工程終了時において、サンプリングし、粒度分布を測定し、個数変動係数を計算した。値が小さいほど、粒度分布がシャープであることを示す。
A:28.0未満
B:28.1〜31.0
C:31.1〜34.0
D:34.1以上
【0176】
[反応終了時白球観察]
反応工程終了時において、サンプリングし、トナー液滴の状態を光学顕微鏡(×1000)にて確認した。分散が均一に行われるほど、磁性体がトナー1つ1つに内包されるため、白球が存在しない。
A:白球はない。
B:やや白球が観察される。
C:白球が観察されるが、実用上問題ないレベル。
D:白球が多数観察され、実用上好ましくないレベル。
【0177】
[付着観察]
重合工程終了後、スラリーを抜き取り、反応釜及び撹拌羽に付着しているトナー凝集物を目視観察した。
A:付着物は多少存在するが、水で簡単に洗い落とせる程度。
B:水洗後も多少付着しているが、連続運転に支障はないレベル。
C:水洗後、気液界面に強固に付着しているものの、連続運転に支障はないレベル。
D:水洗後、気液界面に強固かつ大量に付着し、連続運転が難しいレベル。
【0178】
【表1】
Figure 0003913035
【0179】
【発明の効果】
重合法によるトナーの製造において、均質に顔料をトナー中に分散でき、シャープな粒度分布を有するトナーを効率よく得られる。さらには、重合法によるトナーの製造において、大容量かつ低コストで重合トナーを得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のトナーの製造に用いられる分散装置である。
【図2】本発明の製造方法に用いられる分散装置概略図である。
【図3】図2における分散装置の部分拡大図である。
【図4】本発明の製造方法に用いられる分散装置概略図である。
【図5】本発明の製造方法に用いられる分散装置概略図である。
【図6】本発明の製造方法に用いられる分散装置概略図である。
【図7】図6における静止型混合機の部分拡大図である。
【符号の説明】
1 処理物タンク
2 処理物
3 メディア粒子
4 撹拌部材
11 処理物タンク
12 処理物タンクジャケット
13 処理物
14 モーター
15 撹拌軸
16 撹拌翼
17 撹拌翼
18 冷却水導入口
19 冷却水排出口
20 モーター
21 アンカーパドル
22 処理物循環ライン
23 ポンプ
24 静止型混合機

Claims (8)

  1. 少なくとも重合性単量体と磁性体を有し、該重合性単量体を重合して得られる、磁性トナーの製造方法において、
    少なくとも重合性単量体とシランカップリング剤で処理された磁性体とを含有する分散液を、処理物タンク内のDSインペラを備えた撹拌軸とアンカーパドルとを回転させて磁性体を分散させる分散工程を有し、該分散工程において、分散後の分散液中における前記磁性体のストークス径をB(μm)、前記磁性体の体積平均粒径をA(μm)、重合性単量体100質量部中の磁性体の部数をX(質量部)とした時、前記磁性体は下式(1)と、(2)又は(3)を満たし、前記分散液を水系媒体中で懸濁、重合することを特徴とする磁性トナーの製造方法。
    (1)1≦B/A≦Y (2)Y=−0.09X+12(20≦X≦100)
    (3)Y=3.0 (100<X)
  2. 該分散工程で得られた分散液に少なくとも離型剤を加え、溶解及び/または分散せしめ重合性単量体組成物を得る調製工程、該重合性単量体組成物を水系分散媒体に分散して重合性単量体組成物のトナーを生成する造粒工程、及び、該トナーを重合して着色粒子を生成する重合工程を少なくとも有することを特徴とする請求項1に記載の磁性トナーの製造方法。
  3. 該分散工程において、分散後の分散液中における前記磁性体のストークス径をB(μm)、前記磁性体の体積平均粒径をA(μm)、分散液100質量部中の磁性体の部数をX(質量部)とした時、前記磁性体は下式(4)と、(5)又は(6)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の磁性トナーの製造方法。
    (4)1≦B/A≦Y (5)Y=−0.085X+11(20≦X≦100)
    (6)Y=2.5 (100<X)
  4. 該分散工程において、分散後の分散液中における前記磁性体のストークス径をB(μm)、前記磁性体の体積平均粒径をA(μm)、分散液100質量部中の磁性体の部数をX(質量部)とした時、前記磁性体は下式(7)と、(8)又は(9)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の磁性トナーの製造方法。
    (7)1≦B/A≦Y (8)Y=−0.08X+10 (20≦X≦100)
    (9)Y=2.0 (100<X)
  5. 該分散工程において、撹拌軸を複数使用し、多軸とすることを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の磁性トナーの製造方法。
  6. 用いる撹拌翼の中で、最小な径を持つ撹拌翼の直径dと該分散工程に使用する処理物タンク径Dの関係が、0.5≧d/D≧0.15であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の磁性トナーの製造方法。
  7. 前記磁性トナー中の磁性体が、2重結合を有さない少なくとも一種類以上のシランカップリング剤と、2重結合を有するシランカップリング剤で処理されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の磁性トナーの製造方法。
  8. 前記磁性トナー中の磁性体が、水系媒体中でカップリング剤を加水分解しながら表面処理されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の磁性トナーの製造方法。
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