JP4522065B2 - トナー粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法、またはトナージェット方式記録法の如き画像形成方法に用いられるトナーに含まれるトナー粒子の製造方法に関する。
従来、電子写真法は、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成し、次いで前記潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙の如き転写材にトナー画像を転写した後、加熱、圧力、加熱圧力或いは溶剤蒸気により定着し、トナー画像を得るものである(例えば、非特許文献1参照。)。
このような電子写真法に用いるトナーに含まれるトナー粒子を製造する方法としては、懸濁重合法によるトナーを初めとして、乳化重合法等の各種重合法によるトナーやその製造方法が提案されている。例えば、懸濁重合法においては、重合性単量体に着色剤を分散させて微粒状単量体混合物を得た後、重合開始剤さらに必要に応じて架橋剤、荷電制御剤、その他添加剤を均一に溶解又は分散せしめて重合性単量体組成物とした後、この重合性単量体組成物を分散安定剤を含有する連続相、例えば水相中に適当な高剪断力を有する撹拌装置を用いて微粒化して造粒し、得られた微粒子を同時に重合反応させて所望の粒径を有するトナー粒子を得る方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、乳化重合法においては、例えば重合性単量体、重合開始剤、界面活性剤、さらに必要に応じて架橋剤、連鎖移動剤、その他添加剤を含んだ単量体組成物を水系媒体中に適当な高剪断力撹拌機を用いて分散し、同時に重合反応を行わせ、所望の粒径を有する乳化樹脂粒子を得る。更に着色剤、分散助剤、荷電制御剤等を含有する水系媒体中に、ビーズミル又は高剪断力を有する撹拌装置を用いて均一に分散させた後、前記した乳化樹脂粒子と会合(凝集及び融着)させて所望の粒径を有するトナー粒子を得る方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
これらの方法は、トナー粒子に脆性が必要ではないことから、軟質の樹脂を材料として使用することができる点、トナー粒子表面への着色剤の露出等が生ぜず、均一な摩擦帯電性を有するトナー粒子が得られる点、得られるトナー粒子の粒度分布が比較的シャープなことから、分級工程を省略することができ、又は分級したとしても、高収率でトナー粒子が得られる点、及び、多量の、かつ複数種の低軟化点物質を離型剤としてトナー粒子中に内包化することができることから、耐オフセット性に優れるトナー粒子が得られる点、等の観点から優れている。
前述した従来の方法では、前記高剪断力を有する攪拌装置として、分散容器の頂部から底部に向けて延出する攪拌軸の先端に設けられる攪拌羽根と、分散容器内に向けて開放されているとともに攪拌羽根を内包する攪拌室を形成し、攪拌軸に対して不動に設けられ、通液孔を有するスクリーンとを有する攪拌装置が通常用いられる。
しかしながら、上記した高剪断力を有する撹拌装置を用いる場合では、高速撹拌によって攪拌装置及び攪拌軸からの発熱が起こる。この発熱は、分散容器中の重合性単量体組成物に熱的影響を及ぼして所望の分散に不具合を生じさせることがある。この分散の不具合は、得られるトナー粒子の粒度分布のブロード化を招き、前記した分級収率に悪影響を及ぼすことがある。
また、前記の発熱は、撹拌装置や攪拌軸に付着した重合性単量体組成物を重合させて、
強固な付着物を生じさせることがある。この付着物は、成長すると製品に混入したり、撹拌装置の可動部分を可動不能にさせることがある。この付着物の影響は、付着物を定期的に除去することによって回避することができるが、この定期的なメンテナンスは製造ラインを停止して行わなければならないため、製造コストを上昇させる原因となっている。特にこの付着物は、分散容器内の気−液界面で発生しやすい。気−液界面で付着物が発生すると、攪拌に伴う発熱により乾燥、焼き付けが起こり、更に強固な付着物となりやすい。
これらの問題を解決するため、前記した高剪断力撹拌装置にシャワーリングを施したり、攪拌軸の周囲にジャケットを形成して前記攪拌軸を冷却する方法が取られている。これらの対策で一定の効果は得られているが、効果が限定的であったり、攪拌装置等を含む攪拌機の構成が複雑になり機器費の増大を招いている。
特開平8−305084号公報 特開2000−292973号公報 電子写真学会編,「電子写真技術の基礎と応用」,株式会社コロナ社,1988年6月15,P.46−79
本発明の目的は、上述のごとき問題を解決したトナー粒子の製造方法を提供することにある。詳しくは、本発明の目的は、高剪断力を有する撹拌装置を用いるトナー粒子の製造において、トナーの品質に悪影響を及ぼさないトナー粒子の製造方法を提供することにある。
更に本発明の目的は、高剪断力を有する撹拌装置を用いるトナー粒子の製造において、攪拌装置への付着物の付着を防止して装置メンテナンス費用を低減することにより製造コストを抑制することができるトナー粒子の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記した従来技術の課題を解決すべく鋭意検討の結果、高剪断力を有する撹拌装置を使用したトナー粒子の製造方法において、高剪断力を有する撹拌装置や攪拌軸の発熱がトナーの品質に影響を及ぼしていることを見出し本発明に至った。特に分散容器の上部又は分散容器の上部の蓋から分散容器の底部付近まで延びる攪拌軸を有する構造が、攪拌軸からの発熱をより一層起こし、トナーの品質により一層影響を及ぼしていることを知見した。その結果、前記攪拌軸をできる限り短くして、発熱によって重合性単量体組成物に与えられる熱的影響を極力抑制する方法を見出し、本発明に至った。
また本発明者は、上記した長い攪拌軸が、撹拌装置の付着物の成長に関連があることを知見して、本トナー粒子の製造方法を発明するに至った。特に付着物の成長は、分散容器内に存在する液相部とそれ以外の気相部との界面に形成される気−液界面で多く発生しており、発熱する攪拌軸が気−液界面に存在しないトナー粒子の製造方法を見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、以下の特徴を有するトナー粒子の製造方法に関する。
(1)少なくとも重合性単量体を、この重合性単量体に対して実質的に非相溶性の液状分散媒体に、回転する攪拌軸に接続され分散容器内に設けられる、高剪断力を有する攪拌装置を用いて分散させる工程を含み、この工程で分散させた重合性単量体を重合してトナー粒子を製造するトナー粒子の製造方法において、分散させる工程では、分散容器内にある攪拌軸及び攪拌装置が、少なくとも液状分散媒体と重合性単量体とを分散容器内に収容したときに形成される液相部と気相部とのうちの液相部に包含される位置に設けられており、
攪拌装置は、攪拌軸の回転に伴って回転する攪拌羽根と、この攪拌羽根を内包する攪拌室を形成するスクリーンとを有し、このスクリーンは分散容器内に向けて開放されている攪拌室を形成し、かつ攪拌室の壁面に開口する通液孔を有しており、攪拌軸が攪拌羽根の下部に接続されており、攪拌軸の軸線と鉛直方向に延びる直線とのなす角度αが60°以下であり、分散させる工程では、攪拌装置の上方から攪拌装置に吸い込まれ、攪拌装置から攪拌装置の下方に噴出する向きの流れが液相部に形成され、前記重合性単量体組成物と液状分散媒体とを含む液体は、撹拌装置の上部から撹拌室に入り、高速回転する撹拌羽根とスクリーンとの間に生じる強力な剪断力、衝撃及び乱流によって撹拌されて前記液体中の重合性単量体は、ミクロンオーダーの粒子として通液孔から分散容器内に噴出することを特徴とするトナー粒子の製造方法である。
(2)液状分散媒体は水系分散媒体であることを特徴とする(1)記載のトナー粒子の製造方法である。
(3)分散させる工程は、少なくとも重合性単量体と着色剤とを含む重合性単量体組成物を液状分散媒体中へ分散させ微粒化させて造粒する工程であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のトナー粒子の製造方法である。
(4)攪拌装置は分散容器の底部に設けられていることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか一つに記載のトナー粒子の製造方法である。
(5)攪拌羽根の周速は10m/s乃至50m/sであることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか一つに記載のトナー粒子の製造方法である。
(6)分散容器は、少なくとも重合性単量体及び液状分散媒体を排出する排出弁を有し、排出弁は、攪拌羽根よりも下方に具備されていることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれか一つに記載のトナー粒子の製造方法である。
(7)コア/シェル構造を有するトナー粒子を製造する(1)乃至(6)のいずれか一つ
に記載のトナー粒子の製造方法である。
(8)コア/シェル構造のコア部の主たる成分が、融点40〜90℃の低軟化点物質である(7)に記載のトナー粒子の製造方法である。
本発明によれば、高剪断力を有する撹拌装置を用いるトナー粒子の製造において、トナーの品質に悪影響を及ぼさないトナー粒子の製造方法を提供することが可能である。さらに本発明によれば、攪拌装置への付着物の付着を防止することができ、これによって製造コストを抑制することができるトナー粒子の製造方法も提供することが可能となる。
本発明のトナー粒子の製造方法は、少なくとも重合性単量体を、この重合性単量体に対して実質的に非相溶性の液状分散媒体に、高剪断力を有する攪拌装置を用いて分散させる工程を含む。
前記分散させる工程では、少なくとも液状分散媒体と重合性単量体とを分散容器内に収容したときに形成される液相部と気相部とのうちの液相部に、前記分散容器内にある攪拌軸及び前記攪拌装置が包含される位置に設けられている前記高剪断力を有する攪拌装置が用いられる。
前記液状分散媒体は、重合性単量体又は後述する重合性単量体組成物に対して実質的に
非相溶性であれば特に限定されない。ここで「実質的に非相溶性」とは、液状分散媒体中で重合性単量体を重合させたときに粒子状の重合物が得られる、重合性単量体又は重合性単量体組成物に対する液状分散媒体の相溶性の程度を示しており、液状分散媒体は、重合性単量体又は重合性単量体組成物に対して必ずしも分離しなくても良い。このような液状分散媒体は、重合性単量体や、重合性単量体組成物中の成分の種類等に応じて、種々の公知の溶媒や溶液の一種又は二種以上が適宜選択される。
前記高剪断力を有する攪拌装置は、液体を攪拌する装置であり、かつ攪拌される液体に剪断作用を呈する装置であれば特に限定されない。このような攪拌装置としては、例えば一方の部材と他方の部材とが近接して設けられ、これらの部材の少なくとも一方は移動自在であり、かつこれらの部材が相対的にカウンター方向に移動する構造を有する攪拌装置が挙げられる。このような攪拌装置としてより具体的には、攪拌軸の回転に伴って回転する攪拌羽根と、この攪拌羽根を内包する攪拌室を形成するスクリーンとを有し、このスクリーンは前記分散容器内に向けて開放されている攪拌室を形成し、かつ攪拌室の壁面に開口する通液孔を有する攪拌装置や、併設又は重ねられて設けられ、カウンター方向に互いに回転する二つ以上の攪拌羽根を有する攪拌装置等が挙げられる。
なお「高剪断力を有する」とは、液状分散媒体中で重合性単量体を分散しつつ重合させたとき、又は液状分散媒体中で重合性単量体を分散させたときに、トナー粒子として用いられる程度の大きさの粒子が得られる分散性能を言う。このような分散性能は、攪拌装置の構成及び攪拌軸の回転速度等によって実現することが可能である。
前記分散させる工程は、同時に重合性単量体を重合させる工程を含んでいても良いが、少なくとも重合性単量体と着色剤とを含む重合性単量体組成物を液状分散媒体中へ分散させ、微粒化させて造粒する工程であることが、懸濁重合法や乳化重合法に本発明を適用する上で好ましく、前記液状分散媒体が水系分散媒体であることがより好ましい。前記水系分散媒体は、水を主成分とし、分散安定剤や乳化剤等の副成分を必要に応じて含有する液状の媒体である。
本発明のトナー粒子の製造方法は、前記分散させる工程を含み、この工程で分散させた重合性単量体を重合してトナー粒子を製造する方法であれば特に限定されず、例えば、前記重合性単量体組成物を調製する工程、前記液状分散媒体を調製する工程、分散させた重合性単量体を重合させる工程、重合させる工程で得られた粒子状の重合物を取り出すための工程等の他の工程を含んでも良い。
次に本発明の好ましい実施形態を挙げて本発明を詳細に説明する。
本発明のトナー粒子の製造方法を実施することができるシステムの一例を図3に示す。これは一例を示したものであり、本発明はこれに限定するものではない。このシステムは、図3に示されるように、被分散液であり、重合性単量体と着色剤とを含有する重合性単量体組成物を調製する溶解装置10と、溶解装置10で調製された重合性単量体組成物を液状分散媒体に分散させて重合性単量体組成物の液滴を造粒する分散装置1と、分散装置1で得られた重合性単量体組成物の微粒子中の重合性単量体を重合させる重合装置11と、重合装置11で生成した粒子状の重合物を取り出すための後処理装置12とを有する。
溶解装置10、重合装置11、及び後処理装置12には、公知の装置が用いられる。溶解装置10は、溶解容器と、溶解容器内を攪拌する攪拌機とを有する。溶解容器には、溶解容器の収容物の温度を調節するためのジャケットが設けられている。重合装置11は、重合容器と、重合容器内を攪拌する攪拌機とを有する。重合容器には、重合容器の収容物の温度を調節するためのジャケットが設けられている。後処理装置12は、ろ過手段や洗浄槽等が設けられている。
分散装置1は、図1に示されるように、分散容器1aと、分散容器1aの底部の近傍に設けられている攪拌装置2と、分散容器1aの底部の外側に設けられているモータ13と、攪拌装置2とモータ13とを接続する回転自在な攪拌軸3と、分散容器1a内側の上部に設けられているシャワーリング装置8と、分散容器1aの底部に設けられ分散容器1aの収容物を排出するための排出弁9とを有する。分散容器1aには、分散容器1aの収容物の温度を調整するためのジャケット7が設けられている。また、攪拌装置2は、攪拌軸3の軸線と鉛直方向に延びる直線とが、所定の角度(α)をなすように、分散容器1aの中心軸からずれた位置に設けられている。
攪拌装置2は、図2に示されるように、攪拌軸3の先端に設けられている攪拌羽根4と、攪拌羽根4を内包する攪拌室6を形成し通液孔14を有するスクリーン5とを有する。スクリーン5は、攪拌軸3が貫通する孔を底部に有し、通液孔14を周壁に有するコップ様の形状に形成されており、上方に向けて開放部分を有する攪拌室6を形成している。スクリーン5は、攪拌軸3に対して不動に設けられている。攪拌羽根4は、通液孔14が設けられているスクリーン5の周壁に対して所定の距離だけ離れている直線状の縁を有する形状に形成されている。通液孔14は、スクリーン5の周壁の高さ方向に沿って延びる細長の孔であり、所定の間隔を有して複数設けられている。
なお、スクリーン5は前記形態に限定されず、例えば周壁又は全体がメッシュで形成されたスクリーンを用いることも、本発明の好ましい実施形態として挙げられる。
本発明におけるトナー製造方法において懸濁重合トナー法を用いた場合、溶解装置10において、少なくとも重合性単量体を含有し、必要に応じて加える添加剤を含有する重合性単量体組成物を、攪拌や加熱等を行いながら調製する。この時、溶解容器中で均一な分散が困難な添加剤がある場合、このような添加剤と適当な他の添加物とを予め他の工程で分散、溶解して溶解容器中に加えても良い。
一方、分散溶液1aでは、攪拌装置2により攪拌することにより、重合性単量体組成物と実質的に非相溶性の液状分散媒体が調製される。その後、前記した重合性単量体組成物が液状分散媒体中に投入される。
分散装置1では、前記重合性単量体組成物と液状分散媒体とを含む液体は、撹拌装置2の上部から撹拌室6に入り、高速回転する撹拌羽根4とスクリーン5との間に生じる強力な剪断力、衝撃及び乱流によって撹拌される。この攪拌によって前記液体中の重合性単量体は、ミクロンオーダーの粒子として通液孔14から分散容器1a内に噴出する。所望の重合性単量体組成物の粒子径が得られるまで所定時間攪拌した後、液状分散媒体と微粒状の重合性単量体組成物からなるスラリーを重合装置11に移送する。
なお、上記構成の撹拌装置2においては、撹拌羽根4の形状、スクリーン5のメッシュ径及び撹拌羽根4とスクリーン5との間隙は変更可能であり、被分散液の粘度や最終的に所望する被分散液の粒子径等により適宜好ましい形態の攪拌装置2を用いることができる。
また、上記構成の分散装置1では、前記スラリーを重合装置11に送る際、又は移送後に、シャワーリング装置8によってシャワーリングを行うことが、付着物を除去し、付着物の蓄積を防止する上で好ましい。シャワーリングには、液状分散媒体の主成分の液体や、重合性単量体組成物に対する相溶性に優れる液体等を用いることができる。シャワーリングに用いる液体は、重合性単量体組成物の組成やシャワーリングの時期等によって適宜選択される。
重合装置11では、必要に応じて前記スラリーに重合開始剤を添加し、加熱することにより重合性単量体を重合させる。分散装置1における分散後は、液状分散媒体の安定作用により重合性単量体組成物の粒子状態(液滴)が維持されるので、重合装置11では重合性単量体組成物の粒子の沈降が防止される程度の攪拌を撹拌翼により行えばよい。なお、重合開始剤は、重合前の任意の時期に重合性単量体組成物に対して添加されれば良く、その添加時期は重合開始直前に限定されない。
重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定される。この際、重合温度は重合時間に応じて複数設定してもよい。重合性単量体の重合は、後半に昇温することが好ましい。更に、未反応の重合性単量体や副生成物を除去する為に、重合反応の後半、又は重合反応の終了後に、液状分散媒体(水系分散媒体)の一部を留去することが好ましい。特に重合容器内に100℃以上の飽和水蒸気を投入して留去すると、未反応の重合性単量体及び副生成物を効率良く除去することができる。
その後、得られたスラリーは、後処理装置12に移送され、必要に応じて液状分散媒体中の分散安定剤等の成分が除去される。残された固形粒子を洗浄、ろ過、乾燥することによりトナー粒子が得られる。
前記した造粒(分散)工程では、通常、ある一定の温度で造粒を行う為に、分散容器1aにジャケット7を設け、ジャケット7内に温水或いは蒸気、必要に応じて冷水等を流し、分散容器1a内の温度制御を行うのが好ましい。
また、撹拌装置2によれば、分散容器1a内の液体の流れは、攪拌装置2の上方から攪拌装置2に吸い込まれ、攪拌装置2から攪拌装置2の下方に噴出する様になる。この場合、重合性単量体組成物が非常に効率良く撹拌室6に送り込まれ、より一層粒度分布のシャープな重合性単量体組成物の微粒子が得られる。
また、攪拌装置2では、攪拌軸3が攪拌装置2の上部に設置されていないため、上記した上方から下方への流れを攪拌軸3が妨げることもなく、理想的なフローパターンが分散容器1a内の液相中に形成され、より一層粒度分布のシャープな重合性単量体組成物の微粒子が得られる。
従来、分散装置の攪拌軸は、モータが分散容器の上部又は分散容器の上部の蓋に設置されていることから、分散容器の上部から鉛直下方又はそれに準ずる方向に、分散容器の底部付近まで延びる長軸な攪拌軸であった。これは、攪拌羽根を液面付近に設置すると、キャビテーションや液はね等により攪拌効率が悪くなるため、攪拌羽根を底部に設置して液圧を利用して攪拌効率を高めた結果である。しかし、この長い攪拌軸は、攪拌軸における発熱する表面の面積が広く、重合性単量体組成物に与える熱的影響が大きい。これを防止するためには、前述したように、攪拌軸をジャケット構造にし、熱的影響を抑えることが行われているが、攪拌軸の構成が複雑になり、装置機器費の上昇を招いている。
これに対して本実施形態における分散装置1では、分散容器1aの底部に攪拌装置2が設けられ、モータ13が分散容器1aの底部の外側に設けられていることから、これらを接続する攪拌軸3の長さが、従来の攪拌軸に比べて格段に短く、必要最低限の攪拌軸の長さを実現している。この結果、上記した攪拌軸からの発熱による重合性単量体組成物への熱的影響を極力抑制することが可能である。
また、分散容器内の液相部とそれ以外の気相部との界面に形成される気−液界面が容器内に存在するが、従来の分散装置では、前述したように、分散容器の上部から分散容器の
底部付近まで延びる長い攪拌軸が用いられていることから、従来の攪拌軸は、気−液界面を貫くように設けられる。前記した、メンテナンスを必要とする付着物の成長は、攪拌軸周りの気−液界面で多く見られる。これらを防止するために、攪拌軸をジャケット構造にしたり、シャワーリング装置を設置して付着物の成長を抑制しているが、分散装置の機器費の上昇を招いている。
これに対して本実施形態における分散装置1では、分散容器1aの底部に攪拌装置2が設けられ、モータ13が分散容器1aの底部の外側に設けられていることから、攪拌軸3は分散容器1aの底部から分散容器1a内に突出するので、攪拌軸3周りに気−液界面が存在しない。この結果、上記した付着物の成長は、全く発生せず、メンテナンス費用の削減と機器費の抑制を実現することができる。
分散装置1における分散によって得られる液滴粒子の粒子径のコントロールは、通常、液状分散媒体に使用される分散安定剤の量及び撹拌羽根4の回転数で行う。撹拌羽根4の周速は、鋭意検討を重ねた結果、攪拌羽根4の先端(回転時に最大外周となる攪拌羽根4の端部)において、10〜50m/secに制御するのが、得られる粒子の粒度分布のシャープ化の点で好ましい。10m/sec未満の周速では、液滴粒子の粒径を小さくすることが困難であり、又、50m/secより大きくすると、トナーとして使用するのに不適当な、非常に細かい粒子が多数生成され、粒度分布が幅広のものになることがある。また、過剰な高速運転は、キャビテーションエロージョンの影響から、攪拌装置2の破損を招くことがある。更には、20〜40m/secに攪拌羽根4の先端の周速を制御するのがより好ましい。
又、撹拌羽根の直径(回転時における最大外周の直径)dと分散容器の内径Dの比であるd/Dの値が、分散容器内での均一な撹拌を達成する上で非常に重要な因子である。即ち、d/Dは小さすぎると十分な撹拌が得られず、又、d/Dが大きすぎると容器内壁との衝突力が大きくなり、乱流を発生させることになり、好ましくない。そこで、本発明者らが検討した結果、d/Dは、0.1〜0.3の範囲が好ましいことが判明した。
本発明のトナーの製造方法に用いられる撹拌装置は、前記攪拌軸と前記攪拌羽根の中心軸が形成する一直線上の軸線と鉛直方向に延びる直線とのなす角度αが60°以下であることが好ましい。αが60°よりも大きいと、攪拌装置から吐出された液流体が分散容器内の液相部の自由表面を乱し、液ハネを起こすため好ましくない。この液ハネは、分散容器の側面を汚すだけでなく、分散容器の収容物に空気を巻き込み、攪拌効率を悪化させる。これは気泡が混入されると、撹拌羽根が液体にエネルギーを与えても、気泡自体が収縮することによりこのエネルギーを吸収し、前記重合性単量体又は重合性単量体組成物を微粒化する能力が低下してしまうためである。この攪拌効率の低下は、得られるトナー粒子の粒度分布に悪影響を与える。
又、本発明では、分散容器内の収容物を排出する排出弁は、攪拌羽根よりも下方に具備されていることが好ましい。攪拌羽根よりも上方に排出弁が具備されていると、分散容器内に液溜まりを生じるので好ましくない。
本発明に用いられる分散装置は、撹拌羽根の回転方向が正逆両方向のいずれにも回転可能であることが好ましい。これは、逆方向にすることにより、吐出方向が異なる為に、撹拌装置内の清掃時において非常に有効である。即ち、撹拌室内のデッドスペースでの付着物やスケールを、逆回転にすることにより容易に除去することができる。
本発明において分散容器1a内に設置する撹拌機としては、液相部にのみ高せん断力を有する攪拌装置が具備されていれば良く、例えば、ボトム型クレアミックス(エムテクニ
ック社製)が好ましい一例として挙げられる。
また、溶解装置10、重合装置11に設置する撹拌機としては、容器内全体を均一に撹拌できる装置が好ましい。このような攪拌機としては、例えば、パドル翼、三枚後退翼、アンカー翼、より好ましくはフルゾーン翼(神鋼パンテック社製)、マックスブレンド翼(住友重機械工業社製)、サンメラー翼(三菱重工業社製)、Hi−Fミキサー翼(総研化学社製)、ベンドリーフ翼(八光産業社製)、ディゾルバ翼(エムテクニック社製)等を攪拌羽根として有する攪拌機が挙げられる。
更には、図4に示すように、トナー粒子にコア/シェル構造をもたせ、シェル部分が重合により形成される様な、定着性と耐ブロッキング性を両立させるトナー粒子を製造する場合、各トナー粒子中に低軟化点物質を同じ割合で存在させることが必要となるが、この点においても造粒時の粒度分布の制御は重要となる。本発明の製造方法では、造粒時の重合性単量体組成物の液滴粒子の粒度分布をシャープにすることができる為に、かかる課題も解消することができる。
又、コア部の主たる成分としては低軟化点物質が好ましく、ASTM D3418−8に準拠し測定された主体極大ピーク値が、40〜90℃を示す化合物が好ましい。極大ピークが40℃未満であると、低軟化点物質の自己凝集力が弱くなり、結果としてトナー像の定着時の高温オフセット性が弱くなり好ましくない。一方、極大ピークが90℃を越えると、トナーの定着温度が高くなり好ましくない。更には、極大ピーク値の温度が高いと、主に造粒中に低軟化点物質が析出してきて懸濁系を阻害することがあるので好ましくない。
本発明において低融点物質の極大ピーク値の温度の測定には、例えば、パーキンエレマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正は、インジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正については、インジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定する。
低融点物質としては、離型剤であることが好ましく、離型剤としては種々のワックスを用いることができる。ワックスとしては、低分子量ポリエチレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス等が挙げられる。
また、前記ワックスとしては、酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;又は、それらのブロック共重合物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろうの如き植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろうの如き動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラタムの如き鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの如き脂肪族エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪族エステルを一部又は全部を脱酸化したワックスの如き官能基を有するワックス等が挙げられる。
更に、前記ワックスとしては、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、または更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カウナビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、または更に長鎖のアルキル基を有するアルキルアルコールの如き飽和アルコール;ソルビトールの如き多価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪族アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン
酸アミドの如き飽和脂肪族ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物の如きワックス等が挙げられる。
更に、前記ワックスとしては、ビニルモノマーでグラフトされたワックスが挙げられる。ビニルモノマーでグラフトされたワックスとしては、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス等が挙げられる。
好ましいワックスとしては、オレフィンを高圧下でラジカル重合したポリオレフィン;高分子量ポリオレフィン重合時に得られる低分子量副生成物を精製したポリオレフィン;低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒の如き触媒を用いて重合したポリオレフィン;放射線、電磁波又は光を利用して重合したポリオレフィン;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス;ジントール法、ヒドロコール法、アーゲ法等により合成される合成炭化水素ワックス;炭素数一個の化合物をモノマーとする合成ワックス;水酸基、カルボキシル基又はエステル基の如き官能基を有する炭化水素系ワックス;炭化水素系ワックスと官能基を有する炭化水素系ワックスとの混合物;これらのワックスを母体としてスチレン、マレイン酸エステル、アクリレート、メタクリレート、無水マレイン酸の如きビニルモノマーでグラフト変性したワックスが挙げられる。
また、これらのワックスの分子量分布を、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は融液晶析法を用いてシャープにしたものや、低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも、本発明では好ましく用いられる。
また、低軟化点物質の一つであるワックスは、トナー粒子中へ5〜30質量%添加することが好ましい。仮に5質量%未満の添加では、良好なトナーの定着性及び耐オフセット性が得られにくく、また、30質量%を超える場合は、重合法による製造においても造粒時にトナー粒子同士の合一が起き易く、粒度分布の広いトナー粒子が生成し易い。
低軟化点物質をトナー粒子に内包化せしめる方法としては、水系分散媒体中での材料の極性を、主要な重合性単量体より低軟化点物質の方を小さく設定し、更に少量の極性の大きな樹脂又は重合性単量体を添加せしめる方法が挙げられる。このような方法によれば、低軟化点物質を樹脂で被覆したコア/シェル構造を有するトナー粒子を得ることができる。
トナー粒子の粒度分布の制御や平均粒径の制御は、難水溶性の無機塩や保護コロイド作用をする分散安定剤の種類や添加量を変える方法や、分散容器中に設置された攪拌装置における攪拌羽根の周速、スクリーン5の通液孔14を通過する回数であるパス回数、撹拌羽根の形状の如き撹拌条件や、分散容器の形状、又は水系分散媒体中での固形分濃度を制御することにより、所定の粒度分布で所定の平均粒径のトナー粒子を得ることができる。
本発明においてトナー粒子の断層面を測定する具体的方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナー粒子を十分分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させて
硬化物を得、得られた硬化物に、四三酸化ルテニウム、必要により四三酸化オスミウムを併用し染色を施した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い、前記硬化物から薄片状のサンプルを切り出し、このサンプルから、透過電子顕微鏡(TEM)を用いてトナー粒子の断層形態を観察する方法が挙げられる。本発明においては、用いる低軟化点物質と外殻を構成する樹脂との若干の結晶化度の違いを利用して材料間のコントラストを付ける為に、四三酸化ルテニウム染色法を用いることが好ましい。
本発明において用いられる重合性単量体としては、スチレン;o−(m−、p−)メチルスチレン、m−(p−)エチルスチレンの如きスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルの如き(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、(メタ)アクリロニトリル、アクリル酸アミドの如きエン系単量体が用いられる。これらの重合性単量体は、単独で、又は、混合して使用される。
これらは、一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−P139〜192(JohnWiley & Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)が、40〜80℃を示す様に、重合性単量体を適宜混合して用いられる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場合には、トナーの保存安定性やトナーの耐久性が低下しやすく、一方、80℃を超える場合は、定着温度の上昇をもたらし、特にフルカラートナーの場合においては各色トナーの混色性が低下しやすく、更にOHP画像の透明性が低下しやすい。
コア/シェル構造を有するトナー粒子のシェル(外殻樹脂)の分子量は、外殻樹脂の数平均分子量(Mn)は、5,000〜1,000,000が好ましく、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、2〜100であることが好ましく、より好ましくは4〜100である。外殻樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。
具体的なGPCの測定方法としては、予めトナー又はトナー粒子をソックスレー抽出器を用い、トルエン溶剤で20時間抽出を行った後、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去せしめ、更に低軟化点物質は溶解するが、外殻樹脂は溶解し得ない有機溶剤(例えば、クロロホルム等)を加えて十分洗浄を行った後、テトラヒドロフラン(THF)に可溶した溶液をポア径が0.3μmの耐溶剤性メンブランフィルターで濾過したサンプルを、ウォーターズ社製150Cを用いて測定する。測定におけるカラムには、昭和電工製A−801、802、803、804、805、806及び807を連結したものを用い、標準ポリスチレン樹脂の検量線を用いることにより、分子量分布を測定することができる。
本発明においては、コア/シェル構造を有するトナー粒子を製造する場合、外殻樹脂中に低軟化点物質を内包化せしめるために、外殻樹脂の他に更に極性樹脂を添加せしめることが特に好ましい。本発明に用いられる極性樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
前記極性樹脂は、外殻樹脂又は重合性単量体と反応し得る不飽和基を分子中に含まないものが特に好ましい。反応性の不飽和基を有する極性樹脂を含む場合においては、外殻樹脂層を形成する重合性単量体と極性樹脂との間に架橋反応が起き、高分子量成分及び/又はTHF不溶成分が生成し、フルカラー用トナーとしては高分子量になり、フルカラー用
トナーとしては好ましくない。
また、本発明においては、トナー粒子の表面に更に最外殻樹脂層を設けてもよい。最外殻樹脂層のガラス転移温度は、耐ブロッキング性の更なる向上のために、外殻樹脂層のガラス転移温度よりも高くし、更に定着性を損なわない程度に架橋されていることが好ましい。また、前記最外殻樹脂層には、帯電性向上のために極性樹脂や荷電制御剤が含有されても良い。
上記最外殻層を設ける方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の様な方法が挙げられる。
(1)重合反応後半、又は終了後、必要に応じて、極性樹脂、荷電制御剤、架橋剤を溶解又は分散した重合性単量体を、トナー粒子が存在する水系分散媒体中に添加し、トナー粒子に吸着させ、重合開始剤を添加して重合を行う方法。
(2)必要に応じて、極性樹脂、荷電制御剤、架橋剤を含有した重合性単量体で形成されている乳化重合粒子又はソープフリー重合粒子を、トナー粒子が存在する水系分散媒体中に添加し、トナー粒子の表面に凝集させ、更には必要に応じて熱により固着させる方法。(3)必要に応じて、極性樹脂、荷電制御剤、架橋剤等を含有した重合性単量体で形成されている乳化重合粒子又はソープフリー重合粒子を、乾式で機械的にトナー粒子表面に固着させる方法。
本発明に用いられる着色剤には、黒色着色剤をはじめ、種々の色の着色剤を用いることができる。黒色着色剤としてはカーボンブラック、磁性体が使用される。
黒色着色剤として磁性体を使用する場合は、以下に挙げるような磁性体を使用することができる。この場合、磁性トナー粒子に含まれる磁性体としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe、Co、Niのような金属、或いは、これらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、Vのような金属との合金、及びこれらの混合物等が挙げられる。
具体的には、磁性体としては、四三酸化鉄(Fe)、三二酸化鉄(γ−Fe)、酸化鉄亜鉛(ZnFe)、酸化鉄イットリウム(YFe12)、酸化鉄カドミウム(CdFe)、酸化鉄ガドリニウム(GdFe12)、酸化鉄銅(CuFe)、酸化鉄鉛(PbFe1219)、酸化鉄ニッケル(NiFe)、酸化鉄ニオジム(NdFe)、酸化鉄バリウム(BaFe1219)、酸化鉄マグネシウム(MgFe)、酸化鉄ランタン(LaFeO)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)が挙げられる。上述した磁性体を単独で或いは二種以上組み合わせて使用しても良い。
これら磁性体の形状としては、八面体、六面体、球状、針状、鱗片状があるが、八面体、六面体、球状等の異方性の少ないものが画像濃度を高める点で好ましい。
このように黒色着色剤として磁性体を用いる場合には、他の着色剤と異なり、重合性単量体又は樹脂100質量部に対し40〜150質量部が用いられる。磁性体の表面は、疎水化処理されていることが好ましい。
磁性体の粒子表面を疎水化する際、水系媒体中で、磁性体の粒子を一次粒径となるよう分散しつつカップリング剤を加水分解しながら表面処理する方法を用いると、磁性体粒子の表面が均一、かつ、適度に疎水化処理されるため特に好ましい。この水中又は水系媒体中での疎水化処理方法は、気相中で乾式処理する方法よりも、磁性体粒子同士の合一が生
じにくく、また疎水化処理による磁性体粒子間の帯電反発作用が働き、磁性体粒子はほぼ一次粒子の状態で表面処理される。
カップリング剤を水系媒体中で加水分解しながら磁性体粒子表面を処理する方法は、クロロシラン類やシラザン類のようにガスを発生するようなカップリング剤を使用する必要もなく、さらに、これまで気相中では、磁性体粒子同士が合一しやすくて、良好な処理が困難であった高粘性のカップリング剤も使用できるようになり、疎水化の効果を上げることができる。
着色剤として磁性体の粒子を用いる場合、表面処理において使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤が挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、下記一般式(1)で示されるものである。
SiY (1)
[式中、Rはアルコオキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、グリシドキシ基、メタクリル基の如き炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す。]
このようなシランカップリング剤としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピリトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
この中で、磁性体の分散性の向上には、二重結合を有するシランカップリング剤を用いることが好ましく、フェニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランがより好ましい。これは、特に懸濁重合を行う場合、二重結合を有するカップリング剤で処理すると、磁性体と重合性単量体とのなじみが良好になる為であると考えられ、トナー粒子中での磁性体の分散性が良好なものとなる。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、168、174、176、180、181、191が好適に用いられる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクドリン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1
、81:1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が好ましい。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物などが利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が好適に用いられる。
着色剤は、カラートナーの場合、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透明性、トナー粒子中への分散性の点から選択される。非磁性の着色剤の添加量は、重合性単量体又は重合後の粒子中の樹脂100質量部に対し1〜20質量部である。
本発明では、重合性単量体組成物に荷電制御剤を添加することができる。本発明に用いられる荷電制御剤としては、公知のものを利用することができる。カラートナーの場合は、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持することができる荷電制御剤が好ましい。更に、重合阻害性が無く水系媒体への可溶化物の無い荷電制御剤が特に好ましい。ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の金属化合物;スルホン酸又は/及びカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。ポジ系荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。
荷電制御剤は、重合後の粒子中の樹脂100質量部に対し0.5〜10質量部使用するのが好ましい。しかしながら、本発明においては荷電制御剤の添加は必須ではなく、二成分現像方法の場合においては、キャリアとトナーとの摩擦帯電を利用し、非磁性一成分現像方法においては、ブレードコーティング用のブレード部材やスリーブ部材とトナーとの摩擦帯電を積極的に利用することで、トナーの帯電を制御することが可能である場合があり、このような場合では、トナー粒子中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
本発明で使用される重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルパーオキシルジエチルヘキサネート、t−ブチルペルオキシピバレートの如き過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には重合性単量体に対し0.5〜20質量%であり、好ましくは0.5〜5質量%である。重合開始剤の種類は、重合方法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に、単独又は混合して使用される。
また、本発明では、重合性単量体の重合によって形成される樹脂の重合度を制御するために、公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤を更に添加しても良い。
架橋剤としては、例えば芳香族ジビニル化合物として、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物として、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジ
オールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロバンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;ポリエステル型ジアクリレート類として、商品名MANDA(日本化薬)が挙げられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
トナー粒子の製造方法として懸濁重合法を利用する場合には、用いる分散安定剤として、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナの如き無機分散安定剤が挙げられる。有機系分散安定剤としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプンが挙げられる。
本発明のトナー粒子の製造方法においては、有機揮発性成分の除去工程でのトナー粒子の凝集を防止するために、無機分散安定剤が好ましい。これらの分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜10.0質量部を使用することが好ましい。
水又は水系分散媒体は、重合性単量体100質量部に対して300〜3000質量部使用するのが良い。
分散安定剤は、市販のものをそのまま用いてもよいが、細かい均一な粒度を有する分散安定剤を得るために、水中又は水系媒体中にて、高速撹拌下にて前記無機分散安定剤を生成させることも好ましい方法である。例えば、リン酸三カルシウム又はヒドロキシアパタイトの場合、高速撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合することで、懸濁重合方法に好ましい分散安定剤を得ることができる。また、これら分散安定剤の微細化のために0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用してもよい。
界面活性剤としては、市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤が挙げられる。例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムが挙げられる。
トナー粒子の外添剤としては、トナー粒子に外添した時の耐久性の点から、トナー粒子の重量平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。外添剤の粒径とは、電子顕微鏡におけるトナー粒子の表面観察により求めた個数平均粒径を意味する。外添剤として
は、例えば、金属酸化物(酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化錫、酸化亜鉛等)、窒化物(窒化ケイ素等)、炭化物(炭化ケイ素等)、金属塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等)、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等)、カーボンブラック、シリカ等が挙げられる。
外添剤は、トナー粒子100質量部に対し、0.01〜10質量部が用いられ、好ましくは0.05〜5質量部が用いられる。前記外添剤は、単独で用いても、また、複数併用してもよい。それぞれ、シランカップリング剤又は/及びシリコーンオイルで疎水化処理を行ったものがより好ましい。
トナー粒子の粒度分布は、種々の方法によって測定できるが、本発明においてはコールターカウンターを用いて行うことが好ましい。
測定装置としてはコールターカウンターマルチサイザーI型あるいはII型あるいはIIe型(コールター社製)を用い、このような測定装置に、個数平均分布、体積平均分布を出力するインターフェイス(日科機製)及び一般的なパーソナルコンピューターを接続する。また、特級又は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を電解液として調製する。
測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に、分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターカウンターマルチサイザーII型により、アパチャーとして100μmアパチャーを用いて、個数を基準として2〜40μmの粒子の粒度分布を測定して、それから各種値を求める。
また上記個数分布における変動係数は下記式(2)から算出される。
変動係数(%)=[S/D1]×100 (2)
[式中、Sはトナー粒子の個数分布における標準偏差を示し、D1はトナー粒子の個数平均粒径(μm)を示す。]
以下本発明を実施例によって具体的に説明する。
[実施例1]
図1に示す分散容器1a内に収容されているイオン交換水500質量部に、5質量部のNaPOを導入し、60℃に加温した後、図1に示す分散容器1a内に、攪拌装置2、攪拌軸3及びモータ13からなるボトム型クレアミックス高速撹拌機(エムテクニック社製、周速22m/s、α=30°)を設置して撹拌した。これに、イオン交換水15質量部に2質量部のCaClを溶解した水溶液をすばやく添加して、Ca(POを含む水系分散媒体を得た。
・重合性単量体 スチレン 85質量部
n−ブチルアクリレート 20質量部
・着色剤 C.I.ピグメントブルー15:3 7.5質量部
・荷電制御剤 E−88(オリエント化学工業社製) 1質量部
・極性樹脂 飽和ポリエステル 5質量部
(酸価10mgKOH/g、ピーク分子量:7,500)
・離型剤 エステルワックス
(DSCにおける最大吸熱ピーク温度72℃) 15質量部
一方、上記材料を溶解装置10において60℃に加温し、撹拌して、重合性単量体に各材料を均一に溶解又は分散させた。これに、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3質量部を加え、重合性単量体組成物を調製した。
分散容器1a内の水系分散媒体中に溶解装置10内の重合性単量体組成物を導入し、その後、60℃、N雰囲気下において、分散容器1a内の撹拌装置2にて15分間(攪拌羽根4の先端周速:22m/s)撹拌し、水系分散媒体中に重合性単量体組成物の粒子を生成した。この際の分散容器1a内のフローパターンとしては、攪拌装置2の上方から下方へ流れる理想的なフローパターンが観察され、水系分散媒体中に重合性単量体組成物がスムーズに分散された。
分散後、分散容器1a内の撹拌装置2を停止し、分散容器1a内の内容物を、排出弁9を経由してフルゾーン撹拌翼(神鋼パンテック社製)を具備した重合用装置11へ導入した。同時に分散容器1a内に設置されたシャワーリング装置8を稼動させて分散容器1a内を洗浄した。
重合装置11では、温度60℃、N雰囲気下で、撹拌翼を撹拌最大周速:3m/sで撹拌させつつ、重合性単量体を5時間反応させた。その後、温度を80℃に昇温して更に5時間重合性単量体を反応させた。重合反応終了後、後処理装置12に重合容器内の液状物を送りトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子の粒度分布、個数変動係数を測定した。結果を表1に示す。また、このトナー粒子の断層面を観察したところ、図4に示すようなコア/シェル構造が確認された。
これらの作業を40回繰り返し連続運転を行ったが、分散容器1a内の攪拌軸3への付着物は観察されず、終始安定したトナー粒子の製造が行えた。またこれらの連続運転中に得られたトナー粒子の粒度分布は、1バッチ目に得られたトナー粒子の粒度分布とほぼ同様であり、トナー品質は安定していた。更に攪拌装置2の点検も行ったがキズ等は観察されなかった。
[実施例2]
α=45°のボトム型クレアミックスを使用した以外は、実施例1と同様の操作を行いトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の粒度分布、個数変動係数を測定した。結果を表1に示す。また、このトナー粒子の断層面を観察したところ、図4に示すようなコア/シェル構造が確認された。
これらの作業を40回繰り返し連続運転を行ったが、分散容器1a内の攪拌軸3への付着物は観察されず、終始安定したトナー粒子の製造が行えた。またこれらの連続運転中に得られたトナー粒子の粒度分布は、1バッチ目に得られたトナー粒子の粒度分布とほぼ同様であり、トナー品質は安定していた。
[実施例3]
攪拌羽根4の周速を35m/sにした以外は、実施例1と同様の操作を行いトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の粒度分布、個数変動係数を測定した。結果を表1に示す。また、このトナー粒子の断層面を観察したところ、図4に示すようなコア/シェル構造が確認された。
これらの作業を40回繰り返し連続運転を行ったが、分散容器1a内の攪拌軸3への付着物は観察されず、終始安定したトナー粒子の製造が行えた。またこれらの連続運転中に得られたトナー粒子の粒度分布は、1バッチ目に得られたトナー粒子の粒度分布とほぼ同様であり、トナー品質は安定していた。
参考例4]
α=75°のボトム型クレアミックスを使用した以外は、実施例1と同様の操作を行いトナー粒子を得た。造粒中の自由表面には液の乱れが観察された。具体的には、多くの気泡が液中に巻き込まれるのが観察された。これらの作業を40回繰り返し連続運転を行ったが、分散容器1a内の攪拌軸3への付着物は観察されなかった。得られたトナー粒子の粒度分布、個数変動係数を測定した。結果を表1に示す。
[実施例5]
攪拌羽根4の周速を8m/sにした以外は、実施例1と同様の操作を行いトナー粒子を得た。これらの作業を40回繰り返し連続運転を行ったが、分散容器1a内の攪拌軸3への付着物は観察されなかった。得られたトナー粒子の粒度分布、個数変動係数を測定した。結果を表1に示す。
[実施例6]
攪拌羽根4の周速を60m/sにした以外は、実施例1と同様の操作を行いトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の粒度分布、個数変動係数を測定した。結果を表1に示す。これらの作業を30回繰り返したところで攪拌装置2の点検を行ったところ、攪拌装置2に無数のキズが観察された。過剰な高速運転のために生じたキャビテーションエロージョンによるキズであると推測される。しかし、前記した分散容器1a内の攪拌軸3への付着物は観察されなかった。
[参考例1]
分散装置に、図5に示すトップ型のクレアミックスを使用した以外は、実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。この分散装置は、モータ23が分散容器1aの上方に設けられ、攪拌装置22が分散容器1aの底部付近であって排出弁9の直上に設けられ、攪拌軸33が分散容器1a内の液面を貫いてモータ23と攪拌装置22を接続し、さらにスクリーン25が攪拌軸33の先端に向けて漸次断面積が減少する向きに設けられている以外は、図1に示される分散装置1と同様に構成されている。
本参考例で得られたトナー粒子の粒度分布、個数変動係数を測定した。結果を表1に示す。また、このトナー粒子の断層面を観察したところ、図4に示すようなコア/シェル構造が確認された。
これらの作業を繰り返し連続運転を行ったが、30回付近から、粒度分布に悪影響が見られ、40回目には明らかに粒度分布がブロード化した。これは、攪拌軸33の発熱による重合性単量体への熱的影響と、攪拌軸33への付着物のコンタミによる粒度分布への悪影響であると推測される。
[比較例1]
分散装置に、図6に示すTK−ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を使用した以外は、実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。この分散装置は、モータ23が分散容器1aの上方に設けられ、攪拌装置22が分散容器1aの底部付近であって排出弁9の直上に設けられ、攪拌軸33が分散容器1a内の液面を貫いてモータ23と攪拌装置22を接続し、分散容器1aと攪拌装置22との間の攪拌軸33の周囲には、攪拌軸33の軸方向に沿う方向の液体の流れを遮る邪魔板39が用いられている以外は、図1に示される分散
装置1と同様に構成されている。
分散容器1a内の液フローパターンには、下方から上方へのフローパターンが観察され、明らかに液の自由表面乱れが観察された。得られたトナー粒子の粒度分布、個数変動係数を測定した。結果を表1に示す。本比較例では、満足するトナー品質が得られなかったため、操作を1バッチで終了させた。
Figure 0004522065
本発明に用いられる分散装置の一例の構成を示す図である。 図1に示される分散装置の攪拌装置及びその要部の断面を示す図である。 本発明に用いられるシステムの一例を示す図である。 本発明で製造されるトナー粒子の一例の断面を示す図である。 トップ型の高速攪拌機の一例の構成を示す図である。 トップ型の高速攪拌機の他の例の構成を示す図である。
符号の説明
1 分散装置
1a 分散容器
2、22 攪拌装置
3、33 攪拌軸
4 攪拌羽根
5、25 スクリーン
6 攪拌室
7 ジャケット
8 シャワーリング装置
9 排出弁
10 溶解装置
11 重合装置
12 後処理装置
13、23 モータ
14 通液孔
39 邪魔板

Claims (8)

  1. 少なくとも重合性単量体を、この重合性単量体に対して実質的に非相溶性の液状分散媒体に、回転する攪拌軸に接続され分散容器内に設けられる、高剪断力を有する攪拌装置を用いて分散させる工程を含み、この工程で分散させた重合性単量体を重合してトナー粒子を製造するトナー粒子の製造方法において、
    前記分散させる工程では、前記分散容器内にある前記攪拌軸及び前記攪拌装置が、少なくとも前記液状分散媒体と前記重合性単量体とを分散容器内に収容したときに形成される液相部と気相部とのうちの液相部に包含される位置に設けられており、
    前記攪拌装置は、前記攪拌軸の回転に伴って回転する攪拌羽根と、この攪拌羽根を内包する攪拌室を形成するスクリーンとを有し、このスクリーンは前記分散容器内に向けて開放されている前記攪拌室を形成し、かつ攪拌室の壁面に開口する通液孔を有しており、
    前記攪拌軸が前記攪拌羽根の下部に接続されており、前記攪拌軸の軸線と鉛直方向に延びる直線とのなす角度αが60°以下であり、
    前記分散させる工程では、前記攪拌装置の上方から攪拌装置に吸い込まれ、攪拌装置から攪拌装置の下方に噴出する向きの流れが前記液相部に形成され、前記重合性単量体組成物と液状分散媒体とを含む液体は、撹拌装置の上部から撹拌室に入り、高速回転する撹拌羽根とスクリーンとの間に生じる強力な剪断力、衝撃及び乱流によって撹拌されて前記液体中の重合性単量体は、ミクロンオーダーの粒子として通液孔から分散容器内に噴出することを特徴とするトナー粒子の製造方法。
  2. 前記液状分散媒体は水系分散媒体であることを特徴とする請求項1記載のトナー粒子の製造方法。
  3. 前記分散させる工程は、少なくとも前記重合性単量体と着色剤とを含む重合性単量体組成物を前記液状分散媒体中へ分散させ微粒化させて造粒する工程であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー粒子の製造方法。
  4. 前記攪拌装置は前記分散容器の底部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトナー粒子の製造方法。
  5. 前記攪拌羽根の周速は10m/s乃至50m/sであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトナー粒子の製造方法。
  6. 前記分散容器は、少なくとも前記重合性単量体及び前記液状分散媒体を排出する排出弁を有し、前記排出弁は、前記攪拌羽根よりも下方に具備されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトナー粒子の製造方法。
  7. コア/シェル構造を有するトナー粒子を製造する請求項1乃至6のいずれか一項に記載のトナー粒子の製造方法。
  8. 前記コア/シェル構造のコア部の主たる成分が、融点40〜90℃の低軟化点物質である請求項7に記載のトナー粒子の製造方法。
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