JP4136595B2 - トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法、またはトナージェット方式記録法の如き画像形成方法に用いられるトナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法の如き画像形成方法においては、静電荷像を現像するためのトナーが使用され、該トナーはトナー粒子に流動性等の機能を与えるため、少なくともトナー粒子表面に添加剤を添加して製造する。このトナー粒子の製造法としては粉砕法および重合法に大別される。
【0003】
例えば粉砕法トナー粒子として、その一般的な製造方法は、転写材に定着させるための結着樹脂、トナーとしての色味を出させる着色剤が使用され、必要に応じて粒子に電荷を付与させるための荷電制御剤、トナー粒子自身に搬送性などを付与するための磁性材料や、離型剤、流動性付与剤などの添加剤を加えて混合し、溶融混練し、冷却固化した後、混練物を粉砕手段により微細化し、必要に応じて所望の粒度分布に分級してトナー粒子を得る。
【0004】
また重合法としては、特許文献1、特許文献2、特許文献3に述べられているような懸濁重合法を用いて直接トナー粒子を生成する方法や、重合性単量体、重合開始剤、界面活性剤、さらに必要に応じて架橋剤、連鎖移動剤、その他添加剤を含んだ単量体組成物を水系媒体中に適当な撹拌機を用いて分散し、同時に重合反応を行なわせ、所望の粒径を有する乳化樹脂粒子を得、他方で着色剤を界面活性剤含有の水系媒体中に均一に分散させ、前記した乳化樹脂粒子と会合(凝集及び融着)させてトナー粒子を得る乳化重合法等がある。
【0005】
これら重合法で得られたトナー粒子は、得られるトナーの粒度分布が比較的シャープなことから、分級工程を省略することもできるが、必要に応じて分級を行い所望の粒度分布に分級してトナー粒子を得る。
【0006】
これら種々の方法で得られたトナー粒子は前記したように、複写機・レーザープリンターの現像工程、転写工程、感光体から未転写トナーを除去するクリーニング工程において安定に画出しを続けることを可能にすることを目的として、トナーの流動性、帯電安定性、潤滑性、クリーニング性などの特性を向上させるため、無機微粉体や有機微粉体の如き外添剤とトナー粒子とを混合する外添混合工程を経て、トナーは製造される。
【0007】
通常、前記外添混合工程に使用する装置としては、粉体に剪断力を与えるヘンシェルミキサーやスーパーミキサー等の高速流動型混合機(混合機)が用いられ、外添剤の分散状態の制御は、混合機の回転数または運転時間を変えることによって行っている。
【0008】
近年、複写装置は、単なる一般にいうオリジナル原稿を複写するための事務処理用複写機というだけでなく、コンピュータの出力としてのプリンタあるいはグラフィックデザイン等の高精細画像のコピー用に使われ始めている。また、プリンタ装置はLED、LBPプリンタが最近の市場の主流になっており、より高解像度即ち、従来240、300dpiであったものが600、1200、2400dpiとなって、より高精細が要求されてきている。このことから現像剤であるトナーの性能向上が達成できなければ、よりすぐれた画像形成が成り立たなくなってきており、従来、少品種で添加されていた外添剤が複数化する傾向にある。外添剤が複数化すると当然のことながら、混合機近傍に設置された秤量機は、複数台数が必要となる。
【0009】
更に、市場の要求は、一般の写真、カタログ、地図の如きカラー画像の複写やパーソナル・ユーザーを対象としたコンピュター機器の普及に伴い、映像による情報伝達機構として、フルカラーによる映像コミュニケーションが幅広く浸透し、出力機器の一つであるLED、LBPプリンターにおいても低価格化、フルカラー化が急速に進んでいる。
【0010】
このカラー化には一般的に複数色トナーが必要になり、当然カラー化に対応するトナー製造ラインは複数必要となる。そして、このトナー製造ラインの複数化は、ますます外添剤の秤量機基数を増加させてトナープラント投資額が増大する。これはトナー製造コストを押し上げる原因となっていた。
【0011】
ところで一般的な外添剤としては例えば酸化アルミニウム,酸化チタン,チタン酸ストロンチウム,酸化セリウム,酸化マグネシウム,酸化クロム,酸化錫,酸化亜鉛の如き金属酸化物、窒化ケイ素の如き窒化物、炭化ケイ素の如き炭化物、硫酸カルシウム,硫酸バリウム,炭酸カルシウムの如き金属塩、ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウムの如き脂肪酸金属塩、カーボンブラック、シリカが例示される。これらの物質は一般に一次粒子径が細かく、また真比重も極めて小さいことから外添混合工程作業時に飛翔物となり、作業者の身体や作業場周囲の環境汚染等が問題となっていた。また、このような問題を解決するために、局所吸引機により前記飛翔物を吸引することが一般的に行われている。しかしながら前記したように複数の外添品種、複数のトナー製造ラインとなるとこれらの局所吸引機の台数も増加してトナー製造コストを押し上げるばかりか、局所吸引機で吸引できなかった飛翔物質により外添混合工程を行う作業場周囲すべての作業環境が悪化していた。
【0012】
【特許文献1】
特開昭36−10231号公報
【特許文献2】
特開昭59−53856号公報
【特許文献3】
特開昭59−61842号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述のごとき問題を解決したトナーの製造方法を提供することにある。
【0014】
詳しくは、少なくとも外添混合工程を含む複数のトナー製造ラインでトナーを製造する製造方法において、トナープラントの製造初期投資を抑え、トナー製造コストを抑制する製造方法を提供することにある。
【0015】
更には、少なくとも外添混合工程を含む複数のトナー製造ラインでトナーを製造する製造方法において、外添剤飛翔による作業場周囲の環境汚染を低減する製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した従来技術の課題を解決すべく鋭意検討の結果、少なくとも外添混合工程を含む複数のトナー製造ラインにおいて高精細画像を実現する高性能現像剤を得るため、複数の外添剤を外添し得る一方でトナープラントの製造初期投資を抑え、かつ該外添混合工程に使用する外添剤飛翔による作業場周囲の環境汚染を低減するためには、該外添剤を秤量する工程場所を集約し複数のトナー製造ラインへ秤量した外添剤を自動搬送すれば各々の製造ラインに外添剤秤量システムは必要なく、また環境汚染作業場は最小限ですむことを見出しトナーの製造方法を発明するに至った。
【0017】
即ち、本発明は、トナー粒子に外添剤を加える外添混合工程を少なくとも含む複数のトナー製造ラインでトナーを製造する製造方法において、トナー製造ラインで混合される外添剤の量を秤量する秤量装置が、少なくとも一部のトナー製造ラインで共有されており、秤量装置と外添を行う混合装置の間で該外添剤の入った容器を自動搬送し、該容器内に入った外添剤をトナー粒子に外添混合することを特徴とするトナーの製造方法である。
【0018】
更に好ましい構成の本発明は以下の通りである。
【0019】
トナー粒子を外添してトナーを製造する混合装置が少なくとも2箇所あることを特徴とする上記トナーの製造方法。
【0020】
トナー粒子に外添する外添剤が少なくとも2種あることを特徴とする上記トナーの製造方法。
【0021】
該容器が少なくとも2つの区画に分割されており、少なくとも2段階にわけて外添混合することを特徴とする上記トナーの製造方法。
【0022】
少なくとも2種の異なったトナー粒子に外添する外添剤を同一秤量装置を用いて秤量することを特徴とする上記トナーの製造方法。
【0023】
該外添剤の秤量を自動化したシステムが少なくとも1箇所に集約され、少なくとも2ラインのトナー製造ラインへ所定量の該外添剤を自動搬送する上記トナーの製造方法。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施形態を挙げて本発明を詳細に説明する。図1は本発明に用いる製造システム概略の一例、図2は本発明に用いる複数種外添剤用容器の一例、図3は本発明に用いる外添装置1の概略図である。これらの例は一例を示したものでありこれらに限定されるものではない。また図1において製造ラインは3ライン、秤量器は3基の例を示しているがこれらに限定しているものではなく、ライン数は複数ラインであれば任意の数字で良く、秤量器基数は外添剤品種数に応じて任意の基数で良い。図1乃至3において1は外添装置、2は前工程(トナー粒子製造工程)、3は外添剤容器を自動搬送するレール、4a、4b、4cは秤量器、5は外添剤容器、6はレール内に設置された搬送ベルト(図示せず)の駆動装置である。
【0025】
まず、2の前工程において得られたトナー粒子は所定量が外添装置1にトナー粒子投入口9を介して供給された後、トナー粒子投入口の蓋が固定される。一方、搬送レール3に沿って自動的に移動してきた外添剤容器5が自動的に秤量機4a,4b,4cの直下に停止する。停止した際、複数種の外添剤がトナー粒子量に応じて所定量秤量機4a,4b,4cにより秤量され、外添剤容器5内に供給される。
【0026】
この際、特定の外添剤を先に外添装置1にて一定時間外添した後、他の外添剤を所定時間外添する複数段外添を行う場合、図2に示す様に複数の部屋に分かれた容器を使用することが好ましい。この複数段外添を行う場合、例えば図2に示す外添剤容器の下段容器部7に前記秤量機4a、4bにて秤量された外添剤を投入した後、容器設置アーム(図示せず)にて上段容器部8が設置される。その後、外添剤容器5は、秤量機4cの下へ移動して秤量機4cにて秤量された外添剤が上段容器部8に投入される。
【0027】
図2は前記部屋数が2部屋の外添容器例を示しているが、これに限定するものではなく、上段容器部8、下段容器部7に投入される外添剤種の数も限定しているものではない。
【0028】
またこれらの工程の際、秤量される外添剤の比重が小さく飛翔して作業環境を悪化させる場合は前記秤量機4a,4b,4c、外添装置1及びその他必要な場所へ適時集塵装置を設置することが好ましい。また外添剤飛翔防止のため、複数の秤量機が設置されているエリアを適当な壁面部材で覆い、作業環境悪化を防止しても良い。
【0029】
このように複数種の外添剤が所定量外添剤容器5に投入された後、該外添剤容器は外添装置1まで駆動装置6により駆動された自動搬送レール3内の搬送ベルトを介して自動的に搬送される。外添剤容器5により自動搬送された外添剤は、図3に示す外添装置1内に外添剤投入口10を介して同時に又は複数段に分けて投入される。その後、外添装置の蓋を固定し予め設定した回転数および撹拌時間にて外添混合する。その後、撹拌羽根が停止してから排出弁箱13を操作し、排出弁を開の状態にして混合物を混合槽11より排出する。混合槽11内に残存するトナーは、排出弁が開の状態で撹拌羽根を低速回転させ外部へ排出させトナーを得る。
【0030】
次に、本発明のトナー製造方法に用いるトナー粒子の製造方法について説明する。前記したようにトナー粒子の製造方法としては、粉砕法と重合法に大別される。粉砕法にてトナー粒子を製造する場合、結着樹脂としては、通常トナーに用いられるあらゆる樹脂を使用することができるが、例としては、以下のようなものが挙げられる。
【0031】
例えば、ビニル系樹脂、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロインデン樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。中でもビニル系樹脂とポリエステル系樹脂が帯電性や定着性で好ましい。
【0032】
本発明で用いるトナー粒子は、上記に挙げた結着樹脂と共に着色剤を含有するが、着色剤としては、カーボンブラック、チタンホワイトの他、あらゆる顔料および/または染料を用いることができる。
【0033】
粉砕法トナー粒子に使用できる非磁性の着色剤としては、任意の適当な顔料又は染料が挙げられる。例えば顔料として、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、アリザレンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー等がある。これらは結着樹脂100質量部に対し0.1〜20質量部、好ましくは1〜10質量部の添加量が良い。また、同様に染料が用いられ、例えば、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料があり、結着樹脂100質量部に対し0.1〜20質量部、好ましくは0.3〜10質量部の添加量が良い。
【0034】
また、粉砕法トナー粒子の製造方法において、磁性体を着色剤として用いた磁性トナーを製造する場合は、以下に挙げるような磁性体を使用することができる。この場合、磁性材料は着色剤の役割をかねる。磁性トナーに含まれる磁性材料としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe、Co、Niのような金属、或いは、これらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、Vのような金属との合金、及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0035】
具体的には、磁性材料としては、四三酸化鉄(Fe3O4)、三二酸化鉄(γ−Fe2O3)、酸化鉄亜鉛(ZnFe2O4)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe5O12)、酸化鉄カドミウム(CdFe2O4)、酸化鉄ガドリニウム(Gd3Fe5O12)、酸化鉄銅(CuFe2O4)、酸化鉄鉛(PbFe12O19)、酸化鉄ニッケル(NiFe2O4)、酸化鉄ニオジム(NdFe2O3)、酸化鉄バリウム(BaFe12O19)、酸化鉄マグネシウム(MgFe2O4)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が挙げられる。上述した磁性材料を単独で或いは2種以上組み合わせて使用する。特に好適な磁性材料は、四三酸化鉄又はγ−三二酸化鉄の微粉末である。
【0036】
これらの磁性体は、結着樹脂100質量部に対して40〜200質量部、さらに好ましくは60〜150質量部含有させることが好ましい。40質量部未満ではトナーの搬送性が不十分で現像剤担持体上の現像剤層にムラが生じ、画像ムラとなる傾向があり、更に現像剤の帯電の過剰な上昇に起因する画像濃度の低下が生じやすくなる。また、200質量部を超える場合には現像剤の帯電が十分には得られなくなるために、画像濃度の低下が生じやすくなる。
【0037】
本発明での粉砕法トナー粒子は、その帯電性を更に安定化させる為に、必要に応じて荷電制御剤を用いることができる。
【0038】
例えば、ネガ系としてサリチル酸,ナフトエ酸,ダイカルボン酸,それらの誘導体の金属化合物、スルホン酸,カルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリークスアレーン等が挙げられる。ポジ系のものでは、四級アンモニウム塩,該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物,グアニジン化合物,イミダゾール化合物等が挙げられる。
【0039】
これらの荷電制御剤は、樹脂100質量部に対し0.1〜10質量部が好ましい。
【0040】
本発明での粉砕法トナー粒子製造方法においては、トナーの構成材料として、必要に応じて1種ないし2種以上のワックスを用いても構わない。この際用いることのできるワックスとしては次のものが挙げられる。例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素ワックス、また、酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。
【0041】
更に、パルチミン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール類アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石鹸と言われているもの)、また、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類、また、ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物、また、植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0042】
好ましく使用できるワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等、天然ワックス及びそれらの誘導体等で、誘導体には酸化物や、ビニルモノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物も含む。高級脂肪族アルコール等のアルコール;ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸或いはその化合物;酸アミド、エステル、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物ワックス、動物ワックス等を挙げることができる。
【0043】
これらの中でも、ポリオレフィンもしくはフィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックスもしくは石油系ワックスもしくは高級脂肪族アルコールをトナーの構成材料に使用し、これらが含有されたトナーを製造することが特に好ましい。本発明のトナー製造方法においては、上記の中でも、更に、ポリオレフィンもしくはフィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックスもしくは石油系ワックスをトナーの構成材料に使用することが好ましい。
【0044】
本発明の粉砕法トナー粒子においてこれらのワックスを用いる場合の量は、結着樹脂100質量部に対して0.1〜45質量部が望ましい。
【0045】
次に、上記に挙げたような粉砕法トナー粒子の形成材料を用いて、粉砕法によるトナー粒子の製造方法の手順について更に詳しく説明する。
【0046】
まず、原料混合工程では、トナー内添剤として、少なくとも樹脂と着色剤を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等がある。
【0047】
次に、上記で配合し、混合したトナー原料を溶融混練して、樹脂類を溶融し、その中に着色剤等を分散させる。その溶融混練工程では、例えば、加圧ニーダー、バンバリーミキサー等のバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。近年では、連続生産できる等の優位性から、1軸または2軸押出機が主流となっており、例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型2軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、池貝鉄工社製PCM型2軸押出機、ブス社製コ・ニーダー等が一般的に使用される。更に、トナー原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。
【0048】
上記で得られた着色樹脂組成物の冷却物は、次いで、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等で粗粉砕され、更に、一般的に良く知れられている機械式粉砕機、ジェット粉砕機等で粉砕されるが、この間に中粉砕工程を設けても良い。更に、粉砕後、慣性分級方式のエルボージェット、遠心力分級方式のミクロプレックス、DSセパレーター等の分級機を用い、トナー粒子を分級して平均粒子径3〜15μmのトナー粒子を得る。この中で、分級機として、多分割気流式分級機が特に好ましい。
【0049】
次に、前記した重合法により本発明のトナー粒子を得る場合、例えば懸濁重合法では、適当な容器(以後、溶解容器)中で単量体中に低軟化物質からなる離型剤、着色剤、荷電制御剤、重合開始剤、その他の添加剤を加えて均一に溶解又は分散せしめた単量体組成物を、水系分散安定剤を含有する別の容器内(以後、造粒容器)へ投入して撹拌分散せしめる。懸濁重合法においては、通常単量体系100質量部に対して水300〜3,000質量部を分散媒として使用するのが好ましい。この時、溶解容器中で均一な分散が困難な添加剤がある場合、予め他の容器中で分散溶解して溶解容器中に加えても良い。
【0050】
造粒容器内で単量体組成物からなる液滴粒子が所望のトナー粒子のサイズが得られた段階で、造粒容器内の撹拌を停止する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持されるので水系分散安定剤と単量体組成物からなる液滴粒子液状物を該粒子の沈降が防止される程度の撹拌機に変更して撹拌を行いながら重合反応を行えばよい。重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。また、重合反応後半に昇温しても良い。また反応後半、又は反応終了後、容器内内容物の水系媒体又は/及びトナー粒子中に残存する未反応重合性単量体、副生成物等の有機揮発成分を少なくとも留去して除去しても良い。留去後、洗浄、濾過及び乾燥又、必要に応じて分級を行って本発明に使用するトナー粒子を得る。
【0051】
本発明に使用する重合法トナーとして例えば懸濁重合法により得られたトナー粒子を使用する場合、トナー粒子にコア/シェル構造をもたせ、コア部分の低軟化点物質がトナー粒子外に染み出ることを防止させることが好ましい。
【0052】
コア部の主たる成分としては低軟化点物質が好ましく、ASTM D3418−8に準拠し測定された主体極大ピーク値が、40〜90℃を示す化合物が好ましい。極大ピークが40℃未満であると低軟化点物質の自己凝集力が弱くなり、結果としてトナー像転写時の高温オフセット性が弱くなり好ましくない。一方、極大ピークが、90℃を越えるとトナーの定着温度が高くなり好ましくない。更には、極大ピーク値の温度が高いと、主に造粒中に低軟化点物質が析出してきて懸濁系を阻害する為に好ましくない。また、低軟化点物質は複数種用いても良く、定着温度領域を広げるためにも極大ピークの異なった複数種の低軟化点物質を用いることが好ましい。
【0053】
本発明において低融点物質の極大ピーク値の温度の測定には、例えば、パーキンエレマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。サンプルはアルミニウム製パンを用い対照用にに空パンをセットし、昇温速度10℃/min.で測定をした。
【0054】
低融点物質としては、従来より離型剤として知られている種々のワックス成分を用いることができ、次のようなものがある。例えば炭化水素系ワックスとしては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス等がある。
【0055】
官能基を有するワックスとしては、酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;又は、それらのブロック共重合物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろうの如き植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろうの如き動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムの如き鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの如き脂肪族エステルを主成分とするワックス類:脱酸カルナバワックスの如き脂肪族エステルを一部又は全部を脱酸化したものが挙げられる。
【0056】
更に、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、または更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カウナビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、または更に長鎖のアルキル基を有するアルキルアルコールの如き飽和アルコール;ソルビトールの如き多価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪族アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪族ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物等が挙げられる。
【0057】
ビニルモノマーでグラフトされたワックスとしては、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックスがある。
【0058】
好ましく用いられるワックスとしては、オレフィンを高圧下でラジカル重合したポリオレフィン;高分子量ポリオレフィン重合時に得られる低分子量副生成物を精製したポリオレフィン;低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒の如き触媒を用いて重合したポリオレフィン;放射線、電磁波又は光を利用して重合したポリオレフィン;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス;ジントール法、ヒドロコール法、アーゲ法等により合成される合成炭化水素ワックス;炭素数一個の化合物をモノマーとする合成ワックス;水酸基、カルボキシル基又はエステル基の如き官能基を有する炭化水素系ワックス;炭化水素系ワックスと官能基を有する炭化水素系ワックスとの混合物;これらのワックスを母体としてスチレン、マレイン酸エステル、アクリレート、メタクリレート、無水マレイン酸の如きビニルモノマーでグラフト変性したワックスが挙げられる。
【0059】
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は融液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものや低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましく用いられる。
【0060】
また、低軟化点物質であるワックスはトナー粒子中へ5〜30質量%添加することが好ましい。仮に5質量%未満の添加では十分なトナーの定着性が得られず、また、30質量%を超える場合は、重合法による製造においても造粒時にトナー粒子同士の合一が起き易く、粒度分布の広いトナーが生成し易く、本発明のトナー粒子には不適当であった。
【0061】
低軟化点物質を内包化せしめる具体的方法としては、水系媒体中での材料の極性を主要単量体より低軟化点物質の方を小さく設定し、更に少量の極性の大きな樹脂又は単量体を添加せしめることで、低軟化点物質を外殻樹脂で被覆した所謂コア/シェル構造を有するトナー粒子を得ることが出来る。トナー粒子の粒度分布制御や粒径の制御は、難水溶性の無機塩や保護コロイド作用をする分散剤の種類や添加量を変える方法や、造粒容器内の造粒装置条件、例えば、ローターの周速、パス回数、撹拌羽根形状等の撹拌条件や容器形状又は水溶液中での固形分濃度等を制御することにより所定の粒度分布の本発明に使用するトナー粒子を得ることが出来る。
【0062】
本発明においてトナー粒子の断層面を測定する具体的方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナーを十分分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させて得られた硬化物を、四三酸化ルテニウム、必要により四三酸化オスミウムを併用し染色を施した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い、薄片状のサンプルを切り出し透過電子顕微鏡(TEM)を用いてトナーの断層形態を観察する方法で行った。本発明においては、用いる低軟化点物質と外殻を構成する樹脂との若干の結晶化度の違いを利用して材料間のコントラストを付ける為に四三酸化ルテニウム染色法を用いることが好ましい。
【0063】
重合法によるトナー粒子を例えば懸濁重合法によって製造した場合、用いられる重合性単量体としては、スチレン、o(m−、p−)−メチルスチレン、m(p−)−エチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸2ーエチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、(メタ)アクリロニトリル、アクリル酸アミド等のエン系単量体が好ましく用いられる。
【0064】
これらは、単独で又は一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−P139〜192(JohnWiley & Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)が、40〜80℃を示す様に単量体を適宜混合して用いられる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場合には、トナーの保存安定性や現像剤の耐久安定性の面から問題が生じ、一方、80℃を超える場合は定着点の上昇をもたらし、特にフルカラートナーの場合においては各色トナーの混色が不十分となり色再現性に乏しく、更にOHP画像の透明性を著しく低下させるので高画質の面から好ましくない。
【0065】
コア/シェル構造を有するトナー粒子の外殻樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定される。具体的なGPCの測定方法としては、予めトナー粒子をソックスレー抽出器を用い、トルエン溶剤で20時間抽出を行った後、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去せしめ、更に低軟化点物質は溶解するが、外殻樹脂は溶解し得ない有機溶剤、例えば、クロロホルム等を加えて十分洗浄を行った後、THF(テトラヒドロフラン)に可溶した溶液をポア径が0.3μmの耐溶剤性メンブランフィルターで濾過したサンプルを、ウォーターズ社製150Cを用い、カラム構成は昭和電工製A−801、802、803、804、805、806、807を連結し、標準ポリスチレン樹脂の検量線を用い分子量分布を測定し得る。得られた樹脂成分の数平均分子量(Mn)は、5,000〜1,000,000であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、2〜100を示す外殻樹脂が本発明のトナー粒子には好ましい。
【0066】
また、懸濁重合法によるトナー粒子を製造する場合、コア/シェル構造を有するトナー粒子が好ましいが、トナー粒子を製造する場合、外殻樹脂中に低軟化点物質を内包化せしめる為に、外殻樹脂の他に更に極性樹脂を添加せしめることが特に好ましい。本発明に用いられる極性樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂が好ましく用いられる。該極性樹脂は、外殻樹脂又は単量体と反応し得る不飽和基を分子中に含まないものが特に好ましい。仮に不飽和基を有する極性樹脂を含む場合においては、外殻樹脂層を形成する単量体と架橋反応が起き、特に、フルカラー用トナーとしては極めて高分子量になり、4色トナーの混色には不利となるので好ましくない。
【0067】
また、懸濁重合法によるトナー粒子を製造する場合、トナーの表面に更に最外殻樹脂層を設けてもよい。該最外殻樹脂層のガラス転移温度は、耐ブロッキング性の更なる向上の為に外殻樹脂層のガラス転移温度以上に設計されること、更に定着性を損なわない程度に架橋されていることが好ましい。また、該最外殻樹脂層には帯電性向上の為に極性樹脂や荷電制御剤が含有されていることが好ましい。
【0068】
上記最外殻層を設ける方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の様な方法が挙げられる。
【0069】
(1)重合反応後半、又は終了後、反応系中に必要に応じて、極性樹脂、荷電制御剤、架橋剤等を溶解又は分散したモノマーを添加し、重合粒子に吸着させ、重合開始剤を添加して重合を行う方法。
【0070】
(2)必要に応じて、極性樹脂、荷電制御剤、架橋剤等を含有したモノマーからなる乳化重合粒子又はソープフリー重合粒子を反応系中に添加し、重合粒子表面に凝集させ、更には必要に応じて熱等により固着させる方法。
【0071】
(3)必要に応じて、極性樹脂、荷電制御剤、架橋剤等を含有したモノマーからなる乳化重合粒子又はソープフリー重合粒子を乾式で機械的にトナー粒子表面に固着させる方法。
【0072】
本発明において重合法によりトナー粒子を得る場合、用いられる着色剤は、黒色着色剤としてカーボンブラック、磁性体が使用される。
【0073】
黒色着色剤として磁性体を使用する場合は、以下に挙げるような磁性体を使用することができる。この場合、磁性トナーに含まれる磁性体としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe、Co、Niのような金属、或いは、これらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、Vのような金属との合金、及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0074】
具体的には、磁性体としては、四三酸化鉄(Fe3O4)、三二酸化鉄(γ−Fe2O3)、酸化鉄亜鉛(ZnFe2O4)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe5O12)、酸化鉄カドミウム(CdFe2O4)、酸化鉄ガドリニウム(Gd3Fe5O12)、酸化鉄銅(CuFe2O4)、酸化鉄鉛(PbFe12O19)、酸化鉄ニッケル(NiFe2O4)、酸化鉄ニオジム(NdFe2O3)、酸化鉄バリウム(BaFe12O19)、酸化鉄マグネシウム(MgFe2O4)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が挙げられる。上述した磁性体を単独で或いは二種以上組み合わせて使用する。
【0075】
これら磁性体の形状としては、八面体、六面体、球状、針状、鱗片状などがあるが、八面体、六面体、球状等の異方性の少ないものが画像濃度を高める点で好ましい。
【0076】
このように黒色着色剤として磁性体を用いた場合には、他の着色剤と異なり、重合性単量体100質量部に対し40〜150質量部添加して用いられ、磁性体表面が疎水化処理されていることが好ましい。
【0077】
磁性体の粒子表面を疎水化する際、水系媒体中で、磁性体粒子を一次粒径となるよう分散しつつカップリング剤を加水分解しながら表面処理する方法を用いると、磁性体粒子の表面が均一、かつ、適度に疎水化処理されるため特に好ましい。この疎水化処理方法は気相中で乾式処理する方法よりも、磁性体粒子同士の合一が生じにくく、また疎水化処理による磁性体粒子間の帯電反発作用が働き、磁性体粒子はほぼ一次粒子の状態で表面処理される。
【0078】
カップリング剤を水系媒体中で加水分解しながら磁性体粒子表面を処理する方法は、クロロシラン類やシラザン類のようにガスを発生するようなカップリング剤を使用する必要もなく、さらに、これまで気相中では磁性体粒子同士が合一しやすくて、良好な処理が困難であった高粘性のカップリング剤も使用できるようになり、疎水化の効果は絶大である。
【0079】
本発明に着色剤として磁性体粒子を用いた場合、表面処理において使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、一般式
Rm SiYn
[式中、Rはアルコオキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、グリシドキシ基、メタクリル基の如き炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す。]
で示されるものである。例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピリトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0080】
この中で、磁性体の分散性の向上には、2重結合を有するシランカップリング剤を用いることが好ましく、フェニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランがより好ましい。これは、特に懸濁重合を行う場合、2重結合を有するカップリング剤で処理すると、磁性体と重合性単量体とのなじみが良好になる為であると考えられ、トナー粒子中での磁性体の分散性が良好なものとなる。
【0081】
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、168、174、176、180、181、191等が好適に用いられる。
【0082】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクドリン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
【0083】
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物などが利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が特に好適に利用できる。
【0084】
本発明で用いられる着色剤は、カラートナーの場合、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は、樹脂100質量部に対し1〜20質量部添加して用いられる。
【0085】
荷電制御剤としては、公知のものを利用することが出来るが、カラートナーの場合は、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持することが出来る荷電制御剤が好ましい。更に、重合阻害性が無く水系への可溶化物の無い荷電制御剤が特に好ましい。具体的化合物としては、ネガ系としてサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の金属化合物、スルホン酸、カルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリークスアレーン等が利用することが出来、ポジ系として四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物等が好ましく用いられる。
【0086】
上記荷電制御剤の使用量は樹脂100質量部に対し0.5〜10質量部が好ましい。しかしながら、本発明においては荷電制御剤の添加は必須ではなく、二成分現像方法を用いた場合においては、キャリアとの摩擦帯電を利用し、非磁性一成分ブレードコーティング現像方法を用いた場合においてもブレード部材やスリーブ部材との摩擦帯電を積極的に利用することで、トナー中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
【0087】
重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルパーオキシルジエチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシピバレート等の過酸化物系重合開始剤が用いられる。該重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが一般的には単量体に対し0.5〜20質量%添加され用いられる。重合開始剤の種類は、重合方法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に、単独又は混合し利用される。
【0088】
また、重合度を制御する為に、公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
【0089】
架橋剤として例えば、芳香族ジビニル化合物として、ジビニルべンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートの代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロバンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;ポリエステル型ジアクリレート類として例えば、商品名MANDA(日本化薬)等が挙げられる。
【0090】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート等が挙げられる。
【0091】
本発明のトナー粒子製造方法として例えば懸濁重合を利用する場合には、用いる分散剤として、無機系酸化物として、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ、磁性体、フェライト等が挙げられる。有機系化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン等が水相に分散又は溶解させて使用される。これら分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜10.0質量部を使用することが好ましい。
【0092】
これら分散剤は、市販のものをそのまま用いてもよいが、細かい均一な粒度を有する分散粒子を得る為に、分散媒中にて高速撹拌下にて該無機化合物を生成させることも出来る。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合することで、懸濁重合方法に好ましい分散剤を得ることが出来る。また、これら分散剤の微細化の為に0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用してもよい。具体的には市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤が利用することが出来、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等が好ましく用いられる。
【0093】
このように本発明では、使用するトナー粒子を粉砕法または重合法により得た後、トナー粒子に流動性向上等を目的として添加剤を添加する。この添加剤(外添剤)は、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものである。好ましい外添剤は、トナーに添加した時の耐久性の点から、トナー粒子の重量平均径の1/10以下の粒径であることが好ましい。この添加剤の粒径とは、電子顕微鏡におけるトナー粒子の表面観察により求めたその平均粒径を意味する。外添剤としては、例えば、以下の様なものが用いられる。
【0094】
金属酸化物(酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化錫、酸化亜鉛等)、窒化物(窒化ケイ素等)、炭化物(炭化ケイ素等)、金属塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等)、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等)、カーボンブラック、シリカ等。これら外添剤は、トナー粒子100質量部に対し、0.01〜10質量部が用いられ、好ましくは0.05〜5質量部が用いられる。これら外添剤は、単独で用いても、また、複数併用してもよい。それぞれ、疎水化処理を行ったものがより好ましい。
【0095】
【実施例】
前記した重合法でシアン、マゼンタ、イエローの3種のトナー粒子を図1に示す外添システムで外添混合工程をおこなった。
【0096】
まず得られた3種のトナー粒子を色別に外添混合装置1にそれぞれ所定量投入した。外添剤として粒径の異なる疎水性酸化チタン2種と疎水性シリカ、合わせて3種類を図1内の秤量器4a,4b,4cにそれぞれ投入してシステムを稼動させた。外添剤容器5にはシアン、マゼンタ、イエローそれぞれのトナー粒子に必要な外添剤量が3種投入され、自動搬送レールを介して外添装置1に自動的に運ばれた後、外添装置1でトナー粒子と共に所定時間混合することによりトナーを得た。
【0097】
このように図1に示すシステムを使用することにより、必要最小限の秤量装置基数で多品種の外添剤をトナー粒子に外添してトナーを得ることが可能である。具体的には、図4に示すシステムで同様の外添混合工程を行う時に比べ、外添剤秤量器基数は1/3基数で外添混合工程が行える。この秤量器基数の最小限化は、トナープラント設置に必要なイニシャルコストの抑制、更に秤量器設置場所を集約できることから外添剤浮遊による作業環境の悪化を抑えることができる。これらの効果はトナー粒子製造ラインが複数ラインである時、具体的にはカラートナー粒子製造ラインで大きくなる。
【0098】
【発明の効果】
本発明によれば少なくとも外添混合工程を含む複数のトナー製造ラインでトナーを製造する際、トナープラントの製造初期投資を抑え、トナー製造コストを抑制し、また外添剤飛翔による作業場周囲の環境汚染を低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる外添混合システムの一例である。
【図2】本発明に用いる外添剤容器の一例である。
【図3】本発明に使用される外添混合装置の一例概略図である。
【図4】従来から使用されている外添混合システムの一例である。
【符号の説明】
1 外添装置
2 その他の前工程
3 自動搬送レール
4a,4b,4c 秤量器
5 外添剤容器
6 駆動装置
7 下段容器
8 上段容器
9 トナー粒子投入口
10 外添剤投入口
11 混合槽
12 モータ
13 排出弁箱
Claims (3)
- トナー粒子に外添剤を加える外添混合工程を少なくとも含む複数のトナー製造ラインでトナーを製造する製造方法において、トナー製造ラインで混合される外添剤の量を秤量する秤量装置が、少なくとも一部のトナー製造ラインで共有されており、秤量装置と外添を行う混合装置の間で該外添剤の入った容器を自動搬送し、該容器内に入った外添剤をトナー粒子に外添混合することを特徴とするトナーの製造方法。
- トナー粒子に外添してトナーを製造する混合装置が少なくとも2箇所あることを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
- 該容器が少なくとも2つの区画に分割されており、少なくとも2段階にわけて外添混合することを特徴とする請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
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