JP3884961B2 - ブラックトナーの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電印刷法などにおいて形成される静電荷像を現像するためのトナー、又は、トナージェット記録方法におけるトナー像を形成するためのトナーの製造方法に関する。さらに詳しくは、少なくともカーボンブラックを含有するマスターバッチを調製する工程と該マスターバッチを希釈した後重合する工程とを有するブラックトナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的な懸濁重合法により現像用トナーを得る場合には、特公平7−104612号、特開平08−297376号及び特開2000−352844号公報等に開示されているように、着色剤および重合性単量体を少なくとも含有する単量体組成物を、水性媒体等の中でトナーの粒径に造粒し、あらかじめ添加されている重合開始剤(または新たに加えられた重合開始剤)が熱によって分解するときに発生するラジカルにより、重合性単量体を重合させて重合体を形成し、重合トナーを形成している。すなわち、この方法では粉砕工程が含まれないため、重合トナーは脆性を有する必要がなく、しかもその形状は球形であるため、該重合トナーは流動性に優れ、摩擦帯電性が均一である等の特徴を有している。
【0003】
近年、複写画像の画像品質向上、複写機の高速化および省エネルギー化が指向され、トナーの現像特性をより向上させるとともに、耐ブロッキング性、流動性、耐摩耗性を低下させずに、より低温定着、又は低圧定着で良好な定着画像を形成し得るトナーが待望されている。また、プリンター及び複写機の低コスト化の流れは年々激しさを増し、それに対応すべく定着機構の簡素化が工夫され、トナーによりいっそう多機能化が望まれている。
【0004】
このようなトナーを得るため、懸濁重合法においては、重合性単量体、着色剤、重合開始剤、荷電制御剤、離型剤、その他の添加剤の種類や量比を調整することが容易であり、定着性に優れたトナーの開発が試みられてきた。とりわけ単量体組成物中に、室温では保形性を有する固形状のパラフィンワックス、または低分子量ポリオレフィンの如き低軟化点化合物を内包させた重合トナーは定着特性において特に有効である。
【0005】
しかしながら、顔料にカーボンブラックを用いたトナーに限っては、他の顔料を用いたトナーに較べて、定着温度領域が狭い傾向があることがわかった。例えば少スペース化、低コスト化に対応した、オイル塗布機構や分離爪を持たない熱ローラー定着器を用いて定着性を検討した場合、高湿環境や薄い転写材を用いるといったある条件下では、ベタ画像を出力したときに、他の顔料を用いたトナーでは発生しなかった定着ローラーへの紙の巻き付きが起こり易い。また、オフセット発生温度も他の顔料を用いたトナーに較べて低い。
【0006】
このような問題を解決するために、重合性単量体とカーボンブラックとからなる系に、単に離型剤の含有量を増量することが考えられるが、このような方法では定着特性を向上させる効果は思ったほど現れず、逆に弊害としてトリボの低下によるカブリ抑制の悪化や、キャリアをはじめとする他の部材汚染を引き起こし、結果として画質や耐久性及び保存安定性の低下が避けがたかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、懸濁重合法によるトナー製造において、トナー中のカーボンブラックの分散をより均質に高めることにより、低温及び高温の定着特性に優れたブラックトナーの製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、懸濁重合法によるトナーの製造において、長期に渡って濃度安定性及びベタ均一性の優れた、カブリの少ない現像特性を示すブラックトナーの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明者らは上記目的で鋭意研究した結果、カーボンブラックと離型剤を含有する懸濁重合法により製造されるトナーにおいて、少なくとも重合性単量体とカーボンブラックとを混合してマスターバッチを調製する工程においてカーボンブラックをより均一に分散させることが極めて重要であることを知見し、好ましい定着特性を達成するにはマスターバッチのバーコーターを用いた塗工試験によるグロス値を一定値以上にさせることが不可欠であることを見出し本発明に至った。
【0010】
即ち、本発明は、少なくとも重合性単量体とカーボンブラックとを混合してマスターバッチを調製する工程と;該マスターバッチを、重合性単量体と離型剤を少なくとも含有する混合物中に希釈して単量体組成物を調製する工程と;該単量体組成物を水系媒体中に分散し単量体組成物の粒子を調製する工程と;得られた単量体組成物の粒子中の重合性単量体を重合する工程とを有するブラックトナーの製造方法であって、
該マスターバッチを調製する工程が、少なくとも該重合性単量体と該カーボンブラックとを予備分散する予備分散工程と、該予備分散工程を行った後に本分散してマスターバッチを調製する本分散工程であり、
該マスターバッチを調製する際に、マスターバッチのグロス値を、35乃至90に調整することを特徴とするブラックトナーの製造方法に関する。
【0011】
本発明のトナーにおいてこのような効果が得られる理由は、必ずしも明確ではないが、以下のように推定される。
【0012】
本発明者らの研究によると、カーボンブラックは他の顔料と較べて溶融時における離型剤との親和性が高いことが判明した。そのためカーボンブラックを含有したトナーは、定着時に溶融離型剤がカーボンブラックに保持され易く、またあらかじめ製造段階で保持されている離型剤もあるために均一かつ速やかに離型剤がトナー塊からしみだし難く、離型効果が十分に発揮されないと推定される。特にカーボンブラック特有の物性として、凝集性が高く二次粒子や三次粒子を形成し易い性質があり、トナー化した時のトナー中での分散性も他顔料に較べて劣ることから、それらの高次構造が更に離型剤を取り込み易い性質を示すために定着性に関してより不利な条件をもたらすものと考えられる。
【0013】
これに対して、本発明のトナー製造方法は、トナー中でのカーボンブラックの分散性をより高めることを目的に、マスターバッチ中でのカーボンの分散性に着目し、マスターバッチのバーコーターによる塗工試験によるグロス値を従来着色力のあるトナーを製造するには十分とされていた値以上に調整することによって定着特性が改善された。
【0014】
これは、マスターバッチ中でのカーボンブラックの分散性がより高まった結果、重合工程を経たトナーに関しても十分なカーボンブラックの分散が達成され、離型剤を取り込む高次構造の発達したカーボンブラックが少なくなり、定着時に速やかに離型剤がしみだして定着温度領域が広がったものと考えている。
【0015】
従って、本発明によれば、カーボンブラックを含有したトナーにおいても他の顔料なみに離型剤のしみ出し性が達成されることに基づき、オイル塗布機構や分離爪を持たない熱ローラー定着器での好適な定着性が実現し、前述した従来のカーボンブラックを用いた重合法トナーの欠点が除去された。
【0016】
また、本発明によれば、定着性の向上効果に加え、懸濁重合法トナーとしての特徴である離型剤の内包化や球形でシャープな粒度分布が損なわれることがなく、流動性が高く、キャリア粒子等の部材汚染をすることなく、長期の耐久においてもカブリの少ないトナーが得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明のブラックトナーの製造方法は、少なくとも重合性単量体とカーボンブラックとを混合してマスターバッチを調製する工程と;該マスターバッチを、重合性単量体と離型剤を少なくとも含有する混合物中に希釈して単量体組成物を調製する工程と;該単量体組成物を水系媒体中に分散し単量体組成物の粒子を調製する工程と;得られた単量体組成物の粒子中の重合性単量体を重合する工程とを有するブラックトナーの製造方法であって、
該マスターバッチを調製する際に、マスターバッチのバーコーターを用いた塗工試験によるグロス値を、25乃至100(好ましくは35乃至90)に調整することを特徴とする。
【0018】
マスターバッチの分散グロスは、顔料の均一分散の指標として有効な評価方法である。すなわち、カーボンブラックが十分微粒状に均一分散している場合は、塗布面に平滑性とつやが生まれ、グロスが高くなる。一方、カーボンブラックが2次粒子や3次粒子等のだまを形成して十分に分散されていない場合は塗布面に凹凸があるため、くすむことからグロス値が低くなる。
【0019】
マスターバッチの分散グロスが25未満であると、省スペース化設計に対応した分離爪を持たない熱ローラー定着器においては低温で紙の巻き付きが発生し、耐高温オフセット及び耐高温巻き付きも悪くなる。
【0020】
マスターバッチの分散グロスグロスが100を超えると、トナー化した時にトナーの表面近傍のカーボンブラック量が増え、そこが帯電のリーク点となってトリボ低下や帯電のブロード化を引き起こし、カブリ抑制が悪くなる。
【0021】
特に、マスターバッチの分散グロスを35〜90の範囲に調整してトナー化した場合、トナー中での理想的なカーボンブラックの分散が達成され、定着時に離型剤の染み出し阻害をすることなく、低温及び高温のいずれの定着性においても優れた離型効果を発揮し、また、カブリ抑制効果も十分良好な優れたトナーが得られる。
【0022】
なお、マスターバッチにおけるカーボンブラックの分散性については、バーコーターによる塗工試験により作製されたサンプルのグロス(光沢度)を測定することにより評価した。
【0023】
すなわちマスターバッチをスポイトですくい取り、スーパーアート紙(金藤180kg80*160)上部に直線上に塗布した後、ワイヤーバー(#10)を用いて均一にアート紙上に塗布し、十分に乾燥した後測定した。グロス(光沢度)の測定には、日本電色社製VG−10型光沢度計を用いた。測定にあたっては、定電圧装置により6Vにセットし、次いで投光角度、受光角度をそれぞれ60度に合わせ、0点調整及び標準板を用い、標準設定の後に試料台の上に白紙を3枚重ね、その上に前記塗布試料を置き測定を行い、標示部に示される数値を%単位で読みとった。
【0024】
本発明で用いられるカーボンブラックは、個数平均粒径が10〜200mμ(好ましくは20〜100mμ)、且つDBP法(ASTM D2414−65T)による吸油量が170(ml/100g)以下、好ましくは100(ml/100g)以下のものを用いると、マスターバッチの分散性及び懸濁重合性、更には定着性を満たす重合トナーとしてより好ましい。
【0025】
カーボンブラックの個数平均粒径が10mμ未満では、カーボンブラックの表面積が大きく、凝集が起こり易くなるため、マスターバッチ中でのカーボンブラックの良好な分散性を得るには使いこなすのが難しい。
【0026】
さらに、カーボンブラックの平均一次粒子径が200mμより大きい場合は、良好に分散してもトナーの着色力が低くなりすぎ、着色力をあげるために、多量に使用すると、トナーの帯電が低下してしまい使用に適さない。
【0027】
特に、粒径が20〜100mμのカーボンブラックを用いた場合、マスターバッチを調製する工程での分散性及び重合時の離型剤との混合物中においてもカーボンブラックを均一に分散させることが可能であり、懸濁重合により得られるトナーにおいては特に良好な分散性が得られる。
【0028】
他方、カーボンブラックのDBP法による吸油量が170(ml/100g)を超えると、離型剤としての低軟化点化合物との親和性がより高くなるため、たとえトナー中での分散性が優れていても定着時の離型剤のしみ出し性が悪くなり、結果として定着特性が悪くなる。
【0029】
従って、カーボンブラックの分散性と離型剤との親和性との関係で、本発明の懸濁重合トナーに使用すべきカーボンブラックは、その個数平均粒径と吸油量とが制限される。
【0030】
また、上記の条件を満たすカーボンブラックは単独で、あるいは二種以上を種々の組成に組み合わせて用いられる。
【0031】
また、トナー粒子の質量に対するカーボンブラックの含有量[質量%]が、好ましくは2〜20質量%、より好ましくは5〜10質量%であることが、高画像濃度とトナーの帯電安定性、カーボンブラックの均一分散性及び離型剤のしみ出し性の点で良い。
【0032】
カーボンブラックの含有量が2質量%未満の場合には、トナーとしての着色力が低く、高画像濃度が達成できず、20質量%を超える場合には、カーボンブラックとの親和性の高い長鎖分岐構造を有する固体ワックスを使用しても、カーボンブラックの内包化が達成されず、結果として、カブリ、トナー飛散の抑制等が悪化してしまう。
【0033】
次に、本発明の製造方法におけるマスターバッチ分散工程について述べる。
【0034】
分散工程に用いるメディヤ型分散機として、図1〜図6に示すような分散機が用いられる。以下に、図1〜図6の構成について説明する。
【0035】
図1に示されるようなメディヤ型分散機は、スラリーを保持する容器内に分散容器が存在し、分散容器は溶液を下方に排出するプロペラ6と一体になった回転するローター3とステーター4及びメディヤ5と分散液を分離するためのスリット(又はスクリーン)7により構成され、分散液を保持する容器上部に原料投入口1が設けられ、スラリーを保持する容器下部に排出口2が設けられている。
【0036】
このようなメディヤ型分散機は、原料スラリーを容器上部の原料投入口1より供給し、回転するローター3とステーター4及びメディヤ5によって原料スラリーを分散する。分散液は、ギャップ(又はスクリーン)7を通ってステーター下部よりプロペラ6によって循環し、分散の完了とともに排出口2より排出される。
【0037】
図2に示すようなメディヤ型分散機は、回転するローター3とステーター4及びメディヤ5と分散液を分離するための分離バルブ8により構成され、ステーター4上部に原料投入口1が設けられ、分散機下部には分離バルブ8を介して排出口2が設けられている。このようなメディヤ型分散機は、原料スラリーをステーター上部の原料投入口1より供給し、回転するローター3とステーター4及びメディヤ5によって原料スラリーを分散する。この時、分散機内圧力は、分離バルブ8の調整により、圧力設定され定圧運転される。分散液は、分離バルブ8を通って分散機下部の排出口2より排出される。
【0038】
図3に示されるようなメディヤ型分散機は、回転するローター3とステーター4及びメディヤ5と分散液を分離するためのギャップ(又はスクリーン)9により構成され、分散機側面上部に原料投入口1が設けられ、原料投入口1が設けられている側面と反対側の分散機側面上部にギャップ(又はスクリーン)9を介して排出口2が設けられている。このようなメディヤ型分散機は、原料スラリーを分散機側面上部の原料投入口1より供給し、回転するローター3とステーター4及びメディヤ5によって原料スラリーを分散する。分散液は、ギャップ(又はスクリーン)9を通って原料投入口1が設けられている側面と反対側の分散機側面上部の排出口2より排出される。
【0039】
図4に示されるようなメディヤ型分散機は、回転するローター3とステーター4及びメディヤ5と分散液を分離するためのスリット(又はスクリーン)10により構成されステーター4下部に原料投入口1が設けられ、ステーター4上部には、スリット(又はスクリーン)10を介して排出口が設けられている。このようなメディヤ型分散機は、原料スラリーをステーター側面下部の原料投入口1より供給し、回転するローター3とステーター4及びメディヤ5によって原料スラリーを分散する。分散液は、スリット(又はスクリーン)10を通ってステーター上部に設けられている排出口2より排出される。
【0040】
図5に示されるようなメディヤ型分散機は、断面が逆三角形をしたローター3と同じように断面が逆三角形をしたステーター4及びメディヤ5と分散液を分離するためのギャップ11,12により構成され、ステーター4下部には原料投入口1が設けられステーター4上部には、ギャップを介して排出口2が設けられている。このようなメディヤ型分散機は、原料スラリーをステーター4下部の原料投入口1より供給し、その原料スラリーがギャップ12を通して分散機内に導入され、回転する断面が逆三角形をしたローター3と同じように断面が逆三角形をしたステーター4及びメディヤ5によって原料スラリーを分散する。分散液はギャップ11を通ってステーター上部に設けられている排出口2より排出される。
【0041】
図6に示されるようなメディヤ型分散機は、ケーシング2の内部に、メディヤ粒子撹拌用の回転ローター3、その外周にメディヤ粒子5と液状単量体混合物を分離するためのスリット4aを有するセパレーター4があり、分散機が有するモーターによって駆動される駆動軸21によって回転ローター3を回転させると遠心力が発生して、その遠心力により、内室22内のメディヤ粒子5は外周のセパレーター4上に層を形成すると共に、回転ローター3の回転力によって回転運動も行うため、強力なせん断力を発生して微粒状着色剤の分散が行われる。このようなメディヤ型分散機は、原料スラリーを液体供給口6より供給し、内室の中央部から回転ローター3の回転により生じる遠心力により、内室22の中央部からセパレーター4の方向へ搬送され、回転ローター3の回転及びメディヤ粒子5のせん断力により、さらにセパレーター4上の流動しているメディヤ粒子5の層の間を微粒状着色剤を含有している単量体混合物が通過することにより、微粒状着色剤は微細化され単量体混合物に分散される。そして、スリット4aを通って外室23へ、分散された微粒状着色剤を有する単量体混合物は搬送され、側壁(第2の壁面)に設けられている液体排出口7より排出される。
【0042】
なお、図1〜図6に示される分散機は、循環ポンプを介して投入−排出のサイクル循環を繰り返すプロセスを導入することにより、均一にかつ効率よく分散が行われる。更に、循環サイクル中に図1〜図6に示されるいずれかの分散機を複数機用いることにより、より効率的に分散グロスを高めることができる。
【0043】
図1〜図6に示されるような分散機において、着色剤等の分散性の点から、メディヤの直径を0.1mm〜5mmの範囲で用いることが好ましく、さらに、0.1mm〜3mmが好ましく、0.1mm〜2mmの範囲で用いることがより好ましい。
【0044】
また、着色剤等の分散性やメディヤ及びステーター部の摩耗の点で、アジテーター先端部の周速を3m/s〜20m/sの範囲で用いることが好ましく、さらに、5m/s〜17m/sの範囲で用いることがより好ましい。
【0045】
図1〜図6に示されるような分散機において、分散温度を制御する上では、ステーター部の構造を中空構造にし、熱媒又は冷媒が通ずるようにし、温度制御できるようにすることが好ましく、さらにローター部についても中空構造にし、熱媒又は冷媒が通ずるようにして温度制御できるようにすればより好ましい。更に、循環システムのライン中に冷却手段として熱交換機を設置して熱交換を行いながら運転してもよい。その際、単量体混合物液温は、10〜40℃(更に好ましくは15〜35℃)に調整するのが好ましい。
【0046】
液体排出口から排出された微粒状着色剤含有単量体混合物は粘度が5〜2500mPa・S(より好ましくは20〜2000mPa・S、さらに好ましくは50〜2000mPa・S)が良い。
【0047】
なお本発明における粘度とは、JIS K5101−10.2(3)に準じた測定方法で行い、具体的には液温が30±1℃に調整された試料を、B型粘度計の3号または4号ローターを用いて、下記のpre−shearを与えた後、60rpmで60秒後に測定した値を代表粘度とする。
【0048】
[pre−shear条件]
5rpm 60秒→6rpm 60秒→20rpm 60秒→60rpm 60秒
【0049】
図1〜図6に示されるような分散機においては、耐摩耗性の点からステーター部及びローター部の材質としては、ジルコニア等の耐摩耗性材料を用いることが好ましい。
【0050】
メディヤ型分散機に使用されるメディヤ材質としては、例えば、ガラス,スチール,クロム合金,アルミナ,ジルコニア,ジルコン,チタニア等が挙げられる。
【0051】
上述のメディヤ材質の中でも、耐摩耗性の点からジルコニア,チタニアがより好ましい。
【0052】
次に、本発明の製造方法におけるマスターバッチの予備分散工程について述べる。
【0053】
マスターバッチ中のカーボンブラックを、均質でより効率的に分散して高グロス値を達成するためには、予備分散行程を設けることが特に有効である。
【0054】
本発明における予備分散工程とは、上述した図1〜図6の分散機を用いた高速回転による本分散工程の前に、重合性単量体とカーボンブラックを十分浸漬させ次工程の本分散を効果的に達成させる目的で、本分散機と同一の分散機を用いて低速運転を10分から数時間程度行うか、又は撹拌翼を有する撹拌機を用いて10分から数時間程度予備分散行程を行う行程をさす。
【0055】
撹拌翼を用いた予備分散工程を導入する場合、撹拌翼としては軸流型、輻流型のどちらの撹拌翼を用いても良いが、浸漬効率を高めるためには高速撹拌が有効であり、輻流型のパドル型またはタービン型の撹拌翼が特に適している。これらの中でも、特に高速撹拌に好適なDSインペラ撹拌翼が好ましく用いられる。
【0056】
次に本発明の製造方法におけるマスターバッチの希釈方法について述べる。
【0057】
本発明の懸濁重合法により合成されるトナーは、定着性や帯電安定性等の機能付加を目的として、離型剤の含有は必須成分であり、また重合性単量体の重合によって合成された樹脂とは違う他の高分子重合体を含有することができる。これらの添加物は、マスターバッチを希釈する為の重合性単量体中にあらかじめ分散させてもいいし、マスターバッチの希釈時に添加することもできる。
【0058】
まず、本発明に用いられる離型剤について説明する。
【0059】
本発明において、熱定着時の定着部材に対する離型性をよくする目的で、トナー粒子中に炭化水素系化合物である固体ワックス成分を、離型剤の機能を兼ねて用いることが必須である。
【0060】
本発明に用いられる離型剤を含有したトナーのDSC吸熱曲線における吸熱ピーク値は、40℃乃至110℃であることが好ましい。さらに好ましい範囲としては、50℃乃至100℃である。
【0061】
吸熱ピーク値が40℃未満であるとワックスの自己凝集力が弱い為に、トナー粒子の内部又は中心部を構成しづらく、トナー粒子の製造時にトナー粒子表面にワックスが析出し、トナーの耐ブロッキング性、保形性及び部材汚染性が不十分であり、吸熱ピークが110℃を超えると、定着時にワックスが浸み出しにくく、低温時の定着性や、離型剤そのものの特性が十分に発揮されない。
【0062】
本発明に用いられる離型剤を含有したトナーの吸熱ピークにおける半値幅は、7℃以下であることが必須である。より好ましくは4℃以下である。
【0063】
7℃を超える場合には、結晶性が高くないことから、定着時にバインダー樹脂中から敏速に離型剤がしみ出してこないため、特に高速機用のプロセススピードの速い定着器や、軽負荷定着器において、耐低温巻き付きや耐高温オフセット性に劣る。
【0064】
なお、ここでいう吸熱ピークの半値幅とは、吸熱ピークにおけるベースラインからピークの高さの2分の1の吸熱チャートの温度幅である。
【0065】
なお、本発明における離型剤を含有したトナーのDSC吸熱曲線はASTM D3418−82に準拠して測定される。
【0066】
測定試料は、2〜10mgの範囲内で正確に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜160℃の間で、昇温温度10℃/minで、常温常湿下で測定を行う。
【0067】
また、本発明の離型剤としては、重量平均分子量(Mw)が300乃至1,500のものが好ましい。特に400乃至1250の範囲のものが好ましい。
【0068】
Mwが300未満の離型剤を使用した場合は、低分子量成分が表面に存在し易くなり、トナーの耐ブロッキング性が低下すると共に、トナーの流動性の低下や帯電部材汚染に伴なう現像性が悪化する。Mwが1500を超えると、トナーを製造する場合に造粒性が阻害され、トナーの合一が生じやすくなる。
【0069】
更に、重量平均分子量/数平均分子量の比(Mw/Mn)が1.5以下になると、トナーのDSC吸熱曲線の極大ピークがよりシャープになり、定着時にシャープな溶融特性及びしみだし性が向上し、特に優れた定着特性が得られる。
【0070】
本発明において、離型剤の分子量はGPCにより次の条件で測定される。なお、トナー中の離型剤は任意の方法で抽出され、そのサンプルを分析する。
【0071】
(GPC測定条件)
装置 :GPC−150C(ウォーターズ社製)
カラム:GMH−MT30cm2連(東ソー社製)
温度 :135℃
溶媒 :o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添加)
流速 :1.0ml/min
試料 :0.15%の試料を0.4ml注入
以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算することによって算出される。
【0072】
また、本発明に用いられる離型剤の添加量は、重合性単量体100質量部に対して5乃至40質量部(より好ましくは、5乃至30質量部)離型剤を配合し、結果として、重合性単量体から生成された結着樹脂100質量部当りに離型剤5乃至40質量部(より好ましくは、5乃至30質量部)の割合でトナー粒子に含有されるのが良い。
【0073】
本発明のトナーに用いられる離型剤としては、高級脂肪酸及びその金属塩、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油の如き植物系ワックス、蜜蝋、ラノリン及び鯨ろうの如き動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト及びセレシンの如き鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムの如き石油ワックス、ポリオレフィンワックス、フィッシャートロピッシュワックスの如き合成炭化水素、アミドワックス、ケトンワックス、エステルワックスが挙げられる。必要に応じて、これらのグラフト化、ブロック化、蒸留などしても構わない。
【0074】
上記効果を発現させるために、ケトンワックス、エステルワックス、これらの変性物(例えば、酸化物やグラフト処理物)が好ましく、フルカラー画像の出力を考慮した場合には、エステルワックスが特に好ましい。
【0075】
エステルワックスとしては、下記式(I)乃至(V)で示される化合物から形成されているものが一例として挙げられるがこれら以外のものでも構わない。
【0076】
【化1】
Figure 0003884961
(式中、a及びbは0乃至4迄の整数であり、a+bは4である。R1及びR2は炭素数が1乃至40の有機基であり、R1とR2との炭素数差が3以上である。m及びnは0乃至40の整数であり、mとnは同時に0になることはない)
【0077】
【化2】
Figure 0003884961
(式中、a及びbは0乃至3の整数であり、a+bは1乃至3である。R1及びR2は炭素数が1乃至40の有機基であり、R1とR2との炭素数差が3以上である。R3は水素原子、炭素数が1以上の有機基である。但し、a+b=2のとき、R3のどちらか一方は、炭素数が1以上の有機基である。kは1乃至3の整数である。m及びnは0乃至40の整数であり、mとnが同時に0になることはない)
【0078】
【化3】
Figure 0003884961
(式中、R1及びR2は炭素数1乃至40を有する有機基であり、R1とR3は同じものであってもなくても良い。R2は炭素数1乃至40を有する有機基を示す)
【0079】
【化4】
Figure 0003884961
(式中、R1及びR2は炭素数1乃至40を有する有機基であり、R1とR3は同じものであってもなくてもよい。
Figure 0003884961
又は−(CH2)n−である。
mは1乃至20の整数、nは1乃至40の整数を示す。)
【0080】
【化5】
Figure 0003884961
(式中、aは0乃至4の整数であり、bは1乃至4の整数であり、a+bは4である。R1は炭素数が1乃至40の有機基である。m及びnは0乃至40の整数であり、mとnが同時に0になることはない)
【0081】
次に、本発明に用いることが可能な高分子重合体について説明する。
【0082】
高分子重合体をさらに含有する重合トナー粒子は、マスターバッチ製造過程において添加すると、カーボンブラックの均一分散に要する時間が長くなる理由から、マスターバッチの希釈工程時に添加するのが好ましい。
【0083】
高分子重合体の添加方法は、マスターバッチを希釈するための重合性単量体中にあらかじめ溶解分散させておくか、もしくはマスターバッチの希釈時に添加して混合することができる。この調製された重合性単量体組成物を懸濁重合することによって所望のトナーを製造することができる。
【0084】
高分子重合体として、例えば、水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用することができないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、ニトリル基の如き親水性官能基含有の重合性単量体成分をトナー粒子中に導入する時には、これらとスチレンあるいはエチレンの如きビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体の如き共重合体の形にして、あるいはポリエステル、ポリアミドの如き重縮合体、ポリエーテル、ポリイミンの如き重付加合体の形とすれば、使用することが可能となる。こうした極性官能基を含む高分子重合体をトナー粒子中に共存させることは、重合性単量体組成物の水系媒体中での重合時に前述のワックス成分を相分離させ、トナー粒子においてより内包化が強力となり、本発明の目的とするトナーの性能を向上させることが出来るので好ましい態様である。
【0085】
この極性官能基を含む高分子重合体のトナー粒子の質量に対する含有量としては、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは2〜16質量%であることが良い。
【0086】
この極性官能基を含む高分子重合体の含有量が1質量%未満の場合には、内包化させたワックスがトナー表面に出て離型効果を発揮するには少な過ぎ、20質量%を超える場合には、ワックスを内包させるのが難しくなり、結果としてトナー帯電付与部材の汚染が早くなり好ましくない。
【0087】
この極性官能基を含む高分子重合体の重量平均分子量は、5,000以上が好ましく用いられる。重量平均分子量が5,000未満、特に4,000を下回ると、極性官能基を含む高分子重合体が表面付近に集中し易い為、現像性や耐ブロッキング性に悪い影響が生じ易くなり好ましくない。
【0088】
重合性単量体を重合して得られるトナーの分子量範囲とは異なる分子量の高分子重合体を重合性単量体組成物中に溶解して重合すれば、分子量分布の広い、より耐オフセット性の高いトナーを得ることが出来る。
【0089】
重合法による直接トナーを得る方法においては、公知の単量体が好ましく用いられる。具体的には、スチレン,o(m−,p−)−メチルスチレン,m(p−)−エチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸プロピル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アクリル酸ドデシル,(メタ)アクリル酸ステアリル,(メタ)アクリル酸ベヘニル,(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル,(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル,(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン,イソプレン,シクロヘキセン,(メタ)アクリロニトリル,アクリル酸アミド等のエン系単量体が好ましく用いられる。これらは、単独または一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−P139〜192(John Wiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)が、40〜85℃を示すように単量体を適宜混合し用いられる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場合には、トナーの保存安定性やトナーの耐久安定性の面から問題が生じ、一方85℃を超える場合は結晶性部分の残存による粒塊が画像上に生じ、特にフルカラートナーの場合においてはOHP画像の透明性を著しく低下させ高画質の面から好ましくない。
【0090】
重合した樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定される。具体的なGPCの測定方法としては、予めトナーをソックスレー抽出器を用いトルエン溶剤で20時間抽出を行った後、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去せしめ、更に低軟化点物質は溶解するが樹脂は溶解し得ない有機溶剤例えばクロロホルム等を加え十分洗浄を行った後、THF(テトラヒドロフラン)に可溶した溶液をポア径が0.3μmの耐溶剤性メンブランフィルターでろ過したサンプルをウォーターズ社製150Cを用い、カラム構成は昭和電工製A−801、802、803、804、805、806、807を連結し標準ポリスチレン樹脂の検量線を用い分子量分布を測定し得る。得られた樹脂成分の数平均分子量(Mn)は、5000〜1,000,000であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、2〜100を示す樹脂が本発明には好ましい。
【0091】
本発明に用いられる荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、重合阻害性が無く、トナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。
【0092】
また、本発明における荷電制御剤の別の効果として、マスターバッチ分散時の分散助剤としての効果も期待できる。
【0093】
具体的化合物としては、ネガ系として、有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物がある。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。
【0094】
さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系帯電制御剤等が挙げられる。
【0095】
ポジ系としては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等によるニグロシン変性物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドの如きジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類、樹脂系帯電制御剤等が挙げられる。これらを単独で或いは2種類以上組合せて用いることができる。
【0096】
荷電制御剤の適量は、その種類によるところが大きいが、トナー化した時に有効な帯電効果を得られることと、分散液粘度を適正状態に維持して、カーボンブラックの均一分散性を向上させる点で樹脂100質量部に対し0.1〜10質量部が好ましい。
【0097】
本発明に直接重合方法を利用する場合には、重合開始剤として例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等の過酸化物系重合開始剤が用いられる。該重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが一般的には単量体に対し0.5〜20質量%添加され用いられる。重合開始剤の種類は、重合法により若干異なるが、十時間半減期温度を参考に、単独又は混合し利用される。
【0098】
重合度を制御するため公知の架橋剤,連鎖移動剤,重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。特に架橋度を制御することは、所望の定着特性を得るためには非常に有効である。
【0099】
本発明のトナーに用いられる架橋剤としては、2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられる。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンのような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンの如きジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。これらは単独もしくは混合物として用いられる。
【0100】
本発明のトナー製造方法では、用いる分散剤として例えば無機系酸化物として、リン酸三カルシウム,リン酸マグネシウム,リン酸アルミニウム,リン酸亜鉛,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,水酸化カルシウム,水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム,メタケイ酸カルシウム,硫酸カルシウム,硫酸バリウム,ベントナイト,シリカ,アルミナ,磁性体,フェライト等が挙げられる。有機化合物としては、ポリビニルアルコール,ゼラチン,メチルセルロース,メチルヒドロキシプロピルセルロース,エチルセルロース,カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩,デンプン等を水相に分散させて使用できる。これら分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜2.0質量部を使用することが好ましい。
【0101】
これら分散剤は、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい均一な粒度を有する分散粒子を得るために、分散媒中にて高速撹拌下にて該無機化合物を生成させることもできる。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで懸濁重合法に好ましい分散剤を得ることができる。
【0102】
また、これら分散剤の微細化の為に、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用してもよい。具体的には市販のノニオン,アニオン,カチオン型の界面活性剤が利用でき、例えば、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム,テトラデシル硫酸ナトリウム,ペンタデシル硫酸ナトリウム,オクチル硫酸ナトリウム,オレイン酸ナトリウム,ラウリル酸ナトリウム,ステアリン酸カリウム,オレイン酸カルシウム等が挙げられる。
【0103】
本発明に係る重合トナー粒子は、以下の如き製造方法によって具体的に製造することが可能である。
【0104】
まず、重合性単量体中にカーボンブラック及び帯電制御剤を加えて分散し、マスターバッチを製造する。具体的には、第一の重合性単量体100質量部に対して、好ましくは5〜40質量部、より好ましくは10〜30質量部のカーボンブラック及び好ましくは0.1〜5質量部の荷電制御剤を混合して分散させる。
【0105】
カーボンブラックの混合量が5質量部未満の場合には、分散液の粘度が小さく、十分な分散は達成しにくい。
【0106】
一方、40質量部を超える場合には、分散液の粘度コントロールしづらくなり、結果として分散が不均一になりやすい。
【0107】
また、荷電制御剤の混合量が0.1〜5質量部の範囲以外であると、十分な粘度が得られず分散が不均一になりやすい。
【0108】
特に、マスターバッチ中のカーボンブラックの含有量を10〜30質量部に調整して分散すると、好適な粘度が得られ、均一で分散効率の良いマスターバッチが調製できる。
【0109】
次に、該マスターバッチに単量体、低軟化点物質からなる離型剤、重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナイザー,超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめた単量体系を、分散安定剤を含有する水相中に通常の撹拌機またはホモミキサー,ホモジナイザー等により分散せしめる。好ましくは単量体液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行うのが良い。また、重合反応後半に昇温しても良く、更に、トナー定着時の臭いの原因等となる未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を留去しても良い。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄・濾過により回収し、乾燥する。懸濁重合法においては、通常単量体系100質量部に対して水300〜3000質量部を分散媒として使用するのが好ましい。
【0110】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。
【0111】
まず本発明におけるトナーの評価方法について述べる。
【0112】
トナーの粒度分布の測定については、種々の方法によって測定できるが、本発明においては、コールターカウンタを用いて測定を実施した。
【0113】
即ち測定装置としては、コールターカウンタTA−IIあるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)を用いる。電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて、約1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTON(コールター社製)が使用できる。
【0114】
測定方法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナーの体積、個数を測定して体積分布と個数分布を算出した。
【0115】
それから本発明に係る体積分布から求めた重量基準の重量平均粒径(D4)(各チャンネルの代表値をチャンネル毎の代表値とする)、個数分布から求めた4μm以下の微粉量(%)を求めた。
【0116】
[トナーの製造例1]
スチレン単量体100質量部に対して、カーボンブラック(1)[DBP吸油量42ml/100g,平均粒子径31mμ]を20質量部、ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のアルミ化合物を2質量部組み合わせたものを用意した。
【0117】
上記の重合性単量体混合物を、直径180mmのDSインペラ攪拌翼を備えた容器に投入し、900rpmで30分間予備分散を行い十分浸漬させた。
【0118】
次に上記の予備分散工程を経た重合性単量体混合物を、分散容器内部にジルコニア製ローターと中空構造が形成されたステーターを具備し、直径1mmのジルコニアビーズが0.8リットル充填されたミル容積1リットルの図1に示されるようなメディヤ型分散機に投入し、ローター回転数2500rpm(周速7.9m/s),ミル内温度30〜38℃,300分間、循環方式で分散し、粘度1500mPa・S、バーコーター塗工試験による分散グロスが60のマスターバッチ分散液1を調製した。
【0119】
一方、イオン交換水710質量部に、0.1M−Na3PO4水溶液450質量部を投入し、60℃に加温した後、クレアミキサー(エムテクニック社製)を用いて12,000rpmにて撹拌した。これに0.1MCaCl2水溶液68質量部を徐々に添加し、リン酸カルシウム化合物を含む水系媒体を得た。
【0120】
次に、
・マスターバッチ分散液1 97.6質量部
・スチレン単量体 86質量部
・n−ブチルアクリレート 34質量部
・エステルワックス(II)
[式中、a=1,b=0,R1= 21,n=16,k=1] 30質量部
・飽和ポリエステル樹脂 10質量部
・ジビニルベンゼン 0.5質量部
を60℃に加温し、撹拌して均一に溶解、分散した。これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0121】
なお、重合性単量体組成物の調製時に添加する飽和ポリエステル樹脂としては、プロポキシ化ビスフェノールとテレフタル酸を縮合し得られた、Mw=11000、Mw/Mn=2.1、酸価10mgKOH/gのポリエステル樹脂を用いた。
【0122】
そして、前記水系媒体中をpH6に維持し、上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下において、クレアミキサー(エムテクニック社製)にて10000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、反応容器に移し、水系媒体中をpH6に維持し、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃に昇温し、5時間反応させた。さらに、水溶性開始剤を添加し80℃に昇温し5時間反応させた。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加えリン酸カルシウム化合物を溶解させた後、ろ過、水洗、真空下で乾燥をし、多段分割式分級機にて分級して、黒色トナー粒子を得た。得られたトナーの粒径は重量平均径7.5μm、4μm以下の微分量が12%のシャープな粒度分布を有していた。また、DSC測定による吸熱ピークトップ温度は65℃であった。
【0123】
得られた黒色トナー粒子100質量部に対して、BET法による比表面積が100m2/gである疎水性酸化チタン0.7質量部、BET法による比表面積が40m2/gである疎水性シリカ0.5質量部をヘンシェルミキサーで外添した後、ターボスクリーナーで粗粒を除去し、黒色トナーNo.1を得た。
【0124】
[トナーの製造例2]
トナーの製造例1において、分散容器内部にジルコニア製ローターと中空構造が形成されたステーターを具備し、直径1mmのジルコニアビーズが0.8リットル充填されたミル容積1リットルの図2に示されるようなメディヤ型分散機を更に循環系に追加して、ローター回転数2500rpm(周速7.9m/s)、ミル内圧98kPa(1Kg/cm2)で300分間、循環方式で分散したほかは同様の操作を行い、粘度1700mPa・S、分散グロス90のマスターバッチ分散液2を調製し、トナー化して黒色トナーNo.2を得た。
【0125】
[トナーの製造例3]
トナーの製造例1において、マスターバッチの予備分散工程を、図1に示す本分散機を用いて回転数1000rpm(周速3.2m/s)で1時間行った以外は全て製造例1と同様の操作を行い、粘度1350mPa・S、分散グロス40のマスターバッチ分散液3を調製し、トナー化して黒色トナーNo.3を得た。
【0126】
[トナーの製造例4]
トナーの製造例1において、マスターバッチの組成比を、スチレン単量体100質量部に対してカーボンブラックを10質量部に変更し、メディヤ型分散機を、直径0.5mmのジルコニアビーズが充填された図6に示されるような分散機に変更し、ローター回転数1000rpm(周速11.5m/s)で300分間、循環方式で分散したほかは同様の操作を行い、粘度1610mPa・S、分散グロス70のマスターバッチ分散液4を調製し、トナー構成物の組成比がトナーの製造例1と同じになる様に処方して黒色トナーNo.4を得た。
【0127】
[トナーの製造例5]
トナーの製造例1において、マスターバッチの組成比を、スチレン単量体100質量部に対してカーボンブラックを35質量部に変更した以外は同様の操作を行い、粘度2020mPa・S、分散グロスが70のマスターバッチ分散液5を調製し、トナー構成物の組成比がトナーの製造例1と同じになる様に処方して黒色トナーNo.5を得た。
【0128】
[トナーの製造例6〜15]
トナーの製造例1において、ジルコニアビーズの直径、カーボンブラックの種類、ワックスの種類を表1に示す組み合わせに変更したほかは同様の操作を行い、黒色トナーNo.6〜15を得た。
【0129】
<実施例1>
上記黒色トナーNo.1 7質量部と、フェノール樹脂中にマグネタイト粒子を分散してなる磁性微粒子分散型樹脂キャリア93質量部とを混合し二成分現像剤を調製し、図7に示す構成のA3サイズのレーザービームプリンターを用い、定着ローラー、加圧ローラーともに表層をPFAで50μm被覆した直径がφ46mmのローラーを用いたオイル塗布機構及び分離爪を持たない構成の定着ユニットを用いて、定着特性及び耐久性を評価した。
【0130】
図8に定着装置の拡大図を示すが、定着ローラー83として、アルミニウムの芯金81上にジメチルシリコーンゴムのLTVタイプの弾性層82を2mmの層厚で形成し、表層93にPFA 50μmで被覆したものを用い、一方、84は加圧ローラー、81aはアルミニウムの芯金、82aは芯金81aに設けられた弾性層であり、82aはジメチルシリコーンゴムのLTVタイプの弾性層を1.5mmの層厚で形成し、その上にPFAチューブにて離型層93aを50μmの層厚で形成したものを用いた。なお、図8において、91は本発明の現像剤である重合トナー、90は未定着現像剤を担持すると共に、定着ローラー83及び加圧ローラー84の圧接部であるニップ部Nにて挟持搬送することにより未定着現像剤が定着される記録材である転写紙、95は定着ローラー83の熱源である。加圧ローラー82の加圧力は392N(40kgf)、定着温度は180℃、ローラー周速は120mm/secに設定した。
【0131】
さらに、定着ローラー83には静電オフセット防止のために、電源95によって−1.0〜−1.5kV程度の電圧が芯金81に印加され、一方、加圧ローラー84側の芯金81aはダイオードによって電位制御されている。
【0132】
トナーの定着特性評価は、上記のプリンターを用い、低温特性に関しては23℃/60%(N/N)の環境で、転写材として60g/m2紙を用い、先端余白2mm,トナーのり量0.8mg/cm2の単色ベタ画像を出力し、定着温度を可変して巻き付き性を以下の評価法に基づいて評価した。一方、高温特性に関しては、同環境において定着温度を可変して、幅10mmの16階調細帯チャートを先端20mmに出力し、定着ローラー周期にオフセット画像が現れるか、カブリを測定して以下の評価法に基づいて評価した。
【0133】
トナーの耐久性の評価は、画像面積5%のオリジナル原稿を使用し、23℃/60%(N/N)、23℃/5%(N/L)、32.5℃/90%(H/H)の各環境でそれぞれ2万枚の通紙試験を行った。通紙試験初期と1万枚目にベタ白画像とベタ黒画像をサンプルとして出力し、それぞれカブリと濃度安定性及び濃度均一性を以下の評価法に基づいて評価した。
【0134】
結果を表2に示すが、表から分かるように定着特性に優れ、環境耐久性も良好な結果が得られた。
【0135】
(1)低温定着特性
23℃/60%(N/N)の環境下で、転写材として60g/m2紙を用い、先端余白2mm,トナーのり量0.8mg/cm2の単色ベタ画像を、定着ローラーの表面温度を150℃から180℃まで10℃刻みに制御して出力し、転写材が定着ローラーに巻きつく温度で低温特性を◎〜×にランク付けした。
◎:150℃以下で巻き付く
〇:160℃で巻きつく
△:170℃で巻きつく
×:180℃で巻きつく
【0136】
(2)高温定着特性
23℃/60%(N/N)の環境下で、転写材として75g/m2紙を用い、幅10mmの16階調細帯チャートを先端20mmに、定着ローラーの表面温度を190℃から220℃まで10℃刻みに制御して出力した。定着ローラー周期のオフセット画像の有無はカブリ測定により確認し、カブリ値が0.7%以上ある定着温度をオフセット発生温度としてランク付けした。
【0137】
なお、カブリの測定は、画出し前の普通紙の平均反射率Dr(%)をリフレクトメーター(東京電色株式会社製の「REFLECTOMETER ODEL TC−6DS」)により測定し、サンプル画像の16階調画像におけるオフセット発生領域の反射率Ds(%)を測定することにより、下記式からカブリ(%)を算出する。
Fog(%)=Dr(%)−Ds(%)
0.7%以上のカブリが発生する定着温度
◎:220℃以上
〇:210℃
△:200℃
×:190℃
【0138】
(3)画像濃度
画像濃度は、SPIフィルターを装着したマクベス社製マクベスデンシトメータPD918タイプ(Macbeth Densitometer RD918manufacturd by Macbeth Co.)を使用して、普通紙上に形成された画像の相対濃度として初期画像と耐久1万枚目にベタ黒画像を出力して測定した。
【0139】
(4)ベタ均一性
23℃/60%(N/N)の環境下で、全面ベタ黒画像における紙先端50mm四方の4隅と紙中央の計5点を、反射濃度計RD918(マクベス社製)で画像濃度を測定し、その際の最大値と最小値との差を求めた。
◎:0.04以下
○:0.04超0.08以下
△:0.08超0.12以下
×:0.12超
【0140】
(5)画像カブリ
画出し前の普通紙の平均反射率Dr(%)をリフレクトメーター(東京電色株式会社製の「REFLECTOMETER ODEL TC−6DS」)によって測定した。一方、普通紙上にベタ白画像を画出しし、次いでベタ白画像の反射率Ds(%)を測定した。カブリ(%)は下記式
Fog(%)=Dr(%)−Ds(%)
から算出する。
◎:0.4%未満
〇:0.4%〜0.8%未満
△:0.8%〜1.2%未満
×:1.2%以上
【0141】
<実施例2>
実施例1において、黒色トナーNo.2を使用する以外は同様の方法で評価したところ、表2に示すような定着特性及び耐久特性に優れた結果が得られた。
【0142】
<実施例3>
実施例1において、黒色トナーNo.3を使用する以外は同様の方法で評価したところ、耐低温巻き付き性とH/H環境におけるカブリ抑制がわずかに悪化したものの、表2に示すような結果が得られた。
【0143】
耐低温巻き付き性の低下は、分散グロスが小さいためにトナー化した時のカーボンブラックの分散性が落ち、高次になったカーボンブラックにワックス成分が親和して定着時のワックス機能が低下してしまったためと推測される。
【0144】
H/H環境カブリの悪化は、カーボンブラックの分散状態が低下したことにより、トナー表面近傍の高次カーボン量が増えたためと考えられる。
【0145】
<実施例4〜6>
実施例1において、黒色トナーNo.4〜No.6を使用する以外は同様の方法で評価したところ、表2に示すような定着特性及び耐久特性に優れた結果が得られた。
【0146】
<実施例7>
実施例1において、黒色トナーNo.7を使用する以外は同様の方法で評価したところ、低温及び高温定着特性が若干劣り、カブリ抑制も若干悪い結果となった。
【0147】
トナーの製造例7に示す2.5mmビーズを用いた分散グロス35のマスターバッチを用いたトナーの製造方法では、トナー化した時のカーボンブラックの分散状態が悪化し、高次になったカーボンブラックにワックス成分が親和して定着時のワックス機能が低下してしまったため定着特性が低下したと推測される。
【0148】
カブリ抑制の悪化も、カーボンブラックの分散状態が低下しことにより、トナー表面近傍の高次カーボン量が増えることによる帯電量リークや、高次カーボンの親和ワックス成分の表面析出量増加にともなう帯電阻害性のためと推察される。
【0149】
<実施例8〜9>
実施例1において、黒色トナーNo.8〜No.9を使用する以外は同様の方法で評価したところ、低温及び高温定着特性が若干劣り、ベタ均一性、カブリ抑制も若干悪い結果となった。これは、DBP吸油量が大きいカーボンブラックを用いたため、高次のカーボンブラックがよりワックス成分と親和した結果、定着時のワックス機能が低下して定着特性が低下したと推測される。
【0150】
カブリ抑制の悪化及びベタ均一性の悪化は、DBP吸油量の大きいカーボンブラックを用いたために、懸濁重合下でトナー表面近傍にカーボンブラックが集まった結果、帯電量リークや帯電分布のブロード化が起こり、カブリ及びベタ画像均一性が悪化したと推察される。
【0151】
実施例9は一次粒径がより小径で更にDBP吸油量の大きいカーボンブラックを用いているために、カーボンの高次構造及びワックス親和性がより高まり、定着特性及び現像特性がより悪化したものと考えられる。
【0152】
<実施例10及び参考例1
実施例1において、黒色トナーNo.10〜No.11を使用する以外は同様の方法で評価したところ、低温定着特性が劣り、カブリ抑制も若干悪い結果となった。これは、DSC半値幅の大きいワックスを用いることにより、低温定着時のワックス成分のしみだし性が鈍化し、ワックス機能が十分働かずに転写材が定着ローラーに巻きつき易くなるためと推測される。
【0153】
カブリ抑制の悪化は、半値幅の大きいワックス成分の不純物がトナー表面に存在する為に帯電能が劣った結果と考えられる。
【0154】
参考例1はDBP吸油量の大きいカーボンブラックを用いており、定着特性、ベタ均一性、カブリのレベルが更に悪化しているものと思われる。
【0155】
<比較例1>
実施例1において、黒色トナーNo.12を使用する以外は同様の方法で評価したところ、低温定着特性が実用使用レベル以下になり、オフセットも悪い結果となった。これは、分散グロスが低いマスターバッチを用いてトナー化したために、トナー中のカーボンブラックの分散性が不十分で、トナー中で高次構造をとったカーボンブラックとワックス成分の親和力が強まりカーボンブラックに取り込まれるワックス量が増えた結果、十分なワックス効果が発揮されなくなったためと推察される。
【0156】
また、カーボンブラック塊が電荷のリークポイントとなり、ベタ均一性及びH/H環境におけるカブリ抑制が悪化しているものと思われる。
【0157】
<比較例2>
実施例1において、黒色トナーNo.13を使用する以外は同様の方法で評価したところ、比較例1のトナーよりも更に定着特性が悪化した結果となった。ベタ均一性及びカブリ抑制も劣悪な結果を示した。これは、比較例1のトナーよりもDBP吸油量が大きくより高次構造をとったカーボンブラックを用いたため、分散グロスが低いマスターバッチを調製してトナー化したときにトナー中のカーボンブラックの分散性がより不十分になり、ワックス成分の親和力が強いカーボンブラック物性と相まって定着特性が更に悪化したものと考えられる。
【0158】
ベタ均一性及びカブリ抑制の悪化は、DBP吸油量の大きいカーボンブラックをマスターバチ調製において十分に分散されていない状態でトナー化したために、表面近傍にカーボンブラックの塊が増えた結果、現像時に電荷のリークポイントとなって帯電のブロード化や、トリボの低いトナーが増加したためと考えられる。
【0159】
<比較例3>
実施例1において、黒色トナーNo.14を使用する以外は同様の方法で評価したところ、定着特性は非常に良好なものの、ベタ均一性及びカブリ抑制等の現像特性が悪化した。これは、マスターバッチの調製において非常に分散性を高めたために、カーボンブラックのトナー中での分散性が上がり、親和ワックス量が減って定着時に良好なワックス成分のしみだしが達成される一方、トナー表層部のカーボンブラック量が増えたために帯電の不均一化が起こり、ベタ均一性及びカブリ抑制が悪化したものと推察される。
【0160】
<比較例4>
実施例1において、黒色トナーNo.15を使用する以外は同様の方法で評価したところ、比較例3のトナーよりも定着特性が悪化し、ベタ均一性及びカブリ抑制も更に悪化した。これは、比較例3のトナーよりもDBP吸油量が大きくより高次構造をとったカーボンブラックを用いたため、カーボンブラック親和ワックス量が増えて定着特性が悪化し、また、トナー表層部のカーボンブラックが増えた結果、ベタ均一性、カブリ抑制が悪化したものと推察される。
【0161】
【表1】
Figure 0003884961
【0162】
【表2】
Figure 0003884961
【0163】
【発明の効果】
本発明によれば、懸濁重合法によるトナー製造において上記の如きマスターバッチの調製工程を採用することにより、トナー中のカーボンブラックの分散が均一になり、定着特性に優れ、長期に渡ってカブリの少ない現像特性の良好な重合トナーの製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】分散工程に用いるメディヤ型分散機の一例を示す概略図である。
【図2】分散工程に用いるメディヤ型分散機の一例を示す概略図である。
【図3】分散工程に用いるメディヤ型分散機の一例を示す概略図である。
【図4】分散工程に用いるメディヤ型分散機の一例を示す概略図である。
【図5】分散工程に用いるメディヤ型分散機の一例を示す概略図である。
【図6】分散工程に用いるメディヤ型分散機の一例を示す概略図である。
【図7】実施例で用いたプリンターの説明図である。
【図8】実施例で用いた定着装置の説明図である。
【符号の説明】
3 ローター
4 ステーター
5 メディヤ

Claims (21)

  1. 少なくとも重合性単量体とカーボンブラックとを混合してマスターバッチを調製する工程と;該マスターバッチを、重合性単量体と離型剤を少なくとも含有する混合物中に希釈して単量体組成物を調製する工程と;該単量体組成物を水系媒体中に分散し単量体組成物の粒子を調製する工程と;得られた単量体組成物の粒子中の重合性単量体を重合する工程とを有するブラックトナーの製造方法であって、
    該マスターバッチを調製する工程が、少なくとも該重合性単量体と該カーボンブラックとを予備分散する予備分散工程と、該予備分散工程を行った後に本分散してマスターバッチを調製する本分散工程であり、
    該マスターバッチを調製する際に、マスターバッチのグロス値を、35乃至90に調整することを特徴とするブラックトナーの製造方法。
  2. 該マスターバッチのカーボンブラック含有量が5乃至40質量%であることを特徴とする請求項1に記載のブラックトナーの製造方法。
  3. 該マスターバッチのカーボンブラック含有量が10乃至30質量%であることを特徴とする請求項1に記載のブラックトナーの製造方法。
  4. トナー粒子全組成物に対するカーボンブラックの含有量が2乃至20質量%であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のブラックトナーの製造方法。
  5. 該カーボンブラックの平均一次粒子径が10乃至200mμであることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のブラックトナーの製造方法。
  6. 該カーボンブラックのDBP吸油量が170ml/100g以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のブラックトナーの製造方法。
  7. 該カーボンブラックのDBP吸油量が100ml/100g以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のブラックトナーの製造方法。
  8. 該トナーの示差熱分析(DSC)の吸熱曲線における吸熱ピーク値が、40℃乃至110℃であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のブラックトナーの製造方法。
  9. 該トナーの示差熱分析(DSC)の吸熱曲線における吸熱ピーク値が、50℃乃至100℃であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のブラックトナーの製造方法。
  10. 該トナーの示差熱分析測定(DSC)の吸熱ピークにおける半値幅が7℃以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のブラックトナーの製造方法。
  11. 該トナーの示差熱分析測定(DSC)の吸熱ピークにおける半値幅が4℃以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のブラックトナーの製造方法。
  12. 該トナー粒子における離型剤が、長鎖アルキル基を有するエステルワックス成分であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のブラックトナーの製造方法。
  13. 該トナー粒子における該離型剤の含有量が5乃至40質量%であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のブラックトナーの製造方法。
  14. 該分散工程がメディヤ粒子撹拌型湿式分散機を用いることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のブラックトナーの製造方法。
  15. 前記メディヤ型分散機のメディヤの直径が、0.1mm〜5mmの範囲である請求項1乃至14のいずれかに記載のブラックトナーの製造方法。
  16. 前記メディヤ型分散機のメディヤの直径が、0.1mm〜3mmの範囲である請求項1乃至14のいずれかに記載のブラックトナーの製造方法。
  17. 前記メディヤ型分散機のメディヤの直径が、0.1mm〜2mmの範囲である請求項1乃至14のいずれかに記載のブラックトナーの製造方法。
  18. 前記メディヤ型分散機のアジテーター先端部の周速が3m/s〜20m/sの範囲である請求項1乃至17のいずれかに記載のブラックトナーの製造方法。
  19. 該メディヤ粒子撹拌型湿式分散機が該マスターバッチの挿入−排出を繰り返す循環式であることを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載のブラックトナーの製造方法。
  20. 該予備分散工程を、本分散工程と同一の分散機を用いて予備分散することを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載のブラックトナーの製造方法。
  21. 該予備分散工程を、攪拌翼を有する装置を用いて予備分散することを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載のブラックトナーの製造方法。
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