JP4467810B2 - トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電印刷の如き画像形成方法において、静電荷像を現像するためのトナー、またはトナージェット方式の画像形成方法におけるトナー像を形成するためのトナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法は、米国特許第2,297,691号に記載されている如く多数の方法が知られており、一般には光導電性物質からなる感光体を利用し、種々の手段により該感光体上に電気的潜像を形成し、ついで該潜像をトナーを用いて現像を行って可視像とし、必要に応じて紙などの転写材にトナー画像を転写した後、熱・圧力などにより転写材上にトナー画像を定着して複写物又は印刷物を得るものである。また、トナーを用いて現像する方法あるいは、トナー画像を定着する方法としては、従来各種の方法が提案されている。
【0003】
従来、これらの目的に使用するトナーは、一般的に熱可塑性樹脂中に染料または顔料からなる着色剤を溶融混練し、均一に分散させた後、微粉砕装置により微粉砕し、微粉砕物を分級機により分級して、所望の粒径を有するトナーを製造してきた。
【0004】
この製造方法ではかなり優れたトナーを製造し得るが、ある種の制限、すなわち、トナー用材料の選択範囲に制限がある。例えば、樹脂着色剤分散体が十分にもろく、経済的に可能な製造装置で微粉砕し得るものでなければならない。ところが、これらの要求を満たすために樹脂着色剤分散体をもろくすると、該分散体を実際に高速で微粉砕した場合、形成された粒子の粒径範囲が広くなりやすく、特に比較的大きな割合で微粒子がこれに含まれるという問題が生じる。さらに、このように脆性の高い材料から得られるトナーは、複写機等の現像器中でさらなる微粉化を受けやすい。また、この方法では、着色剤等の固体微粒子を樹脂中に完全に均一分散することは困難であり、その分散の度合によっては、画像形成時におけるカブリの増大、画像濃度低下、混色性あるいは透明性の不良の原因となるので、着色剤の分散には十分な注意を払わなければならない。また、粉砕粒子の破断面に着色剤が露出することにより、現像特性の変動を引き起こす場合もある。
【0005】
一方、これら粉砕法によるトナーの問題点を克服するため、特公昭36−10231号、同43−10799号および同51−14895号公報等による懸濁重合法トナーを始めとして、各種重合法トナーやその製造方法が提案されている。たとえば、懸濁重合法トナーでは、重合性単量体、着色剤および重合開始剤、さらに必要に応じて架橋剤、荷電制御剤、その他添加剤を均一に溶解または分散せしめて単量体組成物とした後、該単量体組成物を分散安定剤を含有する連続相、たとえば、水相中に適当な撹拌機を用いて分散し、同時に重合反応を行わせ所望の粒径を有するトナー粒子を得る。
【0006】
この方法では、粉砕工程が全く含まれないため、トナーに脆性が必要ではなく、樹脂として軟質の材料を使用することができ、また、粒子表面への着色剤の露出が生ぜず、均一な摩擦帯電性を有するトナーが得られるという利点がある。また、得られるトナーの粒度分布も比較的シャープである。また、離型剤として低軟化点物質を多量にトナー中に内包化できるため、得られるトナーが耐オフセット性に優れるという利点がある。
【0007】
従来、前記の微粒状着色剤含有単量体組成物を得るにあたり、図1に示す装置が一般的によく用いられている。図1は装置の断面図である。
【0008】
処理タンク1内に処理物2とメディア粒子3(ジルコニア製)を投入し、撹拌部材4の回転により生ずる遠心力により、処理物がメディア層内を通過し分散が行なわれる。
【0009】
しかし、図1の装置は、処理タンク内の処理物の流れが弱く、処理物の滞留が起きやすく、さらに、処理タンクの容積の約半分をメディア粒子が占めるため、スケールアップのコストが高く、処理タンクの単位体積あたりの処理量が少ないといった問題がある。
【0010】
これらの問題を解決するため、図2に示すような装置が、提案されている。図2は装置本体の断面図及び本体を組み込んだシステム図であり、その部分拡大図を図3に示す。
【0011】
21は内部に粉砕メディアを保持し得るとともに、上部に処理物の流入口を有し、下部に処理物の流失口を有する筒状の粉砕タンク、22は流入口、23は流出口、24は粉砕タンク内のメディア粒子、25は撹拌軸、26は主撹拌部材、27はメディアセパレーター、28は補助撹拌部材、29は支持軸、30は分散タンク内に流入口から流出口に向かう処理物の流れを形成する掻揚げ羽根、31は処理タンクである。粉砕タンクを処理タンク内に位置して撹拌軸を回転させると、掻揚げ羽根30が作動して粉砕タンク内に流入口から流出口に向かう処理物の大きな循環流を発生する。粉砕タンク内に流入した処理物は、主撹拌部材の回転によって粉砕メディアと一緒に撹拌されて粉砕され、微細な粒子に形成されて液体中に分散される。そして、微細な粒子に形成された処理物は、粉砕タンクの流出口に位置しているメディアセパレータに作用し、粉砕メディアから分離されてメディアセパレータのリング状板間の隙間を介して粉砕室外に流出する。粉砕室外に流出した処理物は、処理タンクの内面に沿って上昇し、流入口から再び粉砕タンク内に流入する。そして、このようなことが繰り返されることによって処理物が所定の粒度に形成されることになる。
【0012】
上述のように、図2の装置では、掻揚げ羽根の働きにより、処理タンク内に大きな循環流が生じ、この循環流によって発生する速い流動により、処理物の滞留を防ぎ、均一な分散を行なうことができる。また、粉砕タンクの10〜30倍もの容積の処理タンクを使用できるため、処理タンクに占めるメディア粒子の割合が非常に低くスケールアップのコストが低く、処理タンク単位体積あたりの分散効率が非常に優れ、単位体積あたりの処理量も大きい。
【0013】
この方法は、非常に優れた性能を示すが、該微粒状着色剤含有単量体組成物を得るにあたり、上記のメディア型分散機を使用すると、分散液の撹拌に伴い、気体の巻き込みによる処理物への気体の混入や、26の主撹拌部材や28の補助撹拌部材が回転するとき、キャビテーションの発生により流体に加えられたエネルギーを気体が吸収するため、エネルギーのロスが生じやすい。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述のごとき問題を解決したトナーの製造方法を提供することにある。
【0015】
詳しくは、微粒状着色剤の分散がより均質で画像濃度が良好な重合トナーを製造する方法を提供することにある。
【0016】
さらには、重合法によるトナーの製造において、均質でシャープな粒度分布を有するトナーを効率よく製造する方法を提供することにある。
【0017】
さらには、重合法によるトナーの製造において、大容量かつ低コストで重合トナーを製造する方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の発明によって達成される。即ち本発明は、微粒状着色剤含有単量体を作製するための分散工程、分散媒調製工程、トナー粒子造粒工程及び重合工程を含むトナーの製造方法であって、
該微粒状着色剤含有単量体は、少なくとも着色剤、重合性単量体及び荷電制御剤を含有し、
該分散工程には、メディア粒子撹拌型湿式分散機が用いられ、且つ該分散工程はガスにより加圧した状態で行われ、
メディア粒子撹拌型湿式分散機は、バッチ式であり、且つ微粒状着色剤含有単量体を循環させるための掻揚げ羽根を有することを特徴とするトナーの製造方法に関する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明者等は、鋭意検討の結果、着色剤,重合性単量体,荷電制御剤を含有する微粒状着色剤含有単量体分散工程を、粉砕タンクの容量が大きく、処理タンクに占めるメディア粒子の割合が非常に低いためスケールアップのコストが低く、処理タンク単位体積あたりの分散効率が非常に優れ、単位体積あたりの処理量も大きい分散装置において加圧下で行なうことにより、微粒状着色剤含有単量体を微細でかつ均一な状態に、従来よりも短時間で分散した。
【0021】
分散工程を加圧下で行なうと、分散液中に巻き込まれた気泡の体積が減少し、ローターや撹拌軸の回転に伴い発生する運動エネルギーが、分散液中の気泡の収縮や分裂に吸収されにくくなり、運動エネルギーが微粒状着色剤含有単量体の分散に効果的に作用するため、加圧を行なわない条件に比べ、微粒状着色剤含有単量体を微細で、均一に短時間で得られる。さらに、分散工程を加圧下で行なうと、分散液中の静圧が高くなるため、分散液内に溶解している気体が気化したり、分散液内の微少な気泡が合一しにくくなり、キャビテーションの発生が抑えられ、加圧を行なわない条件に比べ、微粒状着色剤含有単量体を微細で、均一に短時間で得られる。
【0022】
本発明で用いられる装置の断面図及び本体を組み込んだシステム図を図2に、その部分拡大図を図3に示す。
【0023】
21は内部に粉砕メディアを保持し得るとともに、上部に処理物の流入口を有し、下部に処理物の流失口を有する筒状の粉砕タンク、22は流入口、23は流出口、24は粉砕タンク内のメディア粒子、25は該粉砕タンクの中心部を貫通した状態で回転可能な撹拌軸、26は前記撹拌軸と一体に回転可能とした主撹拌部材、27はメディアセパレーター、28は前記メディアセパレーター全体を囲み前記撹拌軸と一体に回転可能とした補助撹拌部材、29は支持軸、30は分散タンク内に流入口から流出口に向かう処理物の流れを形成する掻揚げ羽根、31は処理タンクである。
【0024】
粉砕タンク21を処理タンク31内に位置し、加圧用ガス導入口101より不活性ガス、好ましくはN2を送り、処理タンク31内部を加圧状態にする。次いで、撹拌軸25を回転させると、掻揚げ羽根30が作動して粉砕タンク内に流入口22から流出口23に向かう処理物の大きな循環流が発生し、処理タンク31内の処理物が流入口から粉砕タンク内に流入する。粉砕タンク内に流入した処理物は、主撹拌部材26の回転によって粉砕メディア24と一緒に撹拌され、微細な粒子に粉砕されて液体中に分散される。処理物の循環流に気体が巻き込まれ処理物中に気泡が混入し、撹拌部材の運動エネルギーが、気泡にも働き、エネルギーのロスが生じ分散の効率が低下するが、加圧下で行なうため気泡の体積が減少し、エネルギーのロスを最小限に抑えている。また、掻揚げ羽根や、主撹拌部材が高速で回転するためキャビテーションが発生し、分散効率が低下するが、加圧することにより、分散液中の静圧が高くなるため、キャビテーションの発生を抑制し、エネルギーのロスを最小限に抑えることができる。
【0025】
そして、微細な粒子に粉砕された処理物は、粉砕タンクの流出口に位置しているメディアセパレータ27に作用し、粉砕メディアから分離されてメディアセパレータのリング状板間の隙間を介して粉砕室外に流出する。そして、粉砕室外に流出した処理物は、処理タンクの内面に沿って上昇し、流入口から再び粉砕タンク内に流入する。このようにポンプ部材から生み出される大きな循環流により、処理物が粉砕タンク内を何度も繰り返し通過し、処理物が所定の粒度に形成されることになる。大きな循環流によって発生する速い流動が、処理物の滞留を防ぎ、均一に分散を行なう。そして、補助撹拌部材が撹拌軸と一体に回転することによって、粉砕タンクの底部に滞留しようとする処理物が撹拌されるとともに、メディアセパレータに作用しようとする粉砕メディアが跳ね飛ばされることになる。
【0026】
微粒状着色剤含有単量体分散工程時の加圧条件は、50〜300kPaの範囲で行なれることが好ましく、それ未満では加圧が不十分であり、それを超えると、メディア粒子が粉砕タンク内でパッキング気味になり効果は低下する。より好ましい加圧条件は100〜200kPaの範囲である。
【0027】
また、微粒状着色剤混合液状単量体分散工程時の温度は、単量体生成物に影響を与えない10〜40℃の範囲で制御されることが好ましい。
【0028】
また、該微粒状着色剤混合液単量体分散工程に要する時間が、1〜10時間の範囲であることが好ましい。
【0029】
着色剤等の分散性やメディア粒子の摩耗、装置自体の安定的な運転の点で、該微粒状着色剤混合液単量体分散工程に要するメディア粒子撹拌型湿式分散機のメディアの直径が、0.5〜5.0mmの範囲であることが好ましく、かつメディアの充填量は、分散効率を考慮すると50〜90%である。メディア粒子の充填量は、メディア粒子の嵩密度をA、メディア粒子の粉砕タンクヘの仕込み質量をBとすると、充填量=A/Bで示される値であり、仕込み質量Bを正確に秤量したメディア粒子をメスシリンダーに投入してメディア粒子の充填量を正確に測定する。
【0030】
メディア粒子撹拌型湿式分散機の回転ローターもしくは撹拌部材の先端部の周速は、着色剤等の分散度合いに応じて変化する微粒上着色剤含有液状単量体混合物の粘度を測定し、時間を短縮させるためにも10〜20m/sの範囲で行なれることが好ましい。
【0031】
上記メディア粒子撹拌型湿式分散機の具体的なものとしては、三井鉱山社製ハンディミル及びSCミル、神鋼パンテックス社製コボールミル、シンマルエンタープライズ社製ダイノーミル、コトブキ技研工業製アぺックスミル等がある。
【0032】
また、本発明のトナーの製造方法では、重合性単量体組成物中に、極性樹脂を含有することが好ましい。極性樹脂は、粒子界面に局在化し、分散剤と電気的に作用し、造粒/重合中に粒子を、より安定化せしめるからである。本発明に用いられる極性樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体,マレイン酸共重合体,飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂が好ましく用いられる。該極性樹脂は、重合性単量体と反応しうる不飽和基を分子中に含まないものが特に好ましい。
【0033】
該極性樹脂の分子量としては、Mwで5,000〜50,000、Mw/Mnで1.2〜5.0が好ましい。Mwが5,000より小さいと、得られるトナーの耐ブロッキング性が低下する。また、50,000を超えると低温定着性が劣ったトナーとなる。また、ガラス転移温度Tgは、外殻樹脂のTgより高めに設定することが好ましい。
【0034】
また、本発明のトナーは、コア/シェル構造をもつことが好ましい。
【0035】
低軟化点物質を内包化せしめる具体的方法としては、水系媒体中での材料の極性を主要単量体より低軟化点物質の方を小さく設定し、更に少量の極性の大きな樹脂又は単量体を添加せしめることで、低軟化点物質を外殻樹脂で被覆した所謂コア/シェル構造を有するトナーを得ることができる。
【0036】
また、コア部の主たる成分が低軟化点物質であり、該低軟化点物質の融点が40〜90℃であることが好ましい。融点の測定は、ASTMD 3418−8に準拠し測定された主体極大ピーク値とした。極大ピークが40℃未満であると低軟化点物質の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセット性が弱くなり好ましくない。一方極大ピークが90℃を超えると定着温度が高くなり、好ましくない。更には、極大ピーク値の温度が高いと主に造粒中に低軟化点物質が析出してきて懸濁系を阻害するため好ましくない。
【0037】
本発明の極大ピーク値の温度の測定には、例えばパーキンエルマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。サンプルはアルミニウム製パンを用い対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行った。
【0038】
具体的にはパラフィンワックス,ポリオレフィンワックス,フィッシャートロピッシュワックス,アミドワックス,高級脂肪酸,エステルワックス及びこれらの誘導体又はこれらのグラフト/ブロック化合物等が利用できる。
【0039】
また、低軟化点物質はトナー中へ5〜30質量%添加することが好ましい。仮に5質量%未満の添加では十分な定着性が得られず、また30質量%を超える場合は、重合法による製造においても造粒時にトナー粒子同士の合一が起きやすく、粒度分布の広いものが生成しやすく、本発明には不適当であった。
【0040】
本発明においてトナーの断層面を測定する具体的方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナーを十分分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ、得られた硬化物を四三酸化ルテニウム、必要により四三酸化オスミウムを併用し染色を施した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出し、透過電子顕微鏡(TEM)を用いトナーの断層形態を測定した。本発明においては、用いる低軟化点物質と外殻を構成する樹脂との若干の結晶化度の違いを利用して材料間のコントラストを付けるため四三酸化ルテニウム染色法を用いることが好ましい。
【0041】
本発明に用いられる重合性単量体としては、スチレン,o(m−、p−)−メチルスチレン,m(p−)−エチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸プロピル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アクリル酸ドデシル,(メタ)アクリル酸ステアリル,(メタ)アクリル酸ベヘニル,(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル,(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル,(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン,イソプレン,シクロヘキセン,(メタ)アクリロニトリル,アクリル酸アミド等のエン系単量体が好ましく用いられる。これらは、単独または一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版(企)−P139〜192(John Wiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)が、40〜80℃を示すように単量体を適宜混合し用いられる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場合には、トナーの保存安定性や現像剤の耐久安定性の面から問題が生じ、一方80℃を超える場合は定着点の上昇をもたらし、特にフルカラートナーの場合においては各色トナーの混色が不十分となり色再現性に乏しく、更にOHP画像の透明性を著しく低下させ高画質の面から好ましくない。
【0042】
外殻樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定される。具体的なGPCの測定方法としては、予めトナーをソックスレー抽出器を用い、トルエン溶剤で20時間抽出を行った後、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去せしめ、更に低軟化点物質は溶解するが外殻樹脂は溶解し得ない有機溶剤、例えばクロロホルム等を加え十分洗浄を行った後、THF(テトラヒドロフラン)に可溶した溶液を、ポア径が0.3μmの耐溶剤性メンブランフィルターでろ過したサンプルをウォーターズ社製150Cを用い、カラム構成は昭和電工製A−801、802、803、804、805、806、807を連結し標準ポリスチレン樹脂の検量線を用い分子量分布を測定し得る。得られた樹脂成分の数平均分子量(Mn)は、5,000〜1,000,000であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、2〜100を示す外殻樹脂が本発明には好ましい。
【0043】
また、本発明においては、トナーの表面にさらに最外殻樹脂層を設けても良い。
【0044】
該最外殻樹脂層のガラス転移温度は、耐ブロッキング性のさらなる向上のため外殻樹脂層のガラス転移温度以上に設計されること、さらに定着性を損なわない程度に架橋されていることが好ましい。また、該最外殻樹脂層には帯電性向上のため極性樹脂や荷電制御剤が含有されていることが好ましい。
【0045】
該最外殻樹脂層を設ける方法としては、特に限定されるものではないが例えば以下のような方法が挙げられる。
1.重合反応後半、または終了後、反応系中に必要に応じて、極性樹脂、荷電制御剤、架橋剤等を溶解、分散したモノマーを添加し重合粒子に吸着させ、重合開始剤を添加し重合を行う方法。
2.必要に応じて、極性樹脂、荷電制御剤、架橋剤等を含有したモノマーからなる乳化重合粒子またはソープフリー重合粒子を反応系中に添加し、重合粒子表面に凝集、必要に応じて熱等により固着させる方法。
3.必要に応じて、極性樹脂、荷電制御剤、架橋剤等を含有したモノマーからなる乳化重合粒子またはソープフリー重合粒子を乾式で機械的にトナー粒子表面に固着させる方法。
【0046】
本発明に用いられる着色剤は、黒色着色剤としてカーボンブラック,磁性体,以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
【0047】
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168等が好適に用いられる。
【0048】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物,ジケトピロロピロール化合物,アンスラキノン,キナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
【0049】
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体,アンスラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用できる。
【0050】
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明の着色剤は、カラートナーの場合、色相角,彩度,明度,耐候性,OHP透明性,トナー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は、樹脂100質量部に対し1〜20質量部添加して用いられる。
【0051】
黒色着色剤として磁性体を用いた場合には、他の着色剤と異なり樹脂100質量部に対し40〜150質量部添加して用いられる。
【0052】
本発明に用いられる荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、カラートナーの場合は、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。更に、重合阻害性が無く水系への可溶化物の無い荷電制御剤が特に好ましい。具体的化合物としては、ネガ系としてサリチル酸,ナフトエ酸,ジカルボン酸の金属化合物、スルホン酸,カルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物,ホウ素化合物,尿素化合物,ケイ素化合物,カリークスアレーン等が利用でき、ポジ系として四級アンモニウム塩,該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物,グアニジン化合物,イミダゾール化合物等が好ましく用いられる。
【0053】
該荷電制御剤は樹脂100質量部に対し0.5〜10質量部が好ましい。しかしながら本発明において荷電制御剤の添加は必須ではなく、二成分現像方法を用いた場合においては、キャリアとの摩擦帯電を利用し、非磁性一成分ブレードコーティング現像方法を用いた場合においてもブレード部材やスリーブ部材との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
【0054】
本発明で使用される重合開始剤として、例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等の過酸化物系重合開始剤が用いられる。
【0055】
該重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが一般的には単量体に対し0.5〜20質量%添加され用いられる。開始剤の種類は、重合方法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に、単独又は混合し利用される。重合度を制御するため公知の架橋剤・連鎖移動剤・重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
【0056】
本発明のトナー製造方法として懸濁重合を利用する場合には、用いる分散剤としては、無機化合物として、リン酸三カルシウム,リン酸マグネシウム,リン酸アルミニウム,リン酸亜鉛,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,水酸化カルシウム,水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム,メタケイ酸カルシウム,硫酸カルシウム,硫酸バリウム,ベントナイト,シリカ,アルミナ,磁性体,フェライト等が挙げられる。有機化合物としては、ポリビニルアルコール,ゼラチン,メチルセルロース,メチルヒドロキシプロピルセルロース,エチルセルロース,カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩,デンプン等を水相に分散させて使用できる。これら分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜2.0質量部を使用することが好ましい。
【0057】
これら分散剤は、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい均一な粒度を有する分散粒子を得るために、分散媒中にて高速撹拌下にて該無機化合物を生成させることもできる。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで懸濁重合法に好ましい分散剤を得ることができる。
【0058】
本発明の具体的なトナー製造方法は、重合性単量体中に低軟化点物質である離型剤,着色剤,荷電制御剤,その他の添加剤を加え、上記のごとき該単量体系を加圧下のもとでメディア型分散機によって均一に分散せしめた後、重合開始剤を加え、分散安定剤を含有する水相中に通常の撹拌機またはクリアミキサー、ホモジナイザー、ホモミキサー、超音波分散機等によって均一に分散せしめる。
【0059】
重合性単量体組成物からなる液滴が所望のトナー粒子のサイズが得られた段階で、造粒工程を停止する。
【0060】
その後は分散剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行いながら、重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合工程を行う。
【0061】
また、重合反応後半に昇温しても良く、更に、先に述べた最外殻層を設ける方法を行っても良い。
【0062】
更には、未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を留去しても良い。
【0063】
反応終了後、懸濁液を酸性とし、ヒドロキシアパタイトを溶解させ、生成したトナー粒子を洗浄・ろ過により回収し、乾燥する。
【0064】
懸濁重合法においては、通常、重合性単量体組成物100質量部に対して水300〜3000質量部を分散媒として使用するのが好ましい。
【0065】
各種トナー特性付与を目的として使用される外添剤としては、トナーに添加した時の耐久性の点から、トナー粒子の重量平均径の1/10以下の粒径であることが好ましい。この添加剤の粒径とは、電子顕微鏡におけるトナー粒子の表面観察により求めたその平均粒径を意味する。外添剤としては、たとえば、以下のようなものが用いられる。
【0066】
金属酸化物(酸化アルミニウム,酸化チタン,チタン酸ストロンチウム,酸化セリウム,酸化マグネシウム,酸化クロム,酸化錫,酸化亜鉛など)・窒化物(窒化ケイ素など)・炭化物(炭化ケイ素)など・金属塩(硫酸カルシウム,硫酸バリウム,炭酸カルシウム)など・脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウムなど)・カーボンブラック・シリカなど。
【0067】
これら外添剤は、トナー粒子100質量部に対し、0.01〜10質量部が用いられ、好ましくは0.05〜5質量部が用いられる。これら外添剤は、単独で用いても、また、複数併用しても良い。それぞれ、疎水化処理を行ったものが、より好ましい。
【0068】
トナーの平均粒径及び粒度分布は、コールターカウンターTA−II型あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)等種々の方法で測定可能であるが、本発明においてはコールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。たとえば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記コールターカウンターTA−II型によりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、個数を基準として2〜40μmの粒度分布を測定して、それから各種値求める。
【0069】
画像濃度は(5mm角、5mm丸、ベタ黒)をマクベス濃度計(マクベス社製)にて測定した数値である。
【0070】
【実施例】
以下、具体的な製造方法、実施例、比較例をもって本発明をさらに詳細に説明する。
【0071】
<実施例1>
分散工程は、上記図2及び図3に示す態様の装置システムで行った。
【0072】
分散システムにおいて、処理タンク31内に、スチレン単量体170質量部、微粒状マゼンタ着色剤(C.I.ピグメントレッド122)10質量部及び負荷電制御剤(ジアルキルサリチル酸の金属化合物)3質量部を導入し、密閉状態にした後、撹拌モーター106で粉砕タンク21内の撹拌軸25を回転することにより分散が開始され、その際、処理物タンクのジャケット32に、冷却水を導入口33から導入し排出口34から排出することにより、また、支持軸29の内部には粉砕タンクのジャケット35に冷却水を導くための流路29a,29bが形成され、導入口104より冷却水を導入し、流路29a,29bを経て排出口105より排出することによりスチレン単量体混合物の液温を約20℃に調整した。
【0073】
さらに、密閉状態の処理タンク31内へN2ガスを加圧用ガス導入口101から導入し内部を60kPaの圧力に設定した。その時の圧力を圧力計103が常に値を指し示した。
【0074】
処理タンク内には、球形の直径2mmのメディア粒子24(ジルコニア製)が12kg(充填量70%)を充填した。粉砕タンク内の棒状の主撹拌部材26は、放射状に4段に取り付けられ、主撹拌部材(直径200mm)の下方の部分には、補助撹拌部材28が取り付けられており、分散機の有する撹拌モーター106によって周速17m/s(回転数1000rpm)で撹拌軸25の回転に伴い回転し、粉砕タンク内の処理物36とメディア粒子を撹拌し、撹拌軸の下部に取り付けられている掻揚げ羽根30が撹拌軸と共に回転し処理タンク内に流入口22から流出口23に向かう処理物の流れを形成した。
【0075】
主撹拌部材及び補助撹拌部材の回転、メディア粒子のせん断力及び粉砕タンク内の流動しているメディア粒子の層の間を、微粒状着色剤を含有しているスチレン単量体混合物が通過することにより微粒状着色剤は微細化され、スチレン単量体混合物に分散された。この時、微粒状着色剤をスチレン単量体混合物に6時間にかけて分散工程において分散した。
【0076】
所定時間経過後、分散液を調製工程に搬送した。また、分散液中の微粒状着色剤の分散状態については、分散液のグロス(光沢度)を測定することにより測定した。分散液のグロスは分散液をアート紙に均一に塗布し、十分に乾燥した後測定した。すなわち微粒状着色剤が良好に分散すると、塗布表面に平滑さとつやが生まれグロス値が高くなる。逆に微粒状着色剤の分散が不良な場合、塗布表面に凹凸が残り、くすむことからグロス値が低くなる。グロス(光沢度)の測定には、日本電色社製VG−10光沢度計を用いた。測定にあたっては、まず定電圧装置により6Vにセットし、次いで投光角度、受光角度を60°にあわせ、0点調整及び標準板を用い、標準設定の後に試料台の白紙を3枚重ね、その上に前記塗布試料を置き測定を行ない、表示部に示される数値を%単位で読み取った。3時間、6時間経過時の結果を表1に示す。
【0077】
また、分散工程終了後、分散機から分散液の回収を行なったが分散液の回収も良好であり、さらにまた、分散終了後のメディアについて目視検査を行なったが、メディアの異常は認められなかった。
【0078】
調製工程においては、スチレン単量体170質量部、微粒状着色剤10質量部及び負荷電制御剤3質量部を有しているスチレン単量体混合物に、n−ブチルアクリレート単量体30質量部、極性樹脂(不飽和ポリエステル樹脂=テレフタル酸とプロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとの縮重合したポリエステル樹脂;酸価13mgKOH/g、メインピーク分子量7000)20質量部及びエステルワックス25質量部を添加し、温度60℃で混合し、さらに、重合開始剤として2,2’アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10質量部を添加して、重合性単量体組成物を調製した。
【0079】
一方、高速撹拌装置TK−ホモミキサーを備えた容器中にイオン交換水710質量部と0.1モル−Na3PO4水溶液450質量部を添加し回転数を200rpsに調整し、60℃に加温せしめた。ここに1.0モル/リットル−CaCl2水溶液68質量部を添加し微少な難水溶性分散剤Ca3(PO4)2を含む分散媒体系を調製した。
【0080】
温度60℃に加温した重合性単量体組成物268質量部を温度60℃に加温した媒体系中に投入し、TK−ホモミキサーを200rpsで回転させながら13分間造粒した。その後、高速撹拌機からプロペラ撹拌羽に撹拌機を変え、60℃で5時間反応させた後、液温80℃とし、10時間反応させた。重合終了後スラリーを部分サンプリングし、さらに洗浄後乾燥せしめ、得られたマゼンタトナーの物性を測定した。コールターカウンターを用い測定したマゼンタトナーの重量平均径は6.7μmで、個数変動係数は28.6%であった。
【0081】
なお、変動係数とは、変動係数A=[S/D1]×100の式で表される[式中、Sは、トナー粒子の個数分布における標準偏差値を示し、D1は、トナー粒子の個数平均粒径(μm)を示す。]。
【0082】
造粒工程における造粒性については、前記したコールターカウンターで測定された個数変動係数により調べた。6時間経過時の結果を表1に示す。
【0083】
TEM観察の結果、図4に示すような、低軟化点物質であるエステルワックスが外殻樹脂で覆われた構造を示していた。
【0084】
得られたマゼンタトナー粒子100質量部に対して、BET法による比表面積が200m2/gである疎水性シリカ0.7質量部を外添してマゼンタトナーを調製した。このマゼンタトナー7質量部に対し、アクリル樹脂でコートされた磁性フェライトキャリア93質量部を混合し、二成分系現像剤とした。
【0085】
この現像剤及びマゼンタトナーを用いて、キヤノン製カラー複写機CLC500の改造機にて、23℃/65%下で画出しを行なった。得られた画像はマクベスRD918型でSPlフィルターを使用して反射濃度測定を行なった(以後の画像濃度測定方法も同様)。結果を表1に示す。
【0086】
<実施例2>
処理物タンク内の圧力を100kPaに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行なった。えられたトナーの重量平均径は6.5μmで個数変動係数は27.1%であった。この現像剤及び外添トナーを用いて、実施例1と同様の条件下で画像濃度測定を行なった。結果を表1に示す。また分散液の分散性及び造粒工程における造粒性の評価を実施例1と同様の方法で評価を行なった。結果を表1に示す。また、分散工程終了後、分散機から分散液の回収を行なったが分散液の回収性も良好であり、さらにまた、分散終了後のメディア粒子について目視検査を行なったが、メディア粒子の異常は認められなかった。
【0087】
<実施例3>
処理物タンク内の圧力を150kPaに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行なった。えられたトナーの重量平均径は6.5μmで個数変動係数は26.3%であった。この現像剤及び外添トナーを用いて、実施例1と同様の条件下で画像濃度測定を行なった。結果を表1に示す。また分散液の分散性及び造粒工程における造粒性の評価を実施例1と同様の方法で評価を行なった。結果を表1に示す。また、分散工程終了後、分散機から分散液の回収を行なったが分散液の回収性も良好であり、さらにまた、分散終了後のメディア粒子について目視検査を行なったが、メディア粒子の異常は認められなかった。
【0088】
<実施例4>
処理物タンク内の圧力を250kPaに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行なった。えられたトナーの重量平均径は6.8μmで個数変動係数は28.7%であった。この現像剤及び外添トナーを用いて、実施例1と同様の条件下で画像濃度測定を行なった。結果を表1に示す。また分散液の分散性及び造粒工程における造粒性の評価を実施例1と同様の方法で評価を行なった。結果を表1に示す。また、分散工程終了後、分散機から分散液の回収を行なったが分散液の回収性も良好であり、さらにまた、分散終了後のメディア粒子について目視検査を行なったが、メディア粒子の異常は認められなかった。
【0089】
<実施例5>
処理物タンク内の圧力を30kPaに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行なった。えられたトナーの重量平均径は7.2μmで個数変動係数は29.4%であった。この現像剤及び外添トナーを用いて、実施例1と同様の条件下で画像濃度測定を行なった。結果を表1に示す。また分散液の分散性及び造粒工程における造粒性の評価を実施例1と同様の方法で評価を行なった。結果を表1に示す。また、分散工程終了後、分散機から分散液の回収を行なったが分散液の回収性も良好であり、さらにまた、分散終了後のメディア粒子について目視検査を行なったが、メディア粒子の異常は認められなかった。
【0090】
<実施例6>
処理物タンク内の圧力を350kPaに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行なった。えられたトナーの重量平均径は7.0μmで個数変動係数は29.7%であった。この現像剤及び外添トナーを用いて、実施例1と同様の条件下で画像濃度測定を行なった。結果を表1に示す。また分散液の分散性及び造粒工程における造粒性の評価を実施例1と同様の方法で評価を行なった。結果を表1に示す。また、分散工程終了後、分散機から分散液の回収を行なったが分散液の回収性も良好であり、さらにまた、分散終了後のメディア粒子について目視検査を行なったが、メディア粒子の異常は認められなかった。
【0091】
<実施例7>
主撹拌部材の周速を13m/s(800rpm)に変更した以外は、実施例3と同様の操作を行なった。えられたトナーの重量平均径は6.9μmで個数変動係数は29.1%であった。この現像剤及び外添トナーを用いて、実施例1と同様の条件下で画像濃度測定を行なった。結果を表1に示す。また分散液の分散性及び造粒工程における造粒性の評価を実施例1と同様の方法で評価を行なった。結果を表1に示す。また、分散工程終了後、分散機から分散液の回収を行なったが分散液の回収性も良好であり、さらにまた、分散終了後のメディア粒子について目視検査を行なったが、メディア粒子の異常は認められなかった。
【0092】
<実施例8>
主撹拌部材の周速を8m/s(500rpm)に変更した以外は、実施例3と同様の操作を行なった。えられたトナーの重量平均径は7.1μmで個数変動係数は29.7%であった。この現像剤及び外添トナーを用いて、実施例1と同様の条件下で画像濃度測定を行なった。結果を表1に示す。また分散液の分散性及び造粒工程における造粒性の評価を実施例1と同様の方法で評価を行なった。結果を表1に示す。また、分散工程終了後、分散機から分散液の回収を行なったが分散液の回収性も良好であり、さらにまた、分散終了後のメディア粒子について目視検査を行なったが、メディア粒子の異常は認められなかった。
【0093】
<実施例9>
直径3.0mmのメディア粒子(材質ジルコニア)を11.5kg(充填量65%)を充填し用いた以外は、実施例1と同様の操作を行なった。えられたトナーの重量平均径は6.8μmで個数変動係数は29.3%であった。この現像剤及び外添トナーを用いて、実施例1と同様の条件下で画像濃度測定を行なった。結果を表1に示す。また分散液の分散性及び造粒工程における造粒性の評価を実施例1と同様の方法で評価を行なった。結果を表1に示す。また、分散工程終了後、分散機から分散液の回収を行なったが分散液の回収性も良好であり、さらにまた、分散終了後のメディア粒子について目視検査を行なったが、メディア粒子の異常は認められなかった。
【0094】
<参考例1>
実施例1と同組成の重合性単量体混合物を、図1に示すメディア型分散機に直径2mmのメディア粒子(ジルコニア製)を22kg充填(充填量80%)し、処理タンク内を、100kPaの状態で撹拌部材周速15m/sで6hrをかけて分散し、分散液を調製した。分散工程以降、操作は実施例1と同様に行ない重合トナーを得た。えられたトナーの重量平均径は8.2μmで個数変動係数は38.5%であった。この現像剤及び外添トナーを用いて、実施例1と同様の条件下で画像濃度測定を行なった。結果を表1に示す。また分散液の分散性及び造粒工程における造粒性の評価を実施例1と同様の方法で評価を行なった。結果を表1に示す。
【0095】
<参考例2>
処理物タンク内の圧力を大気圧に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行なった。えられたトナーの重量平均径は7.5μmで個数変動係数は31.7%であった。この現像剤及び外添トナーを用いて、実施例1と同様の条件下で画像濃度測定を行なった。結果を表1に示す。また分散液の分散性及び造粒工程における造粒性の評価を実施例1と同様の方法で評価を行なった。結果を表1に示す。また、分散工程終了後、分散機から分散液の回収を行なったが分散液の回収性も良好であり、さらにまた、分散終了後のメディア粒子について目視検査を行なったが、メディア粒子の異常は認められなかった。
【0096】
<比較例1>
処理物タンク内の圧力を大気圧に変更した以外は、参考例1と同様の操作を行なった。えられたトナーの重量平均径は8.2μmで個数変動係数は43%であった。この現像剤及び外添トナーを用いて、実施例1と同様の条件下で画像濃度測定を行なった。結果を表1に示す。また分散液の分散性及び造粒工程における造粒性の評価を実施例1と同様の方法で評価を行なった。結果を表1に示す。
【0097】
【表1】
【0098】
1)分散液の分散性 値が大きいほど、良好な分散状態である。
:A44.0以上 B44.0未満40.0以上 C40.0未満35.0以上
D35.0未満
2)造粒工程における造粒性 値が小さいほど、粒度分布がシャープなことを
示す。
:A30.0以下 B30.0以上35.0未満 C35.0以上40.0未満
D40.0以上
3)トナーの画像濃度 値が大きいほど、着色力が優れている。
:A1.5以上 B1.5未満1.2以上 C1.2未満1.0以上
D1.0未満
【0099】
【発明の効果】
本発明においては、液状単量体混合物に熱重合による副反応を生成することなく、微粒状着色剤を液状単量体混合物へ均一に分散できるので、着色力に優れ、粒度分布のよりシャープな、電子写真特性に優れている重合トナーを製造し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の分散工程の一例を示す説明図である。
【図2】本発明によるメディア粒子撹拌型湿式分散機の一実施の形態の全体を示した説明図である。
【図3】図2に示すものの部分拡大図である。
【図4】トナー粒子の断面を示す模式的説明図である。
【符号の説明】
1 処理タンク
2 処理物
3 メディア粒子
4 撹拌部材
21 粉砕タンク
22 流入口
23 流出口
24 メディア粒子
25 撹拌軸
26 主撹拌部材
27 メディアセパレーター
28 補助撹拌部材
29 支持軸
29a 流入路
29b 流出路
30 掻揚げ羽根
31 処理タンク
32 処理タンクジャケット
33 冷却水導入口
34 冷却水排出口
35 粉砕タンクジャケット
101 加圧用ガス導入口
102 加圧用ガス排出口
103 圧力計
104 冷却水導入口
105 冷却水排出口
106 撹拌モーター
107 油圧昇降装置
Claims (7)
- 微粒状着色剤含有単量体を作製するための分散工程、分散媒調製工程、トナー粒子造粒工程及び重合工程を含むトナーの製造方法であって、
該微粒状着色剤含有単量体は、少なくとも着色剤、重合性単量体及び荷電制御剤を含有し、
該分散工程には、メディア粒子撹拌型湿式分散機が用いられ、且つ該分散工程はガスにより加圧した状態で行われ、
メディア粒子撹拌型湿式分散機は、バッチ式であり、且つ微粒状着色剤含有単量体を循環させるための掻揚げ羽根を有することを特徴とするトナーの製造方法。 - 加圧条件が、50〜300kPaの範囲で行われることを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
- 加圧条件が、100〜200kPaの範囲で行われることを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
- 該分散工程の液温が、10〜40℃の範囲で行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該分散工程に要する時間が、1〜10時間の範囲であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該分散工程が、メディア粒子撹拌型湿式分散機より分散が行われ、メディアの直径が0.5〜5.0mmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該分散工程が、メディア粒子撹拌型湿式分散機の回転ローターもしくは撹拌部材の先端部の周速が10〜20m/sの範囲で行われることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトナーの製造方法。
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