図1、図2及び図3は、本発明に用いることのできる濾過(固液分離)システムの好適な例である。
しかしながら、本発明はこれらに限定される訳ではない。
図1、図2において、1はロール、2は濾布、3は送液口、4は真空トレイ、5はケーキ、6は濾布洗浄装置、7はケーキ洗浄装置、8は圧搾通気機構である。
また、図2は図1内のA−A’断面図であり、本発明の圧搾通気機構8の好ましい概略
図である。図2において、9は接離機構、10は圧縮気体導入口、11はケーシングである。
また、図3は図2内のB−B’断面図であり、本発明の圧搾通気機構8がケーキ5と接する部分の局部拡大図である。図3において12は本発明にかかる弾力部材、13は穿孔部材、14は圧縮気体出口である。
以下、図1、図2及び図3を用いて本発明のトナー粒子の製造方法の好ましい一態様について説明する。
図1に示すベルトフィルターは、濾布2がロール1の間に張架され、ロール1の回転により矢印Cの方向に連続又は間欠駆動される。濾布2の下方には、1体もしくは複数に分割された固定式の真空トレイ4が設置されている。この真空トレイ4は真空ポンプ(図示しない)により真空作用が得られる構造を有している。
上記した種々の湿式造粒法により得られたトナー粒子分散液中のトナー粒子表面には、各種の分散安定剤が存在する。この分散安定剤を溶解、又は除去するため、それぞれの湿式造粒方法に適した前処理を行う。この前処理を行った後、トナー粒子分散液は、送液口3を介して濾布2上に供給され、該真空作用によりケーキ形成工程によって濾過、脱水される。
例えば懸濁重合法による湿式造粒法の場合、トナー粒子表面に存在する分散剤を溶解させるために酸処理を行うが、この際、発泡現象を伴いやすい。この発泡現象はケーキ形成工程での濾過・脱水効果に悪影響を及ぼし、効率を低下させる恐れがある。よって酸処理を行う際には、発泡を抑制する機器、方法を選択することが好ましい。
濾別された濾液は、真空トレイに集められ、図示しない濾液管により図示しない真空タンクヘ送られる。この時、該真空作用を有効に働かせるためには、濾布2は間欠駆動させることが好ましく、真空作用が得られている間は、濾布2と真空トレイ4が密着しており摺擦しないことが好ましい。濾布を連続駆動させると濾布2と真空トレイ4との密着性に不具合が生じ易く、高真空度を得るのが難しい。高真空度が得られないと濾過、脱水効果が不十分となり、液状分散媒体からトナー粒子を効果的に分離することが困難となる。
次に濾過、脱水されたケーキ5と濾布2は、ロール1の回転により矢印Cの方向に送られて、上部に1基乃至複数基のケーキ洗浄装置7を有する洗浄工程に送られる。ケーキ洗浄装置7からは、必要に応じて1種又は複数種の洗浄液が散布され、それによってケーキ5中の溶解物質又は分散物質が洗浄・除去される。この際、洗浄液を温めて散布すると洗浄効果が高まり好ましい。洗浄液温度は特に限定されないがトナー粒子のガラス転移温度を超えると、品質劣化が起るのでガラス転移温度以下であることが好ましい。次に洗浄・除去された溶解物質又は分散物質は、真空トレイ4に集められた濾液と共に排出される。この時も上記したように高真空度を得るために、濾布2と真空トレイ4が密着しており摺擦しないことが好ましい。
次に洗浄されたケーキ5と濾布2は、ロール1の回転により矢印Cの方向に送られて、脱水工程に送られる。脱水工程は図1に示すように複数のスパン(図1では脱水工程が2スパンの場合を示す)に分かれていることが好ましく、矢印C方向に対して下流側のスパンに本発明にかかる圧搾通気機構8が少なくとも1スパン設置されていることが好ましい。図示するように最下流側に圧搾通気機構8を設けることにより前スパンで絞りきれなかった水分を最終スパンでさらに絞ることができ、脱水作用が有効に働く。
該圧搾通気機構8は接離機構9により、弾性を有する弾力部12、穿孔を有する穿孔部13がケーキ5に対して接離可能な構造となっている。穿孔部13は、図3に示すように、例えば適当な鉄板にパンチングにより貫通した孔(圧縮空気出口14)を複数持つ構成となっている。
接離機構9が働き、弾力部12、穿孔部13がケーキ5に接し、圧搾が行われる。この際、圧縮気体出口14から圧縮気体が通気されてケーキ5に含まれる水分が減少して含水率が低減される。また水分とともにトナー粒子表面に付着した各種成分がトナー粒子から分離し、均一な洗浄が行える。孔(圧縮気体出口14)数としては特に限定されないが、複数の孔が形成する孔の合計面積を、パンチング前の鉄板表面積に対して20%乃至70%に具備することが圧搾通気機構の強度面と適当な通気量を得るためには好ましい。
この時、穿孔部13に設けられている圧縮気体出口14がケーキ5の状態により詰まりを起こす場合等は、フィルター、メッシュ等で覆って詰まりを防止しても良い。
接離機構9は上記したケーキ5との接離運動が可能であれば特に限定されるものではないが、油圧機構又はエアーシリンダー等の方式が挙げられる。
前記した弾力部12とケーキ5の接触面材質は、上記シールが充分可能な部材で、耐久性のある部材であることが好ましい。具体的には接触面材質の圧縮残留歪Dが
1%≦D≦10%
である材質が好ましい。
1%>Dである材質は、硬度が大きく良好なシールが得られないため、圧縮気体が漏れる怖れがある。10%<Dである材質は、屁たりが早く、シール耐久性に劣る。
更に好ましくは
1%≦D≦5%
である材質が好ましく、これらの材質はシール耐久性が更に高まるため好ましい。
圧縮残留歪Dの測定方法としては、JIS K 6401:2005の規格に準拠された試験方法により測定した。
弾力部12つまり、ケーキ5との接触面材質として好ましく用いることができる材質は、ポリウレタン等の重合体であることが好ましく、該重合体の構造は、ゴム状弾性体又は気泡を含む発泡体であることが好ましい。
該発泡体の構造はそれぞれの泡が独立構成になっている単独気泡構造やそれぞれの泡が連通している連続気泡構造、そして単独気泡構造と連続気泡構造が混合している半連続気泡構造が好ましく使用される。単独気泡構造は非常にシール性に優れるが耐久性・圧縮復元性の面で若干劣る。また、連続気泡構造は、非常に耐久性・圧縮復元性に優れるが、シール性に若干劣る。このような理由から半連続気泡は最も好ましく用いられる。
弾力部12と湿潤トナー粒子の接触幅は、図3に示したようにベルトフィルター移動方向の接触幅をE(mm)とすると
30≦E≦300
であることが好ましい。
30>Eであると、穿孔部13から通気する際に所望のシールが得られず、弾力部12から圧縮気体が漏れて、湿潤トナー粒子ケーキの良好な含水率低下が得られない。特に、移動方向に対して下流側の弾力部12下部には、含水率が低下した湿潤トナー粒子ケーキが形成され存在するが、このケーキは崩壊しやすくシールが難しい。30>Eであると、このケーキ崩壊が起きて特にシールが困難となる。
E>300であると充分な穿孔部13の面積が得られず、例え良好な通気が行えたとしても湿潤トナー粒子ケーキの1部分しか含水率の低下が得られず、含水率ムラが起きる。含水率のムラが起きると含水率の高い部分が後工程に流れた時、輸送が不可能になる等して支障を起こす。
また、弾力部のうちベルトフィルター移動方向に対して垂直方向の接触幅F(mm)は、
30≦F≦300
であることが好ましい。30>Fであると、穿孔部13から通気する際に所望のシールが得られず、弾力部12から圧縮気体が漏れて、湿潤トナー粒子ケーキの良好な含水率低下が得られない。F>300であると充分な穿孔部13の面積が得られず、例え良好な通気が行えたとしても湿潤トナー粒子ケーキの1部分しか含水率の低下が起こらず、含水率ムラが起きる。含水率のムラが起きると含水率の高い部分が後工程に流れた時、輸送が不可能になる等して支障を起こす。
また、前記穿孔部の単位面積当たり(m2)の通気量Gは、
0.01(m3/m2・s)≦G≦0.5(m3/m2・s)
であることが好ましい。0.01(m3/m2・s)>Gであると所望の含水率が得られない。
G>0.5(m3/m2・s)であると下流側の真空ポンプの容量が大きくなる等、高コストとなる。
この圧搾通気時にも前記したように濾布2は間欠駆動させることが好ましい。濾布2が間欠運動している間の停止時に接離機構を連動させてケーキ5と弾力部12及び穿孔部13を接触させれば弾力部材12とケーキ5のシールも完全に働くために圧縮気体の通気も容易にできる。また、圧縮気体通気時にも真空トレイ4からの真空状態を形成させておくことが好ましいため、濾布2と真空トレイ4が密着しており摺擦しないことが好ましい。真空トレイ4から高真空度を形成しておくと、圧搾通気時に濾布2上のケーキ5が崩れ等を起こすことがなく、良好なケーキ状態で維持される。
脱水されたケーキ5は、ロール1によってもたらされる曲率により、濾布2より剥離される。
得られた湿潤トナー粒子ケーキの含水率は、30%以下、更に好ましくは25%以下であることが好ましい。30%を超えると後工程である乾燥工程への輸送に支障をきたしたり、乾燥工程自体の効率が悪化して好ましくない。この乾燥効率の悪化は、トナー粒子の熱劣化を誘発して品質上も好ましくない。
また、該乾燥工程は熱気流中に該湿潤トナー粒子ケーキを粉粒状に分散させて、熱気流と並流して送りながら乾燥する気流乾燥であることが好ましい。気流乾燥は短時間に大量の湿潤トナー粒子を乾燥でき、さらに低コストである。
本発明のトナー粒子の製造方法は、磁性トナー粒子の製造方法にも好ましく用いること
ができる。例えば懸濁重合法を用いる湿式造粒法において、磁性トナー粒子を製造する場合に使用される磁性体について、以下に説明する。
磁性トナーに使用される磁性体は、その表面が疎水化されていることが好ましい。磁性体を疎水化する際には、水系媒体中で、磁性体粒子を一次粒子となるよう分散しつつカップリング剤を加水分解しながら表面処理する方法を用いることが非常に好ましい。この疎水化処理方法は、気相中で処理するより磁性体粒子同士の合一が生じにくく、また疎水化処理による磁性体粒子間の帯電反発作用が働くため、磁性体はほぼ一次粒子の状態で表面処理される。
カップリング剤を水系媒体中で加水分解しながら磁性体表面を処理する方法は、クロロシラン類やシラザン類のようにガスを発生するようなカップリング剤を使用する必要がない。また、これまで気相中では磁性体粒子同士が合一しやすくて、良好な処理を施すことが困難であった高粘性のカップリング剤も使用できるようになるため、疎水化の効果は絶大である。
本発明に係わる磁性体の表面処理において使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。
また磁性体は、トナー粒子に含有される着色剤としても好適に用いることができるが、本発明で製造されるトナーに好適に用いることのできる上記磁性体以外の着色剤として、カーボンブラック及び以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤が挙げられる。
イエロー色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いることができ、具体的には、顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、17、23、62、65、73、74、81、83、93、94、95、97、98、109、110、111、117、120、127、128、129、137、138、139、147、151、154、155、167、168、173、174、176、180、181、183、191及びC.I.バットイエロー1、3、20等、染料としては、C.I.ソルベントイエロー19、44、77、79、81、82、93、98、103、104、112、162等が挙げられ、これらのものが単独で或いは2以上併用して用いられる。
マゼンタ色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いることができ、具体的には、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,48;2、48;3、48;4、49,50,51,52,53,54,55,57,57;1、58,60,63,64,68,81,81;1、83,87,88,89,90,112,114,122,123,144、146,150,163,166,169,177,184,185,202,206,207,209,220,221,238、254等、C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35等、マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,52,58,63,81,82,83,84,100,109,111,121,122等、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27等、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40等、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28等の塩基性染料等が挙げられ、これらのものが単独で或いは2以上併用して用いられる。
シアン色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いることができ、具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17、60、62、66等、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45、染料としては、C.I.ソルベントブルー25、36、60、70、93、95等が挙げられ、これらのものが単独で或いは2以上併用して用いられる。
これらの着色剤は、単独で又は2種以上を混合し、また更には固溶体の状態で用いることができる。本発明の着色剤は、色相角、彩度、明度、耐侯性、OHP透明性及びトナー中への分散性の点から選択される。例えば懸濁重合法による湿式造粒法の場合、着色剤の添加量は、樹脂100質量部に対して1乃至20質量部が用いられる。
本発明で製造されるトナー粒子は離型剤を含有していても良い。本発明においてトナー粒子に使用可能な離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックスおよびその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等天然ワックス及びその誘導体などで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。更には、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、或いはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックスなども使用できる。
離型剤として使用できるワックスの具体的な例としては、ビスコール(登録商標)330−P、550−P、660−P、TS−200(三洋化成工業社);ハイワックス400P、200P、100P、410P、420P、320P、220P、210P、110P(三井化学社);サゾールH1、H2、C80、C105、C77(シューマン・サゾール社);HNP−1、HNP−3、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12、HNP−51(日本精鑞株式会社);ユニリン(登録商標)350、425、550、700、ユニシッド(登録商標)、ユニシッド(登録商標)350、425、550、700(東洋ペトロライト社);木ろう、蜜ろう、ライスワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス(株式会社セラリカNODAにて入手可能)等が挙げられる。
本発明に用いられるトナー粒子には、荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用できる。更に、例えば懸濁重合法による湿式造粒法の場合、トナー粒子を製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料或いはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、スルフォン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。ポジ系荷電制御剤としては四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。
荷電制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー粒子内部に添加する方法とトナー粒子に外部添加する方法とがある。これらの荷電制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、内部添加する場合は、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1乃至10質量部、より好ましくは0.1乃至5質量部の範囲で用いられる。また、外部添加する場合、トナー粒子100質量部に対し好ましくは0.005乃至1.0質量部、より好ましくは0.01乃至0.3質量部である。
本発明において例えば乳化重合法や懸濁重合法による湿式造粒法の場合、トナーに含有される重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類;その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。
本発明のトナーの製造方法において例えば懸濁重合法による湿式造粒法の場合、重合性単量体に樹脂を添加して重合しても良い。単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、ニトリル基等親水性官能基含有の単量体成分をトナー中に導入したいときには、これらとスチレン又はエチレン等のビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、或いはグラフト共重合体等の共重合体の形で、或いはポリエステル、ポリアミド等の重縮合体の形で、或いはポリエーテル、ポリイミン等の重付加重合体の形で使用が可能となる。
また、上記以外の樹脂を単量体系中に添加しても良く、用いられる樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが単独で又は混合して使用できる。
これら樹脂の添加量としては、単量体100質量部に対し1乃至20質量部が好ましい。
1質量部未満では添加効果が小さく、一方20質量部より多く添加すると重合トナーの種々の物性設計が難しくなるためである。
更に、単量体を重合して得られるトナーの分子量範囲とは異なる分子量の重合体を単量体中に溶解して重合しても良い。
本発明のトナーの製造方法において、重合性単量体の重合反応を開始させるために重合開始剤を使用する場合は、重合反応時に半減期0.5乃至30時間であるものを、重合性単量体100質量部に対し0.5乃至20質量部の添加量で重合反応を行うと、分子量1万乃至10万の間に極大を有する重合体を得ることができ、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与えることが出来る。重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
本発明のトナーを製造する際は、架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量は重合性単量体100質量部に対して0.001乃至15質量部である。
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独で又は2種以上の混合物として用いられる。
本発明において例えば懸濁重合法による湿式造粒法を選択した場合の具体的なトナー製造方法について説明する。
まず、重合性単量体中に顔料、離型剤、可塑剤、荷電制御剤、架橋剤等トナーとして必要な成分及びその他の添加剤、例えば重合反応で生成する重合体の粘度を低下させるために入れる有機溶媒、高分子重合体、分散剤等を適宜加えて、均一に溶解または分散させて着色剤含有重合性単量体組成物を得る。この時、必要に応じて温調操作を行っても良い。
この着色剤含有重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中で懸濁し造粒する。
このとき着色剤含有重合性単量体組成物の造粒を行うと同時に、又は造粒を行った後、重合開始剤を添加して上記組成物の重合を行う(重合工程)。重合開始剤添加の具体的な時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時と同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に添加混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前、重合反応中に追加の重合性単量体或いは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることも出来る。
造粒後は、温調を行いながら通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。
トナー粒子を製造する場合には、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難いため好ましい。こうした無機分散剤の例としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛等の燐酸多価金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機水酸化物;シリカ、ベントナイト、アルミナ等の無機酸化物が挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2乃至20質量部を単独で使用することが望ましいが、0.001乃至0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中で前記無機分散剤粒子を生成させて用いることが出来る。例えば、燐酸カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合に依る超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。無機分散剤は、重合終了後に酸又はアルカリで溶解して、濾過、洗浄等の次工程によりほぼ完全に取り除くことが出来る。
前記重合工程においては、重合温度は40℃以上、一般には50乃至90℃の温度に設定して重合を行う。この温度範囲で重合を行うと、内部に封じられるべき離型剤やワックスの類が、相分離により析出して内包化がより完全となる。また、残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90乃至150℃にまで上げることは可能である。重合反応の終了後、得られたトナー粒子分散液は前期した本発明にかかる圧搾通気機構付きのベルトフィルターにて濾過、洗浄した後、好ましくは気流乾燥装置によって乾燥する。
一般的に得られたトナー粒子は分級工程において所望の粒径範囲外の粗粉や微粉が除去され、トナー粒子が得られる。なお、分級工程は従来トナーの製造に用いられる公知の方法により行うことができ、特に限定されない。分級工程を経て得られたトナー粒子に無機微粉体等の外添剤を混合して該トナー粒子表面に付着させることによって、トナーを得ることができる。
本発明においては、製造工程から分級工程を省き直接トナーを得ることも、また更に高精度な分級工程を行って、精度良く粗粉や微粉をカットすることも、望ましい形態の一つである。
本発明において、トナーには上記外添剤のうち流動化剤として個数平均一次粒子径が4乃至80nmの無機微粒子が添加されることも好ましい形態である。
本発明で用いられる無機微粒子としては、シリカ,アルミナ,酸化チタンなどが使用できる。例えば、ケイ酸微粉体としてはケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 -等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム,塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、それらも包含する。
平均一次粒径が4乃至80nmの無機微粒子の添加量は、トナー母粒子に対して0.1乃至3.0質量%であることが好ましい。添加量が0.1質量%未満ではその効果が十分ではなく、3.0質量%より多いと定着性が悪くなることがある。なお、無機微粉末の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量できる。
無機微粒子は、疎水化処理されたものであることが高温高湿環境下での特性から好ましい。疎水化処理の処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物の如き処理剤を単独で或いは併用して用いても良い。
無機微粒子の処理方法としては、例えば第一段反応としてシリル化反応を行ってシラノール基を化学結合により消失させた後、第二段反応としてシリコーンオイルにより表面に疎水性の薄膜を形成する方法が挙げられる。
上記シリコーンオイルは、25℃における粘度が10乃至200,000mm2/sのものが、更には3,000乃至80,000mm2/sのものが好ましい。10mm2/s未満では、無機微粒子に安定性が無く、熱および機械的な応力により画質が劣化する傾向がある。200,000mm2/sを超える場合は、均一な処理が困難になる傾向がある。
使用されるシリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が特に好ましい。
シリコーンオイルの処理の方法としては、例えばシラン化合物で処理された無機微粒子とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合してもよいし、無機微粒子にシリコーンオイルを噴霧する方法を用いてもよい。或いは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解或いは分散させた後、無機微粒子を加えて混合し溶剤を除去する方法でもよい。無機微粒子の凝集体の生成が比較的少ない点で噴霧機を用いる方法がより好ましい。
シリコーンオイルの処理量は無機微粒子100質量部に対し1乃至40質量部、好ましくは3乃至35質量部が良い。
本発明で用いられるシリカは、トナーに良好な流動性を付与させる為に、窒素吸着によるBET法で測定した比表面積が20乃至350m2/gの範囲内のものが好ましく、25乃至300m2/gのものがより好ましい。
比表面積はBET法に従って、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出する。
また、本発明のトナーは、クリーニング性向上等の目的で、更に一次粒径が30nmを超える、より好ましくは一次粒径が50nm以上の無機又は有機の球状に近い微粒子を、外添剤としてトナー粒子に添加して含有することも好ましい形態のひとつである。この無機又は有機の微粒子は比表面積が50m2/g未満(より好ましくは比表面積が30m2/g未満)のものを好ましく用いることができる。このような微粒子として、例えば球状シリカ粒子、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂粒子等が好ましく用いられる。
本発明に用いられるトナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の外添剤をトナー粒子に添加して用いることができる。例えば、ポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末などの滑剤粉末;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤;酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末などの流動性付与剤;ケーキング防止剤などが挙げられる。また、逆極性の有機微粒子又は無機微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。これらの外添剤も表面を疎水化処理して用いることが可能である。
本発明において製造し得るトナーは、一成分現像剤として使用できる。例えば、一成分系現像剤として、磁性体をトナー中に含有する重合トナーの場合には、現像スリーブ中に内蔵されたマグネットを利用し、重合トナーを搬送及び帯電する方法がある。しかし、必ずしも上記のような一成分現像剤に限られる必要はなく、二成分現像剤として用いても良い。
二成分系現像剤として用いる場合には、上記トナーと共に磁性キャリアを用いる。磁性キャリアは、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロムから選ばれる元素が単独で又は複合フェライト状態で用いられる。磁性キャリアの形状としては、球状、扁平又は不定形がある。更に磁性キャリア粒子表面状態の微細構造(例えば表面凹凸性)をもコントロールすることが好ましい。一般的には、上記無機酸化物を焼成、造粒することにより、予め磁性キャリアコア粒子を生成した後、このキャリアコア粒子を樹脂でコーティングする方法が用いられている。磁性キャリアのトナーへの負荷を軽減する目的から、無機酸化物と樹脂を混練後、粉砕、分級することにより低密度分散キャリアを得る方法や、無機酸化物とモノマーとの混練物を直接水系媒体中にて懸濁重合させて真球状の磁性キャリアを得る方法も利用することが可能である。
これらのうち、上記キャリアコア粒子の表面を樹脂で被覆してなる被覆キャリアが特に好ましい。キャリアコア粒子の表面を樹脂で被覆する方法としては、樹脂を溶剤中に溶解又は懸濁して塗布することによりキャリアコアに付着させる方法、又は単に樹脂粉体とキャリアコア粒子とを混合して付着させる方法が適用できる。
本発明で用いられるトナーと磁性キャリアとを混合して二成分現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度が2乃至15質量%、好ましくは4乃至13質量%であると通常良好な結果が得られる。
本発明で用いたそれぞれの測定方法について以下に述べる。
トナーの粒度分布の測定及び個数変動係数の算定
トナーの粒度分布は種々の方法によって測定できるが、本発明においてはコールターカウンターを用いて行うことが好ましい。
測定装置としてはコールターカウンターマルチサイザーIII型を用い、個数平均分布、重量平均分布を出力するインターフェイス(日科機製)及び一般的なパーソナルコンピューターを接続し、特級又は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を電解液として調製する。
測定法としては前記電解水溶液130ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を1.5ml加え、さらに測定試料を10mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で2分間分散処理を行い、前記コールターカウンターマルチサイザーIII型により、アパチャーとして100μmアパチャーを用いて、個数を基準として2乃至40μmの粒子の粒度分布を測定して、トナー粒子の個数平均径(μm):D1、トナーの重量平均粒径(μm):D4等、各種値を求める。
また上記個数分布における変動係数は下記式から算出される。
変動係数(%)=[S/D1]×100
[式中、Sはトナー粒子の個数分布における標準偏差を示す。]
(2)湿潤トナー粒子洗浄状態の評価
洗浄状態は、湿潤トナー粒子表面に残存する分散安定剤量によって評価した。残存分散安定剤量については、蛍光X線分析装置(RIX3000)を用いて定量分析した。この残存分散安定剤量は、帯電性の観点から180ppm以下であることが好ましい。
(3)含水率の測定
本発明における含水率は、湿潤トナー粒子5gをアルミ皿に採取し、それを精秤(A[g])し、105℃に設定した乾燥機に1時間放置し、冷却後精秤(B[g])し、以下の式で計算した値である。
含水率[%]=((A−B)/A)×100
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。
(実施例1)
イオン交換水700質量部に、0.1モル/リットル−Na3PO4水溶液450質量部を投入し、60℃に加温した後、クレアミックスCLS−30S(エム・テクニック社製)を用いて、4500rpmで撹拌した。これに1.0モル/リットル−CaCl2水溶液68質量部を添加し、リン酸カルシウム塩を含む水系媒体を得た。
一方、
(モノマー) スチレン 170質量部
n−ブチルアクリレート 30質量部
(着色剤) C.I.ピグメントブルー15:3 10質量部
(荷電制御剤) E−88(オリエント化学工業社製) 2質量部
(極性レジン) 飽和ポリエステル 15質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)
とテレフタル酸との重縮合物(重合モル比10:12)、
Tg=68℃、Mw=10000、Mw/Mn=5.12)
(離型剤) ポリエチレンワックス 6質量部
(Mn=850、融点:107℃、25℃における針入度:1)
からなる上記処方物を60℃に加温し、均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8質量部を溶解し、着色剤含有重合性単量体組成物を調製した。
前記水系媒体中に上記着色剤含有重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下において、クレアミックスにて4500rpmで15分間撹拌し、着色剤含有重合性単量体組成物を造粒した。
その後、フルゾーン撹拌翼(神鋼パンテック社製)で撹拌しつつ、70℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、フルゾーン攪拌翼で攪拌を続けながら飽和水蒸気(ピュアスチーム/スチーム圧力205kPa/温度120℃)を導入した。飽和水蒸気の導入開始から20分後に、容器内の内容物の温度は100℃に達し、蒸留留分が出始めた。
所定量の留分を得ることで残存モノマーを留去し、冷却してトナー粒子分散液を得た。
このトナー粒子分散液に塩酸を加えてトナー粒子表面のリン酸カルシウム塩を溶解した後、発泡を抑制しつつ、図1乃至図3に示す圧搾通気機構を具備したベルトフィルター(月島機械社製、シンクロフィルター改造型)に送り、下記の条件で脱水・洗浄して、湿潤トナー粒子のケーキを得た。
<圧搾通気機構方式のベルトフィルターの脱水・洗浄条件>
スラリー供給量 :140kg/時間
ベルトスピード :停止時間/移動時間=10/1の割合で稼動させ、
平均0.7m/分
洗浄水の量 :50kg/時間
真空度 :−70kPa
圧搾圧(シール圧):400kPa
シール幅E :100(mm)
シール幅F :90(mm)
通気圧 :200kPa
通気量G :0.04(m3/m2・s)
圧縮残留歪D :2.7%
圧搾時間 :70秒(最終スパンに圧搾通気機構を設置し、最終スパンにベルト
が停止する時間75秒中の70秒圧搾した)
通気時間 :60秒(圧搾時間70秒中の60秒通気した)
上記により得られた湿潤トナー粒子の含水率は20%であった。また、この時の湿潤トナー粒子ケーキの洗浄状態を上記した蛍光X線分析装置で分析したところ残存する分散安定剤量は100ppmであり良好なものであった。
また、この運転を720時間連続で行ったが弾力部材12の変形はほとんど見られず、安定した脱水性能を維持した。
得られた湿潤トナー粒子のケーキを解砕しつつ以下の条件で気流乾燥を行うことによりトナー粒子を得た。
<気流乾燥機乾燥条件>
気流乾燥機(セイシン企業社製:フラッシュジェットドライヤー:
配管径0.1016m)
吹込み温度 :90℃
吹込み風量 :10m3/min
湿潤トナー粒子供給量:50kg/hr
上記で得られた該着色粒子100質量部に対して、BET法による比表面積が200m2/gである疎水性シリカを1.0質量部添加し、混合機にて混合しトナーを得た。本実施例において得られたトナーの重量平均粒径は、6.8μmであった。
<画像性能の評価>
画像性能は温度30℃、湿度80%の環境下で連続3000枚の耐久テストを行い、カブリを測定して評価した。耐久テストはキヤノン社製LBP−2360を用いて行った。
紙上のカブリについては、反射式濃度計(TOKYODENSHOKUCO.,LTD社製REFLECTOMETER ODEL TC−6DS)を用いて測定した。即ち、反射濃度計で測定したプリント後の白地部の反射濃度最悪値をDsとし、プリント前の用紙について反射濃度計で測定した反射濃度平均値をDrとした時に、これらの値の差(Ds−Dr)を求め、これを紙上カブリとした。この紙上カブリ量が2%以下の場合は、実質的に紙上カブリのない良好な画像であったが、2%を超えると紙上カブリが目立つ不鮮明な画像である。
本実施例では、3000枚耐久後の画像について評価したが、耐久中、問題のないカブリのレベルであった。結果を表1にまとめる。
カブリの評価は以下のランクで表示した:
A:良好
B:カブリが多く画像が不鮮明
(実施例2)
実施例1の脱水・洗浄条件においてスラリー供給量を180kg/時間にした以外は実施例1と同様の操作を行い、同様な評価を行った。
結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1の脱水・洗浄条件において通気圧を600kPa、通気量を0.2(m3/m2・s)圧搾圧(シール圧)を800kPaにした以外は実施例1と同様の操作を行い、同様な評価を行った。
結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1の脱水・洗浄条件において通気圧を100kPa、通気量を0.02(m3/m2・s)にした以外は実施例1と同様の操作を行い、同様な評価を行った。
結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1の脱水・洗浄条件において圧縮残留歪Dを7.9%にした以外は実施例1と同様の操作を行い、同様な評価を行った。
また、この運転を720時間連続で行ったが弾力部材12の変形は若干生じたものの、安定した脱水性能を維持した。
その後、得られた湿潤トナー粒子のケーキを実施例1と同様にして解砕しつつ気流乾燥を行うことによりトナー粒子を得た。
結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1の脱水・洗浄条件においてシール幅Eを50(mm)、シール幅Fを50(mm)、にした以外は実施例1と同様の操作を行い、同様な評価を行った。
結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1の脱水・洗浄条件においてシール幅Eを350(mm)、シール幅Fを50(mm)にした以外は実施例1と同様の操作を行い、同様な評価を行った。
結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例1の脱水・洗浄条件においてシール幅Eを50(mm)、シール幅Fを350(mm)にした以外は実施例1と同様の操作を行い、同様な評価を行った。
結果を表1に示す。
(実施例9)
実施例1の脱水・洗浄条件において圧縮残留歪Dを4.0%にした以外は実施例1と同様の操作を行ない、同様な評価を行った。
また、この運転を720時間連続で行ったが弾力部材12の変形はほとんど見られず、安定した脱水性能を維持した。結果を表1に示す。
(参考例)
実施例1の脱水・洗浄条件において、材質をクロロプレンスポンジ(圧縮残留歪D:35%)に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、同様な評価を行った。
しかし、この運転を720時間連続で行った際、弾力部材12の変形が生じ、600時間を過ぎたあたりから、安定的なシールを維持することが出来なくなった。
その後、初期(200時間)に得られた湿潤トナー粒子ケーキIと後期(700時間)に得られた湿潤トナー粒子ケーキを、解砕しつつ気流乾燥を行うことによりトナー粒子をそれぞれ得た。湿潤トナー粒子ケーキIに関しては実施例1と同様の条件で気流乾燥を行ったが、湿潤ケーキIIに関しては湿潤トナー粒子の含水率が33%と非常に高かったため、気流乾燥機の湿潤トナー供給量を25kg/hrに落として乾燥を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1の脱水・洗浄条件において、圧搾通気機構を働かせず実施例1と同様の操作を行った。その結果、湿潤トナー粒子の含水率が35%と非常に高かったため、気流乾燥機の湿潤トナー粒子供給量を25kg/hrに落として乾燥を行った。その他は実施例1と同様にして評価を行った。
結果を表1に示す。
(実施例10)
イオン交換水700質量部に、0.1M−Na3PO4水溶液450質量部を投入し、60℃に加温した後、クレアミックスCLS−30S(エム、テクニック社製)を用いて、4500rpmで攪拌した。これに1.0M−CaCl2水溶液68質量部を添加し、リン酸カルシウム塩を含む水系媒体を得た。
一方、
(モノマ−) スチレン 170質量部
n−ブチルアクリレート 40質量部
(着色剤) 下記製法により得られたシランカップリング剤処理磁性体180質量部
(荷電制御剤) E−88(オリエント化学工業社製) 2質量部
(極性レジン) 飽和ポリエステル 15質量部
プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)
とテレフタル酸との重縮合物(重合モル比10:12)、
Tg=68℃、Mw=10000、Mw/Mn=5.12)
(離型剤) ポリエチレンワックス 5質量部
(Mn=850、融点:107℃、25℃における針入度:1)
上記した処方物を60℃に加温し、均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤tert−ブチルペルオキシピバレート8質量部を溶解し、磁性体含有重合性単量体組成物を調製した。
ここで、使用した磁性体は、以下のように製造した:
<磁性体の製造>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.0乃至1.1当量の苛性ソーダ溶液、鉄元素に対しリン元素換算で1.5質量%のヘキサメタ燐酸ソーダ、鉄元素に対して珪素元素換算で1.5質量%の珪酸ソーダを混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。
水溶液をpH9に維持しながら、空気を吹き込み、80乃至90℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.9乃至1.2当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH8に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。このスラリーを濾過、洗浄した。次に、この含水スラリーを別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを約4.5に調整し、十分撹拌しながらn−ヘキシルトリメトキシシランを磁性酸化鉄100質量部に対し2.0質量部添加し、加水分解を行った。その後、分散液のpHを約10にし、縮合反応を行い、カップリング処理を行った。生成した疎水性磁性微粒子を常法により洗浄、濾過、乾燥し、得られた粒子を解砕処理した。得られた磁性微粒子は、体積平均粒径が0.20μmであった。
前記水系媒体中に上記着色剤含有重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下において、クレアミックスにて4500rpmで15分間撹拌し、磁性体含有重合性単量体組成物を造粒した。
その後、フルゾーン撹拌翼(神鋼パンテック社製)で撹拌しつつ、70℃に昇温し、8時間反応させた。重合反応終了後、フルゾーン攪拌翼で攪拌を続けながら飽和水蒸気(ピュアスチーム/スチーム圧力205kPa/温度120℃)を導入した。飽和水蒸気の導入開始から20分後に、容器内の内容物の温度は100℃に達し、蒸留留分が出始めた。所定量の留分を得ることで残存モノマーを留去し、冷却して磁性トナー粒子分散液を得た。
その後は、スラリー供給量を200kg/時間にした以外は実施例1と同様に操作を行った。実施例1と同様に、この運転を720時間連続で行ったが弾力部材12の変形はほとんど見られず、安定した脱水性能を維持し、磁性トナー粒子を得た。
得られた磁性トナー粒子100質量部と、個数平均一次粒径12nmのシリカ微粉体(BET比表面積180m2/g)にヘキサメチルジシラザンで処理をした後シリコーンオイルで処理し、処理後のBET値が120m2/gの疎水性シリカ微粉体(個数平均一次粒子径12nm)1.0質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、磁性トナーを得た。本実施例において得られたトナーの重量平均粒径は、6.4μmであった。
<画像性能の評価>
画像性能は温度30℃、湿度80%の環境下で連続5000枚の耐久テストを行い、カブリを測定して評価した。耐久テストはキヤノン社製のキヤノン製LBP−1760を用いて行なった。
紙上のカブリについては、反射式濃度計(TOKYODENSHOKUCO.,LTD社製REFLECTOMETER ODEL TC−6DS)を用いて測定した。即ち、反射濃度計で測定したプリント後の白地部の反射濃度最悪値をDsとし、プリント前の用紙について反射濃度計で測定した反射濃度平均値をDrとした時に、これらの値の差(Ds−Dr)を求め、これを紙上カブリとした。この紙上カブリ量が2%以下の場合は、実質的に紙上カブリのない良好な画像であったが、2%を超えると紙上カブリが目立つ不鮮明な画像であった。
本実施例では、5000枚耐久後の画像について評価したが、耐久中、問題のないカブリのレベルであった。結果を表1にまとめる。
カブリの評価は以下のランクで表示した:
A:良好
B:カブリが多く画像が不鮮明
(比較例2)
実施例11の磁性体トナー粒子の脱水・洗浄において、圧搾通気機構を働かせず実施例11と同様の操作を行った。この結果、湿潤トナー粒子の含水率が37%と非常に高かったため、気流乾燥機の湿潤トナー粒子供給量を25kg/hrに落として乾燥を行った。その他は実施例11と同様にして評価を行った。
結果を表1に示す。
カブリ評価レベル:A・・・良好 B・・・カブリが多く画像が不鮮明
参考例の含水率は、初期/湿潤トナー粒子ケーキI・・・(1)を示す。
〃 後期/湿潤トナー粒子ケーキII・・(2)を示す。