JP5478972B2 - トナー粒子の製造方法 - Google Patents

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本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法、トナージェット法の如き画像形成方法における静電荷潜像を顕像化するためのトナーに含有されるトナー粒子の製造方法に関する。
湿式で造粒されるトナーは、小粒径化や、粒度分布のシャープ化が可能であり、注目されている。それは、電子写真が多くのユーザーから高精細、高画質の画像を求められており、トナーの小粒径化や粒度分布のシャープ化は、その有効な手段となり得るからである。また近年、省エネルギー化への関心が高まり、ユーザーは消費電力の少ない低温定着性が可能なトナーを求めており、離型剤を多量導入できる湿式造粒トナーは生産量が増大している。
湿式で造粒する具体的なトナー製造方法としては、懸濁重合法、乳化重合法、さらには別途重縮合したポリエステル等を用いる溶解懸濁法等、その他各種重合法トナーの製造方法が提案されている。
例えば懸濁重合法では、液状分散媒体中の重合性単量体に着色剤や必要に応じてその他添加剤を分散して重合性単量体組成物を得、ついで液状分散媒体中で該重合性単量体組成物を所望の粒径に造粒、重合してトナー粒子分散液を得る。その後、濾過・洗浄・乾燥の工程を経て、また必要に応じて分級し、トナー粒子を得る。そして得られたトナー粒子に所定の添加剤を加えることによりトナーを製造している(特許文献1参照)。
特許文献1における前記した濾過の工程には、得られるトナー粒子分散液の物性を考慮して最適な濾過装置を選択し、使用している。
一般に湿式で造粒されるトナー粒子は、液状分散媒体中で生成するため、その表面が液状分散媒体中に分散または溶解している各種成分によって影響を受け易い。例えば懸濁重合法では液状分散媒体として、各種の分散安定剤を含有する水系媒体が用いられているが、生成するトナー粒子の表面には、この分散安定剤が付着する。
また、懸濁重合法で生成するトナーでは、帯電性を向上させるために、正帯電性または負帯電性の帯電制御剤を重合性単量体組成物中に含有させて重合している。しかしながら、極性が高い帯電制御剤は、その一部が水系分散媒体中に溶解し、生成するトナー粒子の表面に付着する。重合工程後の濾過工程において、このトナー粒子表面に付着した各種成分が十分かつ均一に洗浄、除去されていないと、トナーの帯電量分布がブロードとなり、特に高温高湿条件下では、画像濃度が低下したり、カブリが発生し易くなる。
更に乳化凝集法でトナー粒子を生成する場合、乳化剤として界面活性剤を多く使用する。生成するトナー粒子表面にこの界面活性剤が多く残存すると、上記した画像濃度の低下、カブリの発生が懸濁重合法よりも顕著に発生する傾向がある。
これらの事から湿式で造粒するトナー粒子の製造方法において、前記した濾過工程は得られるトナー粒子の品質を大きく左右する工程であり、トナー品質を向上させるための重要な工程のひとつである。
特許文献2では濾過装置として濾布と真空トレイが密着したベルトフィルターを用いて、トナー粒子分散液からトナー粒子を分離する濾過方法が提案されている。しかしながら濾布と真空トレイを密着させるにはある特定の張力で濾布を引っ張る必要がある。この張力を弱めると真空トレイとの密着性が損なわれ効率の良い濾過工程が得られなくなる。一方、特定の張力で濾布を引っ張り、長時間運転し続けると、次第に濾布が伸び最終的には
トナー粒子が分離されず濾液側へ漏れる懸念がある。また、濾布の伸びによって濾布と真空トレイの密着も不十分となる。濾液側へトナー粒子が漏れてしまうと、製品となるべきトナー粒子が排水側へ行ってしまうため生産効率が落ちるばかりか、トナー粒子表面の洗浄性にも悪影響が生じる。この傾向は大量生産の大型装置を使うと大きくなり、原因として大型装置には引っ張り強度も大きな力が必要になることが考えられる。
また濾過装置の大型化に伴い濾布を正確に真空トレイへ密着させる技術が求められる。大型化した濾布が進行する際、蛇行すると前記密着性を損ない濾過の効率の悪化、具体的には水切れ性、トナー粒子表面の洗浄性の悪化が顕著になる。又、一度蛇行が生じると小型機に比べ蛇行した濾布を基の位置へ修正するには大きな労力が必要となるため、蛇行防止技術は重要である。
この蛇行を防止するため、濾布にガイドを設けて強制的に濾布を進行方向へ導くことが行われている(特許文献3参照)。この方法は、ある一定の効果は生み出すが長時間運転するとガイドを乗り越えて蛇行が発生したり、ガイドと濾布の摺動部に負荷がかかり濾布の耐久性に問題を生じていた。
特開昭51−14895号公報 特開2002−365839号公報 特開2006−136854号公報
本発明は、上述の如き課題を解決したトナー粒子の製造方法を提供することを目的とする。即ち本発明は、湿式法で得られるトナー粒子の製造方法において、得られるトナー品質が良好なトナー粒子製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意検討の結果、トナー粒子製造方法の濾過工程に用いるベルトフィルターにおいて、トナー粒子を分離するために特定の濾布を使用する事により、得られるトナー品質が良好になることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、水系分散媒体中でトナー粒子を生成させた後、前記水系分散媒体から生成したトナー粒子をベルトフィルターを用いて分離する濾過工程を少なくとも含むトナー粒子の製造方法において、前記ベルトフィルターは、濾布を具備しており、前記濾布は、縦糸と横糸で織り込まれた織布であって、該織布は、織り目方向が前記ベルトフィルターの進行方向に対して傾斜しており、且つ、織り目方向がベルトフィルターの進行方向に対して平行及び垂直となる部分を有さないことを特徴とするトナー粒子の製造方法である。
本発明によれば、トナー粒子製造方法の濾過工程において用いるベルトフィルターに具備する濾布を、特定の方向で織り目を形成する織布とする事で、高品質なトナー粒子を提供することができる。
本発明に用いることができるベルトフィルターの概略図である。 本発明に好ましく用いることができる濾布の概略図である。 従来の濾布の概略図である。 濾布の織り方を示す図である。
本発明のトナー粒子の製造方法は、水系分散媒体中でトナー粒子を生成させた後、水系分散媒体から、生成したトナー粒子を分離する濾過工程を少なくとも含む。そして濾過工程は、濾布を具備するベルトフィルターを用いて行われる。
本発明では、上記ベルトフィルターに具備された濾布が、縦糸と横糸で織り込まれた織布であって、且つ、織り目方向がベルトフィルターの進行方向に対して傾斜していることを特徴としている。以下図を用いて、詳細に説明する。なお、本発明で「織り目方向」とは、織布において縦糸と横糸を織り込む方向であり、織布の厚さ方向の角度は考慮にいれない。
図1、図2は、本発明に用いることのできる濾過工程の好適な例である。しかしながら、あくまでも具体例であり、本発明はこれらに限定される訳ではない。
図1において、1はロール、2は濾布、3は送液口、4は真空トレイ、5はケーキ、6は濾布洗浄装置、7はケーキ洗浄装置、矢印Aはベルトフィルターの進行方向であり、かつ、ケーキ5並びに濾布2の進行方向である。
図2(a)は、図1内の濾布2の織り目を示した概略図であり、本発明に使用できる好ましい一例である。図2に示した矢印Bは本発明に用いるベルトフィルターの進行方向である。
図2(b)は、本発明に好ましく使用できる濾布2の織り目を示した他の該略図であり、4枚の織り目の異なった織布を結合線がベルトフィルターの進行方向と平行になるように結合した例である(矢印Bはベルトフィルターの進行方向)。
図2(c)は、本発明に好ましく使用できる濾布2の織り目を示した他の該略図であり、2枚の織り目の異なった織布を結合線がベルトフィルターの進行方向(矢印Bの方向)と平行になるように結合し、且つ、織り目が結合線に対して線対称である例である。
以下、図1、図2(a)〜(c)を用いて本発明のトナー粒子製造方法の好ましい一態様について説明する。
図1に示すベルトフィルターは、濾布2がロール1の間に所定の張力を持って張架されている。前記したように従来の濾布の織り目の構成は、図3(b)に示すように、ベルトフィルターの進行方向と平行及び垂直方向の2本の織糸により形成される織り目を持った濾布が用いられ、濾布平面上における織り目方向が、ベルトフィルターの進行方向と平行及び垂直となっていた。そのため、所定の張力で長時間運転を行うと濾布が伸びてしまう課題があった。一方、本発明の図2(a)に示すような濾布は、縦糸と横糸で織り込まれた織布であって、且つ、濾布平面上における織り目方向がベルトフィルターの進行方向(矢印B)に対して傾斜しており、そのため、ベルトフィルターの進行方向に張力が働いても濾布が伸びてしまうことを抑制できる。これは張力の方向と織糸の方向が異なるため、引っ張り力の方向が分散され伸びを抑制できると推察される。このように織られた濾布2は、ケーキ5とともにロール1の回転により矢印Aの方向に連続又は間欠駆動される。
上記縦糸及び横糸が形成する織り目方向は、その角度が直角であっても、鋭角及び鈍角であってもよく、特段限定されない。しかしながら、織り目方向の角度が直角ではない場合、濾布の強度の観点から織り目方向の鋭角は60°以上であることが好ましい。そして直角であることがより好ましい。
この駆動の際、張力方向と織糸(縦糸及び横糸)の方向が異なると濾布の蛇行が生じることがある。特にロール1の間の距離が長い、もしくは濾布2の幅(進行方向と垂直方向の距離)が長い大型機になると、この傾向が大きくなる。これは濾布2がロール1の駆動により矢印A方向へ常時搬送されていれば起こらない現象である。しかし該濾布を所定の張力を持って張架するとその張力方向は織糸の方向へ歪を生じる。この歪は大型機になればなるほど大きいため、蛇行が発生しやすくなると推察される。この蛇行を抑制するため、図2(b)及び(c)に示すような、織り目方向が異なった少なくとも2枚の織布を、
結合線がベルトフィルターの進行方向と平行となるように結合することが好ましい。図2(b)に示す様に織糸の方向が異なった織布を結合すると、それぞれの織布の歪を打ち消し合い、結合された1反の濾布は全体として歪の働きにくい濾布となるため好ましい。なお、本発明において結合線とは、2枚の織布が結合した時の織布と織布の境界線をいう。また、織布を結合する方法は、張力により容易にほどけることがない限り、特段限定されない。
更に、少なくとも2枚の織布を結合する場合、図2(c)に示すように結合線に対して織り目が線対称であると好ましい。線対称となるように織布を結合すると1反の濾布のなかで歪により生じる力が正確に相殺されやすくなるため、蛇行の抑制効果が得られる。
ここで言う具体的な大型機のサイズは、ベルトフィルターの進行方向Aに対して直する方向の幅が700mm以上3000mm以下のサイズを表す。この幅を持つ大型機では特に濾布の伸びや蛇行が生じ易くなる為、本発明の効果は絶大である。
本発明の濾過工程において、濾布2の下方には、1体もしくは複数に分割された固定式の真空トレイ4が設置されている。この真空トレイ4は真空ポンプ(図示しない)により真空作用が得られる構造を有している。
上記した種々の湿式造粒法により得られたトナー粒子分散液中のトナー粒子表面には、各種の分散安定剤が存在する。この分散安定剤を溶解、又は除去するため、それぞれの湿式造粒方法に適した前処理を行う。この前処理を行った後、トナー粒子分散液は、送液口3を介して濾布2上に供給され、該真空作用によりケーキ形成工程によって濾過、脱水される。
前処理としては、例えば懸濁重合法による湿式造粒法の場合、トナー粒子表面に存在する分散剤を溶解させるために酸処理を行うが、この際、発泡現象を伴いやすい。この発泡現象はケーキ形成工程での濾過・脱水効果に悪影響を及ぼし、効率を低下させる恐れがある。よって酸処理を行う際には、発泡を抑制する機器、方法を選択することが好ましい。
濾別された濾液は、真空トレイに集められ、図示しない濾液管により図示しない真空タンクヘ送られる。この時、該真空作用を有効に働かせるためには、濾布2は間欠駆動させることが好ましく、真空作用が得られている間は、濾布2と真空トレイ4が密着しており摺擦しないことが好ましい。濾布を連続駆動させると濾布2と真空トレイ4との密着性に不具合が生じ易く、高真空度を得るのが難しく、高真空度が得られないと濾過、脱水効果が不十分となり、水系分散媒体からトナー粒子を効果的に分離することが困難となる。
次に濾過、脱水されたケーキ5と濾布2は、ロール1の回転により矢印Aの方向に送られて、上部に1基乃至複数基のケーキ洗浄装置7を有する洗浄工程に送られる。ケーキ洗浄装置7からは、必要に応じて1種又は複数種の洗浄液が1つ又は複数のスパンで散布され、それによってケーキ5中の溶解物質又は分散物質が洗浄・除去される。そして真空トレイ4に集められた濾液と共にこれらの物質は排出される。この時も上記したように高真空度を得るために、濾布2と真空トレイ4が密着しており摺擦しないことが好ましい。
次に洗浄されたケーキ5と濾布2は、ロール1の回転により矢印Aの方向に送られて、脱水工程に送られる。脱水工程は図1に示すように複数のスパン(図1では脱水工程が2スパンの場合を示す)に分かれていることが好ましい。脱水されたケーキ5は、ロール1によってもたらされる曲率により、濾布2より剥離される。
また濾布2は、図4(a)に示す、縦糸と横糸が一定の間隔を保ち、互いに2本以上ず
つ乗り越えて交わる織り方である綾織で織られていることが好ましい。濾布2は真空作用により生じる通気性を保持しながらも、トナー粒子が漏れない緻密な織り目が求められる。綾織で織られた濾布2はこれらの作用を両立することができるため好ましい。
本発明の濾過工程を経て得られた湿潤トナー粒子ケーキの含水率は、35%以下、更に好ましくは30%以下であることが好ましい。35%を超えると後工程である乾燥工程への輸送に支障をきたしたり、乾燥工程自体の効率が悪化して好ましくない。この乾燥効率の悪化は、トナー粒子の熱劣化を誘発して品質上も好ましくない。
次工程である乾燥工程を経て得られたトナー粒子は、所定の添加剤を加えることによりトナー製品となる。
本発明で製造されるトナーの組成は、特段限定されるものではなく、通常トナーが有する組成であればよい。例えば、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有するトナー粒子に外添剤を添加することで得られるトナーなどが例示される。
着色剤としては、磁性体、カーボンブラック及び以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤が挙げられ、これらとしては、従来公知のものを用いることができる。
これらの着色剤は、単独で又は2種以上を混合し、また更には固溶体の状態で用いることができる。本発明の着色剤は、色相角、彩度、明度、耐侯性、OHP透明性及びトナー中への分散性の点から選択される。例えば懸濁重合法による湿式造粒法の場合、着色剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して1〜20質量部が用いられる。
本発明においてトナー粒子に使用可能な離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックスおよびその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等天然ワックス及びその誘導体などで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。更には、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、或いはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックスなども使用できる。
本発明に用いられるトナー粒子には、荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用できる。更に、例えば懸濁重合法による湿式造粒法の場合、トナー粒子を製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料或いはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、スルフォン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。ポジ系荷電制御剤としては四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。
荷電制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー粒子内部に添加する方法と、トナー粒子に外部添加する方法とがある。これらの荷電制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、内部添加する場合は、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。また、外部添加する場合、トナー粒子100質量部に対し好ましくは0.005〜1.0質量部、より好ましくは0.01〜0.3質量部である。
本発明において、懸濁重合法によりトナー粒子を製造する場合、トナーに含有される重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類;その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。
本発明のトナーの製造方法において、重合性単量体に樹脂を添加して重合しても良い。単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、ニトリル基等親水性官能基含有の単量体成分をトナー中に導入したいときには、これらとスチレン又はエチレン等のビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、或いはグラフト共重合体等の共重合体の形で、或いはポリエステル、ポリアミド等の重縮合体の形で、或いはポリエーテル、ポリイミン等の重付加重合体の形で使用が可能となる。
また、上記以外の樹脂を単量体系中に添加しても良く、用いられる樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが単独で又は混合して使用できる。
これら樹脂の添加量としては、単量体100質量部に対し1〜20質量部が好ましい。1質量部未満では添加効果が小さく、一方20質量部より多く添加すると重合トナーの種々の物性設計が難しくなるためである。更に、単量体を重合して得られるトナーの分子量範囲とは異なる分子量の重合体を単量体中に溶解して重合しても良い。
本発明のトナーの製造方法において、重合性単量体の重合反応を開始させるために重合開始剤を使用する場合は、重合反応時に半減期0.5〜30時間であるものを、重合性単量体100質量部に対し0.5〜20質量部の添加量で重合反応を行うと、分子量1万〜10万の間に極大を有する重合体を得ることができ、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与えることが出来る。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
本発明のトナーを製造する際は、架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量は重合性単量体100質量部に対して0.001〜15質量部である。
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独で又は2種以上の混合物として用いられる。
本発明において懸濁重合法による具体的なトナー製造方法について説明する。
まず、重合性単量体中に着色剤、離型剤、可塑剤、荷電制御剤、架橋剤等トナーとして必要な成分及びその他の添加剤、例えば、高分子重合体等を適宜加えて、均一に溶解または分散させて本発明にかかる重合性単量体組成物を得る。この時、必要に応じて温調操作を行っても良い。その後この重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中で懸濁し造粒する。
このとき着色剤含有重合性単量体組成物の造粒を行うと同時に、又は造粒を行った後、重合開始剤を添加して上記組成物に含まれる該重合性単量体の重合を行う(重合工程)。重合開始剤添加の具体的な時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時と同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に添加混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前、重合反応中に追加の重合性単量体或いは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることも出来る。
造粒後は、温調を行いながら通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。
このトナー粒子を製造するための分散安定剤として公知の界面活性剤や有機・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難いため好ましい。こうした無機分散剤の例としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛等の燐酸多価金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機水酸化物;シリカ、ベントナイト、アルミナ等の無機酸化物が挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2〜20質量部を単独で使用することが望ましいが、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられ
る。
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中で前記無機分散剤粒子を生成させて用いることが出来る。例えば、燐酸カルシウムの場合、攪拌下に燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。
この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合に依る超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。無機分散剤は、重合終了後に酸又はアルカリで溶解して、濾過、洗浄等の次工程によりほぼ完全に取り除くことが出来る。
前記重合工程においては、重合温度は40℃以上、一般には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。この温度範囲で重合を行うと、内部に封じられるべき離型剤やワックスの類が、相分離により析出して内包化がより完全となる。また、残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90〜150℃にまで上げることは可能である。重合反応の終了後、得られたトナー粒子分散液は、本発明にかかる濾布を具備したベルトフィルターにて濾過、洗浄した後、適当な乾燥装置によって乾燥する。
一般的に得られたトナー粒子は分級工程において所望の粒径範囲外の粗粉や微粉が除去され、トナー粒子が得られる。なお、分級工程は従来トナーの製造に用いられる公知の方法により行うことができ、特に限定されない。分級工程を経て得られたトナー粒子に無機微粉体等の外添剤を混合して該トナー粒子表面に付着させることによって、トナーを得ることができる。
本発明においては、製造工程から分級工程を省き直接トナーを得ることも、また更に高精度な分級工程を行って、精度良く粗粉や微粉をカットすることも、望ましい形態の一つである。
本発明において、トナーには流動化剤として個数平均一次粒子径が4〜80nmの無機微粒子が添加されることも好ましい形態である。
本発明で用いられる無機微粒子としては、シリカ,アルミナ,酸化チタンなどが使用できる。例えば、ケイ酸微粉体としてはケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNaO、SO 等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム,塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、それらも包含する。
平均一次粒径が4〜80nmの無機微粒子の添加量は、トナー母粒子に対して0.1〜3.0質量%であることが好ましい。添加量が0.1質量%未満ではその効果が十分ではなく、3.0質量%より多いと定着性が悪くなることがある。なお、無機微粉末の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量できる。
無機微粒子は、疎水化処理されたものであることが高温高湿環境下での特性から好ましい。疎水化処理の処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物の如き処理剤を単独で或いは併用して用いても良い。
上記無機微粒子は、トナーに良好な流動性を付与させる為に、窒素吸着によるBET法で測定した比表面積が20〜350m/gの範囲内のものが好ましく、25〜300m/gのものがより好ましい。
比表面積はBET法に従って、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出する。
また、本発明のトナーは、クリーニング性向上等の目的で、更に一次粒径が30nmを超える、より好ましくは一次粒径が50nm以上の無機又は有機の球状に近い微粒子を、外添剤としてトナー粒子に添加して含有することも好ましい形態のひとつである。この無機又は有機の微粒子は比表面積が50m/g未満(より好ましくは比表面積が30m/g未満)のものを好ましく用いることができる。このような微粒子として、例えば球状シリカ粒子、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂粒子等が好ましく用いられる。
本発明に用いられるトナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の外添剤をトナー粒子に添加して用いることができる。例えば、ポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末などの滑剤粉末;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤;酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末などの流動性付与剤;ケーキング防止剤などが挙げられる。また、逆極性の有機微粒子又は無機微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。これらの外添剤も表面を疎水化処理して用いることが可能である。
本発明において製造し得るトナーは、一成分現像剤として使用できる。例えば、一成分系現像剤として、磁性体をトナー中に含有する重合トナーの場合には、現像スリーブ中に内蔵されたマグネットを利用し、重合トナーを搬送及び帯電する方法がある。しかし、必ずしも上記のような一成分現像剤に限られる必要はなく、二成分現像剤として用いても良い。
二成分系現像剤として用いる場合には、上記トナーと共に磁性キャリアを用いる。磁性キャリアとしては、キャリアコア粒子の表面を樹脂で被覆してなる被覆キャリアが特に好ましい。キャリアコア粒子の表面を樹脂で被覆する方法としては、樹脂を溶剤中に溶解又は懸濁して塗布することによりキャリアコアに付着させる方法、又は単に樹脂粉体とキャリアコア粒子とを混合して付着させる方法が適用できる。
本発明で用いられるトナーと磁性キャリアとを混合して二成分現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度が2〜15質量%、好ましくは4〜13質量%であると通常良好な結果が得られる。
本発明(実施例を含む)で用いたそれぞれの測定方法(評価方法)について以下に述べる。
(1)トナーの粒度分布の測定及び個数変動係数の算定
トナーの粒度分布は種々の方法によって測定できるが、本発明においてはコールターカウンターを用いて行うことが好ましい。
測定装置としてはコールターカウンターマルチサイザーIII型を用い、個数平均分布、重量平均分布を出力するインターフェイス(日科機製)及び一般的なパーソナルコンピューターを接続し、特級又は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を電解液として調製する。
測定法としては前記電解水溶液130ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を1.5ml加え、さらに測定試料を10mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で2分間分散処理を行い、前記コールターカウンター
マルチサイザーIII型により、アパチャーとして100μmアパチャーを用いて、個数を基準として2〜40μmの粒子の粒度分布を測定して、トナー粒子の個数平均径(μm):D1、トナーの重量平均粒径(μm):D4等、各種値を求める。
また上記個数分布における変動係数は下記式から算出される。
変動係数(%)=[S/D1]×100
[式中、Sはトナー粒子の個数分布における標準偏差を示す。]
(2)トナー粒子ケーキ洗浄状態の評価
洗浄状態は、トナー粒子表面に残存する分散安定剤量によって評価した。残存分散安定剤量については、蛍光X線分析装置(RIX3000)を用いて定量分析した。この残存分散安定剤量は、帯電性の観点から180ppm以下であることが好ましい。
(3)含水率の測定
本発明における含水率は、ろ過工程後に得られたケーキ5gをアルミ皿に採取し、それを精秤(A[g])し、105℃に設定した乾燥機に1時間放置し、冷却後精秤(B[g])し、以下の式で計算した値である。
含水率[%]=((A−B)/A)×100
(4)濾液への漏れの評価
本発明の濾過方法において濾液へのトナー粒子の漏れの評価については以下の方法で評価した。採取された濾液2gをアルミ皿に採取し、それを精秤(W0[g)し、105℃に設定した乾燥器に1時間放置し、冷却後、精秤(W1[g])し、以下の式で計算した。
濾液の固形分濃度(%)=100×(1−(W0−W1)/W0)
また、評価基準は以下のとおりとした。
評価基準:良好(200ppm未満)・・・評価A
許容範囲(200ppm以上から500ppm未満)・・・評価B
悪い(500ppm以上)・・・評価C
(5)画像性能の評価/カブリ
乾燥工程後に得られたトナー粒子100質量部に対し、BET法による比表面積が200m/gである疎水性シリカ3質量部を外添してトナーとした。このトナーを一成分系現像剤として、LBP5800;キヤノン製を用い、評価を行った。
最初に、得られたトナーをカートリッジに100g充填し、N/L(常温低湿)及びH/H(高温高湿)環境下での耐久試験において、5,000枚耐久後のカブリを測定した。方法としては、画出し前の普通紙の平均反射率Dr(%)をグリーンフィルターを搭載したリフレクトメーター(東京電色株式会社製の「REFLECTOMETER ODEL TC−6DS」)によって測定した。一方、普通紙上にベタ白画像を画出しし、次いでベタ白画像の反射率Ds(%)を測定した。カブリ:Fog(%)は下記式
Fog(%)=Dr(%)−Ds(%)
から算出した。評価基準は以下のとおりとした。
(評価基準)
A:非常に良好(1.1%未満)
B:良好(1.1%以上2.5%未満)
C:普通(2.5%以上4.0%未満)
D:悪い(4%以上)
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。
(実施例1)
イオン交換水332質量部にNaPO・12HOを5質量部投入し60℃に加温した後、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて毎秒58.3回転(3,500rpm)にて撹拌した。これに1.0モル/リットル−CaCl水溶液27質量部を添加し、Ca(POを含む水系媒体を得た。
・スチレン単量体 70質量部
・n−ブチルアクリレート 30質量部
・飽和ポリエステル樹脂 8質量部
<プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)とテレフタル酸との重縮合物(重合モル比10:12)、Tg=68℃、Mw=10000、Mw/Mn=5.12>
・HNP−5(日本精鑞社製) 8質量部
・カーボンブラック(BET比表面積=80m/g、吸油量=120ml/100g)
8質量部
・E−88(オリエント化学工業社製) 1質量部
・亜鉛フタロシアニン 0.1質量部
上記材料を、60℃に加温し30分間溶解混合した。これに、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
上記得られた水系媒体中に上記得られた重合性単量体組成物を投入し、60℃,N雰囲気下において、クレアミックスにて毎秒75回転(4,500rpm)で15分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。
その後、フルゾーン撹拌翼(神鋼パンテック社製)で撹拌しつつ、70℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、フルゾーン撹拌翼で撹拌を続けながら飽和水蒸気(ピュアスチーム/スチーム圧力205kPa/温度120℃)を導入した。飽和水蒸気の導入を開始から20分後、容器内の内容物の温度は100℃に達し、蒸留留分が出始めた。所定量の留分を得ることで残存モノマーを留去し、冷却してトナー粒子の分散液を得た。
得られたトナー粒子の分散液に、塩酸を加えてトナー粒子表面のリン酸カルシウム塩を溶解した後、発泡を抑制しつつ、濾過工程をおこなった。該濾過工程はベルトフィルター(月島機械社製、シンクロフィルター)に図2(c)に示した、織り目方向がベルトフィルターの進行方向に対して傾斜した織り目を有し、織り目が濾布の結合線に対して線対称になるような2枚の濾布を、結合線がベルトフィルターの進行方向と平行になるように結合させた濾布を具備させて行った。この時の運転条件は下記する条件で洗浄・脱水し、トナー粒子ケーキを得た。
<ベルトフィルターの脱水・洗浄条件>
濾布の織り目:図2(c)
装置幅(進行方向と直方向):1,000mm
トナー粒子分散液供給量:170Kg/hr
処理時間:処理時間(濾布停止時間)/移動時間90sec/20sec
減圧度:−80kPa
ケーキ洗浄液:アルカリ水(pH10)供給スラリー中の固形分の3倍量
ケーキ洗浄液:純水(pH6)供給スラリー中の固形分の3倍量
進行方向の引っ張り強度:200kg・f/30mm
織り方:綾織(図4(a))
材質:ポリエステル
上記条件で連続16時間運転を行ったが蛇行による運転弊害はなく安定して運転を行えた。得られたトナー粒子ケーキの含水率は25質量%であった。また、この時のトナー粒子ケーキの洗浄状態を上記した蛍光X線分析装置で分析したところ残存する分散安定剤量は100ppmであり良好なものであった。
その後、トナー粒子ケーキを解砕しつつ以下の条件で気流乾燥を行い、トナー粒子を得た。
<気流乾燥機乾燥条件>
気流乾燥機(セイシン企業社製:フラッシュジェットドライヤー:配管径0.1016m)
吹込み温度:90℃
吹込み風量:10m3/min
トナー粒子ケーキ(解砕後)供給量:50kg/hr
乾燥機出口温度:40℃
乾燥工程後のトナー粒子の重量平均粒径(D4)は6.3μm、含水率は0.2質量%であった。得られたトナー粒子を、前述した画像性能の評価方法に従い評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例2)
実施例1において織り方を図4(b)に示す平畳織にした以外は実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。この際連続16時間運転を行ったが、蛇行による運転弊害はなく安定して運転を行えた。得られたトナー粒子の重量平均粒径(D4)は、6.4μm、含水率は0.4質量%であった。結果を表2に示す。
(実施例3)
実施例1において濾過工程を、図2(b)のような、織り目方向がベルトフィルターの進行方向に対して傾斜した、異なった4枚の織布を、結合線がベルトフィルターの進行方向と平行になるように結合した濾布を用いた以外は実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。この際連続16時間運転を行ったが、蛇行による運転弊害はなく安定して運転を行えた。得られたトナー粒子の重量平均粒径(D4)は、6.3μm、含水率は0.3質量%
であった。結果を表2に示す。
(実施例4)
実施例3において濾布の織り方を平畳織(図4(b))にした濾布を用いた以外は実施例3と同様にしてトナー粒子を得た。この際連続16時間運転を行ったが、蛇行による運転弊害はなく安定して運転を行えた。得られたトナー粒子の重量平均粒径(D4)は、6.3μm、含水率は0.4質量%であった。結果を表2に示す。
(実施例5)
実施例1において濾過工程を、図2(a)のような、織り目方向がベルトフィルターの進行方向に対して傾斜した、結合のない1枚の濾布で行った以外は実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。この際連続16時間運転を行う予定であったが、蛇行により濾布がローラーからずれたため、2時間毎に元の位置へ濾布を戻す必要があった。得られたトナー粒子の重量平均粒径(D4)は、6.6μm、含水率は0.5質量%であった。結果を表
2に示す。
(実施例6)
実施例5において濾布の織り方を平畳織(図4(b))にした以外は実施例5と同様にしてトナー粒子を得た。この際も連続16時間運転を行う予定であったが、蛇行により濾
布がローラーからずれたため、2時間毎に元の位置へ濾布を戻す必要があった。得られたトナー粒子の重量平均粒径(D4)は、6.6μm、含水率は0.6質量%であった。結
果を表2に示す。
(比較例1)
実施例1において濾過工程を、図3(a)のような、織り目方向がベルトフィルターの進行方向に対して傾斜した織布と、織り目方向がベルトフィルターの進行方向とその方向に直した織布の2枚の織布を、結合線がベルトフィルターの進行方向と平行になるように結合した濾布で行い、2枚の織布の織り方はそれぞれ平畳織(図4(b))で織った以外は実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。この際連続16時間運転を行う予定であったが、蛇行により濾布がローラーからずれたため、2時間毎に元の位置へ濾布を戻す必要があった。また得られた濾液は着色しており、トナー粒子が漏れていることが推察された。得られたトナー粒子の重量平均粒径(D4)は、7.3μm、含水率は0.7質量%で
あった。結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例1において濾過工程を、図3(c)のような、織り目方向がベルトフィルターの進行方向に対して傾斜した織布と、織り目方向がベルトフィルターの進行方向とその方向に直した織布を含む4枚の織布を、結合線がベルトフィルターの進行方向と平行になるように結合した濾布で行い、4枚の織布の織り方はそれぞれ平畳織(図4(b))で織った以外は実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。この際連続16時間運転を行う予定であったが、蛇行により濾布がローラーからずれたため、2時間毎に元の位置へ濾布を戻す必要があった。また得られた濾液は着色しており、トナー粒子が漏れていることが推察された。得られたトナー粒子の重量平均粒径(D4)は、7.3μm、含水率は0.7質量
%であった。結果を表2に示す。
(比較例3)
実施例1において濾過工程を、図3(b)のような、織り目方向がベルトフィルターの進行方向とその方向に直した、結合のない1枚の濾布で、織り方を平畳織(図4(b))で織った濾布で行った以外は実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。この際連続16時間運転を行い、運転弊害はなく安定して運転を行えたものの得られた濾液は着色しており、トナー粒子が漏れていることが推察された。得られたトナー粒子の重量平均粒径(D4)は、7.7μm、含水率は0.9質量%であった。結果を表2に示す。
(比較例4)
比較例3において織り方を綾織(図4(a))で織った濾布で行った以外は比較例3と同様にしてトナー粒子を得た。この際連続16時間運転を行い、運転弊害はなく安定して運転を行えたものの得られた濾液は着色しており、トナー粒子が漏れていることが推察された。得られたトナー粒子の重量平均粒径(D4)は、7.7μm、含水率は0.8質量
%であった。結果を表2に示す。
Figure 0005478972
Figure 0005478972
本発明は、湿式造粒法によるトナー粒子製造方法の濾過工程において、ベルトフィルターへ用いる濾布に特定の方向の織り目を持った濾布を使用し、更に好ましくは織り目の異なった少なくとも2枚の布地を結合することで濾過効率を高められる。この濾過効率が高まることにより、高品質なトナー粒子の製造方法を提供することが可能となる。
この結果、本発明の静電荷潜像を顕像化するためのトナーに含有されるトナー粒子の製造方法は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法、トナージェット法の如き画像形成方法に好適に使用される。
1 ロール
2 濾布
3 送液口
4 真空トレイ
5 ケーキ
6 濾布洗浄装置
7 ケーキ洗浄装置

Claims (4)

  1. 水系分散媒体中でトナー粒子を生成させた後、前記水系分散媒体から生成したトナー粒子をベルトフィルターを用いて分離する濾過工程を少なくとも含むトナー粒子の製造方法において、
    前記ベルトフィルターは、濾布を具備しており、
    前記濾布は、縦糸と横糸で織り込まれた織布であって、
    該織布は、
    織り目方向が前記ベルトフィルターの進行方向に対して傾斜しており、且つ、
    織り目方向がベルトフィルターの進行方向に対して平行及び垂直となる部分を有さないことを特徴とするトナー粒子の製造方法。
  2. 前記濾布は、織り目方向が異なった少なくとも2枚の織布を、結合線が前記ベルトフィルターの進行方向と平行となるように結合してなることを特徴とする請求項1に記載のトナー粒子の製造方法。
  3. 前記濾布は、織り目方向が前記結合線に対して対称であることを特徴とする請求項2に記載のトナー粒子の製造方法。
  4. 前記縦糸、及び、前記横糸が綾織で織られていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。
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