JP3969950B2 - 油圧走行車両の安全装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可変容量型の油圧モータとこの油圧モータに取り付けられて回転駆動される車輪やクローラベルト等の走行体とを有し、油圧モータの容量を切り替えて複数の速度段で走行自在に構成された油圧走行車両の安全装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のような油圧走行車両は、車体上にブーム式の高所作業装置やシザース式の高所作業装置等を有するいわゆる自走式高所作業車や、クレーン装置を有するクレーン車などの作業用車両として多数が製作され、土木建設作業や造船作業等に広く用いられている。この様な作業用車両は不整地や傾斜地等を高トルクで走行可能であるとともに、広範な建設作業現場内や事業所設備内を高速で効率良く移動できるように、複数の速度段(速度レンジ)を有し、走行環境や移動目的に応じて速度レンジを切り替えて適切な駆動状態で走行移動できるように構成されるものが多い。
【0003】
複数段の速度レンジを構成する方法として、油圧モータに作動油を供給する油圧ポンプの回転数を複数段に変化させるものや、可変容量型の油圧モータを用いてモータ容量を複数段に変化させるもの、あるいは、これ等を組み合わせて多段変速とするものなどが知られている。例えば、可変容量型油圧モータの容量を大容量(低回転−高トルク)とした状態で、油圧ポンプの回転数を低速回転と高速回転の2段階に切り替えることで低速レンジと中速レンジとを形成し、さらに油圧ポンプが高速回転の状態で油圧モータの容量を大容量から小容量(高回転−低トルク)に切り替えることで高速レンジを形成して、高速・中速・低速の3速度段の速度レンジを構成することができる。
【0004】
車両には高速・中速・低速の速度レンジを選択的に切替え操作する速度レンジ選択スイッチと、各速度レンジにおいて走行・停止の作動操作を行う走行レバーとが設けられている。車両に搭乗する作業者は速度選択スイッチで走行環境等にあわせた速度レンジを選択し、走行レバーを傾倒操作することにより、選択した速度レンジ及び走行レバーの傾倒角度に応じた回転速度で油圧モータを変化させることができ、これにより車両を所望の速度で走行させることができる。なお、油圧モータには、走行レバーが操作されていないときに油圧モータの回転を機械的に制動ロックする、いわゆるネガティブブレーキが設けられている。
【0005】
このため、作業者は走行環境や移動目的に応じた駆動状態を速度レンジ選択スイッチで選択し走行レバーを傾倒操作することにより走行環境や走行目的に合致した走行条件で車両を走行移動させることができ、また、走行レバーから手を離してレバーを中立位置に戻すことで油圧モータの回転をロックさせ安全な状態で作業を行うことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような油圧走行車両では、低速レンジや中速レンジのように可変容量型油圧モータの容量が大容量のとき、すなわち、油圧モータが低回転−高トルク型モータとして機能している状態では、その発生トルクを生かして傾斜地であっても登坂走行することができる。また、この状態では傾斜地の途中で一旦停車させた後、再び走行レバーを操作してネガティブブレーキが解除されても、油圧モータの保持トルクが充分に大きいために、レバー操作に反して車両が傾斜地の下方に走行してしまうようなことがない。
【0007】
ところが、傾斜地の途中で車両を一旦停車させて速度選択スイッチを高速レンジに切り替えると、可変容量型油圧モータの容量が小容量(高回転−低トルク)の状態に切り替えられる。そして、この低トルク型モータの状態で走行レバーを操作してネガティブブレーキが解除されると、油圧モータのトルクが高トルク型モータ時の半分程度と小さいために油圧モータが逆転され、レバー操作に反して車両が傾斜下方に走行してしまうことがある、という課題があった。
【0008】
そこで、上記のような転がり走行を防止するため、車体に傾斜角度検出器を設け、走行レバーの傾倒操作からネガティブブレーキ開放までの時間を傾斜角度に応じて変化させる油圧走行車両も考案されている。しかしながら、このような油圧モータのトルク発生とネガティブブレーキの摩擦抵抗とを複合的に制御して後退抑制することは難しく、時間的タイミングのズレや作動油温による発生トルクの変化等により、ブレーキ解除が早く一時的に降下したり、逆にブレーキ解除が遅れて衝撃を伴って急発進したりするという課題があった。
【0009】
このような課題に鑑みて、作業者が誤った速度段を選択した場合であっても傾斜地を傾斜下方に転がり走行するようなことがない安全な油圧走行車両を簡便な手段で提供することが望まれている。
【0010】
このことに鑑みて、本出願人は、車体に取り付けられた油圧発生源から油圧供給を受ける油圧モータと、この油圧モータにより回転駆動されて車両を走行させる走行体(例えば実施形態における駆動輪55r,55lや、クローラベルト等)と、油圧モータの容量を少なくとも大容量と小容量とに変化させる容量変更手段(例えば実施形態におけるモータ容量切替弁)と、車両の走行速度段を選択する速度段選択手段と、速度段選択手段における選択に基づいて容量変更手段に容量変更信号を出力し油圧モータの容量を変化させる制御装置(例えば実施形態におけるコントロールユニット30)と、車体の傾斜角度を検出する傾斜角度検出手段と、傾斜角度検出手段において検出される車体の傾斜角度が予め設定された所定の傾斜角度以上であるときに、油圧モータの容量を小容量にする容量変更手段の作動を規制するモータ容量規制手段(例えば実施形態における速度レンジ規制回路32)とを有して油圧走行車両の安全装置を構成するということを考案した。
【0011】
上記構成では、油圧走行車両には車体の傾斜角度を検出する傾斜検出手段が設けられており、モータ容量規制手段は車体の傾斜角度が予め設定された所定の傾斜角度以上であるときに、油圧モータの容量を小容量にする容量変更手段の作動を規制する。例えば、速度段選択手段での選択を機械的にまたは信号処理で規制し、あるいは制御装置からの制御信号(電気信号や油圧信号)出力を規制し、または容量変更手段の動きを電気的、機械的に規制すること等により、油圧モータの容量を小容量にする容量変更手段の作動を規制する。
【0012】
このため、可変容量型油圧モータの容量が大容量と小容量の2段階の場合には大容量に設定され、同モータの容量が大容量・中容量・小容量の3段階の場合には大容量または中容量となるように設定される。ここで、上記「所定の傾斜角度」とは、その傾斜角度を超えると可変容量油圧モータの容量が小容量の状態においてネガティブブレーキを解除したときに車両が傾斜地下方に転がり移動するおそれが生じる傾斜角度であり、種々の条件下において小容量時の保持トルクで車両の転がり移動を防ぎうる最大傾斜角度を基準に規定される。
【0013】
上記構成によれば、例えば中速レンジや低速レンジなどの高トルク状態で傾斜地を登坂または降坂走行し、その途中で速度段選択手段で高速レンジ等の低トルク状態に切り替えても、モータ容量規制手段がこのような容量変更手段の作動を規制して中速(高トルク状態)を維持する。従って、停止後に走行レバーを操作してネガティブブレーキが解除されたときであっても、車両が傾斜地の下方に転がり走行することがなく、また一時的に後退したり衝撃を伴って急発進したりすることがない安全な油圧走行車両を提供することができる。
【0014】
なお、モータ容量規制手段は、油圧モータの容量が小容量の状態で、傾斜角度検出手段において検出される車体の傾斜角度が予め設定された所定の傾斜角度以上になったときに、制御装置に油圧モータの容量を小容量を超える容量に変更する容量変更信号を出力させて、油圧モータの容量を小容量を超える容量に設定させるように安全装置を構成することが好ましい。すなわち、油圧モータの容量が小容量の状態で、傾斜角度検出手段で検出される車体の傾斜角度が前述の所定の傾斜角度以上になったときに、可変容量型油圧モータの容量が大容量と小容量の2段階の場合には大容量となる容量変更信号を出力させ、同モータの容量が大容量・中容量・小容量の3段階の場合には大容量または中容量となるような容量変更信号を出力させて制御する。
【0015】
このため、このようなモータ容量規制手段を有する油圧走行車両では、例えば高速レンジなどの低トルク状態で平地から傾斜地に向けて走行し、その登坂走行または降坂走行の途中で所定の傾斜角度を超えた場合であっても、モータ容量規制手段がモータ容量を自動的に中速レンジや低速レンジ等の高トルク状態に切り替えさせる。従って、例えば、高速レンジでの傾斜地登坂中に走行レバーを停止位置に近づけたときや、高速レンジで一旦停止後そのまま走行レバーを操作してネガティブブレーキが解除されたときであっても、モータ容量規制手段が自動的に中速レンジ等の高トルク状態に変速させるため、車両が傾斜地の下方に転がり走行することがなく、また一時的に後退したり衝撃を伴って急発進したりすることがない安全な油圧走行車両を提供することができる。なお、上記「所定の傾斜角度」は可変容量型油圧モータの容量が3段階の場合には、中容量に対しても前述同様に規定することが可能である。
【0016】
また、油圧走行車両における車体上に車体に対して昇降動自在に構成された昇降装置(例えばブーム式昇降装置や、シザース式昇降装置、屈伸式昇降装置等)と、昇降装置の先端部に取り付けられた作業台とを有する高所作業車においては、車体に対する作業台の位置を検出する位置検出手段を設け、モータ容量規制手段は、位置検出手段において検出される作業台の位置が予め設定された所定位置範囲内であり、かつ車体の傾斜角度が予め設定された所定の傾斜角度未満であるときに油圧モータの容量を小容量にする容量変更手段の作動を許容するように安全装置を構成してもよい。
【0017】
このような構成によれば、前述した所定傾斜角度以上において油圧モータの容量を小容量にする作動が規制される他、作業台が所定の地上高以上のときやブームを伸長させているときなどのように、車両を高速移動させると作業台上の作業者が振り回されるおそれがあるときにも油圧モータの容量を小容量にする作動が規制される。従って、傾斜地及び平地での走行安全性をともに向上させた油圧走行車両を提供することができる。なお、上記「所定位置範囲」とは車両を高速移動させたときでも作業台上の作業者が振り回されるおそれが少ない作業台の位置範囲をいい、例えば、ブーム式昇降装置においてはブームが略全縮されておりかつブームの起伏角度が水平以下の領域、シザース式昇降装置や屈伸式昇降装置においては作業台の昇降高さが1m以内の領域、のように設定することができる。
【0018】
ところで、以上のように、登坂走行や降坂走行中に所定の傾斜角を超えたときに速度レンジを高速レンジから中速レンジや低速レンジ等に自動的に切り替えるような規制制御を行う油圧走行車両では、走行路面の傾斜角が再び所定の傾斜角未満に戻ったときの取り扱いが問題となる。例えば、高速レンジで走行中に所定の傾斜角度を超え規制制御が行われ中速レンジで傾斜地を降りて平坦路に至ったとき、あるいは、高速レンジで陸送車(トレーラなど)近傍まで走行し、荷台に積載する渡り板を上るときに規制制御が行われ中速レンジに自動切り替えされてトレーラの荷台に至ったとき、などがこの状況に該当し、このような場合に速度レンジの規制が解除されて高速レンジに自動復帰すると車両が急加速して不測の事態が発生するおそれがある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、車体に取り付けられた油圧発生源から油圧供給を受ける油圧モータと、前記油圧モータにより回転駆動されて車両を走行させる走行体(例えば実施形態における駆動輪55r,55lや、クローラベルト等)と、前記油圧モータにより回転駆動されて前記車両が走行するときの走行速度段を選択する速度段選択手段と、この速度段選択手段の選択に基づいて前記車両の走行速度段を設定する制御装置(例えば実施形態におけるコントロールユニット30)と、前記車体の傾斜角度を検出する傾斜角度検出手段と、前記速度段選択手段による高速側の速度段の選択に基づいて前記制御装置により前記高速側の速度段が設定されて走行している状態で、前記傾斜角度検出手段で検出される前記車体の傾斜角度が予め設定された所定の傾斜角度以上になったときに、前記高速側の速度段をこれより低速側の速度段に変更させる速度段変更手段(例えば実施形態における速度レンジ規制回路32)とを有して油圧走行車両を構成し、前記速度段変更手段は、前記低速側の速度段に変更された状態で、前記傾斜角度検出手段で検出される前記車体の傾斜角度が前記所定の傾斜角度未満に戻ったとしても、前記車両が走行を停止するまで前記変更された低速側の速度段を維持させるようにしている。
なお、この発明において、前記油圧モータが可変容量型の油圧モータからなり、前記制御装置が前記油圧モータの可変容量制御を行って前記車両の走行速度段を設定するように
構成するのが好ましい。
さらに、前記油圧発生源がエンジンおよび前記エンジンにより駆動される油圧ポンプから構成され、前記エンジンによる前記油圧ポンプの回転駆動を制御するポンプ回転数制御手段および前記油圧ポンプから吐出されて前記油圧モータに供給される油量を制御する走行コントロールバルブを備え、前記制御装置が前記ポンプ回転数制御手段および前記走行コントロールバルブの作動を制御して前記車両の走行速度段を設定するように構成するのが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、速度段変更手段は、高速の速度段(例えば高速レンジ)で走行中に車体傾斜角が所定の傾斜角度以上になったときに、制御装置に速度段を低速側の速度段(例えば中速レンジや低速レンジ)に切り替えさせ、その後車体の傾斜角が所定の傾斜角度未満に戻った場合には、車両が停止するまで変更設定させた速度段を維持させる。従って、速度レンジの規制が作用している状態で傾斜地から平坦路に至ったような場合でも、速度レンジの規制が突然解除されて車両が急加速するようなことがなく、このような突然の変速に起因する不測の事態を未然に防止することができる。
【0021】
もう一つの本発明は、車体に取り付けられた油圧発生源から油圧供給を受ける油圧モータと、前記油圧モータにより回転駆動されて車両を走行させる走行体と、前記油圧モータにより回転駆動されて前記車両が走行するときの走行速度段を選択する速度段選択手段と、前記速度段選択手段の選択に基づいて前記車両の走行速度段を設定する制御装置と、前記車体の傾斜角度を検出する傾斜角度検出手段と、前記速度段選択手段による高速側の速度段の選択に基づいて前記制御装置により前記高速側の速度段が設定されて走行している状態で、前記傾斜角度検出手段で検出される前記車体の傾斜角度が予め設定された所定の傾斜角度以上になったときに、前記高速側の速度段をこれより低速側の速度段に変更させる速度段変更手段とを有して油圧走行車両を構成し、前記速度段変更手段は、前記低速側の速度段に変更された状態で、前記傾斜角度検出手段で検出される前記車体の傾斜角度が前記所定の傾斜角度未満に戻ったとしても、前記速度段選択手段により再び速度段が選択されるまで前記変更された低速側の速度段を維持させるようにしている。
なお、この発明においても、前記油圧モータが可変容量型の油圧モータからなり、前記制御装置が前記油圧モータの可変容量制御を行って前記車両の走行速度段を設定するように構成するのが好ましい。
さらに、前記油圧発生源がエンジンおよび前記エンジンにより駆動される油圧ポンプから構成され、前記エンジンによる前記油圧ポンプの回転駆動を制御するポンプ回転数制御手段および前記油圧ポンプから吐出されて前記油圧モータに供給される油量を制御する走行コントロールバルブを備え、前記制御装置が前記ポンプ回転数制御手段および前記走行コントロールバルブの作動を制御して前記車両の走行速度段を設定するように構成するのが好ましい。
【0022】
上記構成によれば、速度段変更手段は、高速の速度段(例えば高速レンジ)で走行中に車体傾斜角が所定の傾斜角度以上になったときに、制御装置に速度段を低速側の速度段(例えば中速レンジや低速レンジ)に切り替えさせ、その後車体の傾斜角が所定の傾斜角度未満に戻った場合には、速度段選択手段で再び速度段が選択されるまで変更設定させた速度段を維持させる。ここで、「再び速度段が選択される」とは、速度段選択手段に何らかの人為的操作が加えられて速度段が選択されることをいい、選択の前後で速度段が変化することを意味するものではない。
【0023】
例えば、速度選択手段がトグルスイッチのように選択位置が機械的に定まるような場合には、既に選択されている高速レンジのスイッチ位置と、速度レンジ規制を解除して高速レンジに設定させるスイッチ位置とが同一となるが、この場合には一旦中速レンジ等に切り替えた後に再度高速レンジを選択するような選択行為をいう。また、モーメンタリースイッチやタッチパネルのように選択位置が機械的位置によらず、選択または規制された速度レンジがLEDや表示パネルに表示されるような場合には、これ等のスイッチまたはパネルを操作して高速レンジを選択するような選択行為をいう。あるいは、速度段選択手段に近接して再選択スイッチ(規制解除スイッチ)等の規制解除手段を設け、このスイッチを操作したときに速度段が再選択されたと判断するように構成しても良い。
【0024】
従って、上記のような構成の安全装置では、速度レンジの規制が作用している状態で傾斜地から平坦路に至ったような場合に、速度レンジの規制が突然解除されて車両が急加速するようなことがなく、このような突然の変速に起因する不測の事態を未然に防止することができる。さらに、本構成によれば車両を高速走行させるためには必ず作業者の意思を伴った主体的な選択操作が必要となることから、作業者が予期しない高速走行を防止することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明に係る安全装置を有した油圧走行車両の一例として、いわゆるホイール型自走式高所作業車(以下、高所作業車という)を図5に示している。高所作業車1は、車体3の前後にタイヤ車輪55r,55l,56r,56lを有し、左右一対の駆動輪55r,55lに接続された走行モータ51r,51lを回転駆動し、操舵輪56r,56lを操舵することにより走行自在に構成されている。車体3上には図示しない旋回モータの作動により車体3に対して水平旋回自在に旋回台4が配設されており、この旋回台4の上端部に起伏シリンダ12の伸縮作動により旋回台4に対して起伏動自在にブーム5が枢着されている。
【0026】
ブーム5は旋回台4に枢着された基端ブーム5aと、この基端ブーム5a内にテレスコープ状に嵌挿された中間ブーム5b、先端ブーム5cからなり、ブーム内部に配設された伸縮シリンダの作動により伸縮自在に構成されている。ブーム5の先端部には図示しないレベリングシリンダの作動によりブーム5の起伏角によらず常時垂直を維持する垂直ポストが配設され、さらに垂直ポストに設けられた首振りモータの作動により垂直ポスト廻りに水平旋回(首振り動という)自在に作業台8が取り付けられている。
【0027】
作業台8には、車両の走行操作やブームの作動操作を行うための操作装置20が配設されており、作業台8に搭乗する作業者がこの操作装置20を操作して車両の走行操作や、旋回台4の旋回操作、ブーム5の起伏及び伸縮操作、作業台8の首振り操作など各種の作動操作を行うことができるように構成されている。
【0028】
旋回台4には、走行モータ51や、旋回モータ、起伏シリンダ12、伸縮シリンダ、首振りモータなどの油圧アクチュエータの駆動源として、油圧を発生させ、供給する油圧ユニット40が設けられている。油圧ユニット40は油圧発生源としてエンジン駆動の油圧ポンプ(P)を有するとともに、発生された油圧を各油圧アクチュエータに供給して作動を制御する複数の電磁比例弁が配設されている。
【0029】
油圧ユニット40に隣接して作動制御装置が配設されている。作動制御装置は操作装置から操作信号が入力されるコントロールユニットを有しており、コントロールユニット30は操作信号を受けると操作信号に応じた指令信号を油圧ユニット40内の対応する電磁比例弁に出力する。例えば、操作装置20から起仰操作の操作信号が入力されると、その操作信号に応じた方向及び電流容量の指令信号を油圧ユニット内の起伏シリンダ12の電磁比例弁に出力して、同バルブのスプール移動方向及びバルブ開度を制御し、操作信号の大きさに応じた起仰速度でブームを起仰作動させる。このため、作業台8に搭乗する作業者は操作装置20を操作することによって、旋回台4を旋回作動させ、あるいはブーム5を起伏作動、伸縮作動等させることにより、作業台8を任意の高所に移動させて所望の高所作業を行うことができる。
【0030】
図1は、走行装置の作動制御装置の制御構成をブロック図として示している。この作動制御装置は、操作装置20、コントロールユニット30、油圧ユニット40、及び走行装置50などから構成されている。コントロールユニット30は操作装置20から操作信号を受けると、この操作信号に応じた指令信号を油圧ユニット40に出力して対応する電磁比例弁等を作動させ、制御油圧を走行装置50に出力させて車両の走行を制御する。図2には上記制御装置のうち、走行モータの制御構成を油圧系統を含めてより詳細なブロック系統図として示しており、以下これ等の図面を参照して説明する。なお、図2では油圧回路を実線で、電気的または光学的な信号回路を点線で示している。
【0031】
操作装置20には、車両の走行速度レンジを高速・中速・低速の3段階に選択する速度レンジ選択スイッチ22、操作しない状態において直立した中立位置を有し、レバーの前・後方向への傾倒方向と傾倒角とで、車両の前進・後退と移動速度とを操作する走行レバー23、操舵輪56r,56lの操舵方向を操作する操舵レバー24などが設けられている。走行レバー23は前後進の切り替え機能を有するとともに、各速度レンジで傾倒角に応じて車速をアナログ的に変化させるスロットルレバーに相当する。操作装置20は、速度レンジ選択スイッチ21の選択状態や走行レバー23、操舵レバー24の傾倒角度位置などの操作信号をコントロールユニット30に出力する。
【0032】
油圧ユニット40は、タンクT内の作動油を吸入して所定の油圧を発生させるエンジン駆動の油圧ポンプP、コントロールユニット30からの指令信号に基づいて油圧ポンプPの回転数を高速回転と低速回転の2段階に制御するエンジン回転数制御回路41、モータ容量切替弁42、走行コントロールバルブ43、ブレーキソレノイドバルブ44、操舵コントロールバルブ45などを有して構成されている。
【0033】
走行コントロールバルブ43は、油圧ポンプPと走行モータ51r,51lとを繋ぐ油路に配設されており、コントロールユニット30から出力される指令信号に基づいて走行モータ51r,51lに供給する油圧の供給方向の切り替え、及び各方向におけるバルブ開度をアナログ的に変化させる電磁比例弁である。ブレーキソレノイドバルブ44は、走行モータ51r,51lと一体に構成されたネガティブブレーキ53r,53lに対してコントロールユニット30からの指令信号に基づいて油圧を供給(または排出)させて、ネガティブブレーキのブレーキ解除(またはブレーキ作動)を行わせる。操舵コントロールバルブ45はコントロールユニット30からの指令信号に基づいて操舵シリンダ57に油圧を供給し操舵輪56r,56lの操舵角を変化させる。
【0034】
走行装置50は、左右一対の走行モータ51r,51lと、走行モータの回転をロックするネガティブブレーキ53r,53l、操舵輪56r,56lの操舵角を変化させる操舵シリンダ57などを有している。左右一対の走行モータ51r,51lは容量可変型の油圧モータであり、走行コントロールバルブ43を介して作動油室に供給される油圧によってモータ軸が回転駆動されるとともに、モータ容量切替弁42からの油圧の供給または排出によって斜板角が2段階に切り替えられ、作動油室の容積が大容量と小容量の2段階に変化される。このため、モータ容量切替弁42をオフとして油圧モータの作動油室を大容積にしたときには低回転−高トルク型の油圧モータとして機能し、モータ容量切替弁42をオンとして作動油室を小容積としたときには高回転−低トルク型の油圧モータとして機能させることができる。
【0035】
ネガティブブレーキ53r,53lは、それぞれ走行モータ51r,51lと一体に構成されており、このブレーキにブレーキソレノイドバルブ44から油圧が供給されていないとき(ブレーキソレノイドバルブがオフのとき)に、内蔵されたスプリングのバネ力により走行モータのモータ軸の回転を制動ロックしている。ブレーキソレノイドバルブ44にコントロールユニット30から指令信号出力されてこのソレノイドバルブが開くと、油圧ポンプPで発生された油圧がネガティブブレーキ53r,53lに供給されスプリング力に抗してブレーキ作動を解除させてモータ軸の回転が許容される。
【0036】
コントロールユニット30は、所定要件のもと、操作装置20から入力される操作信号に基づいた指令信号を油圧ユニット40に出力して走行装置50の作動を制御する。まず速度レンジ選択スイッチ22において選択された速度レンジの操作信号(速度レンジ信号)が入力されると、コントロールユニット30はこの速度レンジ信号に基づいた指令信号をエンジン回転数制御回路41と、モータ容量切替弁42とに出力して、選択された速度レンジに対応するエンジン回転数とモータ容量との組み合わせを設定させる。
【0037】
図3は、各速度レンジにおけるエンジン回転数と走行モータの容量との組み合わせを示している。すなわち、速度レンジ選択スイッチ22で「低速」が選択され、低速の速度レンジ信号が入力されると、コントロールユニット30はエンジン回転数制御回路41に低速回転の指令信号を出力して油圧ポンプPを回転駆動するエンジンENGの回転数を低速回転にさせるとともに、モータ容量切替弁42をオフとする指令信号を出力して走行モータ51r,51lの作動油室容積を大容量にする制御を行い低速レンジを設定させる。
【0038】
速度レンジ選択スイッチ22において「中速」が選択され、中速の速度レンジ信号が入力されたときには、エンジン回転数制御回路41に高速回転の指令信号を出力して油圧ポンプPを高速回転にさせるとともに、モータ容量切替弁42をオフとして走行モータ51r,51lの作動油室容積を大容量にする制御を行い中速レンジを設定させる。速度レンジ選択スイッチ22において「高速」が選択され、高速の速度レンジ信号が入力されたときには、エンジン回転数制御回路41に高速回転の指令信号を出力して油圧ポンプPを高速回転にさせるとともに、モータ容量切替弁42をオンとする指令信号を出力して走行モータ51r,51lの作動油室容積を小容量にする制御を行い高速レンジを設定させる。
【0039】
コントロールユニット30には、操作装置20から走行レバー23の傾倒方向と傾倒角に応じた操作信号(走行信号)もコントロールユニットに入力されている。コントロールユニット30は走行信号を受けるとその信号に応じた指令信号を走行コントロールバルブ43及びブレーキソレノイドバルブ44に出力して走行モータ51r,51lの作動を制御する。
【0040】
走行レバー23が中立位置にあり、停止の走行信号が入力されているときには、コントロールユニット30は走行コントロールバルブ43及びブレーキソレノイドバルブ44をともにオフにする指令信号を出力し、走行モータ51r,51lの作動油室への作動油供給を停止させるとともに、ネガティブブレーキをブレーキ作動させて走行モータ51r,51lの回転をロックさせる。
【0041】
走行レバー23が前進または後退方向に傾倒操作され、その傾倒角度位置に応じた走行信号が入力されると、コントロールユニット30はブレーキソレノイドバルブ44をオンとしてネガティブブレーキ53r,53lによるブレーキ作動を解除させるとともに、走行信号に応じた方向及び電流容量の指令信号を走行コントロールバルブ43に出力し、各速度レンジにおいて走行信号に対応した回転方向及び回転速度で走行モータ51r,51lを回転させ高所作業車1を走行させる。
【0042】
操作装置20からは操舵レバー24の傾倒方向と傾倒角に応じた操作信号(操舵信号)がコントロールユニットに入力されており、コントロールユニット30は操舵信号に応じた指令信号を操舵コントロールバルブ45に出力して操舵シリンダ57の作動を制御し高所作業車の走行方向を制御する。
【0043】
このように構成される高所作業車1では、コントロールユニット30により設定された速度レンジが「低速」及び「中速」のときには、走行モータが低回転−高トルク型油圧モータとなるため、走行速度はそれぞれ低速域及び中速域であるが走行トルクを大きく取ることができ、急傾斜地の登坂・降坂などに好適な走行特性を得ることができる。一方、速度レンジが「高速」のときには、走行モータが高回転−低トルク型油圧モータとなるため、走行トルクは低トルクになるが同一の走行レバー傾倒角に対して中速レンジの走行速度の約2倍の高速走行を実現することができ、平坦堅土の路面上を長距離にわたって移動するときに好適な走行特性を得ることができる。
【0044】
さて、以上のように構成される高所作業車のコントロールユニット30には、車体に対する作業台の位置や走行する路面の傾斜状態に応じて、不安全な走行レンジで走行することを規制して適切な速度レンジを設定する速度レンジ規制回路32が設けられている。
【0045】
コントロールユニット30には、ブーム位置検出器60と車体3に取り付けられて車体の傾斜角度を検出する傾斜角度検出器70とから検出信号が入力されている。ブーム位置検出器60は、車体3に対する旋回台4の旋回角度を検出する旋回角度検出器61、旋回台4に対するブーム5の起伏角度を検出する起伏角度検出器62、伸縮ブーム5の伸縮長を検出する伸長量検出器63などからなり、各検出器の検出信号がコントロールユニット30に入力される。
【0046】
速度レンジ規制回路32は、ブーム位置検出器60から入力されるブーム姿勢(作業台位置)及び傾斜角度検出器70から入力される車体傾斜角と、作業範囲メモリ31に予め設定されたブーム姿勢及び傾斜地判断角とを比較して、速度レンジ信号に基づいて選択どおりの速度レンジを設定するか、または選択された速度レンジを規制してブーム姿勢及び車体傾斜角に応じた速度レンジを設定するかを以下に示すように判断し、この判断に基づいた指令信号を出力する。
【0047】
まず、ブーム位置検出器60において検出されるブーム姿勢が、作業範囲メモリ31内に記憶された走行姿勢にあるか作業姿勢にあるかを判断する。走行姿勢とは、車両を高速走行させたときでも作業台に搭乗する作業者が振り回されるおそれが少ない作業台の位置範囲として予め設定記憶されたブーム姿勢をいい、例えばブーム5の伸長量が所定の長さ範囲内(例えば2m以内)であり、かつ、ブーム起伏角度が所定の角度範囲内(例えば水平以下)であるときに走行姿勢にあると判断する。また上記所定範囲を超えて作業台8が外側にあるときには高所作業を行う作業姿勢にあると判断する。
【0048】
走行姿勢にあると判断されるときは、さらに傾斜角度検出器70で検出される車体傾斜角と作業範囲メモリ31に記憶された傾斜地判断の傾斜角度とを比較し、検出される車体傾斜角が所定の傾斜角度(例えば24度)未満であるときには走行路面が平坦路であると判断し、上記所定角以上であるときには傾斜地であると判断する。そして、このようにして判断されたブーム姿勢と走行路面の傾斜角度とから図4に示すように速度レンジを設定する。
【0049】
ブーム姿勢が走行姿勢でありかつ走行路面が平坦路の場合には、速度レンジ選択スイッチ22で選択された速度レンジどおりの速度レンジで走行することを許容し、コントロールユニット30に入力される速度レンジ信号に対応する指令信号をエンジン回転数制御回路41とモータ容量切替弁42とに出力させて当該選択どおりの速度レンジを設定させる。
【0050】
ブーム姿勢は走行姿勢であるが路面状態が傾斜地である場合には、速度レンジ選択スイッチ22で選択された速度レンジが中速または低速のときには選択された速度レンジどおりの速度レンジを設定させる。しかし、選択された速度レンジが高速のときには、高速レンジの指令信号を出力することを規制して中速レンジの指令信号を出力させ、中速レンジの設定を行わせる。
【0051】
ブーム姿勢が作業姿勢である場合には、路面状態が平坦路であるか傾斜地であるか、及び選択された速度レンジがどの速度レンジであるかに拘わらず、低速レンジの指令信号を出力させ低速レンジの設定を行わせる。
【0052】
すなわち、ブーム姿勢が作業姿勢の場合には、作業台8に搭乗する作業者が作業台上で振り回されて高所から落下する等の危険な状態にならないように、速度レンジ選択スイッチ22の選択位置に拘わらず低速レンジに固定する速度レンジ規制が行われ作業者の安全が図られている。また、ブーム姿勢が走行姿勢でありかつ平坦路の場合には、速度レンジ選択スイッチ22の選択位置どおりの速度レンジが設定され、作業者の作業意図に応じた適切な駆動状態で走行移動させることができる。
【0053】
ブーム姿勢は走行姿勢であるが路面状態が傾斜地であるときには、高速レンジでの走行を規制する速度レンジ規制が行われ、速度レンジ選択スイッチ22で高速レンジが選択されても自動的に中速レンジが設定される。図3に示したように、設定される速度レンジが中速レンジ及び低速レンジでは走行モータ51r,51lの容量が大容量に切り替えられており、走行モータは低回転−高トルク型モータとして機能する。
【0054】
このため、選択された高速レンジすなわち高回転−低トルク型モータの状態のままでは、傾斜地で走行レバー23が傾倒操作されてネガティブブレーキ53r,53lが解除されたときに、走行モータの保持トルク不足から車両が傾斜下方に転がり走行してしまうような場合であっても、自動的に設定された中速レンジでは走行モータが高トルク型モータの状態であるために車両が転がり走行するようなことがなく、安全性の高い高所作業車を得ることができる。
【0055】
また、中速レンジで発進するため、従来のように高速レンジでネガティブブレーキの解除タイミングを制御する場合のように、複雑かつ微妙なタイミング制御を行う必要がなく、また、ブレーキ解除タイミングのズレによる一時的な転がり走行や衝撃を伴う急発進等を生じることがない。
【0056】
なお、このような速度レンジの設定は、車両の走行中に路面状態が平坦路から傾斜地に変化した場合についても同様に適用される。すなわち、速度レンジ規制回路32は、平坦路の走行時に速度レンジ選択スイッチ22で高速レンジが選択され高速レンジ設定で走行中に、路面状態が登坂路や降坂路の傾斜地に変化して車体の傾斜角が上記所定の傾斜角度以上となったときに、自動的に速度レンジを中速レンジに変速させて設定させる。
【0057】
従って、上記のような走行状態で、走行レバー23を中立位置近傍に戻した場合や、車両を一旦停止させた後に当該選択レンジのまま再び走行させる場合であっても、走行モータが高トルク型モータの状態に自動設定されているため、車両が転がり走行したり、衝撃を伴う急発進等を生じることがなく、安全性の高い高所作業車を得ることができる。
【0058】
コントロールユニット30は、このように速度レンジ選択スイッチ22における選択レンジと異なる速度レンジが設定されているときには、例えば警報ランプやLED等の表示手段を用いた速度レンジ規制表示80により速度レンジ規制が働いていることを表示する。
【0059】
また、速度レンジ規制回路32は、このような速度レンジ規制を行って傾斜地を中速レンジで走行中に平坦路に至った場合、あるいは作業姿勢で低速レンジで走行中にブーム姿勢が走行姿勢になった場合に、速度レンジが自動的に増速側に切り替わって車両が急加速することがないように、当該規制された速度レンジを維持する。そして、走行レバー23が中立位置に戻され車両の走行が停止したときにブーム姿勢と路面傾斜角とから速度レンジ規制を継続するか否かを判断し、速度レンジ規制の条件(図4参照)を外れていると判断されるときに速度レンジ規制を解除する。
【0060】
このため、傾斜地から平坦路に至ったような場合に速度レンジの規制が突然解除されて車両が急加速するようなことがなく、このような変速に起因する不測の事態を未然に防止することができる。
【0061】
なお、速度レンジ規制を解除する判断時は、上記のような車両が停止したときではなく(あるいは車両停止時という条件に加えて)、速度レンジ選択スイッチ22で速度レンジの選択操作が成されたときとすることもできる。すなわち、速度レンジ規制回路32は、速度レンジ規制を行って傾斜地を中速レンジで走行中に平坦路に至った場合や、作業姿勢で低速レンジで走行中にブーム姿勢が走行姿勢になった場合に、上記同様に速度レンジが自動的に増速側に切り替わらないように規制された速度レンジを維持する。そして、このような維持作動中に速度レンジ選択スイッチ22で速度レンジの選択操作が行われたときに、ブーム姿勢と路面傾斜角及び選択された速度レンジから速度レンジ規制を継続するか否かを判断し、速度レンジ規制の条件(図4参照)を外れていると判断されるときに速度レンジ規制を解除する。
【0062】
このような構成とすれば、前述した実施例と同様に、走行中に傾斜地から平坦路に至った場合に、速度レンジの規制が突然解除されて車両が急加速するようなことがなく、かかる変速に起因する不測の事態を未然に防止することができる。また、本構成によれば車両を高速走行させるためには必ず作業者の意思を伴った主体的な選択操作が必要となることから、作業者が予期しない高速走行を防止することができる。さらに、車両を逐一停車させることなく速度レンジ規制を解除させることもできるため、作業効率を向上させた高所作業車を提供することができる。
【0063】
なお、以上説明した実施例では油圧走行車両の一例として、二輪駆動のホイール型自走式高所作業車を採り上げ、油圧モータ容量と油圧ポンプ回転数の組み合わせで3段階の速度レンジを構成する場合を例示したが、本発明はこのような型式の車両に限定されるものではなく、可変容量型の油圧モータの作動油室の容積を切り替えて2段以上の速度レンジを構成するものであれば同様に適用することができる。例えば、車両型式として4輪駆動の油圧走行車両やタイヤ車輪に代えてクローラベルトを有するクローラ型の油圧走行車両であっても同様に構成することができ、同様の効果を得ることができる。
【0064】
また、本発明については、油圧モータは必ずしも可変容量型である必要はなく、複数の速度レンジを切り替え自在に構成するものであれば同様に適用することができる。例えば、油圧ポンプの回転数を変化させて複数段の速度レンジを構成するものや、左右の油圧モータの油圧回路を並列と直列とに切り替えて複数の速度レンジを構成するもの等であってもよい。
【0065】
以上説明した実施形態においては、車体に取り付けられた油圧発生源から油圧供給を受ける可変容量型の油圧モータと、この油圧モータによって回転駆動され車両を走行させる走行体と、油圧モータの容量を少なくとも大容量と小容量とに変化させる容量変更手段と、車両の走行速度段を選択する速度段選択手段と、速度段選択手段における選択に基づいて容量変更手段に容量変更信号を出力し油圧モータの容量を変化させる制御装置と、車体の傾斜角度を検出する傾斜角度検出手段と、傾斜角度検出手段において検出される車体の傾斜角度が予め設定された所定の傾斜角度以上であるときに、油圧モータの容量を小容量にする容量変更手段の作動を規制するモータ容量規制手段とを有して油圧走行車両の安全装置を構成する。
【0066】
上記構成では、油圧モータの容量が小容量の状態ではブレーキが解除されたときに車両が傾斜下方に転がり移動してしまうような傾斜地において、速度選択手段で油圧モータが小容量になる速度段が選択されても、モータ容量規制手段は制御装置がこの選択に基づいて油圧モータの容量を小容量に設定することを規制して小容量を超えるモータ容量の速度段に設定させる。従って、このような傾斜地で油圧モータの容量が小容量に設定されることがないため、車両が傾斜地の下方に転がり走行することがなく、また一時的に後退したり衝撃を伴って急発進したりすることがない安全な油圧走行車両を提供することができる。
【0067】
また、モータ容量規制手段は、油圧モータの容量が小容量の状態で、傾斜角度検出手段において検出される車体の傾斜角度が予め設定された所定の傾斜角度以上になったときに、制御装置に油圧モータの容量を小容量を超える容量に変更する容量変更信号を出力させ、油圧モータの容量を小容量を超える容量に設定させるように安全装置を構成する。従って、油圧モータの容量が小容量の状態で平地から傾斜地に至り、その走行中に所定の傾斜角を超えた場合であっても、油圧モータの容量が自動的に小容量を超える容量に切り替えられるため、車両が傾斜地の下方に転がり走行することがなく、また一時的に後退したり衝撃を伴って急発進したりすることがない安全な油圧走行車両を提供することができる。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、車体に取り付けられた油圧発生源から油圧供給を受ける油圧モータと、この油圧モータにより回転駆動され車両を走行させる走行体と、車両の走行速度段を選択する速度段選択手段と、この速度段選択手段の選択に基づいて車両の走行速度段を設定る制御装置と、車体の傾斜角度を検出する傾斜角度検出手段と、高速の速度段が設定されている状態で、傾斜角度検出手段で検出される車体の傾斜角度が予め設定された所定の傾斜角度以上になったときに、高速側の速度段をこれより低速側の速度段に変更させる速度段変更手段とを設け、速度段変更手段は、上記のように変更された低速側の速度段が設定されている状態で、傾斜角度検出手段で検出される車体の傾斜角度が所定の傾斜角度未満に戻ったとしても、車両が走行を停止するまで変更させた速度段を維持させるように油圧走行車両の安全装置を構成している
【0069】
上記構成によれば、速度段変更手段は、高速の速度段で走行中に車体傾斜角が所定の傾斜角度以上になったときに、制御装置に速度段を低速側の速度段に切り替えさせ、その後車体の傾斜角が所定の傾斜角度未満に戻った場合には、車両が停止するまで変更設定させた速度段を維持させる。このため、速度レンジが規制された状態で傾斜地から平坦路に至ったような場合に、この規制が突然解除されて車両が急加速するようなことがなく、安全性が高い油圧走行車両を提供することができる。
【0070】
また、もう一つの本発明では上記と同一構成の油圧走行車両において、速度段変更手段は、変更された低速側の速度段が設定されている状態で、傾斜角度検出手段で検出される車体の傾斜角度が所定の傾斜角度未満に戻ったとしても、速度段選択手段で再び速度段が選択されるまで変更させた速度段を維持させるように油圧走行車両の安全装置を構成している。このため、上記発明と同様に、速度レンジが規制された状態で傾斜地から平坦路に至ったような場合でも、この規制が突然解除されて車両が急加速するようなことがなく、安全性の高い高所作業車を提供することができる。さらに、本構成によれば車両を高速走行させるためには必ず作業者の意思を伴った主体的な選択操作が必要となることから、作業者が予期しない高速走行を防止することができ、また、維持作動の走行中に規制を解除させることも可能なため、安全性と作業効率とを両立させた油圧走行車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る安全装置を備えた高所作業車の走行制御装置の制御構成を示すブロック図である。
【図2】上記走行制御装置における走行モータの油圧回路及び制御構成を示すブロック図である。
【図3】上記高所作業車においてエンジン回転数とモータ容量との組み合わせによって設定される速度レンジを示す図表である。
【図4】速度レンジ選択スイッチで選択された速度レンジと、ブーム姿勢と路面傾斜状態とに応じて設定される速度レンジとの関係を示す図表である。
【図5】本発明に係る安全装置を備えた油圧走行車両の一例として示す高所作業車の斜視図である。
【符号の説明】
P 油圧ポンプ(油圧発生源)
1 高所作業車(油圧走行車両)
5 ブーム(昇降装置)
8 作業台
22 速度レンジ選択スイッチ(速度選択手段)
30 コントロールユニット(制御装置)
32 速度レンジ規制回路(モータ容量規制手段)
42 モータ容量切替弁(容量変更手段)
51r,51l 走行モータ(可変容量型の油圧モータ)
55r,55l 駆動輪(走行体)
60 ブーム位置検出器(位置検出手段)
70 傾斜角度検出器

Claims (4)

  1. 車体に取り付けられた油圧発生源から油圧供給を受ける油圧モータと、
    前記油圧モータにより回転駆動され車両を走行させる走行体と、
    前記油圧モータにより回転駆動されて前記車両が走行するときの走行速度段を選択する速度段選択手段と、
    前記速度段選択手段の選択に基づいて前記車両の走行速度段を設定する制御装置と、
    前記車体の傾斜角度を検出する傾斜角度検出手段と、
    前記速度段選択手段による高速側の速度段の選択に基づいて前記制御装置により前記高速側の速度段が設定されて走行している状態で、前記傾斜角度検出手段で検出される前記車体の傾斜角度が予め設定された所定の傾斜角度以上になったときに、前記高速側の速度段をこれより低速側の速度段に変更させる速度段変更手段とを有し、
    前記速度段変更手段は、前記低速側の速度段に変更された状態で、前記傾斜角度検出手段で検出される前記車体の傾斜角度が前記所定の傾斜角度未満に戻ったとしても、前記車両が走行を停止するまで前記変更された低速側の速度段を維持させることを特徴とする油圧走行車両の安全装置。
  2. 車体に取り付けられた油圧発生源から油圧供給を受ける油圧モータと、
    前記油圧モータにより回転駆動され車両を走行させる走行体と、
    前記油圧モータにより回転駆動されて前記車両が走行するときの走行速度段を選択する速度段選択手段と、
    前記速度段選択手段の選択に基づいて前記車両の走行速度段を設定する制御装置と、
    前記車体の傾斜角度を検出する傾斜角度検出手段と、
    前記速度段選択手段による高速側の速度段の選択に基づいて前記制御装置により前記高速側の速度段が設定されて走行している状態で、前記傾斜角度検出手段で検出される前記車体の傾斜角度が予め設定された所定の傾斜角度以上になったときに、前記高速側の速度段をこれより低速側の速度段に変更させる速度段変更手段とを有し、
    前記速度段変更手段は、前記低速側の速度段に変更された状態で、前記傾斜角度検出手段で検出される前記車体の傾斜角度が前記所定の傾斜角度未満に戻ったとしても、前記速度段選択手段により再び速度段が選択されるまで前記変更された低速側の速度段を維持させることを特徴とする油圧走行車両の安全装置。
  3. 前記油圧モータが可変容量型の油圧モータからなり、前記制御装置が前記油圧モータの可変容量制御を行って前記車両の走行速度段を設定することを特徴とする請求項1もしくは2に記載の油圧走行車両の安全装置。
  4. 前記油圧発生源がエンジンおよび前記エンジンにより駆動される油圧ポンプから構成され、
    前記エンジンによる前記油圧ポンプの回転駆動を制御するポンプ回転数制御手段および
    前記油圧ポンプから吐出されて前記油圧モータに供給される油量を制御する走行コントロールバルブを備え、
    前記制御装置が前記ポンプ回転数制御手段および前記走行コントロールバルブの作動を制御して前記車両の走行速度段を設定することを特徴とする請求項1もしくは2に記載の油圧走行車両の安全装置。
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