JP3968539B2 - 結晶化ガラス物品及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は結晶化ガラス物品とその製造方法に関し、より詳しくは建築物の外装材、内装材等の建築用化粧材として使用される結晶化ガラス物品とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築物の外装材、内装材等の建築用化粧材として、結晶化ガラス物品が使用されている。
【0003】
この種の結晶化ガラス物品を製造する方法として、集積法と呼ばれる製造法が知られている。この方法は、まず軟化点より高い温度で熱処理すると軟化変形しながら表面から内部に向かって針状の結晶が析出する性質を有するガラスを水砕等の方法で粉砕し、粒径が10mm以下のガラス小体を多数個用意する。次いでこのガラス小体群を耐火性型枠内に集積し、軟化点以上の温度で熱処理することにより、ガラス小体同士を融着一体化させるとともに結晶化させる、というものである。この方法によって作製された結晶化ガラス物品は、ガラス小体の形状に基づくパターンが現れ、天然石様の外観を呈する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記方法によって作製される結晶化ガラス物品は、表面のパターンが不均一になったり、色調にムラが生じやすい。また製造コストを低減するために焼成時間を短縮すると、この傾向が益々強くなるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、パターンが均一で、色調のムラがない結晶化ガラス物品と、その製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は種々の検討を行った結果、使用するガラス小体中に微粒や粗粒が存在しており、場合によっては異物が混入しているためにパターンが安定せず、色ムラが生じやすいこと、及び製品面を形成するガラス小体の粒径を揃え、表面に現れない部分には微粒や粗粒のガラス小体を用いることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明として提案するものである。
【0007】
即ち、本発明の結晶化ガラス物品は、軟化点より高い温度で熱処理すると軟化変形しながら結晶が析出する性質を有するガラス小体の複数個が融着一体化するとともに結晶を析出してなる結晶化ガラス物品において、粒径5mm以上の粗粒及び粒径2mm未満の微粒からなる第一のガラス小体群から形成される表面に現れない裏面結晶化ガラス層と、第一のガラス小体群と同じ組成を有し、粒径が2mm以上、5mm未満である第二のガラス小体群から形成される表面結晶化ガラス層の2層構造を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の結晶化ガラス物品の製造方法は、軟化点より高い温度で熱処理すると軟化変形しながら結晶が析出する性質を有するガラスを用意し、このガラスを粉砕してガラス小体とし、該ガラス小体を分級することにより粒径2mm未満の微粒及び粒径5mm以上の粗粒からなる第一のガラス小体群を用意する工程と、前記ガラス小体を分級することにより粒径が2mm以上、5mm未満である第二のガラス小体群を用意する工程と、耐火性型枠内に第一のガラス小体群を集積し、その上に第一のガラス小体が表面に現れないように第二のガラス小体群を集積する工程と、熱処理してガラス小体同士を融着一体化させるとともに各ガラス小体を結晶化させる工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
また本発明の他の結晶化ガラス物品の製造方法は、軟化点より高い温度で熱処理すると軟化変形しながら結晶が析出する性質を有するガラスを用意し、このガラスを粉砕してガラス小体とし、該ガラス小体を分級することにより粒径2mm未満の微粒及び粒径5mm以上の粗粒からなる第一のガラス小体群を用意する工程と、前記ガラス小体を分級することにより粒径が2mm以上、5mm未満である第二のガラス小体群を用意する工程と、耐火性型枠内に第一のガラス小体が表面に現れないように第二のガラス小体群を集積し、その上に第一のガラス小体群を集積する工程と、熱処理してガラス小体同士を融着一体化させるとともに各ガラス小体を結晶化させる工程とを含むことを特徴とする。
【0010】
【作用】
集積法により結晶化ガラス物品を作製すると、ガラス小体の表面から内部に向かって結晶が析出し、ガラス小体の形状に起因するパターンが結晶化ガラス表面に現れる。それゆえ、製品面を形成するガラス小体の粒径を揃えることにより、パターンが均一で、色ムラがない外観を安定して得ることができる。
【0011】
以下に、本発明の結晶化ガラス物品を製造する方法を説明する。
【0012】
まず第一のガラス小体群及び第二のガラス小体群を用意する。各ガラス小体群は次のようにして作製する。まず、熱処理すると軟化変形しながら結晶が析出する性質を有するガラスを用意する。このようなガラスとしては種々の組成を有するものが使用でき、例えば重量%でSiO2 40〜77%、Al23 0.5〜25%、CaO 0.5〜25%、ZnO 0〜18%、BaO 0〜20%、MgO 0〜17%、Na2 O 0.5〜25%、K2 O 0〜10%、Li2 O 0〜5%の組成を有し、主結晶としてβ−ウオラストナイト等の結晶を析出する性質を有するガラスが使用できる。次いでこのガラスを水砕等の方法で粉砕してガラス小体とし、粗粒や微粒からなる第一のガラス小体群と、これらを含まない第二のガラス小体群とに分級する。ここで第二のガラス小体群を構成するガラス小体は、所望のパターンが得られるように所定粒径外の粒子、即ち微粒や粗粒を除いたものである。
【0013】
次に、耐火性型枠内に第一のガラス小体群を集積し、表面をならした後、その上に第二のガラス小体群を集積し、表面をならす。なお第一のガラス小体群と第二のガラス小体群の比率は、下層側のガラス小体が表面に現れない程度であれば、特に制限されない。
【0014】
その後、ガラスの軟化点以上の温度で熱処理することにより、各ガラス小体が軟化変形して融着一体化するとともに、ガラス小体中に結晶が析出する。このようにして第一のガラス小体群、即ち粒径2mm未満の微粒及び粒径5mm以上の粗粒からなる第一のガラス小体群から形成される表面に現れない裏面結晶化ガラス層と、第一のガラス小体群と同じ組成を有し、粒径が2mm以上、5mm未満である第二のガラス小体群、即ち前記微粒及び粗粒を含まないガラス小体群から形成される表面結晶化ガラス層の二層構造を有する結晶化ガラス物品を得ることができる。
【0015】
なお、ここでは上面を製品面として使用する場合について説明したが、逆に下面を製品面とする場合は、上述した第一のガラス小体群と第二のガラス小体群を入れ替えて使用すればよい。
【0016】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を説明する。なお図1は本方法を示す説明図である。
【0017】
(実施例)
まず重量百分率でSiO2 64%、Al23 5%、CaO 14%、ZnO 5%、BaO 5%、Na2 O 3%、K2 O 2%、Li2 O 0.5%、B23 1%、Sb23 0.5%の組成を有し、軟化点が約700℃であり、熱処理するとβ−ウォラストナイトを析出する性質を有するガラスとなるように調合されたガラス原料を約1450℃で溶融した。次にこの溶融ガラスを水中に投入して水砕し、粒径が10mm以下の小球状ガラス小体を得た。
【0018】
次いでこのガラス小体を粒径2mm未満の微粒及び粒径5mm以上の粗粒からなる第一のガラス小体群1と、粒径が2mm以上、5mm未満である第二のガラス小体群2を用意した。
【0019】
次に離型剤としてアルミナ粉が塗布されたムライト・コージエライト質の型枠3(内寸約1000×2000×30mm)内に、第一のガラス小体群1を約15mmの厚さに集積して表面をならし、その上に第二のガラス小体群2を約15mmの厚さに集積して表面をならした。
【0020】
その後、熱処理炉内で1000℃以上の温度で焼成することによって、各ガラス小体を融着一体化させるとともにβ−ウォラストナイトを析出させ、約1000×2000×16mmの大きさの二層構造の結晶化ガラス板を得た。こうして得られた結晶化ガラス板の製品面(上面側)は、パターンが均一で、色ムラのない外観を呈していた。
【0021】
(比較例)
実施例と同様にして作製した小球状ガラス小体を、未分級のまま、アルミナ粉が塗布されたムライト製型枠内に集積した後、上記と同様にして熱処理し、結晶化ガラス物品を作製した。
【0022】
このようにして作製した結晶化ガラス物品の上面は、パターンが不均一であり、また色ムラが認められた。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の結晶化ガラス物品は、パターンが均一で色ムラのない安定した外観が得られるため、建築物の外装材、内装材等の建築用化粧材として好適である。
【0024】
また本発明の方法によれば、上記した結晶化ガラス物品を容易に製造することができる。また分級により生じた微粒や粗粒を裏面結晶化ガラス層用材料として100%有効利用することができ、しかも焼成時間の短縮が可能であるため、結晶化ガラス物品を安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 第一のガラス小体群
2 第二のガラス小体群
3 耐火性型枠

Claims (5)

  1. 軟化点より高い温度で熱処理すると軟化変形しながら結晶が析出する性質を有するガラス小体の多数個が融着一体化するとともに結晶を析出してなる結晶化ガラス物品において、粒径5mm以上の粗粒及び粒径2mm未満の微粒からなる第一のガラス小体群から形成される表面に現れない裏面結晶化ガラス層と、第一のガラス小体群と同じ組成を有し、粒径が2mm以上、5mm未満である第二のガラス小体群から形成される表面結晶化ガラス層の2層構造を有することを特徴とする結晶化ガラス物品。
  2. ガラス小体が、重量%でSiO 2 40〜77%、Al 2 3 0.5〜25%、CaO 0.5〜25%、ZnO 0〜18%、BaO 0〜20%、MgO 0〜17%、Na 2 O 0.5〜25%、K 2 O 0〜10%、Li 2 O 0〜5%の組成を有し、主結晶としてβ−ウオラストナイト結晶を析出する性質を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の結晶化ガラス物品。
  3. 軟化点より高い温度で熱処理すると軟化変形しながら結晶が析出する性質を有するガラスを用意し、このガラスを粉砕してガラス小体とし、該ガラス小体を分級することにより粒径2mm未満の微粒及び粒径5mm以上の粗粒からなる第一のガラス小体群を用意する工程と、前記ガラス小体を分級することにより粒径が2mm以上、5mm未満である第二のガラス小体群を用意する工程と、耐火性型枠内に第一のガラス小体群を集積し、その上に第一のガラス小体が表面に現れないように第二のガラス小体群を集積する工程と、熱処理してガラス小体同士を融着一体化させるとともに各ガラス小体を結晶化させる工程とを含むことを特徴とする結晶化ガラス物品の製造方法。
  4. 軟化点より高い温度で熱処理すると軟化変形しながら結晶が析出する性質を有するガラスを用意し、このガラスを粉砕してガラス小体とし、該ガラス小体を分級することにより粒径2mm未満の微粒及び粒径5mm以上の粗粒からなる第一のガラス小体群を用意する工程と、前記ガラス小体を分級することにより粒径が2mm以上、5mm未満である第二のガラス小体群を用意する工程と、耐火性型枠内に第一のガラス小体が表面に現れないように第二のガラス小体群を集積し、その上に第一のガラス小体群を集積する工程と、熱処理してガラス小体同士を融着一体化させるとともに各ガラス小体を結晶化させる工程とを含むことを特徴とする結晶化ガラス物品の製造方法。
  5. 1000℃以上の温度で熱処理することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の結晶化ガラス物品の製造方法。
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