JP3967604B2 - Rake受信機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、CDMA(Code Division Multiple Access)方式を採用した移動通信システムにおいて、マルチパス信号を受信するために使用されるRAKE受信機に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動通信システムでは、基地局と移動通信端末との間の無線伝搬路上で山や建物などの影響によりマルチパスが発生する。マルチパスは、互いに干渉しあって周波数選択性フェージングを引き起こし、通信品質を劣化させる原因となる。特に、データ伝送速度が数百Kbps 以上のシステムにあってはその影響が無視できない。
【0003】
そこで、CDMA移動通信端末ではRAKE受信機を使用している。RAKE受信機は、基地局から異なる経路をたどって到来する複数のパスをサーチャと呼ばれる受信回路でサーチし、受信レベルが所定レベル以上の複数のパスを検出する。そして、この検出された複数のパスをそれぞれフィンガと呼ばれる受信回路で受信復調したのち、その各復調信号を位相を合わせて合成器で合成することで、通信品質が良好な復調信号を得るものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、各フィンガでそれぞれ受信復調されるパスの信号はフェージングの影響を受けて波形歪みを有している。このため、各フィンガがそれぞれパスを常に最適なタイミングで復調できるとは限らず、十分なRAKE受信性能を発揮できないことがある。
【0005】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、回路規模の大型化及び複雑化を最小限に抑えた上で、パスに発生する波形歪みの影響を低減して良好なRAKE受信性能を発揮するようにし、これにより劣悪な無線伝搬環境下においても高品質の移動通信を実現できるRAKE受信機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためにこの発明に係わるRAKE受信機は、複数のパスの信号を個別に復調してその復調信号を出力する複数のフィンガと、これらのフィンガから出力された各復調信号を位相を合わせて合成して合成された復調信号を出力する合成器とに加え、上記複数のフィンガのうち、上記複数のパスの信号のうち信号レベルが最大となるパスの信号を復調するフィンガのみ、又は当該フィンガを含む上記複数のフィンガより少数のフィンガに対応して等化器を設けている。そしてこの等化器により、上記フィンガで復調されるパスの信号に対し波形等化を行うようにしたものである。
【0007】
したがってこの発明によれば、例えばフェージングの影響によりパスの信号に波形歪みが発生しても、このパスの信号がフィンガで復調される際に上記等化器により波形等化される。このため、フィンガからは上記波形歪みによる影響が低減された復調信号が得られ、これにより劣悪な無線伝送環境下においても高品質の移動通信を実現できる。
【0008】
しかも、上記等化器は複数のパスの信号のうち信号レベルが最大となるパスの信号を復調するフィンガのみ、又は当該フィンガを含む上記複数のフィンガより少数のフィンガに対応して設けられる。この結果、回路規模の大型化及び複雑化を最小限に抑えた上で、1個の等化器で十分な波形歪み抑圧効果を得ることができる。
【0009】
また上記等化器を適応等化器により構成するとよい。この場合、適応等化器は、対応するフィンガで復調されるパスの信号に対し最大値を与える受信タイミングを検出し、この検出された受信タイミングにおいて得られる上記パスの信号に含まれる既知の信号の受信結果からその遅延プロファイルを求める。そして、この遅延プロファイルをもとに上記パスの信号に対し波形等化を行う。
このように構成することで、フィンガで復調されるパスの信号に対し上記等化器により適応的な波形等化が行われる。このため、フェージング等の発生状況が変動しても、この変動に応じて常に最適な波形等化処理を行うことができ、さらに安定した波形歪み抑圧効果を得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明に係わる移動通信端末の一実施形態を示す回路ブロック図である。この移動通信端末は、TDMA(Time Division Multiple Access)方式の一つであるGSM(global System for Mobile communication)方式と、W−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)方式の二つの無線アクセス方式に対応可能な、いわゆるGSM/W−CDMAデュアルモードタイプの移動通信端末である。
【0014】
図示しないGSM基地局から送信されたGSM無線信号及びW−CDMA基地局から送信されたW−CDMA無線信号は、アンテナ1でそれぞれ受信されたのちアンテナ共用器2(DUP)を介して受信回路(RX)3に入力される。受信回路3は、入力されたGSM無線信号及びW−CDMA無線信号を周波数シンセサイザ(SYN)4から発生される受信局部発振信号とミキシングして中間周波或いはベースバンドの信号に周波数変換する。そして、この周波数変換された信号に対し直交復調処理及びA/D変換処理を行ってGSMベースバンド複素信号及びW−CDMAベースバンド複素信号をそれぞれ再生し、この再生された信号をGSM/W−CDMA信号処理部6に入力する。なお、上記周波数シンセサイザ4が発生する受信局部発振信号の周波数は、制御部12が出力する制御信号SYCにより指示される。
【0015】
GSM/W−CDMA信号処理部6は、入力されたGSMベースバンド複素信号に対してはGMSK/BPSK変換器による復調処理と適応等化器による波形等化処理とを行い、これにより得られた復調データを圧縮/伸張処理部7に入力する。また、入力されたW−CDMAベースバンド複素信号に対しては、RAKE受信機によるRAKE受信合成処理と適応等化器による波形等化処理とを行い、これにより得られた復調データを上記圧縮/伸張処理部7に入力する。このGSM/W−CDMA信号処理部6の構成については後に詳しく説明する。
【0016】
圧縮/伸張処理部7は、音声コーデック及び画像コーデックを備える。そして、入力された復調データのうち音声データについては音声コーデックで音声復号してディジタル音声信号を再生し、このディジタル音声信号をPCM符号処理部8に入力する。PCM符号処理部8は、入力されたディジタル音声信号をPCM復号してアナログ音声信号を再生し、このアナログ音声信号を受話増幅器9へ出力する。受話増幅器9は、上記PCM符号処理部8から出力されたアナログ音声信号を増幅してスピーカ10から出力させる。
【0017】
これに対し、入力された復調データのうち画像データについては、画像コーデックにより例えばJPEG又はMPEG4方式に従い復号してディジタル画像信号を再生し、制御部12に入力する。制御部12は、再生されたディジタル画像信号を表示部15の液晶表示器に供給して表示させる。また制御部12は、必要に応じて上記復号前の音声データ及び画像データを記憶部13に記憶する。なお、移動通信端末に携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistance )やノート型パーソナル・コンピュータ等の外部情報端末が接続されている場合には、上記ディジタル音声信号及びディジタル画像信号を図示しない外部インタフェースを介して外部情報端末へ転送することも可能である。
【0018】
一方、マイクロホン11に入力された話者の送話音声信号は、送話増幅器18により適正レベルまで増幅されたのち、PCM符号処理部8にてPCM符号化処理が施され、ディジタル音声信号として圧縮/伸張処理部7に入力される。また制御部12において作成された送信メールや図示しないカメラにより撮像されたディジタル画像信号は、制御部12から圧縮/伸張処理部7に入力される。
【0019】
圧縮/伸張処理部7は、入力されたディジタル音声信号に対し、音声コーデックによりGSM方式の場合にはVSELP方式で、またW−CDMA方式の場合にはAMR(Adaptive Multi Rate)方式で音声符号化処理を行う。また、入力されたディジタル画像信号に対しては、画像コーデックにより例えばJPEG又はMPEG4方式により画像符号化処理を行う。そして、音声のみの通信の場合には上記符号化された音声データをそのままGSM/W−CDMA信号処理部6に供給し、一方テレビ電話通信等のマルチメディア通信の場合には上記符号化された音声データと画像データとを多重化し、この多重化されたデータを上記GSM/W−CDMA信号処理部6に供給する。
【0020】
GSM/W−CDMA信号処理部6は、GSM方式のときには入力された上記音声データをGMSK変調方式により変調して送信回路(TX)5へ出力し、一方W−CDMA方式のときには入力された上記多重化データを拡散符号により拡散して送信回路(TX)5へ出力する。送信回路5は、上記GSM/W−CDMA信号処理部6から出力された送信データを直交変調し、この変調された送信データを周波数シンセサイザ4から発生される送信局部発振信号と合成して無線信号に周波数変換する。そして、この送信無線信号を高周波増幅したのちアンテナ共用器2を介してアンテナ1に供給し、このアンテナ1から基地局へ向け送信する。
【0021】
入力部14には、ダイヤルキーと、発信キー、電源キー、終了キー、音量調節キー及びマルチファンクションキー等の機能キーとが設けられている。また表示部15には、液晶表示器に加えLEDが設けられている。液晶表示器には、先に述べた画像データに加え、送受信メール、通信相手端末の電話番号や名前、自端末の動作状態を表すピクト情報等が表示される。またLEDは、着信報知やバッテリ16の充電動作状態を表示するために使用される。なお、17は電源回路であり、バッテリ16の出力をもとに所定の動作電源電圧Vccを生成して各回路部に供給する。
【0022】
ところで、上記GSM/W−CDMA信号処理部6のRAKE受信機は次のように構成される。図2はその構成を示す回路ブロック図である。このRAKE受信機は、複数のユニット101,102,…と、加算−符号化部100とを備えている。
【0023】
各ユニット101,102,…のうち第1のユニット101を除く各ユニット102,103,…は、受信されたW−CDMA無線信号に含まれる複数のパスをそれぞれ復調するフィンガとして機能する。これらのユニット102,103,…はいずれも、遅延用バッファ121,131,…と、相関コード乗算器122,132,…と、伝送路推定器123,133,…と、乗算器124,134,…及び125,135,…とを備える。
【0024】
一方、第1のユニット101は、W−CDMA無線信号に含まれる複数のパスのうち受信レベルが最大のパスを復調するフィンガとしての機能と、GSM無線信号の復調機能とを併せ持つ。すなわち、GSM無線信号の復調機能は、GMSK−BPSK変換器110と適応等化器117とから構成される。GMSK−BPSK変換器110は、GMSK変換されたGSMベースバンド複素信号をBPSK信号に変換する。これに対しフィンガは、遅延用バッファ111、相関コード乗算器112、伝送路推定器113及び重み付け乗算器115により構成される。
【0025】
また第1のユニット101は、上記適応等化器117をGSM無線信号の波形等化用として使用するだけでなく、W−CDMA無線信号の波形等化用としても共用している。さらに上記伝送路推定器113を、W−CDMA無線信号の最大パスの伝送路推定用として使用するだけでなく、GSM無線信号の受信時に適応等化器117のタップ係数を初期設定するためのトレーニング回路としても共用している。
【0026】
また、上記適応等化器117及び伝送路推定器113を共用するために、第1のユニット101は選択スイッチ116を備えている。この選択スイッチ116は、制御部12から出力されるGSM/W−CDMA処理選択信号SSにより、GSMベースバンド複素信号と、W−CDMAベースバンド複素信号との一方を選択的に取り込んで遅延バッファ111に供給する。
【0027】
遅延用バッファ111は、入力されたGSM/W−CDMAベースバンド複素信号をスロットごとに蓄積する。そして、このGSM/W−CDMAベースバンド複素信号に含まれている伝送路推定用の既知信号を抽出して伝送路推定器113に供給する。例えば、GSM方式が選択されている場合には、ノーマルバーストフォーマットのスロットの中央部に配置されている伝送路推定用のトレーニングシーケンスを抽出して伝送路推定器113に供給する。これに対しW−CDMA方式が選択されている場合には、図3のW−CDMA伝送信号フォーマットに示すように、スロットごとにデータ部に付加されているパイロット信号部を抽出して伝送路推定器113に供給し伝送路推定処理を行わせる。そして、この伝送路推定処理の終了時点で当該スロットのデータ部を読み出して適応等化器117に供給する。
【0028】
伝送路推定器113は、受信されたGSM/W−CDMAベースバンド複素信号に含まれる伝送路推定用の既知信号と予め用意してある既知パターンとの自己相関を計算することで伝送路推定を行う。図4はこの伝送路推定器113の構成を示す回路ブロック図である。
【0029】
遅延バッファ111から供給されたGSMベースバンド複素信号中のトレーニングシーケンス及びW−CDMAベースバンド複素信号中のパイロット信号部は、遅延回路221,222,…,22nにより1サンプルずつ遅延されたのちそれぞれ相関器210,211,…,21nに入力される。相関器210,211,…,21nは、上記入力された既知信号とGSM/W−CDMA相関コード発生器200から発生される相関コードの既知パターンとの相関値を算出する。そして、この算出された相関値を伝送路推定値(遅延プロファイル)f0,f1,…,fnとして適応等化器117に与える。
【0030】
上記GSM/W−CDMA相関コード発生器200は、制御部12から与えられるGSM/W−CDMA処理選択信号SSに従い、GSM用相関コードの既知パターンと、W−CDMA用相関コードの既知パターンとを選択的に発生する。GSM用相関コードの既知パターンとしてはトレーニングシーケンスパターンが、一方W−CDMA用相関コードの既知パターンとしてはパイロット信号部の既知パターンがそれぞれ用いられる。
【0031】
適応等化器117は、上記遅延用バッファ111から供給されるデータ部に含まれる波形歪み成分を、上記伝送路推定器113により求められた伝送路推定値(遅延プロファイル)f0,f1,…,fnに基づいて除去するもので、例えば次のように構成される。図5はその構成を示す回路ブロック図である。
【0032】
すなわち適応等化器117は、遅延回路311,312,…,31kと、タップ係数乗算器320,321,…,32kと、加算器330と、タップ係数生成部とを備えた(k+1)次のトランスバーサルフィルタにより構成される。タップ係数生成部は、遅延器340,341,…,34kと、加算器350,351,…,35kと、重み乗算器360,361,…,36kと、判定部とを備える。
【0033】
判定部は、判定器370及び減算器380により構成され、減算器380において判定器370からの出力と判定器370への入力との差が求められる。この差は理想判定点からのずれを表し、このずれがタップ係数の補正量として上記重み乗算器360,361,…,36kに与えられる。重み乗算器360,361,…,36kは、与えられた上記タップ係数の補正量に帰還重み係数を乗じた値を求め、その出力を加算器350,351,…,35kでタップ係数の初期値に加算することによりタップ係数を更新する。そして、この更新されたタップ係数を上記タップ係数乗算器320,321,…,32kに与える。
【0034】
また上記判定器370の判定出力は間引き器390に入力される。間引き器390は、制御部12から与えられるサンプル間引き比率mに従い、上記判定出力を1/mのサンプルレートに変換する。そして、このサンプルレート変換後の判定出力を相関コード乗算器112に入力する。
【0035】
相関コード乗算器112は、相関コード発生器400と乗算器410とから構成される。そして、乗算器410において、上記サンプルレート変換後の判定出力を、上記相関コード発生器400から発生される相関コードと乗算して、その乗算出力を等化処理された復調データとして重み付け乗算器115に入力する。相関コード発生器400は、GSM/W−CDMA処理選択信号SSに応じて動作し、W−CDMA方式が選択されているときに相関コードを発生し、GSM方式が選択されているときには“1”の連続コードを発生する。
【0036】
重み付け乗算器115は、他のユニット102,103,…の重み付け乗算器125,135,…と同様に、上記相関コード乗算器112から出力された復調データに対しパスの受信レベルに応じた重み係数を乗算する。加算−符号化部100は、GSM/W−CDMA処理選択信号SSに応じて動作し、W−CDMA方式が選択されているときには上記重み付け乗算器115,125,135,…から出力された各パスの復調データを加算合成し、この加算合成された復調データを圧縮/伸張処理部7に供給する。これに対しGSM方式が選択されているときには、上記重み付け乗算器115から出力された復調データをそのまま圧縮/伸張処理部7に供給する。
【0037】
次に、以上のように構成された移動通信端末のRAKE受信機の動作を説明する。
【0038】
(1)W/CDMA方式が選択されている場合
W/CDMA方式による通信中においては、図示しないサーチャによりW−CDMA無線信号に含まれる複数のパスが検出され、この検出された各パスが受信レベルの大きいものから順にユニット101,102,103,…に割り当てられる。そして、各ユニット101,102,103,…はそれぞれ、自己に割り当てられたパスについての逆拡散して復調処理を実行する。このとき、ユニット102,103,…では通常のフィンガとしての処理が行われるが、最大パスが割り当てられたユニット101では適応等化処理を含む逆拡散して復調処理が次のように行われる。
【0039】
すなわち、W/CDMA方式が選択されると、制御部12からW/CDMA方式による処理を指示するGSM/W−CDMA処理選択信号SSが出力される。このため選択スイッチ116では、W−CDMAベースバンド複素信号が選択される。そして、この選択されたW−CDMAベースバンド複素信号は、遅延用バッファ111においてスロットごとに一旦保持され、この状態でスロット中のパイロット信号部が抽出されて伝送路推定器113に入力される。
【0040】
伝送路推定器113では、遅延回路221,222,…,22n及び相関器210,211,…,21nにより、上記遅延用バッファ111から入力されたパイロット信号とGSM/W−CDMA相関コード発生器200から発生されたパイロット信号の既知パターンとの相関値が算出される。すなわちパイロット信号の自己相関がとられる。そして、この算出された自己相関値が伝送路推定値(遅延プロファイル)f0,f1,…,fnとして適応等化器117に与えられる。
【0041】
適応等化器117では、上記伝送路推定器113からタップ係数として与えられた伝送路推定値(遅延プロファイル)f0,f1,…,fnをもとに、上記遅延用バッファ111から取り込んだW−CDMAベースバンド複素信号のデータ部に含まれる波形歪み成分を除去するための適応等化処理が行われる。
【0042】
すなわち、先ず遅延器340〜34kに対し、上記伝送路推定器113から与えられた伝送路推定値f0,f1,…,fk(k≦n)の複素共役f0*,f1*,…,fk*がタップ係数の初期値として設定される。以後、判定器370の判定出力と判定器370への新たな入力との差が減算器380において求められ、この差がタップ係数の補正量として重み乗算器360,361,…,36kに与えられる。重み乗算器360,361,…,36kでは、与えられた上記タップ係数の補正量に帰還重み係数が乗算され、その出力が加算器350,351,…,35kで現在のタップ係数値に加算されてタップ係数が更新される。そして、この更新されたタップ係数が上記タップ係数乗算器320,321,…,32kに与えられ、W−CDMAベースバンド複素信号のデータ部に乗算される。
【0043】
すなわち、適応等化器117では減算器380により求められる判定器370の出力と判定器370への新たな入力との差が零に近付くように、つまり理想の判定値に近付くようにタップ係数が順次更新される。したがって、W−CDMAベースバンド複素信号のデータ部を適応等化器117に通すことで、波形歪み成分が除去された判定出力を得ることが可能となる。
【0044】
そうして適応等化器117の判定器370により得られた判定出力は、間引き器390により1/mにサンプルレートからシンボルレートにレート変換される。例えば、W−CDMA方式のシンボルレートに対し4倍のサンプルレートで受信信号が入力される場合には、上記間引き器390により1/4にレート変換される。そして、このレート変換後の判定信号が適応等化器117の出力として相関コード乗算器112に入力される。
【0045】
相関コード乗算器112では、上記レート変換後の判定信号が相関コード発生器400から発生される相関コードと乗算され、これにより逆拡散された最大パスの復調データが得られる。この最大パスの復調データは、重み付け乗算器115により重み付けがなされた後、加算−符号化部100において他のユニット102,103,…の重み付け乗算器125,135,…から出力された各パスの復調データと加算合成され、この加算合成された復調データがRAKE受信機の出力として圧縮/伸張処理部7に供給される。
【0046】
したがって、W−CDMAベースバンド信号に含まれる複数のパスの信号うち、受信レベルが最大のパスの信号についてはユニット101の適応等化器117により波形歪みが除去されたのち逆拡散して復調することができる。このため、最大パスの信号をそのまま逆拡散して復調して他のパスの信号と加算合成する従来の場合に比べ、波形歪みの影響が効果的に抑圧された高品質のW−CDMA復調データを得ることが可能となる。
【0047】
(2)GSM方式を選択した場合
GSM方式を使用した通信期間中に受信回路3からGSMベースバンド復調信号が出力されると、このGSMベースバンド復調信号は先ずGMSK−BPSK変換器110によりGMSK変調信号からBPSK変調信号に変換される。すなわち、位相変位から位相位置でシンボル判定を行える信号形態に変換される。
【0048】
また、GSM方式が選択されると、制御部12からGSM方式による処理を指示するGSM/W−CDMA処理選択信号SSが出力される。このため選択スイッチ116では、上記GMSK−BPSK変換器110から出力されるBPSK信号が選択される。そして、この選択されたBPSK信号は、遅延用バッファ111においてスロットごとに一旦保持され、この状態でスロット中の中央部分に挿入されたトレーニングシーケンスが抽出されて伝送路推定器113に入力される。
【0049】
伝送路推定器113では、遅延回路221,222,…,22n及び相関器210,211,…,21nにより、上記遅延用バッファ111から入力されたトレーニングシーケンスとGSM/W−CDMA相関コード発生器200から発生されたトレーニングシーケンスの既知パターンとの相関値が算出される。すなわちトレーニングシーケンスの自己相関がとられる。そして、この算出された相関値が伝送路推定値f0,f1,…,fnとして適応等化器117に与えられる。
【0050】
適応等化器117では、上記伝送路推定器113から与えられた伝送路推定値f0,f1,…,fnがそのままタップ係数の初期値として使用される。以後、減算器380から得られる判定前後の信号の差、つまりタップ係数補正値をもとに上記タップ係数が更新される。そして、この更新されたタップ係数をもとに、上記遅延用バッファ111から読み出されたBPSK信号のデータ部分の波形等化処理が行われ、この等化処理後の判定器370の判定信号が適応等化器117の出力として圧縮/伸張処理部7に与えられる。
【0051】
なお、判定器370の判定信号のサンプルレートがシンボルレートより高い場合には、上記判定信号のレートは間引き器390によりシンボルレートにレート変換される。また、GSM方式の通信では相関コードによる拡散は行われていない。このため、相関コード発生器400からは“1”の連続コードが発生される。したがって、上記適応等化器117から出力された判定信号はそのまま圧縮/伸張処理部7に入力され復号される。
【0052】
以上述べたようにこの実施形態では、RAKE受信機において、フィンガを構成する複数のユニット101,102,…のうち、最大パスを復調するユニット101に適応等化器117と選択スイッチ116を設け、この適応等化器117を伝送路推定器113と共にGSM受信信号の波形等化用及びW−CDMA受信信号の波形等化用として共用している。
【0053】
このため、一組の適応等化器117及び伝送路推定器113を備えるだけで、GSMベースバンド複素信号の波形等化処理ばかりでなく、W−CDMAベースバンド複素信号の最大パスについての波形等処理も行うことが可能となる。すなわち、適応等化器117及び伝送路推定器113を新たに設けることなく、つまり回路構成の大型化と複雑化を招くことなく、W−CDMA復調信号の受信品質に最も大きな影響を及ぼす最大パスの波形歪みを除去して、W−CDMA復調信号の受信品質を効果的に向上させることができる。
【0054】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では最大パスを復調するユニット(フィンガ)101のみに適応等化器117を設けた場合を例にとって説明した。しかしそれに限定されるものではなく、許容される回路規模の範囲内で複数のユニット101,102,…のうちの2以上のユニットに適応等化器117を設けてもよい。このように構成すると、2以上のパスについて適応等化処理を施した上で逆拡散することができるので、W−CDMA復調データの受信品質をさらに高めることができる。
【0055】
また、前記実施形態ではGMSK−BPSK変換器110をユニット101内に設けたが、ユニット101の外に設けてもよい。
【0056】
さらに前記実施形態では、GSM/W−CDMAデュアルモードタイプの移動通信端末を例にとって説明したが、その他のTDMA/CDMAデュアルモードタイプの移動通信端末にもこの発明を適用することができる。また、CDMA移動通信端末のRAKE受信機に適応等化器を設けるようにしてもよい。
【0057】
その他、移動通信端末の種類とその構成、RAKE受信機の各フィンガの回路構成、伝送路推定器及び適応等化器の回路構成等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0058】
【発明の効果】
以上詳述したようにこの発明では、マルチパス伝搬信号に含まれる複数のパスの信号を個別に復調してその復調信号を出力する複数のフィンガと、これらのフィンガから出力された各復調信号を位相を合わせて合成して合成された復調信号を出力する合成器とに加え、上記複数のフィンガのうち、上記複数のパスの信号のうち信号レベルが最大となるパスの信号を復調するフィンガのみ、又は当該フィンガを含む上記複数のフィンガより少数のフィンガに対応して等化器を設けている。そしてこの等化器により、上記フィンガで復調されるパスの信号に対し波形等化を行うようにしている。
【0059】
したがってこの発明によれば、回路規模の大型化及び複雑化を最小限に抑えた上で、パスに発生する波形歪みの影響を低減して良好なRAKE受信性能を発揮することができ、これにより劣悪な無線伝搬環境下においても高品質の移動通信を実現できるRAKE受信機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係わる移動通信端末の一実施形態を示すブロック図。
【図2】 図1に示したGSM/W−CDMA信号処理部に設けられるRAKE受信機の構成を示す回路ブロック図。
【図3】 W−CDMA方式により伝送される信号のスロット構成を示す図。
【図4】 図2に示したRAKE受信機に設けられる伝送路推定部の構成を示す回路ブロック図。
【図5】 図4に示したRAKE受信機に設けられる適応等化器の構成を示す回路ブロック図。
【符号の説明】
1…アンテナ
2…アンテナ共用器(DUP)
3…受信回路(RX)
4…周波数シンセサイザ(SYN)
5…送信回路(TX)
6…CDMA信号処理部
7…圧縮伸張処理部
8…PCM符号処理部
9…受話増幅器
10…スピーカ
11…マイクロホン
12…制御部
13…記憶部
14…入力部
15…表示部
16…バッテリ
17…電源回路
18…送話増幅器
100…加算−符号化部
101…GSM/W−CDMA共用のユニット
102,103,104…W−CDMA用のユニット
110…GMSK−BPSK変換器
111,121,…遅延用バッファ
112,122,…相関コード乗算器
113…GSM/W−CDMA共用の伝送路推定器
123,133,…W−CDMA用の伝送路推定器
Claims (3)
- マルチパス伝搬信号に含まれる複数のパスの信号を個別に復調してその復調信号を出力する複数のフィンガと、
これらのフィンガから出力されたパス復調信号を位相を合わせて合成し、合成された復調信号を出力する合成器と、
前記複数のフィンガのうち、前記複数のパスの信号のうち信号レベルが最大となるパスの信号を復調するフィンガのみに対応して設けられ、当該フィンガで復調されるパスの信号に対し波形等化を行う等化器と
を具備することを特徴とするRAKE受信機。 - マルチパス伝搬信号に含まれる複数のパスの信号を個別に復調してその復調信号を出力する複数のフィンガと、
これらのフィンガから出力されたパス復調信号を位相を合わせて合成し、合成された復調信号を出力する合成器と、
前記複数のフィンガのうち、前記複数のパスの信号のうち信号レベルが最大となるパスの信号を復調するフィンガを含む前記複数のフィンガより少数のフィンガに対応してそれぞれ設けられ、当該各フィンガで復調されるパスの信号に対しそれぞれ波形等化を行う複数の等化器と
を具備することを特徴とするRAKE受信機。 - 前記等化器は、対応するフィンガで復調されるパスの信号に対し最大値を与える受信タイミングを検出し、この検出された受信タイミングにおいて得られる前記パスの信号に含まれる既知の信号の受信結果からその遅延プロファイルを求め、この遅延プロファイルをもとに前記復調されるパスの信号に対し適応的に波形等化を行うことを特徴とする請求項1又は2記載のRAKE受信機。
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