JP3965234B2 - 熱分析装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂等の高分子試料の特定のために、発生ガス分析法と熱分解ガスクロマトグラフィー法とを連続して行うことができる熱分析装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、可塑剤等の揮発性成分を含む合成樹脂等の高分子試料の特定のために、まず、該試料を室温乃至100℃程度の温度から300℃程度の温度に昇温して前記揮発性成分を順次気化させ、発生した気相成分を分離・検出する発生ガスの分析を行い、次いで該試料をさらに高温の550℃程度の温度に加熱して高分子成分を熱分解し、発生した気相成分を分離、検出する熱分解ガスクロマトグラフィー(Py−GC)を行うというように、前記発生ガスの分析と熱分解とを連続して行うことができるようにした熱分析装置が知られている。
【0003】
前記熱分析装置は、前記高分子試料を昇温、加熱する熱分解炉と、該熱分解炉で生成した気相成分を検出する検出手段とを備え、前記検出手段には、発生した気相成分を分離カラムを介して水素イオン化検出器(FID)、質量分析計(MS)、原子発光分析計(AED)等の検出器に導入して検出するものが用いられる。尚、前記発生ガス分析の際には、前記気相成分は順次生成し、分離する必要がない場合は、前記FID、MS、AED等の検出器は分離カラムを介さず、分解能のないカラムを介して前記熱分解炉に接続する様にしてもよい。
【0004】
前記熱分析装置では、前記熱分解炉で生成した気相成分を前記検出手段に導入する際に、前記気相成分の凝縮を防止するために、前記熱分解炉と前記検出手段との距離をできるだけ小さくすると共に、前記熱分解炉と前記検出手段とを接続するインターフェース部を設け、該インターフェース部を250℃以上の温度、例えば300℃程度の温度に保持するようになっている。
【0005】
ところで、前記高分子試料は、一般に、1種の試料を複数の試料に分割し、このうちの一つを用いて試験的な分析を行い、その結果に基づいて他の試料で精密な分析を行うというように、複数回の分析操作を行うことが行われている。この場合、一の試料について前記手順により熱分解を終了した後、他の試料について再び発生ガス分析を行うためには、前記熱分解のために550℃程度に加熱されている熱分解炉を100℃以下に、試料によっては室温乃至50℃程度の温度に冷却する必要がある。
【0006】
しかしながら、従来の熱分析装置で、前記熱分解後、単に前記熱分解炉の加熱を停止するだけでは、前記熱分解炉が前記のように冷却されるまでに長時間を要し、一の試料の熱分解後、速やかに他の試料の発生ガス分析を行うことができないという不都合がある。前記不都合を解決するために、前記熱分解炉の外周部に圧縮空気を吹き付ける等して前記熱分解炉を冷却することも考えられるが、前記熱分解炉は、前記接続部からの熱伝導、輻射熱等により加熱されており、前記のように冷却するだけでは十分な効果が得られない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる不都合を解消して、一の試料の熱分解後、速やかに他の試料の発生ガス分析を行うことができる熱分析装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明の熱分析装置は、試料を低温から高温に昇温して順次気相成分を発生させ、次いで該試料をさらに高温に加熱して気相成分に熱分解する石英熱分解管を備える熱分解炉と、該熱分解炉で生成した気相成分を検出する検出手段と、該熱分解炉と該検出手段とを接続する接続部と、該熱分解炉を加熱する第1の加熱手段と、該接続部を加熱する第2の加熱手段と、両加熱手段による加熱を制御する加熱制御手段と、前記熱分解炉を冷却する熱分解炉冷却手段と、前記接続部を冷却する接続部冷却手段と、両冷却手段による冷却を制御する冷却制御手段とからなる熱分析装置において、一の試料の熱分解後、他の試料の分析を行うときに、前記加熱制御手段は、前記第1の加熱手段を制御して前記熱分解炉の温度を昇温し、一の試料を低温から高温に昇温して順次気相成分を発生させると共に、前記第2の加熱手段を制御して前記接続部の温度を該熱分解炉の温度の昇温速度以上の速度で上昇させて、該接続部の温度を該熱分解炉の温度と同じか、またはそれより高温に昇温して該温度に保持し、次いで該第1の加熱手段を制御して該熱分解炉の温度をさらに高温に加熱して前記試料中の高分子成分を熱分解し、一の試料の熱分解後、前記加熱制御手段は、前記第1の加熱手段による加熱を停止し、前記冷却制御手段は前記熱分解炉冷却手段を制御して前記熱分解炉の冷却を行うと共に、前記第2の加熱手段による加熱を停止し、前記冷却制御手段は前記接続部冷却手段を制御して前記接続部の冷却を行い、次いで、他の試料を低温から高温に昇温する前に、前記加熱制御手段は前記第2の加熱手段を制御して前記接続部の温度が、前記試料中の揮発成分が順次揮発するときの出発温度に対応し、該出発温度に所定の温度定数を加えた温度になる様にし、その後、前記加熱制御手段は、前記第1の加熱手段を制御して前記熱分解炉の温度を昇温し、他の試料を低温から高温に昇温して順次気相成分を発生させると共に、前記第2の加熱手段を制御して前記接続部の温度を該熱分解炉の温度の昇温速度以上の速度で上昇させることを特徴とする。
【0009】
本発明の熱分析装置によれば、まず、前記加熱制御手段は、前記第1の加熱手段を作動させると共に、これを制御して、前記熱分解炉を低温から高温に昇温する。また、前記加熱制御手段は、前記第1の加熱手段と同時に前記第2の加熱手段を作動させて、これを制御し、前記熱分解炉で生成した気相成分が前記接続部で凝縮しないように前記接続部を所定の温度に加熱し、該温度に保持する。
【0010】
前記熱分解炉を前記の様に加熱すると、前記試料が低温から高温に昇温され、該試料中の揮発性成分が順次気化して気相成分が生成する。そこで、生成した気相成分は順次、前記検出手段に導入され、分離・検出される。
また、本発明の熱分析装置では、前記試料を低温から高温に昇温して順次気相成分を発生させるときに、前記熱分解炉の温度の昇温速度以上の速度で前記接続部の温度を上昇させるように前記第2の加熱手段を制御することにより、前記接続部の温度が前記熱分解炉の温度と同等もしくはそれより早く上昇するので、前記昇温の開始時に前記接続部が冷却されているときにも、前記熱分解炉で発生する気相成分の前記接続部における凝縮を防止することができる。
【0011】
次に、前記試料中の揮発性成分の気化が終了したならば、前記加熱制御手段はに前記第1の加熱手段を制御して、前記試料をさらに高温に加熱して、該試料中の高分子成分を熱分解し、気相成分の混合物を生成させる。そして、前記熱分解により生成した気相成分の混合物は、前記検出手段に導入され、個々の気相成分に分離、検出される。
【0012】
本発明の熱分析装置では、前述の手順により一つの試料の熱分解が終了したならば、次に、新しい試料を再び低温から昇温できる様に、前記加熱制御手段が前記第1の加熱手段による加熱を停止すると共に、前記冷却制御手段が前記熱分解炉冷却手段を作動させる。このとき、前記加熱制御手段が、前記第2の加熱手段を停止すると共に、前記冷却制御手段が、前記接続部冷却手段を制御して前記接続部を冷却することにより、前記接続部を迅速に冷却することができる。前記加熱制御手段はまた、前記第2の加熱手段を制御し、前記接続部の温度が前記試料を低温から高温に昇温する際の出発温度に対応する温度になる様に加熱量を制限する。この結果、前記熱分解炉冷却手段により前記熱分解炉が直接冷却されると共に、前記接続部の熱の前記熱分解炉に対する影響が低減され、前記熱分解炉は一の試料の熱分解後、短時間のうちに室温乃至50℃程度の温度まで冷却される。
【0013】
本発明の熱分析装置では、前記熱分解炉が前記のように冷却されたならば、前記冷却制御手段が前記熱分解炉冷却手段を停止させると共に、前記加熱制御手段が第1及び第2の加熱手段を制御して、他の試料について再び前述の操作を繰り返し低温から高温に昇温する。
【0014】
従って、本発明の熱分析装置によれば、一の試料の熱分解後、他の試料の室温乃至50℃程度の温度からの昇温を速やかに行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図1は本実施形態の熱分析装置の一構成例を示すシステム構成図であり、図2は図1示の熱分析装置の制御系統を示すブロック図である。
【0018】
本実施態様の熱分析装置は、基質ポリマーと可塑剤などの揮発性成分とからなる1つの試料について昇温による発生ガスの分析と、基質ポリマーの熱分解ガスクロマトグラフィー(Py−GC)法による分析操作とを連続して行うことができるダブルショット・パイロライザーであり、図1及び図2に示すように、円筒状ケース1内に備えられた熱分解炉2と、熱分解炉2で生成した気相成分を検出する検出手段3と、熱分解炉2と検出手段3とを接続する接続部であるインターフェース4とを備えている。この熱分解炉2は、石英熱分解管と熱分解炉ブロックとから構成されており、発生ガス等は熱分解管中を通過して検出手段3へ流入する。熱分解炉2及びインターフェース4はそれぞれその内部にヒータ5,6を備え、各ヒータ5,6は円筒状ケース1の外部に備えられた冷熱制御手段7に接続されている。
【0019】
熱分解炉2の炉内部には、導管8が埋設されている。導管8は、その上流側の端部が冷熱制御手段7に制御される電磁弁9を介して円筒状ケース1の外部に備えられた圧縮ガスボンベ10に接続されて、電磁弁9が開弁されたときに空気、窒素ガス、炭酸ガス等の圧縮ガスを冷媒として流通できるようになっている。尚、導管8の下流側の端部は、円筒状ケース1の外部で外気に開放されており、前記圧縮空気が熱分解炉2の冷却後に円筒状ケース1の外部に放出されるようになっている。
【0020】
また、熱分解炉2には、炉内温度を検知する温度センサ11が設けられ、冷熱制御手段7に接続されている。さらに、熱分解炉2は、その上部で円筒状ケース1に設けられたキャリヤガス導入口2aに連通すると共に、図示しない試料導入装置により熱分解炉2内に試料を導入できるようになっている。
【0021】
また、検出手段3は、円筒状ケース1の下方に設けられた恒温槽12内に収容された分離カラム13と、分離カラム13の末端部に接続された検出器14とからなり、分離カラム13の他方の端部はインターフェース4の下部に連通するガスクロマトグラフ用注入口15に挿入されている。前記分離カラム13としては、金属製キャピラリーカラム等を用いることができる。また、検出器14としては、水素イオン化検出器(FID)、質量分析計(MS)、原子発光分析計(AED)等、それ自体公知の検出器を用いることができる。
【0022】
本実施態様の熱分析装置では、さらに、前記インターフェース4の周壁に導管16が埋設されている。導管16は、その上流側の端部が冷熱制御手段7に制御される電磁弁17を介して円筒状ケース1の外部に備えられた圧縮ガスボンベ18に接続されて、電磁弁17が開弁されたときに空気、窒素ガス、炭酸ガス等の圧縮ガスを冷媒として流通できるようになっている。尚、導管16の下流側の端部は、円筒状ケース1の外部で外気に開放されており、前記圧縮空気がインターフェース4の冷却後に円筒状ケース1の外部に放出されるようになっている。
【0023】
また、インターフェース4の周壁には、インターフェース4の温度を検知する温度センサ19が設けられ、冷熱制御手段7に接続されている。
【0024】
尚、冷熱制御手段7は、ヒータ5,6による加熱を制御する加熱制御手段としての機能と、電磁弁9,17から流通される冷媒による冷却を制御する冷却制御手段としての機能とを兼ね備えている。冷熱制御手段7は、図2示のように、タイマ20,CPU21,RAM22,ROM23等を備えるマイクロコンピュータであり、外部入力装置24によりオン・オフされ、或いは加熱に必要なプログラムを入力できるようになっている。
【0025】
次に、本実施態様の熱分析装置の作動について説明する。
【0026】
本実施態様の熱分析装置により、樹脂等の未知の高分子試料の分析を行うときには、まず、外部入力装置24に備えられたスイッチをオンすることにより、冷熱制御手段7を作動させる。すると、冷熱制御手段7はヒータ5を作動させると共に、ヒータ5を制御して、熱分解炉2を前記高分子試料を低温から高温に昇温して順次気相成分を発生させるときの出発温度、例えば、50℃まで加熱し、該温度に保持する。また、冷熱制御手段7は、ヒータ5と同時にヒータ6を作動させると共に、ヒータ6を制御して、インタフェース4を所定の温度、例えば、150℃まで加熱し、該温度に保持する。
【0027】
冷熱制御手段7による前記ヒータ5,6の加熱制御は、一般に比例制御法等が用いられ、単位時間毎に温度センサ11,19により検知される温度(検知温)を予め定められた設定値と比較し、検知温が設定値よりも低ければ、ヒータ5,6にさらに電圧を印加するというようにして行われる。
【0028】
次に、熱分解炉2及びインターフェース4の温度が前記所定の温度に達したならば、前記高分子試料を図示しない試料導入装置により熱分解炉2内に導入する。このとき、前記高分子試料は、均等に複数の試料に分割し、その一を取って初回の試料とする。
【0029】
次に、前記のように初回の試料が熱分解炉2内に導入されたならば、外部入力装置24を操作して、冷熱制御手段7による前記試料の加熱を開始する。加熱が開始されると、冷熱制御手段7は前記の様にしてヒータ5を制御し、熱分解炉2の温度を例えば20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温する。また、冷熱制御手段7は、同時にヒータ6を制御し、インターフェース4の温度を例えば20℃/分以上の昇温速度で300℃まで昇温し、該温度に保持する。
【0030】
前記のように熱分解炉2の温度を昇温することにより、前記試料中の揮発性成分が順次気化され、気相成分が生成する。前記のようにして生成した気相成分は、キャリヤガス導入口2aから導入されるヘリウム等のキャリヤガスにより、分離カラム13を介して検出器14に導入され、検出される。このとき、インターフェース4は、前記の様に熱分解炉2の昇温速度以上の速度で昇温されているので、その温度は熱分解炉2の温度と同じか、またはそれより高温であり、熱分解炉2内で発生した気相成分は、途中で停滞したり、凝縮したりすることなく分離カラム13に導入され、分離・分析される。そして、分析終了とともに、GC恒温槽温度は初期温度にまで自動的に冷却され、該温度に保持される。
【0031】
次に、前記揮発性成分の発生ガス分析が終了すると、冷熱制御手段7はインターフェース4を前記温度に保持しつつ、ヒータ5を制御して、熱分解炉2内の温度をさらに高温の550℃になる様に加熱し、前記試料中の高分子成分を熱分解する。これにより、前記高分子成分が瞬間的に、或いは短時間、通常は約数分間以内に連続して熱分解されて分解生成物が気化し、複数の気相成分の混合物が生成する。 前記気相成分の混合物は、キャリヤガス導入口2aから導入されるキャリヤガスにより、分離カラム13に導入され、分離カラム13にて個々の気相成分に分離された上、検出器14に導入され、検出される。このとき、インターフェース4は前記温度に保持されているので、熱分解炉2内で発生した気相成分は、途中で停滞したり、凝縮したりすることなく分離カラム13に導入され、分離・分析される。
【0032】
前記試料を熱分解する際に、冷熱制御手段7は温度センサ11の検知温が550℃に達すると、タイマ20をスタートさせる。タイマ20は例えば1分間でタイムアップし、タイマ20がタイムアップすると、冷熱制御手段7は初回の試料の熱分解が完了したものと判断し、次の試料の分析操作のために、ヒータ5による加熱を停止し、熱分解炉2及びインターフェース4の冷却を行う。
【0033】
前記冷却にあたり、冷熱制御手段7は、まず、電磁弁9を開弁し、ボンベ10から導管8に空気、窒素ガス、炭酸ガス等の圧縮ガスを冷媒として流通させる。前記冷媒は、圧縮空気の場合、例えば5Kg/cm2 の圧力、10リットル/分の流量で流通される。
【0034】
本実施形態によれば、前記圧縮ガスは、導管8に流通されて熱分解炉2を冷却したのち、加熱されたガスが導管8の下流側端部から円筒状ケース1の外部に排出されるので、熱分解炉2の周辺部材を不必要に加熱することなく、所期の効果を奏することができる。
【0035】
また、冷熱制御手段7は、電磁弁9を開弁するのと同時にヒータ6を制御する。具体的には、冷熱制御手段7は、ヒータ6に対する電圧の印加を中断し、電磁弁17を開弁して、ボンベ18から導管16に前記冷媒を流通させることにより、インターフェース4の冷却を促進することができる。冷熱制御手段7は、温度センサ19により検知されるインターフェース4の温度が前記試料中の揮発性成分が順次気化するときの出発温度に対応する温度に達したならば、電磁弁17を閉弁すると共に、ヒータ6に対する電圧の印加を再開し、それ以降はインターフェース4の温度が前記試料中の揮発性成分が順次気化するときの出発温度に対応する温度に保持される様にヒータ6を制御する。前記ヒータ6の制御は、熱分解炉2の炉内温度を前記出発温度t0 ℃まで低下させるときに、インターフェース4の温度をt℃として、例えば、t=t0 +C(Cは定数)となるようにして行う。
【0037】
前記式中の定数Cは、各種装置により定まり、例えばC=100のときに前記出発温度が100℃であれば、インターフェース4の温度は200℃まで冷却される。また、前記出発温度が50℃であれば、インターフェース4の温度は150℃まで冷却される。尚、前記出発温度が100℃であるときには、熱分解炉2の炉内温度は100℃まで低下され、出発温度が50℃であるときには、熱分解炉2の炉内温度は50℃まで低下される。
【0038】
本実施形態では、初回の試料の熱分解終了後、熱分解炉2の冷却と共に前記の様にヒータ6の加熱量を制限することにより、熱分解炉2の炉内温度を550℃から50℃まで20分で低下させることができた。
【0039】
次に、前記のように分割された試料の新しい1つを取って、該試料が図示しない試料導入装置により熱分解炉2内に導入されると、冷熱制御手段7は再びヒータ5により熱分解炉2を加熱して、該試料の分析操作を開始する。
【0040】
このとき、インターフェース4は前記の様に冷却された状態であるので、冷熱制御手段7はヒータ6を制御し、熱分解炉2の温度の昇温速度以上の速度で、インターフェース4の温度を上昇させる。例えば、冷熱制御手段7は、熱分解炉2の温度を50℃から300℃まで20℃/分で昇温するときには、インターフェース4の温度を150℃から300℃まで20℃/分以上の速度で昇温させる。そして、冷熱制御手段7は、インターフェース4の温度が300℃に達したならば、それ以降は該温度に保持するようにヒータ6を制御する。
【0041】
この結果、新しい試料の分析操作に当たっては、該試料を室温乃至50℃程度の低温から加熱することができ、しかも、該加熱により生成する気相成分がインターフェース4で停滞、凝縮することを防止することができる。
【0043】
尚、本実施形態では、ヒータ5,6による加熱と、電磁弁9,17から流通される冷媒による冷却とを単一の制御手段、すなわち冷熱制御手段7により制御しているが、前記加熱と、冷却とはそれぞれ別個の制御手段により制御する様にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱分析装置の一構成例を示すシステム構成図。
【図2】図1示の熱分析装置の制御系統を示すブロック図。
【符号の説明】
2…熱分解炉、 3…検出手段、 4…接続部、 5…第1の加熱手段、 6…第2の加熱手段、 7…加熱制御手段及び冷却制御手段、 8…導管、 9…熱分解炉冷却手段、 16…導管、 17…接続部冷却手段。
Claims (1)
- 試料を低温から高温に昇温して順次気相成分を発生させ、次いで該試料をさらに高温に加熱して気相成分に熱分解する石英熱分解管を備える熱分解炉と、該熱分解炉で生成した気相成分を検出する検出手段と、該熱分解炉と該検出手段とを接続する接続部と、該熱分解炉を加熱する第1の加熱手段と、該接続部を加熱する第2の加熱手段と、両加熱手段による加熱を制御する加熱制御手段と、前記熱分解炉を冷却する熱分解炉冷却手段と、前記接続部を冷却する接続部冷却手段と、両冷却手段による冷却を制御する冷却制御手段とからなる熱分析装置において、
一の試料の熱分解後、他の試料の分析を行うときに、
前記加熱制御手段は、前記第1の加熱手段を制御して前記熱分解炉の温度を昇温し、一の試料を低温から高温に昇温して順次気相成分を発生させると共に、前記第2の加熱手段を制御して前記接続部の温度を該熱分解炉の温度の昇温速度以上の速度で上昇させて、該接続部の温度を該熱分解炉の温度と同じか、またはそれより高温に昇温して該温度に保持し、次いで該第1の加熱手段を制御して該熱分解炉の温度をさらに高温に加熱して前記試料中の高分子成分を熱分解し、
一の試料の熱分解後、前記加熱制御手段は、前記第1の加熱手段による加熱を停止し、前記冷却制御手段は前記熱分解炉冷却手段を制御して前記熱分解炉の冷却を行うと共に、前記第2の加熱手段による加熱を停止し、前記冷却制御手段は前記接続部冷却手段を制御して前記接続部の冷却を行い、
次いで、他の試料を低温から高温に昇温する前に、前記加熱制御手段は前記第2の加熱手段を制御して前記接続部の温度が、前記試料中の揮発成分が順次揮発するときの出発温度に対応し、該出発温度に所定の温度定数を加えた温度になる様にし、
その後、前記加熱制御手段は、前記第1の加熱手段を制御して前記熱分解炉の温度を昇温し、他の試料を低温から高温に昇温して順次気相成分を発生させると共に、前記第2の加熱手段を制御して前記接続部の温度を該熱分解炉の温度の昇温速度以上の速度で上昇させることを特徴とする熱分析装置。
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- 1997-10-20 JP JP28664997A patent/JP3965234B2/ja not_active Expired - Lifetime
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