JP3964348B2 - アクリル系重合体の製造方法およびその製造方法から得られるアクリル系重合体 - Google Patents

アクリル系重合体の製造方法およびその製造方法から得られるアクリル系重合体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリル系重合体の製造方法およびその製造方法から得られるアクリル系重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、可動式ベルト上で、アクリル系単量体に光エネルギーを照射することにより、連続的にアクリル系単量体を重合させる方法は知られている。このような連続重合法において、アクリル系重合体の生産性を向上させるためには、以下の条件に充分な配慮が必要となる。
▲1▼重合中、光エネルギーが常に一定に保持されること。
▲2▼薄膜状態で重合させる場合、重合と同時に発生する重合熱によって溶媒(多くは水)が表面から揮発して溶液濃度が著しく変化しないこと。
▲3▼重合中、重合に悪影響をおよぼす酸素の混入を完全に排除すること。
▲4▼重合中、単量体溶液およびゲルの層厚が一定に制御されること。
【0003】
これらの条件を満足させアクリル系重合体の生産性の向上をはかるために、気相中の酸素が1容量%以下であり、上部に光透過性の材質部分を有する気密室、可動式ベルト、可動式ベルト下部に備えられた冷却槽を有する光重合装置を用いてアクリル系重合体を連続的に製造する方法が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。前記方法により、従来、不可能とされていた高い単量体溶液濃度での重合反応を行なうことができ、生産性、さらには製品品質を向上させることが可能となった。
【0004】
しかし、生産性向上のために、さらに単量体溶液濃度を高くしたり、重合体層の厚さを厚くすると、重合体中に残存する未反応単量体が増大するなどの品質上の問題があり、この方法で生産性を向上させることには限界があった。また、重合体の上下部間で重合の進行にムラが生じ、重合体の品質にバラツキが発生するなどの問題が生じた。
【0005】
したがって、重合体の品質を損なうことなく、さらなる重合性向上を達成できる方法が求められていた。
【0006】
【特許文献1】
特公平8−5926号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述の問題点を解決し、アクリル系重合体の上下部間の品質差や分子量のムラを小さくし、全体としての品質、さらには生産性を向上させ得るアクリル系重合体の製造方法およびその製造方法から得られるアクリル系重合体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、可動ベルト上で、アクリル系単量体溶液層の上面および下面を水で冷却しながら、溶液層上に設置した第一光照射手段による光照射を行なって、アクリル系単量体を連続的に光重合させる第一重合工程、および
第一重合工程により得られる重合体をドラムを介して第一光照射手段上部に移行し、前記重合体に第一光照射手段による光照射を行なって、前記重合体をさらに光重合させる第二重合工程からなるアクリル系重合体の製造方法に関する。
【0009】
第二重合工程において、重合体の上部に第二光照射手段を設置し、重合体上部および下部から光照射を行なって、前記重合体を光重合することが好ましい。
【0010】
第二重合工程で得られる重合体をドラムを介して、第二重合工程の上部に設置された第二光照射手段の上部に移行し、第二光照射手段により重合体の下部から光照射を行なって、前記重合体を光重合する第三重合工程を含むことが好ましい。
【0011】
第二重合工程および/または第三重合工程において、アクリル系重合体を水で冷却しながら光重合することが好ましい。
【0012】
また、本発明は、前記製造方法により得られるアクリル系重合体に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、可動ベルト上で、アクリル系単量体溶液層の上面および下面を水で冷却しながら、溶液層上に設置した第一光照射手段による光照射を行なって、アクリル系単量体を連続的に光重合させる第一重合工程、および
第一重合工程により得られる重合体をドラムを介して光照射手段上部に移行し、前記重合体に第一光照射手段による光照射を行なって、前記重合体をさらに光重合させる第二重合工程からなるアクリル系重合体の製造方法に関する。
【0014】
本発明の製造方法の第一重合工程は、たとえば図1記載の製造装置により実施できる。
【0015】
可動ベルト7は、回転ドラム15により矢印の方向に移動する。その可動速度は0.5〜2.0m/分が好ましい。可動速度が2.0m/分より速いと重合に要する時間が短くなり、所定の重合反応が完結できない傾向にある。0.5m/分より遅いと重合体の厚さが増し、除熱が困難となり、品質低下をまねく傾向にある。
【0016】
また前記可動ベルトは両側端にサイド仕切板5を有している。サイド仕切板は、ベルト上に供給されるアクリル系単量体溶液4や上部冷却水1などの液体が前記ベルトから流出しないように、堰の役割を果たす。
【0017】
本発明で得られるアクリル系重合体は、アクリル系単量体、光重合開始剤、および任意の添加剤からなる単量体溶液に光エネルギーを照射して光重合することにより得られる。
【0018】
アクリル系単量体としては、たとえばアクリルアミド、メタクリルアミドなどのノニオン性モノマー、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのアルカリ金属塩もしくはアンモニウム塩のアニオン性モノマー、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートなどの酸付加塩もしくは4級化物のカチオン性モノマーなどがあげられる。
【0019】
アクリル系単量体の溶液濃度は、30〜80重量%が好ましい。溶液濃度が80重量%より大きいとモノマー調整が困難となる傾向にある。30重量%より小さいと効率的な重合とはならず、生産性の向上もはかれない傾向にある。前記単量体溶液の溶媒としては一般に水、メタノールなどが用いられる。疎水性単量体を使用する場合には疎水性単量体それ自体でも、また有機溶剤、たとえばトルエン、キシレンなどで適当な濃度に希釈して使用してもよい。
【0020】
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン系、アセトフェノン系、ベンゾインエーテル系、アゾ化合物などがあげられる。ベンゾフェノン系、アセトフェノン系、ベンゾインエーテル系としては、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインイソプロピルエーテルなどがあげられる。これらの中でも、光重合、紫外線照射の波長、価格などを総合的に勘案し、ベンゾインイソプロピルエーテルが好ましい。重合開始剤としては、前記光重合開始剤に限られるものでなく、一般的に使用される重合開始剤を使用することができる。たとえば、ベンゾイルパーオキシド、過硫酸塩などの過酸化物系開始剤、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系開始剤、酸化剤と還元剤を組合せたレドックス触媒などがあげられる。ここで、レドックス触媒の酸化剤としては、たとえば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩があげられる。また、還元剤としては、たとえば、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、塩化第一鉄などがあげられる。
【0021】
重合開始剤の添加量は、ベンゾイン系の光重合開始剤の場合、単量体混合液に対して、好ましくは10〜500ppm、より好ましくは50〜300ppmである。アゾ系開始剤の場合、単量体混合液に対して、好ましくは10〜4000ppm、より好ましくは50〜800ppmである。レドックス系触媒の場合、酸化剤、還元剤ともに、単量体混合液に対して、好ましくは1〜1000ppm、より好ましくは5〜500ppmである。酸化剤および還元剤は、それぞれ異なる量使用することができるが、通常は、ほぼ等モル使用する。重合開始剤の添加量が、これらの範囲より少ないと、重合反応が充分に進行せず、未重合など所定の重合度が得られない傾向にあり、これらの範囲を超えると、得られる重合体の分子量(粘度)が低くなる傾向にある。
【0022】
光重合開始剤の溶媒としては、メタノール、エタノールなどがあげられる。
【0023】
任意の添加剤としては、たとえばチオ尿素、非イオン活性剤などがあげられる。
【0024】
アクリル系単量体、光重合開始剤および任意の添加剤は、たとえばラインミキサーにより均一に混合され、図1中のアクリル系単量体溶液4となる。
【0025】
アクリル系単量体溶液4は、単量体溶液供給口9より可動ベルト7上に供給されるが、前記単量体溶液4と可動ベルト7の間に合成樹脂からなる重合体剥離フィルム3が供給される。
【0026】
前記重合体剥離フィルム3は合成樹脂フィルムであり、その材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデンなどが使用される。これらの中でも、光透過性、酸素ガス透過度の点で、ポリプロピレンフィルムの片面に塩化ビニリデン樹脂を塗布したものが好ましい。
【0027】
合成樹脂フィルムの厚さは、10〜30μmが好ましい。フィルムの厚さが30μmより厚いとフィルムのコスト高につながり、全体の原価アップとなる傾向にある。10μmより薄いと強度、伸度ともに不充分でフィルムの破れのおそれがある。また、前記フィルムの幅は、可動ベルト7の幅より5〜20cm長いことが好ましい。20cmより長いとフィルムのコスト高となる傾向にある。5cmより短いとサイド仕切板5の上に接触できず、上部冷却水1の水もれのおそれがある。
【0028】
可動ベルト7上に供給され、重合に供せられるアクリル系単量体溶液4の層厚は5〜20mmが好ましい。アクリル系単量体溶液4の層厚が20mmより厚いと、除熱が困難となり、品質低下を招く傾向にある。5mmより薄いと、生産性向上の観点から、効率的な生産とは言い難い。
【0029】
本発明の製造方法ではさらに、層状に供給されたアクリル系単量体溶液4の上側の表面にも合成樹脂からなる光透過性重合体剥離フィルム2が供給されることが好ましい。
【0030】
アクリル系単量体溶液4は、重合体剥離フィルム2および可動ベルト7上のサイド仕切板5により、図2のように上部に対して気密されることになり、フィルム上部に後述する水などの液体を導入しても、液体が単量体溶液4に侵入したり、単量体溶液4が露出したりすることはない。それにより単量体溶液4の上部を水冷却することが可能となり、生産される重合体の品質および生産性が向上する。
【0031】
重合体剥離フィルム2としては、重合体剥離フィルム3と同様のものがあげられる。
【0032】
図1では、アクリル系単量体溶液4の下部を水冷却するために、可動ベルト7の下部から水冷却する方法を用いている。水冷却の下部冷却水6は、下部冷却水供給口11から供給される。下部冷却水6は、重合体剥離フィルム3の下をマシーン方向に移動し、下部冷却水排水口12で排水される。
【0033】
本発明の第一重合工程で用いられる冷却水(下部冷却水6および後述する上部冷却水1)の温度は5〜10℃が好ましい。冷却水の温度が10℃より高いと効率的な除熱はできず、5℃より低いと供給する冷却水自身の冷却に費用、時間がかかり、コスト高となる傾向にある。
【0034】
また単量体溶液4の上部を水冷却するために、単量体溶液4の上部を被覆した重合体剥離フィルム2の上部から水冷却する方法を用いている。水冷却の上部冷却水1は、上部冷却水供給口13から供給される。上部冷却水1は、重合体剥離フィルム2上をマシーン方向に移動し、上部冷却水排水口14で排水される。その排水は、オーバーフロー方式で水面上部より吸引(吸水)する方式で行い、水の有効活用という点で、冷却水として再利用し循環する対流形式が好ましい。
【0035】
また、上部冷却水供給口13と上部冷却水排水口14の間隔は任意に設定してよいが、たとえば、可動ベルト7が25mである場合、第一重合工程、第二重合工程および第三重合工程における上部冷却水供給口13と上部冷却水排水口14は、各々15〜20mであることが好ましい。
【0036】
アクリル系単量体溶液4は、重合体温度が最高温度となる点(上部冷却水1供給後)の位置で20〜50℃になるように冷却されることが好ましい。とくに25〜40℃が好ましい。50℃より高いと除熱が不充分となり、分子量(粘度)、溶解性などの品質低下を招く傾向にある。20℃より低いと重合反応が充分に進行しておらず、逆に反応阻害のおそれがある。
【0037】
アクリル系単量体溶液4を光重合するための光エネルギー源としては、キセノンランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプ、炭素アーク燈、または水銀ランプなどの光照射手段(紫外線ランプ10、20および21)が使用される。使用する波長は使用する光重合開始剤の種類などによって多少異なるが、一般に300〜400nmが効果的である。また紫外線ランプの設置は、紫外線強度が、5〜20W/m2になるように設置されればよく、照射時間は10〜50分間照射される。
【0038】
第一重合工程は、窒素置換して溶存酸素濃度を下げた状態で重合反応を行なう必要があるため、チッ素などの不活性ガスで充満されている気密室8中で行なわれることが好ましい。また、気密室8の上部には、下段紫外線ランプ10があるため、気密室上部材質は、光透過性を有する材料であることが好ましい。
【0039】
本発明の製造方法の第二重合工程および第三重合工程を、たとえば図3記載の製造装置概略図により説明する。
【0040】
図3の第一重合工程16により製造した、重合体剥離フィルム2および3が密着している重合体19をドラム24により、第一重合工程で使用した下段紫外線ランプ10(第一光照射手段)の上部に移行する。ここで、ドラム24は、第一重合工程、第二重合工程および第三重合工程における重合体の移動速度を一定に保つことができる点から、速度同調装置を有していることが好ましい。
【0041】
また、ここで使用する下段紫外線ランプ10は、ランプに付属している反射板を取りはずすことで、ランプの下部にあるアクリル系単量体溶液4および第二重合工程における重合体19に光照射することができ、照射効率が向上するため好ましい。
【0042】
また、この場合、重合体の上部にさらに光照射手段である中段紫外線ランプ20(第二光照射手段)を設置することで、さらに効率良く重合することができる。
【0043】
本発明において、第二重合工程を設けることで、限られたスペース内での反応時間の延長が可能となるため、重合率を向上させることができる。また、下段紫外線ランプ10の反射板を取り除くことで、単量体溶液4の重合と重合体19の光照射が可能となるため、紫外線照射効率が向上する。さらに、重合体19の上部に中段紫外線照射ランプ20を設けることで、重合体19の上部および下部からの照射が可能となり、紫外線照射効率が向上し、重合率の向上ができる。
【0044】
さらに、第二重合工程で得た重合体をドラム24を介して、第二重合工程上部に設置された中段紫外線照射ランプ20の上部に移行することで、中段紫外線ランプ20にて、重合体の下部からさらに光重合することが可能となる(第三重合工程18)。
【0045】
また、第二重合工程と同様に、第三重合工程においても重合体上部に上段紫外線ランプ21(第三光照射手段)を設けてもよい。この場合も、紫外線照射効率が向上し、重合効率の向上ができる。
【0046】
紫外線ランプ20、21としては、記載の下段紫外線ランプ10と同様の紫外線ランプを用いることができ、第二重合工程および第三重合工程における紫外線照射時間は各々10〜50分照射が好ましい。紫外線照射時間が、50分をこえるとベルトスペースがさらに必要となる傾向にあり、10分未満であると重合反応が不充分となる傾向にある。
【0047】
第二重合工程および第三重合工程においても、生産される重合体の品質および生産性を向上させるため、冷却水で冷却することが好ましい。図4に示すように、第二重合工程および第三重合工程で使用される上部冷却水1は、上部冷却吸水口13から供給される。上部冷却水1は、重合体19上をマシーン方向に移動し、上部冷却水排水口14で排出される。その排出は、第一重合工程と同様に、オーバーフロー方式で水面上部より吸引(吸水)する方式で行ない、水の有効活用という点で、冷却水として再利用し、循環する対流形式が好ましい。
【0048】
第二重合工程および第三重合工程で用いられる上部冷却水は、5〜10℃であることが好ましい。冷却水の温度が10℃より高いと、効率的な除熱はできず、5℃より低いと供給する冷却水自身の冷却に費用や時間がかかりコスト高となる傾向にある。
【0049】
また、ワッカー23を設けることで、図5に示すようにフィルム2および3が湾曲するため、重合体剥離フィルム2または3上に冷却水をのせることができる。
【0050】
また、本発明の製造方法は、第三重合工程にとどまらず、スペースの可能な限り、ドラムを介して上部に移行することができる。
【0051】
【実施例】
つぎに、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されない。
【0052】
なお、本発明の実施例で測定した各物性値はつぎの方法で測定したものである。
【0053】
(粘度)
所定の濃度(実施例1、比較例1は0.2重量%、実施例2、比較例2は0.5重量%。いずれも固形分換算)の水溶性重合体溶液(溶媒:水)を300ml調製し、これに12.0gの食塩を添加し、溶解させた後、B型粘度計を用い、ローター回転数60rpm、25℃条件下で粘度(cp)を測定した。
【0054】
(アクリルアミド(AAm)の残存率)
水溶性重合体の(乾燥)粉末3.0gを抽出溶媒(メタノール/水=80/20(v/v))30mlで24時間抽出し、クロモソルブ101のカラム(3mmφ×1m)を用いて、170℃でのガスクロマトグラフィー(GC)で未反応のアクリルアミドを定量して、残存率(%)を測定した。
【0055】
(重合体形成温度)
重合体形成温度を、非接触温度計を用いて可動ベルト7上の任意の点(2mおきの10スポット)で測定した。測定温度のうちの最高温度を用いて、表1に重合体上部、重合体下部の温度を示す。
【0056】
実施例1
下記の単量体混合溶液および重合開始溶液を調製し、図1に示される重合装置を後述のごとく調整し、アクリル系重合体を連続的に製造した。
【0057】
(単量体混合溶液)
アクリルアミド 14.4kg、
アクリル酸 3.6kg、
苛性ソーダ(固形分) 2.0kg、
ノニオン系活性剤 0.01kg、
[ポリオキシアルキレンアルキルエーテル]
チオ尿素 0.18kg、
脱イオン水 19.8kg、
計 40kg
【0058】
(重合開始剤溶液)
ベンゾインイソプロピルエーテル 1.8g、
メタノール 178.2g、
計 180g
【0059】
[重合装置の調整]
図1に示される両側端にサイド仕切板5を設けた有効幅1m、有効長25mの可動ベルト7(エンドレスベルト)を回転ドラム15により1.67m/分の速度に調整した。
【0060】
可動ベルトの上部に設置した気密室8に不活性ガス(液体チッ素)を約4m3/時間導入し、気密室内の気相酸素を0.2%以下に制御した。
【0061】
下側の重合体剥離フィルム3(ポリプロピレンフィルムの片面に塩化ビニリデン樹脂を塗布したもので、厚さ20μm、幅1100mm)を気密室の入口部より、可動ベルトの表面に装着させ、ドラム24にセットした。
【0062】
所定量配合された単量体混合溶液および重合開始剤溶液は、それぞれ溶液中の溶存酸素を液体チッ素で脱気し、単量体混合溶液中の酸素濃度を0.1ppm以下にしたのち、図示されていないラインミキサーで均一に混合した。
【0063】
前記単量体混合溶液と前記重合開始剤の混合液(アクリル系単量体溶液4)は、気密室8を経由して単量体溶液供給口9から可動ベルト上に敷かれた下側重合体剥離フィルム上に厚さ約12mmで供給された。
【0064】
上側の重合体剥離フィルム2(ポリプロピレンフィルムの片面に塩化ビニリデン樹脂を塗布したもので、厚さ20μm、幅1100mm)は、気密室8に導入され、単量体溶液供給口9より前方で、溶液供給口と後記上部冷却水供給口13との間に、単量体溶液上部に接するように供給された(図1および2参照)。
【0065】
可動ベルトの下方向から7℃の下部冷却水6を下部冷却水供給口11より供給し、単量体溶液下部を冷却した。下部冷却水6は下部冷却水排水口12で回収された。
【0066】
また、単量体溶液上部に接した前記上側の重合体剥離フィルム2の上部に7℃の上部冷却水1を上部冷却水供給口13より供給し、単量体溶液上部を冷却した。上部冷却水1は、下部冷却水排水口14で回収され、回収ののち冷却して再び上部冷却水として利用する対流形式で用いられた。
【0067】
上部冷却水供給口13と下部冷却水排水口14の間隔は、第一重合工程においては20m、第二重合工程、第三重合工程においては、15mとなるように設定した。
【0068】
気密室上部約50cmの高さで、冷却水供給口より前方で冷却水供給口13と前記冷却水排水口14のあいだに下段紫外線ランプ10(波長365nm)を設置し、可動ベルト上の紫外線強度を10W/m2に調節してベルト上を輸送されてきた単量体溶液に約15分間照射した(第一重合工程)。
【0069】
紫外線を照射された単量体溶液は重合し、生成した重合体は、重合体上部および下部に密着した重合体剥離フィルム2および3とともに可動ベルト他端まで移動した。可動ベルト他端において、ドラム24により、重合体剥離フィルムが密着した重合体が系外部に移動し、さらに、下段紫外線ランプ10、および中段紫外線ランプ20(波長365nm)により、重合体19上の紫外線強度を20W/m2に調整して、15分照射した(第二重合工程)。さらに、ドラム24により、さらに上部に移動した重合体19は、上段紫外線ランプ21(波長365nm)および中段紫外線ランプ20により、重合体19上の紫外線強度を20W/m2に調整して、15分照射した(第三重合工程)。
【0070】
また、第二重合工程および第三重合工程において、重合体19の上部に接した重合体剥離フィルム2または3の上部に7℃の上部冷却水1を上部冷却水供給口13より供給し、重合体上部を冷却した。上部冷却水1は、下部冷却水排水口14で回収され、回収ののち冷却して再び上部冷却水として利用する対流形式で用いられた。
【0071】
前記重合体剥離フィルムは、それぞれ自動巻き取り機で剥離除去され、幅1000mm×厚さ12mmの帯状重合体として連続的に得られた。表1に、重合体物性、温度推移の結果を示す。
【0072】
比較例1
第二重合工程および第三重合工程を省略し、重合ベルト速度を0.83m/分で30分間重合反応させた以外は、実施例1と同様にアクリル系重合体を連続的に製造した。表1に、重合体物性、温度推移の結果を示す。
【0073】
実施例2
下記の単量体混合溶液および重合開始溶液を調製し、アクリル系単量体溶液4を作製した以外は実施例1と同様にアクリル系重合体を連続的に製造した。表1に、重合体物性、温度推移の結果を示す。
【0074】
(単量体混合溶液)
アクリルアミド 2.7kg、
ジメチルアミノエチル
アクリレートメチルクロライド 29.3kg、
ノニオン系活性剤 0.03kg、
[ポリオキシアルキレンアルキルエーテル]
チオ尿素 0.16kg、
脱イオン水 7.8kg、
計 40kg
【0075】
(重合開始剤溶液)
ベンゾインイソプロピルエーテル 1.6g、
メタノール 158.4g、
計 160g
【0076】
比較例2
第二重合工程および第三重合工程を省略し、重合ベルト速度を0.83m/分で30分間重合反応させた以外は、実施例1と同様にアクリル系重合体を連続的に製造した。表1に、重合体物性、温度推移の結果を示す。
【0077】
【表1】
Figure 0003964348
【0078】
表1から単量体の第一重合工程、第二重合工程および第三重合工程からなる実施例1、2は、それぞれ対応する、第一重合工程のみの比較例1、2と比べて、AAm残存率が低いアクリル系重合体が得られることがわかる。
【0079】
また、紫外線照射効率向上により、ベルト速度をあげることができ、単量体総供給量が2倍量に増量することが可能になったため、生産性を向上することが可能となった。さらに、第二重合工程および第三重合工程で冷却することにより、重合体の表面温度が低下し、製品粘度が増加した。これより、高品質の製品製造が可能となった。
【0080】
【発明の効果】
アクリル系単量体溶液の下部及び上部を水で冷却することにより、ゲル体の上下間の品質差がなくなり、分子量のムラの少ない水溶性重合体を得ることができ、全体としても品質向上(高粘度・溶解性向上)が可能となった。また、ドラムを介して上部に移行することで、限られたスペース内での反応時間の延長が可能となるため、重合率が向上することができた。また、紫外線照射ランプの反射板を取り除くことで、紫外線照射効率が向上でき、生産性が向上できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法における第一重合工程を実施するに適した重合装置の一例である。
【図2】図1のAの断面図である。
【図3】本発明の製造方法に適した重合装置の概略図である。
【図4】本発明の製造方法における第二重合工程を実施するに適した重合装置の一例である。
【図5】図4のBの断面図である。
【符号の説明】
1 上部冷却水
2 重合体剥離フィルム
3 重合体剥離フィルム
4 アクリル系単量体溶液
5 サイド仕切板
6 下部冷却水
7 可動ベルト
8 気密室
9 単量体溶液供給口
10 紫外線ランプ
11 下部冷却水供給口
12 下部冷却水排水口
13 上部冷却水供給口
14 上部冷却水排水口
15 回転ドラム
16 第一重合工程
17 第二重合工程
18 第三重合工程
19 重合体
20 中段紫外線ランプ
21 上段紫外線ランプ
22 ローラー
23 ワッカー
24 ドラム

Claims (4)

  1. 可動ベルト上で、アクリル系単量体溶液層の上面および下面を水で冷却しながら、溶液層上に設置した第一光照射手段による光照射を行なって、アクリル系単量体を連続的に光重合させる第一重合工程、および、
    第一重合工程により得られる重合体をドラムを介して第一光照射手段上部に移行し、前記重合体に第一光照射手段による光照射を行なって、前記重合体をさらに光重合させる第二重合工程からなるアクリル系重合体の製造方法。
  2. 第二重合工程において、重合体の上部に第二光照射手段を設置し、重合体上部および下部から光照射を行なって、前記重合体を光重合する請求項1記載の製造方法。
  3. 第二重合工程で得られる重合体をドラムを介して、第二光照射手段の上部に移行し、第二光照射手段により重合体の下部から光照射を行なって、前記重合体を光重合する第三重合工程を含む請求項2記載の製造方法。
  4. 第二重合工程および/または第三重合工程において、アクリル系重合体を水で冷却しながら光重合する請求項1、2または3記載の製造方法。
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