JP3600931B2 - 親水性重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、親水性単量体水溶液に溶存している酸素濃度を減少させる脱酸素方法及び親水性重合体の製造方法である。
【0002】
【従来の技術】
アクリル酸、アクリルアミド及びジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの3級塩または4級塩等の親水性単量体を重合して得られる親水性重合体は、吸水性樹脂、廃水処理用の汚泥脱水剤及び製紙用助剤等として多用されている。
親水性単量体の重合においては、単量体は水溶液として使用されるが、水溶液中の溶存酸素による重合阻害の問題があり、単量体水溶液中の脱酸素方法が種々検討されている。
例えば、重合器に単量体水溶液を仕込み、重合器下部から窒素等の不活性ガスを供給するバッチ式の脱酸素方法、気泡塔に単量体水溶液及び不活性ガスを供給して連続脱気する連続式の脱酸素方法等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、バッチ式の脱酸素方法では、脱気に長時間を要してしまう問題を有するものであった。
また、バッチ式の脱酸素方法および連続式の脱酸素方法のいずれの場合においても、水溶液中に多孔質フィルタを投入し、その多孔質フィルタから窒素等の不活性ガスを微細泡として噴出させることによって、溶存酸素を低減させている。 しかしながら、記多孔質フィルタによる置換方法では、溶存酸素量を低減させるには多くの不活性ガスと時間を要し、必ずしも経済的でなく、多孔質フィルタに重合が発生してフィルタが目詰まりを起こすため、定期的に多孔質フィルタを洗浄したり、取り替えなければならない。
そこで、本発明は、かかる不都合を解消する親水性単量体水溶液脱酸素方法を用いて得られた水溶液を使用し、単量体を重合する親水性重合体の製造方法を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々の検討の結果、親水性単量体の円滑な重合には水溶液中の溶存酸素量を0.05ppm以下とすることが好ましいことを見出し、さらに、この様な条件とすることができる上、前記した様な問題点を解消する方法として、以下の方法が有効であることを見出し本発明を完成した。
【0005】
請求項1の親水性重合体の製造方法は、管状静止型混合器に、親水性単量体水溶液と不活性ガスを、親水性単量体水溶液の供給容積1に対して不活性ガスの容積3以上、かつ管状静止型混合器の入口と出口における圧力損失が0.05MPa以上の条件で供給して得られた水溶液を使用して、前記単量体を重合する親水性重合体の製造方法である。
又、請求項2は、請求項1と同様の方法で得られた水溶液を、光重合開始剤の存在下に光照射して重合するものであり、例えば、ベルトコンベアを使用して連続重合を可能にする。
【0006】
なお、本明細書においては、アクリレートまたはメタクリレートを(メタ)アクリレートと表し、アクリル酸またはメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表し、アクリルアミドまたはメタクルアミドを(メタ)アクリルアミドと表す。
又、第1発明は、管状静止型混合器に、親水性単量体水溶液と不活性ガスを、親水性単量体水溶液の供給容積1に対して不活性ガスの容積3以上、かつ管状静止型混合器の入口と出口における圧力損失が0.05MPa以上の条件で供給する方法をいい、
第2の発明は、気液同時吹き込みノズルを有する気泡塔の底部に供給配管を設けると共に、その気泡塔の途中から供給配管に連結する循環配管を設けて循環量を確保する。そして、親水性単量体水溶液の供給容積1に対して不活性ガスの容積0.3以上で供給すると共に、供給配管内の流速が0.1m/s以上になるようにする方法をいう。
【0007】
【発明の実施の態様】
1.親水性単量体水溶液
第1発明及び第2発明における、親水性単量体(以下単量体という)としては、種々の単量体を使用することができ、カチオン性単量体及びアニオン性単量体及びノニオン性単量体を挙げることができる。
カチオン性単量体としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの塩酸塩及び硫酸塩等の3級塩;ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの塩化メチル付加物等のハロゲン化アルキル付加物及び塩化ベンジル付加物等のハロゲン化アリール付加物等の4級塩;ジアルキル(メタ)アクリルアミドの塩酸塩及び硫酸塩等の3級塩;ジアルキル(メタ)アクリルアミドの塩化メチル付加物等のハロゲン化アルキル付加物及び塩化ベンジル付加物等のハロゲン化アリール付加物等の4級塩等が挙げられる。
アニオン性単量体としては、(メタ)アクリル酸及びこのナトリウム塩等のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩;並びに(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の(メタ)アクリルアミドアルキルアルカンスルホン酸及びこのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩等が挙げられる。
ノニオン性単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これら単量体は、2種以上を併用することができる。
【0008】
単量体水溶液における単量体の濃度は、脱酸素後に単量体水溶液を使用して重合する工程において、重合が円滑に進行し、得られる親水性重合体の取り扱いに優れる点で、20〜90重量%が好ましく、より好ましくは25〜80重量%である。
【0009】
後記する本発明の脱酸素方法により最終的に得られる単量体水溶液中の酸素濃度としては、0.05ppm以下が好ましい。尚、0.05ppmを超えると、単量体の重合が充分進行しない場合がある。
【0010】
2.不活性ガス
第1発明及び第2発明における、不活性ガスとしては、窒素、並びにヘリウム及びアルゴン等の希ガス等が挙げられ、安価な点で窒素ガスが好ましい。
【0011】
3.第1の実施の形態
第1発明は、管状静止型混合器に、下記A、Bの条件下で単量体水溶液と不活性ガスを連続供給する単量体水溶液の脱酸素方法である。
(A)単量体水溶液の供給容積1に対して不活性ガスの容積3以上
(B)管状静止型混合器の入口と出口における圧力損失が0.05MPa以上
【0012】
本発明で使用する管状静止型混合器は、スタティックミキサーとも呼ばれるもので、種々のものが使用可能である。
好ましい管状静止型混合器の例を図1及び図2に示す。当該管状静止型混合器は、図1(断面図)、図2(模試図)に示すように、配管内に、水溶液を2分割するエレメントE(Ea、Eb)が複数個、配列してあり、順次、2分割しながら混合する形式である。
【0013】
このエレメントEa(Eb)は、入口に於て左右に分割の仕切壁5が出口に向けて螺旋状に形成してあり、前記右入口から入る水溶液(Fa)は左出口から排出される水溶液(Fb)になり、前記左入口からの水溶液(Fb)は右出口から排出される水溶液(Fa)になる構造である。
そして、前記管状静止型混合器は、エレメントEaの次にエレメントEaを90゜回転したエレメントEb、エレメントEa、エレメントEb…のように交互に配列してあり、順次、水溶液は分割されながら混合される。
即ち、最初のエレメントEaから排出する水溶液Fa、Fbは、次のエレメントEbの入口から(Fa+Fb)/2、(Fa+Fb)’/2となって流入し、更に、次のエレメントEaの入口から(Fa+Fb)/4+(Fa+Fb)’/4、なって流入することによって、順次分割されながら混合する。
管状静止型混合器におけるエレメントの数及び管の太さは、目的に応じて選択すれば良い。
【0014】
第1発明は、管状静止型混合器に、前記A、Bの条件下で単量体水溶液と不活性ガスを連続供給する。
単量体水溶液の供給容積1に対する不活性ガスの容積は3以上である必要があり、好ましくは3〜20である。
また、管状静止型混合器の入口と出口における圧力損失が0.05MPa以上以上である必要があり、好ましくは0.05〜1.0MPaであり、より好ましくは0.05〜0.5MPaである。
単量体水溶液の供給容積1に対する不活性ガスの容積3に満たない場合は、または管状静止型混合器の入口と出口における圧力損失が0.05MPaに満たない場合は、目的の溶存酸素量とすることができない。
【0015】
単量体水溶液及び不活性ガスの供給速度は、使用する管状静止型混合器、目的とする前記A及びBの条件等に応じて適宜設定すれば良いが、好ましくは単量体水溶液は0.1〜3.0m/sであり、不活性ガスは0.3〜9.0m/sである。
単量体水溶液の温度は、目的に応じて設定すれば良いが、15〜25℃が好ましい。尚、15℃に満たないと、水溶液の粘度が上昇して圧力損失が増加し、単位時間当たりの処理量が減少したり、溶存酸素量を低減できない場合があり、他方、25℃を超えると、水溶液中の単量体が重合してしまう場合がある。
【0016】
4.第2の実施の形態
第2発明は、図3に示すように、気液同時吹き込みノズルを有する気泡塔の底部に供給配管を設けると共に、前記気泡塔の途中から前記供給配管に連結する循環配管を設け、下記C、Dの条件下で単量体水溶液と不活性ガスを前記供給配管に連続供給する脱酸素方法である。
(C)単量体水溶液の供給容積1に対して不活性ガスの容積0.3以上
(D)気液供給ノズル内の流速が0.1m/s以上
【0017】
本発明では、多孔質フィルターを有しない気液同時吹き込み気液供給ノズルを介して気泡塔に噴射する構成であり、多孔質フィルター付き気液供給ノズルで気泡塔に噴射する場合に生ずる、フィルターに重合物が付着し目詰まりを起こしてしまうことを回避する。
尚、本発明で使用する気泡塔としては、滞留槽の作用をし、気液同時吹き込みノズルを有するものであれば、単量体水溶液の供給容積等を考慮して、種々のものが使用可能である。
又、不活性ガス供給部から気泡塔間の気液供給ノズルの長さLは、供給配管径(d)の2倍以上が望ましいし、前記液高さ(H)は、気泡塔の直径Dの3倍以上が望ましい。
【0018】
第2発明では、気泡塔に上記C、Dの条件下で単量体水溶液と不活性ガスを前記供給配管に連続供給する。
単量体水溶液の供給容積1に対して不活性ガスの容積0.3以上である必要があり、好ましくは0.3〜20である。
また、気液供給ノズル内の流速が0.1m/s以上である必要があり、好ましくは0.1〜10m/sである。
尚、単量体水溶液の供給容積1に対して不活性ガスの容積0.3に満たない場合、または気液供給ノズル内の流速が0.1m/sに満たない場合には、目的の溶存酸素量とすることができない。
【0019】
単量体水溶液及び不活性ガスの供給速度は、使用する気泡塔、目的とする前記C及びDの条件等に応じて適宜設定すれば良く、好ましくは単量体水溶液は0.1〜10.0m/sであり、不活性ガスは0.03〜3.0m/sである。
又、単量体水溶液の温度は、目的に応じて設定すれば良いが、15〜25℃が好ましく、15℃に満たないと、水溶液の粘度が上昇して圧力損失が増加し、単位時間当たりの処理量が減少したり、溶存酸素量を低減できない場合があり、他方、25℃を超えると、水溶液中の単量体が重合してしまう場合がある。
【0020】
5.親水性重合体の製造方法
本発明の脱酸素方法で得られた単量体水溶液は、常法に従い重合することにより、親水性重合体を製造することができる。
例えば、単量体水溶液を使用し、アゾ系重合開始剤及びレドックス重合開始剤等の重合開始剤の存在下に、加熱・攪拌する重合方法、光重合開始剤の存在下に光照射する重合方法等が挙げられる。
【0021】
本発明においては、光重合開始剤の存在下に光照射する重合方法が好ましく、当該重合方法によれば、重合速度が速いため、短時間に目的の重合体を製造することができる上、連続重合を容易に実施することができる。
又、連続重合法によれば、製造装置の小型化が可能となり、さらに親水性重合体を大量かつ省力化して製造することができる。さらに、第1発明及び第2発明と組み合わせることによって、脱酸素工程を連続的に行え、単量体水溶液中の溶存酸素量を低減できるため、効果的に重合を進行させることができる。
【0022】
この場合に使用される光重合開始剤としては、種々のものが使用でき、例えば、2,2’−アゾビス(アミノジプロパン)塩等のアゾ化合物、1−ベンゾイル−1−ヒドロキシシクロヘキサン及びベンゾフェノン等のケトン、ベンゾイン及びそのアルキルエーテル、ベンジルケタール、並びにアントラキノン等が挙げられる。
光重合開始剤の配合割合としては、水溶液中の単量体に対して、10〜1万ppmが好ましく、より好ましくは10〜2000ppmである。
光重合開始剤は、脱酸素前の単量体水溶液にあらかじめ添加することも、または脱酸素後の単量体水溶液に添加することもできるが、脱気中の単量体の重合を防止できる点で、脱酸素後の単量体水溶液に添加することが好ましい。
【0023】
当該製造方法はバッチ式でも連続式でも行うことができるが、前記の通り、生産性等に優れるため、連続重合方法を採用することが好ましい。
又、連続重合方法としては、種々の方法が採用され、気密室内に設置された液溜め部を有する連続ベルトと、気密室上部に固定された光源からなる装置を使用する方法が好ましい。
具体的には、連続ベルトの一方より、単量体水溶液を目的の深さを維持する様に連続的に供給する。尚、酸素による単量体の重合阻害の影響が特に大きい単量体を使用する場合や、凝集剤の製造等のように高重合度の重合体を製造する場合においては、これを防止するため、気密室内に窒素等の不活性ガスを連続的に供給することが好ましい。又、当該ベルトは単量体水溶液と共に連続的に移動し、固定された光源の下に単量体水溶液が供給される。単量体水溶液は、当該光源で照射される光により重合させる。
【0024】
尚、より好ましい実施態様として、管状静止型混合器又は気泡塔と連結された、図4に示す構造のベルトコンベア方式の重合装置を使用する親水性重合体の製造方法について説明する。
また、図4(A)は全体図、図4(B)はA〜A断面図である。
【0025】
図4において、11は連続ベルトで、連続ベルト11を前後端に設けたローラ12、12’で回転させる。
前記連続ベルト11は、可撓性を有するものが好ましく、より好ましくは樹脂により形成されているものである。連続ベルト11はその中央側に長手方向に沿って液溜め部17を有するものが好ましく、巾方向断面が凹状を有すれば、種々の形状のものが使用可能であり、特に(B)に示すような巾方向断面が舟型のものが好ましい。
【0026】
図4において、13は前記連続ベルト11の進行方向に沿って配設された断面ロ字状の気密室で、前記ベルト11は気密室13を貫通して通り抜けている。その空間には、必要に応じて窒素ガス等の不活性ガスを供給して不活性ガス雰囲気とする。又、前記気密室13の上面14は光透過性のガラス等の光透過性材料で形成されており、気密室13の上方に備えられた複数の光源15から照射される光を透過できるようになっている。
【0027】
管状静止型混合器又は気泡塔から供給された単量体水溶液は、酸素濃度を所定値(0.05ppm以下)にした光重合開始剤と混合器16で混合され、重合装置中にベルト11上に供給する。
【0028】
連続ベルト11上に供給された単量体水溶液は、ベルト11の移動に伴われて下流側に搬送されると共に、光源15によって光照射される。光源としては、通常光重合用光源として用いられる、紫外、可視光線が照射できる市販品が適宜利用できる。
【0029】
光照射により、単量体水溶液中の単量体の重合が開始し、連続ベルト11上で重合しながら下流側に搬送される親水性重合体層は、重合が完了した状態で気密室13の最下流部を通って搬出され、連続ベルト11から剥離される。
得られた親水性重合体は、常法に従い切断、粉砕、乾燥され、粉末製品とされ、吸水性樹脂、凝集剤等として各種用途に使用される。
【0030】
【実施例】
(1)実施例1〜4及び比較例1〜4
図1に示す構成の管状静止型混合器を使用し、種々の条件のもとで測定した。単量体水溶液として、アクリルアミド水溶液(濃度40重量%、モノマーの液温度:15℃、溶存酸素濃度:7〜8ppm)を使用し、不活性ガスとして、窒素ガスを使用した。
断面積(581mm2)の管状静止型混合器を使用し、単量体水溶液供給量(F)、窒素流量(G)、窒素ガス量と単量体水溶液供給量の比(ガス/液比)、管状静止型混合器の入口圧P1、管状静止型混合器の出口圧P2、圧力損失(P1−P2)、管状静止型混合器から排出される単量体水溶液の溶存酸素濃度(DO)の測定データを、表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
尚、比較例1、2から、単量体水溶液供給量に対する不活性ガス供給量との比(以下ガス/液比という)が3.0以上であっても、管状静止型混合器前後の圧力損失が0.05MPaより小さいとき、又、比較例3、4から、管状静止型混合器前後の圧力損失が0.05MPa以上であっても、ガス/液比が3.0より小さい条件では、何れも溶存酸素濃度を0.05ppm以下にならなかった。
【0033】
(2)実施例5〜7及び比較例5〜7
図2に示す構成の気泡塔を使用し、種々の条件で測定した。
単量体水溶液としては、前記実施例1〜4と同様のものを使用し、不活性ガスとして、窒素ガスを使用した。
単量体水溶液と窒素ガスを供給配管(d=30mm)を介して、気泡塔(直径D=200mm)、液高さ(H=600mm)の底部から供給すると共に、気泡塔の途中から供給配管に連結する循環配管を設け、気泡塔内の水溶液の一部を循環(循環量G)させた。
尚、ガス液混合状態の供給配管の長さLは、供給配管径(d)の2倍以上の150mmである。
【0034】
次に、この気泡塔を使用して、単量体水溶液を用いて、供給配管の基で、単量体水溶液流量(F)と循環量(R)及び窒素ガス供給量(G)の供給配管内の液ガス速度(v)、供給単量体水溶液流量(F)、循環量(R)、不活性ガスの供給量(G)、不活性ガス量(G)に対する供給モノマー量(F)と循環量(G)を加算した比(ガス/液比)、気泡塔から排出のモノマーの溶存酸素濃度(DO)の測定データを表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】
尚、比較例5では、ガス/液比が本発明の条件に満たない0.2で、供給配管内の液ガス速度が本発明の条件に満たない0.06m/sであり、比較例6では本発明のガス/液比を満たす0.4であるが供給配管の液ガス速度が0.06m/sの低速であり、比較例7では本発明の液ガス速度を満たす0.2m/sであるがガス/液比が0.2であり、何れも、溶存酸素濃度は0.05ppm以下にならなかった。
【0037】
(3)実施例8
前記実施例の管状静止型混合器と連結された、図4に示す構造のベルトコンベア方式の重合装置を使用し重合を行った。
単量体水溶液の単量体純分に対して重量基準で、光重合開始剤として1−ベンゾイル−1−ヒドロキシシクロヘキサンが30ppm及びアゾビスアミジノプロパン塩酸塩が1800ppmとなる水溶液を調製し、さらに2分間窒素でバブリングし、これを重合開始剤タンクに仕込んだ。
実施例1の条件で供給された単量体水溶液を、この光重合開始剤水溶液と混合器6で混合して、重合装置に供給した。
光源として20Wケミカルランプ(株式会社東芝製、商品名「FL20BL」)を用いて、5W/m2の照射強度で紫外線を照射した。
重合は容易に進行し、得られた親水性重合体は、0.5%塩粘度120mPa・sと高重合度のものであり、各種性能に優れるものであった。
【0038】
(4)比較例8
比較例1の条件で供給された単量体水溶液を使用する以外は、実施例8と同様にして重合を行った。
重合が不充分に進行したため、得られた親水性重合体は、0.5%塩粘度90mPa・sと低重合度であり、各種性能に劣るものであった。
【0039】
(5)実施例9
前記実施例の気泡塔と連結された、図4に示す構造のベルトコンベア方式の重合装置を使用し、実施例5の条件で供給された単量体水溶液を使用する以外は、実施例8と同様にして重合を行った。
重合は容易に進行し、得られた親水性重合体は、0.5%塩粘度123mPa・sと高重合度のものであり、各種性能に優れるものであった。
【0040】
(6)比較例9
比較例5の条件で供給された単量体水溶液を使用する以外は、実施例9と同様にして重合を行った。
重合が不充分に進行したため、得られた親水性重合体は、0.5%塩粘度83mPa・sと低重合度であり、各種性能に劣るものであった。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、管状静止型混合器を使用して脱酸素を行うと、単量体水溶液を、極めて簡便に好ましい溶存酸素濃度の0.05ppm以下に低減することができると共に、単量体が停留する箇所がないので重合が発生することもなく、経済性に富む方法であり、この水溶液を使用して重合すると良好な重合物を得ることができる。
又、脱酸素した水溶液を光重合開始剤の存在下に、光照射することにより、親水性重合体を短時間に重合することが可能となるため、連続重合を効率的に実施することができ、この連続重合方法によれば、製造装置の小型化ができると共に、親水性重合体を大量かつ省力化して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に於ける管状静止型混合器による脱酸素方法のフロー図である。
【図2】管状静止型混合器の模試図である。
【図3】第2の実施の形態に於ける気泡塔による脱酸素方法のフロー図である。
【図4】(A)は単量体の連続重合装置の概念を示す全体図、(B)はA〜A断面図である。
【符号の説明】
11 連続ベルト
12、12’ ローラ
13 気密室
15 光源
Claims (2)
- 管状静止型混合器に、下記A、Bの条件下で親水性単量体水溶液と不活性ガスを連続供給して得られた水溶液を使用し、前記単量体を重合することを特徴とする親水性重合体の製造方法。
(A)親水性単量体水溶液の供給容積1に対して不活性ガスの容積3以上
(B)管状静止型混合器の入口と出口における圧力損失が0.05MPa以上 - 管状静止型混合器に、前記A、Bの条件下で親水性単量体水溶液と不活性ガスを連続供給して得られた水溶液を、光重合開始剤の存在下に光照射して重合することを特徴とする請求項1記載の親水性重合体の製造方法。
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