JP3963989B2 - 施解錠確認装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、錠前の最新の施解錠状態を鍵に表示でき、外出先でも住戸や自動車の施解錠状態を鍵を見て確認できる施解錠確認装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記した機能を有する、所謂施解錠確認装置は、現在種々のものが提案されているが、例えば特願平2−145163(特開平4−38382)によって提案された施解錠確認装置は、施解錠状態の表示の為に電池を用いる必要が無い、という点において着想が優れている。
【0003】
この施解錠確認装置は、半径方向に着磁された小さな円柱状の表示マグネットを鍵の摘み内に回動自在に装着し、一方、シリンダ錠の端面の表示マグネットの移動軌跡に沿って相互に着磁方向が異なるドライブマグネットを配設し、ドライブマグネットと表示マグネットが近接したときに両者の間に生じる磁気吸引力及び磁気反発力を利用して表示マグネットを反転させるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかして、上記した施解錠確認装置は、ドライブマグネットにより反転させた表示マグネットをシリンダ錠から抜いた後もその反転角度位置を保持するため、表示マグネットに近接させて磁性体の吸着板を設けている。
【0005】
しかも、この吸着板を表示マグネットとドライブマグネットとの間に設けており、ドライブマグネットからの磁束が吸着板によって遮断され、表示マグネットに磁力を及ぼすことができないので、結局この発明は未完成であって、この発明による施解錠確認装置は作動しない。
【0006】
一方、同様に表示マグネットの反転を利用する施解錠確認装置であるが、上記した不都合を解消するために特願平5−219146(特開平7−54524)によって提案されたものは、鍵の鍵孔への挿入時移動するトリガーを表示マグネットの近傍に設け、このトリガーをその内端が表示マグネットを押圧する方向に付勢して、鍵の鍵孔への挿入時にはトリガーの内端が表示マグネットから離間して表示マグネットを自由にするが、鍵を鍵孔から抜くとトリガーの内端が表示マグネットに弾力を及ぼして機械的にブレーキを掛ける。
【0007】
上記した構成の施解錠確認装置は、所期の機能を発揮して現在実用されているが、鍵孔から抜いた状態の鍵のトリガーを少しでも動かすと表示マグネットが自由になってしまい、その表示角度位置が変ってしまう可能性がある、という点において未だ改良の余地がある。
【0008】
この発明は、トリガーを少しくらい動かしてもトリガーによる表示マグネットの拘束が解かれることが無い施解錠確認装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、シリンダ錠の外筒外端面の所定の角度位置に装着され、内筒の軸線方向に着磁された永久磁石よりなるドライブマグネットと、非磁性材質の摘みを有する鍵と、この鍵の摘み内において、シリンダ錠に対向する前端面に近接し、かつ鍵孔に挿入されたときシリンダ錠の半径方向においてドライブマグネットとほぼ整合する位置に形成された磁石保持室と、中心軸に直角な方向に着磁された回転体をなす永久磁石であって、中心軸を含み、着磁方向に平行な平面に関し一方の外周面と他方の外周面とを夫々異なる色に塗り分けられ、中心軸を鍵のステムに対しほぼ直角にした状態で磁石保持室内に回動自在に収納された表示マグネットと、上記摘みの少なくとも一方の側面に開口し、上記磁石保持室内を覗き込めるようにした覗き窓と、鍵の摘み内において、表示マグネットの隅部がはみ出す連通部を介して上記磁石保持室に連設されたトリガー室内に収納され、前後方向に移動可能に案内されると共に前方に突出する方向に付勢されたトリガーとを有し、このトリガーの頂部前面に傾斜端縁部を形成して、鍵がシリンダ錠の鍵孔から抜出され、一端が摘みの前端面から突出する常態において、連通部からトリガー室側にはみ出した表示マグネットの隅部を傾斜端縁部によって外方に押動し、表示マグネットを固定するようにしたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の態様】
以下、図面に示す実施例に基づいてこの発明について説明する。
尚、この発明が適用されるシリンダ錠は、鍵のステムを水平にした状態で鍵孔に挿入し、時計方向或いは反時計方向に90度回して施錠し、反時計方向或いは時計方向に90度戻して鍵を鍵孔から抜き、解錠するときには、鍵孔に鍵のステムを挿入後反時計方向或いは時計方向に90度回して解錠し、挿入角度位置に戻して鍵を抜くタイプであり、かつ、鍵のステムの裏表を逆にして鍵孔に挿入しても施解錠ができる所謂リバーシブルキーを使用できるものである。
【0011】
図1において符号1は外筒を、符号2は内筒をそれぞれ示し、これら外筒1及び内筒2を有するシリンダ錠は、鍵溝を刻設した鍵のステムを水平にして鍵孔3に挿入し、例えば時計方向に90度回して施錠し、反時計方向に90度戻して鍵を引き抜くように操作するものとする。
【0012】
上記外筒1の外端面には環状のゴム磁石4が貼付してあり、このゴム磁石4の時計盤面に換算して12時と6時の角度位置が部分的に、かつ表面がN極になるように着磁され、一対の第1ドライブマグネット5、5が設けられている。
【0013】
また、上記ゴム磁石4の時計盤面に換算して1時及び7時に相当する角度位置が部分的に、かつ表面がS極になるように着磁され、このようにして一対の第2ドライブマグネット6、6が形成されている。
【0014】
尚、第2ドライブマグネット6の第1ドライブマグネット5に対する相対角度位置、すなわち角度間隔は、図1における上下のドライブマグネットの組において必ずしも同一である必要はない。
【0015】
また、ドライブマグネットを構成するため必ずしもゴム磁石を部分的に着磁する必要はなく、例えばシリンダ錠の外筒の端面の所定の箇所に凹陥部を形成し、或いは穿設し、この凹陥部に永久磁石よりなるドライブマグネット5、6を埋設してもよい。
【0016】
場合によっては、ドライブマグネット5、6を深く沈め、外筒1と同材質の蓋板を被せる。
【0017】
一方、図示の実施例における鍵Kは、図2に示すように、鍵溝を刻設したステム部7と、このステム部7に連設された細長い矩形の取付部8と、非磁性材質の矩形の摘み9からなり、例えば取付部8を摘み9に形成された断面細長い矩形の取付孔(付番せず)に差込み、例えば接着剤で固定することによりこれらは一体に結合されている。
【0018】
上記摘み9の一面(図2では上面)には、シリンダ錠に対向する前端面に近接し、かつ鍵が鍵孔3に挿入されたときシリンダ錠の半径方向においてドライブマグネット5(6)とほぼ整合する位置に磁石保持室11が形成されており、この磁石保持室11に、円筒形の表示マグネット12が回動自在に収納されている。
【0019】
この表示マグネット12は、中心軸に直角な方向に着磁された回転体(図示の実施例では円筒)をなす永久磁石であって、中心軸を含み、着磁方向に平行な平面に関し一方の外周面と他方の外周面とを夫々異なる色、例えば緑色と赤色に塗り分けられている(図示せず)。
【0020】
上記磁石保持室11には、図2に示すように、表示マグネット12の隅部がはみ出す(図3参照)連通部13を介して、後述するトリガーが収納、案内される大体の形状が矩形のトリガー室14が例えば磁石保持室11と同じ深さに掘り込まれ、かつ連設されている。
【0021】
このトリガー室14内には、図3に示すように、大体の形状がヒ字形で、前端(図3で左端)に薄い突出部15a(図4参照)を一体に形成したトリガー15が鍵Kのステム部7の長さ方向に沿う前後方向(図3で左右方向)に移動可能に収納、案内されている。
【0022】
このトリガー15は、その開脚部に弾装された圧縮コイルばねとしてのトリガーばね16の弾力により前方に付勢されているが、鍵Kが鍵孔から抜出された常態においては、トリガー頂部前面に形成された傾斜端縁15bが表示マグネット12の隅部に当接し、これに衝止されるようにして図3の位置を保っている。
【0023】
なお、上記傾斜端縁15bの表示マグネット12から見た傾斜角度は緩やかである方が望ましい。
【0024】
上記のように構成された摘み9には、図4に示すように、その一面を覆うように摘み蓋17が載置され、接着、熱溶着或いはねじ止め等の結合手段により一体に結合されている。
【0025】
なお、図4において符号18は覗き窓を示し、子の覗き窓18は、摘み蓋17の表示マグネット12と整合する部位に、例えば透明なプラスチック板を嵌め込んだものである。
【0026】
上記のように構成された摘みにおいて、鍵Kがシリンダ錠の鍵孔に挿入されていない常態においては、図3に示すように、トリガーばね16の弾力によりトリガー15が前方に移動しており、その傾斜端縁15bが、楔作用により、表示マグネット12を図3で前方及び上方に押動し、これを磁石保持室11の前方の内壁及び天井面に押し付けている。
【0027】
したがって、表示マグネット12は磁石保持室11の内壁面とトリガーの傾斜端縁15bとで弾性的に挟持され、その表示角度位置を安定に保つ。
【0028】
この常態において、例えばこの鍵Kをポケットに入れて持ち運びする途中で、ポケットの内容物にトリガーの先端15aが接触してトリガーを摘み内方に少し押込んだとする。
【0029】
この場合、トリガーの傾斜端縁15bは図3の実線で示す常態位置から若干右方に移動する訳であるが、傾斜端縁15bの傾斜角度が小さい場合には、表示マグネット12と傾斜端縁15bとの距離はそう変らない。
【0030】
その為、磁性材質のトリガーの傾斜端縁15bと表示マグネット12とは相互に磁力を及ぼし合い、換言すれば表示マグネット12はその磁束の磁気抵抗がなるべく小さくなるように傾斜端縁を吸引する。
【0031】
その結果、一つには表示マグネット12が磁石保持室11の内面に押し付けられる為に生じる摩擦トルクにより、傾斜端縁15bが表示マグネット12から離間しても、表示マグネットの表示角度位置は安定に保たれる。
【0032】
一方、鍵Kをシリンダ錠の鍵孔3に挿入すると、図3に示すように、シリンダ錠の内筒端面に押動されてトリガー15が矢印C方向に移動して摘み9内に引込む結果、その傾斜端縁15bが鎖線で示すように表示マグネット12から離間し、表示マグネット12は回動可能になる。
【0033】
そこで、例えば表示マグネット12を図1のAの角度位置にして鍵孔3に挿入し、時計方向に90度回して施錠すると、表示マグネット12は図1の下方の第1ドライブマグネット5に駆動されて図5の上方の状態になる。
【0034】
このとき、覗き窓18(図4参照)から覗ける表示マグネット12の側面が緑色であるとする。
【0035】
施錠後反時計方向に90度回して鍵Kを元の挿入角度位置に戻してから鍵孔3から抜く。
【0036】
この戻し行程において、表示マグネットはドライブマグネット5(6)と出会わないから、表示マグネット12は回転せずに緑色の表示の儘である。
【0037】
そして、鍵を鍵孔から抜くと、トリガーばね16の弾力によりトリガー15は摘み9から突出し、前記したように、また図3に示すように、トリガーの傾斜端縁15bが表示マグネット12の隅部を斜めにに押上げ、これにブレーキを掛けるので、前記したように、表示マグネットによる施錠の表示は安定に保持される。
【0038】
一方、施錠されたシリンダ錠の鍵孔に表示マグネット12を図1のAの角度位置にして挿入し、鍵Kを反時計方向に90度回してまた90度戻すと、表示マグネット12はドライブマグネットにS→N→Sの順で近接し、最終的にS極の第2ドライブマグネットに駆動される結果、図5の下方に示すように反転する。
【0039】
このときには例えば摘みの覗き窓からは表示のマグネットの赤色の表示が現われてシリンダ錠が解錠されていることを示す。
【0040】
このときにも、鍵を抜くと表示マグネット12にブレーキが掛かることは前記したと同様である。
【0041】
尚、リバーシブルキーの場合には、解錠するとき表示マグネット12を図1のBの角度位置にして鍵を挿入する場合も考えられる。
【0042】
この場合にも、図1から明らかなように、表示マグネット12はドライブマグネットにS→N→Sの順で近接するから、矢張り表示マグネット12の表示は反転する。
【0043】
これは、表示マグネット12を図1のBの角度位置で挿入して施錠、解錠する場合も同様で、結局この発明による施解錠確認装置はリバーシブルキーにも適用できる。
【0044】
また、表示マグネット12は、結局、最後に出会ったドライブマグネットによって駆動された状態を保持するから、第1ドライブマグネット5を正確に時計盤面の12時または6時の角度位置に配設する必要はなく、その近辺に配置すればよい。これは第2ドライブマグネット6においても同様である。
【0045】
尚、図示の実施例におけるシリンダ錠は、鍵を90度一定方向に往復させて施錠し、反対方向に90度往復させて解錠すると共に、鍵のステムの裏表を逆にしても作動する所謂リバーシブルキーにも対応するものとしたが、この発明は、他の操作型式のシリンダ錠にも適用可能である。
【0046】
例えば、リバーシブルキーではない鍵を用い、挿入角度位置から180度時計方向または反時計方向に鍵を回して施錠し、その施錠角度位置で鍵を抜き、解錠するときには、施錠角度位置で鍵を挿入して反時計方向または時計方向に180度鍵を回してその解錠角度位置(上記の挿入角度位置)で鍵を抜くタイプのシリンダ錠にも適用できる。
【0047】
この場合、挿入角度位置で鍵を鍵孔に挿入したとき表示マグネット12と整合するシリンダ錠の外筒外端面の部分に、S極またはN極の第1のドライブマグネットを装着し、シリンダ錠の中心軸線に関しこの第1ドライブと対称的な位置にN極またはS極の第2ドライブマグネットを装着する(図示せず)。
【0048】
上記のように構成すれば、施錠完了時と解錠完了時において、表示マグネットは別異の磁極のドライブマグネットに駆動されるから、施錠及び解錠の区別ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による施解錠確認装置を備えたシリンダ錠の正面図。
【図2】この発明による施解錠確認装置を備えた鍵の摘みの平面図。
【図3】表示マグネット及びトリガーを装着して示す図2と同様の鍵の摘みの平面図。
【図4】鍵の摘みの断面側面図。
【図5】ドライブマグネットによる表示マグネットの駆動を説明するための線図。
【符号の説明】
1 外筒
2 内筒
3 鍵孔
5 第1ドライブマグネット
6 第2ドライブマグネット
7 ステム部
8 取付部
9 摘み
11 磁石保持室
12 表示マグネット
13 連通部
14 トリガー室
15 トリガー
15a 突出部
15b 傾斜端縁
16 トリガーばね
18 覗き窓
Claims (1)
- シリンダ錠の外筒外端面の所定の角度位置に装着され、内筒の軸線方向に着磁された永久磁石よりなるドライブマグネットと、非磁性材質の摘みを有する鍵と、この鍵の摘み内において、シリンダ錠に対向する前端面に近接し、かつ鍵孔に挿入されたときシリンダ錠の半径方向においてドライブマグネットとほぼ整合する位置に形成された磁石保持室と、中心軸に直角な方向に着磁された回転体をなす永久磁石であって、中心軸を含み、着磁方向に平行な平面に関し一方の外周面と他方の外周面とを夫々異なる色に塗り分けられ、中心軸を鍵のステムに対しほぼ直角にした状態で磁石保持室内に回動自在に収納された表示マグネットと、上記摘みの少なくとも一方の側面に開口し、上記磁石保持室内を覗き込めるようにした覗き窓と、鍵の摘み内において、表示マグネットの隅部がはみ出す連通部を介して上記磁石保持室に連設されたトリガー室内に収納され、前後方向に移動可能に案内されると共に前方に突出する方向に付勢されたトリガーとを有し、このトリガーの頂部前面に傾斜端縁部を形成して、鍵がシリンダ錠の鍵孔から抜出され、一端が摘みの前端面から突出する常態において、連通部からトリガー室側にはみ出した表示マグネットの隅部を傾斜端縁部によって外方に押動し、表示マグネットを固定するようにしたことを特徴とする施解錠確認装置。
Priority Applications (1)
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JP35877696A JP3963989B2 (ja) | 1996-12-30 | 1996-12-30 | 施解錠確認装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP35877696A JP3963989B2 (ja) | 1996-12-30 | 1996-12-30 | 施解錠確認装置 |
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