JPH07259398A - 錠 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】施錠と解錠との表示を小形化する。 【構成】内側に向けて付勢された錠固定手段を有する筒
状の錠本体１と、挿入された鍵Ｋｙの凹凸と錠固定手段
とが整合した際に解錠されて錠本体１内にて回動する前
記鍵Ｋｙを挿入し得る鍵孔Ｋｈを有する回転体と、前記
回転体の鍵孔Ｋｈ近傍で、かつ回転体が施錠状態で停止
する施錠位置と解錠状態で停止する解錠位置とに対応し
て設けられるそれぞれ極性の異なる永久磁石と、前記錠
本体１の正面に可視可能に配置され前記永久磁石の極性
に応じて反転して施錠と解錠とに対応する表示を行う永
久磁石に対応する磁性を有する表示手段とを具備してな
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、机や収納庫等の家具や
建物の扉等に広く使用される錠に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えば机の引き出しに取り付けら
れる錠として広く普及しているシリンダ錠は、径方向内
側に付勢された複数のピンを有する錠本体の円筒部に、
前記ピンと整合し得る位置に設けられたピンを内蔵する
ピン孔及び凹凸が形成された鍵を挿入する鍵孔を有する
シリンダを回動可能に遊嵌しておき、シリンダに挿入さ
れた鍵により複数のピン孔のピンが錠本体のピンを反付
勢方向に移動することにより、シリンダが回動し得る状
態となるように構成されている。

【０００３】このようなシリンダ錠は、その外観から施
錠されているのか解錠されているのか、鍵を鍵孔に挿入
して操作するまで全く判別がつかない。そこで、シリン
ダの施錠停止位置と解錠停止位置とを表示する表示板を
シリンダに取り付け、シリンダがいずれかの位置に停止
した場合に、その時の錠の状態が外部から確認できるよ
うに、錠本体の上側に表示板を停止し得るように構成し
たものが知られている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たような表示板をシリンダの回動と同時に回動させるも
のでは、表示板の回動空間が必要となるため、シリンダ
錠の錠部分自体は小形であるものの表示板が大形になる
ため、全体としては大形となる。例えば、施錠と解錠と
でシリンダを１８０°回動する必要のあるものでは、錠
本体の半周の周囲に、表示板が通過する空間を必要と
し、シリンダ錠全体として表示板のないものに比較し
て、設置のために約２倍程度の面積を必要とする。この
ように外形が大きくなると、例えば、机の袖部に設けら
れる引き出しの天板正面に取り付ける場合、設置範囲が
限られているので、取り付け不能となることがある。

【０００５】本発明は、このような不具合を解消するこ
とを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、このような目
的を達成するために、次のような手段を講じたものであ
る。すなわち、本発明に係る錠は、内側に向けて付勢さ
れた錠固定手段を有する筒状の錠本体と、挿入された鍵
の凹凸と錠固定手段とが整合した際に解錠されて錠本体
内にて回動する前記鍵を挿入し得る鍵孔を有する回転体
と、前記回転体の鍵孔近傍で、かつ回転体が施錠状態で
停止する施錠位置と解錠状態で停止する解錠位置とに対
応して設けられるそれぞれ極性の異なる永久磁石と、前
記錠本体の正面に可視可能に配置され前記永久磁石の極
性に応じて反転して施錠と解錠とに対応する表示を行う
永久磁石に対応する磁性を有する表示手段とを具備して
なることを特徴とする。

【０００７】本発明における表示手段としては、周方向
に二分される領域に異なる極性を有する永久磁石からな
る円柱形状の表示体と、錠本体の正面上位置に設けられ
て前記表示体を回動可能に収納する凹部とを備え、表示
体が回転体の永久磁石に吸引されている際に施錠と解錠
との一方を表示するものが好適である。

【０００８】

【作用】このような構成のものであれば、回転体に取り
付けられた永久磁石の極性が施錠位置と解錠位置とで異
なっているので、表示手段はそれぞれの永久磁石の吸引
力と反発力とが作用することにより、吸引された状態か
ら反転することになる。つまり、表示手段はその配設さ
れた位置において、回転体の永久磁石と表示手段との磁
力により発生する反発力で回動するもので、その回動に
必要な空間は、表示手段を遊嵌状態に保持し得る広さが
あれば足りることになる。それゆえに、表示手段のため
に必要な領域は最小限に抑えることが可能となり、錠本
体を可能な限り小形にし得るものとなる。

【０００９】また、回転体と機構的に連結されていない
ものの、施錠位置及び解錠位置に回転体が停止している
状態では、永久磁石の吸引力が表示手段に作用するた
め、表示手段が振動等の外的要因で回動することはな
く、安定して表示を維持することが可能となる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の一実施例を、図１〜３を参照
して説明する。

【００１１】図１に示すシリンダ錠１００は、内側に向
けて付勢された錠固定手段たる本体ピン１ａを有する筒
状の錠本体１と、挿入された鍵Ｋｙの凹凸と本体ピン１
ａとが整合した際に解錠されて錠本体１内にて回動する
鍵Ｋｙを挿入し得る鍵孔Ｋｈを有する回転体たるシリン
ダ２と、前記シリンダ２の鍵孔Ｋｈ近傍で、かつシリン
ダ２が施錠状態で停止する施錠位置と解錠状態で停止す
る解錠位置とに対応して設けられるそれぞれ極性の異な
るＳ極及びＮ極永久磁石３、４と、錠本体１の正面に可
視可能に配置され永久磁石３、４の極性に応じて反転し
て施錠と解錠とに対応する表示を行う永久磁石３、４に
対応する磁性を有する表示手段５とを具備してなる。錠
本体１とシリンダ２との基本的な構造は、当該分野で広
く知られているものと同じであってよい。この実施例に
示すものは、その一例である。

【００１２】この実施例において、Ｓ極永久磁石３と
は、Ｓ極を外周側に位置させてシリンダ２に取着したも
のであり、Ｎ極永久磁石４とは、Ｎ極を外周側に位置さ
せてシリンダ２に取着したものを指すものである。Ｓ極
及びＮ極永久磁石３、４と後述する表示体５２の磁石の
材質は、代表的には、フェライト、ＫＳ鋼、ＭＫ鋼、ア
ルニコ及びアルコマックス等が挙げられる。そして、こ
のシリンダ錠１００を家具に適用する場合を考慮する
と、これらの磁石の磁力は、６００ガウス以下であるこ
とが望ましい。これは、この磁力が強すぎると、フロッ
ピーディスク等の収納に際して悪影響を及ぼしかねない
ためで、表示手段５を反転するのに必要十分な磁力に設
定することが好ましい。

【００１３】錠本体１は、例えば亜鉛ダイキャストにク
ロムニッケルメッキを施した円筒形状をしており、内筒
内にシリンダ２が遊嵌状態に配設され、上部に内筒長手
方向の一直線上に穿設された本体ピン孔１ｂ内に、複数
の本体ピン１ａがコイルバネ１ｃにより内筒内側方向に
付勢されて設けられている。本体ピン１ａは、鍵Ｋｙが
鍵孔Ｋｈに挿入されていない状態では、本体ピン孔１ｂ
の下端から突出して、後述のシリンダ２のピン孔２ａ内
に遊嵌されるシリンダピン２ｂを下方に押し付けてい
る。この錠本体１の正面上部には、表示手段５が設けて
ある。

【００１４】表示手段５は、錠本体１に設けられた凹部
５１と、その凹部５１内に回動可能に収納される円柱形
状の表示体５２と、凹部５１の開口を目視可能に閉鎖す
る透明部材５３とで構成される。凹部５１は、長方形の
開口５１ａを有し、その開口５１ａより幅方向の狭い略
直方体状の空間を有している。凹部５１の後壁５１ｂ
は、表示体５２が回動し易いように表示体５２の外径よ
り若干大きな内径の曲面になっている。表示体５２は、
周方向に二分される領域に異なる極性を有してなる円柱
形状の永久磁石からなり、その軸心をシリンダ２の回動
軸と直交する方向にして凹部５１に収納され、表示体５
２がシリンダ２のＳ及びＮ極永久磁石３、４に吸引され
ている際に施錠と解錠との一方を表示するよう構成され
ている。すなわち、表示体５２は、円周方向半部がＳ極
部分５２ａをなし、他方の片半部がＮ極部分５２ｂをな
す円柱状の永久磁石からなる。そして、Ｓ極部分５２ａ
の表面の半周とその部分に隣接するＮ極部分５２ｂの表
面の半周とには、施錠を示す赤色Ｒｄが、残るＳ極部分
５２ａの表面の半周とその部分に隣接するＮ極部分５２
ｂの表面の半周とには、解錠を示す青色Ｂｌがそれぞれ
塗布されている。透明部材５３は、例えばアクリル製
で、その前側表面が凸状の曲面で構成され、凸レンズと
して機能する。

【００１５】シリンダ２は、錠本体１の内筒部分の内径
よりわずかに小さい外形を備えた、例えば亜鉛ダイキャ
ストにクロムニッケルメッキを施した円柱体であり、そ
の前端の側面２ｃに上下方向に１８０°離れてＳ極永久
磁石３とＮ極永久磁石４とを備え、解錠状態で上側に位
置するＳ極永久磁石３の延長線上にシリンダピン２ｂを
遊嵌状態に収納するピン穴２ａが軸心に向かって穿設さ
れるとともに、胴内部の軸心方向にピン穴２ａに連通す
る鍵孔Ｋｈが穿設されている。ピン穴２ａは、解錠状態
で本体ピン孔１ｂとそれぞれが一直線上に配置されるよ
うに形成されており、本体ピン１ａの先端部分が嵌入し
得るようになっている。そして、シリンダピン２ｂの長
さは、鍵Ｋｙに設けられる凹凸に整合して決められてお
り、鍵Ｋｙにより押し上げられた際にその頭部が錠本体
１の内筒面とシリンダ２外周面との境界部分で面一とな
るように設定してある。なお、シリンダ２の後端にはピ
ン６が植設されており、錠本体１の後端に固定された裏
板１ｎとの間でピン６に係合されるロック板７を、シリ
ンダ２の回動に応じて左右に往復作動するように構成さ
れている。

【００１６】このような構成において、施錠と解錠との
表示は、図３にその原理を示すように、シリンダ２のそ
れぞれの永久磁石３、４と表示体５２の磁極との組み合
わせによって行われる。具体的には、まず解錠状態でシ
リンダ２が停止している場合には、シリンダ２のピン穴
２ａに本体ピン１ａの先端が入り込んで、シリンダ２の
回動を禁止しており、Ｓ極永久磁石３がシリンダ２の真
上の位置に停止する。この解錠停止位置では、Ｓ極永久
磁石３が表示体５２のＮ極部分５２ｂを吸引力で保持し
ており、表示体５２は錠本体１の前面に青色Ｂｌを表示
しており、透明部材５３を介して視認できる状態とな
る。

【００１７】ここで鍵Ｋｙを鍵孔Ｋｈに挿入すると、鍵
Ｋｙの凹凸がシリンダピン２ｂを押し上げ、さらにシリ
ンダピン２ｂが本体ピン１ａが押し上げられ、シリンダ
ピン２ｂの上端部が錠本体１とシリンダ２との境界面部
分に整列し回動可能な状態になる。次に、鍵Ｋｙを回動
させると、シリンダ２のＳ極永久磁石３が移動すること
により表示体５２に作用する磁力が遠ざかり、表示体５
２への吸引力が弱くなる。そして、シリンダ２が１８０
°近く回動されると、表示体５２にＮ極永久磁石４が接
近し、Ｎ極永久磁石４が表示体５２の直下に位置する
と、表示体５２の下部分はＮ極部分５２ｂが位置してい
るので、シリンダ２のＮ極永久磁石４の磁力に反発して
回動し、赤色Ｒｄの塗布された表面を表示する。この回
動は、表示体５２のＮ極部分５２ｂとシリンダ２のＮ極
永久磁石４との磁力の反発力を利用しているもので、表
示体５２が凹部５１という限られた空間に収納されてい
るために、Ｓ極とＮ極とが吸引力で結合されて安定する
状態となるまで回転する。表示体５２は回動を完了した
時点で、そのＳ極部分５２ａが下側に位置するので、シ
リンダ２のＮ極永久磁石４と吸引力で結合されることに
なり、回動を完全に停止する。

【００１８】このように、表示体５２の回動はシリンダ
２の回動に応動するものの、シリンダ２と機械的に結合
して回動駆動力を得ているのではなく、非接触な状態で
回動するものである。それゆえ、回動駆動力をシリンダ
２から表示体５２に伝達する機構を必要としない分、表
示体５２を回動させるための空間を小さくすることがで
きる。また、表示体５２は、シリンダ２のＳ及びＮ極永
久磁石３、４の反発力で表示を変え、かつ磁力で表示状
態を保持しているので、誤動作することなく安定に表示
できるものである。

【００１９】なお、本発明は以上説明した実施例に限定
されるものではない。例えば、上記実施例では錠固定手
段として本体ピン１ａ及びシリンダピン２ｂを使用した
ものを説明したが、円環状のディスクを使用するもので
あってもよい。また、表示体５２は、異なる色を塗布す
る代わりに、解錠と施錠との文字を記すものであっても
よい。あるいは、背景色と文字とで表示するものであっ
てもよい。

【００２０】さらに、シリンダ２を９０°回動して施錠
と解錠とをおこなうものでは、シリンダ２に取り付ける
Ｓ及びＮ極永久磁石３、４をその回動方向に一致させ
て、９０°離間して配置すればよい。また、リバーシブ
ルの鍵を使用するシリンダ錠に適用するものであっても
よい。

【００２１】その他、各部の構成は図示例に限定される
ものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変
形が可能である。

【００２２】

【発明の効果】本発明は、以上に詳述したように、回転
体に設けた極性の異なる永久磁石の磁力を利用して表示
手段を切り換えて、施錠と解錠との表示を、回転体の回
動と非接触に、つまり機構的に結合されない状態で行う
ので、表示手段の切換機構を小形化することができ、か
つ誤動作すなわち誤った状態表示をなくすことができる
ものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す断面図。

【図２】同実施例の要部を拡大し、かつ一部分解して示
す斜視図。

【図３】同実施例の作動原理を示す原理説明図。

【符号の説明】

１…錠本体 １ａ…本体ピン ２…シリンダ ２ｂ…シリンダピン ３…Ｓ極永久磁石 ４…Ｎ極永久磁石 ５…表示手段 ５１…凹部 ５２…表示体

フロントページの続き (72)発明者 藤木 武史 京都府長岡京市長法寺清水ケ瀬５−28 (72)発明者 林 泰史 三重県伊勢市辻久留町545−144

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内側に向けて付勢された錠固定手段を有す
   る筒状の錠本体と、 挿入された鍵の凹凸と錠固定手段とが整合した際に解錠
   されて錠本体内にて回動する前記鍵を挿入し得る鍵孔を
   有する回転体と、 前記回転体の鍵孔近傍で、かつ回転体が施錠状態で停止
   する施錠位置と解錠状態で停止する解錠位置とに対応し
   て設けられるそれぞれ極性の異なる永久磁石と、 前記錠本体の正面に可視可能に配置され前記永久磁石の
   極性に応じて反転して施錠と解錠とに対応する表示を行
   う永久磁石に対応する磁性を有する表示手段とを具備し
   てなることを特徴とする錠。
2. 【請求項２】表示手段が、周方向に二分される領域に異
   なる極性を有する永久磁石からなる円柱形状の表示体
   と、錠本体の正面上位置に設けられて前記表示体を回動
   可能に収納する凹部とを備え、表示体が回転体の永久磁
   石に吸引されている際に施錠と解錠との一方を表示する
   ことを特徴とする請求項１記載の錠。