JP3963289B2 - 船外機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、取付ブラケットに対するスイベルブラケットの回動角度を検出するトリムセンダーが設けられている船外機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の船外機について、図7を用いて説明する。図7は従来の船外機の側面図である。船外機01の取付ブラケット02は、小型船舶の船尾のトランサム03に取り付けられている。この取付ブラケット02には、回動軸06を中心としてスイベルブラケット07が回動可能に設けられ、このスイベルブラケット07に船外機本体08が左右方向に揺動可能に設けられている。また、スイベルブラケット07の取付ブラケット02に対する回動角度を検出するトリムセンダーが、スイベルブラケット07の上端部に設けられ、このトリムセンダーのリード線09がスイベルブラケット07の外側面に沿って船外機本体08に導かれている。そして、スイベルブラケット07が取付ブラケット02に対して回動した際、及び、船外機本体08がスイベルブラケット07に対して揺動した際に、トリムセンダーのリード線09が、伸びきらないように、余裕を持って配線されている。さらに、スイベルブラケット07の上端部には、ストッパーピンが挿入されているチルトストッパーボス部011が形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、トリムセンダーのリード線09は、途中からモーターのリード線012と一緒に束ねられているが、チルトストッパーボス部011付近では単独で配設され、比較的自由に移動可能である。したがって、リード線09が大きく撓んで見苦しくなることがある。また、チルトストッパーボス部011のストッパーピンの操作の妨げになることがある。
【0004】
本発明は、以上の様な課題を解決するためのもので、トリムセンダーのリード線の移動を極力少なくした船外機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の船外機(1)は、小型船舶に取り付けられる取付ブラケット(2)と、この取付ブラケットの上端部に設けられている略水平な回動軸(6)と、この回動軸を中心として回動可能に設けられているスイベルブラケット(11)と、このスイベルブラケットに左右方向に揺動可能に取り付けられている船外機本体(24)と、スイベルブラケットの回動角度を検出するトリムセンダー(56)と、取付ブラケットの側面から突出して形成されているリブ(53)と、取付ブラケットの側面から突出して形成されているとともに、中央部に貫通孔(47)が形成されているチルトストッパーボス部(46)と、チルトストッパーボス部の貫通孔に挿入され、スイベルブラケットに係合してスイベルブラケットの回動を阻止するストッパーピン(49)と、取付ブラケットのリブとチルトストッパーボス部との間に形成されている凹溝(54)と、トリムセンダーから前記凹溝に嵌め込まれて船外機本体に導かれているリード線(63)とを備えている。
【0006】
また、リード線の凹溝からの離脱を防止する抜け防止手段(67)が設けられている場合がある。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明における船外機の実施の一形態について図1ないし図6を用いて説明する。図1は本発明における船外機の側面図である。図2は図1の要部拡大図である。図3は船体側から見た船外機の取付部分の図である。図4は図3のIV−IV断面図である。図5は船外機の要部平面図である。図6は図2のVI−VI断面図である。
【0008】
船外機1の取付ブラケット2は、小型船舶の船尾のトランサム3に取り付けられている。この所謂クランプブラケットである取付ブラケット2は、互いに間隔を有して配置されている左右一対のサイド部材4と、このサイド部材4の上端部同士を連結する回動軸6と、サイド部材4の下端部同士を連結する支持軸7とからなり、回動軸6および支持軸7は略水平に配置されているとともに、サイド部材4に対して回動不能に固定されている。取付ブラケット2の回動軸6は、スイベルブラケット11の左右一対の軸受部12に挿入されており、スイベルブラケット11は、取付ブラケット2に対して回動軸6を中心として回動可能となっている。
【0009】
このスイベルブラケット11には、油圧シリンダー14の上端が回動可能に取り付けられている。一方、油圧シリンダー14の下端は、支持軸7に回動可能に取り付けられている。また、この油圧シリンダー14を伸縮させる油圧ポンプ16および、この油圧ポンプ16を駆動させる電動モーター17が、取付ブラケット2に取り付けられている。この油圧シリンダー14、油圧ポンプ16および電動モーター17は、取付ブラケット2の両サイド部材4間に配置されている。
【0010】
さらに、スイベルブラケット11には、上下方向に延在する細長いパイプ状の軸受け19が形成されており、この軸受け19にピボット軸21が回動可能に挿入されている。このピボット軸21の上端にはステアリングブラケット22が固定されている。さらに、ピボット軸21にはステアリングブラケット22などを介して船外機本体24が固定されており、船外機本体24はスイベルブラケット11に対して左右方向に揺動可能となっている。この船外機本体24は、上側から順番にアッパーカウリング26、ロワーカウリング27、アッパーケーシング28およびロワーケーシング29からなるハウジングで覆われており、アッパーカウリング26およびロワーカウリング27からなるカウリング内にエンジン31が設けられている。また、船外機本体24の下部の後端部には、プロペラ32が回転可能に設けられ、カウリング内のエンジン31で駆動される。
【0011】
そして、前述の電動モーター17が正転すると、油圧シリンダー14が伸び、スイベルブラケット11が回動軸6を中心として、図1において時計方向に回動し、スイベルブラケット11と共に船外機本体24が傾動してプロペラ32が上方にはね上がり、チルトアップの状態となる。一方、電動モーター17が逆転すると、油圧シリンダー14が縮み、スイベルブラケット11が、図1において反時計方向に回動し、プロペラ32が下方に垂下し、チルトダウンの状態となる。この様に、油圧シリンダー14、油圧ポンプ16および電動モーター17などで、船外機本体傾動駆動装置である PTT装置( POWER TRIM AND TILT)が構成されており、この PTT装置が稼働すると、船外機本体24は傾動する。
【0012】
ところで、電動モーター17のリード線36は、右舷側に配置されている右サイド部材4の孔38を通って、取付ブラケット2の外側に導出され、一旦撓んでからロワーカウリング27の孔41を通って、カウリング26,27内に導入され、電源装置に接続されている。
【0013】
また、取付ブラケット2の右サイド部材4には、チルトストッパーボス部46が外側(図3、図5および図6において左側)に突出して形成されている。このチルトストッパーボス部46には、中央部に貫通孔47が形成され、ストッパーピン49が挿入されている。一方、スイベルブラケット11には、係合部である係合凹部51が形成されており、船外機1がチルトアップの状態の時に、ストッパーピン49の先端が、係合凹部51に嵌入して係合することができる。そして、ストッパーピン49が係合凹部51に係合すると、このストッパーピン49により、船外機1はチルトアップ状態を維持する。
【0014】
取付ブラケット2のサイド部材4の小型船舶側の端部には、補強用のリブ53が外側(図3において左または右側)に突出して形成されている。このリブ53とチルトストッパーボス部46とは間隔を有して配置されており、リブ53とチルトストッパーボス部46との間に凹溝54が形成されている。
【0015】
さらに、スイベルブラケット11の取付ブラケット2に対する回動角度を検出するトリムセンダー56は、スイベルブラケット11の上端部にボルト57で取り付けられて固定されている。一方、回動軸6には、トリムセンダー56の検出レバー58のピン59が係合する検出用突出部61が固定されている。この様に構成されているので、スイベルブラケット11が回動すると、それに伴ってトリムセンダー56が移動するが、トリムセンダー56の検出レバー58は、その先端のピン59が検出用突出部61に当接しており、トリムセンダー56本体に対して揺動する。トリムセンダー56は、この検出レバー58の揺動量を検知して電気信号としており、この電気信号は、トリムセンダー56のリード線63を介して出力されている。
【0016】
このトリムセンダー56のリード線63は、トリムセンダー56の本体に取り付けられた一端から伸びており、回動軸6に設けられているホルダー66で回動軸6に沿って導かれ、右サイド部材4の外側に延在し、回動軸6の下方を通り、凹溝54に嵌め込まれている。サイド部材4には、抜け防止手段としての押さえ部材67がボルト止めされて設けられており、凹溝54に嵌め込まれたリード線63を外側から押さえ込んでいる。この押さえ部材67が、リード線63の凹溝54からの離脱を防止している。そして、リード線63は、凹溝54からさらに後方に延在し、クリップ68により、前述の電動モーター17のリード線36と一体に結合されて、ロワーカウリング27の孔41を通ってカウリング26,27内に導入され、制御装置などに接続されている。
【0017】
この様に構成されている船外機1において、操舵や船外機本体24の傾動が行われても、トリムセンダー56のリード線63および電動モーター17のリード線36は撓んでおり、操舵や傾動の妨げになることは少ない。しかも、トリムセンダー56のリード線63は、チルトストッパーボス部46とリブ53との間の凹溝54に嵌め込まれており、必要最小限の移動しか行わない。したがって、外観が良好となるとともに、ストッパーピン49の操作の妨げになることが減少する。また、トリムセンダー56のリード線63は、電動モーター17のリード線36と一体に連結されており、リード線36,63の不必要な移動をより確実に防止することができる。
【0018】
以上、本発明の実施の形態を詳述したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例を下記に例示する。
(1)実施の形態においては、抜け防止手段は、押さえ部材67であるが、リード線63が凹溝54から離脱することを防止することができるならば、他の構造でも可能である。たとえば、凹溝54の内面に形成されている係止突起などでも可能である。
【0019】
(2)実施の形態においては、トリムセンダー56はスイベルブラケット11に取り付けられているが、他の部材に取り付けることも可能である。たとえば、回動軸6や取付ブラケット2などに取り付けることが可能である。また、トリムセンダー56の構造は、スイベルブラケット11の取付ブラケット2に対する回動角度を検出することができるならば、適宜変更可能である。
【0020】
(3)実施の形態においては、ストッパーピン49は、スイベルブラケット11の係合凹部51に係合しているが、スイベルブラケット11と係合することができるならば、必ずしも係合凹部51ではなく、他の構造の係合部、たとえば孔や切込みなどでも可能である。
(4)凹溝54の構造たとえば断面形状などは、リード線63が嵌まり込むことができるならば、適宜変更可能である。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、トリムセンダーのリード線は、取付ブラケットのリブとチルトストッパーボス部との間に形成されている凹溝に嵌め込まれている。したがって、操舵や船外機本体の傾動の際にも、リード線の移動が、凹溝により極力防止されている。その結果、リード線が、チルトストッパーボス部に挿入されているストッパーピンの操作の妨げになることが減少する。しかも、凹溝は、リブおよびチルトストッパーボス部を利用して形成されており、リード線の固定のために専用の凹溝を別途形成した場合と比して、製造コストを削減することができる。
【0022】
また、リード線の凹溝からの離脱を防止する抜け防止手段が設けられている場合には、凹溝に嵌まっているリード線が、凹溝から抜け出すことが減少する。その結果、リード線が抜け出してストッパーピンの操作の妨げになることをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明における船外機の側面図である。
【図2】図2は図1の要部拡大図である。
【図3】図3は船体側から見た船外機の取付部分の図である。
【図4】図4は図3のIV−IV断面図である。
【図5】図5は船外機の要部平面図である。
【図6】図6は図2のVI−VI断面図である。
【図7】図7は従来の船外機の側面図である。
【符号の説明】
1 船外機
2 取付ブラケット
6 回動軸
11 スイベルブラケット
24 船外機本体
46 チルトストッパーボス部
47 貫通孔
49 ストッパーピン
53 リブ
54 凹溝
56 トリムセンダー
63 リード線
67 押さえ部材(抜け防止手段)
Claims (2)
- 小型船舶に取り付けられる取付ブラケットと、
この取付ブラケットの上端部に設けられている略水平な回動軸と、
この回動軸を中心として回動可能に設けられているスイベルブラケットと、
このスイベルブラケットに左右方向に揺動可能に取り付けられている船外機本体と、
スイベルブラケットの回動角度を検出するトリムセンダーと、
取付ブラケットの側面から突出して形成されているリブと、
取付ブラケットの側面から突出して形成されているとともに、中央部に貫通孔が形成されているチルトストッパーボス部と、
チルトストッパーボス部の貫通孔に挿入され、スイベルブラケットに係合してスイベルブラケットの回動を阻止するストッパーピンと、
取付ブラケットのリブとチルトストッパーボス部との間に形成されている凹溝と、
トリムセンダーから前記凹溝に嵌め込まれて船外機本体に導かれているリード線とを備えていることを特徴とする船外機。 - 前記リード線の凹溝からの離脱を防止する抜け防止手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の船外機。
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