JP3961759B2 - 不揮発性半導体記憶装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、メモリセルに正常にデータが記憶されているか否かを検証するベリファイ読み出し動作を備えた不揮発性半導体記憶装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
不揮発性半導体記憶装置の一種であるNAND型フラッシュメモリは、8個、16個、あるいはそれ以上の複数個のメモリセルトランジスタを直列に接続し、その両端に2つの選択トランジスタを接続したNANDセルを基本単位とする不揮発性メモリである。
【0003】
図4は、従来のNAND型フラッシュメモリの構成を示す回路図である。
【0004】
このNAND型フラッシュメモリは、メモリセルアレイ100とセンスアンプ群110を有している。メモリセルアレイ100は、行方向にn個配列された複数のブロックBK0、BK1、BK2、…、BKnからなる。これらブロックの各々では、ブロック内のメモリセルに記憶されたデータの一括消去が可能である。なお、図4にはメモリセルMC2のワード線WL2を選択ワード線とした場合の読み出し動作中のワード線印加電圧Vvsel、Vreadが示されている。
【0005】
読み出し動作において、選択されるメモリセル(以下、選択セル)MC2のワード線WL2には、選択ワード線電位Vvselが印加され、その他のメモリセルのワード線WL0、WL1、WL3〜WL15には、メモリセルのしきい値電圧に関わらず、メモリセルを導通させる読み出し用パス電圧Vreadが印加される。すなわち、NANDセル内の選択されていないメモリセル(以下、非選択セル)のワード線WL0、WL1、WL3〜WL15には、メモリセルのしきい値電圧より高い電圧Vreadが印加される。これにより、非選択セルはパストランジスタとなっている。
【0006】
前記NAND型フラッシュメモリは、このように選択セルに直列に接続されるメモリセルが常に存在するため、セル電流を確保しにくく読み出し速度が遅い反面、メモリセルの高集積化には有利なメモリ構造を持っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように読み出し速度が遅いという特徴は、メモリセルへの記憶容量を2値から多値にした場合に、書き込み速度が遅くなる大きな原因となっている。
【0008】
メモリセルへの記憶容量が2値の場合には、その通り、2つのメモリセルのしきい値電圧を区別できればよいため、書き込み後のメモリセルのしきい値電圧Vtの分布は前述の読み出し用パス電圧Vreadより低く制御されればよい。
【0009】
しかし、メモリセルの記憶容量を多値にすると、図5に示すように、読み出し用パス電圧Vreadより低い電圧範囲に、3個のしきい値電圧Vt1、Vt2、Vt3分布を制御よく書き込む必要がある。このため、多値の場合は、2値の場合よりも頻繁に書き込み電圧パルス印加動作と書き込みベリファイ(ベリファイ読み出し)が必要である。
【0010】
図5は、メモリセルの記憶容量が4値の場合のしきい値電圧の分布、及び選択ワード線に印加されるベリファイ電圧、読み出し電圧、及び読み出し用パス電圧を示す概略図である。
【0011】
前記NAND型フラッシュメモリにおいて、図5に示すように、メモリセルの記憶容量を多値にした場合、それぞれのしきい値電圧Vt1、Vt2、Vt3に対し、それぞれのベリファイ用電圧Vv1、Vv2、Vv3を選択ワード線に印加して書き込みベリファイを行う方法を採用する場合を考えてみる。書き込み制御には種々の方法があるが、書き込み速度を向上するためには、しきい値電圧Vt1、Vt2、Vt3を個別に書き込んでベリファイするよりも、Vt1、Vt2、Vt3に共通の書き込みパルス印加動作を行って、それぞれのベリファイ読み出しを行った方がよい。つまり、Vt1、Vt2、Vt3に対する書き込みパルス印加電圧を共有化することによって、書き込み時間を短縮できる。すると、書き込みベリファイ時間の割合が増えるため、更なる書き込みの高速化のためには、書き込みベリファイ時間の短縮が必要である
また、微細化に伴い、メモリセルのセル電流が減少したり、ビット線容量が増加する場合には、ベリファイ読み出し時間は増加する。すると、多値の書き込みでは、書き込みに要する時間のうち、ベリファイ読み出し時間が占める割合がますます大きくなる。
【0012】
この問題に対して、特願平11−224232号では、書き込みベリファイ時の読み出し用パス電圧を通常のパス電圧より高くする提案がなされている。すなわち、書き込みベリファイ時の読み出し用パス電圧を高めることによって、パストランジスタとなる非選択セルのオン抵抗を小さくし、セル電流を増大させるというものである。これにより、ベリファイ時間を短くできる、また、NANDセルにおいて直列に接続できるメモリセルを増やすことができるとされている。
【0013】
しかし、この方法では、セルの微細化に伴い、選択セルとこの選択セルに隣接するメモリセル(以下、隣接セル)との間で容量結合の影響が大きくなった場合に、読み出しに悪影響を及ぼす可能性がある。すなわち、ベリファイ読み出し時において、選択セルに隣接するワード線の電圧が通常の読み出し時のパス電圧より高い場合、容量結合により、選択セルのフローティングゲートが通常の読み出し状態よりも高い電位に持ち上げられた状態で、ベリファイが実行されることになる。
【0014】
これは、ベリファイ読み出し時において、選択セルのしきい値電圧を低く見せることになるため、しきい値電圧が高く書き込まれることになる。これにより、しきい値電圧が高めにシフトしてしまい、しきい値電圧が目標通りに設定できないため、通常の読み出し動作において不具合が発生するという問題がある。
【0015】
そこでこの発明は、前記問題点を解決し、ベリファイ読み出し時間を短縮して書き込み動作を高速化することができる半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明の第1の実施態様の不揮発性半導体記憶装置は、制御ゲートとフローティングゲートを有する、直列に接続された複数の不揮発性メモリセルと、そのドレイン側とソース側に接続された2つの選択トランジスタとを有するNAND型セルと、前記複数の不揮発性メモリセルのうち、いずれか1つの選択された不揮発性メモリセルの制御ゲートに接続された選択ワード線と、前記選択された不揮発性メモリセルに隣接する不揮発性メモリセルの制御ゲートに接続された隣接ワード線と、前記複数の不揮発性メモリセルのうち、前記選択された不揮発性メモリセル及び前記隣接する不揮発性メモリセルを除くその他の不揮発性メモリセルの制御ゲートに接続された非選択ワード線とを具備し、前記選択された不揮発性メモリセルにデータ書き込みを行った後、このデータ書き込みが正常に行われたか否かを検証する書き込みベリファイ読み出し動作において、前記選択ワード線には所定の読み出し用電圧が印加され、前記隣接ワード線には前記読み出し用電圧より電圧が高い第1の読み出し用パス電圧が印加され、前記非選択ワード線には前記第1の読み出し用パス電圧より電圧が高い第2の読み出し用パス電圧が印加され、前記第1の読み出し用パス電圧は、書き込み及び消去動作の直後にこれらの動作が正常に行われたか否かを検証するベリファイ読み出しと異なる通常の読み出し動作時において、前記隣接ワード線及び非選択ワード線に印加される読み出し用パス電圧と等しいことを特徴とする。
【0017】
この発明の第2の実施態様の不揮発性半導体記憶装置は、制御ゲートとフローティングゲートを有する、直列に接続された複数の不揮発性メモリセルとそのドレイン側とソース側に接続された2つの選択トランジスタとを有するNAND型セルと、前記複数の不揮発性メモリセルのうち、いずれか1つの選択された不揮発性メモリセルの制御ゲートに接続され、前記選択された不揮発性メモリセルにデータ書き込みを行った後、このデータ書き込みが正常に行われたか否かを検証する書き込みベリファイ読み出し動作時に読み出し用電圧が印加される選択ワード線と、前記選択された不揮発性メモリセルに隣接する不揮発性メモリセルの制御ゲートに接続され、前記書き込みベリファイ読み出し動作時に前記読み出し用電圧より電圧が高い第1の読み出し用パス電圧が印加される隣接ワード線と、前記複数の不揮発性メモリセルのうち、前記選択された不揮発性メモリセル及び前記隣接する不揮発性メモリセルを除くその他の不揮発性メモリセルの制御ゲートに接続され、前記書き込みベリファイ読み出し動作時に前記第1の読み出し用パス電圧より電圧が高い第2の読み出し用パス電圧が印加される非選択ワード線とを具備し、前記第1の読み出し用パス電圧は、書き込み及び消去動作の直後にこれらの動作が正常に行われたか否かを検証するベリファイ読み出しと異なる通常の読み出し動作時において、前記隣接ワード線及び非選択ワード線に印加される読み出し用パス電圧と等しいことを特徴とする。
【0019】
前記構成を有する不揮発性半導体記憶装置によれば、読み出し動作において選択された不揮発性メモリセルに隣接する不揮発性メモリセルのワード線には第1の読み出し用パス電圧を印加し、前記選択された不揮発性メモリセル及び前記隣接する不揮発性メモリセルを除くその他の不揮発性メモリセルのワード線には第1の読み出し用パス電圧より電圧が高い第2の読み出し用パス電圧を印加することにより、NAND型セル特有の非選択セルのオン抵抗を小さくすることができ、読み出し時のセル電流を増大させて読み出し動作を高速化することができる。
【0020】
さらに、前記読み出し動作が、データ書き込みが正常に行われたか否かを検証する書き込みベリファイである場合には、書き込みベリファイ時の前記第1の読み出し用パス電圧を、通常の読み出し動作時における読み出し用パス電圧にすることにより、選択された不揮発性メモリセルの容量結合を通常の読み出し動作中の状態とほぼ等しい状態に保持したままで、ベリファイ読み出しの高速化が実現できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置について説明する。ここでは、NAND型フラッシュメモリを例に取る。
【0022】
図1は、この発明の実施の形態のNAND型フラッシュメモリの構成を示す回路図である。この図1には、メモリセルアレイとセンスアンプ群のみを示し、その他の構成は省略している。
【0023】
このNAND型フラッシュメモリは、メモリセルアレイ100とセンスアンプ群110を有している。メモリセルアレイ100は、行方向にn個配列された複数のブロックBK0、BK1、BK2、…、BKnからなる。これらブロックの各々では、ブロック内のメモリセルに記憶されたデータの一括消去が可能である。
【0024】
前記ブロックBK0、BK1、BK2、…、BKnの各々は、例えば図1中のブロックBK0に示すように、複数個(ここでは16個)のメモリセルトランジスタMC0〜MC15が直列に接続され、メモリセルMC0のソースに選択ゲートトランジスタSGSTRが接続され、メモリセルMC15のドレインに選択ゲートトランジスタSGDTRが接続されたNANDセルを有している。このNANDセルは、列方向に複数個、ここでは512個配列されて1つのブロックを形成し、さらに前述したように、このブロックが行方向にn個配列されてメモリセルアレイ100を形成している。
【0025】
また、ブロックBK0の複数のNANDセル内の選択ゲートトランジスタSGSTRには、共通ソース線CELSRCが接続されている。また、行方向に配列された複数のNANDセル内の選択ゲートトランジスタSGDTRの各々には、ビット線が共通に接続され、列方向に配列された前記複数のNANDセルの各々にビット線BL0〜BL511がそれぞれ接続されている。ビット線BL0〜BL511の各々には、センスアンプ(S/A)S0〜S511がそれぞれ接続されている。センスアンプS0〜S511の各々には、データD0〜D511がそれぞれ入出力される。
【0026】
さらに、列方向に配列された複数のNANDセル内のメモリセルMC0のゲートにはワード線WL0が接続され、前記複数のNANDセル内のメモリセルMC1のゲートにはワード線WL1が接続されている。同様に、メモリセルMC2〜MC15の各々には、ワード線WL2〜WL15がそれぞれ接続されている。
【0027】
また、列方向に配列された複数のNANDセル内の選択ゲートトランジスタSGSTRには、選択ゲート線SGSが接続され、前記複数のNANDセル内の選択ゲートトランジスタSGDTRには、選択ゲート線SGDが接続されている。また、図1において、ワード線WL0〜WL15、及び選択ゲート線SGS、SGDに記した電圧Vvsel、Vread、Vreadhは、ベリファイ時の印加電圧を示している。
【0028】
また、図2はメモリセルのしきい値電圧の分布、及び選択ワード線に印加されるベリファイ電圧、読み出し電圧を示す概略図であり、図3は書き込み動作時における選択ワード線の電圧波形を示す図である。以下に、実施の形態のNAND型フラッシュメモリにおける書き込み、ベリファイ読み出しの動作について説明する。
【0029】
まず、図2に示すように、書き込み前には、メモリセルのしきい値電圧Vtは消去状態であるVt0となっている。次に、例えば、メモリセルにデータ書き込みを行い、しきい値電圧をVt1にする場合、図3に示すように、選択ワード線に書き込み電圧Vpgmの書き込みパルスを印加した後、選択ワード線の電圧をVv1に設定し、ベリファイ読み出し(書き込みベリファイ)を行う。ベリファイ読み出しの結果、書き込みが十分に行われていない場合は、書き込み電圧を“Vpgm+ΔVpgm”として再び書き込みパルスを選択ワード線に印加し、その後、再びベリファイ読み出しを行う。このようにして、書き込みが十分に行われ、書き込みパス状態となるまで、書き込み電圧をΔVpgmだけ高くしながら書き込みパルス印加動作とベリファイ読み出しとを繰り返す。
【0030】
図3には、選択ワード線電圧をVv1としたベリファイ読み出しのみを示しているが、実際には書き込み速度の高速化のためVt1だけでなく、Vt2、Vt3に対する書き込みも兼ねて行われ、選択ワード線電圧Vv1のベリファイ読み出しに続いてVv2、Vv3を印加したベリファイ読み出しが行われる場合がある。
【0031】
書き込みパルス印加動作において、消去状態Vt0からVt1(またはVt2、Vt3)への書き込みが行われるメモリセルにおいては、ビット線に0Vが転送されるため、メモリセルのチャネルの電位も0Vとなっている。そのため、選択ワード線に書き込み電圧Vpgm(15V〜20V)が印加されると、メモリセルのフローティングゲートとチャネル間に高い電位差が生じ、FNトンネル電流によりフローティングゲートに電子が注入され、メモリセルのしきい値電圧が高くなる。Vt0のまま、書き込みを行わないメモリセルに対しては、メモリセルのフローティングゲートとチャネル間に高い電位差を生じない“H”レベル電圧がビット線に転送され、フローティングゲートへの電子注入が行われない。
【0032】
ベリファイ読み出し動作においては、Vt1、Vt2、Vt3の書き込み先のしきい値電圧に対して、選択ワード線にそれぞれVv1、Vv2、Vv3のベリファイ用電圧を印加して読み出し動作を行い、書き込みが十分行われたか否か判定する。例えば、しきい値電圧Vt1に書き込みを行うメモリセルにおいて、メモリセルのしきい値電圧がVv1より低い場合には、メモリセルがオンするため、読み出し動作時のビット線プリチャージ電位が放電される。一方で、メモリセルのしきい値電圧がVv1以上に高くなると、メモリセルがオフ状態、または高抵抗な状態になるため、ビット線のプリチャージ電位はほとんど放電されなくなる。センスアンプは、この電位変化を検出し、ビット線の放電が行われないしきい値電圧、つまりメモリセルのしきい値電圧がVv1以上に高くなった状態を書き込みパス状態として読み出す。
【0033】
このような書き込み動作によって、メモリセルのしきい値電圧Vt1がVv1以上に制御されることにより、実際の読み出し電圧Vr1に対して、読み出しマージンが確保される。また、Vt1とVt2を区別するための選択ワード線読み出し電圧Vr2は、Vt1が図示された分布になることを前提にマージンを持った電圧に設定されている。
【0034】
例として、選択セルMC2をVt1の状態に書き込む場合には、前記ベリファイ読み出しにおいて、図1に示したように、選択セルMC2のワード線WL2には、Vvsel=Vv1が印加される。そして、同じNANDセル内の選択セルMC2に隣接する非選択セルMC1とMC3のワード線WL1、WL3には、通常の読み出し時のパス電圧であるVreadが印加される。また、その他の非選択セルMC0、及びMC4〜MC15のワード線WL0、WL4〜WL15には、Vreadより高い電圧Vreadhが印加される。ベリファイ読み出し中は、このようなバイアス関係で、メモリセルがベリファイ電圧Vv1に対して、書き込みパス状態となるように実行される。Vt2やVt3の状態に書き込む場合も同様に、選択ワード線の電圧をVv2やVv3に設定して、隣接ワード線にはVread、隣接ワード線を除くNANDセル内の非選択ワード線にはVreadhを印加してベリファイ読み出しを行う。
【0035】
前述した動作によって、ベリファイ読み出し時には、パストランジスタとなるNANDセル内の非選択セルMC0、MC4〜MC15のオン抵抗が通常の読み出し時よりも小さくなるため、セル電流が増加し、ベリファイ読み出し時間を短縮することができる。
【0036】
一方、書き込み終了後の通常の読み出しにおいては、図4に示すような従来と同じ電圧が印加されて読み出しが行われる。すなわち、選択セルMC2のワード線WL2には、しきい値電圧Vt1のセルに対してはVvsel=Vr1が印加され、パストランジスタとなるNANDセル内の非選択セルのワード線WL0、WL1、WL3〜WL15にはVreadが印加される。
【0037】
以下に、通常の読み出し動作、及びベリファイ読み出し動作についてさらに詳細に説明する。
【0038】
最初に、ビット線BL0〜BL511を所定の電圧レベルにプリチャージする。また、NANDセル内の選択セルMC2のワード線WL2に所定の読み出し用の電圧を印加する。図2に示すように、選択セルMC2のワード線WL2には、通常の読み出し動作時には、Vr1、Vr2、Vr3のいずれかの電圧が印加され、ベリファイ読み出し動作時には、Vv1、Vv2、Vv3のいずれかの電圧が印加される。
【0039】
通常の読み出し動作時には、非選択セルMC0、MC1、MC3〜MC15のワード線WL0、WL1、WL3〜WL15にはVreadが印加される。また、ベリファイ読み出し動作時には、非選択セルのうち、選択セルMC2に隣接する隣接セルMC1、MC3のワード線WL1、WL3にはVreadが印加され、隣接セルを除くその他の非選択セルMC0、MC4〜MC15のワード線WL0、WL4〜WL15にはVreadhが印加される。
【0040】
次に、ビット線とワード線の電位が安定してから、所定のタイミングで、選択ゲート線SGSに選択ゲートトランジスタSGSTRが導通する“H”レベル電圧(図1ではVread)が印加され、選択セルのしきい値電圧のレベルに応じてビット線の放電が行われる。センスアンプ群110内の各々のセンスアンプS0〜S511は、所定の時間に変化するビット線BL0〜BL511の各々の電位差を検出して、“1”セルと“0”セルを区別する。
【0041】
ここで、通常の読み出し動作時において、読み出し用パス電圧Vreadを印加したときのメモリセルのセル電流をIcell、ビット線容量をCbl、センスアンプが“H”/“L”レベルを判別できるビット線電位振幅をΔVblとすると、ビット線電位をΔVbl振幅させるのに必要なビット線放電時間T1は、
T1=Cbl×ΔVbl/Icell
と表される。
【0042】
図1に示すように、ベリファイ読み出し動作時における読み出し用パス電圧Vreadhにより、Icellが2倍になったとすると、ビット線電位をΔVbl振幅させるのに必要なビット線放電時間T2は、
T2=Cbl×ΔVbl/(2×Icell)=T1/2
と表され、読み出し用パス電圧Vreadhを印加したときに必要なビット線放電時間T2は、読み出し用パス電圧Vreadを印加したときに必要な時間T1の半分となる。すなわち、読み出し用パス電圧Vreadhを印加するベリファイ読み出しでは、読み出し用パス電圧Vreadを印加する通常の読み出しに比べて、読み出し速度を2倍に速めることができる。
【0043】
なお、ここで、選択セルに隣接する非選択セルのパス電圧がVreadである理由は、次の理由による。微細化が進み、メモリセルのワード線ピッチが小さくなってくると、フローティングゲートを取り巻く容量結合のなかで、隣接セルのフローティングゲート及びワード線の成分が増加してくる。これは、フローティングゲートとワード線との間の絶縁膜や、フローティングゲートとチャネル間のトンネル酸化膜の膜厚の比べて、ワード線ピッチやビット線ピッチの微細化の変化が大きく、フローティングゲートとその電位をコントロールするワード線との容量、そしてウェルまたはチャネル間との容量が減少する一方で、隣接セルとの容量が増加するためである。通常の読み出し時には、この隣接セルのワード線に印加される電圧はパス電圧Vreadであり、このときこのVreadが選択セルに容量結合している。
【0044】
書き込み動作時のベリファイ読み出し中に、セル電流を増加させるために、隣接セルのワード線にVreadhを印加すると、選択セルのフローティングゲートにはVreadhが容量結合した状態でベリファイ読み出し動作が実施されてしまう。すなわち、通常の読み出し動作時よりもフローティングゲートの電位を高くシフトした状態でベリファイ読み出しがパスするまで書き込むことになる。この場合、例えばVt1のしきい値分布をVv1以上に制御したはずなのに、通常の読み出し動作をすると、Vt2側にVt1の分布がシフトして見えることになる。これでは、Vt1とVt2を区別する読み出しワード線電圧Vr2とVt1の分布の差に当たるマージンを確保できなくなる。
【0045】
したがって、隣接セルのワード線には、通常の読み出し動作時と同じVreadを印加し、隣接セル以外の非選択セルのワード線にはVreadより高い電圧Vreadhを印加してベリファイを行うことが望ましい。
【0046】
以上説明したようにこの実施の形態では、書き込みベリファイ動作時において、非選択のメモリセルのうち、選択されるメモリセルに隣接するメモリセルのワード線には第1のパス電位を印加し、その他の非選択のメモリセルのワード線には第1のパス電位より電位が高い第2のパス電位を印加することにより、書き込みベリファイ動作を高速化することができる。
【0047】
言い換えると、NAND型セル構造のフラッシュメモリにおいて、ベリファイ読み出し動作時に、選択ワード線に隣接した非選択ワード線には第1の読み出し用パス電圧、その他の同NANDセル内の非選択ワード線には第1の読み出し用パス電圧より高い第2の読み出し用パス電圧を印加することにより、ベリファイ読み出し動作を高速化することができる。
【0048】
前記実施の形態によれば、特に書き込みベリファイ時に、選択セルに影響がない範囲でパストランジスタとなる非選択セルのオン抵抗を小さくして、セル電流を大きくし、ベリファイ読み出し時間を短縮することができる。さらに、書き込みベリファイ時間が目立つようになってきている多値の書き込みにおいては、度重なるベリファイ読み出し時間を短縮でき、書き込み動作の高速化を図ることができる。
【0049】
【発明の効果】
以上述べたようにこの発明によれば、ベリファイ読み出し時間を短縮して書き込み動作を高速化することができる半導体記憶装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置の構成を示す回路図である。
【図2】前記実施の形態の不揮発性半導体記憶装置におけるメモリセルのしきい値電圧分布、ベリファイ電圧、及び読み出し電圧を示す概略図である。
【図3】前記実施の形態の不揮発性半導体記憶装置の書き込み動作時における選択ワード線の電圧波形を示す図である。
【図4】従来の不揮発性半導体記憶装置の構成を示す回路図である。
【図5】前記従来の不揮発性半導体記憶装置におけるメモリセルのしきい値電圧分布、ベリファイ電圧、読み出し電圧、及び読み出し用パス電圧を示す概略図である。
【符号の説明】
100…メモリセルアレイ
110…センスアンプ群
BK0、BK1、BK2、〜、BKn…ブロック
MC0〜MC15…メモリセルトランジスタ
SGSTR…選択ゲートトランジスタ
SGDTR…選択ゲートトランジスタ
CELSRC…共通ソース線
BL0〜BL511…ビット線
S0〜S511…センスアンプ(S/A)
D0〜D511…データ
WL0〜WL15…ワード線
SGS…選択ゲート線
SGD…選択ゲート線

Claims (2)

  1. 制御ゲートとフローティングゲートを有する、直列に接続された複数の不揮発性メモリセルと、そのドレイン側とソース側に接続された2つの選択トランジスタとを有するNAND型セルと、
    前記複数の不揮発性メモリセルのうち、いずれか1つの選択された不揮発性メモリセルの制御ゲートに接続された選択ワード線と、
    前記選択された不揮発性メモリセルに隣接する不揮発性メモリセルの制御ゲートに接続された隣接ワード線と、
    前記複数の不揮発性メモリセルのうち、前記選択された不揮発性メモリセル及び前記隣接する不揮発性メモリセルを除くその他の不揮発性メモリセルの制御ゲートに接続された非選択ワード線とを具備し、
    前記選択された不揮発性メモリセルにデータ書き込みを行った後、このデータ書き込みが正常に行われたか否かを検証する書き込みベリファイ読み出し動作において、前記選択ワード線には所定の読み出し用電圧が印加され、前記隣接ワード線には前記読み出し用電圧より電圧が高い第1の読み出し用パス電圧が印加され、前記非選択ワード線には前記第1の読み出し用パス電圧より電圧が高い第2の読み出し用パス電圧が印加され
    前記第1の読み出し用パス電圧は、書き込み及び消去動作の直後にこれらの動作が正常に行われたか否かを検証するベリファイ読み出しと異なる通常の読み出し動作時において、前記隣接ワード線及び非選択ワード線に印加される読み出し用パス電圧と等しいことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
  2. 制御ゲートとフローティングゲートを有する、直列に接続された複数の不揮発性メモリセルとそのドレイン側とソース側に接続された2つの選択トランジスタとを有するNAND型セルと、
    前記複数の不揮発性メモリセルのうち、いずれか1つの選択された不揮発性メモリセルの制御ゲートに接続され、前記選択された不揮発性メモリセルにデータ書き込みを行った後、このデータ書き込みが正常に行われたか否かを検証する書き込みベリファイ読み出し動作時に読み出し用電圧が印加される選択ワード線と、
    前記選択された不揮発性メモリセルに隣接する不揮発性メモリセルの制御ゲートに接続され、前記書き込みベリファイ読み出し動作時に前記読み出し用電圧より電圧が高い第1の読み出し用パス電圧が印加される隣接ワード線と、
    前記複数の不揮発性メモリセルのうち、前記選択された不揮発性メモリセル及び前記隣接する不揮発性メモリセルを除くその他の不揮発性メモリセルの制御ゲートに接続され、前記書き込みベリファイ読み出し動作時に前記第1の読み出し用パス電圧より電圧が高い第2の読み出し用パス電圧が印加される非選択ワード線とを具備し、
    前記第1の読み出し用パス電圧は、書き込み及び消去動作の直後にこれらの動作が正常に行われたか否かを検証するベリファイ読み出しと異なる通常の読み出し動作時において、前記隣接ワード線及び非選択ワード線に印加される読み出し用パス電圧と等しいことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
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