JP3961180B2 - ユニット式建物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部が上下に仕切られ、内部上方に物が収納される収納室と、内部下方に車が入るカーポート部とが設けられたカーポートユニットを備えたユニット式建物に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来より、工場で製造された建物ユニットを、建築現場で複数組み合わせて形成されるユニット式建物が利用されている。
建物ユニットは、通常、四隅に立設される柱と、これらの柱の上端間、下端間を相互に連結する天井梁、床梁とから構成され、長さの異なる長辺および短辺を備えた長方形状の平面形を有する直方体状の骨組みを有している。この骨組みには、床面材、壁面材、その他必要な設備部材が予め工場で取り付けられる。このようなユニット式建物によれば、予め建物ユニットに床面材等が取り付けられているので、建築現場において、揚重機等により建物ユニットを所定位置に配置することにより、ユニット式建物が短期間で形成されるので、建築現場における工期を大幅に短縮することができるという利点がある。
【0003】
ここで、ユニット式建物においては、特開平11−93269号公報等に示されるように、建物内に通常の建物ユニットと同様の高さ寸法を有するカーポートユニットが組み込まれたものがある。
このカーポートユニットは、内部に、当該カーポートユニットの高さ寸法と略同じ高さ寸法を有するカーポート部と、側壁に沿って形成されている収納空間となる収納庫とを備えている。
この際、カーポートユニットは、内部に車を入れるようにするため、少なくとも車の進行方向の床梁が省略されて基礎上に設置されるとともに、床梁省略による強度の低下を防ぐために当該床梁の省略部分に応じた天井梁を補強している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようなユニット式建物では、カーポート部がカーポートユニットの高さ寸法と略同じ高さ寸法を有しているので、カーポートユニットの上部を収納として利用することができない。そこで、カーポートユニットの上部(カーポート部上方)に収納室を設けようとする、つまり、一つのカーポートユニットの内部に収納室と収納庫とを設けようとすると、当該カーポートユニットの骨組みが複雑になり、これにより、当該カーポートユニットの製造が煩雑になり、ひいては、ユニット式建物の建築作業が繁雑になるという問題がある。
また、カーポートユニットの内部に、側壁に沿った収納庫を設けると、カーポート部の幅が狭くなるとともに、上部に収納室が設けられたカーポートユニットの内部に側壁に沿った収納庫を設けると、当該収納室が狭くなるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、カーポート部を狭めることがなくカーポートユニットの側壁部分に収納空間を設けることができるうえ、カーポート部上方の収納室を拡張でき、建築作業が容易なユニット式建物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願の第1発明は、図面を参照して説明すると、内部が上下に仕切られ、内部上方に物が収納される収納室4と、内部下方に車が入るカーポート部5とが設けられたカーポートユニット30を備えたユニット式建物1であって、カーポートユニット30の側壁30Aには、当該側壁30Aに設けられた開口を外側から塞ぐように当該カーポートユニット30に片持ち支持されるスペースユニット40が設けられ、スペースユニット40には、収納室4の床4Aと連続する床部48Aが設けられ、スペースユニット40は、床部4Aの上方に形成された上部収納室48と、床部4Aの下方に形成された下部収納室49とを有していることを特徴とする。
この際、前述のカーポートユニット30は、その内部全体が収納室4およびカーポート部5で形成されていてもよいし、居室部50Aを有していてもよい。
【0007】
このような本発明によれば、カーポートユニットの側壁に、外側から当該カーポートユニットとは別体のスペースユニットを設け、このスペースユニットの内部を収納空間とすることで、カーポート部を狭めることがなくカーポートユニットの側壁部分に収納空間を設けることが可能となる。
その上、スペースユニットに収納室の床と連続する床部を設けたので、カーポートユニットの収納室を拡張することが可能となり、これにより、カーポート部上方の収納室を拡張することが可能となる。
さらに、カーポートユニットの側壁に、外側から当該カーポートユニットとは別体のスペースユニットを設けるので、従来に比べて、カーポートユニットの骨組みが複雑にならず、これにより、当該カーポートユニットの製造が容易となり、ひいては、ユニット式建物の建築作業が容易となる。
また、スペースユニットは、カーポートユニットに片持ち支持されているので、当該スペースユニットを支持する基礎等が不要であり、この点からもユニット式建物の建築作業が容易となる。
【0009】
また、前述のカーポートユニット30は、側壁30Aに直交する面同士が接するように複数並列に配置され、側壁30Aにそれぞれ設けられているスペースユニット40同士は、内部が連通していることが好ましい。
このようにすれば、スペースユニット内部の長手方向に渡って、一つのスペースユニット内には入りきらない長尺状の物を収納することが可能となるとともに、スペースユニット間を行き来することが可能となるので、当該スペースユニット内部の使い勝手を向上させることが可能となる。
【0010】
以上において、前述のスペースユニット40は、カーポート部5に対応した長さ寸法とされていることが望ましい。
スペースユニットの長さ寸法が、カーポート部の長さ寸法に対応していれば、カーポートユニットにスペースユニットを取り付ける際の位置合わせ等がほとんど不要となり、当該スペースユニットの設置作業が簡単になるとともに、スペースユニットとカーポートユニットとの間に不自然な段差が見られず、ユニット式建物の外観を向上させることが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1および図2には、本発明の一実施形態に係るユニット式建物1が示されている。
ユニット式建物1は、基礎2上に設置された一階建物ユニット10およびカーポートユニット30と、これら一階建物ユニット10およびカーポートユニット30の上部に配置された二階建物ユニット20と、二階建物ユニット20上に設けられた屋根3と、カーポートユニット30の側壁30Aの外側に設けられているスペースユニット40とを備えて構成されている。
【0012】
一階建物ユニット10は、図2に示されるように、長辺および短辺が所定の寸法に設定された長方形状の平面形を有し、長辺側が接するように短辺方向に3列に配列され、その内部が居室となっている。なお、二階建物ユニット20も、一階建物ユニット10と同一平面形状を有し、長辺方向に2列および短辺方向に3列に配列され、その内部が居室となっている(図示略)。
【0013】
カーポートユニット30は、内部上方に物が収納される収納室4と、内部下方に車が入るカーポート部5とを有し、長辺側が接するように、言い換えると、側壁30Aに直交する面同士が接するようにして3個並列に設置され、他の一階建物ユニット10とともに1階部分を構成している。これら3個のカーポートユニット30により、2台分のカーポート6が形成されている。
【0014】
スペースユニット40は、各カーポートユニット30の側壁30Aに設けられた図示しない開口を外側から塞ぐように、当該カーポートユニット30に片持ち支持されて設けられている。このスペースユニット40は、短辺側が接するようにして3個並列に設置されている。
【0015】
一階建物ユニット10および二階建物ユニット20は、図3に示されるように、四隅の柱12の上下端を天井梁13および床梁14で連結した直方体状の骨組み11を有している。
建物ユニット10、20の天井梁13としては、長さの異なる長辺天井梁13Aおよび短辺天井梁13Bの二種類が設けられている。建物ユニット10、20の床梁14としては、天井梁13と同様に、長さの異なる長辺床梁14Aおよび短辺床梁14Bの二種類が設けられている。
対向する一対の長辺天井梁13Aの間には、天井を形成する図示しない天井面材を支持するための天井小梁15が架け渡されている。対向する一対の長辺床梁14Aの間には、室内床を形成する図示しない床面材を支持するための複数の床根太16が架け渡されている。
【0016】
カーポートユニット30は、図4に示されるように、四隅に立設された四本の柱32と、これらの柱32の上端間を相互に連結する長辺天井梁33および短辺天井梁34と、短辺天井梁34で連結されている柱32の下端間を相互に連結する短辺床梁35と、柱32の中間部分を相互に連結する中間梁36とを備えて構成される骨組み31を有している。
中間梁36としては、長さの異なる長辺中間梁36Aおよび短辺中間梁36Bの2種類が設けられ、それぞれ柱32に溶接されている。各長辺中間梁36Aの端部と柱32とは、それぞれ斜材37で相互に連結されている。
長辺中間梁36Aおよび短辺中間梁36B上には、収納室4の床4Aを形成する棚板38が架け渡されて載置されている。この棚板38によってカーポートユニット30内部が上下に仕切られ、当該内部全体に前述の収納室4とカーポート部5とが形成されている。つまり、棚板38は、収納室4の床4Aを形成するとともに、カーポートユニット30内部を上下に仕切る仕切部材としても利用されている。
【0017】
スペースユニット40は、図5に示されるように、四隅に立設された四本の柱42と、これらの柱42の上端間および下端間を相互に連結する天井梁43および床梁44と、柱42の中間部分を相互に連結する中間梁45とを備えて構成される骨組み41を有している。骨組み41の周囲には、ユニット式建物1の外壁を形成する外壁材46が設けられている。
スペースユニット40の天井梁43としては、長さの異なる長辺天井梁43Aおよび短辺天井梁43Bの二種類が設けられている。スペースユニット40の床梁44としては、天井梁43と同様に、長さの異なる長辺床梁44Aおよび短辺床梁44Bの二種類が設けられている。
中間梁45としては、長さの異なる長辺中間梁45Aおよび短辺中間梁45Bの2種類が設けられ、それぞれ柱42に溶接されている。
長辺中間梁45Aおよび短辺中間梁45B上には、棚板47が架け渡されて載置されている。
【0018】
この棚板47により、スペースユニット40内部が上下に仕切られ、棚板47の上方および下方にそれぞれ収納空間である上部収納室48および下部収納室49が形成されるようになっている。また、この棚板47は、上部収納室48の床部48Aも形成している。つまり、棚板47は、上部収納室48の床部48Aを形成するとともに、上部収納室48および下部収納室49を仕切る仕切板となっている。
ここで、スペースユニット40は、カーポート部5に対応した長さ寸法とされ、具体的には、その長辺が前述の建物ユニット10、20およびカーポートユニット30の短辺と略同じ長さ寸法となっているとともに、短辺が、前述の建物ユニット10、20およびカーポートユニット30の短辺よりも短い寸法となっている(図2参照)。
また、各スペースユニット40のカーポートユニット30に面する側には、面材は設けられておらず、開口が形成されている。
【0019】
また、上部収納室48の床部48Aの高さレベルは、図6に示されるように、収納室4の床4Aの高さレベルと略同じとなっている。そして、各スペースユニット40のカーポートユニット30に面する側は、開口が形成されていることから、床部48Aは、床4Aと連続している。言い換えると、各スペースユニット40は、収納室4の床4Aと連続する床部48Aを備えている。
【0020】
さらに、カーポートユニット30に設けられている3つのスペースユニット40のうち、真ん中に配置されているスペースユニット40の下部収納室49と、カーポート部5との境界部分には、下部収納室49とカーポート部5とを行き来するための扉7が設けられている。
また、並列に配置されている3個のスペースユニット40同士は、その内部、つまり、上部収納室48および下部収納室49が連通している(図2、6)。
【0021】
次に、このようなユニット式建物1の建築手順を説明する。
まず、一階および二階建物ユニット10、20、カーポートユニット30、スペースユニット40等を工場で製造した後、建築現場で、基礎2上に一階建物ユニット10およびカーポートユニット30を設置し、これらの上部に二階建物ユニット20を配置するとともに、カーポートユニット30の側壁30Aにスペースユニット40を外側から片持ち支持で取り付ける。
このようにしてユニット式建物1を建築する。
【0022】
このような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、カーポートユニット30の側壁30Aに、外側から当該カーポートユニット30とは別体のスペースユニット40を設け、このスペースユニット40の内部に収納空間となる上部収納室48および下部収納室49を設けたので、カーポート部5を狭めることがなくカーポートユニット30の側壁部分に収納空間を設けることができる。
【0023】
また、スペースユニット40に収納室4の床4Aと連続する床部48Aを設けたので、カーポートユニット30の収納室4を拡張することができ、これにより、カーポート部5上方の収納室4を拡張することができる。
【0024】
さらに、カーポートユニット30の側壁30Aに、外側から当該カーポートユニット30とは別体のスペースユニット40を設けたので、従来に比べて、カーポートユニット30の骨組みが複雑にならず、これにより、当該カーポートユニット30の製造を容易にでき、ひいては、ユニット式建物1の建築作業を容易に行うことができる。
【0025】
また、スペースユニット40は、カーポートユニット30に片持ち支持で設けられているので、当該スペースユニット40を支持する基礎等が不要であり、この点からもユニット式建物1の建築作業を容易に行うことができる。
【0026】
さらに、床部48Aを、上部収納室48および下部収納室49を仕切る仕切板となる棚板47で形成されているので、スペースユニット40の構造を簡素化することができ、当該スペースユニット40の製造を容易にできる。
【0027】
また、カーポートユニット30の側壁30Aにそれぞれ設けられているスペースユニット40同士は、内部が連通しているので、スペースユニット40内部の長手方向に渡って、一つのスペースユニット40内には入りきらない長尺状の物を収納することができるとともに、スペースユニット40間を行き来することができ、当該スペースユニット40内部の使い勝手を向上させることができる。
【0028】
さらに、スペースユニット40をカーポート部5に対応した長さ寸法としたので、カーポートユニット30にスペースユニット40を取り付ける際の位置合わせ等がほとんど不要となり、当該スペースユニット40の設置作業を簡単にできるとともに、スペースユニット40とカーポートユニット30との間に不自然な段差が見られず、ユニット式建物1の外観を向上させることができる。
【0029】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、カーポートユニットとしては、内部全体が収納室4およびカーポート部5で形成されているものに限らず、例えば、図7に示されるように、図中左側半分に居室部50Aを備え、右側半分に収納室50Bおよびカーポート部50Cが形成されているカーポートユニット50が採用できる。
【0030】
また、前記実施形態では、スペースユニット同士は、内部が連通されていたが、これに限らず、例えば、各スペースユニット毎に面材等で区切られていてもよい。
【0031】
さらに、前記実施形態では、床部48Aは、棚板47で形成されていたが、これに限らず、例えば、棚板47上に、当該棚板47とは別体の床面材を設け、この床面材を床部48Aとしてもよい。
【0033】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明のユニット式建物によれば、次のような効果がある。
すなわち、請求項1〜請求項3に記載のユニット式建物によれば、カーポートユニットの側壁に、外側から当該カーポートユニットとは別体のスペースユニットを設け、このスペースユニットの内部を収納空間とすることで、カーポート部を狭めることがなくカーポートユニットの側壁部分に収納空間を設けることができる。その上、スペースユニットに収納室の床と連続する床部を設けたので、カーポートユニットの収納室を拡張することができ、これにより、カーポート部上方の収納室を拡張することができる。さらに、カーポートユニットの側壁に、外側から当該カーポートユニットとは別体のスペースユニットを設けるので、従来に比べて、カーポートユニットの骨組みが複雑にならず、これにより、当該カーポートユニットの製造を容易にでき、ひいては、ユニット式建物の建築作業を容易にできる。また、スペースユニットは、カーポートユニットに片持ち支持されているので、当該スペースユニットを支持する基礎等が不要であり、この点からもユニット式建物の建築作業を容易にできる。
【0035】
さらに、請求項4に記載のユニット式建物によれば、スペースユニット内部の長手方向に渡って、一つのスペースユニット内には入りきらない長尺状の物を収納することができるとともに、スペースユニット間を行き来することができ、当該スペースユニット内部の使い勝手を向上させることができる。
【0036】
また、請求項5に記載のユニット式建物によれば、スペースユニットの長さ寸法が、カーポート部の長さ寸法に対応していれば、カーポートユニットにスペースユニットを取り付ける際の位置合わせ等がほとんど不要となり、当該スペースユニットの設置作業を簡単にできるとともに、スペースユニットとカーポートユニットとの間に不自然な段差が見られず、ユニット式建物の外観を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態におけるユニット式建物を示す斜視図である。
【図2】前記実施形態におけるユニット式建物を示す平面図である。
【図3】前記実施形態における一階および二階建物ユニットの骨組みを示す斜視図である。
【図4】前記実施形態におけるカーポートユニットの骨組みを示す斜視図である。
【図5】前記実施形態におけるスペースユニットの骨組みを示す斜視図である。
【図6】前記実施形態における要部を示す断面図である。
【図7】本発明の変形例であって、要部を示す概略図である。
【符号の説明】
1 ユニット式建物
4 収納室
4A 床
5 カーポート部
30 カーポートユニット
30A 側壁
40 スペースユニット
47 棚板
48 上部収納室
48A 床部
49 下部収納室
50A 居室部
Claims (5)
- 内部が上下に仕切られ、内部上方に物が収納される収納室と、内部下方に車が入るカーポート部とが設けられたカーポートユニットを備えたユニット式建物であって、
前記カーポートユニットの側壁には、当該側壁に設けられた開口を外側から塞ぐように当該カーポートユニットに片持ち支持されるスペースユニットが設けられ、
前記スペースユニットには、前記収納室の床と連続する床部が設けられ、
前記スペースユニットは、前記床部の上方に形成された上部収納室と、前記床部の下方に形成された下部収納室とを有していることを特徴とするユニット式建物。 - 請求項1に記載のユニット式建物において、
前記カーポートユニットは、その内部全体が前記収納室およびカーポート部で形成されていることを特徴とするユニット式建物。 - 請求項1に記載のユニット式建物において、
前記カーポートユニットは、居室部を有していることを特徴とするユニット式建物。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のユニット式建物において、
前記カーポートユニットは、前記側壁に直交する面同士が接するように複数並列に配置され、
前記側壁にそれぞれ設けられている前記スペースユニット同士は、内部が連通していることを特徴とするユニット式建物。 - 請求項1〜請求項4のいずれかに記載のユニット式建物において、
前記スペースユニットは、前記カーポート部に対応した長さ寸法とされていることを特徴とするユニット式建物。
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