JP3959726B2 - 液体塗布方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、物体表面、特に眼鏡レンズ等の光学用部材の表面への液体塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
眼鏡レンズ等の光学用部材においては、表面にハードコート加工、反射防止加工等の処理を施し、性能・機能の向上を図ることは一般的におこなわれている。特に眼鏡レンズにおいては、レンズ表面の硬さ、蒸着膜との密着性、及び染色性等多くの機能を付与・向上するためには、ハードコート加工が不可欠な表面処理となっている。
【0003】
このハードコート加工においては、硬化性液体をレンズ表面に塗布、硬化する方法が一般的に用いられており、その塗布方法には、浸漬法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法等が用いられている。
【0004】
なかでも物体を回転させながら、その表面に液体を塗布するスピンコーティング法は、均一かつ高品質な塗膜が得られるうえに、加工スピードが速く、装置が比較的コンパクトにできるため、広く用いられるようになってきた。
【0005】
従来のレンズ表面へのスピンコーティング法は、レンズの片面毎に硬化性液体を塗布・硬化する方法が一般的であったが、近年、より高速化・コンパクト化を狙い、レンズの両面に、同時に硬化性液体を塗布し硬化する方法が用いられるようになってきた。
【0006】
その方法としては、特開平06−246220号公報に記載されているように、レンズ等の光学部材を鉛直方向に対して傾いた回転軸を中心に回転させながら、硬化性液体を塗布する方法、あるいは、レンズ等光学部材を硬化性液体中に浸漬し、引き上げた後に回転させる方法等がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のスピンコーティング法においては、次のような問題があった。
【0008】
まず、従来からの片面毎に硬化性液体を塗布する方法では、先に述べたように、生産効率が低いだけでなく、片面に硬化性液体を塗布するときに、反対面に硬化性液体の一部が飛散・付着し、それが、外観歩留まりの低下の原因となる。
【0009】
また、レンズ等光学部材を硬化性液体中に浸漬し、引き上げた後に回転させる方法においては、レンズ等光学部材及びその固定部材の両方を浸漬できうる大型の浸漬槽が必要になる。このような大型の浸漬槽に入った硬化性液体を維持管理するためには、攪拌、フィルタリング、冷却、防爆等様々な付帯設備が必要となる。よって、必然的に装置は大型化し、スピンコーティング法の利点であるコンパクト性が失われてしまう。さらには、揮発成分の補充、硬化性液体の補充・交換等繁雑な日常の液管理が必要となる。また、品質面においては、その機構上、レンズ等光学部材の固定部材は、繰り返し硬化性液体中に浸漬される。そのため、固定部材に付着・固化した硬化性液体のかけらやレンズ等により持ち込まれたごみは、浸漬槽中の硬化性液体を汚染し、それが外観欠点発生の原因となり、高い外観品質を維持することを困難にしている。
【0010】
一方、レンズ等光学部材を鉛直方向に対して傾いた回転軸を中心に回転させながら硬化性液体を塗布する方法では、加工装置の構造が複雑になるため、高価な機械となるだけでなく、長期的な安定稼働が困難になる。
【0011】
すなわち、簡素な機構で、スピンコーティング法の利点を最大限に発揮させるためには、物体の回転軸を鉛直方向に保ちながら、上下両方向から同時に液体を塗布する必要がある。
【0012】
しかしながら、この場合には、次のような大きな問題があった。
スピンコーティング法においては、液体を物体表面全面に塗布するためには、物体の回転中心に液体を塗布しなければならないことは言うまでもない。しかし、単純に下面塗布用の下側ノズルの吐出口を上に鉛直方向に立てると、吐出した液体が吐出口に再付着し、その結果吐出口が汚染され外観欠点の原因となる。下側ノズルが、多種の液体を塗布できるように複数本ある場合は、ノズル間の相互汚染があるため、事態はさらに深刻になる。
【0013】
また、再付着・自己汚染をさけるため、図2に示すように回転中心軸の外側から物体の回転中心に向かって液を吐出させた場合には、吐出したノズル自身への吐出液の再付着による自己汚染は防止できる。しかし、吐出された液体は他のノズル上に落下し汚染してしまうためノズル間の相互汚染は避けられない。
【0014】
従来技術は、以上に述べたような問題点を有するため、高品質なハードコート加工を、高効率、安定的に維持することは困難であった。
【0015】
そこで、本発明は、このような問題点を解決するもので、その目的とするところは、簡便な方法で、高速・コンパクト・高品質・高歩留まりな物体への液体塗布方法を提供するところにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の液体塗布方法においては、光学用レンズを鉛直方向の回転軸で回転させながら、該光学用レンズの下方向から液体を吐出するノズルの吐出口を鉛直方向に対して外側へ向けて5度〜20度傾けることを特徴とする。
【0017】
また、それに加え、光学用レンズの上方向からも液体を吐出し、光学用レンズの上下両面に同時に液体を塗布することを特徴とする。
【0018】
【0019】
さらに、光学用レンズへ吐出する液体の吐出圧、吐出時間、吐出量、およびノズル口から光学用レンズまでの距離により、下側ノズルの傾ける角度を変更できることを特徴とする。
【0020】
前記液体が、熱、光、および/又は電磁波により硬化する硬化性液体であることを特徴とする。
【0021】
本発明は、光学用レンズ、特に眼鏡用レンズの表面にハードコート液を塗布する加工に適用した場合に、顕著な効果が得られるが、特にこれに限定されるものではなく、均一な光学特性を有する膜形成を目的とする表面処理であれば、同様に適用できるものである。
【0022】
【作用】
本発明の方法によれば、光学用レンズの表面に液体を塗布するスピンコーティング法において、下方向から液体を吐出する際、吐出ノズルを鉛直方向に対して傾けることにより、吐出された液体がノズルに再付着・汚染することによる外観欠点を防止し、かつ光学レンズの表面全体に均一に液体を塗布できる。
【0023】
これは、次のような理由による。
先に述べたように、スピンコーティングにおいては、物体の回転中心に液体が塗布されなければ、物体表面全体に液体を塗布できない。しかし、ノズルから吐出された液体は、物体表面に衝突した際、その吐出圧によって円状に広がり、その円が物体の回転中心に達していれば、衝突点が回転中心から外れていても、液体は物体表面全体に拡がる。つまり、吐出圧・ノズル口と回転物体の距離・物体の回転速度・ノズル角度等を調整すれば、液体と回転物体の衝突点、すなわち吐出位置が物体の回転中心から外れていても、物体表面全体に均一に液体を塗布することができる。
【0024】
一方、吐出ノズルを、鉛直方向に対し傾けることで、吐出された液体は、ノズル上に落下しなくなる。その結果、液体がノズルに再付着し、ノズルを汚染することはなくなる。
【0025】
以上二つの事実から、吐出ノズルを傾け、かつ物体の回転中心まで液体が広がる吐出圧等の条件を設定すれば、吐出ノズルを汚染することなく、物体全面に均一に液を塗布することができる。
【0026】
吐出ノズルの傾け角度は、塗布する液体の特性および吐出圧・ノズル口と回転物体の距離・回転速度等を考慮し、最適値に設定すればよい。
【0027】
一般的なメガネレンズにおけるハードコート液のスピンコーティングにおける吐出ノズルの傾け角度は、鉛直方向に対し5゜から20゜が望ましい。品質安定性、液体消費量等を考慮した場合、さらに望ましくは、10゜から15゜が望ましい。
【0028】
吐出ノズルの傾け角度が、5゜より小さい場合は、ハードコート液は吐出ノズル上に落下してしまい、ノズル傾けの効果が望めない。また、25゜以上傾け角度が大きい場合には、他の条件を変更しても全面にハードコート液が塗布されないか、あるいは吐出圧を極端に上げねばならないため、外観品質が低下するか、あるいは液を無駄にすることになる。
【0029】
また、本発明の方法によれば、上に述べた機構に加え、回転物体の上方側にも液吐出ノズルを設け、物体の上下両面に同時に液体を塗布することにより、生産効率をより向上することもできる。
【0030】
さらに付け加えるならば、回転物体の回転軸から外側の位置に液体を吐出する事により、吐出初期の液体中に含まれることの多いゴミ・気泡等外観欠点の原因となる異物が、物体の遠心力によりはじきとばされるため、より外観品質を向上させるという効果もある。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例を、メガネレンズのスピンハードコーティングを例に、図面に基いて説明するが、これらに限定されるものではない。
【0032】
(実験例1)図1は、本発明の、液体塗布装置の一実施例を示す概略断面図である。
【0033】
レンズを1の位置で固定・回転部材2により固定する。レンズは固定・回転部材2とともに、Bを回転軸に、A方向に回転しうる構造になっている。上側吐出ノズル3および4は、ともに内径4mmのチューブであり、上側吐出ノズル3は洗浄・乾燥用のイソプロピルアルコール(IPA)を、また上側吐出ノズル4はハードコート液を吐出するようになっている。下側吐出ノズル5および6も、ともに内径4mmのチューブであり、下側吐出ノズル5は洗浄・乾燥用のIPAを、また下側吐出ノズル6はハードコート液を吐出するようになっている。下側吐出ノズル5および6はノズル固定部材7によって固定され、それぞれ個別に鉛直方向からの角度aおよびbが自由に設定できるようになっている。
【0034】
また、下側吐出ノズル5・6およびノズル固定部材7は、固定・回転部材2とは連結しておらず、固定・回転部材2が回転しても、回転しない構造になっている。
【0035】
また、下側吐出ノズル5・6の吐出口と、レンズ1下面との距離は20mmに設定してある。
【0036】
(1)ハードコート液の調製
▲1▼エポキシアクリレート(EA−1)の合成
温度計、還流器を取り付けたフラスコに、トリメチールプロパントリグリシジルエーテル(長瀬化成工業(株)製;商品名「デナコールEX−321」)580g、アクリル酸112g、ジメチルアミノエチルメタクリレート3g、ハイドロキノンメチルエーテル0.4g、ブチルセロソルブ173g、を入れ、攪拌を行いながら、70℃で2時間、80℃で2時間、続いて90℃で6時間反応させてエポキシアクリレート(EA−1)を得た。得られたエポキシアクリレートは、APHA150、酸化0.05であった。
【0037】
▲2▼ハードコート液の調製
攪拌装置を備えたフラスコの中に、2−イソプロポキシエタノール387.0g、イソプロピルアルコール分散コロイド状シリカ(触媒化成工業(株)製、「オスカル1432」)、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン122.7g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン29.2g、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7604」)0.25gを攪拌しつつ順に加え、その後0.05規定塩酸水40.0gを加え、40分間攪拌し、さらに0℃で24時間放置・熟成した。熟成後、この液にEA−1を74.54g、過塩素酸マグネシウム0.87gを添加し、3時間攪拌した後、0℃で24時間放置・熟成させてハードコート液とした。
【0038】
(2)塗布および硬化
アセトンで洗浄したプラスチックレンズ(セイコーエプソン(株)製、セイコースーパーゼフィアP−1ジニアス)を、1の位置で固定・回転部材2にセットした。その後、800rpmで回転させながら、上側吐出ノズル3および下側吐出ノズル5より同時にIPAを吐出し、レンズを洗浄し、続けて2000rpmで5秒回転させ、乾燥した。その条件は次の通りである。
【0039】
▲1▼IPA塗布条件
(イ)上側吐出ノズル
・吐出液 ;IPA
・吐出圧 ;0.05MPa/cm2
・吐出時間 ;3秒
(ロ)下側吐出ノズル
・吐出液 ;IPA
・吐出圧 ;0.15MPa/cm2
・吐出時間 ;3秒
・ノズル傾け角度(b);10°
乾燥終了後、再び800rpmに回転数を落とし、上側吐出ノズル4および下側吐出ノズル6より同時にハードコート液を吐出し、続けて2000rpmで0.5秒回転させ停止した。条件は次の通りである。
【0040】
▲2▼ハードコート液塗布条件
(イ)上側吐出ノズル
・吐出液 ;ハードコート液
・吐出圧 ;0.05MPa/cm2
・吐出時間 ;1秒
(ロ)下側吐出ノズル
・吐出液 ;ハードコート液
・吐出圧 ;0.15MPa/cm2
・吐出時間 ;1秒
・ノズル傾け角度(a);0゜
停止後、レンズを固定・回転部材2から取り外し、160℃の温風炉で30分間加熱硬化した。
【0041】
以上のプロセスで、連続して50枚のハードコートレンズを作製した。
最初に投入したレンズには異常は認められなかった。しかし、2枚目以降のレンズの下面側は、固化したハードコートのかけら、泡、ゴミ等が付着しており、又、放射状に塗りむらになっていた。又、加工後、下側吐出ノズルは、IPA吐出ノズル、ハードコート吐出ノズルともに、ハードコート液で汚れており、IPA吐出ノズル口の中にもハードコート液が入り込んでいた。
【0042】
(実験例2)実験例1と同様の装置、レンズ、ハードコート液を用いて、下側吐出ノズル6の傾け角度のみを次のように変更して、50枚のハードコートレンズを作製した。
【0043】
下側吐出ノズル6吐出条件(ハードコート液吐出ノズル)
・吐出液;ハードコート液
・吐出圧;0.15MPa/cm
・吐出時間;1秒
・ノズル傾け角度(a);3゜
その結果、ハードコートレンズの外観は、実験例1と同様の外観欠点が認められ、かつ下側吐出ノズルも実験例1と同様汚染されていた。
【0044】
(実験例3)実験例1と同様の装置、レンズ、ハードコート液を用いて、下側吐出ノズル6の傾け角度のみを次のように変更して、50枚のハードコートレンズを作製した。
【0045】
下側吐出ノズル6吐出条件(ハードコート液吐出ノズル)
・吐出液;ハードコート液
・吐出圧;0.15MPa/cm2
・吐出時間;1秒
・ノズル傾け角度(a);5゜
その結果、50枚のハードコートレンズのいずれも、固化したハードコートのかけら、泡、ゴミ等は付着しておらず、塗りむらもなく上下面ともに外観は良好であった。また、下側のIPA吐出ノズルおよびハードコート吐出ノズルともに、汚染は認められなかった。
【0046】
(実験例4)実験例1と同様の装置、レンズ、ハードコート液を用いて、下側吐出ノズル6の傾け角度のみを次のように変更して、50枚のハードコートレンズを作製した。
【0047】
下側吐出ノズル6吐出条件(ハードコート液吐出ノズル)
・吐出液;ハードコート液
・吐出圧;0.15MPa/cm2
・吐出時間;1秒
・ノズル傾け角度(a);10゜
その結果、実験例3と同様、ハードコート外観は良好であり、かつ下側のノズルも汚染されていなかった。
【0048】
(実験例5)実験例1と同様の装置、レンズ、ハードコート液を用いて、下側吐出ノズル6の傾け角度のみを次のように変更して、50枚のハードコートレンズを作製した。
【0049】
下側吐出ノズル6吐出条件(ハードコート液吐出ノズル)
・吐出液;ハードコート液
・吐出圧;0.15MPa/cm2
・吐出時間;1秒
・ノズル傾け角度(a);15゜
その結果、実験例3、4と同様、ハードコート外観は良好であり、かつ下側のノズルも汚染されていなかった。
【0050】
(実験例6)実験例1と同様の装置、レンズ、ハードコート液を用いて、下側吐出ノズル6の傾け角度のみを次のように変更して、50枚のハードコートレンズを作製した。
【0051】
下側吐出ノズル6吐出条件(ハードコート液吐出ノズル)
・吐出液;ハードコート液
・吐出圧;0.15MPa/cm2
・吐出時間;1秒
・ノズル傾け角度(a);20゜
その結果、得られたハードコートレンズ全ての下面側の中心部に、直径1〜5mmのハードコート液の塗られていない部分が認められた。下側のノズルは、いずれも汚染されていなかった。
【0052】
(実験例7)実験例1と同様の装置、レンズ、ハードコート液を用いて、下側吐出ノズル6の吐出圧および吐出時間を次のように変更して、50枚のハードコートレンズを作製した。
【0053】
下側吐出ノズル6吐出条件(ハードコート液吐出ノズル)
・吐出液;ハードコート液
・吐出圧;0.20MPa/cm2
・吐出時間;1秒
・ノズル傾け角度(a);20゜
その結果、実験例3、4、5と同様、ハードコート外観は良好であり、かつ下側のノズルも汚染されていなかった。
【0054】
(実験例8)実験例1と同様の装置、レンズ、ハードコート液を用いて、下側吐出ノズル6の傾け角度のみを次のように変更して、50枚のハードコートレンズを作製した。
【0055】
下側吐出ノズル6吐出条件(ハードコート液吐出ノズル)
・吐出液;ハードコート液
・吐出圧;0.20MPa/cm2
・吐出時間;1秒
・ノズル傾け角度(a);25゜
その結果、得られたハードコートレンズ全ての下面側の中心部に、直径5〜10mmのハードコート液の塗られていない部分が認められた。下側のノズルは、いずれも汚染されていなかった。
【0056】
(実験例9)実験例−1から8で得られたハードコートレンズに、それぞれ以下の方法で無機物質からなる反射防止膜コート薄膜の形成を行った。
【0057】
(1)反射防止薄膜の形成
実験例−1から8で得られたハードコートレンズを、プラズマ処理(アルゴンプラズマ400w×60秒)を行った後、基板から大気にむかって順に、SiO2、ZrO2、SiO2、ZrO2、SiO2の5層からなる反射防止多層膜を、真空蒸着法(真空器械工業(株)製;CES−34)にて形成を行った。各層の光学的膜厚は、最初のSiO2層、次のZrO2とSiO2の等価膜層、およびつぎのZrO2層、最上層のSiO2層がそれぞれλ/4となるように形成した。なお、設計波長は520nmとした。
【0058】
得られた多層膜の反射干渉色は緑色を呈し、全光透過率は98%であった。
【0059】
(2)耐久性能試験
反射防止膜を形成した実験例1から8のハードマルチコートレンズをそれぞれ次に述べる方法で試験を行なった。その結果を表1に、外観品質評価結果とともに示す。
【0060】
(a)耐磨耗性:ボンスター#0000スチールウール(日本スチールウール(株)製)で1kgの荷重をかけ、10往復表面を摩擦し、傷ついた程度を目視で次の段階に分けて評価した。
【0061】
A:1cm×3cmの範囲にまったく傷がつかない。
B:上記範囲に1〜10本の傷がつく。
C:上記範囲に10〜100本の傷がつく。
D:無数の傷がついているが、平滑な表面が残っている。
E:表面についた傷のため、平滑な表面が残っていない。
【0062】
(b)密着性 :基材とハードコート膜およびハードコート膜とマルチコート膜との密着性は、JISD−0202に準じてクロスカットテープ試験によっておこなった。即ち、ナイフを用い基材表面に1mm間隔に切れ目を入れ、1mm2 のマス目を100個形成させる。次に、その上へセロファン粘着テープ(ニチバン(株)製:商品名「セロテープ」)を強く押しつけたのち、表面から90度方向へすばやく引っ張り、剥離したのち、コート被膜の残っているマス目をもって、密着性指標とした。
【0063】
【表1】
Figure 0003959726
【0064】
【発明の効果】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
物体を回転させながら、該物体の表面に液体を塗布する表面処理方法において、該物体の下方向から液体を吐出するノズルを鉛直方向に対して傾けることにより、物体の回転軸を鉛直に保ったままで、下側ノズルの自己汚染および下側ノズル間の相互汚染が防止でき、高品質な塗膜を得ることができる。さらに、物体の上面側にも吐出機構を設けることで、簡素な装置で両面に同時に高品質な塗膜を形成できる。つまり、簡素な装置で、生産効率が高くかつ高品質、高歩留まりな表面処理が実現できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体塗布装置の一実施例を示す概略断面図。
【図2】回転軸の外側から物体の回転中心に向かって液体を吐出する機構の一実施例を示す概略模式図。
【符号の説明】
1、レンズ
2、固定・回転部材
3、上側吐出ノズル(IPA吐出)
4、上側吐出ノズル(ハードコート液吐出)
5、下側吐出ノズル(IPA吐出)
6、下側吐出ノズル(ハードコート液吐出)
7、下側ノズル固定部材
A、回転方向
B、回転軸(鉛直方向)
C、吐出された液体
a、下側吐出ノズル5の鉛直方向に対する傾け角度
b、下側吐出ノズル6の鉛直方向に対する傾け角度

Claims (4)

  1. 光学用レンズを鉛直方向の回転軸で回転させながら、該光学用レンズの表面に液体を塗布する表面処理方法において、該光学用レンズの下方向から液体を吐出するノズルの吐出口を鉛直方向に対して外側へ向けて5度〜20度傾けることを特徴とする液体塗布方法。
  2. 光学用レンズの上方からも液体を吐出し、光学用レンズの上下両面に同時に液体を塗布することを特徴とする、請求項1記載の液体塗布方法。
  3. 光学用レンズへ吐出する液体の吐出圧、吐出時間、吐出量、及びノズルから光学用レンズまでの距離により、下側ノズルの傾ける角度を変更できることを特徴とする請求項1または2記載の液体塗布方法。
  4. 液体が、熱、光、または電磁波により硬化する硬化性液体であることを特徴とする請求項1または2記載の液体塗布方法。
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