JP3959593B2 - ウドからの抽出物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウド(学名:Aralia cordata)からの抽出物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、食用としているウドの茎や葉からエタノール等により抽出した抽出物を生鮮牛肉、生鮮レタスなどの匂い、味などを長期に維持するために食品保存剤として使用する提案(特開平5−123140号公報)や、ウドの茎や葉からエタノール等により抽出した抽出物をヘルペスなどウィルスによる治療薬に用いる提案(特開平6−219959号公報)や、ウドの茎や葉からエタノール等により抽出した抽出物を入浴剤に用いる提案(特開平10−7546号公報)がなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のウドの茎や葉からエタノール等により抽出した抽出物は、食品保存剤や治療薬として抗菌性が必ずしも十分なものとは言えず、エタノール可溶性の有効成分と共に微生物の栄養分となる水溶性栄養成分を包含しているため、抽出物を水で希釈して有効成分の濃度が薄くなると保存中に微生物が増殖して変質するという問題があった。
本発明の目的は、従来の問題を解決し、効能的に優れた有効成分を含むウドの抽出物であって、抽出物を水で希釈して有効成分の濃度が薄くなっても保存中に微生物が増殖して変質することがなく、安定性に優れる上、環境汚染や毒性などの恐れがなく、安全に使用できるウドの抽出物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は従来の問題を解決するために鋭意研究した結果、ウドの各部から抽出した抗菌性に差異があることを見出した。それによると、ウドの茎部からの抽出物よりも根部からの抽出物の方が抗菌性が優れていることが判明した。又、抽出物保存中での微生物の増殖対策としては、微生物の栄養分となるグルコース、アミノ酸、蛋白質、炭水化物などの水溶性栄養成分を除去することが有効であることが分かった。即ち、水溶性栄養成分を除去したウドからエタノールにより有効成分を抽出した抽出物は、大腸菌、黄色ブドウ状球菌等の細菌に対して高い抗菌性を有することを見い出し、本発明を成すに到った。
【0005】
本発明の請求項1は、下記の工程(1)〜(5)によりウド(Araliacordata)の根部から水により煮出して微生物の栄養分となる水溶性栄養成分を除去した後、エタノールにより抽出し、水で希釈した抽出物であって、大腸菌、黄色ブドウ状球菌などの細菌に対する高い抗菌性を有する有効成分を含有し、保存中に微生物が増殖して変質することがなく、安定性に優れることを特徴とするウドからの抽出物に関する。
工程(1)ウド(Aralia cordata)の根部を細断及び/又は粉砕、乾燥してウドの乾燥断片及び/又は粉末を作る工程
工程(2)ウドの乾燥断片及び/又は粉末に対して3〜25質量倍の水を使用して水により煮出して微生物の栄養分となる水溶性栄養成分を除去する工程
工程(3)微生物の栄養分となる水溶性栄養成分を除去したウドの断片及び/又は粉末を乾燥する工程
工程(4)乾燥したウドの断片及び/又は粉末に対して3〜25質量倍のエタノールを使用して有効成分を抽出して有効成分を含むエタノールの溶液を作る工程工程(5)工程(4)で得られた有効成分を含むエタノール溶液に対して5〜500質量倍の水を用い希釈する工程
【000
【発明の実施の形態】
次に、本発明の一実施形態であるウドの根部を用いた例について説明する。この場合、ウドの根部とは根系全般であって、地上部以外の全ての部分を含む。周知のように、ウドは日本全土の山地で自生し畑で栽培もされる多年草であり、茎は太く円柱形で高さは1.5m内外、葉は柄があり互生で毛があり、夏に茎の上部に円錐形の散形花序をなし、淡緑色の小花をつける。
本発明では、天然物でも、栽培物でも、これらの混合物でもいずれも用いることができる。ウドは栽培による多量生産が可能であり、2〜3年肥培管理した根系を用いることが好ましい。更に、株分けした根株を春から秋まで畑で肥培管理し、充実した根系を用いることもできる。
【000
ウド根部からの抽出物は、大腸菌、黄色ブドウ状球菌等の細菌に対する高い抗菌性を有することから、ウドの茎や葉などに含まれる有効成分[(−)−ピラマ−8(14)15−ジエン−19酸]以外に、ウド根部特有の有効成分を含むものと考えられる。
しかし、ウド根部の有効成分は、日常食用としているウドから抽出されるものであるため、毒性は認めることができず安全性が高いものである。
【000
次に、ウド根部から有効成分を含む抽出物を製造する方法について説明する。 工程(1)において、ウド根部を細断及び/又は粉砕し、それを乾燥して乾燥断片(例えば、約2mm幅の断片)及び/又は粉末(以下、まとめて断片と称すことがある)を作る。この断片を更に粉砕した粉末を用いることもできる。粉砕の程度は特に限定されない。乾燥の程度も特に限定されないが、含有水分が5質量%以下、好ましくは1質量%以下になるように乾燥するのが好ましい。
【000
工程(2)において、ウド根部の乾燥断片を水により煮出して微生物の栄養分となるグルコース、アミノ酸、蛋白質、炭水化物などの水溶性栄養成分を除去する。
使用する水の量は、ウド根部乾燥断片に対して3〜25質量倍の水を使用することが好ましく、更に好ましくはウド根部乾燥断片に対して5〜20質量倍、特に好ましくは8〜15質量倍の水を使用することが望ましい。3質量倍未満の水の使用量では、水が馴染まず現実的に調製が困難であり、25質量倍を超える水を使用すると、不経済となる。
ウド根部の乾燥断片を水により煮出す条件は、グルコース、アミノ酸、蛋白質、炭水化物等の水溶性栄養成分を水中に抽出して除去できるような条件であれば特に限定されないが、約80〜100℃で約30分〜2時間程度処理することにより、これらの水溶性栄養成分をほぼ完全に水中に抽出して除去することができる。
【0010
工程(3)において、微生物の栄養分となる水溶性栄養成分を除去したウド根部の断片を、次の工程(4)においてエタノールによる抽出処理を容易に効率よく行うために、乾燥する。
乾燥の程度は特に限定されないが、含有水分が5質量%、好ましくは1質量%以下になるように乾燥するのが好ましい。
【0011
工程(4)において、乾燥したウド根部の断片からエタノールやエタノールを含む水溶液(例えば、エタノール80%の水溶液)により有効成分を抽出して有効成分を含むエタノールの溶液を作る。
【0012
エタノールによる抽出は、公知の方法で行うことができる。好ましい方法としては、ソックレー抽出器等を用いて使用するエタノールの沸点下で還流させて抽出する方法を挙げることができる。
【0013
使用するエタノールの量は、乾燥したウド根部の断片に対して3〜25質量倍が好ましく、更に好ましくは5〜20質量倍、特に好ましくは8〜15質量倍が望ましい。
【0014
3質量倍未満では、大腸菌、黄色ブドウ状球菌などの細菌に対する高い抗菌性を有する有効成分を完全にエタノール中に抽出できない恐れがあり、25質量倍を超えるエタノールを使用すると、前記有効成分以外の雑成分が抽出されて効能が低下する恐れがあると共に不経済となる。
【0015
更に、工程(5)において、工程(4)で得られた前記有効成分を含むエタノール溶液を水で希釈する。前記有効成分を含むエタノール溶液はそのまま使用することもできるが、通常は水で希釈して使用に供する。
希釈する水としては、有効成分を含むエタノール溶液に対して5〜500質量倍の水を使用することが好ましく、更に好ましくは6〜200質量倍、特に好ましくは10〜100質量倍の水を使用することが望ましい。5質量倍未満の水の使用量では、有効成分の濃度が高すぎる場合があり、500質量倍を超える水を使用すると、有効成分の濃度が低くすぎて効果が発揮できない恐れがある。
【0016
本発明のウド根部からの抽出物は、通常、食用に供されているウドから抽出されたものであって、従来の化学物質を主成分とする製品と異なり、環境汚染や毒性等が少なく安全に使用できる。このウド根部からの抽出物には、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、酸化防止剤、粘度調整剤、顔料、色素、香料等の添加剤を添加することができる。
【0017
前記有効成分を含むエタノール液を適量の水で水で希釈した本発明のウド根部からの抽出物は、そのまま或は、濾過や遠心分離にかけ、固形のゴミ等の不溶物や不純物を取り除いて使用することができる。
【0018
次に、実施例及び比較例によって本発明を説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ウド根部をカッターで約2mm幅程度に細断し、それを通風下、常温で約24時間乾燥した乾燥断片100gを水1kgに浸し、2時間煮沸して、微生物の栄養分となるグルコース、アミノ酸、蛋白質、炭水化物などの水溶性栄養成分を水中に抽出して除去した後、水切り袋に入れ、大気中、室温下で24時間乾燥させた。乾燥したウド根部の断片に対して20質量倍の80%エタノールを添加し、2時間還流した。得られた有効成分を含むエタノール溶液に対して10質量倍の水により希釈して本発明のウド根部からの抽出物を得た。
【0019
本発明のウド根部からの抽出物を食品分析した結果、グルコース、アミノ酸、蛋白質、炭水化物などの水溶性栄養成分は含まれていなかった。
【0020
このようにして得られた本発明のウド根部からの抽出物の大腸菌、黄色ブドウ状球菌等の細菌に対する抗菌性を試験した結果を次に示す。
【0021
(抗菌性試験1)
本発明のウド根部からの抽出物1mlに大腸菌(Escherichia coli K12及びEscherichia coli B)を約104個添加し、室温で30分〜24時間放置した。放置した菌体液をLB倍地に植菌したところ、個体・液体倍地ともに大腸菌の増殖は全く認められなかった。
【0022
(抗菌性試験2)
本発明のウド根部からの抽出物1mlに黄色ブドウ状球菌(Staphylococcus aureus)を約106個添加し、すぐに菌体液を20μlLB倍地に植菌したところ、個体・液体倍地ともに黄色ブドウ状球菌の増殖は全く認められなかった。
【0023
(抗菌性試験3)
本発明のウド根部からの抽出物を更に水で5〜10質量倍希釈し、黄色ブドウ状球菌(Staphylococcus aureus)を約106個添加し、室温で30分〜24時間放置した。放置した菌体液をLB倍地に植菌したところ、個体・液体倍地ともに黄色ブドウ状球菌の増殖は全く認められなかった。
【0024
参考例1
実施例1で得たウド根部からの抽出物を消毒剤として使用した。
よく水洗した包丁に大腸菌(Escherichia coli K12及びEscherichia coli B)を約104個植菌したものを、実施例1で得たウド根部からの抽出物を有効成分とする消毒剤中に、室温で1〜24時間浸漬して消毒した。消毒した包丁から大腸菌が検出されなかった。
【0025
参考例2
実施例1で得たウド根部からの抽出物を消毒剤として使用した。
原料肉に黄色ブドウ状球菌(Staphylococcus aureus)を約106個表面植菌したものを、実施例1で得たウド根部からの抽出物を有効成分とする消毒剤中に、室温で60分間浸漬して消毒した。消毒した原料肉から黄色ブドウ状球菌が検出されなかった。
【0026
参考例3
実施例1で得たウド根部からの抽出物を消毒剤として使用した。
植物の種子に黄色ブドウ状球菌(Staphylococcus aureus)を約106個植菌したものに、実施例1で得たウド根部からの抽出物を有効成分とする消毒剤を室温でスプレーして消毒した。消毒した植物の種子から黄色ブドウ状球菌が検出されなかった。
【0027
(比較例1)
ウド根部の乾燥断片を水で煮沸して微生物の栄養分となるグルコース、アミノ酸、蛋白質、炭水化物などの水溶性栄養成分を水中に抽出して除去しなかったこと以外は実施例1と同様にして比較のためのウド根部からの抽出物を得た。
このウド根部からの抽出物を実施例1と同様にして分析した結果、グルコース、アミノ酸、蛋白質、炭水化物などの水溶性栄養成分が多量に含まれていた。
このウド根部からの抽出物をシャーレに入れて開口したまま空気中に常温で長時間放置すると微生物の増殖が認められた。
このウド根部からの抽出物は実施例1と同様にして大腸菌、黄色ブドウ状球菌等の細菌に対する抗菌性を試験した結果、これらの細菌に対する抗菌性が劣っていた。
【0028
(比較例2)
ウドの茎部を用いたこと以外は実施例1と同様にして比較のためのウド茎部からの抽出物を得た。
このウド茎部からの抽出物を実施例1と同様にして分析した結果、グルコース、アミノ酸、蛋白質、炭水化物などの水溶性栄養成分は含まれていなかった。
このウド茎部からの抽出物をシャーレに入れて開口したまま空気中に常温で長時間放置しても微生物の増殖が認められなかった。
このウド茎部からの抽出物は、実施例1と同様にして大腸菌、黄色ブドウ状球菌等の細菌に対する抗菌性を試験した結果、これらの細菌に対する抗菌性が劣っていた。
【0029
(比較例3)
ウドの茎部を用いて比較例1と同様にして比較のためのウド茎部からの抽出物を得た。
このウド茎部からの抽出物を実施例1と同様にして分析した結果、グルコース、アミノ酸、蛋白質、炭水化物などの水溶性栄養成分が多量に含まれていた。
このウド茎部からの抽出物をシャーレに入れて開口したまま空気中に常温で長時間放置すると微生物の増殖が認められた。
このウド茎部からの抽出物を実施例1と同様にして大腸菌、黄色ブドウ状球菌等の細菌に対する抗菌性を試験した結果、これらの細菌に対する抗菌性が劣っていた。
【0030
上記の実施例1はウドの根部からの抽出物であったが、ウドの他の部分例えば葉部、小枝部、花部からの抽出物についても実験をしてみた。更に、ウドは植物であるため、生育環境や生育時期によって抽出物中の成分に差異が生じることが十分予想されるので、その点をも加味して実験を行った。この実験で用いたウドは檮原産(高知)で、生育時期は9月と10月のものである。ウドからの抽出物の調製は、各部分とも共通とし次の方法で行った。
【0031
(ウド抽出物の調製)
試料を包丁で細かく切断して80℃で乾燥した。
十分量の蒸留水で1時間水煮出しした。
煮汁を捨てて試料を水道水で洗った後80℃で乾燥した。
10倍量(50g当たり500ml)の80%エタノールで乾留抽出した。
吸引濾過後の抽出液を水煮抽出物として抗菌活性測定に用いた。
【0032
抗菌活性測定は共通とし、次の接触処理法により行った。
(接触処理法)
滅菌水で適当な濃度に希釈した抽出物100μlと滅菌水900μlとを混合した。
2×107個/mlの菌液10μlを添加し、ボルテックスミキサーで懸濁した。
30℃30分間静置して接触処理した。
処理液5μlを分取してLBプレート培地上に塗り広げた。
30℃でコロニーが生じるまで培養した。
コロニーの数を計測した。
【0033
コロニー数の計測結果と抗菌活性結果とを表1及び表2に示す。
【0034
【表1】
Figure 0003959593
【0035
【表2】
Figure 0003959593
【0036
これらの結果によると、9月のウドは葉部の水煮抽出物が最大の抗菌活性(200U/ml)を示し、茎部に抗菌活性は無かった。根部の抗菌活性は比較的低かった(50U/ml)。又、9月のウドと比べて10月のウドは葉部、小枝部に抗菌活性が確認できたが比較的低かった(50U/ml)。茎部には抗菌活性は無かった。
【0037
9月のウドでは葉部からの抽出物が最大の抗菌活性を示した。10月のウドの抗菌活性は9月のウドと比較して、葉部では大きく低化し、小枝部、小根部では上昇した。9月のウド、10月のウドとも茎部には抗菌活性は殆ど見られなかった。今回の試験で抗菌成分がウドの根部だけに存在するのではなく、地上部にも存在することが分かった。又、葉部の試験結果について、1回目は抗菌活性が低かったが、2回目以降上昇した。抗菌成分には活性型と不活性型とがあり、相互に変換反応が存在する可能性がある。
【0038
次に、産地の異なるウドで実験してみた。この実験に用いたウドは、群馬産と高知産でいずれも生育時期は11月のものであり、高知産のウドは先の檮原産のものではなく窪川産のものである。この窪川産のウドは群馬産のウドと同じ品種である。檮原産のウドは群馬産のウドとは品種が異なる。
【0039
群馬産のウドと高知窪川産のウドのそれぞれ根部から抽出した抽出物を用いて、ブドウ状球菌に対する抗菌活性の実験を行った。抽出物の調製は先の実験の場合と同じであるが、この場合は特に乾燥条件が抗菌活性に与える影響を検討するため、乾燥は80℃とドラフトとの二つの方法で行った。抗菌活性の測定方法は先の実験に準じて行った。
【0040
この実験結果を表3、表4に示す。
【0041
【表3】
Figure 0003959593
【0042
【表4】
Figure 0003959593
【0043
これらの結果によると、群馬産のウドはドラフト乾燥の方が80℃乾燥に比してよい結果となった。ドラフト乾燥のみで抽出したものについては200U/ml以上の抗菌活性が認められた。尚、先の実験でのウド葉部からの抽出物と同様に保存中に抗菌活性が上昇する傾向があった。
【0044
一方、窪川産のウドもドラフト乾燥の方が80℃乾燥に比してよい結果となった。群馬産のウドと窪川産のウドとを比較すると、抗菌試験の初期は窪川産ウドの方が高い抗菌活性を示した。最終的にドラフト乾燥のみで処理したウドは、群馬産のウド窪川産のウド共どちらもほぼ同レベルの抗菌活性を示した。窪川産のウドにおいても、保存中に抗菌活性が上昇する傾向がみられた。
【0045
ウドの品種が同じであれば、産地の相違によって抗菌活性に多少の相違はみられるが大差ないことが分かった。又、ウド根部からの抽出物は、保存中に抗菌活性が上昇する傾向があること、抗菌活性は80℃乾燥では上昇し難いこと、2度の乾燥共ドラフト乾燥の方が良いことが分かった。時間を掛けて自然乾燥したウドからより高い抗菌活性を有する抽出物が得られると考えられる。
【0046
【発明の効果】
本発明の請求項1記載のウドの根部からの抽出物は、抗菌性に優れた有効成分を含む新規抽出物であって、大腸菌、黄色ブドウ状球菌等の細菌に対して高い抗菌性を有し、グルコース、アミノ酸、蛋白質、炭水化物等の微生物の栄養となる水溶性栄養成分が含まれていないと、抽出物を水で希釈して有効成分の濃度が薄くなっても、保存中に微生物が増殖して変質することがなく、安定性に優れる上、環境汚染や毒性等の恐れがなく、安全に使用できるものである。
本発明の請求項1記載のウドからの抽出物は、通常、食用に供されているウドから抽出されたものであり、従来の化学物質を主成分とする製品と異なり、環境汚染や毒性等が少なく安全に使用できる。
エタノールに可溶性の有効成分を水中に抽出してしまうことなく、微生物の栄養となる水溶性栄養成分を完全に水中に抽出して除去することができる。
有効成分以外の雑成分を抽出することなく、大腸菌、黄色ブドウ状球菌等の細菌に対する高い抗菌性を有する有効成分を容易に且つ完全にエタノール中に抽出することができる。
優れた効果を発揮できる適当な有効成分の濃度を有する抽出物を得ることができる。

Claims (1)

  1. 下記の工程(1)〜(5)によりウド(Aralia cordata)の根部から水により煮出して微生物の栄養分となる水溶性栄養成分を除去した後、エタノールにより抽出し、水で希釈した抽出物であって、大腸菌、黄色ブドウ状球菌などの細菌に対する高い抗菌性を有する有効成分を含有し、保存中に微生物が増殖して変質することがなく、安定性に優れることを特徴とするウドからの抽出物。
    工程(1)ウド(Aralia cordata)の根部を細断及び/又は粉砕、乾燥してウドの乾燥断片及び/又は粉末を作る工程
    工程(2)ウドの乾燥断片及び/又は粉末に対して3〜25質量倍の水を使用して水により煮出して微生物の栄養分となる水溶性栄養成分を除去する工程
    工程(3)微生物の栄養分となる水溶性栄養成分を除去したウドの断片及び/又は粉末を乾燥する工程
    工程(4)乾燥したウドの断片及び/又は粉末に対して3〜25質量倍のエタノールを使用して有効成分を抽出して有効成分を含むエタノールの溶液を作る工程工程(5)工程(4)で得られた有効成分を含むエタノール溶液に対して5〜500質量倍の水を用い希釈する工程
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