JP3958200B2 - 光検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば光電スイッチやフォトインタラプタ等のように発光素子からパルス変調された光を投光し物体の有無を検出する光検出方法および光検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の光変調型検出装置の全体の概略構成例について図4及び図5を参照しながら説明する。図4に示すように、発光素子34は、発振回路31及び発光素子駆動回路33を介してパルス変調駆動される。パルス変調されたパルス光が発光素子34から検出領域(図示しない)に存在する物体Sに向かって投射される。
【0003】
上記パルス変調されたパルス光は、発光素子34と受光素子35との間にある上記検出領域を通過する上記物体Sに対して反射または透過し、上記受光素子35に入射する。したがって、受光素子35に入射するパルス光は、上記物体Sの通過によってオン/オフされることになる。
【0004】
上記受光素子35の出力である光信号は、アンプ36によって増幅及び波形整形された後、判定回路37へ送られる。この判定回路37の出力は、信号処理回路32へ送られる。
【0005】
この信号処理回路32は、図5に示すように、上記判定回路37の出力検出ポイントA及びBでそれぞれ取り込み、保持するためのタイミングゲート付R−Sフリップフロップ43及び44(以下、単に、R−Sフリップフロップ43及び44と称す)と、シリアル出力の反転信号がシリアル入力へ帰還され、所定周期のクロックパルスによって入力されたデータがシフトするように構成されたシフトレジスタ41と、このシフトレジスタ41の出力(後述するDフリップフロップ41cの反転出力端子/Q2の出力信号)、クロックパルス、及び検出ポイントBでのデータを保持する上記R−Sフリップフロップ43の出力端子(Q、/Q)からの信号に応じて上記シフトレジスタ41のセット・リセットを制御するANDゲート45・46と、検出ポイントAでのデータを保持する上記R−Sフリップフロップ44の出力およびクロックパルスを入力し、上記シフトレジスタ41へのクロックパルスの入力を制御するNANDゲート47から成る状態検出回路42とからなる。
【0006】
すなわち、Dフリップフロップ41aの出力端子Q0は、Dフリップフロップ41bのデータ入力端子D1に接続され、Dフリップフロップ41bの出力端子Q1は、Dフリップフロップ41cのデータ入力端子D2に接続されている。Dフリップフロップ41cの反転出力端子/Q2は、Dフリップフロップ41aのデータ入力端子D0に接続されている。また、上記Dフリップフロップ41a〜41cの各リセット端子R0〜R2は、後述するANDゲート46の出力端子に接続されている。上記Dフリップフロップ41a〜41cの各セット端子S0〜S2は、後述するANDゲート45の出力端子に接続されている。上記Dフリップフロップ41a〜41cの各クロック入力端子CLK0〜CLK2は、後述するNANDゲート47の出力端子に接続されている。
【0007】
上記の信号処理回路32は、更に、状態検出回路42を備えている。この状態検出回路42は、上記ANDゲート45・46、インバータゲート48、及び3つのNANDゲート47・49・50(何れも2入力タイプ)からなっている。
【0008】
上記Dフリップフロップ41cの反転出力端子/Q2の出力信号は、上記インバータゲート48を介して上記ANDゲート45の入力端子(第1入力端子)へ送られる。上記ANDゲート46の入力端子(第1入力端子)には、上記Dフリップフロップ41cの反転出力端子/Q2が接続されている。上記ANDゲート45及び46の入力端子(第2入力端子)には、いずれもクロックパルスが入力されている。ANDゲート46の残りの入力端子(第3入力端子)には、上記NANDゲート49の出力端子が接続されている。上記ANDゲート45の残りの入力端子(第3入力端子)には、上記NANDゲート50の出力端子が接続されている。
【0009】
上記NANDゲート47の一方の入力端子には、上記発振回路31の出力に応じて変化するクロックパルスが印加されている。上記NANDゲート47の他方の入力端子は、上記R−Sフリップフロップ44の反転出力端子/Qが接続されている。
【0010】
このNANDゲート50は、一方の入力端子が上記R−Sフリップフロップ44の反転出力端子/Qに接続されている一方、他方の入力端子が上記タイミングゲート付のR−Sフリップフロップ43の反転出力端子/Qに接続されている。また、上記NANDゲート49は、一方の入力端子が上記タイミングゲート付のR−Sフリップフロップ43の出力端子Qに接続されている一方、他方の入力端子は上記タイミングゲート付のR−Sフリップフロップ44の反転出力端子/Qに接続されている。
【0011】
上記のような回路構成によれば、検出ポイントA(非発光タイミング)において判定回路37の出力(受信信号)がハイレベルのとき(すなわち、外乱光ノイズがあるとき)、上記タイミングゲート付のR−Sフリップフロップ44はセット状態にあるので、その反転出力端子/Qからは常にローレベルの信号が上記NANDゲート47の入力端子に供給される。このように、上記クロックパルスに関係なく、上記NANDゲート47の出力端子からハイレベルの信号が上記Dフリップフロップ41a〜41cの各クロック入力端子CLK0〜CLK2へ供給されるので、シフトレジスタ41は、シフト動作を行わない。
【0012】
これに対して、検出ポイントB(発光タイミング)において判定回路37の出力(受信信号)がハイレベルのとき、上記タイミングゲート付のR−Sフリップフロップ43はセットされるので、その反転出力端子/Qはローレベルに変化し、その出力端子Qはハイレベルになる。このとき、上記タイミングゲート付のR−Sフリップフロップ44はリセットされるので、その反転出力端子/Qはハイレベルの状態になる。その結果、上記NANDゲート50の入力端子には、上記R−Sフリップフロップ43からローレベルの信号と、上記R−Sフリップフロップ44からハイレベルの信号とがそれぞれ入力される。したがって、上記NANDゲート50の出力端子からハイレベルの信号が、上記ANDゲート45の入力端子へ供給される。
【0013】
上記タイミングゲート付のR−Sフリップフロップ43の出力端子Qはハイレベルの状態にあるので、上記NANDゲート49の出力はローレベルの状態になる。その結果、ANDゲート46においては、入力端子にローレベルの信号が供給される。このとき、上記シフトレジスタ41内のDフリップフロップ41cの反転出力端子/Q2からローレベルの信号が出力されていると、上記ANDゲート45の出力はハイレベルとなり、上記シフトレジスタ41のDフリップフロップ41a〜41cのセット入力端子にはハイレベルの信号が供給されるので、このDフリップフロップ41a〜41cの全ビットがハイレベルにセットされることになる。
【0014】
しかしながら、検出ポイントB(発光タイミング)において判定回路37の出力(受信信号)がローレベルのとき、上記タイミングゲート付のR−Sフリップフロップ43・44はリセットされるので、その反転出力端子/Qはハイレベルに変化し、上記NANDゲート50の出力(ローレベル)が、上記ANDゲート45の入力端子へ供給される。これにより、上記ANDゲート45の出力はローレベルとなる。このとき、上記NANDゲート49の出力端子からはハイレベルの信号が上記ANDゲート46の入力端子へ供給されている。
【0015】
この状態下で、上記シフトレジスタ41内のDフリップフロップ41cの反転出力端子/Q2からローレベルの信号が出力されたままであるとすると、上記ANDゲート46の出力もローレベルとなると共に、上記NANDゲート47からはクロックパルスが上記Dフリップフロップ41a〜41cのクロック入力端子CLK0〜CLK2へ供給される。その結果、上記シフトレジスタ11のセット入力端子及びリセット入力端子にはそれぞれローレベルの信号が供給されるので、このシフトレジスタ41はシフト動作を行う。すなわち、上記クロックパルスに同期して、Dフリップフロップ41a〜41cの各入力端子のデータが1ビットシフトされることになる。判定回路37の出力(受信信号)がローレベルの状態がシフトレジスタ41内のDフリップフロップの段数分続くと、上記シフトレジスタ41の出力(上記Dフリップフロップ41cの出力端子Q2の信号)が反転する。
【0016】
検出ポイントB(発光タイミング)において判定回路37の出力(受信信号)がローレベルの上記状態下で、上記シフトレジスタ41内のDフリップフロップ41cの反転出力端子/Q2からハイレベルの信号が出力されている場合、上記R−Sフリップフロップ43・44は共にリセットされるので、その出力端子Qからローレベルの信号が出力されると共に、その反転出力端子/Qからハイレベルの信号が出力される。
【0017】
その結果、上記NANDゲート49の入力端子には、上記タイミングゲート付のR−Sフリップフロップ43からローレベルの信号と、上記タイミングゲート付のR−Sフリップフロップ44からハイレベルの信号とがそれぞれ入力される。したがって、上記NANDゲート49の出力端子からハイレベルの信号が上記ANDゲート46に供給される。また、この場合、上記Dフリップフロップ41cの反転出力端子/Q2からハイレベルの信号が出力されているので、上記ANDゲート46の入力端子には、このハイレベルの信号と、上記NANDゲート49の出力端子からハイレベルの信号とが供給されることになる。このように、上記クロックパルスがハイレベルのときに上記ANDゲート46の出力端子から上記Dフリップフロップ41a〜41cの各リセット端子にハイレベルの信号が供給されるので、上記Dフリップフロップ41a〜41cはそれぞれリセットされることになる。つまり、上記シフトレジスタ41の全ビットがリセットされるので、上記Dフリップフロップ41a〜41cの各出力端子Q0〜Q2からローレベルの信号が出力されることになる。
【0018】
しかし、この場合、上記検出ポイントBの判定回路37の出力(受信信号)がローレベルであるとすると、上記ANDゲート45・46の出力端子からは、共にローレベルの信号が、上記Dフリップフロップ41a〜41cの各セット入力端子(S0〜S2)及び各リセット入力端子(R0〜R2)へ供給され、上記シフトレジスタ41はシフト動作を行い、上記クロックパルスに同期して、上記Dフリップフロップ41a〜41cの各出力端子(Q0〜Q2)の信号を1ビットずつシフトする。そして、この状態がシフトレジスタ41を構成するDフリップフロップのカスケード段数(図5の場合、3段)だけ継続されると、上記Dフリップフロップ41cの出力端子Q2がローレベルからハイレベルへ反転することになる。
【0019】
発振回路31は、図6に示すように、コンデンサC11が充電されていないとき、コンパレータ31aは、〔反転入力端子の電位〕<〔非反転入力端子の電位〕であるので、コンパレータ31aの出力はハイレベルとなり、トランジスタQN16,QN17,QN18がオンするので、トランジスタQN14,QN15がオフする。これにより、コンデンサC11は、トランジスタQP16から供給される定電流I12により充電されていき、これに伴って、コンパレータ31aの反転入力端子の電位は上昇する。この電圧が(V2+V3)を超えると(V2及びV3は抵抗R12及び抵抗R13の両端の電圧をそれぞれ表す。)、上記コンパレータ31aの出力がハイレベルからローレベルへ反転すると、トランジスタQN16,QN17,QN18がオフし、トランジスタQN14,QN15がオンする。トランジスタQN14,QN15のエミッタ面積比が1:2であるので、トランジスタQN15は、トランジスタQP16およびコンデンサC11からそれぞれI12ずつ電流を引き抜く。それゆえ、コンパレータ31aの反転入力端子の電位が非反転入力端子の電位=V2+Vsat(QN19)(ここで、Vsat(QN19)は、トランジスタQN19の飽和電圧を表し、その値は0.1[V]以下である)より低下すると、上記コンパレータ31aは再び出力がローレベルからハイレベルへ反転し、上記コンデンサC11が充電されていく。このような動作を繰り返すことによって、上記コンデンサC11の充電及び放電を1周期とした発振回路となる。
【0020】
なお、発光素子からパルス変調光を照射して物体の存在を検知するフォトセンサにおいて、発光素子の非発光時に、受光素子に対して外乱光やノイズが入射したときに、外乱光やノイズによる出力信号のレベルの変動を検出して、出力信号とは別に警報信号を出力するフォトセンサも知られている(特許文献1参照)。
【0021】
また、パルス発振器から出力されるパルスに応じてパルス光を投射し、このパルス光に同期した受光信号のみを取り出して検出動作を行うようにした光電スイッチにおいて、受光信号があると、雑音光か否かを判別し、雑音光と判別したとき、パルス発振器の周期を変え、雑音光による誤動作をなくす技術も知られている(特許文献2参照)。
【0022】
【特許文献1】
特開平4−147085号公報(公開日:平成4年(1992)5月20日)
【0023】
【特許文献2】
特開平6-187884号公報(公開日:平成6年(1994)7月8日)
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記図4及び図5に示す従来の光変調型検出装置では、発光素子34からのパルス変調光に同期して、受光素子35からの検出信号を処理するようにしているので、発光素子34の非発光時における受光素子35からの検出信号は、同期信号で検波されずに切り捨てられるようになっている。
【0025】
しかしながら、発光素子34からのパルス変調光がない期間に受光素子35に外乱光が同期信号タイミングで入射したり、ノイズが発生したりすると、同期信号で検波したとしても、上記の外乱光やノイズを完全に除去することができず、発光素子34からのパルス変調光の出射光が受光素子35に入射したと判断して、その結果、誤動作することがある。
【0026】
より詳細には、検出ポイントA(非発光タイミング)は、外乱光ノイズの検出のために用意されたものであり、パルス変調された周波数以外のタイミング(非発光タイミング)で光が入射した場合、検出ポイントAにおいて、判定回路37の出力(受光信号)がハイレベルのとき、R−Sフリップフロップ44はセットされ、その反転出力端子/Qからはローレベルの信号が出力される。これにより、ANDゲート47はオフし、シフトレジスタ41へのクロックパルスの供給が停止される。
【0027】
しかしながら、発光素子34からのパルス変調光が無い状態で、何らかの理由で(偶然に又は故意に)パルス変調された周波数タイミング(発光タイミング)でシフトレジスタ41の段数分以上に対応する光が受光素子35に入射した場合、シフトレジスタ41の最終段の反転出力端子(/Q2)は反転し、誤検出されることとなるという問題点を有している。
【0028】
また、特許文献1の構成では、雑音光の入射を検知した後、出力信号とは別に警報信号を出力するだけであるため、雑音光の入射による誤動作自体は解消できない。また、特許文献1の技術は、雑音光が同期タイミングに偶然入射することを考慮しておらず、同期タイミングに偶然入射した雑音光を検出することができない。
【0029】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、パルス変調光が無い状態で、同期信号タイミングで外乱光やノイズが受光素子に入射されても、誤動作を回避できる光検出方法および光検出装置を提供することにある。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明の光検出方法は、上記の課題を解決するために、パルス変調された光を物体へ投射し、該物体からの反射光または透過光に基づいて変換された同期受光信号を上記投射光の変調周波数に同期して複数回カウントして物体の有無を検出する光検出方法において、次の措置をこうじたことを特徴としている。
【0031】
すなわち、上記光検出方法は、上記複数回のカウント中に、上記物体へ投射する光の変調周波数を変更することを特徴としている。
【0032】
上記の方法によれば、パルス変調された光が物体へ投射され、この物体からの反射光または透過光は受光信号に変換される。この受光信号は、上記投射光の変調周波数に同期して複数回カウントされ、このカウント結果に基づいて物体の有無が検出される。
【0033】
ところが、何らかの理由で、上記パルス変調された光と同じ周波数を有する外乱光やノイズが受光信号として変換されると、この受信信号は上記パルス変調された光に係る正規の受信信号として処理され、その結果、物体の光検出は誤ってなされてしまう。
【0034】
そこで、上記の光検出方法によれば、上記受信信号の複数回のカウント中に、上記物体へ投射する光の変調周波数が変更される。これにより、たとえ、上記のように、受信状態に無い状態下で、何らかの理由により、正規でない受光信号がカウントされても、そのカウントの途中で上記物体へ投射する光の変調周波数が変更されるので、このような正規でない受光信号は、もはや変更後の変調周波数に同期したものではなくなり、その結果、カウント動作は行われなくなる。したがって、受光信号が無い状態で、外乱光やノイズを受光しても、物体の有無を高精度に検出でき、従来技術のような誤動作を未然に回避できる。
【0035】
本発明の光検出装置は、上記の課題を解決するために、複数の発振周波数の信号を出力する発振回路と、上記発振回路からの信号に基づいてパルス変調された光を物体へ投射する発光手段と、上記物体からの反射光または透過光を受光し、受光信号に変換する受光手段と、上記投射光の変調周波数に同期して上記受光信号をカウントする、複数個のフリップフロップがカスケードに接続されたシフトレジスタを有するカウント手段と、上記カウント手段に基づいて物体の有無を検出する検出手段と、最終段を除く上記フリップフロップのうち少なくとも一つからの出力信号を上記発振回路に与え、上記発振回路に与えられた出力信号のうち、いずれかの出力信号のレベルが第2のレベルから第1のレベルに変化した時、および上記発振回路に与えられた出力信号のうち、いずれかの出力信号のレベルが第1のレベルから第2のレベルに変化した時に、上記発振回路の上記発振周波数を変更する周波数変更手段とを備えている。
【0036】
上記の光検出装置によれば、発振回路からの信号に基づいてパルス変調された光が発光手段によって物体へ投射され、この物体からの反射光または透過光は受光手段へ導かれて受光信号に変換される。この受光信号は、上記投射光の変調周波数に同期して、カウント手段によって複数回カウントされる。このカウント結果に基づいて、物体の有無が検出手段によって検出される。
【0037】
ところが、何らかの理由で、上記パルス変調された光と同じ周波数を有する外乱光やノイズが上記物体からの反射光または透過光として受光素子に入射されると、物体からの正規の反射光または透過光として受光信号に変換される。この受信信号は上記パルス変調された光に係る正規の受信信号として処理され、その結果、物体の光検出は誤ってなされてしまう。
【0038】
そこで、上記の光検出装置によれば、上記カウント手段によるカウント中に、上記発振回路の上記発振周波数が周波数変更手段によって変更される。これに伴って、上記受信信号の複数回のカウント中に、上記物体へ投射する光の変調周波数が変更される。
【0039】
これにより、たとえ、上記のように、受信状態に無い状態下で、何らかの理由により、正規でない受光信号がカウントされても、そのカウントの途中で上記物体へ投射する光の変調周波数が変更されるので、このような正規でない受光信号は、もはや変更後の変調周波数に同期したものではなくなり、その結果、カウント動作は行われなくなる。したがって、受光信号が無い状態で、外乱光やノイズが受光素子に入射されても、物体の有無を高精度に検出でき、従来技術のような誤動作を未然に回避できる。
【0040】
上記カウント手段は、複数個のフリップフロップがカスケードに接続されたシフトレジスタであり、上記周波数変更手段は、最終段を除く(より好ましくは初段と最終段を除く)フリップフロップのうち少なくとも一つからの出力信号に基づいて上記発振回路の上記発振周波数を変更することが好ましい。
【0041】
この場合、最終段を除くフリップフロップのうち少なくとも一つからの出力信号を使用するという簡単な構成により、上記カウント手段によるカウント中に発振周波数を変更するという状態を容易に実現できる。これにより、カウントの同期タイミングが変更されるので、フリップフロップの段数分以上のノイズ光が入射した場合でも、誤検出を確実に回避でき、物体の有無を高精度に検出することが可能となる。
【0042】
より詳細には、特許文献2に開示された構成においては、5段シフトレジスタの初段と最終段とでXNORを構成しており、初段出力と最終段出力とに違いが生じた場合パルス周波数を変更する。つまり5段分の同期信号がありノイズがないのか、あるいはノイズがあるのかということを判断して、それをパルス周波数に反映させている。
【0043】
一方、本発明の構成では、最終段を除く少なくとも1段の出力に応じて、受光した信号が、同期した正規の受光信号かノイズかの判断はせず、発振周波数(パルス周波数)を変更する。ここで、正規の受光信号は、発振周波数が変更されても同期しているので、ノイズと区別することができる。さらに、信号はシフトレジスタの段数分同期することによって、正規の信号と判断され、信号処理回路の出力を変更する。
【0044】
初段出力で発振周波数を変更する場合、パルスタイミングに同期した信号が入力された時点で、すぐに発振周波数が変更される。2段目の出力で発振周波数を変更する場合、パルスタイミングに同期した信号が2回連続で入力された時点で、発振周波数が変更される。ただし、最終段からの出力で発振周波数を変更すると、パルスタイミングに同期した信号が通り過ぎるまで発振周波数が変更されない可能性があるので、最終段出力は除く。以上のように、本発明では、より簡単に発振周波数を変更することができる。
【0045】
また、特許文献2の構成では、XNORの出力を使用しているため、2種類の発振周波数しか選択できない。一方、本発明においては、例えば、シフトレジスタの初段の出力と2段目の出力から信号を取り出し発振周波数を変更する場合、発振周波数を3種類以上から選択できるよう発展させることができる。
【0046】
すなわち、本発明の光検出装置において、上記発振回路は、3種類以上の発振周波数の信号を出力するものであり、上記カウント手段は、4個以上のフリップフロップがカスケードに接続されたシフトレジスタであり、上記周波数変更手段は、最終段を除くフリップフロップのうち2つ以上からの出力信号に基づいて上記発振回路の3種類以上の発振周波数を変更する構成とすることができる。
【0047】
上記発振回路は、コンデンサに対する充放電を行う定電流源を複数個備え、これらの定電流源を制御して上記発振周波数を変更することが好ましい。
【0048】
この場合、コンデンサの充放電に要する時間を変更することによって上記発振周波数を変更することが可能となる。すなわち、複数の定電流源を制御(たとえば、オン/オフ制御)することによって、上記コンデンサに対する充放電に要する時間を制御できる。このように、簡単な構成により、上記発振周波数の変更を容易に行える。
【0049】
加えて、複数の定電流源を設けることによって、変更可能な発振周波数の種類を多くできるので、多種多様なノイズに対しての対応が可能となり、その結果、より高精度な光検出が行える。
【0050】
上記発振回路は、変更可能な発振周波数の数に等しい数の定電流源を備えていることが好ましい。
【0051】
上記の構成によれば、変更可能な発振周波数の数に等しい数の定電流源を設けることによって、発振周波数の種類を適宜選択できるので、多種多様なノイズに対しての対応がより確実に可能となり、その結果、より高精度な光検出が行える。
【0052】
上記発振回路は、互いに整数倍とならないように上記発振周波数をそれぞれ変更することが好ましい。
【0053】
複数の発振周波数が互いの発振周波数の整数倍の関係にある場合、高い方の発振周波数と同じ周波数を有する外乱光が何らかの理由により(偶然に又は故意に)上記の受光素子に入射したとすると、発振周波数の低い方に変更されても、高い発振周波数での同期タイミングで、低くなった同期タイミングにも合ってしまうという不具合を招来する。
【0054】
そこで、互いに整数倍とならないように上記発振周波数をそれぞれ変更することによって、上記の不具合を確実に回避できる。
【0055】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1〜図3に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0056】
本発明の光検出装置は、発光素子からパルス信号に同期した光を投射し、検出すべき物体による反射光又は透過光を受光素子から受光した受光信号の複数回のカウントに基づいて、物体の有無を検出するものである。
【0057】
まず、図1及び図2を参照しながら、本発明に係る光検出装置の全体の概略構成について説明する。図1に示すように、発光素子(発光手段)4は、発振回路1及び発光素子駆動回路3を介してパルス変調駆動される。パルス変調されたパルス光が発光素子4から検出領域(図示しない)に存在する物体Sに向かって投射される。
【0058】
上記パルス変調されたパルス光は、発光素子4と受光素子(受光手段)5との間にある上記検出領域を通過する上記物体Sに対して反射または透過し、上記受光素子5に入射する。したがって、受光素子5に入射するパルス光は、上記物体Sの通過によってオン/オフされることになる。
【0059】
上記受光素子5の出力である光信号は、アンプ6によって増幅及び波形整形された後、判定回路7へ送られる。判定回路7は、一種のコンパレータのように動作し、アンプ6によって増幅及び波形整形された光信号(受光信号)の信号レベルが或る閾レベルより大きければ、ハイレベルの信号を出力し、上記信号レベルが閾レベル以下であれば、ローレベルの信号を出力する。この判定回路7の出力は、信号処理回路2へ送られる。なお、判定回路7は、パルス変調された同期信号も、外乱光、ノイズも、閾レベルより大きいか否かを判別し、そのレベルが閾レベルより大きければ、ハイレベルの信号を出力し、そのレベルが閾レベル以下であれば、ローレベルの信号を出力する。
【0060】
また、信号処理回路2の出力信号(後述するDフリップフロップ11cの反転出力端子/Q2の出力信号)は、出力回路8へ送られる。出力回路8は、信号処理回路2の出力信号に応じて、光検出装置の電気的特性としての出力電流および出力電圧が得られるように、ハイレベルまたはローレベルの信号を光検出装置の出力信号として出力する。なお、出力回路8は、信号処理回路2の出力信号のハイレベルおよびローレベルのそれぞれに対応して、ハイレベルおよびローレベルの信号をそれぞれ出力するように設定してもよく、逆に、ローレベルおよびハイレベルの信号をそれぞれ出力するように設定してもよい。
【0061】
この信号処理回路2は、図2に示すように、上記判定回路7の出力検出ポイントA及びBでそれぞれ取り込み、保持するためのタイミングゲート付R−Sフリップフロップ13及び14(以下、単に、R−Sフリップフロップ13及び14と称す)と、シリアル出力の反転信号がシリアル入力へ帰還され、所定周期のクロックパルスによって入力されたデータがシフトするように構成されたシフトレジスタ(カウント手段、周波数変更手段)11と、状態検出回路12とからなる。
【0062】
上記状態検出回路12は、上記シフトレジスタ11の出力(後述するDフリップフロップ11cの反転出力端子/Q2の出力信号)、クロックパルス、及び検出ポイントBでのデータを保持する上記R−Sフリップフロップ13の出力端子(Q、/Q)からの信号に応じて上記シフトレジスタ11のセット・リセットを制御するANDゲート15・16と、検出ポイントAでのデータを保持する上記R−Sフリップフロップ14の出力およびクロックパルスを入力し、上記シフトレジスタ11へのクロックパルスの入力を制御するNANDゲート17と、インバータゲート18、及び上記ANDゲート15・16を制御するNANDゲート19・20とから構成されている。
【0063】
また、上記シフトレジスタ11において、シリアル(カスケード)接続された複数のDフリップフロップ11a〜11c(何れもデータ入力端子及びクロック入力端子を備えている。)中、途中段(Dフリップフロップ11b)の出力が発振回路1へ接続されている。
【0064】
すなわち、上記Dフリップフロップ11aの出力端子Q0は、上記Dフリップフロップ11bのデータ入力端子D1に接続され、上記Dフリップフロップ11bの出力端子Q1は、上記Dフリップフロップ11cのデータ入力端子D2に接続されている。
【0065】
上記Dフリップフロップ11cの反転出力端子/Q2は、上記Dフリップフロップ11aのデータ入力端子D0に接続されている。また、上記Dフリップフロップ11a〜11cの各リセット端子R0〜R2は、後述するANDゲート16の出力端子にそれぞれ接続されている。上記Dフリップフロップ11a〜11cの各セット端子S0〜S2は、後述するANDゲート15の出力端子にそれぞれ接続されている。上記Dフリップフロップ11a〜11cの各クロック入力端子CLK0〜CLK2は、後述するNANDゲート17の出力端子に接続されている。
【0066】
上記Dフリップフロップ11cの反転出力端子/Q2の出力信号は、上記インバータゲート18を介して上記ANDゲート15の入力端子(第1入力端子)へ送られる。上記ANDゲート16の入力端子(第1入力端子)には、上記Dフリップフロップ11cの反転出力端子/Q2が接続されている。上記ANDゲート15及び16の入力端子(第2入力端子)には、クロックパルスが入力されている。ANDゲート16の残りの入力端子(第3入力端子)には、上記NANDゲート19の出力端子が接続されている。上記ANDゲート15の残りの入力端子(第3入力端子)には、上記NANDゲート20の出力端子が接続されている。
【0067】
上記NANDゲート17の一方の入力端子には、上記発振回路1の出力に応じて変化するクロックパルスが印加されている。上記NANDゲート17の他方の入力端子は、上記R−Sフリップフロップ14の反転出力端子/Qが接続されている。
【0068】
上記NANDゲート20は、一方の入力端子が上記R−Sフリップフロップ14の反転出力端子/Qに接続されている一方、他方の入力端子は上記R−Sフリップフロップ13の反転出力端子/Qに接続されている。また、上記NANDゲート19は、一方の入力端子が上記R−Sフリップフロップ13の出力端子Qに接続されている一方、他方の入力端子は上記R−Sフリップフロップ14の反転出力端子/Qに接続されている。
【0069】
本実施の形態においては、上記の出力端子Q1を介して、シフトレジスタ11内の上記Dフリップフロップ11bの出力が上記発振回路1へ送られる(図3参照)。
【0070】
上記のような回路構成によれば、検出ポイントA(非発光タイミング)において判定回路7の出力(受信信号)がハイレベルのとき(すなわち、外乱光ノイズがあるとき)、上記R−Sフリップフロップ14はセット状態にあるので、その反転出力端子/Qからは常にローレベルの信号が上記NANDゲート17の入力端子に供給される。このように、上記クロックパルスに関係なく、上記NANDゲート17の出力端子からハイレベルの信号が上記Dフリップフロップ11a〜11cの各クロック入力端子CLK0〜CLK2へ供給されるので、シフトレジスタ11は、シフト動作を行わない。
【0071】
これに対して、検出ポイントB(発光タイミング)において判定回路7の出力(受信信号)がハイレベルのとき、上記R−Sフリップフロップ13はセットされるので、その反転出力端子/Qはローレベルに変化し、その出力端子Qはハイレベルになる。このとき、上記R−Sフリップフロップ14はリセットされるので、その反転出力端子/Qはハイレベルの状態になる。その結果、上記NANDゲート20の入力端子には、上記R−Sフリップフロップ13からローレベルの信号と、上記R−Sフリップフロップ14からハイレベルの信号とがそれぞれ入力される。したがって、上記NANDゲート20の出力端子からハイレベルの信号が、上記ANDゲート15の入力端子へ供給される。
【0072】
上記R−Sフリップフロップ13の出力端子Qはハイレベルの状態にあるので、上記NANDゲート19の出力はローレベルの状態になる。その結果、ANDゲート16においては、入力端子にローレベルの信号が供給される。このとき、上記シフトレジスタ11内のDフリップフロップ11cの反転出力端子/Q2からローレベルの信号が出力されていると、上記ANDゲート15の出力はハイレベルとなり、上記シフトレジスタ11のDフリップフロップ11a〜11cのセット入力端子にはハイレベルの信号が供給されるので、このDフリップフロップ11a〜11cの全ビットがハイレベルにセットされることになる。
【0073】
しかしながら、検出ポイントB(発光タイミング)において判定回路7の出力(受信信号)がローレベルのとき、上記R−Sフリップフロップ13・14はリセットされるので、その反転出力端子/Qはハイレベルに変化し、上記NANDゲート20の出力(ローレベル)が、上記ANDゲート15の入力端子へ供給される。これにより、上記ANDゲート15の出力はローレベルとなる。このとき、上記NANDゲート19の出力端子からはハイレベルの信号が上記ANDゲート16の入力端子へ供給されている。
【0074】
この状態下で、上記シフトレジスタ11内のDフリップフロップ11cの反転出力端子/Q2からローレベルの信号が出力されたままであるとすると、上記ANDゲート16の出力もローレベルとなると共に、上記NANDゲート17からはクロックパルスが上記Dフリップフロップ11a〜11cのクロック入力端子CLK0〜CLK2へ供給される。
【0075】
その結果、上記シフトレジスタ11のセット入力端子及びリセット入力端子にはそれぞれローレベルの信号が供給されるので、このシフトレジスタ11は、上記クロックパルスに同期してシフト動作を行う。すなわち、上記クロックパルスに同期して、Dフリップフロップ11a〜11cの各入力端子のデータが1ビットずつシフトされることになる。
【0076】
判定回路7の出力(受信信号)がローレベルの状態がシフトレジスタ11内のDフリップフロップの段数分続くと、上記シフトレジスタ11の出力(上記Dフリップフロップ11cの出力端子Q2の信号)が反転する。
【0077】
一方、検出ポイントB(発光タイミング)において判定回路7の出力(受信信号)がローレベルの上記状態下で、上記シフトレジスタ11内のDフリップフロップ11cの反転出力端子/Q2からハイレベルの信号が出力されている場合、検出ポイントB(発光タイミング)において判定回路7の出力(受信信号)がローレベルのとき、上記タイミングゲート付のR−Sフリップフロップ13・14は共にリセットされるので、その出力端子Qからローレベルの信号が出力されると共に、その反転出力端子/Qからハイレベルの信号が出力される。
【0078】
その結果、上記NANDゲート19の入力端子には、上記R−Sフリップフロップ13からローレベルの信号と、上記R−Sフリップフロップ14からハイレベルの信号とがそれぞれ入力される。したがって、上記NANDゲート19の出力端子からハイレベルの信号が上記ANDゲート16に供給される。また、この場合、上記Dフリップフロップ11cの反転出力端子/Q2からハイレベルの信号が出力されているので、上記ANDゲート16の入力端子には、このハイレベルの信号と、上記NANDゲート19の出力端子からハイレベルの信号とが供給されることになる。このように、上記クロックパルスがハイレベルのときに上記ANDゲート16の出力端子から上記Dフリップフロップ11a〜11cの各リセット端子にハイレベルの信号が供給されるので、上記Dフリップフロップ11a〜11cはそれぞれリセットされることになる。つまり、上記シフトレジスタ11の全ビットがリセットされるので、上記Dフリップフロップ11a〜11cの各出力端子Q0〜Q2からローレベルの信号が出力されることになる。
【0079】
しかし、この場合、上記検出ポイントBの判定回路7の出力(受信信号)がローレベルであるとすると、上記ANDゲート15・16の出力端子からは、共にローレベルの信号が、上記Dフリップフロップ11a〜11cの各セット入力端子(S0〜S2)及び各リセット入力端子(R0〜R2)へ供給されることになるので、上記シフトレジスタ11はシフト動作を行い、上記クロックパルスに同期して、上記Dフリップフロップ11a〜11cの各出力端子(Q0〜Q2)の信号を1ビットずつシフトする。そして、この状態がシフトレジスタ11を構成するDフリップフロップのカスケード段数(図2の場合、3段)だけ継続されると、上記Dフリップフロップ11cの出力端子Q2がローレベルからハイレベルへ反転することになる。また、上記Dフリップフロップ11bの出力端子Q1は、クロックパルスに同期したシフトレジスタ11のシフト動作がDフリップフロップの2段分(クロックパルス周期の2倍の期間)継続された時点で、ローレベルからハイレベルへ反転する。
【0080】
ところで、シフトレジスタ11内に複数段設けられたDフリップフロップの途中の出力端子(図2の場合、Dフリップフロップ11bの出力端子Q1)は、前述したように、上記発振回路1に接続されている(図3参照)。ここで、図3を参照しながら、上記発振回路1について説明する。
【0081】
上記発振回路1は、図3に示すように、コンデンサC1を充放電させるための定電流源を複数個備えている。そして、上記発振回路1は、上記シフトレジスタ11の出力状態に応じて上記複数の定電流源をそれぞれオン/オフし、これにより複数の発振周波数を選択的に切り替えることができるようにしている。
【0082】
なお、ここでは、便宜上、シフトレジスタ11を構成するDフリップフロップのカスケード段数を3段として説明する。つまり、ここでは、2段目のDフリップフロップ11bの出力端子Q1が上記発振回路1内のトランジスタQN1のベースに接続されていると共に定電流源の数が2個(I1及びI2の定電流をそれぞれ出力する2個の定電流源)の場合について、図3を参照しながら、以下に説明する。なお、本発明は、この段数に限定されるものではなく、シフトレジスタ11を構成するDフリップフロップのカスケード段数が4段以上の場合にも適用可能である。
【0083】
上記発振回路1においては、図3に示すように、上記コンデンサC1が、コンパレータ1aの反転入力端子とグランドとの間に設けられている。上記コンパレータ1aの非反転入力端子には、定電圧Vsとグランドとの間にこの順に直列に接続された抵抗R1、R2、及びR3における抵抗R1とR2の接続点が接続されている。上記コンパレータ1aは、その出力端子がトランジスタQN6、QN7、及びQN8のベースにそれぞれ接続され、これらのトランジスタQN6、QN7、及びQN8をそれぞれオン/オフする。
【0084】
上記コンデンサC1が充電されていないときは、上記コンパレータ1aの反転入力端子の電圧は、上記抵抗R1とR2の接続点の電圧よりも小さいので、上記コンパレータ1aの出力端子からはハイレベルの信号が出力される。これに伴って、上記トランジスタQN8がオンするので、トランジスタQN9はオフし、上記コンパレータ1aの非反転入力端子に供給される電圧は最大値Vmax(Vmax={(R2+R3)×Vs}/(R1+R2+R3))となる。ここで、Vsは上記発振回路1内の定電圧である。
【0085】
上記コンデンサC1は、後述するように、定電流(I1+I2)もしくは定電流I2によって、反転入力端子の電圧が上記Vmaxに達するまで充電される。上記反転入力端子の電圧が上記Vmaxを超えると、上記コンパレータ1aの出力端子からはローレベルの信号が出力される。
【0086】
これに伴って、トランジスタQN8はオフするので、トランジスタQN9はオンし、上記コンパレータ1aの非反転入力端子に供給される電圧は最小値Vmin(Vmin={(R2×Vs)/(R1+R2+R3)+Vsat(QN9)})となる。ここで、Vsat(QN9)は、トランジスタQN9の飽和電圧を表し、その値は0.1[V]以下である。
【0087】
また、上記コンパレータ1aの出力はローレベルであるので、トランジスタQN6はオフし、カレントミラー回路を構成するトランジスタQN4及びQN5はそれぞれオンする。これに伴って、トランジスタQN5は、トランジスタQP3及びQP6からの定電流(I1+I2)もしくは定電流I2と、上記コンデンサC1に充電された電荷を(I1+I2)もしくはI2で上記非反転入力端子の電圧がVminに達するまで引き抜くことになる。上記動作により、上記発振回路1の発振周波数f0は、f0=(I1+I2)/{2×C1×(Vmax−Vmin)}となる。なお、本実施の形態においては、上記トランジスタQN4とQN5のエミッタ面積比は1:2に設定されている。
【0088】
シフトレジスタ11内の上記Dフリップフロップ11bの出力端子Q1からローレベルの信号が上記発振回路1内のトランジスタQN1のベースに供給されると、トランジスタQN1はオフするので、定電流I1はトランジスタQN2へ流れる。これにより、トランジスタQN2とカレントミラー回路を構成するトランジスタQN3に定電流I1が流れると共に、互いにカレントミラー回路を構成するトランジスタQP1〜QP3に定電流I1が流れる。また、互いにカレントミラー回路を構成するトランジスタQP4〜QP6には、常時、定電流I2が流れているので、上記コンデンサC1の充放電は、定電流(I1+I2)によって行われることになる。
【0089】
これに対して、シフトレジスタ11内の上記Dフリップフロップ11bの出力端子Q1からハイレベルの信号が上記発振回路1内のトランジスタQN1のベースに供給されると、トランジスタQN1はオンするので、定電流I1はトランジスタQN1へ流れる。
【0090】
これにより、トランジスタQN2及びQN3はオフする。これに伴って、互いにカレントミラー回路を構成するトランジスタQP1〜QP3がオフする。一方、互いにカレントミラー回路を構成するトランジスタQP4〜QP6には、常時、定電流I2が流れている。その結果、上記コンデンサC1の充放電は、定電流I2のみによって行われることになる。
【0091】
以上のように、上記コンデンサC1の充放電に係る定電流の大きさに応じて、トランジスタQN7のコレクタから引き出された出力端子(fout)から出力される信号の発振周波数が変化する。
【0092】
具体的には、シフトレジスタ11内の上記Dフリップフロップ11bの出力端子Q1からハイレベルの信号が上記発振回路1内のトランジスタQN1のベースに供給されるときには、発振回路1の発振周波数は小さくなる(低くなる)一方、ローレベルの信号が上記発振回路1内のトランジスタQN1のベースに供給されるときには、発振回路1の発振周波数は大きくなる(高くなる)。
【0093】
上記発振回路1の発振周波数が高くなると、前述の発光素子4から投射されるパルス変調されたパルス光の変調速度も速くなる。また、上記発振回路1の発振周波数が高くなると、上記シフトレジスタ11のクロックタイミングも速くなる。そして、このように速くなった変調スピードに同期して入射または隠れた信号(紛れ込んだ信号)が続けて上記シフトレジスタ11に入力されると、上記シフトレジスタ11内の上記Dフリップフロップ11cの出力端子Q2(及び反転出力端子/Q2)から出力される信号が反転する。
【0094】
以上のように、上記発振回路1は、図3に示すように、定電流によって上記コンデンサC1が充電されていき、これに伴って、コンデンサC1の両端の電圧は上昇する。この電圧が上記Vmaxを超えると、上記コンパレータ1aの出力が反転し、コンデンサC1の電圧が徐々に低下していき、上記Vminより低下すると、上記コンパレータ1aは再び出力が反転し、上記コンデンサC1が充電されていく。このような動作を繰り返すことによって、上記コンデンサC1の充電及び放電を1周期とした発振回路となる。そして、この周期は、上記シフトレジスタ11におけるシフト動作中(受光信号の複数回のカウント中に対応する。)に切り替えられる。
【0095】
発光素子4からのパルス変調光が無い状態で、発光素子4からのパルス変調光に同期した外乱光がシフトレジスタ11の段数分以上の期間、受光素子5に入射しても、カウントの途中(シフトレジスタ11のシフト動作の途中)で、発光素子4からのパルス変調光の変調周波数が変更される。そのため、変更前のパルス変調光に同期したタイミングの外乱光は、もはや変更後の変調周波数に同期したものではなくなり、その結果、カウント動作は行われなくなる。また、発光素子4からのパルス変調光の変調周波数は、シフトレジスタ11のシフト動作がシフトレジスタ11の段数分継続される時点(従来技術でDフリップフロップ11cの反転出力端子/Q2からの出力信号が反転される時点)よりも前に変更される。その結果、従来技術のようなDフリップフロップ11cの反転出力端子/Q2からの出力信号が反転されることによる誤動作を未然に回避できる。
【0096】
ところで、上記発振回路1の発振周波数を変化させる場合、2つの発振周波数が互いの発振周波数の整数倍にならないように設定しなければならない。これは、次の理由による。すなわち、もし、上記2つの発振周波数が互いに整数倍の関係にあると、高い方の発振周波数と同じ周波数を有する外乱光が何らかの理由により(偶然に又は故意に)前述の受光素子5に入射したとすると、発振周波数の低い方に切り替わっても、高い発振周波数での同期タイミングで、低くなった同期タイミングにも合ってしまうからである。
【0097】
上記説明では、シフトレジスタ11内の上記Dフリップフロップ11bの出力端子Q1から供給される信号に基づいて上記発振回路1の発振周波数が選択的に切り替えられる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、シフトレジスタ11内の上記Dフリップフロップ11bの反転出力端子/Q1から供給される信号に基づいて上記発振回路1の発振周波数を選択的に切り替える構成でもよい。この場合、発振周波数の高低は、上記の場合の逆になる。
【0098】
また、上記の説明では、上記シフトレジスタ11から一つの出力を取りだして上記発振回路1中の定電流のひとつをオン/オフすることによって、発振周波数(クロックパルス)が2種類存在する場合について例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、4個以上がシリアルに接続されたDフリップフロップ(最終段を除く)の出力端子のうち2個以上からの信号を取り出すと共に、上記発振回路1における定電流源を3個以上設けることによって、上記発振回路1の発振周波数が3種類以上存在し、上記シフトレジスタ11の出力の状態に応じて、適宜、発振周波数を切り替えることも可能となる。
【0099】
たとえば、4個がシリアルに接続されたDフリップフロップのうち、2段目と3段目の出力端子からそれぞれ信号を取り出し、上記発振回路1へ供給する場合、上記発振回路1では発振周波数を決定する定電流源を3個用意し、上記シフトレジスタ11の出力によって定電流をオン/オフすると、3個の発振周波数を適宜選択することが可能となる。この場合、外乱光ノイズ等による誤動作をより確実に回避できるようになる。
【0100】
また、上記の説明では、シフトレジスタ11をDフリップフロップ11a〜11cで構成される場合について例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、Dフリップフロップ11a〜11cの各々に代えて、他の同期式のフリップフロップ(クロックパルスを用いるフリップフロップ)、例えば、JKフリップフロップ、RSTフリップフロップ等を用いた構成でもよい。
【0101】
以上のように、本発明によれば、受光信号が無い状態で、何らかの理由により(偶然に又は故意に)パルス変調された周波数タイミング(発光タイミング)でシフトレジスタ11の段数分以上の光が入射した場合でも、同期後、発振周波数が選択的に切り替えられ、信号処理回路2のクロックタイミングが変化するので、誤検出することなく物体を高精度に検出する光検出装置を提供できる。
【0102】
【発明の効果】
本発明の光検出方法は、以上のように、上記複数回のカウント中に、上記物体へ投射する光の変調周波数を変更することを特徴とする。
【0103】
上記の方法によれば、パルス変調された光が物体へ投射され、この物体からの反射光または透過光は受光信号に変換される。この受光信号は、上記投射光の変調周波数に同期して複数回カウントされ、このカウント結果に基づいて物体の有無が検出される。
【0104】
ところが、何らかの理由で、上記パルス変調された光と同じ周波数を有する外乱光やノイズが受光信号として変換されると、この受信信号は上記パルス変調された光に係る正規の受信信号として処理され、その結果、物体の光検出は誤ってなされてしまう。
【0105】
そこで、上記の光検出方法によれば、上記受信信号の複数回のカウント中に、上記物体へ投射する光の変調周波数が変更される。これにより、たとえ、上記のように、受信状態に無い状態下で、何らかの理由により、正規でない受光信号がカウントされても、そのカウントの途中で上記物体へ投射する光の変調周波数が変更されるので、このような正規でない受光信号は、もはや変更後の変調周波数に同期したものではなくなり、その結果、カウント動作は行われなくなる。したがって、受光信号が無い状態で、外乱光やノイズを受光しても、物体の有無を高精度に検出でき、従来技術のような誤動作を未然に回避できるという効果を奏する。
【0106】
本発明の光検出装置は、上記の課題を解決するために、複数の発振周波数の信号を出力する発振回路と、上記発振回路からの信号に基づいてパルス変調された光を物体へ投射する発光手段と、上記物体からの反射光または透過光を受光し、受光信号に変換する受光手段と、上記投射光の変調周波数に同期して上記受光信号を複数回カウントするカウント手段と、上記カウント手段に基づいて物体の有無を検出する検出手段と、上記カウント手段によるカウント中に、上記発振回路の上記発振周波数を変更する周波数変更手段を備えている。
【0107】
上記の光検出装置によれば、発振回路からの信号に基づいてパルス変調された光が発光手段によって物体へ投射され、この物体からの反射光または透過光は受光手段へ導かれて受光信号に変換される。この受光信号は、上記投射光の変調周波数に同期して、カウント手段によって複数回カウントされる。このカウント結果に基づいて、物体の有無が検出手段によって検出される。
【0108】
ところが、何らかの理由で、上記パルス変調された光と同じ周波数を有する外乱光やノイズが上記物体からの反射光または透過光として受光素子に入射されると、物体からの正規の反射光または透過光として受光信号に変換される。この受信信号は上記パルス変調された光に係る正規の受信信号として処理され、その結果、物体の光検出は誤ってなされてしまう。
【0109】
そこで、上記の光検出装置によれば、上記カウント手段によるカウント中に、上記発振回路の上記発振周波数が周波数変更手段によって変更される。これに伴って、上記受信信号の複数回のカウント中に、上記物体へ投射する光の変調周波数が変更される。
【0110】
これにより、たとえ、上記のように、受信状態に無い状態下で、何らかの理由により、正規でない受光信号がカウントされても、そのカウントの途中で上記物体へ投射する光の変調周波数が変更されるので、このような正規でない受光信号は、もはや変更後の変調周波数に同期したものではなくなり、その結果、カウント動作は行われなくなる。したがって、受光信号が無い状態で、外乱光やノイズが受光素子に入射されても、物体の有無を高精度に検出でき、従来技術のような誤動作を未然に回避できるという効果を奏する。
【0111】
上記カウント手段は、複数個のフリップフロップがカスケードに接続されたシフトレジスタであり、上記周波数変更手段は、最終段を除くフリップフロップのうち少なくとも一つからの出力信号に基づいて上記発振回路の上記発振周波数を変更することが好ましい。
【0112】
この場合、最終段を除くフリップフロップのうち少なくとも一つからの出力信号を使用するという簡単な構成により、上記カウント手段によるカウント中という状態を実現でき、フリップフロップの段数分以上のノイズ光が入射した場合でも、容易に発振周波数を変更される。これにより、カウントの同期タイミングが変更されるので、誤検出を確実に回避でき、物体の有無を高精度に検出することが可能となるという効果を併せて奏する。
【0113】
上記発振回路は、コンデンサに対する充放電を行う定電流源を複数個備え、これらの定電流源を制御して上記発振周波数を変更することが好ましい。
【0114】
この場合、コンデンサの充放電に要する時間を変更することによって上記発振周波数を変更することが可能となる。すなわち、複数の定電流源を制御(たとえば、オン/オフ制御)することによって、上記コンデンサに対する充放電に要する時間を制御できる。このように、簡単な構成により、上記発振周波数の変更を容易に行える。
【0115】
加えて、複数の定電流源を設けることによって、変更可能な発振周波数の種類を多くできるので、多種多様なノイズに対しての対応が可能となり、その結果、より高精度な光検出が行えるという効果を併せて奏する。
【0116】
上記発振回路は、変更可能な発振周波数の数に等しい数の定電流源を備えていることが好ましい。
【0117】
上記発振回路は、互いに整数倍とならないように上記発振周波数をそれぞれ変更することが好ましい。
【0118】
複数の発振周波数が互いの発振周波数の整数倍の関係にある場合、高い方の発振周波数と同じ周波数を有する外乱光が何らかの理由により(偶然に又は故意に)上記の受光素子に入射したとすると、発振周波数の低い方に変更されても、高い発振周波数での同期タイミングで、低くなった同期タイミングにも合ってしまうという不具合を招来する。
【0119】
そこで、互いに整数倍とならないように上記発振周波数をそれぞれ変更することによって、上記の不具合を確実に回避できるという効果を併せて奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光検出装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】上記の光検出装置の信号処理回路の構成例を示す回路図である。
【図3】上記の光検出装置の発振回路の構成例を示す回路図である。
【図4】従来の光検出装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】上記従来の光検出装置の信号処理回路の構成例を示す回路図である。
【図6】上記従来の光検出装置の発振回路の構成例を示す回路図である。
【符号の説明】
1 発振回路
2 信号処理回路
3 発光素子駆動回路
4 発光素子(発光手段)
5 受光素子(受光手段)
6 アンプ
7 判定回路
11 シフトレジスタ(カウント手段、周波数変更手段)
12 状態検出回路

Claims (6)

  1. 複数の発振周波数の信号を出力する発振回路と、
    上記発振回路からの信号に基づいてパルス変調された光を物体へ投射する発光手段と、
    上記物体からの反射光または透過光を受光し、受光信号に変換する受光手段と、
    上記投射光の変調周波数に同期して上記受光信号をカウントする、3個以上のフリップフロップがカスケードに接続されたシフトレジスタを有するカウント手段と、
    上記カウント手段に基づいて物体の有無を検出する検出手段と、
    初段と最終段とを除く上記フリップフロップのうち少なくとも一つからの出力信号を上記発振回路に与え、上記発振回路に与えられた出力信号のうち、いずれかの出力信号のレベルが第2のレベルから第1のレベルに変化した時、および上記発振回路に与えられた出力信号のうち、いずれかの出力信号のレベルが第1のレベルから第2のレベルに変化した時に、上記発振回路の上記発振周波数を変更する周波数変更手段とを備えたことを特徴とする光検出装置。
  2. 3種類以上の発振周波数の信号を出力する発振回路と、
    上記発振回路からの信号に基づいてパルス変調された光を物体へ投射する発光手段と、
    上記物体からの反射光または透過光を受光し、受光信号に変換する受光手段と、
    上記投射光の変調周波数に同期して上記受光信号をカウントする、4個以上のフリップフロップがカスケードに接続されたシフトレジスタを有するカウント手段と、
    上記カウント手段に基づいて物体の有無を検出する検出手段と、
    最終段を除く上記フリップフロップのうち2つ以上からの出力信号を上記発振回路に与え、上記発振回路に与えられた出力信号のうち、いずれかの出力信号のレベルが第2のレベルから第1のレベルに変化した時、および上記発振回路に与えられた出力信号のうち、いずれかの出力信号のレベルが第1のレベルから第2のレベルに変化した時に、上記発振回路の3種類以上の発振周波数を変更する周波数変更手段とを備えたことを特徴とする光検出装置。
  3. 上記発振回路は、コンデンサに対する充放電を行う定電流源を複数個備え、これらの定電流源を制御して上記発振周波数を変更することを特徴とする請求項1または2に記載の光検出装置。
  4. 上記発振回路は、変更可能な発振周波数の数に等しい数の定電流源を備えていることを特徴とする請求項3に記載の光検出装置。
  5. 上記発振回路は、上記定電流源の出力電流を折り返すカレントミラー回路を上記定電流源毎に備えていることを特徴とする請求項3に記載の光検出装置。
  6. 上記発振回路は、互いに整数倍とならないように上記発振周波数をそれぞれ変更することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光検出装置。
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