本発明の一実施形態について実施例1、実施例2、参考例1、参考例2及び図1〜図14に基づいて説明すれば、以下の通りである。
図1は、本発明の実施の形態に係るバイアス電流検出電源回路22と省線化(2線式)パルス光変調型物体検出装置21とを接続した回路構成を示すブロック図である。
バイアス電流検出電源回路22は、電源端子24、GND端子26、バイアス端子27及び信号出力端子29を備えている。また、省線化パルス光変調型物体検出装置21は、GND端子25、電源端子28、内部処理回路30、発光素子31及び受光素子32を備えている。さらに、電源端子24には外部電源23が接続されており、外部電源23のGNDは電気的に接地されている。さらに、バイアス端子27は、電源端子28に接続されている。そして、信号出力端子29は、信号処理回路40に接続されている。
省線化パルス光変調型物体検出装置21は、バイアス電流検出電源回路22からバイアス電圧を印加されることにより動作する構成となっている。外部電源23が生成する電圧VCCは、バイアス電流検出電源回路22の電源端子24に印加される。また、省線化パルス光変調型物体検出装置21のGND端子25、及びバイアス電流検出電源回路22のGND端子26は、電気的に接地されている。
バイアス電流検出電源回路22のバイアス端子27から省線化パルス光変調型物体検出装置21の電源端子28にバイアス電圧が供給され、バイアス端子27に流れるバイアス電流I’におけるパルス成分を、電圧変換した信号を信号出力端子29より取り出している。尚、省線化パルス光変調型物体検出装置21において内部処理回路30は、発光素子31を介した電圧によって、動作する構成となっている。内部処理回路30により変調生成されたパルスにより、発光素子31はパルス的にドライブされるため、そのパルス動作時の電流変化を受光素子32により取り出す事で、物体33の有無を検出できる。
物体33の有無の判別は、信号処理回路40により行う。図2に示すように、省線化パルス光変調型物体検出装置21は、例えば物体無しの時のバイアス電流I’のパルス周期に対して、物体有りの時のバイアス電流I’のパルス周期を長くする。信号処理回路40は、バイアス電流I’のパルス周期を判定し、該パルス周期に応じてHighまたはLowの信号を出力する。
一例として、パルス周期が物体無しの時のパルス周期であるバイアス電流I’が、2周期連続で信号処理回路40に入力された場合に、信号処理回路40は物体が無いと判定として、Lowの信号を出力する。逆にパルス周期が物体有りのパルス周期であるバイアス電流I’が、2周期連続で信号処理回路40に入力された場合に、信号処理回路40は物体が有ると判定として、Highの信号を出力する。
以下に、図1のバイアス電流検出電源回路22の内部における回路構成について、実施例1及び図3に基づいて説明する。実施例1に記載の、バイアス電流検出電源回路34は、バイアス電流検出電源回路22に用いることが出来る。
〔実施例1〕
図3は、本実施例1に係るバイアス電流検出電源回路34の回路図である。バイアス電流検出電源回路34は、電源端子24、GND端子26、バイアス端子27、信号出力端子29、NPNトランジスタQ1〜Q4、PNPトランジスタQ5、Q6及び抵抗R1〜R4を備えている。
バイアス電流検出電源回路34において、電源端子24は、NPNトランジスタQ3のコレクタ、PNPトランジスタQ5のエミッタ、PNPトランジスタQ6のエミッタ及び抵抗R1の一端に接続されている。NPNトランジスタQ3のエミッタは、NPNトランジスタQ1のコレクタ、NPNトランジスタQ1のベース及びNPNトランジスタQ2のベースに接続されている。抵抗R1の他端は、NPNトランジスタQ3のベース、NPNトランジスタQ4のコレクタ及び抵抗R2の一端に接続されている。NPNトランジスタQ1のエミッタは、NPNトランジスタQ2のエミッタ、NPNトランジスタQ4のベース及び抵抗R4の一端に接続されている。抵抗R4の他端及びNPNトランジスタQ4のエミッタは、バイアス端子27に接続されている。
PNPトランジスタQ5のベースは、PNPトランジスタQ6のベース、PNPトランジスタQ5のコレクタ及びNPNトランジスタQ2のコレクタに接続されている。PNPトランジスタQ6のコレクタは、信号出力端子29及び抵抗R3の一端に接続されている。そして、抵抗R2の他端、抵抗R3の他端及びGND端子26は、電気的に接地されている。
バイアス電流検出電源回路34において、ドライブ用トランジスタはNPNトランジスタQ1であり、NPNトランジスタQ2とカレントミラー回路を構成している。該カレントミラー回路において、NPNトランジスタQ1のエミッタ面積とNPNトランジスタQ2エミッタ面積との比であるエミッタ面積比を変える事により、トランジスタQ1に流れる実際のバイアス電流を圧縮する事ができる。このため、トランジスタ素子の小型化及び、低電力化が図れる。なお、図3では上記エミッタ面積比は20:2である。
通常、バイアス電流検出電源回路34のバイアス端子27から省線化パルス光変調型物体検出装置21の電源端子28には、5mA程度のDC(direct current:直流)電流が流れている。発光素子31が発光する時には、バイアス電流I’として約35mA程度の電流がパルス的に流れる、即ちバイアス電流I’にパルスが生じている時はバイアス電流I’=35mAであり、バイアス電流I’にパルスが生じていない時はバイアス電流I’=5mAである。
バイアス電流検出電源回路34では、バイアス電流I’の、パルスの有無による変化を信号として取り出すが、バイアス電流検出電源回路34において、最大値が35mAであるバイアス電流I’を、NPNトランジスタQ2のコレクタ−エミッタ間に流すには、NPNトランジスタQ2のエミッタの面積を大きくする、即ちNPNトランジスタQ1のエミッタの面積と等しくする必要があり、チップサイズの拡大が必要となる。
また、NPNトランジスタはPNPトランジスタに比べて大電流能力が大きいため、ドライブ用トランジスタをNPN型で構成する事でもチップサイズの拡大を抑制できる。図3においては、上記エミッタ面積比が20:2となっているため、NPNトランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間に最大値が35mAであるバイアス電流I’が流れる場合、NPNトランジスタQ2のコレクタ−エミッタ間には、35×(2÷20)=1/10の約3.5mAの電流が最大で流れる事となる。この電流をPNPトランジスタQ5及びPNPトランジスタQ6で構成されるカレントミラー回路で折り返して、抵抗R3により電圧変換する事で、バイアス電流を電圧信号として検出できる。
より具体的には、NPNトランジスタQ2のコレクタ−エミッタ間には、最大で約3.5mAの電流が流れ、PNPトランジスタQ5のコレクタ−エミッタ間にも最大で約3.5mAの電流が流れる。上述したように、PNPトランジスタQ5及びPNPトランジスタQ6はカレントミラー回路を構成しているので、PNPトランジスタQ6のコレクタ−エミッタ間にも最大で約3.5mAの電流が流れる。よって、抵抗R3にも最大で約3.5mAの電流が流れる。
従って、例えば、抵抗R3=2kΩとした場合は、下記の通りとなる。即ち、NPNトランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間に流れる電流の最大値が5mA〜35mAの範囲内で変化する場合、NPNトランジスタQ2のコレクタ−エミッタ間に流れる電流の最大値は0.5mA〜3.5mAの範囲内で変化する。これにより、抵抗R3に流れる電流の最大値は0.5mA〜3.5mAの範囲内で変化するので、抵抗R3の両端の電圧は1.0V〜7.0Vの範囲内で変化する。
また、ドライブ用であるNPNトランジスタQ1は、NPNトランジスタQ3によりバイアスされている。NPNトランジスタQ3のベース端子が、電源端子24とGND端子26との間に接続された、抵抗R1と抵抗R2との接続点に接続されることにより、ドライブ用であるNPNトランジスタQ1は、NPNトランジスタQ3によりバイアスされている。
図3のバイアス電流検出電源回路34において、NPNトランジスタQ4と抵抗R4とで構成されるバイアス電流制限回路35を更に設けている。バイアス電流制限回路35はクランプ回路として動作し、該クランプ回路によりバイアス電流I’の過電流を防ぎ、素子の破壊を防止する事ができる。
具体的には、省線化パルス光変調型物体検出装置21へは、ドライブ用トランジスタであるNPNトランジスタQ1より抵抗R4を介してバイアス電流I’が供給されるが、省線化パルス光変調型物体検出装置21の異常等でバイアス電流I’が増加した場合に、抵抗R4の両端にNPNトランジスタQ4のベース・エミッタ端子を接続する。これにより、抵抗R4に流れるバイアス電流I’による、抵抗R4の両端の電圧降下が0.7V以上になると、NPNトランジスタQ4がONして電流をバイパスする、即ちNPNトランジスタQ4のコレクタ−エミッタ間に電流が流れる。よって、抵抗R1に流れる電流が増加し、抵抗R1による電圧降下がより大きくなるので、NPNトランジスタQ3のベース電位が、NPNトランジスタQ4がONする前より低くなる。従って、バイアス電流I’がより小さくなる、即ち制限される。この時、NPNトランジスタQ3はOFFせず、バイアス端子27に接続される負荷の状況に合わせて、平衡状態を保つ動作点に収束していく。
上述したバイアス電流制限回路35を用いた電流制限動作により、素子の焼損など破壊を防止する事ができる。例えば、抵抗R4=10Ωとした場合は、抵抗R4に70mA以上の電流が流れると、抵抗R4の両端電圧降下が0.7V以上となるため、NPNトランジスタQ4がONして電流をバイパスする事となる。
以上のように、バイアス電流検出電源回路34では、バイアス電流I’が流れるバイアス端子27にエミッタが共通接続され、第1のカレントミラー回路を構成するNPNトランジスタ対を備え、前記NPNトランジスタ対は、NPNトランジスタQ1、Q2を有し、NPNトランジスタQ1のコレクタとベースとが接続され、NPNトランジスタQ1のコレクタとベースとは、NPNトランジスタQ3のエミッタに接続され、NPNトランジスタQ3は、電源電圧を抵抗R1、R2により分圧してベースがバイアスされ、NPNトランジスタQ3のコレクタは、電源端子24に接続され、NPNトランジスタQ2のコレクタは、第2のカレントミラー回路を構成するPNPトランジスタ対に接続され、該PNPトランジスタ対の出力に抵抗R3が接続される。
上記構成によれば、前記PNPトランジスタ対の出力電流を、抵抗R3にて電圧に変換出来る。よって、省線化パルス光変調型物体検出装置21のバイアス電流I’における発光パルス電流の変化を電圧信号として取り出すことが出来る。
従って、省線化パルス光変調型物体検出装置21に対して、バイアス端子27に流れるバイアス電流I’の変化を電圧信号として取り出す事で、省線化パルス光変調型物体検出装置21に最適なバイアス電流検出電源回路34を提供できる。
また、前記NPNトランジスタ対が出力トランジスタであるNPNトランジスタQ1を有しており、前記NPNトランジスタ対においてトランジスタのエミッタ面積の比を適切に設定することにより、電流圧縮された出力電流を、前記PNPトランジスタ対で折り返した出力電流を抵抗R3で電圧変換して信号を取り出す構成とすることが出来る。従って、素子の小型を図る事ができる。
以下に、バイアス電流検出電源回路36及びバイアス電流検出電源回路36の内部における回路構成について、実施例2に基づいて説明する。バイアス電流検出電源回路36は、バイアス電流検出電源回路22と同様に、省線化パルス光変調型物体検出装置21の電源として用いることが出来る。
〔実施例2〕
図4は、本実施例2に係るバイアス電流検出電源回路36のブロック図である。バイアス電流検出電源回路36は、バイアス端子27の状態を検出し、バイアス電流検出電源回路36から供給されるバイアス電流I’をコントロールするための回路である。バイアス電流検出電源回路36は、図1のバイアス電流検出電源回路22にシャットダウン端子37及びシャットダウン端子43を設けた回路である。
バイアス電流検出電源回路36において、バイアス端子異常検出回路58は、積分器41、バイアス端子異常検出用コンパレータ42、基準電源44及び図5のNPNトランジスタQ10を有している。また、ショート検出回路59は、ショート検出用コンパレータ38、基準電源39及び図5のNPNトランジスタQ11を有している。
また、バイアス電流検出電源回路36において、バイアス端子27は、ショート検出用コンパレータ38の反転入力端子(−)に接続されている。ショート検出用コンパレータ38の出力は、シャットダウン端子37に接続されている。ショート検出用コンパレータ38の非反転入力端子(+)は、基準電源39の+端子に接続されており、基準電源39の−端子は、電気的に接地されている。基準電源39は、基準電圧Vref1を出力する。
信号出力端子29は、信号処理回路40及び積分器41の入力に接続されている。積分器41の出力は、バイアス端子異常検出用コンパレータ42の非反転入力端子(+)に接続されている。バイアス端子異常検出用コンパレータ42の出力は、シャットダウン端子43に接続されている。バイアス端子異常検出用コンパレータ42の反転入力端子(−)は、基準電源44の+端子に接続されており、基準電源44の−端子は、電気的に接地されている。基準電源44は、基準電圧Vref2を出力する。
バイアス端子27がGND端子にショートする、即ち電気的に接地された場合、バイアス電流I’が大きくなるので、信号出力端子29の電圧は上昇する。信号出力端子29の電圧が上昇した時に、積分器41の出力電圧が上昇し、基準電圧Vref2より大きくなると、バイアス端子異常検出用コンパレータ42の出力がHighとなる。これにより、バイアス電流検出電源回路36が有する、シャットダウン用であるNPNトランジスタQ10がONする。
バイアス端子27がGND端子にショートする、即ち電気的に接地されるという異常が生じた場合には、過大な電流が流れるため、バイアス電流I’を止める、即ちバイアス電流I’をゼロにする必要がある。
実施例1に記載したバイアス電流制限回路35だけでは、70mAなどの電流値に制限はできるが、定常的に流れる場合は素子、具体的にはNPNトランジスタQ4が破壊されてしまう。ここで、バイアス端子27から出力される電圧Vを、ショート検出用コンパレータ38において基準電圧Vref1と比較する事により、電圧Vをモニタする。よって、ショート検出用コンパレータ38がバイアス端子27のショートを検出し、ショート検出用コンパレータ38の出力信号を、バイアス電流検出電源回路36のシャットダウン端子37に戻すことにより、NPNトランジスタQ11がONする。従って、NPNトランジスタQ7のベース電位が略0Vとなり、NPNトランジスタQ7、NPNトランジスタQ3及びNPNトランジスタQ1がOFFするので、バイアス電流I’の供給を停止させる事が可能となり、バイアス端子27がショートした時の素子の破壊を防止できる。
図5は、バイアス電流の供給停止、即ちシャットダウンに対応したバイアス電流検出電源回路45の回路図である。バイアス電流検出電源回路45は、図3のバイアス電流検出電源回路34に、シャットダウン端子37、シャットダウン端子43、NPNトランジスタQ7、及びシャットダウン用トランジスタであるNPNトランジスタQ10、Q11を設けた回路である。
バイアス電流検出電源回路45において、NPNトランジスタQ7のコレクタは、電源端子24に接続されている。NPNトランジスタQ7のコエミッタは、NPNトランジスタQ3のベースに接続されている。NPNトランジスタQ7のベース、NPNトランジスタQ10のコレクタ及びNPNトランジスタQ11のコレクタは、抵抗R1と抵抗R2との接続点に接続されている。
NPNトランジスタQ10のベースは、シャットダウン端子43に接続されている。NPNトランジスタQ11のベースは、シャットダウン端子37に接続されている。そして、NPNトランジスタQ10のエミッタ及びNPNトランジスタQ11のエミッタは、伝記的に接地されている。
NPNトランジスタQ11のベース端子に、上述したショート検出用コンパレータ38からのHighである信号が入力されると、NPNトランジスタQ11がONするため、抵抗R1と抵抗R2との接続点の電位は略GND、即ち略0Vとなる。該接続点はNPNトランジスタQ7のベース端子でもあるため、該ベース端子が略0Vとなる事によりOFFして、NPNトランジスタQ7のエミッタ電位も低下する。NPNトランジスタQ7がOFFする事で、NPNトランジスタQ3及びNPNトランジスタQ1がバイアスされないため、NPNトランジスタQ3及びNPNトランジスタQ1がOFFし、省線化パルス光変調型物体検出装置21へのバイアス電流I’の供給が停止される、即ちシャットダウンされる。
図6は、図4におけるショート検出用コンパレータ38の回路図である。図6のショート検出用コンパレータ38において、電源端子46は、図1の電源端子24と同様に外部電源23が接続されている。出力端子47は、図4のシャットダウン端子37に接続されている。
電源端子46は、PNPトランジスタQ51のエミッタ、抵抗R4の一端、PNPトランジスタQ53のエミッタ、PNPトランジスタQ54のエミッタ、PNPトランジスタQ55のエミッタ、抵抗R5の一端、PNPトランジスタQ56のエミッタ及び抵抗R6の一端に接続されている。PNPトランジスタQ51のベースは、PNPトランジスタQ52のベース、PNPトランジスタQ53のベース、PNPトランジスタQ54のベース、PNPトランジスタQ55のベース、PNPトランジスタQ56のベース、PNPトランジスタQ51のコレクタ及び定電流源I1の入力に接続されている。
PNPトランジスタQ52のコレクタは、PNPトランジスタQ57のベース及び抵抗R7の一端に接続されている、抵抗R7の他端は、バイアス端子27に接続される。PNPトランジスタQ53のコレクタは、PNPトランジスタQ58のベース及びPNPトランジスタQ57のエミッタに接続されている。PNPトランジスタQ54のコレクタは、PNPトランジスタQ58のエミッタ及びPNPトランジスタQ59のエミッタに接続されている。PNPトランジスタQ55のコレクタは、PNPトランジスタQ59のベース及びPNPトランジスタQ60のエミッタに接続されている。PNPトランジスタQ56のコレクタは、NPNトランジスタQ73のコレクタ及びNPNトランジスタQ74のベースに接続されている。
抵抗R2の他端は、PNPトランジスタQ52のエミッタに接続されている。抵抗R3の他端は、PNPトランジスタQ67のエミッタ、PNPトランジスタQ68のエミッタ、PNPトランジスタQ69のエミッタ及びPNPトランジスタQ70のエミッタに接続されている。抵抗R4の他端は、出力端子47及びNPNトランジスタQ74のコレクタに接続されている。
PNPトランジスタQ58のコレクタは、NPNトランジスタQ61のコレクタ、NPNトランジスタQ61のベース、NPNトランジスタQ62のベース、NPNトランジスタQ63のコレクタ及びPNPトランジスタQ66のベースに接続されている。PNPトランジスタQ59のコレクタは、NPNトランジスタQ64のコレクタ、NPNトランジスタQ64のベース、NPNトランジスタQ63のベース、NPNトランジスタQ62のコレクタ及びPNPトランジスタQ65のベースに接続されている。
PNPトランジスタQ67のコレクタは、PNPトランジスタQ67のベース、PNPトランジスタQ68のベース及びPNPトランジスタQ65のエミッタに接続されている。PNPトランジスタQ68のコレクタは、NPNトランジスタQ71のコレクタ及びNPNトランジスタQ73のベースに接続されている。PNPトランジスタQ69のコレクタは、NPNトランジスタQ72のコレクタ、NPNトランジスタQ72のベース及びNPNトランジスタQ71のベースに接続されている。PNPトランジスタQ70のコレクタは、PNPトランジスタQ70のベース、PNPトランジスタQ69のベース及びPNPトランジスタQ66のエミッタに接続されている。
PNPトランジスタQ60のベースは、基準電源39の+端子に接続されており、基準電源39の−端子は、電気的に接地されている。そして、定電流源I1の出力、PNPトランジスタQ57のコレクタ、NPNトランジスタQ61のエミッタ、NPNトランジスタQ62のエミッタ、NPNトランジスタQ63のエミッタ、NPNトランジスタQ64のエミッタ、PNPトランジスタQ60のコレクタ、PNPトランジスタQ65のコレクタ、NPNトランジスタQ71のエミッタ、NPNトランジスタQ72のエミッタ、PNPトランジスタQ66のコレクタ、NPNトランジスタQ73のエミッタ、NPNトランジスタQ74のエミッタ及びGND端子48は、電気的に接地されている。
ショート検出用コンパレータ38は、PNPトランジスタQ53〜PNPトランジスタQ55、PNPトランジスタQ57〜PNPトランジスタQ60及びNPNトランジスタQ61〜NPNトランジスタQ64で構成されるヒステリシス付コンパレータ49、並びにPNPトランジスタQ56、PNPトランジスタQ65〜PNPトランジスタQ70、NPNトランジスタQ71〜NPNトランジスタQ74、抵抗R5及び抵抗R6で構成されるコンパレータ50の2段で構成されている。
抵抗R7の一端にバイアス端子電圧V1が印加され、PNPトランジスタQ60のベースに入力される基準電圧Vref1と比較を行っている。バイアス端子27がショートしている場合は、抵抗R7の電圧は略GND、即ち略0Vとなっており、上述したシャットダウン機能によりバイアス電流検出電源回路36からのバイアス電流I’が停止している。このため、バイアス端子27には電流が流れず、バイアス端子27のショート状態が回復しても、バイアスが切れたままとなり省線化パルス光変調型物体検出装置21が動作しない。
ここで、バイアス端子電圧V1が印加される部分に、抵抗R4とPNPトランジスタQ52とで構成される定電流源I2が、抵抗R7と入力トランジスタであるPNPトランジスタQ57のベース端子に接続されている。これにより、バイアス端子27のショート状態が復帰した場合、定電流I2によりバイアスしていく事で、省線化パルス光変調型物体検出装置21の電源端子が上昇するために、バイアス端子電圧V1が上昇し、基準電圧Vref1を超えた所でショート検出用コンパレータ38から出力される信号がLowとなり、バイアス電流検出電源回路36のシャットダウンを解除する。よって、バイアス端子27のショート状態が復帰すれば、バイアス電流検出電源回路36は自動的に省線化パルス光変調型物体検出装置21へのバイアスを再開させる事ができる。
ここで、バイアス電流検出電源回路36のシャットダウン時に、コンパレータの定電流源によるバイアス電流I’は、図1において電源端子28に流れ込み、先ず発光素子31に電流が流れるため、該発光素子が最初にONする。発光素子(GL)は動作状態において、順方向電圧VFを発生させる。順方向電圧VFは素子特性により異なるが、通常は約1.3V程度である。ショート検出用コンパレータ38の基準電圧Vref1を、発光素子31の順方向電圧VFよりも約0.1V低く設定する事で、バイアス電流検出電源回路36のシャットダウンからの復帰を早くする事ができる。
再び図5において、バイアス電流検出電源回路45のシャットダウン時には、NPNトランジスタQ10がONして、抵抗R1と抵抗R2との接続点を略GND、即ち略0Vに落とすため、電源端子24から抵抗R1のみを介した電流が、NPNトランジスタQ10のコレクタ−エミッタ間に流れる事になる。図3に示すNPNトランジスタQ3をバイアスする構成においては、バイアス端子27の電位、即ちNPNトランジスタQ1のエミッタ電位は、外部電源電圧、即ち電源回路3から出力される電圧から、抵抗R1の電位降下、NPNトランジスタQ3のベース−エミッタ間電圧及びQ1のベース−エミッタ間電圧分だけ低下した電位となる。よって、抵抗R1の値を大きくすると、抵抗R1での電圧降下により省線化パルス光変調型物体検出装置21へ出力する電圧が低下して、電源のダイナミックレンジが低下してしまう。
逆に電源回路のシャットダウン時には、NPNトランジスタQ11がONし、抵抗R1の値が小さいと、電源端子24→抵抗R1→NPNトランジスタQ11のコレクタ−エミッタ間→GNDの経路で流れる電流が増大する問題がある。そこで、図5に示すNPNトランジスタQ7を追加する事により、抵抗R1の値を大きくできるため、シャットダウン時の電流を低減する事ができる。
バイアス端子27の電位については、NPNトランジスタQ7のコレクタ−エミッタ間電圧、NPNトランジスタQ3のベース−エミッタ間電圧及びQ1のベース−エミッタ間電圧を外部電源電圧から引いた電圧となるため、抵抗R1の値に関係無く設定する事ができる。更に、図3の抵抗R1の電圧降下は、NPNトランジスタQ1を流れるバイアス電流I’の変化により、NPNトランジスタQ3のベース電流も変化するため、バイアス電流I’に対しての依存性を有するが、図5に示すNPNトランジスタQ7を追加した構成により、バイアス電流I’の変動による影響を除去する事ができる。
図4において、バイアス端子27の負荷変動を検出する構成を説明する。バイアス電流検出電源回路36の信号出力端子29から出力される信号と、通常のパルス信号との判別を積分器41で行う。通常のパルス信号は、数μsecのパルス幅の信号であり、バイアス端子が異常な負荷となった場合は、DCバイアス電流が増加する状態のため、数msec以上のパルス変動となる。このパルス変動幅の差、即ち時間の差を、積分器41とバイアス端子異常検出用コンパレータ42とで判別する。つまり、通常の数μsecのパルスを積分器41により積分することにより生じる出力電圧では、基準電圧Vref2まで上昇しないように、積分器41の時定数を設定する。バイアス端子異常検出用コンパレータ42からの出力信号は、バイアス電流検出電源回路36のシャットダウン端子43に入力され、上述したショート時のシャットダウンと同様に、図5に示す回路により、バイアス電流I’の供給を停止するよう、シャットダウンされる。
なお、本実施の形態における「バイアス端子が異常な負荷となった場合」とは、バイアス端子27に接続される省線化パルス光変調型物体検出装置21が通常動作している状態において、外部よりバイアス端子27とGNDとの間に抵抗体を接続する等の動作が行われることにより、完全なショートでは無く、通常とは異なるインピーダンスを介してバイアス端子27が接地される状態を示す。
従って、バイアス端子27に接続される負荷の変動、即ち省線化パルス光変調型物体検出装置21の異常を検出して、省線化パルス光変調型物体検出装置21へのバイアス電流I’の供給を停止することが出来る。即ち、バイアス端子27が完全なショートではなく、接続される省線化パルス光変調型物体検出装置21とは異なるインピーダンス状態を検出して、バイアス電流I’の供給を停止するシャットダウン機能を備える事で、ゲーム機などにおける不正行為による素子の異常を検知する事ができ、異常電流による素子の破壊も防止する事ができる。
また、バイアス電流I’を電圧変換検出した出力信号を、積分器41に入力して、正常なパルス信号より十分長い事を判別して、バイアス端子27の異常を検出する事ができ、上記出力信号を用いて、電源回路の出力であるドライブ用トランジスタであるNPNトランジスタQ1のベース電位を下げる事で、バイアス供給を停止する事ができる。
図7は、本実施例2に係る積分器41の回路図である。積分器41は、電源端子51、GND端子52、入力端子53、出力端子54、PNPトランジスタQ81〜Q87、Q90、NPNトランジスタQ88、Q89、Q91〜Q94及びキャパシタC1を備えている。図7の積分器41において、電源端子51は、図1の電源端子24と同様に外部電源23が接続されている。入力端子53は、図4の信号出力端子29に接続されている。出力端子54は、図4のバイアス端子異常検出用コンパレータ42の反転入力端子(−)に接続されている。
積分器41において、電源端子51は、PNPトランジスタQ81のエミッタ、PNPトランジスタQ82のエミッタ、PNPトランジスタQ83のエミッタ、PNPトランジスタQ84のエミッタ、PNPトランジスタQ86のエミッタ、PNPトランジスタQ87のエミッタ及びPNPトランジスタQ85のエミッタに接続されている。
PNPトランジスタQ81のベースは、PNPトランジスタQ82のベース、PNPトランジスタQ83のベース、PNPトランジスタQ81のコレクタ及び定電流源I3の入力に接続されている。PNPトランジスタQ82のコレクタは、NPNトランジスタQ91のコレクタ、NPNトランジスタQ91のベース及びNPNトランジスタQ92のベースに接続されている。PNPトランジスタQ83のコレクタは、NPNトランジスタQ88のベース及びPNPトランジスタQ90のエミッタに接続されている。
PNPトランジスタQ84のベースは、PNPトランジスタQ85のベース、PNPトランジスタQ84のコレクタ及びNPNトランジスタQ88のコレクタに接続されている。PNPトランジスタQ86のベースは、PNPトランジスタQ87のベース、PNPトランジスタQ86のコレクタ及びNPNトランジスタQ89のコレクタに接続されている。
PNPトランジスタQ87のコレクタは、NPNトランジスタQ93のコレクタ、NPNトランジスタQ93のベース及びNPNトランジスタQ94のベースに接続されている。PNPトランジスタQ85のコレクタは、出力端子54、NPNトランジスタQ89のベース、NPNトランジスタQ94のコレクタ及びキャパシタC1の一端に接続されている。
NPNトランジスタQ88のエミッタ及びNPNトランジスタQ89のエミッタは、NPNトランジスタQ92のコレクタに接続されている。PNPトランジスタQ90のベースは、入力端子53に接続されている。
定電流源I3の出力、NPNトランジスタQ91のエミッタ、NPNトランジスタQ92のエミッタ、NPNトランジスタQ93のエミッタ、NPNトランジスタQ94のエミッタ、PNPトランジスタQ90のコレクタ、キャパシタC1の他端及びGND端子52は、電気的に接地されている。
積分器41では、NPNトランジスタQ88及びNPNトランジスタQ89で構成される差動器により、入力端子53に入力される入力信号と、出力端子54から出力される積分出力信号とが等しくなるように動作する。
ここで、キャパシタC1を充電するための充電電流は、NPNトランジスタQ92のコレクタ−エミッタ間に流れる基準電流の値に基づき、PNPトランジスタQ84及びPNPトランジスタQ85で構成されるカレントミラー回路のエミッタ面積の比により設定される。上記充電電流を小さくしたい場合には、PNPトランジスタQ85のエミッタ面積をPNPトランジスタQ84のエミッタ面積に対して小さくすれば良い。
逆にキャパシタC1を放電するための放電電流は、NPNトランジスタQ92のコレクタ−エミッタ間に流れる基準電流の値に基づき、PNPトランジスタQ86及びPNPトランジスタQ87で構成されるカレントミラー回路のエミッタ面積の比、並びにNPNトランジスタQ93及びNPNトランジスタQ94で構成されるカレントミラー回路のエミッタ面積の比により設定される。
図8は、図4におけるバイアス端子異常検出用コンパレータ42の回路である。バイアス端子異常検出用コンパレータ42は、図6のショート検出用コンパレータ38において、入力部の定電流源I2、及び抵抗R7を除いた構成である。
また、バイアス端子異常検出用コンパレータ42において、電源端子55は、図1の電源端子24と同様に外部電源23が接続されている。出力端子56は、図4のシャットダウン端子43に接続されている。GND端子57は、電気的に接地されている。
さらに、バイアス端子異常検出用コンパレータ42において、PNPトランジスタQ57のベースは、積分器41の出力端子54に接続されている。PNPトランジスタQ60のベースは、基準電源44の+端子に接続されており、基準電源44の−端子は、電気的に接地されている。
図8において、ヒステリシスは、NPNトランジスタQ61及びNPNトランジスタQ62のエミッタ面積の比、並びにNPNトランジスタQ63及びNPNトランジスタQ64のエミッタ面積の比により設定される。
ここで、バイアス端子27の異常検出時におけるバイアス電流検出電源回路36のシャットダウンと、バイアス端子27のショート検出時におけるバイアス電流検出電源回路36のシャットダウンとは、並列に使用される事が好ましい。
バイアス端子27の異常検出では、完全なショート以外の異常状態を検出するよう補完動作しているもので、ゲーム機などで不正行為に対応するものである。バイアス端子27の異常検出により、バイアス電流検出電源回路36がシャットダウン動作を行うと、バイアス電流I’が流れなくなるため、バイアス端子27の電位は低下し、略GND電位となる。このため、バイアス端子異常検出回路58が復帰するのと同様に、ショート検出回路59によるショート検出動作が起動する事となる。
よって、積分器41の放電電流値と、バイアス端子異常検出用コンパレータ42に設定されるヒステリシス幅とにより生成されるシャットダウン信号の復帰時間が、前記第1シャットダウン手段の起動時間より長くなるように設定、即ちバイアス端子異常検出回路58が復帰する前に、ショート検出回路59が動作するように積分器41の時定数を設定しておけば、ショート検出回路59による、バイアス電流検出電源回路36のシャットダウンモードになるため、バイアス端子27が正常に戻った場合は、自動で復帰する事ができる。よって、ショート含めたバイアス端子27の異常に対して、バイアス電流検出電源回路36のシャットダウンを確実に実施する事ができる。
上述したバイアス電流検出電源回路36を利用する事で、省線化パルス光変調型物体検出装置21を提供する事が可能となる。
バイアス電流検出電源回路36では、バイアス端子27の電圧と、基準電源39から出力される基準電圧Vref1との比較を行うショート検出用コンパレータ38及びNPNトランジスタQ11を有する第1シャットダウン手段を備え、ショート検出用コンパレータ38の出力は、NPNトランジスタQ11のベースに入力され、NPNトランジスタQ11のエミッタは電気的に接地され、NPNトランジスタQ11のコレクタは、NPNトランジスタQ3のベース端子に接続されてもよい。
これにより、バイアス端子27の電圧をモニタし、バイアス端子27のショート、即ち省線化パルス光変調型物体検出装置21の異常を検出し、省線化パルス光変調型物体検出装置21へのバイアス電流I’の供給を停止することが出来るので、素子の破壊を防止することが出来る。
以下に、図1の省線化パルス光変調型物体検出装置21の一例について、参考例1、参考例及び図9〜図14に基づいて説明する。参考例1及び参考例2に記載の、パルス変調型光検出装置1は、省線化パルス光変調型物体検出装置21として用いることが出来る。
〔参考例1〕
本発明に係るパルス変調型光検出装置の実施の一形態について図9ないし図12に基づき説明する。
図9に本参考例のパルス変調型光検出装置1のブロック図を示す。パルス変調型光検出装置1は、定電圧回路2、電源端子3、GND端子4、発振回路5、同期タイミング回路6、発光素子駆動回路7、発光素子8、受光素子9、アンプ10、信号処理回路11、負荷12、及び電源18から構成される。
パルス変調型光検出装置1では、定電圧回路2が、電源端子3とGND端子4との間に直列に接続された電源18及びRLの抵抗値を有する負荷12により、各回路及びアンプに定電圧を供給する。
パルス変調型光検出装置1は、所定波長であり、基本クロック(以下、CLKと略記する)信号S1を生成して出力する発振回路5と、基本CLK信号S1をパルス変調して同期タイミングパルス信号S2を生成する同期タイミング回路(パルス生成回路)6とが設けられている。同期タイミングパルス信号S2は、発光素子駆動回路7に入力される。
また、発光素子8は、発光素子駆動回路7により、同期タイミングパルス信号S2により同期タイミングパルス信号S2に同期した光を所定方向、即ち有無を検出すべき物体A或いは物体Bの通過位置に対し投光する。パルス変調型光検出装置1は、複写機及びプリンタ等のFA機器及びOA機器、あるいはアミューズメント機器におけるコイン及び玉等の有無を検出する機器等の電子機器に搭載される。
さらに、受光素子9は、有無を検出すべき物体Aの透過光、或いは物体Bによる反射光を受光して、対応する検出電気信号である受光パルス信号S3に変換して出力する。
物体A或いは物体Bの有無を検出時に受光素子9へ光がどのように入射されるかについて、以下に例を示す。
上述したように、発振回路5で基本CLK信号S1が作られ、同期タイミング回路6において基本CLK信号S1が、同期タイミングを有する同期タイミングパルス信号S2に変調される。発光素子8は、発光素子駆動回路7により、パルス変調されたパルス光L1或いはパルス光L2を物体A或いは物体Bの通過位置に向かって投射(投光)する。パルス光L1及びL2は、投射される方向のみが異なり、その他の性質は同一でもよい。
パルス変調型光検出装置1が、発光素子8及び受光素子9の間を+X方向に通過する物体Aの有無を検出する場合、パルス光L1は、発光素子8から+Y方向に投射され、受光素子9に入射している。物体Aが通過してパルス光L1を横切る時、パルス光L1は、物体Aを透過し、受光素子9に入射する。
パルス変調型光検出装置1が、発光素子8及び受光素子9から+X方向に距離a離れた点を+Y方向に通過する物体Bの有無を検出する場合、パルス光L2は、発光素子8から物体Bの通過位置Pに投射されるが、受光素子9には入射していない。物体Bが通過してパルス光L2を横切る時、パルス光L2は、物体Bにより反射され、反射されたパルス光L3は、受光素子9に入射する。
従って、周囲に外乱光等がなければ、受光素子9に入射するパルス光は、該パルス光を横切る物体A或いは物体Bの通過によりその有無が切り替わることになる。そしてこのように受光素子9へ入射されたパルス光を受光素子9により光電変換して受光パルス信号S3を得る。
アンプ10は、受光素子9から得た受光パルス信号S3を増幅し、波形整形してアンプ出力パルス信号S4として出力する。その上で、信号処理回路(受光側検出回路)11は、アンプ出力パルス信号S4及び同期タイミングパルス信号S2との比較から物体A或いは物体Bの有無の検出結果を示すデジタル信号である判定処理信号S5を発振回路5に出力する。
図10に信号処理回路11の1例を示す。信号処理回路11には、アンプ10のアンプ出力パルス信号S4の状態を検出する状態検出回路13、シフトレジスタ14、及び発振制御回路15が設けられている。
まず、パルス変調型光検出装置1が反射型である場合について説明する。状態検出回路13は、同期タイミングパルス信号S2とアンプ出力パルス信号S4との波形を比較する。同期タイミングパルス信号S2が入力されていない時にアンプ出力パルス信号S4が入力されていれば、受光素子9にノイズ光が入射していると判定し、シフトレジスタ14へ信号を送らないか或いはシフトレジスタ14をリセットする。
状態検出回路13は、アンプ出力パルス信号S4と同期タイミングパルス信号S2とが合致していれば、受光素子9に物体が有ることにより反射された反射光が入射したと判定し、シフトレジスタ14へ同期タイミングパルス信号S2に合致したアンプ出力パルス信号S4である比較信号S6を送る。
また、状態検出回路13は、シフトレジスタ14の最終段のDフリップフロップ2Jからの出力信号Q2Jを入力され、出力信号Q2Jに応じて、物体が有る時は検出状態を、物体が無い時は非検出状態を保持するように、シフトレジスタ14をセットまたはリセットし、あるいはDフリップフロップ2H、2I、及び2JのCLK入力への比較信号S6の供給を停止する。これにより、物体の大きさや物体の通過スピードが変更されても、検出状態あるいは非検出状態を保持出来る。
さらに、状態検出回路13は、出力信号Q2Jを入力されることにより、検出状態あるいは非検出状態を認識出来る。従って、状態検出回路13は、検出状態あるいは非検出状態において外乱光によるノイズが受光素子9及びアンプ10を介して入力された場合に、シフトレジスタ14の出力をどのようにするかを任意に設定できる。
例えば、出力信号Q2Jが入力され、状態検出回路13が検出状態であることを認識した状態で、外乱光によるノイズが入力された場合に、状態検出回路13がシフトレジスタ14をセットあるいはリセットすることにより、強制的に非検出状態に設定してもよい。
信号処理回路11は、同期タイミングパルス信号S2に合致したアンプ出力パルス信号S4がシフトレジスタ14にその段数分(図10では3段分)入力されると、物体が通過中であると判定して発振制御回路15を介して発振回路5から出力される基本CLK信号S1の周波数を物体が有る時の周波数に変更させる。
シフトレジスタ14は、同期タイミングパルス信号S2と合致したHiのアンプ出力パルス信号S4が、シフトレジスタ14に3周期連続で入力された場合に、物体が有ると判定として、Dフリップフロップ2Jの出力信号Q2Jをシフトレジスタ出力信号S7として発振制御回路15へ出力する。発振制御回路15は、シフトレジスタ出力信号S7に応じて基本CLK信号S1の周波数を物体が有る時或いは物体が無い時の周波数に変更させる信号、即ち判定処理信号S5を発振回路5へ出力する。
図11はパルス変調型光検出装置1が反射型である場合のタイミングチャートである。同期タイミングパルス信号S2に合致した、即ちHiであるアンプ出力パルス信号S4が、同期タイミングパルス信号S2の3周期分連続で入力されると、シフトレジスタ出力信号S7がLoからHiへ変化する。Loのアンプ出力パルス信号S4が、同期タイミングパルス信号S2の3周期分連続で入力されると、物体が無くなったと判定してシフトレジスタ出力信号S7がHiからLoへ変化する。
図12はパルス変調型光検出装置1が透過型である場合のタイミングチャートである。Loであるアンプ出力パルス信号S4が、同期タイミングパルス信号S2の3周期分連続で入力されると、物体が有ることによりパルス光が遮断されているとして、シフトレジスタ出力信号S7がHiからLoへ変化する。Hiのアンプ出力パルス信号S4が、同期タイミングパルス信号S2の3周期分連続で入力されると、物体が無くなったと判定してシフトレジスタ出力信号S7がLoからHiへ変化する。
パルス変調型光検出装置1では、シフトレジスタ14は、例えばDフリップフロップ2H、2I、及び2Jを有する3段のシフトレジスタである。Dフリップフロップ2H、2I、及び2Jは、JKフリップフロップを用いてもよい。Dフリップフロップ2H、2I、及び2Jは、それぞれセット入力S及びリセット入力Rを有しており、電源投入時にセットあるいはリセットされる。これにより、初期状態が非検出状態に設定される。
そしてパルス変調型光検出装置1を使用するときには、電源Vcc及びRLの抵抗値を有する負荷12は、電源端子3とGND端子4の間に直列に接続される。ここで一般的なパルス変調型光検出装置の消費電流は、発光素子に流れる電流を除くと数mA程度以下である。これに対して、発光素子に流れる電流Iは、検出物体までの距離にもよるが数十mA以上である。
従って、出力信号S8は、電源18の電圧Vccから負荷12による電圧降下した波形となる。同期タイミングパルス信号S2がHiの時、発光素子8に電流が流れ、負荷12による電圧降下が大きく、同期タイミングパルス信号S2がLoの時は発光素子8に電流が流れず、パルス変調型光検出装置の消費電流によってのみ電圧降下が発生するので、電圧降下が小さくなる。以上により出力信号S8は、同期タイミングパルス信号S2と同期し、発光素子8に電流が流れる時にLo、発光素子8に電流が流れない時にHiとなる。
なお、電源18の電圧Vcc及び負荷12の抵抗値RLは、発光素子8に電流が流れ、負荷12による電圧降下により出力信号S8がLoとなった場合でも、電源18から負荷12及び電源端子3を介して定電圧回路2に印加される電圧が、定電圧回路2を動作させるために必要な電圧を下回らないような電圧及び抵抗値に設定される。
そして、物体が有る時に、反射型のパルス変調型光検出装置1において同期タイミングパルス信号S2が入力された時にHiであり、透過型のパルス変調型光検出装置1において同期タイミングパルス信号S2が入力された時にLoであるアンプ出力パルス信号S4が、同期タイミングパルス信号S2の3周期分連続で入力されると、発振制御回路15を介して基本CLK信号S1の周波数が物体が有る時の周波数に変更されるので、同期タイミングパルス信号S2の周波数が変更される。これにより、出力信号S8のパルス周期またはパルス幅も同様に変化し、物体が有ることが出力信号S8のパルス周期またはパルス幅の変化により確認できる。
従って、直列に接続された上記パルス変調型光検出装置と電源18と負荷12の内、上記パルス変調型光検出装置と負荷12との接続点から負荷12の値を適切に選択することにより、発光素子8に流れるパルス電流の変化をパルス電位として取り出すことができる。また、物体が有る時/物体が無い時に合わせて同期パルス周期或いは同期パルス幅が変化すると、上記パルス変調型光検出装置1と負荷12との接続点から出力される出力信号S8により物体が有ること/物体が無いことを判定することができる。
以上のように、本参考例のパルス変調型光検出装置1は、物体が有る時に発振回路5が生成する基本CLK信号S1の周波数を変更し、出力信号S8の周波数を変化させることにより、物体が有ることを検出する。
ここで、光検出装置は外乱光の影響を受けないようにしなければならない。パルス変調型光検出装置として物体が有る時のパルス周期またはパルス幅を決めておけば、物体が無い時のパルス周期またはパルス幅は検出時のパルス周期またはパルス幅以外で変化させても良い。
なお、本参考例において、図11及び図12のタイミングチャートに示す論理動作を説明したが、例えばパルス変調型光検出装置1にインバータなどを用いることにより、HiとLoが反転して論理動作が逆になった場合でも、パルス変調型光検出装置1は物体の有無を検出することができる。
〔参考例2〕
本発明の他の参考例について図13に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本参考例において説明すること以外の構成は、前記参考例1と同じである。また、説明の便宜上、前記参考例1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本参考例では、図13に示すように、信号処理回路16及び発振制御回路17が参考例1と異なっている。発振制御回路17は、参考例1の発振制御回路15と異なり、2つの信号を入力可能な構成となっている。発振制御回路17へ入力される信号は、シフトレジスタ出力信号S7、及びシフトレジスタ14内においてDフリップフロップ2HとDフリップフロップ2Jとの中間に位置するDフリップフロップ2Iの出力信号、即ちシフトレジスタ出力信号S9である。
上記構成によれば、アンプ10から状態検出回路13へ入ったアンプ出力パルス信号S4が同期タイミング回路6で作られる同期タイミングパルス信号S2に合致すると判定されシフトレジスタ14に入力してきたとき、物体の通過中にシフトレジスタ出力信号S7はまだLoのままであるが、シフトレジスタ出力信号S9がHiである状態において、発振制御回路17は、参考例1において発振制御回路15にシフトレジスタ出力信号S7が入力された時の基本CLK信号S1の周波数とは別の周波数になるように発振回路5へデジタル信号S5を出力する。この時のデジタル信号S5は、シフトレジスタ出力信号S7もHiとなった時に出力される信号とは異なる信号である。
図14は図13の信号処理回路16を用いた場合のタイミングチャートである。シフトレジスタ出力信号S7がLoでシフトレジスタ出力信号S9がHiである場合(図14の期間T)に、発振回路5から出力される基本クロック信号S1の周波数は、シフトレジスタ出力信号S7がHiになった時と異なる周波数になっている。
以上のように、本参考例の信号処理回路16及び発振制御回路17を用いると、物体が無い状態で、図9のパルス変調型光検出装置1において受光素子9に外乱光が入射された時に、出力信号S8のパルス周期またはパルス幅が、物体が有る時のパルス周期またはパルス幅と同じにはならないので、物体が無いにもかかわらず物体が有ると誤判定することを防ぐことが出来る。
なお、本参考例において、図14のタイミングチャートに示す論理動作を説明したが、例えばパルス変調型光検出装置1にインバータなどを用いることにより、HiとLoが反転して論理動作が逆になった場合でも、パルス変調型光検出装置1は物体の有無を検出することができる。