JP3957970B2 - 制御用表示装置、および、そのプログラムが記録された記録媒体 - Google Patents

制御用表示装置、および、そのプログラムが記録された記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、制御プログラムまたは設定値に基づいてデバイスを制御するプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)などの制御装置に接続される制御用表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、図6に示すように、プログラマブル・ロジック・コントローラ(以下、PLCと略称する)503は、例えば、ベルトコンベアー式の自動組付機など、種々のターゲットシステム502のデバイス502aを制御する制御装置として、広く使用されている。また、上記PLC503には、シリアルケーブル504を介して、プログラマブル表示器505が接続されており、当該プログラマブル表示器505でのオペレータの指示や、デバイス502aからの入力などに基づき、予め定められる制御手順でデバイス502aを制御している。
【0003】
ここで、ターゲットシステム502に含まれるデバイス502aの種類や数、並びに、PLC503が各デバイス502aを制御する際の制御手順は、ターゲットシステム502毎に異なっており、しかも、制御手順は、ターゲットシステム502の製造品種を変更する場合や、デバイス502aを制御する際のパラメータを変更する場合、あるいは、制御手順に不具合が見つかった場合などの時点で、比較的頻繁に更新される。したがって、PLC503では、書き換え可能な制御プログラムメモリ503aに格納された制御プログラムに基づいて、デバイス502aを制御している。
【0004】
上記PLC503の制御プログラムは、例えば、制御用ホストコンピュータなどのプログラムエディタ装置(図示せず)で作成された後、PLC503にインストールされ、当該プログラムエディタ装置にて、制御プログラムの更新履歴や、制御プログラムをインストールしたPLC503などが管理されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、例えば、インターネットや公衆電話回線網などの広域通信網を介して接続されたプログラムエディタ装置から、PLC503の制御プログラムを更新可能な制御システムを構築しようとした場合のように、PLC503(または、そのユーザ)が、当該PLC503の制御プログラムを更新したプログラムエディタ装置(または、そのユーザ)全てに常時アクセスできるとは限らない制御システムにおいて、PLC503に異常が発生して制御プログラムをインストールし直す際、当該PLC503の制御プログラムを作成したプログラムエディタ装置を特定し、当該プログラムエディタ装置から制御プログラムをPLC503に伝送する手間がかかってしまう。したがって、動作停止が業績の悪化に直結するにも拘らず、制御システムが正常な動作を再開するまでに、時間がかかるという問題を生ずる。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、手間をかけることなく、現場の機器のみで制御プログラムまたは設定値を早期に復旧可能な制御用表示装置を実現することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る制御用表示装置は、上記課題を解決するために、予め格納される制御プログラムまたは設定値に基づいてデバイスの状態を制御する制御装置に接続可能な第1ポートと、当該制御装置用の制御プログラムまたは設定値を入力可能な第2ポートと、当該第2ポートから入力された制御プログラムまたは設定値を、上記第1ポートを介して上記制御装置へインストールする更新処理を行なう伝送手段とを有する制御用表示装置において、上記更新処理が1回以上行なわれた場合に、各更新処理の更新日時を含む履歴情報、並びに、各更新処理においてインストールされた制御プログラム自体または設定値自体を格納する記憶部を備えていることを特徴としている。
【0008】
上記構成において、制御プログラムまたは設定値は、例えば、ホストコンピュータなど、制御プログラムまたは設定値を作成する上位装置から、制御用表示装置を介して、制御装置にインストールされる。その際、HMI(Human Machine Interface ) として動作するため、制御装置が正常に動作している間は、当該制御装置に必ず接続され、しかも、制御プログラムまたは設定値の通信路にあたる制御用表示装置において、制御プログラムまたは設定値のインストールに関する履歴情報が記憶手段に格納される。
【0009】
したがって、履歴情報が各上位装置にて個別に管理される場合と異なり、制御プログラムまたは設定値が複数の上位装置にて生成(修正)された場合や、各上位装置が制御装置に常時接続されていない場合であっても、制御用表示装置の記憶手段を参照することで、制御装置に接続された可能性のある全ての上位装置にアクセスすることなく、当該制御装置へインストールされた制御プログラムまたは設定値に関する履歴情報を確実に取得できる。
【0010】
また、制御装置に履歴情報を格納する場合と異なり、誤った制御プログラムまたは設定値をインストールした場合や制御装置自体に不具合が発生した場合など、制御装置が自らに記憶した情報を正常に保持できない可能性がある場合であっても、制御用表示装置が正常に動作していれば、制御プログラムまたは設定値のインストールの履歴を参照できる。また、制御装置に格納する構成では、不具合が発生した箇所が履歴情報を格納する箇所とは異なっており、履歴情報が正しく記憶されていたとしても、例えば、不具合が発生した箇所を含むユニットを交換するなどして、制御装置を修理した後、履歴情報にアクセスする必要があるが、制御用表示装置に格納されていれば、制御装置を修理することなく、制御プログラムまたは設定値のインストール履歴を把握できる。
【0011】
これらの結果、制御装置の動作に異常が発生した場合、制御プログラムまたは設定値のインストール履歴を少ない手間で確実に把握できる。したがって、より早期に、異常の原因を特定し、対処法を検討でき、制御装置および制御用表示装置を含む制御システムにおいて、動作停止期間を短縮できる。
【0012】
ところで、記憶手段が制御用表示装置に設けられていれば、上記記憶手段への書き込みは、上記上位装置や制御装置など、制御用表示装置以外の装置が制御してもよいが、この場合、制御用表示装置以外の装置の動作を変更して、制御用表示装置の記憶手段へ履歴情報を書き込むように設定する必要がある。
【0013】
これに対して、請求項2の発明に係る制御用表示装置は、請求項1記載の発明の構成において、上記第1ポートを介する制御プログラムまたは設定値のインストールを検出した場合、上記履歴情報を上記記憶に格納する書き込み制御手段が設けられていることを特徴としている。
【0014】
上記構成によれば、制御用表示装置の書き込み制御手段は、制御プログラムまたは設定値のインストールを検出し、記憶手段に履歴情報を書き込むので、制御用表示装置の使用者がその都度履歴の保存を指示しなくても、履歴情報を格納できる。したがって、上位装置や制御装置を変更することなく、しかも、制御用表示装置の使用者に負担をかけずに、各インストールに関する履歴情報を記憶手段に格納できる。この結果、各インストールの履歴情報を制御用表示装置の記憶手段に格納可能な制御システムを容易に実現できる。
【0015】
また、請求項3の発明に係る制御用表示装置は、請求項1または2記載の発明の構成において、予め定める事象が発生した場合に、上記記憶から各制御プログラムまたは各設定値のいずれかを読み出し、上記制御装置にインストールする復帰手段を備えていることを特徴としている。
【0016】
上記構成では、例えば、制御用表示装置のユーザが指示した場合や、制御装置が正常に応答しない場合など、予め定める事象が発生すると、制御用表示装置の復帰手段は、例えば、最後にインストールした制御プログラムまたは設定値や、これまでにインストールした制御プログラムまたは設定値のうち、正常に動作した実績があるもの、あるいは、ユーザに選択された制御プログラムまたは設定値など、記憶手段に格納された各制御プログラムまたは各設定値のうちのいずれかを読み出して、上記制御装置にインストールする。これにより、制御プログラムまたは設定値を作成した上位装置が、現在、制御用表示装置に接続されていない場合であっても、何ら支障なく、正常な制御プログラムまたは設定値を制御装置にインストールして、制御装置を正常な状態に復帰させることができる。この結果、制御システムの動作停止期間を短縮できる。
【0017】
なお、制御システムの異常が、例えば、制御装置のハードウェアの破損に起因しており、異常の発生後、制御装置を交換した場合など、制御プログラムまたは設定値に不具合がない場合には、最後の制御プログラムまたは設定値をインストールすることが望ましく、制御プログラムまたは設定値が誤っている場合には、これまでにインストールした各制御プログラムまたは各設定値のうち、例えば、所定の期間中正常に動作していたものなど、正常動作が確認された制御プログラムまたは設定値をインストールすることが望ましい。したがって、制御用表示装置は、所定の期間、制御プログラムまたは設定値の更新がなく、制御装置の交換を検出した場合など、制御プログラムまたは設定値に不具合がないと判断される場合、最後の制御プログラムまたは設定値をインストールしてもよい。また、制御用表示装置は、所定の期間以内に制御プログラムまたは設定値が更新されていることを検出した場合など、制御プログラムまたは設定値に不具合があると判断される場合、記憶手段から、正常動作が確認された制御プログラムまたは設定値を読み出して、制御装置にインストールしてもよい。さらに、いずれとも判断できない場合や、制御用表示装置自体が判断するよりも慎重な判断が望まれる場合には、制御用表示装置は、記憶手段に格納されている制御プログラムまたは設定値をユーザに提示して、ユーザから指示された制御プログラムまたは設定値をインストールしてもよい。
【0018】
また、請求項4の発明に係る制御用表示装置は、請求項1、2または3記載の発明の構成において、さらに、タッチパネルと、上記制御装置が制御するデバイスの状態を表示する表示手段と、上記制御装置の動作に異常が検出された場合、又は上記制御用表示装置のオペレータが上記タッチパネルを操作することにより上記履歴情報の表示指示を行なった場合に、上記表示手段へ、上記履歴情報を表示させる表示指示手段を備えていることを特徴としている。
【0019】
上記構成において、例えば、ユーザからの指示を受け付けた場合や制御装置の異常を検出した場合など、予め定める事象が発生すると、制御用表示装置の表示指示手段は、自らの表示手段へ履歴情報を表示させる。ここで、表示手段は、制御用表示装置の本来の動作、すなわち、制御装置が制御するデバイスの状態を表示する動作に用いられる手段であって、制御用表示装置には、必ず設けられている。したがって、制御装置に異常が発生した場合、例えば、外部の表示装置など、他の装置を新たに接続することなく、履歴情報を表示できる。この結果、新たな装置を接続する場合よりも少ない手間で履歴情報を表示でき、異常の原因を特定し、対処法を検討できる。これにより、制御システムの動作停止期間を短縮できる。
【0020】
なお、制御用表示装置は、多くの場合、例えば、タッチパネルなど、ユーザが上記デバイスの状態制御を指示するための操作手段を備えているので、上記復帰手段がインストールする制御プログラムまたは設定値の指定や、履歴情報の表示指示が、ユーザからの入力に応じて実施される場合でも、新たな操作手段を設けることなく、ユーザからの入力を受け付けることができる。
【0021】
ところで、上記記憶手段は、上記履歴情報の格納領域として、例えば、ハードディスクや内蔵のFEPROM(Flash Erasable and Programmable ROM ) など、制御用表示装置に固定された記録媒体を備えていてもよいが、リムーバブルな記録媒体を備えている方が望ましい。具体的には、請求項5の発明に係る制御用表示装置は、請求項1、2、3または4記載の制御用表示装置において、上記記憶は、上記履歴情報の格納領域として、リムーバブルな記録媒体を備えていることを特徴としている。
【0022】
当該構成によれば、履歴情報がリムーバブルな記録媒体に格納されているので、制御用表示装置に接続された制御装置への制御プログラムまたは設定値のインストール履歴が格納された記録媒体を、当該制御用表示装置から取り外し、他の制御用表示装置に装着できる。
【0023】
この結果、例えば、ある制御装置に接続された制御用表示装置のハードウェアが損傷して、制御用表示装置を交換した場合であっても、記録媒体の差し替えだけで、履歴情報を引き継ぐことができる。また、接続される制御装置が互いに異なる場合であっても、デバイスの制御動作が同じ制御装置など、同じ制御プログラムまたは設定値のインストールが必要な制御装置に接続された制御用表示装置同士であれば、記録媒体を差し替え、当該記録媒体の履歴情報に基づいて、他方の制御プログラムまたは設定値を更新することで、それぞれに接続された制御装置の制御プログラムまたは設定値を容易に同じ状態に更新できる。特に、履歴情報に制御プログラム自体または設定値自体を示す情報が格納されていれば、当該制御プログラムまたは設定値をインストールするだけで、それぞれに接続された制御装置へ同一内容の制御プログラムまたは設定値をインストールできる。
【0024】
これらの結果、制御用表示装置を交換する際の手間や、複数の制御装置へ互いに同一の制御プログラムまたは設定値をインストールする際の手間を削減できる。したがって、制御プログラムまたは設定値の更新に要する時間、すなわち、動作停止時間の短い制御システムを実現できる。
【0025】
ところで、上記制御用表示装置は、ハードウェアのみで実現してもよいが、コンピュータがプログラムを実行することで実現してもよい。具体的には、請求項6の発明に係る記録媒体は、請求項1〜5のいずれか1項記載の制御用表示装置の上記各手段として上記コンピュータを動作させるためのプログラムが記録されている。
【0026】
当該プログラムが記録媒体から読み取られて実行されると、上記コンピュータは、請求項1〜5のいずれか1項記載の制御用表示装置として動作する。したがって、制御装置の動作に異常が発生した場合、制御プログラムまたは設定値のインストール履歴を少ない手間で確実に把握でき、より早期に、異常の原因を特定して対処法を検討できる。この結果、動作停止期間の短い制御システムを実現できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
〔第1の実施形態〕
本発明の一実施形態について図1ないし図4に基づいて説明すると以下の通りである。本実施形態に係る制御システム1は、図1に示すように、例えば、ベルトコンベアー式の自動組付機などのデバイス(制御対象)2a…を有するターゲットシステム2を制御するシステムであって、予め格納された制御プログラムに基づいて、上記各デバイス2aを制御するPLC(制御装置)3と、シリアルケーブル4を介してPLC3に接続されると共に、制御システム1のHMIとして、多くの場合、ターゲットシステム2の近傍にて、ターゲットシステム2のオペレータにより操作されるプログラマブル表示器(制御用表示装置)5と、例えば、イーサネット(登録商標)などからなり、各プログラマブル表示器5を接続するローカルエリアネットワーク(LAN)6と、当該LAN6に接続され、多くの場合、プログラマブル表示器5よりもターゲットシステム2から離れた場所にて、例えば、制御プログラムの作成(修正)処理などを行い、制御システム1全体を管理する制御用ホストコンピュータ7とを備えている。
【0028】
上記プログラマブル表示器5は、処理指示語(タグ)を組み合わせて決定される画面データに基づいて、デバイス2aの状態を画面表示する際の動作や、画面への操作に応じてデバイス2aの状態を制御する際の動作を特定するものであって、シリアルケーブル4に接続されるシリアル・インターフェース(第1ポート)21と、当該シリアルケーブル4を介してPLC3と通信するPLC側通信処理部22と、LAN6に接続されるLANインターフェース(第2ポート)23と、当該LAN6を介して制御用ホストコンピュータ7や他のプログラマブル表示器5と通信するネットワーク側通信処理部24とを備えている。なお、上記各両通信処理部22・24が特許請求の範囲に記載の伝送手段に対応する。
【0029】
さらに、プログラマブル表示器5には、上記画面データを格納する画面データメモリ25と、当該画面データに基づいて、自機器に接続されたPLC3を介して、あるいは、他のプログラマブル表示器5、および、それに接続されたPLC3を介して、表示画面に状態を表示する各デバイス2aの状態を取得し、各デバイス2aの状態を表示すると共に、図示しないタッチパネルなどの入力手段への操作に応じて、デバイス2aへデバイスの状態制御を指示するHMI処理部(表示手段)26とが設けられている。
【0030】
ここで、PLC3が通信する際の通信プロトコルは、PLC3がシーケンサから発達してきた経緯もあって、製造会社毎、あるいは、同一会社であっても製品毎など、PLC3の機種毎に異なっていることが多い。したがって、例えば、各PLC3と制御用ホストコンピュータ7とを相互に接続してネットワークを構築しようとすると、制御システム1内のPLC3の機種を揃える必要があり、大規模な制御システム1を構築することが難しい。
【0031】
これに対して、本実施形態に係る制御システム1において、上述の各部材3〜7からなるローカル制御システム11は、各PLC3にそれぞれ接続されるプログラマブル表示器5と制御用ホストコンピュータ7とをLAN6で接続すると共に、LAN6での通信プロトコルとして、PLC3に固有の通信プロトコル(専用プロトコル)とは独立して定めた共通のプロトコルを採用している。さらに、各プログラマブル表示器5には、プロトコル変換部27が設けられており、当該プロトコル変換部27は、例えば、命令コードの変換や引数の変換あるいは伝送時の制御コードの変換などのプロトコル変換を行って、制御用ホストコンピュータ7や他のプログラマブル表示器5と、自機器に接続されたPLC3との通信を中継する。
【0032】
当該構成では、プログラマブル表示器5や制御用ホストコンピュータ7など、LAN6上の機器は、他のプログラマブル表示器5に接続されているPLC3の機種に拘らず、LAN6を介して共通のプロトコルで通信できる。この結果、ローカル制御システム11内に、互いに異なる機種のPLC3を混在させやすくなる。
【0033】
また、上記構成では、PLC3が相互に接続される場合とは異なり、ローカル制御システム11に必須の構成であり、しかも、HMIととして動作するためPLC3に比べて演算能力に余力のあるプログラマブル表示器5が通信の大半を処理するので、例えば、画面データのダウンロードのように、制御用ホストコンピュータ7とプログラマブル表示器5とが通信する際の通信路から、PLC3を除外できる。したがって、PLC3の負担を軽減でき、ローカル制御システム11全体に必要な演算能力を削減できる。なお、プログラマブル表示器5は、ユーザの操作を待ち受けている間、演算能力に余力があるので、プロトコル変換のために演算能力を向上させることなく、プロトコル変換できる。
【0034】
また、本実施形態では、上記制御用ホストコンピュータ7がゲートウェイとしての機能も備えており、ローカル制御システム11外の端末装置12は、例えば、インターネットや公衆電話回線などの広域通信網13を介して、LAN6内の機器にアクセスできる。これにより、ローカル制御システム11から離れた端末装置12からでも、例えば、制御プログラムの作成や修正など、制御用ホストコンピュータ7と同様の処理を行うことができる。
【0035】
したがって、制御用ホストコンピュータ7や端末装置12のように制御プログラムを作成(修正)可能な装置(以下では、プログラムエディタ装置Eと称する)や人物を、ローカル制御システム11外に配することができ、ローカル制御システム11内に、制御プログラムを作成(修正)可能な人物を常時配する場合よりも人件費を削減できるにも拘らず、制御プログラムの更新時毎に、これらの人物をローカル制御システム11に派遣するよりも早く制御プログラムを更新できる。
【0036】
当該制御システム1では、例えば、制御プログラムやPLC3自体に不具合が発生した場合など、制御プログラムのインストールが必要になると、PLC3のオペレータ、すなわち、プログラマブル表示器5のオペレータは、プログラムエディタ装置Eの使用者に連絡を取り、プログラムエディタ装置Eから、PLC3に制御プログラムをインストールしてもらう。この場合、制御プログラムは、プログラムエディタ装置Eから、LAN6に伝送され、さらに、プログラマブル表示器5およびシリアルケーブル4を介して、PLC3へダウンロードされる。また、例えば、プログラムエディタ装置Eにて、PLC3の制御プログラムを参照する場合は、当該制御プログラムは、シリアルケーブル4、プログラマブル表示器5およびLAN6を介して、プログラムエディタ装置Eに伝送される。
【0037】
本実施形態に係るプログラマブル表示器5は、プログラムエディタ装置Eとしての端末装置12が広域通信網13を介して接続される場合のように、プログラムエディタ装置E(または、その使用者)の全てに、PLC3(または、プログラマブル表示器5のオペレータ)が常時アクセスできるとは限らないシステムで、特に好適な装置であって、LAN6とシリアルケーブル4との間に制御プログラムが伝送されているか否かを監視して、PLC3の制御プログラムメモリ3aへのアクセスを検出すると共に、アクセスに関する情報(履歴データ)を履歴データメモリ31に格納するアクセス管理部32を備えている。なお、履歴データメモリ31が特許請求の範囲に記載の記憶手段に対応し、アクセス管理部32が、書き込み制御手段、復帰手段および表示指示手段に対応する。
【0038】
ここで、上記アクセス管理部32が制御プログラムの伝送の有無を判別する方法は、例えば、PLC3に制御プログラムの読み書き用の命令が特別に用意されている場合は、PLC側通信処理部22による当該命令の送受を監視することで、制御プログラムの伝送を検出できる。また、PLC3にて、命令が特定されていなくても、制御プログラムの格納エリアが特定されている場合は、PLC側通信処理部22による当該エリアへのアクセスを監視することで、制御プログラムの伝送を検出できる。同様に、LAN6上での共通プロトコルに、制御プログラムの読み書き用の命令が特別に用意されている場合は、ネットワーク側通信処理部24による当該命令の送受を監視して検出してもよい。また、例えば、LAN6を伝送されるデータ列に、用途を示す識別子が付されており、ネットワーク側通信処理部24が、デバイス2aの状態に関するデータ伝送と、制御プログラムの伝送とを区別している場合には、ネットワーク側通信処理部24からの制御プログラム伝送通知に基づいて検出してもよい。いずれの場合であっても、アクセス管理部32は、両インターフェース21・23間を制御プログラムが伝送されているか否かに基づいて、PLC3の制御プログラムメモリ3aへのアクセスを検出できる。
【0039】
また、本実施形態に係るアクセス管理部32は、上記履歴データとして、制御プログラム自体、アクセス日時、制御プログラムを更新した人物、および、アクセス時に使用されたIDコードとを履歴データメモリ31に格納する。上記アクセス日時は、制御プログラムと共に伝送されていれば、プログラマブル表示器5は、伝送されるデータ列からアクセス日時を抽出してもよいし、プログラマブル表示器5に設けられたタイマ(図示せず)から現在の日時を読み出すなどして、プログラマブル表示器5が自発的に判定してもよい。
【0040】
また、更新者は、制御プログラムと共に、更新者が伝送されていれば、その更新者を抽出してもよいし、例えば、プログラムエディタ装置Eと通信して、プログラムエディタ装置Eのユーザに問い合わせるなどして、更新者を取得してもよい。
【0041】
さらに、IDコードは、例えば、ゲートウェイとして動作する制御用ホストコンピュータ7など、当該人物(または、その人物が使用したプログラムエディタ装置E)からのアクセスを認証した装置と通信して、認証時に使用したIDコードを取得してもよいし、例えば、プログラムエディタ装置E自体と通信して、プログラムエディタ装置Eを操作する際の認証に使用されたIDコードを取得してもよい。なお、プログラマブル表示器5が、アクセス時に認証するのであれば、認証時のIDコードを履歴データメモリ31に格納すればよい。
【0042】
ここで、履歴データのうち、制御プログラム自体のデータ量は、例えば、差分を取るなどして圧縮して格納したとしても、他のデータに比べて極めて大きい。したがって、上記アクセス管理部32は、制御プログラム自体を格納する際、例えば、2〜3個など、個数で制限したり、総量(サイズ)で制限するなどして、制限を越えた場合、例えば、最も古い制御プログラムなど、優先度の低い制御プログラムから順に消去していく方が望ましい。一方、他のデータは、例えば、1アクセスあたり、数十バイト程度で十分なので、無制限に記憶する。なお、仮に制限する場合でも、例えば、100個など、制御プログラム自体の個数制限よりも大きな値で制限する方が望ましい。これにより、履歴データメモリ31に必要な記憶容量を余り増大させることなく、履歴データとして蓄積されるアクセス日時や更新者あるいはIDコードなどの個数を増やすことができる。
【0043】
また、上記アクセス管理部32は、例えば、デバイス2aからの情報などによって、PLC3の動作に異常が検出された場合、あるいは、HMI処理部26が予め定められたオペレータからの操作を受け付けた場合など、予め定められた事象が発生した場合に、上記HMI処理部26へ指示して、例えば、リスト表示など、履歴データメモリ31に格納された履歴データの一覧を表示させることができる。
【0044】
さらに、アクセス管理部32は、HMI処理部26が履歴データの選択操作を受け付けた場合に、当該履歴データに含まれる制御プログラムを、PLC3の制御プログラムメモリ3aへインストールするように、PLC側通信処理部22へ指示できる。
【0045】
上記構成では、図2に示すステップ1(以下では、S1のように略称する)において、例えば、LAN6に接続された制御用ホストコンピュータ7や、ローカル制御システム11に広域通信網13を介して接続される端末装置12など、制御プログラムを作成(修正)可能なプログラムエディタ装置Eが制御プログラムを作成(修正)すると、S2において、当該プログラムエディタ装置Eは、制御プログラムをPLC3へ向けて送信する。
【0046】
ここで、本実施形態に係る制御システム1では、プログラムエディタ装置EからPLC3への通信路にプログラマブル表示器5が配されている。したがって、当該PLC3に接続されたプログラマブル表示器5によって、上記制御プログラムが受信される(S3)。例えば、プログラムエディタ装置Eが端末装置12の場合、制御プログラムは、広域通信網13、制御用ホストコンピュータ7およびLAN6を介してプログラマブル表示器5に到達する。また、プログラムエディタ装置Eが制御用ホストコンピュータ7の場合、制御プログラムは、LAN6を介してプログラマブル表示器5に到達する。
【0047】
さらに、プログラマブル表示器5において、PLC3の制御プログラムへのアクセスを監視するアクセス管理部32は、上記S3において、プログラマブル表示器5が制御プログラムを受け取ると、S4において、当該制御プログラムに関する履歴データを作成し、履歴データメモリ31に格納する。これにより、履歴データメモリ31には、履歴データとして、制御プログラム自体と、アクセス日時と、制御プログラムの更新者と、アクセス時のIDコードとを格納する。
【0048】
また、プログラマブル表示器5のPLC側通信処理部22は、S5において、シリアル・インターフェース21を制御して、PLC3に制御プログラムを送信する。一方、PLC3は、S6プログラマブル表示器5から受信した制御プログラムを制御プログラムメモリ3aに格納する。これにより、PLC3の制御プログラムは、更新され、PLC3は、新たな制御プログラムに基づいて、デバイス2aの制御を開始できる。なお、PLC3は、例えば、一度、PLC3によるデバイス2aの制御を中断して、制御プログラムを変更してもよい。また、PLC3は、所定の時間間隔(スキャンタイム)毎に制御プログラムの実行を繰り返しているので、制御プログラムの終了後、再び制御プログラムの実行が開始されるまでに更新してもよい。この場合は、制御システム1を停止させることなく、制御プログラムを更新できる。
【0049】
上述の各工程S1〜S6は、いずれのプログラムエディタ装置Eで制御プログラムを作成する場合でも同様に行われ、いずれのプログラムエディタ装置Eで作成された場合でも、あるPLC3の制御プログラムの履歴データは、当該PLC3に接続されたプログラマブル表示器5に蓄積される。
【0050】
なお、例えば、プログラムエディタ装置Eから要求されるなどして、PLC3の制御プログラムがプログラムエディタ装置Eにアップロードされる場合は、上記S1〜S6とは逆に、制御プログラムがPLC3からプログラマブル表示器5およびLAN6を介して、制御用ホストコンピュータ7や端末装置12などのプログラムエディタ装置Eにアップロードされる。この場合も、制御プログラムの伝送路となるプログラマブル表示器5は、制御プログラムのアップロードを検出し、当該アップロードに関する履歴データを履歴データメモリ31に格納する。
【0051】
上記構成では、HMIとして動作するためにPLC3がデバイス2aを制御している間中、PLC3に常時接続され、しかも、制御プログラムの伝送路に配されたプログラマブル表示器5が、制御プログラムの伝送を検出し、制御プログラムのアクセスに関する履歴データを履歴データメモリ31に格納する。したがって、プログラムエディタ装置Eやプログラマブル表示器5のユーザがアクセス毎に履歴の保存を特に指示せずに、履歴データを蓄積できる。この結果、ユーザの操作数を増加させず、すなわち、ユーザに意識させることなく、履歴データを保存できる。
【0052】
また、上記接続および配置のプログラマブル表示器5が履歴データを保存するので、あるPLC3の制御プログラムメモリ3aへアクセス可能なプログラムエディタ装置Eが複数ある場合であっても、全てのアクセスについて、当該PLC3の制御プログラムの履歴データが、当該PLC3に接続されたプログラマブル表示器5に蓄積される。
【0053】
ここで、PLC3自体が損傷した場合には、制御システム1を正常な状態に復帰させるためには、PLC3を交換した後、新しいPLC3に、古いPLC3の制御プログラムと同じ制御プログラムをインストールする必要がある。
【0054】
また、これまでの制御プログラムαの不具合を解消するために新たにインストールした制御プログラムβが致命的な誤りを持っていた場合、PLC3は、デバイス2aを正常に制御できなくなるので、早急に正しい制御プログラムγの作成(修正)が必要となるが、制御プログラムγの完成までには、ある程度の時間がかかる。一方、制御システムでは、一般に動作停止が業績の悪化に直結する。したがって、これまでの制御プログラムαの不具合が致命的でなければ、PLC3へ古い制御プログラムαを直ちにインストールし直し、制御プログラムγが完成するまでの間、PLC3は、古い制御プログラムαでデバイス2aを制御することが望まれる。
【0055】
この場合、本実施形態では、例えば、プログラマブル表示器5のオペレータがHMI処理部26を操作するなどして、PLC3の制御プログラムの復旧が必要であることを指示すると、図3に示すS11において、プログラマブル表示器5のアクセス管理部32は、HMI処理部26へ指示して、履歴データメモリ31に格納された履歴データの一覧をプログラマブル表示器5の画面に表示させる。
【0056】
例えば、図4に示すように、履歴データの一覧には、プログラマブル表示器5に接続されたPLC3について、制御プログラムメモリ3aへのアクセス毎に、更新日時、更新者およびアクセス時のIDコードが表示されている。また、履歴データ中に制御プログラム自体が含まれているか否か(履歴データメモリ31に制御プログラムが記憶されているか否か)も表示されている。なお、アクセスの解析時には、アップロードも表示することが望ましいが、PLC3を復旧する場合には、ダウンロードに関する履歴データのみを表示する方が望ましいので、図4では、アクセス日時が更新日時として表示されている。
【0057】
一方、S12において、例えば、上記オペレータがHMI処理部26を操作するなどして、履歴データが選択され、PLC3の制御プログラムの更新履歴のうち、どの段階に復旧させるかが指示されると、S13において、プログラマブル表示器5のアクセス管理部32は、選択された履歴データ中の制御プログラムを履歴データメモリ31から読み出すと共に、PLC側通信処理部22へ指示して、当該履歴データの作成時に制御プログラムが伝送された場合と同じように、制御プログラムをPLC3へ送信させる。一方、PLC3は、S14において、プログラマブル表示器5から制御プログラムを受け取ると、当該制御プログラムを制御プログラムメモリ3aに格納する。この結果、PLC3は、制御プログラムの更新履歴のうち、選択された段階の制御プログラムに基づいて、デバイス2aの制御を開始できる。
【0058】
ここで、上記S11ないしS14の処理は、図2に示すS1〜S6の処理とは異なり、現場施設、すなわち、PLC3およびプログラマブル表示器5で行われる。したがって、本実施形態に係る制御システム1のように、ローカル制御システム11内の制御用ホストコンピュータ7だけではなく、広域通信網13を介して接続される端末装置12もPLC3のプログラムエディタ装置Eとして動作可能で、PLC3の制御プログラムを更新したプログラムエディタ装置E全てにアクセスできるとは限らないシステムにおいて、制御プログラムの作成元であるプログラムエディタ装置EがPLC3と通信できない状態であっても、何ら支障なく、制御プログラムを復旧できる。この結果、PLC3に制御プログラムをダウンロードした可能性のあるプログラムエディタ装置Eの中から、復旧すべき制御プログラムの作成元を特定し、当該作成元へアクセスして、制御プログラムをダウンロードする場合と比較すると、制御システム1の動作停止時間を大幅に短縮でき、早期に正常な制御動作を再開できる。
【0059】
また、履歴データは、上述したように、PLC3がデバイス2aを制御する期間中、当該PLC3に必ず接続され、しかも、いずれのプログラムエディタ装置Eから制御プログラムをダウンロードする場合であっても伝送路となるプログラマブル表示器5に格納されている。したがって、プログラムエディタ装置Eが個々に管理する場合と異なり、プログラムエディタ装置Eの数、および、各プログラムエディタ装置Eへアクセスできるか否かに拘らず、PLC3の制御プログラムの更新履歴を管理できる。
【0060】
ここで、PLC3に履歴データメモリ31およびアクセス管理部32を設けた場合と比較すると、本実施形態において、両部材31・32が設けられたプログラマブル表示器5は、PLC3と常時接続されてはいるが別体の装置であり、プログラマブル表示器5の演算手段(CPUなど)は、PLC3とは別に設けられている。したがって、PLC3のハードウェアが損傷した場合、あるいは、誤った制御プログラムによって、PLC3の演算手段が暴走した場合であっても、プログラマブル表示器5は、正常に動作できる。この結果、両部材31・32をPLC3に設けた場合と異なり、PLC3に異常が発生した場合であっても、履歴データを正常に保持し続けることができ、何ら支障なく、PLC3の制御プログラムを復旧できる。
【0061】
さらに、プログラマブル表示器5は、HMIとして動作するために、履歴データの一覧を提示してオペレータに選択を促すことができる表示部や選択結果を受け付ける入力部(いずれも図示せず)を予め備えている。したがって、PLC3に上記両部材31・32を設ける場合と異なり、表示部や入力部を新たに設けることなく、履歴データを提示し、選択結果を受け付けることができる。
【0062】
なお、本実施形態では、履歴データメモリ31に履歴データとして保存するデータのうち、制御プログラム自体を蓄積する個数よりも、更新日時や更新者およびIDコードなど、他のデータを蓄積する個数の方が大きく設定されている。したがって、復旧したい制御プログラムが余りに古く、履歴データメモリ31に制御プログラム自体が記憶されていない場合であっても、プログラマブル表示器5のオペレータは、上記他のデータに基づいて、制御プログラムを作成した人物やプログラムエディタ装置Eへアクセスして、制御プログラムを再送してもらうように依頼できる。
【0063】
また、上記他のデータは、制御プログラム自体に比べて、数多く蓄積されているので、プログラマブル表示器5のオペレータは、これらのデータを参照して、制御プログラムのアクセス履歴を解析できる。したがって、例えば、あるIDコードで不正な制御プログラムのインストールが行われている場合など、不正アクセスされた場合、例えば、ローカル制御システム11の管理者へ通知して、当該IDコードを削除したり、プログラマブル表示器5自体が拒否したりして、当該IDコードからの制御プログラムのインストールを阻止できる。
【0064】
ところで、本実施形態では、上記履歴データメモリ31として、例えば、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア(商標)あるいはMemory Stick(商標)などの挿抜可能な(リムーバブルな)記録媒体が採用されており、他のプログラマブル表示器5が履歴データを格納した記録媒体を挿入することで、当該プログラマブル表示器5と履歴データを共有できる。
【0065】
これにより、例えば、あるPLC3に接続されたプログラマブル表示器5を交換する場合、新たなプログラマブル表示器5に古いプログラマブル表示器5の記録媒体を挿入することで、上記PLC3の履歴データを引き継ぐことができる。また、PLC3が異なる場合であっても、制御対象となるデバイス2aの制御手順が同じで、同じように制御プログラムを更新する必要があるPLC3に接続されたプログラマブル表示器5同士で、記録媒体を交換することができる。したがって、これらのプログラマブル表示器5間で、同じ履歴データを参照でき、これらのPLC3間で同じように制御プログラムを更新する際の手間を削減できる。
【0066】
ここで、図1に示す制御システム1のように、ローカル制御システム11から離れた端末装置12で制御プログラムを作成(修正)する場合に好適な構成について、簡単に説明する。すなわち、上記端末装置12は、広域通信網13を介してローカル制御システム11と通信する通信処理部41と、制御プログラム作成プログラム(プログラムエディタ)のインストールによって実現される機能ブロックとしてのプログラムエディタ部42と、上記プログラムエディタ部42がシリアルポートで出力可能な形式で制御プログラムを出力した場合、シリアルポートの代わりに受け取ると共に、制御プログラム自体と送信先のPLC3とを示す指示データを送信するように上記通信処理部41へ指示するシリアルポート・エミュレータ43とを備えている。
【0067】
一方、制御用ホストコンピュータ7は、上記指示データを受け取ると、送信先のPLC3を接続したプログラマブル表示器5に転送する。なお、その際、制御用ホストコンピュータ7は、上記データ列に識別子を付加するなどして、プログラマブル表示器5へ、上記形式の制御プログラムであることを通知してもよい。
【0068】
さらに、プログラマブル表示器5のネットワーク側通信処理部24は、上記識別子を参照するなどして、制御用ホストコンピュータ7から受け取ったデータ列が、上記形式の制御プログラムであると判断すると、PLC側通信処理部22へ指示して、シリアル・インターフェース21から当該データ列を出力させる。一方、PLC3は、当該データ列を受け取ると、当該データ列が示す制御プログラムを制御プログラムメモリ3aに格納し、当該制御プログラムに基づいてデバイス2aの制御を開始する。
【0069】
ここで、PLC3は、シーケンサから発達してきた経緯があるだけではなく、ハードウェア構成およびソフトウェア構成が、制御対象となる個々のデバイス2aの制御に特化されている。したがって、制御プログラムに互換性のないPLC3が数多く存在しており、それぞれの制御プログラムを作成(修正)するために、各機種用のプログラムエディタが作られている。
【0070】
一方、従来は、PLC3にシリアルケーブル4を介して、当該機種に対応したプログラムエディタがインストールされたコンピュータを接続し、制御プログラムをPLC3にダウンロードしていたので、上記各機種用のプログラムエディタの中には、シリアルポートにしか制御プログラムを出力できないものも残っている。
【0071】
ところが、図1に示す構成では、上記端末装置12のシリアルポート・エミュレータ43が、シリアルポートの代わりに、プログラムエディタ部42からのデータ列を受け取り、広域通信網13やLAN6を介して、プログラマブル表示器5に伝送すると共に、プログラマブル表示器5のPLC側通信処理部22が、端末装置12に設けられたシリアルポートの代わりに、制御プログラムを出力する。したがって、プログラムエディタ部42がシリアルポートにしか制御プログラムを出力できない場合であっても、端末装置12は、何ら支障なく、広域通信網13、制御用ホストコンピュータ7、LAN6およびプログラマブル表示器5を介して、PLC3に制御プログラムをインストールできる。
【0072】
〔第2の実施形態〕
ところで、第1の実施形態では、プログラムエディタ装置E(または、その使用者)の全てに、PLC3(または、プログラマブル表示器5のオペレータ)が常時アクセスできるとは限らず、しかも、制御プログラムがプログラマブル表示器5を介してインストールされるシステムの一例として、プログラムエディタ装置Eとして動作可能な各端末装置12が、広域通信網13を介して、ローカル制御システム11に接続される場合について説明した。
【0073】
一方、本実施形態に係る制御システム51は、図5に示すように、図1と同様のターゲットシステム2およびPLC3と、PLC3にシリアルケーブル4を介して接続されるプログラマブル表示器55とを備えている。上記プログラマブル表示器55は、2つのシリアル・インターフェース61・62と、上記PLC3が接続されるシリアル・インターフェース61を制御して、PLC3と通信するPLC側通信処理部63と、図1に示す画面データメモリ25およびHMI処理部26と同様の画面データメモリ64およびHMI処理部(表示手段)65とを備えている。
【0074】
また、当該プログラマブル表示器55には、ホスト側通信処理部66が設けられており、制御プログラムの更新時に、シリアルケーブル8を介して、プログラムエディタ装置Eが接続されると、上記シリアル・インターフェース62を制御して、プログラムエディタ装置Eと通信できる。さらに、本実施形態に係るプログラマブル表示器55には、図1に示すプログラマブル表示器55と同様に、履歴データメモリ31およびアクセス管理部32を備えている。なお、上記両シリアル・インターフェース61・62が特許請求の範囲に記載の第1および第2ポートにそれぞれ対応し、両通信処理部63・66が伝送手段に対応する。
【0075】
上記構成では、プログラムエディタ装置Eが接続されている場合、PLC側通信処理部63およびホスト側通信処理部66は、所定の時間間隔で切り換えたり、プログラムエディタ装置EやPLC3との通信の有無に応じて切り換えるなどして、プログラマブル表示器55自体(厳密にはHMI処理部56)およびプログラムエディタ装置Eのうち、PLC3の通信相手を切り換える。なお、例えば、画面データのダウンロードの場合には、ホスト側通信処理部66が画面データメモリ64に画像データを書き込む。
【0076】
ここで、制御プログラムの更新時には、プログラムエディタ装置EからPLC3へ制御プログラムを伝送した後、通常の制御動作時と同様に、プログラマブル表示器55とPLC3とを通信させ、例えば、プログラマブル表示器55の表示やPLC3が所定の応答を返すか否かなどによって、制御プログラムが正しく動作しているか否かを確認している。さらに、不具合があれば、プログラムエディタ装置Eにて、制御プログラムを修正し、再度、制御プログラムをPLC3にダウンロードする必要がある。したがって、制御プログラムのインストール時には、PLC3とプログラムエディタ装置Eとを接続し、確認時には、PLC3とプログラマブル表示器55とを接続するように、PLC3の結線を変更して、PLC3の通信相手を変更しようとすると、不具合の修正が繰り返される度に結線を変更する必要があるので、非常に手間がかかってしまう。
【0077】
ところが、本実施形態に係るプログラマブル表示器55は、2つのシリアル・インターフェース61・62を備え、PLC3の通信相手を切り換えることができる。したがって、不具合の修正が繰り返されても、結線を変更する必要がなく、制御プログラムを更新する際の手間を削減できる。
【0078】
なお、制御プログラムの更新が終了し、PLC3の正常動作が確認されると、プログラマブル表示器55からプログラムエディタ装置Eが切り離される。このように、本実施形態に係る制御システム51では、必要な場合にのみ、プログラマブル表示器55にプログラムエディタ装置Eが接続されるので、LAN6を構築することなく、複数のプログラマブル表示器55間で、プログラムエディタ装置Eを共用できる。また、不要時には、プログラムエディタ装置Eが切り離されるので、ターゲットシステム2近傍のように、装置の設置場所が限られている場合でも、何ら支障なく、PLC3の制御プログラムを更新できる。
【0079】
ここで、上記制御システム51であっても、図1に示す制御システム1と同様に、制御プログラムがプログラマブル表示器55を介してインストールされると共に、プログラムエディタ装置E(または、その使用者)の全てに、PLC3(または、プログラマブル表示器55のオペレータ)が常時アクセスできるとは限らない。したがって、図1と同様に、プログラマブル表示器55が履歴データメモリ31およびアクセス管理部32を備えることで、PLC3に不具合が発生した場合に、現場の機器(プログラマブル表示器55およびPLC3)だけで、制御プログラムを復旧でき、制御システム51の動作停止時間を短縮できる。
【0080】
なお、上記第1および第2の実施形態では、HMI処理部26への操作に応じて、履歴データの一覧が提示され、復旧すべき履歴データが選択される場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、PLC3との通信によって、プログラマブル表示器5(55)が、PLC3が正常に動作しているか否かを判断し、異常発生時に、プログラマブル表示器5(55)が自発的に履歴データの一覧を提示してもよい。
【0081】
また、例えば、制御プログラムを更新してから異常が発生するまでの期間が長く、しかも、PLC3が交換された場合は、制御プログラムの異常ではなく、PLC3自体の損傷が原因であり、最新の制御プログラムのインストールが必要と推定される。また、例えば、制御プログラムを更新してから異常が発生するまでの期間が短い場合には、制御プログラムの異常が原因であり、最新よりも1つ前の制御プログラムなど、ある程度の期間、正常に動作したことが確認された制御プログラムのインストールが必要と推定される。したがって、アクセス管理部32が、交換の有無や制御プログラムを更新してからの期間が所定の値を超えているか否かなどに基づいて、予め定められた手順で、PLC3へインストールする制御プログラムを選択してもよい。ただし、誤った制御プログラムのインストールは、事故や故障を招くので、本実施形態のように、オペレータがインストールの最終指示を行う方が望ましい。
【0082】
さらに、本実施形態では、PLC3が、外部からインストール可能な制御プログラムに基づいて、デバイスを制御する場合について説明したが、PLC3に予め格納されたプログラムが、外部からインストールされるパラメータなどの設定値に基づいて、デバイスを制御してもよい。この場合、アクセス管理部32は、制御プログラムのインストールを検出し、履歴データを格納する代わりに、設定値のインストールを検出し、設定値のインストールに関する履歴データを格納すればよい。また、PLC3が、制御プログラムおよび設定値の双方に基づいて、デバイスを制御する場合は、制御プログラムまたは設定値のいずれかのインストールを検出し、インストールの履歴データを格納すればよい。いずれの場合であっても、PLC3がデバイスを制御する際に参照する制御プログラムまたは設定値の少なくとも一方について、インストールの履歴データが格納されていれば、同様の効果が得られる。
【0083】
なお、上記各部材21〜27、31および32、41〜43並びに61〜66は、CPUなどの演算手段が、ROMやRAMなどの記憶手段に格納されたプログラムを実行し、タッチパネルや液晶表示装置などの入出力手段、あるいは、インターフェース回路などの通信回路を制御することによって実現される機能ブロックである。したがって、これらの手段を有するコンピュータが、上記プログラムを記録した記録媒体(例えば、CD−ROMなど)を読み取り、当該プログラムを実行するだけで、本実施形態に係るプログラマブル表示器5(55)や端末装置12を実現できる。なお、例えば、シリアルケーブル4・8やLAN6、広域通信網13、あるいは、他の通信路を介してプログラムをダウンロードするためのプログラムが、上記コンピュータに予めインストールされていれば、当該通信路を介して、上記コンピュータへ上記プログラムを配付することもできる。
【0084】
【発明の効果】
請求項1の発明に係る制御用表示装置は、以上のように、第2ポートから入力された制御プログラムまたは設定値を、上記第1ポートを介して上記制御装置へインストールする更新処理を行なう伝送手段と、上記更新処理が1回以上行なわれた場合に、各更新処理の更新日時を含む履歴情報、並びに、各更新処理においてインストールされた制御プログラム自体または設定値自体を格納する記憶部とを備えている構成である。また、請求項6の発明に係る記録媒体は、コンピュータを上記制御用表示装置として動作させるプログラムが記録された構成であり、当該プログラムを実行すると、コンピュータは、請求項1〜5のいずれか1項記載の制御用表示装置として動作する。
【0085】
上記構成では、制御装置に常時接続され、しかも、制御プログラムまたは設定値の通信路にあたる制御用表示装置が、制御プログラムまたは設定値のインストール履歴を蓄積する。したがって、制御プログラムまたは設定値が複数の上位装置にて生成(修正)された場合や、各上位装置が制御装置に常時接続されていない場合であっても、制御装置の動作に異常が発生したときに、制御プログラムまたは設定値のインストール履歴を少ない手間で確実に把握できる。この結果、より早期に、異常の原因を特定し、対処法を検討でき、制御装置および制御用表示装置を含む制御システムにおいて、動作停止期間を短縮できるという効果を奏する。
【0086】
請求項2の発明に係る制御用表示装置は、以上のように、請求項1記載の発明の構成において、上記第1ポートを介する制御プログラムまたは設定値のインストールを検出した場合、上記履歴情報を上記記憶に格納する書き込み制御手段が設けられている構成である。
【0087】
上記構成によれば、制御用表示装置の書き込み制御手段が制御プログラムまたは設定値のインストールを検出し、記憶手段に履歴情報を書き込む。したがって、上位装置や制御装置を変更することなく、しかも、制御用表示装置の使用者に負担をかけずに、各インストールに関する履歴情報を記憶手段に格納できる。この結果、各インストールの履歴情報を制御用表示装置の記憶手段に格納可能な制御システムを容易に実現できるという効果を奏する。
【0088】
請求項3の発明に係る制御用表示装置は、以上のように、請求項1または2記載の発明の構成において、予め定める事象が発生した場合に、上記記憶から各制御プログラムまたは各設定値のいずれかを読み出し、上記制御装置にインストールする復帰手段を備えている構成である。
【0089】
上記構成では、制御用表示装置の復帰手段が記憶手段に格納された各制御プログラムまたは各設定値のうちのいずれかを読み出して、上記制御装置にインストールする。これにより、制御プログラムまたは設定値を作成した上位装置が、現在、制御用表示装置に接続されていない場合であっても、何ら支障なく、正常な制御プログラムまたは設定値を制御装置にインストールして、制御装置を正常な状態に復帰させることができる。この結果、制御システムの動作停止期間を短縮できるという効果を奏する。
【0090】
請求項4の発明に係る制御用表示装置は、以上のように、請求項1、2または3記載の発明の構成において、さらに、タッチパネルと、上記制御装置が制御するデバイスの状態を表示する表示手段と、上記制御装置の動作に異常が検出された場合、又は上記制御用表示装置のオペレータが上記タッチパネルを操作することにより上記履歴情報の表示指示を行なった場合に、上記表示手段へ、上記履歴情報を表示させる表示指示手段を備えている構成である。
【0091】
上記構成において、制御用表示装置の表示指示手段は、本来の動作のために必ず設けられている表示手段へ履歴情報を表示させる。したがって、他の装置を新たに接続することなく、履歴情報を表示できる。この結果、新たな装置を接続する場合よりも少ない手間で履歴情報を表示でき、異常の原因を特定し、対処法を検討できる。これにより、制御システムの動作停止期間を短縮できるという効果を奏する。
【0092】
請求項5の発明に係る制御用表示装置は、以上のように、請求項1、2、3または4記載の制御用表示装置において、上記記憶は、上記履歴情報の格納領域として、リムーバブルな記録媒体を備えている構成である。
【0093】
当該構成では、記録媒体を挿抜できるので、制御用表示装置を交換する際の手間や、複数の制御装置へ互いに同一の制御プログラムまたは設定値をインストールする際の手間を削減できる。したがって、制御プログラムまたは設定値の更新に要する時間、すなわち、動作停止時間の短い制御システムを実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示すものであり、制御システムの要部構成を示すブロック図である。
【図2】 上記制御システムにおいて、制御プログラム更新時の動作を示すフローチャートである。
【図3】 上記制御システムにおいて、制御プログラム復旧時の動作を示すフローチャートである。
【図4】 上記制御システムのプログラマブル表示器において表示される履歴データの一例を示す説明図である。
【図5】 本発明の他の実施形態を示すものであり、制御システムの要部構成を示すブロック図である。
【図6】 従来技術を示すものであり、制御システムの要部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
3 プログラマブル・ロジック・コントローラ(制御装置)
5・55 プログラマブル表示器(制御用表示装置)
21・61 シリアル・インターフェース(第1ポート)
23 LANインターフェース(第2ポート)
22・63 PLC側通信処理部(伝送手段)
24 ネットワーク側通信処理部(伝送手段)
26・65 HMI処理部(表示手段)
31 履歴データメモリ(記憶手段)
32 アクセス管理部(書き込み制御手段;復帰手段;表示指示手段)
62 シリアル・インターフェース(第2ポート)
66 ホスト側通信処理部(伝送手段)

Claims (6)

  1. 予め格納される制御プログラムまたは設定値に基づいてデバイスの状態を制御する制御装置に接続可能な第1ポートと、当該制御装置用の制御プログラムまたは設定値を入力可能な第2ポートと、当該第2ポートから入力された制御プログラムまたは設定値を、上記第1ポートを介して上記制御装置へインストールする更新処理を行なう伝送手段とを有する制御用表示装置において、
    上記更新処理が1回以上行なわれた場合に、各更新処理の更新日時を含む履歴情報、並びに、各更新処理においてインストールされた制御プログラム自体または設定値自体を格納する記憶部を備えていることを特徴とする制御用表示装置。
  2. 上記第1ポートを介する制御プログラムまたは設定値のインストールを検出した場合、上記履歴情報を上記記憶部に格納する書き込み制御手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の制御用表示装置。
  3. 予め定める事象が発生した場合に、上記記憶部から各制御プログラムまたは各設定値のいずれかを読み出し、上記制御装置にインストールする復帰手段を備えていることを特徴とする請求項1または2記載の制御用表示装置。
  4. さらに、タッチパネルと、
    上記制御装置が制御するデバイスの状態を表示する表示手段と、
    上記制御装置の動作に異常が検出された場合、又は上記制御用表示装置のオペレータが上記タッチパネルを操作することにより上記履歴情報の表示指示を行なった場合に、上記表示手段へ、上記履歴情報を表示させる表示指示手段を備えていることを特徴とする請求項1、2または3記載の制御用表示装置。
  5. 上記記憶部は、上記履歴情報の格納領域として、リムーバブルな記録媒体を備えていることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の制御用表示装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の制御用表示装置の上記各手段としてコンピュータを動作させるプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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