JP3957592B2 - メタクリル系樹脂およびその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタクリル系樹脂およびメタクリル系樹脂から形成された透明部材、より詳しくは、メチルメタクリレート(MMA)と特定の化合物を共重合させてなるメタクリル系樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
メタクリル樹脂(PMMA)は、グレージング材・ランプ・メーターカバーなどの車輌分野、光学レンズ・光学フィルター・プリンターカバーなどの弱電分野、パチンコ/ゲーム周辺部品などの雑貨分野の成形材料として、店舗用看板・大型水槽などの看板・ディスプレイ分野、カーポート・バスタブなどの建材分野、液晶用導光板・自動販売機前面板などの弱電・工業部品分野、照明カバーなどの照明器具分野の板材料として広く用いられている。
これにあって、PMMAの耐熱性や剛性、および耐薬品性や吸水性などの物性に対する改善要求が強いが、吸水性に関しては吸水率が高いと成形品が寸法変化や屈折率変化、或いは耐熱性変化などを来たすのでその回避が吸水性改善要求の声は根強いものがある。
そこで、PMMAの吸水性および耐熱性を改善する樹脂としてメチルメタクリレートとスチレンモノマーをランダム共重合してなるMS樹脂が注目されるに至っているが、この樹脂は脆いという欠点に加え、射出成形や押出し成形などの成形材料としては用いられるが板材料としては用いられないなど、自ずと用途展開が限定されている。
【0003】
【発明の解決しようとする課題】
本発明は、低吸水性メタクリル系樹脂を提供することを目的とし、より好ましくは、耐熱性、剛性、および耐薬品性をも向上したメタクリル系樹脂を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のメタクリル系樹脂は、
[1]〈1〉メチルメタクリレート、
〈2〉メチルメタクリレート100重量部に対し、5〜50重量部の下記一般式(1)(化7)〜(5)(化11)で表される化合物群から選ばれた化合物、
〈3〉ラジカル開始剤、
〈4〉メチルメタクリレート100重量部に対し、5〜50重量部の下記一般式(6)(化12)で表される化合物、
を含有する組成物を重合してなり、かつ該ラジカル開始剤が、
(a)10時間半減期温度50〜75℃の有機過酸化物、
(b)10時間半減期温度95〜120℃の有機過酸化物
からそれぞれ少なくとも1種を併用することを特徴とするメタクリル系樹脂
【0005】
【化7】
【0006】
(式中、R1は水素原子またはメチル基を表す。またn=0〜3の整数を表す。)
【0007】
【化8】
【0008】
(式中、R2は水素原子またはメチル基を表す。またn=0〜3の整数を表す。)
【0009】
【化9】
【0010】
(式中、R3、R4はそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表す。)
【0011】
【化10】
【0012】
(式中、R5は水素原子、またはメチル基を表す。)
【0013】
【化11】
【0014】
(式中、R6は水素原子、またはメチル基を表す。)
【0015】
【化12】
【0016】
(式中、R7は水素原子、またはメチル基を表す)
[2]一般式(1)〜(5)で表される化合物群から選ばれた化合物が、
ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−(ジシクロペンテニルオキシ)エチルアクリレート、2−(ジシクロペンテニルオキシ)エチルメタクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートのいずれかである[1]記載のメタクリル系樹脂
[3]重合温度が40〜170℃である[1]または[2]記載のメタクリル系樹脂
[4][1]〜[3]のいずれかに記載のメタクリル系樹脂を成形してなる透明部材、自動車用透明部材、ディスプレイ用透明部材
からなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
メタクリル系樹脂
本発明のメタクリル系樹脂は、
〈1〉メチルメタクリレート、
〈2〉前記一般式(1)〜(5)で表される化合物群から選ばれた化合物、
〈3〉ラジカル開始剤、
〈4〉前記一般式(6)で表される化合物、
を含有する組成物を共重合してなる。
【0018】
前記一般式(1)〜(5)で表される化合物群から選ばれる化合物としては、具体例として以下の化合物が挙げられる。
一般式(1)の化合物としては、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、2−(ジシクロペンタニルオキシ)エチルアクリレート、2−(ジシクロペンタニルオキシ)エチルメタクリレート、2−(ジシクロペンタニルオキシ)エチル−2'−(アクリロイルオキシ)エチルエーテル、2−(ジシクロペンタニルオキシ)エチル−2'−(メタクリロイルオキシ)エチルエーテル、2−{2−(ジシクロペンタニルオキシ)エチルオキシ}−1−{2'−(アクリロイルオキシ)エチルオキシ}エタン、2−{2−(ジシクロペンタニルオキシ)エチルオキシ}−1−{2'−(メタクリロイルオキシ)エチルオキシ}エタン等が挙げられる。
【0019】
一般式(2)の化合物としては、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、2−(ジシクロペンテニルオキシ)エチルアクリレート、2−(ジシクロペンテニルオキシ)エチルメタクリレート、2−(ジシクロペンテニルオキシ)エチル−2'−(アクリロイルオキシ)エチルエーテル、2−(ジシクロペンテニルオキシ)エチル−2'−(メタクリロイルオキシ)エチルエーテル、2−{2−(ジシクロペンテニルオキシ)エチルオキシ}−1−{2'−(アクリロイルオキシ)エチルオキシ}エタン、2−{2−(ジシクロペンテニルオキシ)エチルオキシ}−1−{2'−(メタクリロイルオキシ)エチルオキシ}エタン等が挙げられる。
【0020】
一般式(3)の化合物としては、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジメタクリレート等が挙げられる。
【0021】
一般式(4)の化合物としては、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート等が挙げられる。
【0022】
一般式(5)の化合物としては、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等が挙げられる。
【0023】
また、一般式(1)〜(5)で表される化合物群から選ばれる化合物で特に好ましいのは、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−(ジシクロペンテニルオキシ)エチルアクリレート、2−(ジシクロペンテニルオキシ)エチルメタクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、およびシクロヘキシルメタクリレートである。
【0024】
なお、前記一般式(6)で表される化合物とは、具体的には、N−(3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル)−2−メタクリロイルオキシエチルカルバメート、N−(3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル)−1−メタクリロイルオキシプロパン−2−イルカルバメートである。
【0025】
これら一般式(1)〜(5)で表される化合物群から選ばれた化合物をラジカル開始剤の存在下でMMAと共重合することにより低吸水性のPMMAをなす。更に、一般式(1)〜(5)で表される化合物群から選ばれた化合物に一般式(6)で表される化合物を含有させた組成物をラジカル開始剤の存在下でMMAと共重合することにより、低吸水性は勿論のこと、耐熱性、剛性、および耐薬品性などの物性も向上したPMMAをなす。
【0026】
ここで、MMAとの使用割合は、低吸水性をはじめとする諸物性の向上を十分かつ効果的に発揮せしめるために、MMA100重量部に対し、一般式(1)〜(5)で表される化合物群から選ばれた化合物は5〜50重量部の範囲であることが好ましい。
尚、一般式(1)〜(5)で表される化合物群からは2種以上の化合物を選択して用いてもよいが、その場合の使用割合はMMA100重量部に対し、一般式(1)〜(5)で表される化合物の総量が5〜50重量部の範囲であることが好ましい。
【0027】
一方、一般式(6)で表される化合物を併用する場合のMMAとの使用割合は、MMA100重量部に対し、一般式(6)で表される化合物は5〜50重量部の範囲が好ましい。また、この場合には一般式(6)で表される化合物の重量部≧一般式(1)〜(5)で表される化合物群から選ばれた化合物の重量部であることがより好ましい。
【0028】
本発明ではラジカル開始剤としては特に制限されるものではないが、
(a)10時間半減期温度50〜75℃の有機過酸化物
(b)10時間半減期温度95〜120℃の有機過酸化物
から、それぞれ少なくとも1種を併用するとより好ましい。
【0029】
(a)10時間半減期温度50〜75℃の有機過酸化物(有機過酸化物(a))としては、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、サクシニックアシッドパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト、m−トルオイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどが挙げられる。
また、(b)10時間半減期温度が95〜120℃の有機過酸化物(以下、有機過酸化物(b))としては、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチル−ジパーオキシイソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイドなどが挙げられる。
【0030】
有機過酸化物(a)と、有機過酸化物(b)との使用割合は、有機過酸化物(a)≧有機過酸化物(b)であるとより好ましい。また、有機過酸化物(b)は、10時間半減期温度が95〜110℃であるのがさらにより好ましい。
【0031】
共重合に際し、ラジカル開始剤として、有機過酸化物(a)と有機過酸化物(b)とを併用すると、10時間半減期温度50〜75℃の有機過酸化物(a)がまず作用して重合が開始し初期重合が進み、そして、ある段階で、10時間半減期温度95〜120℃の有機過酸化物(b)が作用して更に重合が進むと共に架橋が進行すると考えられる。このため、ラジカル開始剤として、有機過酸化物(a)と有機過酸化物(b)とを併用することにより、共重合反応がマイルドに進行し、重合反応の暴走を回避しやすい。
ラジカル開始剤の使用量は、共重合に供される組成物に対して、ラジカル開始剤の総量が0.01〜5重量%の範囲となる量であることが好ましい。
【0032】
なお、本発明のメタクリル系樹脂を製造するに際しては、他の重合性モノマーを適宜加えてもよい。
【0033】
このようにして調製した組成物は脱気を施して共重合に備える。
共重合はどのような方法で行ってもよく、例えば注型重合では、次のように行うことができる。尚、注型重合するに当たっては、離型剤を用いても用いなくてもよい。
【0034】
注型重合は、所望の形状の樹脂成型体をなす鋳型の空間部に先に調製した組成物を注入し加熱重合を行い、その後脱型して成型体を得る重合法である。ここで、該鋳型には組成物を封じ込める、組成物の重合硬化収縮に鋳型を追随させるなどの目的のためにガスケットを配設する。
平板の樹脂成型体を得るには、ガラスやステンレスからなる鋳型を選択し、ガスケットとしては塩化ビニルやシリコン樹脂製のシートやチューブから選択して用いるのが一般的である。
本発明における共重合の加熱温度は組成物およびラジカル開始剤の種類や使用量にもよるが、通常は40〜170℃であるのが望ましい。より具体的には、加熱初期の温度が40℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上であって、加熱終期の温度が170℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下であるのが望ましく、それぞれの温度範囲において、一定温度に保つ時間および昇温速度を適宜選択し、段階的に昇温する温度条件とするのが望ましい。また、重合時間は、加熱温度にもよるが、通常は4〜7時間、好ましくは5〜7時間であるのが望ましい。
【0035】
本発明のメタクリル系樹脂において、吸水性の指標である吸水率は、例えば、ASTM D570法で厚さ2mmの樹脂板において、通常は0.49%以下であり、好ましくは0.44%以下、より好ましくは0.39%以下である。一方、耐熱性の指標であるTgは、通常は120℃以上であり、好ましくは125℃以上、より好ましくは130℃以上である。また、剛性の指標である曲げ弾性率は、通常は3.2GPa以上、好ましくは3.6GPa以上、より好ましくは4.0GPa以上である。
なお、本発明のメタクリル系樹脂は、アセトンやトルエンなどの有機溶剤、苛性ソーダや硫酸などの無機アルカリ/無機酸の水溶液に対し耐性も有している。
【0036】
本発明のメタクリル系樹脂は、低吸水性、耐熱性、剛性、および耐薬品性などへの要求が現行のPMMAを相当程度超える分野に好適に用いることができる。例えば、既存のグレージング材、各種のカバー、看板などに物性が向上した材として置き換えが可能である。また、透明部材、とりわけディスプレイ用透明部材、或いは自動車用透明部材などとして有用である。
ディスプレイ用透明部材としては、具体的には、リアプロジェクター用成形部品(拡散型リアプロジェクション・スクリーン、レンチキュラー・スクリーン、球面レンズ型/直交レンチキュラー型レンズアレイ・スクリーン、フレネルレンズ付拡散型/フレネルレンズ付レンチキュラー・スクリーン、リアプロジェクションTV用投写レンズ、リアプロジェクションTV用前面板など)、PDP前面板、液晶プラスチック基板、有機EL基板、タッチパネル基板などが挙げられる。一方、自動車用透明部材としては、具体的には、ヘッド/テールランプレンズ、ランプカバー、ルーフ窓、リヤクォーター窓、フロント/リヤパネル、バイザーなどが挙げられる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、以下の実施例および比較例において、重量部はgを表わす。
〈評価方法〉
樹脂の各物性の評価は、以下のようにして行った。
【0038】
・重合の容易性: 暴走反応(ワカメ現象:樹脂表面が樹皮状を呈し乱れる現象)の有無、程度を以下の基準により目視で判定した。
○起こらない
△部分的に起こる
× 全面に起こる
・吸水性 : ASTM D570法で厚さ2mmの樹脂板の吸水率を測定した。
・耐熱性 : (株)リガクのTMA分析装置(TAS300)でTgを測定した。
・剛性 : JIS K7171法で曲げ弾性率を測定した。
・耐薬品性 : JIS K7114法でアセトン、IPA(イソプロパノール)、トルエン、10%苛性ソーダ水溶液、10%硫酸水溶液、各々につい て試験を行い以下の基準により目視で判定した。
○何ら異常が認められない
△膨潤/クラックが発生する
× 溶解する
【0039】
(調製例1)
攪拌機、温度計、乾燥管および滴下ロートを備えた四つ口フラスコに3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート150.0g、ジブチルスズラウレート0.07gを仕込み、内温45〜50℃で2−ヒドロキシエチルメタクリレート97.0gを2時間かけて滴下した。その後、50℃で8時間熟成反応を行って化合物(6−1)を得た。
【0040】
(調製例2)
攪拌機、温度計、乾燥管および滴下ロートを備えた四つ口フラスコに3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート150.0g、ジブチルスズラウレート0.07gを仕込み、内温45〜50℃で2−メチル−1−メタクリロイルオキシエタノール107.5gを2時間かけて滴下した。その後、50℃で8時間熟成反応を行って化合物(6−2)を得た。
【0041】
【参考例1】
MMA100重量部とイソボルニルアクリレート(IBA)15重量部の混合液に、ベンゾイルパーオキサイド0.3重量部とt−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート0.3重量部を添加混合し、その後脱気して重合に備えた。
この組成物を一辺が200mmのガラス板に塩化ビニル製のガスケットを配した空間距離が2mmの注型重合用鋳型に注入し、60℃で2時間一定温度に保った後、70℃から130℃まで2時間かけて昇温、その後130℃で1時間一定温度に保って重合を行った。
重合中80℃付近で重合がやや暴走し、脱型して得られた樹脂板にはワカメ現象が僅かに認められた。
【0042】
【参考例2】
MMA100重量部とシクロヘキシルメタクリレート(CHMA)10重量部の混合液に、ベンゾイルパーオキサイド0.3重量部とt−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート0.3重量部を添加混合し、その後脱気して重合に備えた。
この組成物を参考例1に示したと同じ注型重合用鋳型に注入し、60℃で2時間一定温度に保った後、60℃から130℃まで3時間かけて昇温、その後130℃で1時間一定温度に保って重合を行った。
重合中75℃付近で重合がやや暴走し、得られた樹脂板にはワカメ現象が僅かに認められた。
【0043】
【実施例1】
MMA100重量部、調製例1に記載の化合物(6−1)25重量部、およびジシクロペンタニルメタクリレート(DCPtaMA)25重量部の混合液に、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2重量部とt−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート0.1重量部を添加混合し、その後脱気して重合に備えた。
この組成物を参考例1に示したと同じ注型重合用鋳型に注入し、70℃で2時間一定温度に保った後、70℃から130℃まで2時間かけて昇温、その後130℃で1時間一定温度に保って重合を行った。
重合中何ら異常は認められず、脱型して面状態が良好な透明樹脂板を得た。
【0044】
【実施例2】
MMA100重量部、調製例1に記載の化合物(6−1)40重量部、およびジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(DCPteOEMA)20重量部の混合液に、ベンゾイルパーオキサイド0.3重量部とt−ブチルパーオキシラウレート0.2重量部を添加混合し、その後脱気して重合に備えた。
この組成物を参考例1に示したと同じ注型重合用鋳型に注入し、60℃で2時間一定温度に保った後、60℃から110℃まで2時間かけて昇温、その後110℃で1時間、継いで130℃で1時間各々一定温度に保って重合を行った。
重合中何ら異常は認められず、脱型して面状態が良好な透明樹脂板を得た。
【0045】
【実施例3】
MMA100重量部、調製例1に記載の化合物(6−1)25重量部、およびジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート(DMTCDDA)20重量部の混合液に、ベンゾイルパーオキサイド0.3重量部とt−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート0.3重量部を添加混合し、その後脱気して重合に備えた。
この組成物を参考例1に示したと同じ注型重合用鋳型に注入し、60℃で2時間一定温度に保った後、60℃から130℃まで3時間かけて昇温、その後130℃で1時間一定温度に保って重合を行った。
重合中何ら異常は認められず、脱型して面状態が良好な透明樹脂板を得た。
【0046】
【実施例4】
MMA100重量部、調製例1に記載の化合物(6−1)30重量部、およびイソボルニルメタクリレート(IBMA)30重量部の混合液に、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2重量部とt−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート0.1重量部を添加混合し、その後脱気して重合に備えた。
この組成物を参考例1に示したと同じ注型重合用鋳型に注入し、70℃で2時間一定温度に保った後、70℃から130℃まで4時間かけて昇温、その後130℃で1時間一定温度に保って重合を行った。
重合中何ら異常は認められず、脱型して面状態が良好な透明樹脂板を得た。
【0047】
【実施例5】
MMA100重量部、調製例2に記載の化合物(6−2)20重量部、およびジシクロペンテニルアクリレート(DCPteA)15重量部の混合液に、ベンゾイルパーオキサイド0.3重量部とt−ブチルパーオキシラウレート0.2重量部を添加混合し、その後脱気して重合に備えた。
この組成物を参考例1に示したと同じ注型重合用鋳型に注入し、60℃で2時間一定温度に保った後、60℃から110℃まで2時間かけて昇温、その後110℃で1時間、継いで130℃で1時間各々一定温度に保って重合を行った。
重合中何ら異常は認められず、脱型して面状態が良好な透明樹脂板を得た。
【0048】
【参考例3】
MMA100重量部とジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(DCPteOEA)60重量部の混合液に、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2重量部とt−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート0.1重量部を添加混合し、その後脱気して重合に備えた。
この組成物を参考例1に示したと同じ注型重合用鋳型に注入し、70℃で2時間一定温度に保った後、70℃から130℃まで4時間かけて昇温、その後130℃で1時間一定温度に保って重合を行った。
重合中90℃付近で重合がやや暴走し、脱型して得られた樹脂板にはワカメ現象が僅かに見られた。
【0049】
【比較例1】
MMA100重量部に、ベンゾイルパーオキサイド0.3重量部とt−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート0.2重量部を添加混合し、その後脱気して重合に備えた。
この組成物を参考例1に示したと同じ注型重合用鋳型に注入し、60℃で2時間一定温度に保った後、60℃から130℃まで2時間かけて昇温、その後130℃で1時間一定温度に保って重合を行った。
重合中何ら異常は認められず、脱型して面状態が良好な透明樹脂板を得た。しかし、本樹脂の吸水率は0.5%以上であった。
【0050】
【比較例2】
MMA100重量部、およびエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)25重量部の混合液に、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2重量部とt−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート0.1重量部を添加混合し、その後脱気して重合に備えた。
この組成物を参考例1に示したと同じ注型重合用鋳型に注入し、60℃で2時間一定温度に保った後、60℃から130℃まで4時間かけて昇温、その後130℃で1時間一定温度に保って重合を行った。
重合中80℃付近で重合が暴走し、脱型して得られた樹脂板にはほぼ全面にワカメ現象が見られた。
上記実施例1〜5、参考例1〜3および比較例1〜2について、組成物および組成比を第1表(表1)に、また樹脂の物性評価を第2表(表2)に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、透明性、低吸水性、耐熱性、剛性、および耐薬品性などに優れたメタクリル系樹脂を、重合反応の暴走を伴うことなく生産性よく提供することができる。また、上記特性に優れた透明部材、ディスプレイ用透明部材、自動車用透明部材を提供することができる。
Claims (6)
- 〈1〉メチルメタクリレート、
〈2〉メチルメタクリレート100重量部に対し、5〜50重量部の下記一般式(1)〜(5)で表される化合物群から選ばれた化合物、
〈3〉ラジカル開始剤、
〈4〉メチルメタクリレート100重量部に対し、5〜50重量部の下記一般式(6)で表される化合物、
を含有する組成物を重合してなり、かつ該ラジカル開始剤が、
(a)10時間半減期温度50〜75℃の有機過酸化物、
(b)10時間半減期温度95〜120℃の有機過酸化物
からそれぞれ少なくとも1種を併用することを特徴とするメタクリル系樹脂。
- 一般式(1)〜(5)で表される化合物群から選ばれた化合物が、
ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−(ジシクロペンテニルオキシ)エチルアクリレート、2−(ジシクロペンテニルオキシ)エチルメタクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートのいずれかである請求項1記載のメタクリル系樹脂。 - 重合温度が40〜170℃である、請求項1または請求項2記載のメタクリル系樹脂。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のメタクリル系樹脂を成形してなる透明部材。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のメタクリル系樹脂を成形してなる自動車用透明部材。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のメタクリル系樹脂を成形してなるディスプレイ用透明部材。
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