JP3880460B2 - メタクリル系樹脂およびその用途 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタクリル系樹脂組成物およびメタクリル系樹脂組成物から形成された透明部材に関する。詳しくは、本発明は、メチルメタクリレート(MMA)、および特定の化合物を共重合させてなるメタクリル系樹脂組成物と、該メタクリル系樹脂組成物からなる透明部材、自動車用透明部材およびディスプレイ用透明部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
メタクリル樹脂(PMMA)は、透明性、軽量性、耐候性などに優れているため、車輌や建物のグレージング材、看板、計器類のカバー、フラットパネルディスプレイ(FPD)の前面板、液晶ディスプレイ(LCD)の導光板などとして利用されている。しかし、PMMAは耐熱性、耐衝撃性、剛性、および耐薬品性などが不十分な為、更なる用途展開を図る上でそれら物性の改良が望まれている。そこで、それら物性を改良することを主眼とした技術も多数開示されている。
【0003】
ここで、先にPMMAは透明性に優れるとは述べたが、このことは樹脂の色相、例えばイエローインデックス(YI)についても問題がないということを意味するものではない。
PMMAは、MMAを重合して成形体の原料であるペレットやビーズにしたり、または板状物にする際の重合工程における加熱により、或いは成形体を形成する為の二次加工における加熱により着色しYIが高くなるが、むしろ問題は製品となった成形体や板状物を高温下で長期に渡り使用することの段階でそのYIが経時変化することである。
そこで、一般的にPMMAを始めとする熱可塑性樹脂の場合、その重合工程や二次加工の際に、樹脂の着色を抑える目的で酸化防止剤を添加して実施している。また、ブルーイングにより樹脂本来の着色を隠す手法も実施されてはいるが、この手法では樹脂の加熱経時変化を抑えることはできない。
これにあって、酸化防止剤は一般的にフェノール系、リン系、或いはイオウ系の化合物から、着色防止の目的に適った剤を、および樹脂組成物との相溶性などを考慮して選択される。ここで問題は、酸化防止剤の影響で重合が阻害されたり、或いは逆に重合が暴走する恐れが生ずることである。また、重合が正常に行われ、重合してなった樹脂の着色が抑えられたとしても、他の物性が低下するなどの危惧が皆無ではないことである。
一方、樹脂が熱硬化性の場合には、樹脂の着色防止の問題は更に大きいと言える。何となれば、一次酸化を抑える機能を有する酸化防止剤の作用はラジカルを捕捉することであり、これは取りも直さず樹脂組成物のラジカル重合そのものを阻害することになる。また、酸化防止剤が長期に渡ってその酸化防止効果を発揮するのは、樹脂中の酸化防止剤が経時的にブリードして樹脂表面に表出するからであるが、三次元架橋している熱硬化性樹脂ではその酸化防止剤のブリードがほとんどなされない。従って、熱硬化性樹脂の着色防止を酸化防止剤の添加で実現しようとすることは極めて困難なことであり、十分な知識と検証を必要とする。
【0004】
【発明の解決しようとする課題】
本発明は、樹脂本来のYI、およびそのYIの加熱経時変化が抑えられたメタクリル系樹脂組成物を提供することを目的とし、更に本発明は、耐熱性、耐衝撃性、剛性、および耐薬品性をも向上したメタクリル系樹脂組成物を提供することを目的としている。また本発明は、重合時に重合反応の暴走を生じずに製造されるメタクリル系樹脂組成物を提供することを目的としている。更に本発明は、本発明のメタクリル系樹脂組成物からなる透明部材、ディスプレイ用透明部材および自動車用透明部材を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のメタクリル系樹脂組成物は、
〈1〉(1)メチルメタクリレート、
(2)ラジカル開始剤、
(3−1)下記一般式( I )(化6)または/および一般式( II )(化7)で表されるヒンダードフェノール系酸化防止剤、
【0006】
【化6】
Figure 0003880460
【0007】
(式中、n=1〜4の整数、m=0〜17の整数を表す。)
【0008】
【化7】
Figure 0003880460
【0009】
(式中、k=1〜4の整数を表す。)
(4)下記一般式( III )(化8)で表される化合物、
を含有する組成物を重合してなることを特徴とするメタクリル系樹脂組成物
【0010】
【化8】
Figure 0003880460
【0011】
(式中、Rは水素原子、またはメチル基を表す)
〈2〉さらに(3−2)ホスファイト系酸化防止剤を含有する組成物を重合してなることを特徴とする〈1〉記載のメタクリル系樹脂組成物
〈3〉一般式(I)、(II)で表されるヒンダードフェノール系酸化防止剤が、それれぞれ下記式(IV)(化9)、(V)(化10)である〈1〉〈2〉記載のメタクリル系樹脂組成物
【0012】
【化9】
Figure 0003880460
【0013】
【化10】
Figure 0003880460
【0014】
〈4〉(2)ラジカル開始剤が、
(a)10時間半減期温度50〜75℃の有機過酸化物と、
(b)10時間半減期温度95〜120℃の有機過酸化物と
から、それぞれ少なくとも1種を併用することを特徴とする〈1〉〈3〉記載のメタクリル系樹脂組成物
〈5〉重合温度が40〜170℃である〈1〉〈4〉記載のメタクリル系樹脂組成物
ならびに〈1〉〈5〉記載のメタクリル系樹脂組成物を成形してなる透明部材、自動車用透明部材、ディスプレイ用透明部材からなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0016】
メタクリル系樹脂組成物
本発明のメタクリル系樹脂組成物は、
(1)メチルメタクリレート、
(2)ラジカル開始剤、
(3)酸化防止剤、
さらに(4)前記一般式( III )(化3)で表される化合物
を含有する組成物を共重合してなる。
ここで、(3)酸化防止剤としては、前記一般式(I)および/または一般式(II)で表されるヒンダードフェノール系酸化防止剤であり、さらにホスファイト系酸化防止剤を含有していても良い。
【0017】
上記一般式(III)で表わされる化合物は、具体的には、N−(3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル)−2−メタクリロイルオキシエチルカルバメート、または、N−(3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル)−1−メタクリロイルオキシプロパン−2−イルカルバメートなどが挙げられる。
【0018】
これら化合物をMMAと共重合することにより、耐熱性、耐衝撃性、剛性、および耐薬品性が向上したPMMAをなすが、これら化合物とMMAとの使用割合は、MMA100重量部に対し5〜50重量部の範囲である。5重量部未満であると上記の物性の向上は望めない。また、50重量部を超えて使用してもその効果は変わらない。
【0019】
該化合物は、メチルメタクリレートとの重合を極めてマイルドに進行させながらも三次元架橋に至らせる特徴を有する。これは、分子中のイソプロペニル基の活性が比較的穏やかで反応速度が遅く、メタクリル基の反応を制御しつつ重合に絡む為、全体として重合硬化がランダム、かつマイルドに進行するものと考えられる。
【0020】
本発明で用いるヒンダードフェノール系酸化防止剤は、前記一般式(I)または/および(II)で表される化合物である。
中でも特に好ましいのは、前記一般式(I)においては、n=2、m=17の化合物、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートであり、前記一般式(II)おいては、k=2の化合物、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]プロピオネートである。
【0021】
これら化合物の使用割合は、組成物に対し0.03〜0.5重量%である。好ましくは0.05〜0.4重量%である。0.03重量%未満であると酸化防止の効果は望めず、0.5重量%を超えて用いてもその効果は変わらない。
【0022】
一方、二次酸化を抑える目的で添加してもよい、ホスファイト系酸化防止剤は特に限定されないが、比較的耐熱性が高いフェノール類由来の化合物が好ましい。より好ましいのはリン濃度が高く、かつ加水分解性も低い化合物である。
【0023】
具体的には、テトラフェニル−ジプロピレングリコール−ジホスファイト、テトラフェニル−テトラ(トリデシル)−ペンタエリスリトール−テトラホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4'−イソプロペリデン−ジフェニル−ジホスファイト、ビス(トリデシル)−ペンタエリスリトール−ジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)−ペンタエリスリトール−ジホスファイト、ジアリル−ペンタエリスリトール−ジホスファイト、2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−イソオクチル−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)−ペンタエリスリトール−ジホスファイトが挙げられる。
【0024】
特に好ましいのは、テトラフェニル−テトラ(トリデシル)−ペンタエリスリトール−テトラホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)−ペンタエリスリトール−ジホスファイトである。これら化合物の使用割合は、組成物に対し0.03〜0.5重量%である。好ましくは0.05〜0.4重量%である。
【0025】
ここで、本発明における酸化防止剤の使用割合が通常実施される酸化防止剤処方に比べてかなり少ないことに付いて述べる。
通常、酸化防止目的で添加される酸化防止剤の使用割合は数重量%のオーダーであるのに対し、本発明では0.01〜0.1重量%のオーダーである。
これは、本発明においては酸化防止剤が極めて少量であるが故にその目的が達成できることを意味している。事実、先に述べたように0.5重量%を超えて使用してもその効果は変わらず、むしろその量を超えて用いると重合阻害を起こすような結果も見られる。これは、酸化防止剤を通常実施される程度(数重量%)に使用すると、モノマーラジカルや重合途上の低分子ポリマーラジカルに過激に作用し、不安定なポリマーを形成させているものと考える。
【0026】
また本発明では、ラジカル開始剤として、(a)10時間半減期温度50〜75℃の有機過酸化物と、(b)10時間半減期温度95〜120℃の有機過酸化物とから、少なくとも1種を併用すると好ましい。
(a)10時間半減期温度50〜75℃の有機過酸化物としては、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、サクシニックアシッドパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト、m−トルオイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどが挙げられる。
また、(b)10時間半減期温度が95〜120℃の有機過酸化物としては、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチル−ジパーオキシイソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイドなどが挙げられる。
(a)10時間半減期温度50〜75℃の有機過酸化物(有機過酸化物(a))と、(b)10時間半減期温度95〜120℃の有機過酸化物(有機過酸化物(b))との使用割合は、有機過酸化物(a)≧有機過酸化物(b)であるのが好ましい。また、有機過酸化物(b)は、10時間半減期温度が95〜110℃であるのがより好ましい。
共重合に際し、ラジカル開始剤として、有機過酸化物(a)と有機過酸化物(b)とを併用すると、10時間半減期温度50〜75℃の有機過酸化物(a)がまず作用して重合が開始し初期重合が進み、そして、ある段階で、10時間半減期温度95〜120℃の有機過酸化物(b)が作用して更に重合が進むと共に架橋が進行すると考えられる。このため、ラジカル開始剤として、有機過酸化物(a)と有機過酸化物(b)とを併用することにより、共重合反応がマイルドに進行し、重合反応の暴走を回避しやすい。
【0027】
ラジカル開始剤の使用量は、共重合に供される組成物に対して、ラジカル開始剤の総量が0.01〜5重量%の範囲となる量であるのが望まれる。
本発明のメタクリル系樹脂組成物を製造するに際しては、他の重合性モノマーを適宜加えてもよい。
【0028】
このようにして調製した組成物は脱気処理を施して共重合に備える。
共重合は、どのような方法で行ってもよく、例えば注型重合では、次のように行うことができる。注型重合するに当たっては、離型剤を用いても用いなくてもよい。
注型重合は、所望の形状の樹脂成型体をなす鋳型の空間部に先に調製した組成物を注入し加熱重合を行い、その後脱型して成型体を得る重合法である。ここで、該鋳型には組成物を封じ込める、組成物の重合硬化収縮に鋳型を追随させるなどの目的のためにガスケットを配設する。
平板の樹脂成型体を得るには、無機ガラスやステンレスからなる鋳型を選択し、ガスケットとしては塩化ビニルやシリコン樹脂製のシートやチューブから選択して用いるのが一般的である。
本発明における共重合の加熱温度は組成物およびラジカル開始剤の種類や使用量にもよるが、通常は40〜170℃であるのが望ましい。より具体的には、加熱初期の温度が40℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上であって、加熱終期の温度が170℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下であるのが望ましく、それぞれの温度範囲において、一定温度に保つ時間および昇温速度を適宜選択し、段階的に昇温する温度条件とするのが望ましい。また、重合時間は、加熱温度にもよるが、通常は4〜7時間、好ましくは5〜7時間であるのが望ましい。
【0029】
本発明のメタクリル系樹脂組成物は、耐熱性、耐衝撃性、剛性、および耐薬品性が向上したPMMAであり、透明性、低着色性に優れ、かつ、加熱による経時変化が極めて小さいなどの特徴を有している。
【0030】
本PMMAのガラス転移温度(Tg)は通常は120℃以上であり、好ましくは125℃以上、より好ましくは130℃以上である。また、曲げ弾性率は通常は3.2GPa以上、好ましくは3.6GPa以上、より好ましくは4.0GPa以上である。更に後述する耐衝撃性試験(落球試験)での樹脂板が割れない高さは、通常は50cm以上、好ましくは60cm以上、より好ましくは65cm以上、特に好ましくは70cm以上である。
また、樹脂本来のYIはMMAの単独重合による樹脂よりは多少高いが、例えば厚さ1mmの樹脂板(以下同様)において、通常は4.00以下であり、好ましくは3.90以下、より好ましくは3.80以下である。また、加熱による経時変化は、例えば120℃の温度環境の元に1週間晒された後のYIの変化率は加熱前のそれに対し、通常は+5%以下であり、好ましくは+4%以下、より好ましくは+3%以下である。
【0031】
用途
本発明のメタクリル系樹脂組成物は、耐熱性、耐衝撃性などへの要求が現行のPMMAを相当程度超えるものであり、低着色性、および加熱による経時変化が極めて小さいことへの要求が強い分野に好適に用いることができる。例えば、既存のグリージング材、各種のカバー、看板などに物性が向上した材として置き換えが可能である。また、ディスプレイ用透明部材、自動車用透明部材として有用である。
ディスプレイ用透明部材としては、具体的には、リアプロジェクター用成形部品(拡散型リアプロジェクション・スクリーン、レンチキュラー・スクリーン、球面レンズ型/直交レンチキュラー型レンズアレイ・スクリーン、フレネルレンズ付拡散型/フレネルレンズ付レンチキュラー・スクリーン、リアプロジェクションTV用投写レンズ、リアプロジェクションTV用前面板など)、PDP前面板、液晶プラスチック基板、有機EL基板、タッチパネル基板などが挙げられる。一方、自動車用透明部材としては、具体的には、ヘッド/テールランプレンズ、ランプカバー、ルーフ窓、リヤクォーター窓、フロント/リヤパネル、バイザーなどが挙げられる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、以下の実施例および比較例において、重量部はgを表わす。
【0033】
Figure 0003880460
【0034】
(調製例1)
攪拌機、温度計、乾燥管および滴下ロートを備えた四つ口フラスコに3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート201.3g、ジブチルスズラウレート0.10gを仕込み、内温45〜50℃で2−ヒドロキシエチルメタクリレート130.2gを2時間かけて滴下した。その後、50℃で8時間熟成反応を行って化合物(1)を得た。
【0035】
(調製例2)
攪拌機、温度計、乾燥管および滴下ロートを備えた四つ口フラスコに3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート201.3g、ジブチルスズラウレート0.10gを仕込み、内温45〜50℃で2−メチル−1−メタクリロイルオキシエタノール144.3gを2時間かけて滴下した。その後、50℃で8時間熟成反応を行って化合物(2)を得た。
【0036】
(参考例)
MMA100重量部にオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート[OHP]0.10重量部を添加し室温下で溶解させた。次に、ベンゾイルパーオキサイド0.3重量部とt−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート0.2重量部を添加しやはり室温下で溶解させ、その後脱気して重合に備えた。そして、この組成物を塩化ビニル製のガスケットを有する空間距離が1mmの注型重合用鋳型に注入し、60℃で2時間一定温度に保った後、60℃から130℃まで2時間かけて昇温、その後130℃で1時間一定温度に保って重合を行ったが、重合中は何ら異常は認められなかった。
脱型して得られた樹脂板のYIは3.80であり、表面状態も良好であった。
その後、上述した加熱試験法に従って加熱試験を実施した。その結果、加熱7日後のYIの経時変化率は+4.2%であり、着色はほとんど進んでいなかった。
【0037】
【実施例
MMA100重量部と調製例1で示したと同じ処方で合成した化合物(1)25重量部の混合物に、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.13重量部を添加し室温下で溶解させた。次に、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2重量部とt−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート0.1重量部を添加しやはり室温下で溶解させ、その後脱気して重合に備えた。そして、この組成物を参考例に示したと同じ型重合用鋳型に注入し、70℃で2時間一定温度に保った後、70℃から130℃まで2時間かけて昇温、その後130℃で1時間一定温度に保って重合を行ったが、重合中は何ら異常は認められなかった。
脱型して得られた樹脂板のYIは3.90であり、表面状態も良好であった。
その後、上述した加熱試験法に従って加熱試験を実施した。その結果、加熱7日後のYIの経時変化率は+4.0%であり、着色はほとんど進んでいなかった。
【0038】
【実施例
MMA100重量部と調製例1で示したと同じ処方で合成した化合物(1)40重量部の混合物に、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.14重量部とテトラフェニル−テトラ(トリデシル)−ペンタエリスリトール−テトラホスファイト[FPP]を0.14重量部添加し室温下で溶解させた。次に、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2重量部とt−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート0.1重量部を添加しやはり室温下で溶解させ、その後脱気して重合に備えた。そして、この組成物を参考例に示したと同じ型重合用鋳型に注入し、70℃で2時間一定温度に保った後、70℃から130℃まで3時間かけて昇温、その後130℃で1時間一定温度に保って重合を行ったが、重合中は何ら異常は認められなかった。脱型して得られた樹脂板のYIは4.00であり、表面状態も良好であった。
その後、上述した加熱試験法に従って加熱試験を実施した。その結果、加熱7日後のYIの経時変化率は+3.9%であり、着色はほとんど進んでいなかった。
【0039】
【実施例
MMA100重量部と調製例2で示したと同じ処方で合成した化合物(2)25重量部の混合物に、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.13重量部を添加し室温下で溶解させた。次に、ベンゾイルパーオキサイド0.3重量部とt−ブチルパーオキシラウレート0.2重量部を添加しやはり室温下で溶解させ、その後脱気して重合に備えた。そして、この組成物を参考例に示したと同じ型重合用鋳型に注入し、60℃で2時間一定温度に保った後、60℃から110℃まで2時間かけて昇温、その後110℃で1時間、継いで130℃で1時間各々一定温度に保って重合を行ったが、重合中は何ら異常は認められなかった。脱型して得られた樹脂板のYIは3.95であり、表面状態も良好であった。
その後、上述した加熱試験法に従って加熱試験を実施した。その結果、加熱7日後のYIの経時変化率は+4.1%であり、着色はほとんど進んでいなかった。
【0040】
【実施例
MMA100重量部と調製例1で示したと同じ処方で合成した化合物(1)25重量部の混合物に、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]プロピオネート[PHP]0.13重量部を添加し室温下で溶解させた。次に、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2重量部とt−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート0.1重量部を添加しやはり室温下で溶解させ、その後脱気して重合に備えた。そして、この組成物を参考例に示したと同じ型重合用鋳型に注入し、70℃で2時間一定温度に保った後、70℃から130℃まで2時間かけて昇温、その後130℃で1時間一定温度に保って重合を行ったが、重合中は何ら異常は認められなかった。脱型して得られた樹脂板のYIは3.92であり、表面状態も良好であった。
その後、上述した加熱試験法に従って加熱試験を実施した。その結果、加熱7日後のYIの経時変化率は+4.3%であり、着色はほとんど進んでいなかった。
【0041】
【実施例
MMA100重量部と調製例1で示したと同じ処方で合成した化合物(1)40重量部の混合物に、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]プロピオネートを0.14重量部とテトラフェニル−テトラ(トリデシル)−ペンタエリスリトール−テトラホスファイトを0.14重量部を添加し室温下で溶解させた。次に、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2重量部とt−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート0.1重量部を添加しやはり室温下で溶解させ、その後脱気して重合に備えた。そして、この組成物を参考例に示したと同じ型重合用鋳型に注入し、70℃で2時間一定温度に保った後、70℃から130℃まで3時間かけて昇温、その後130℃で1時間一定温度に保って重合を行ったが、重合中は何ら異常は認められなかった。脱型して得られた樹脂板のYIは3.90であり、表面状態も良好であった。
その後、上述した加熱試験法に従って加熱試験を実施した。その結果、加熱7日後のYIの経時変化率は+4.1%であり、着色はほとんど進んでいなかった。
【0042】
【比較例1】
オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを添加しないで実施例1と同じ処方で重合を行ったが、重合中は何ら異常は認められなかった。脱型して得られた樹脂板のYIは3.95であり、実施例1における樹脂板のYIより高かった。
その後、上述した加熱試験法に従って加熱試験を実施した。その結果、加熱7日後のYIの経時変化率は+5.5%であった。
【0043】
【比較例2】
オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを添加しないで実施例2と同じ処方で重合を行ったが、重合中は何ら異常は認められなかった。脱型して得られた樹脂板のYIは4.25であり、実施例2における樹脂板のYIより高かった。
その後、上述した加熱試験法に従って加熱試験を実施した。その結果、加熱7日後のYIの経時変化率は+6.2%であった。
【0044】
【比較例3】
オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、およびテトラフェニル−テトラ(トリデシル)−ペンタエリスリトール−テトラホスファイトを添加しないで実施例3と同じ処方で重合を行ったが、重合中は何ら異常は認められなかった。脱型して得られた樹脂板のYIは4.35であり、実施例1における樹脂板のYIより高かった。
その後、上述した加熱試験法に従って加熱試験を実施した。その結果、加熱7日後のYIの経時変化率は+5.4%であった。
【0045】
上記実施例1〜5、参考例および比較例1〜3について、組成物およびその組成比を表−1(表1)に、また樹脂の物性評価を表−2(表2)に示す。
【0046】
【表1】
Figure 0003880460
【0047】
【表2】
Figure 0003880460
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、透明性、加熱経時変化を含む低着色性、耐熱性、耐衝撃性、剛性、および耐薬品性などに優れたメタクリル系樹脂組成物を、重合反応の暴走を伴うことなく生産性よく提供することができる。
また、本発明によれば、本発明のメタクリル系樹脂組成物から形成され、上記特性に優れた透明部材、ディスプレイ用透明部材、自動車用透明部材を提供することができる。

Claims (8)

  1. (1)メチルメタクリレート、
    (2)ラジカル開始剤、
    (3−1)下記一般式(I)または/および一般式(II)で表されるヒンダードフェノール系酸化防止剤、
    (4)下記一般式(III)で表される化合物、
    を含有する組成物を重合してなることを特徴とするメタクリル系樹脂組成物
    Figure 0003880460
    (式中、n=1〜4の整数、m=0〜17の整数を表す。)
    Figure 0003880460
    (式中、k=1〜4の整数を表す。)
    Figure 0003880460
    (式中、Rは水素原子、またはメチル基を表す。)
  2. さらに(3−2)ホスファイト系酸化防止剤を含有する組成物を重合してなることを特徴とする請求項1記載のメタクリル系樹脂組成物
  3. 一般式(I)、(II)で表されるヒンダードフェノール系酸化防止剤が、それぞれ下記式(IV)、(V)である請求項1〜2記載のメタクリル系樹脂組成物
    Figure 0003880460
    Figure 0003880460
  4. (2)ラジカル開始剤が、
    (a)10時間半減期温度50〜75℃の有機過酸化物と、
    (b)10時間半減期温度95〜120℃の有機過酸化物と
    から、それぞれから少なくとも1種を併用することを特徴とする請求項1〜3記載のメタクリル系樹脂組成物
  5. 重合温度が40〜170℃であることを特徴とする請求項1〜4記載のメタクリル系樹脂組成物
  6. 請求項1〜5記載のメタクリル系樹脂組成物を成形してなる透明部材。
  7. 請求項1〜5記載のメタクリル系樹脂組成物を成形してなる自動車用透明部材。
  8. 請求項1〜5記載のメタクリル系樹脂組成物を成形してなるディスプレイ用透明部材。
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