JP3957532B2 - 画像記録方法および画像記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、二次元空間光変調素子と光源との組み合わせなどの二次元配列光源を用いた画像記録の技術分野に属し、詳しくは、二次元配列光源を用いた画像記録において、シェーディングを好適に補正することができ、例えば、印刷分野等に用いることにより、網点面積率が正確な印刷版を作成することができる画像記録方法および画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種のプリンタ等で利用されているデジタルの画像露光においては、レーザビームを主走査方向に偏向すると共に、記録媒体と光学系とを主走査方向と直交する副走査方向に相対的に移動することにより、記録画像に応じて変調したレーザビームで記録媒体を二次元的に露光する、いわゆるレーザビーム走査露光(ラスタスキャン)が主流である。
【0003】
これに対し、近年、ディスプレイやモニタ等における表示手段として利用されている液晶ディスプレイ(以下、LCDとする)やデジタルマイクロミラーアレイ(以下、DMAとする)等の二次元的な画素配列を持つ空間光変調素子を用いるデジタルの画像記録装置が各種提案されている。
この画像記録装置においては、基本的に、空間光変調素子で形成した画像を、記録媒体に投影/結像することにより、記録媒体を露光し、画像を記録する。
【0004】
図16に、DMAを用いる画像記録の一例として、米国特許第5049901号明細書や欧州特許第0992350A1号公報等に開示される画像記録の概略を示す。
DMA100は、個々に揺動して変調(on/off)可能なマイクロミラー102(以下、ミラー102とする)を二次元的に配列して構成される、二次元空間光変調素子であり、図示しない光源から出射され、on(画像記録状態)のミラー102で反射された光を結像光学系104によって記録媒体Ptに結像することで、画像記録を行う。
【0005】
図16に示される例において、記録媒体Ptは、DMA100の1つの画素配列方向(図中ミラー102a〜102cの配列方向)と一致する走査方向(図中矢印方向)に搬送されている。
図16(A)においては、DMA100のミラー102aがonで、他のミラー102はoffとなっており、ミラー102aで反射された光のみが記録媒体Ptに結像し、この位置(黒塗りの位置)に画像が記録される。
【0006】
記録媒体Ptが搬送され、ミラー102aによって画像が記録された位置が移動すると、これに応じて、図16(B)に示されるように、ミラー102aがoffになりミラ−102bのみがonになって、記録媒体Pt上の同位置に画像が記録され、さらに記録媒体Ptが搬送されると、ミラー102bがoffになりミラ−102cのみがonになって同位置に画像が記録される。
すなわち、この画像記録方法においては、記録媒体Ptの搬送に応じてDMA100による画像表示を切り換えて、DMA100における表示画像を走査方向に移動(シフト)することにより、搬送される記録媒体Pt上に画像を追随/静止させて、複数のミラー102による多重露光によって、2次元的な画像記録を行う。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような光源と二次元空間光変調素子とからなる光学系や、2次元的に配列された光源など、二次元配列光源で画像を形成して、この画像を記録媒体に投影/結像して画像を記録する画像記録装置では、種々の要因によって、結像面において、各画素の結像位置の誤差、各画素のサイズ的な誤差、各画素の光量誤差等が生じる(以下、これらをまとめてシェーディングという)。
【0008】
例えば、周知のように、結像光学系の精度は光軸から周辺部に向かって低下する傾向にある。そのため、各画素の結像位置が画素位置に応じてズレてしまい、その結果、ミクロ的な画像のサイズ誤差を生じ、画像面積率に局所的な変動が生じる。また、記録媒体Pt上に結像した画素のサイズ誤差が、周辺部に行くにしたがって大きくなってしまい(通常、サイズが大きくなる)、その結果、同様に、ミクロ的な画像サイズ誤差を生じ、同様に画像面積率の局所変動となる。このような画像面積率の局所変動は、例えば、印刷用途においては網点面積率のローカリティー(網点面積率の局所変動)となる。
さらに、記録媒体Pt上における光量も、光軸から周辺部に向かって低下する傾向にあり、これに起因して、露光量ムラ=濃度ムラ等を生じてしまう。
【0009】
このようなシェーディングは、露光量を局所的に変えることによって、補正することはできる。
しかしながら、二次元配列光源を用いた画像記録においては、シェーディングを補正するためには、各画素毎に露光量を制御する必要があり、しかも、光量を各画素毎に調整することは、実質的に不可能である。そのためシェーディング補正のための露光量制御を、パルス変調によって行わざるを得ず、非常に高速な変調が要求されるため、実現は困難である。
また、露光量制御によるシェーディングの補正は、基本的に、光量が最低の画素に全画素の光量を合わせる補正で、必ず露光光を無駄にしてしまう結果になり、光源により多くの出力性能が要求され、コストアップにもつながる。
【0010】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、光源とDMA等の二次元空間光変調素子とを組み合わせた光学系、二次元的に配列された点状の光源によって画像を形成する光学系などの、二次元配列光源を用いる画像記録において、パルス変調による露光量制御等を行うことなく、画像面積率の局所的な変動等の原因となるシェーディングを適正に補正した、高画質な画像記録を行うことができる画像記録方法および画像記録装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の画像記録方法は、二次元的に配列された光源群により形成される画像を、記録媒体に記録するに際し、記録中に、前記光源群による記録媒体上における画像記録位置を、前記光源群の二次元的な配列方向の少なくとも一方の成分を含む方向に移動させると共に、この移動に対応して、前記光源群の各光源に対応して設定された、前記各光源による投影像の中心位置と記録画像の画素の中心位置との位置ズレの閾値に従って、前記光源群の各光源を画像データに応じて変調駆動して、前記記録媒体に画像を記録することを特徴とする画像記録方法を提供する。
【0012】
また、本発明の画像記録装置は、二次元的に配列された記録画素を有する二次元配列光源と、記録中に、前記二次元配列光源による記録媒体上における画像記録位置を、前記二次元配列光源の記録画素配列方向の少なくとも一方の成分を含む方向に移動する移動手段と、前記移動手段による画像記録位置の移動に対応して、前記二次元配列光源の各記録画素に対応して設定された、前記各記録画素による投影像の中心位置と記録画像の画素の中心位置との位置ズレの閾値に従って、前記二次元配列光源の各記録画素を画像データに応じて変調駆動する変調手段とを有することを特徴とする画像記録装置を提供する。
【0013】
このような本発明において、前記移動手段は、前記二次元配列光源の記録画素配列方向の両成分を含む方向に画像記録位置を移動するものであるのが好ましく、さらに、前記二次元配列光源における1つの記録画素配列方向と一致する主走査方向に、前記二次元配列光源と記録媒体とを相対的に移動する主走査手段と、前記主走査方向と直交する副走査方向に、前記二次元配列光源と記録媒体とを相対的に移動する副走査手段と、前記二次元配列光源による画像記録位置を、前記主走査手段による二次元配列光源と記録媒体との相対的な移動に追随させる追随手段とを有し、前記二次元配列光源による画像を前記主走査方向および副走査方向に配列して画像を記録するのが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の画像記録方法および画像記録装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
【0015】
図1に、本発明の画像記録装置の一例の概略斜視図を示す。
図1に示される画像記録装置10(以下、記録装置10とする)は、二次元空間光変調素子と、この二次元空間光変調素子を照明する光源とを組み合わせてなる二次元配列光源を用いるもので、この二次元配列光源と、いわゆるエクスターナルドラム(アウタードラム)とを用いて、二次元配列光源からの投影光を記録媒体Ptに配列することにより、記録媒体Ptを2次元的に露光して画像を記録する装置である。
【0016】
このような記録装置10は、基本的に、照明光を出射する光源(図示省略)と、二次元空間光変調素子であるデジタルマイクロミラーアレイ12(以下、DMA12とする)と、コリメータレンズ14と、光偏向器16と、フォーカシングレンズ18と、副走査駆動系20と、エクスターナルドラム22(以下、ドラム22とする)と、これらの制御手段(図示省略)とを有して構成される。
また、ドラム22の外面には記録媒体Ptが巻き付けられて、公知の手段で保持/固定されている。
【0017】
光源としては、充分な光量の光(照明光)を射出できるものであれば、対象となる記録媒体Ptの分光感度特性に応じた光を出射する各種の光源が利用可能である。
例えば、記録媒体Ptが紫外線による露光が可能な通常のPS版(コンベンショナルPS版)であれば、超高圧水銀灯やメタルハライドランプ等を用いればよい。また、記録媒体Ptが赤外光(熱)に感度を持つヒートモードの記録媒体である場合には、赤外のブロードエリアLD(Broadarea Laser Diode)等を用いればよい。これら以外にも、記録媒体Ptに応じて、ハロゲンランプ、キセノンランプ等も利用可能である。
【0018】
また、印刷用途の画像記録のように、パルス変調による面積変調ではなく、記録画素数(DMA12のミラーonの数)による直接的な面積変調で濃度表現を行う画像記録においては、シェーディングに起因する周辺光量低下を無視できる光量の光を出射する光源を用いることにより、これに対応する画像処理的な補正を省くことが可能になる。
【0019】
DMA12は、反射面と逆面に設置された軸を中心に揺動可能な矩形のマイクロミラーを、二次元的に配列してなる二次元空間光変調素子で、静電力等でマイクロミラーを揺動することにより、各マイクロミラー(画素)毎に光を変調して、露光をon/offする。具体例として、Texs Instruments社のDMDTM(デジタルマイクロミラーデバイスTM)が例示される。
また、後述するドラム22の回転方向(図中矢印R方向)とDMA12の1つの画素列方向とが光学的に一致し、かつ、ドラム22の軸線と他方の画素列方向とが光学的に一致するように、各部材が配置される。以下、ドラム22の回転と逆方向のDMA12の画素列方向(図中矢印Y方向)を主走査方向、ドラムの軸線方向の図中右方向(図中矢印X方向)を副走査方向とする。
【0020】
本発明において、二次元配列光源とは、最小記録単位となる個々に変調可能な投影像を、二次元的に配列して生成可能な光源であり、前述のように、図示例においては、二次元空間光変調素子であるDMA12と光源とを組み合わせることにより、二次元配列光源を構成している。ここで、本発明においては、二次元配列光源を構成する二次元空間光変調素子は、DMA12以外にも、例えば、液晶シャッタを二次元的に配列してなる液晶シャッタアレイ、PLZTタイプ、EOタイプ、AOタイプ、GLVタイプ等も利用可能である。
また、本発明において、二次元配列光源は、このような光源と空間光変調素子とを組み合わせたものに限定はされない。例えば、LEDなどの点状の光源を二次元的に配列してなるアレイ状光源、CRTやバックライト型LCD(液晶ディスプレイ)などの自己発光型のディスプレイ等を、二次元配列光源として用いてもよい。
しかしながら、二次元配列光源としては、変調速度や光の利用効率等の点で、DMA12と光源とを組み合わせたものが、最も好ましい。
【0021】
コリメータレンズ14は、DMA12によって反射された画像を担持する光を平行光にして、光偏向器16に入射させるものである。
【0022】
光偏向器16は、コリメータレンズ14を介して入射された光を、ドラム22の略回転方向に偏向することにより、図1に模式的に示されるように、DMA12による投影光の記録媒体Ptへの入射位置(画像記録位置)を、主走査される記録媒体PtにDMA12からの投影光を追随させる、追随手段である。
すなわち、光偏向器16は、基本的に、ドラム22の回転に同期して、画像を担持するDMA12からの投影光をドラム回転方向に偏向することにより、この投影光を回転される記録媒体Ptに追随させ、所定の記録時間(露光時間)だけ記録媒体Pt上の一定位置に静止させる。
以下の説明においては、記録媒体Pt上におけるDMA12の投影光をコマF、光偏向器16の偏向によって記録媒体Pt上に静止されたコマFによる1回の画像記録を1コマの記録とする。従って、1コマは、DMA12による記録媒体Pt上の1画面(DMA12が一度に露光可能な範囲)のサイズとなる。
【0023】
ここで、本発明においては、1コマの画像記録中(露光中)に、記録媒体Pt上における画像記録位置を二次元配列光源の画素配列方向の少なくとも一方を含む方向に移動させる。
記録装置10においては、DMA12の画素配列方向と、主走査方向および副走査方向とが光学的に一致するように光学系が構成され、主走査および副走査と、コマFの追随との間に相対速度差を持たせることにより、主走査方向および副走査方向の両成分(以下、主副両成分とする)を含む方向にコマF(DMA12からの投影光の入射位置)を移動する。以下、この1コマの記録中におけるコマFの移動を「コマFをシフト」という。
【0024】
図示例の記録装置10においては、より好ましい態様として、追随手段である光偏向器16が、コマFをシフトする移動手段を兼ねる。そのため、光偏向器16の偏向方向は、回転方向(主走査方向)に対して、若干の角度を有しており、これにより、主/副の走査と、自らによるコマFの追随との間に、相対速度差を持たせている。この点については、後に詳述する。
【0025】
光偏向器16は、ガルバノメータミラー、ポリゴンミラー、ピエゾシステム、レンズをドラム22の回転方向にシフトする光偏向器等、各種のものが利用可能である。図示例の記録装置10においては、好適な一例として、ガルバノメータミラー(以下、ガルバノミラーとする)を用いている。
【0026】
フォーカシングレンズ18は、光偏向器16によって偏向されたDMA12の投影光を、ドラム22に巻き付けられた記録媒体Pt上の所定位置に結像させるものである。
【0027】
ドラム22は、その外側面に記録媒体Ptを巻き付けた状態で、公知の方法で保持/固定すると共に、軸を中心として、主走査方向と逆の図中矢印R方向に回転する円筒である。これにより、DMA12(二次元配列光源)と記録媒体Ptとが、主走査方向に相対的に移動する(すなわち、主走査を行う)。
なお、本発明において、対象となる記録媒体Ptには特に限定はなく、感光材料でも感熱材料でもよく、また、フィルム状でもプレート状でもよい。
【0028】
光源からDMA12、コリメータレンズ14、光偏向器16、およびフォーカシングレンズ18に至る光学系は、一体的にユニット化されており、副走査駆動系20により、副走査方向(図中矢印X方向)に一定速度で移動する。これにより、DMA12と記録媒体Ptとが、副走査方向に相対的に移動する(すなわち副走査を行う)。
副走査駆動系20は、いわゆるドラムスキャナ等に利用される公知のものであり、例えば、図示しない駆動源と、ユニット化された光学系を積載する移動台20aと、この移動台20aがその上を移動する、副走査方向に延在する移動軸20bとからなっている。
【0029】
なお、本発明において、記録媒体Ptを保持して、主走査や副走査を行う手段は、図示例のような(エクスターナル)ドラム22に限定はされず、フラットベッドでも、記録媒体Ptを内面で保持するインターナルドラムでもよい。
【0030】
図2に、記録装置10の記録タイミング制御のブロック図を示す。
図2に示すように、光源24、DMA12、光偏向器16(図2では、コリメータレンズ14、フォーカシングレンズ18は省略)等の光学系は一体化して構成され、少なくとも画像記録の際には、副走査駆動系20によって副走査方向Xに一定速度で連続的に移動するようになっている。
【0031】
前述のように、画像記録中は、記録媒体Ptを保持するドラム22が回転すると共に、光偏向器16は、コマF(DMA12による投影光)を、ドラム22の回転に同期して略主走査方向に偏向することにより、コマFを所定の記録時間だけ記録媒体Pt上に静止させて、1コマの記録を行う。また、画像記録中は、光学系のユニットは、副走査駆動系20によって副走査方向に搬送される。
そのタイミングを制御するために、主走査位置検出器26がドラム22に設けられると共に、副走査駆動系20には、副走査位置を検出する副走査位置検出器28が設けられている。主走査位置検出器26としては、例えば、ドラム22の回転位置を検出するロータリーエンコーダを用いることができる。
【0032】
DMA12には、1コマ分の画像データ(各マイクロミラーのon/off)を供給する変調信号発生器30が接続される。変調信号発生器30には、画像信号が入力され、主走査位置検出器26および副走査位置検出器28からの検出信号に基づいて、DMA12に送る画像信号が切り換えられる。
また、光偏向器16には、光偏向器ドライバ32が接続される。光偏向器ドライバ32は、主走査位置検出器26および副走査位置検出器28の検出信号に基づいて、光偏向器16を駆動し、DMA12による投影光を、記録媒体Ptの相対移動に合わせて偏向させる。
【0033】
このような記録装置10においては、前述のようにして光偏向器16によって追随させて記録媒体Pt上に静止して記録した1コマの画像を、記録媒体Ptの画像記録領域に二次元的に配列するようにして、画像を記録する。
【0034】
画像記録は、副走査を停止した状態でドラム22を一周して、DMA12による1コマの画像を主走査方向(Y方向)に1列形成した後に、副走査駆動系20によって1コマの副走査方向(X方向)のサイズ分だけ副走査方向にDMA12(光学系)を移動して、再度、主走査方向への1列の画像記録を行うことを繰り返すことにより、記録媒体Ptの全面にコマFを配列して画像を記録してもよい(この際には、副走査速度は0)。
しかしながら、図示例においては、1画像の記録時間の短縮や、副走査駆動系20にかかる負担を低減するために、好ましい態様として、前述のように、連続的に副走査を行いつつ画像記録を行って、ドラム22に巻回した記録媒体PtにコマFをスパイラル状に配列して、全面に画像記録を行う。
【0035】
すなわち、図示例の記録装置10においては、ドラム22の回転速度(主走査速度)に応じて、ドラム22が一周した時点で、記録すべきコマFが先に記録したコマFと副走査方向に隣り合わせるように、副走査駆動系20による副走査速度を設定する。
これにより、ドラム22に巻回された記録媒体Ptにスパイラル状に画像記録を行い、記録媒体Ptを展開した図3の概念図に示されるように、コマFを主走査方向に階段状に配列して、記録媒体Ptの全面に画像記録を行う。なお、図3においては、下方がドラム22の1回転目における記録を、上方が同2回転目における記録をそれぞれ示すものであり、また、Ldrは、ドラム22の一周の長さを示す。この記録方法は、本出願人による特願2000−316622号の明細書に詳述されている。
【0036】
ここで、図示例の記録装置10においては、前述のように、ドラム22の回転に同期して、光偏向器16によってDMA12の投影光を主走査方向に偏向することにより、記録媒体Pt上にコマFを静止して1コマの記録を行う。
ところが、副走査を連続的に行いながら画像記録を行うと、主走査方向には光偏向器16による偏向でコマFを停止できても、記録媒体Pt上におけるコマFの位置が副走査方向に動いてしまい、画像がボケてしまう。
そのため、記録装置10においては、副走査によるコマFの位置ズレに応じて、主走査方向(矢印Y方向)に対して偏向方向を副走査方向(矢印X方向)に向けて傾け、1コマの記録中に、より好適に、コマFを記録媒体Ptに静止させるのが好ましい。
【0037】
この主走査方向に対する偏向方向の角度は、1コマを記録した後、次に記録するコマFが、副走査方向の画素ピッチ(記録媒体Pt上における画素ピッチ)の整数倍だけ副走査方向に移動するように設定するのが好ましい。
中でも特に、前記画素ピッチの整数倍をNy、1コマの主走査方向の画素数をNimg-y 、1コマの主走査方向の画素ピッチをPimg-y 、1コマの副走査方向の画素ピッチをPimg-x とした際に、主走査方向に対する偏向方向の角度ψが下記式を満たすようにするのが好ましい。
tanψ=(Ny×Pimg-x )/(Nimg-y ×Pimg-y )
この画像記録方法については、本出願人による特願2001−116470号の明細書に詳述されている。
【0038】
以上のように、記録装置10においては、コマF(DMA12の投影光)を記録媒体Ptの移動に追随させ、基本的に、所定の記録(露光)時間だけ記録媒体Pt上に静止させた状態で、1コマの画像記録を行う。
ここで、図示例の記録装置10は、本発明にかかるものであり、主走査および副走査と静止のためのコマFの追随との間に相対的な速度差を持たせることにより、図4に概念的に示すように、1コマの記録中に、記録媒体Pt上における画像記録位置すなわちコマFの位置を、主副両成分を含む方向(矢印V方向)にシフトする。また、このコマFのシフトと共に、1コマで記録する画像に応じて、記録媒体Pt上において、画像を記録すべき位置にDMA12の画素(ミラー)が位置した際に、この画素をonするように、DMA12による表示画像を変調する。言い換えれば、記録媒体Ptと光学系との主走査および副走査に対応した静止のためのコマFの移動に、相対的な速度差を持たせ、かつ、これに伴ってDMA12の各画素を記録する画像に応じて変調する。
【0039】
本発明においては、二次元配列光源を用いる画像記録において、このようなコマFのシフトを行って画像を記録すると共に、位置に応じて設定された閾値を用いて各画素のon/offを決定することにより、前述のシェーディングを補正して、画像面積率の局所変動を大幅に低減した画像を記録することができ、例えば、印刷用途であれば、網点面積率のローカリティー等が極めて少ない、高品質な印刷版の製版等を可能にしている。
また、このようなコマFのシフトを行う画像記録によれば、二次元配列光源を用いる画像記録では光学系の倍率で一義的に決められてしまう解像度も、適宜、変更することができ、任意な解像度の画像記録を行うことができる。
【0040】
以下、図5〜図7を参照して、記録装置10(本発明)における画像記録の基本的な作用を説明する。
図5(A)に、記録媒体Pt上におけるDMA12によるコマFの一部を、図5(B)に、記録媒体Ptに記録する画像の解像度の一例を、それぞれ概念的に示す。共に、1マスが1画素であり、すなわち記録媒体PtにおけるコマFの1画素(DMA12の分解能)と、目的とする画像の1画素(記録の解像度)とは異なり、コマFの方が小さく、記録媒体Pt上におけるコマFの各画素と記録画像とは、図5(C)に示される関係となる。
【0041】
本例においては、基本的に、記録する画像に中心が含まれるDMA12の画素(ミラー)をonにして、画像を記録する。すなわち、例えば、記録する画像が図5(B)および(C)に太枠で示す画像であれば、黒点で示す中心が画像記録領域に含まれる、クロスハッチで示されるDMA12の画素をonにする。
ここで、前述の1コマの記録中における主副両成分を含む方向へのコマFのシフトによって、画像記録領域に中心が含まれる画素が変わる。本発明においては、それに応じて、DMA12による表示画像を切り換える、すなわち変調することにより、走査露光のようにして画像を記録する。
【0042】
以下、図5(A)に示されるDMA12によるコマF(DMA12の投影光)の一部による、図5(B)に太枠で示される画像の記録について、図6〜図8を参照して、その一例を説明する。
本例においては、一例として、図4に示されるように、1コマの記録中に、主走査方向(矢印Y方向)に対して3画素分、副走査方向(矢印X方向)に対して1画素分、コマFをシフトする。すなわち、主走査方向:副走査方向=3:1でコマFをシフトして、画像記録を行う。なお、本例においては、一例として、実際のコマFの移動方向は主走査方向および副走査方向とは逆方向であるが、本発明はこれに限定はされない。
また、1コマの記録において、記録時間(露光時間)を均等に時分割して、DMA12の表示画像を9回変更すなわち9回の変調を行う。
【0043】
一例として、図6(A)に示される状態から1コマの記録を開始する。この状態では、太枠で示す記録画像の領域には、DMA12の画素a−3,b−3およびc−1〜3の中心が含まれているので、クロスハッチで示すように、この画素をonして画像を記録する。
【0044】
前述のように、ドラム22に保持される記録媒体Ptは主走査方向と逆方向に回転されている。また、コマFは、光偏向器16によって同方向に偏向されることにより、基本的に記録媒体Ptに追随/静止されつつ、前記3:1の割合で主副両成分を含む方向にシフトしている。
1コマの記録時間の1/9が経過、すなわち、主走査方向(矢印Y方向)に対して3/9画素分、副走査方向(矢印X方向)に対して1/9画素分、コマFがシフトすると(以下、単に「コマFが所定量シフト」とする)、図6(B)に示されるように、DMA12が変調されて、画像(投影像)が切り替わる。すなわち、記録開始状態では含まれていた画素a−3の中心が記録画像領域から外れるので、図6(A)に示される状態から、この画素のみがoffされる。
【0045】
さらにコマFが所定量シフトすると、図6(C)に示されるようにDMA12が変調されて、記録画像領域から中心が外れた画素c−1がoffされ、新たに中心が記録画像領域に入った画素d−2および3がonされる。
さらにコマFが所定量シフトすると、図7(D)に示されるようにDMA12が変調されて、記録画像領域から中心がはずれた画素c−2がoffされる。
【0046】
以下、同様にして、図7(E)〜図8(I)に示されるように、コマFが所定量シフトする毎に、DMA12が変調され、中心が記録画像領域を外れた画素がoff、中心が記録画像領域に入った画素をonして、画像を記録する。
最後に、図8(I)に示される状態からコマFが所定量シフトして、図9に示される状態となると、主走査方向に3画素、副走査方向に1画素、コマFがシフトして、すなわち1コマの記録が終了し、全画素がoffされて、記録媒体Ptの移動(ドラム22の回転)および光偏向器16の状態に応じて、主走査方向に隣り合わせるようにして、次の1コマの画像記録が開始される。
【0047】
すなわち、図6(A)〜図9の1コマの記録では、図6(A)〜図8(I)において、クロスハッチで示した領域を重ねたように記録が行われ、すなわち、図10に概念的に示されるように、画像の記録が行われる。
なお、図10に示されるように、本発明の画像記録方法では、目的とする記録画像を若干超える領域まで画像記録が行われるが、記録は、目的とする画像記録領域に集中しており、はみ出した部分の記録(露光)量は、若干であるので、画質的に問題にはならない。
【0048】
従来の二次元配列光源を用いた画像記録では、DMA12の各画素の投影光の位置や光量は、光学系によって一義的に決定されてしまう。
従って、光学系の有するシェーディング、すなわち、前述の結像面(記録媒体Pt面)における、画像の結像位置誤差、各画素のサイズ誤差、各画素の光量誤差等は、そのまま結像した画像に反映されてしまう。このようなシェーディングを補正するためには、各画素の高速なパルス変調が必要になり、実質的には、実現が困難である。
【0049】
これに対し、以上の説明より明らかなように、本発明によれば、DMA12等を利用する二次元配列光源を用いた画像記録において、コマF(二次元配列光源の投影光)を主副量成分を含む方向にシフト(移動)すると共に、記録する画像に応じて二次元配列光源を変調することにより、二次元配列光源を用いて、いわゆる走査露光と同様の画像記録を行うことができる。
そのため、本発明によれば、各画素の位置に応じて、光学系の有するシェーディングを補正するようにonする閾値を設定することにより、画像の面積率を直接調整することができ、これにより、画像面積率の局所変動が極めて少ない、シェーディングを好適に補正した高画質な画像を記録できる。
【0050】
以下、このようなコマFをシフトしながらの画像記録における、シェーディング補正を伴うDMA12(二次元配列光源)の変調方法について、図11および図12を参照して、その一例を説明する。
【0051】
図11の左上段および図12の左中央に示されるように、DMA12における画素配列方向において、一方向にi番目で、他方向にj番目の画素(ミラー)を、画素(i,j)とする。なお、図示例においては、iは副走査方向(X方向)に、jは主走査方向(Y方向)に対応する。また、このDMA12の主走査方向の画素ピッチをΔy、副走査方向の画素ピッチをΔxとする。
従って、(i*Δx,j*Δy)によって、この画素(i,j)の中心位置(xi ,yj )を得ることができる。
【0052】
副走査方向のシフト量を示す関数をFx、主走査方向のシフト量を示す関数をFyとする。これに応じて、1コマの記録中の時間tにおける、DMA12の前記画素(i,j)の中心位置(xi ,yj )の投影像上の位置は、(Fx(xi ,yj ,t),Fy(xi ,yj ,t))で示すことができる。以下、この位置を、像中心位置(Xi ,Yj )とする。
図12に示すブロック図においては、この関数FxおよびFyに対応するシフト量決定LUT(ルックアップテーブル)を用いて、像中心位置(Xi ,Yj )を得ている。この関数FxおよびFy(決定LUT)は、シフト量のみならず、フォーカシングレンズ18の歪曲収差等を考慮して設定してもよく、これにより、シェーディング補正と共にレンズの収差補正も行うことができる。
【0053】
また、像中心位置(Xi ,Yj )を算出したら、この画素位置に対応してシェーディングを補正するための、副走査方向に対応する閾値Thrm 、および、主走査方向に対応する閾値Thrn を生成する(以下、両者をまとめて閾値Thrともいう)。
閾値Thrは、像中心位置(Xi ,Yj )毎に、その都度、算出して生成してもよく、あるいは、1コマの記録における各像中心位置(Xi ,Yj )に対応して、予めLUT化しておいて生成してもよい。
なお、閾値Thrの決定方法については、後に詳述する。
【0054】
一方、記録する画像の出力解像度における、主走査方向の画素ピッチをΔY、同副走査方向の画素ピッチをΔXとする。
前述のように、DMA12の画素(i,j)の中心位置(xi ,yj )は、投影像上では像中心位置(Xi ,Yj ) となる。従って、像中心位置を画素ピッチで除すことにより、その像中心位置が記録画像のビットマップ上の何処の画素に位置するかを知る事ができる。すなわち、((Xi /ΔX),(Yj /ΔY)) が、記録する画像の画像ビットマップ上におけるon画素(mon,non)に対応する場合に、画素(i,j)をonするようにDMA12を変調すればよい。なお、本例では、一例として、画像ビットマップでは、mが副走査方向に、nが主走査方向に対応する。
【0055】
ここで、この像中心位置(Xi ,Yj ) を画素ピッチで除した前記((Xi /ΔX,Yj /ΔY) 以下、これをDMA像とする)と、画像ビットマップ上におけるon画素(mon,non)とにおいて、対応する方向の差分の絶対値は、すなわち、DMA像とon画素との中心位置のズレを示している。
従って、この絶対値と、各像中心位置(Xi ,Yj ) に対して、主副のそれぞれに適宜設定された閾値Thrm および閾値Thrn (共に、正の数)とを比較し、主副両方向の絶対値が閾値Thr以下である場合に、DMA12の画素(i,j)をonするように変調を制御することにより、記録画像の面積率を制御できる。
【0056】
を共に満たす場合に、DMA12の画素(i,j)をonするように変調を制御することにより、記録画像の面積率を制御することができ、画像面積率の直接的な補正によってシェーディングを補正できる。
【0057】
例えば、Thr=0.5とすれば、DMA像(Xi /ΔX,Yj /ΔY) が、画像ビットマップのon画素(mon,non)の中に存在した場合に、DMA12の画素(i,j)をonする例となり、前述の図6〜図9で例示した画素中心(黒点)=像中心位置(Xi ,Yj ) が記録画像に入った際に画素をonする画像記録、すなわちシェーディング補正を行わない標準的な画像記録となる。
Thr=0.6とすれば、DMA像が、画像ビットマップのon画素から0.1画素分外れても、その画素がonになるので、面積率を大きくできる。
Thr=0.4とした場合には、逆に、DMA像が画像ビットマップのon画素に対して0.1画素分小さい領域に存在しないと、その画素がonにならないので、面積率が小さくなる。
【0058】
閾値Thrの生成方法には特に限定はなく、記録装置10の光学系が有するシェーディングに応じて、これを補正できるような閾値Thrを、各画素位置に応じて、適宜、生成すればよい。
【0059】
例えば、予め、標準(補正を行わない閾値Thr=0.5)の状態におけるシェーディングの状態、例えば、画像面積率の局所変動(印刷用途であれば網点面積率のローカリティー)を調べ、これを、前述の各像中心位置(Xi ,Yj )の関数で表し、S(Xi ,Yj )[%]とする。
S(Xi ,Yj )[%]が大きい場合には、シェーディングによって画像面積率が拡大するするので、S(Xi ,Yj )が大きい位置ではThrを小さく、逆に、S(Xi ,Yj )が小さい位置ではThrを大きくする。
【0060】
一例として、下記式で算出すればよい。
Thrm (Xi ,Yj ) =am /S(Xi ,Yj )+bm
Thrn (Xi ,Yj ) =an /S(Xi ,Yj )+bn
なお、上記式において、am およびbm 、ならびに、an およびbn は、光学系に応じて、適宜、決定する定数である。
【0061】
本例では、閾値Thrを、主/副走査方向のそれぞれに対応して決定しているが、本発明は、これに限定はされず、主/副走査の両方向で、同じ閾値Thrを使用してもよい。
なお、二次元配列光源を用いる画像記録では、一般的に、シェーディングは方向性を有するので、やはり、本例のように、閾値Thrを、主走査方向および副走査方向のそれぞれに対応して決定するのが好ましい。
【0062】
また、以上の例では、全ての画素について、閾値Thrを用いたon/offの判定を行っているが、本発明においては、これ以外にも、例えば、記録画像の近傍の画素のみ、閾値Thrを用いたon/offの判定を行ってもよい。
例えば、前述のように、DMA像(Xi /ΔX,Yj /ΔY) を求めた後に、切り捨てによって整数化した(int[Xi /ΔX],int[Yj /ΔY]) を求め、これとon画素(mon,non)とを比較して、記録画像近傍の画素についてのみ、前記閾値を用いた比較によるon/offの判定を行うようにしてもよい。
この方法によれば、計算量を低減して高速な処理を行うことが可能である。
【0063】
さらに、以上の例では、シフトしたコマFの時刻tにおける像中心位置(Xi ,Yj )、すなわち結像面上における画素位置に応じて閾値を生成したが、本発明は、これに限定はされず他の画素位置に対応して、閾値を算出してもよい。
例えば、シェーディングがコマFのシフトには大きな影響を受けず、DMA12の各画素位置に対応して、ほぼ一義的に決まるものであれば、図12に点線で示すように、DMA12の画素(i,j)の中心位置(xi ,yj )に対応して、この画素位置におけるシェーディング補正の閾値を生成してもよい。
【0064】
前述のように、本発明においては、追随によって記録媒体Pt上に静止させての1コマの記録中に、コマFを主副両成分を含む方向にシフトすることにより、DMA12を用いて走査露光のような画像記録を行い、画像面積率を直接調整することで、シェーディング補正を行っている。
また、前述の図6〜図9に示される画像記録における記録面上のDMA12の各画素(ミラー)の動きを概念的に示す、図13に示されるように、矢印で示す1画素の画素位置Pixに注目すると、1コマの画像記録において、1画素につき、主×副走査方向で均等に3×3の9画素の画像を記録したことになり、従って、コマFのシフトにより、DMA12の解像度の9倍相当の解像度の画像記録を行っている。
【0065】
本発明の記録装置10において、このような、1コマの記録におけるコマFのシフトにおいて、シフトの方向および量は、特に限定はなく、記録する画像の解像度等に応じて、適宜、決定すればよい。また、シフトの方向および量は、固定されていても、可変であっても、適宜設定可能であってもよい。
さらに、図示例においては、コマFのシフトは、主/副走査方向に対して逆方向に行ったが、本発明は、これに限定はされず、主/副走査方向に対して順方向にコマFをシフトしてもよく、あるいは、主走査方向には順方向で副走査方向には逆方向等であってもよい。
【0066】
ここで、コマFをシフトは、DMA12の画素(画素ピッチ)を単位として、A方向およびB方向の何れの方向にも、1画素以上、移動するのが好ましい。
特に、A方向およびB方向のシフト画素数を、一方が1で他方を2以上の整数、もしくは、互いに素の1以上の整数とし、大きい方のシフト画素数の二乗回の変調を均等に時分割して行うのが好ましい。
あるいは、上記条件を満たした上で、目的とする解像度の変更倍率に対応するA方向の解像度の変更倍率をa、同B方向の変更倍率をbとした際に、1コマの記録において、A方向にはb画素で、もしくは、B方向にはa画素でコマFのシフトを行い、さらに、a×b回の変調を均等に時分割して行うのも、好ましい。なお、この際においても、A方向およびB方向のシフト画素数を、一方が1で他方を2以上の整数、もしくは、互いに素の1以上の整数とするのが好ましい。
【0067】
上記条件を満たすことにより、DMA12の記録解像度を効率良く向上して、前述の図5〜図10に示されるような画像記録によるシェーディング補正を、好適に行うことができる。なお、上記条件におけるA方向およびB方向は、何れが主走査方向でも副走査方向でもよい。
【0068】
このようなコマF(投影光)のシフトを行う方法、すなわち、1コマの記録中に、主/副走査とコマFの追随との間に相対速度差を持たせる方法には、特に限定はなく、各種の方法が利用可能である。
例えば、光偏向器12を利用する方法、主走査速度(ドラム22の周速度)とコマFの静止のための追随とに速度差を付ける方法、副走査速度と光偏向器による副走査方向への追随速度とに差をつける方法、記録媒体Pt(図示例ではドラム22)を移動する方法、光学系を移動する方法、これらを組み合わせる方法、等が例示される。
【0069】
前述のように、記録装置10においては、好ましい態様として、1コマの記録におけるコマFの追随手段である光偏向器16が、コマFのシフト(移動)手段も兼ねている。そのため、光偏向器16によるDMA12の投影光の偏向方向は、主走査方向に対して、若干、副走査方向に傾いている。
これにより、主走査および副走査に対して、記録媒体Ptに対するコマFの追随に相対速度差を持たせ、1コマの記録中にコマFを主副両成分を含む方向にシフトさせている。
【0070】
ここで、この光偏向器16による偏向方向等は、一例として、目的とするシフト量および方向、あるいはさらに、前述の角度ψに応じて、以下のように決定すればよい。
【0071】
ドラム22の周速度すなわち主走査速度をVyとすれば、1コマの記録において、記録媒体Pt上の或る一点の或る時間tにおける主走査方向(矢印Y方向)の位置Y(t)は、図14(A)に示されるように、「Y(t)=−Vy*t」となる。
一方、記録媒体Pt上における光偏向器16(図示例では、ガルバノミラー)による偏向速度をVy’とすると、1コマの記録において、記録媒体Pt上の或る画素(DMA12の画素)の或る時間tにおける主走査方向の位置Y’(t)は、同図に示すように、「Y’(t)=−Vy’*t」となる。なお、図示例においては、光偏向器16がガルバノミラーであるので、記録時間Tを過ぎた時点で逆方向に揺動し、位置は一点鎖線で示されるようになる。
【0072】
ここで、1コマの記録時間をTとすると、前述の1コマの記録における主走査方向のシフト量(前述のY2 )は両者の差分ΔYで示すことができる。
【0073】
他方、1コマの記録において、記録媒体Pt上の或る一点の或る時間tにおける副走査方向(矢印X方向)の位置は移動しない。
一方、副走査駆動系20による副走査速度をVxとすると、これに起因する或る時間tにおける或る画素の副走査方向の位置X(t)は、図14(B)に示すように、「X(t)=Vx*t」となる。他方、或る画素の光偏向器16による副走査方向への移動速度をVx’とすると、これに起因する或る時間tにおける或る画素の副走査方向の位置X’(t)は、同図に示すように「X’(t)=Vx’*t」となる。
【0074】
同様に、1コマの記録時間をTとすると、前述の1コマの記録における副走査方向のシフト量は両者の差分ΔXで示すことができる。
【0075】
光学系(DMA12)から見た場合には、記録媒体Pt上における或る一点は、副走査速度Vxとドラム22の周速度Vyによって決まる。
従って、図14(C)に示されるように、記録時間がTである1コマの記録においては、主走査速度および副走査速度によるVx*TおよびVy*Tで決まる地点から、目的とするシフト量に応じたΔXおよびΔYだけズレた位置に向かって偏向を行うように、光偏向器16を設定すればよい。
【0076】
ここで、主走査方向と光偏向器16の偏向方向とが成す角度をθ、光偏向器16の偏向速度をVgとすると、
「Vx’=Vg*sinθ」および「Vy’=Vg*cosθ」
従って、
tanθ=(Vx’/Vy’)
=[Vx−(ΔX/T)]/[Vy−(ΔY/T)]
=(Vx*T−ΔX)/(Vy*T−ΔY)
となる。すなわち、これを満たすように、光偏向器16の角度、主走査速度(ドラム22の回転速度)、副走査速度等を設定すれば、1コマの記録において、目的とする主副両成分を含むコマFのシフトを行うことができる。
【0077】
ここで、前述のように、コマFのシフトの方向は、主/副走査方向に対して順方向であっても、逆方向であってもよい。従って、ΔXおよびΔYは、正/負の何れも取り得るものであり、すなわち、コマFのシフトの方向に応じて、
tanθ=(Vx*T±ΔX)/(Vy*T±ΔY)
を満たすように、光変更器16の角度等を設定すればよい。
【0078】
このような追随走査によって、コマFを記録媒体Pt上に静止させて1コマの記録(露光)を行う画像記録において、光偏向器16によって偏向されるコマFをシフトする方法は、このような光偏向器16を傾ける方法に限定はされず、各種の方法が利用可能である。
【0079】
例えば、ダブプリズム等の像回転素子を用い、光偏向器16によって偏向された投影光を像回転素子に入射すると共に、像回転素子の回転角度を調整することにより、投影光の偏向方向を変更(回転)して、コマFをシフトしてもよい。
図15に、ダブプリズム、イメージローテータプリズム、ペチャンプリズムの回転角(0°、90°、180°、および270°)と、入射光の光路変更すなわちコマFのシフトの状態との関係を、まとめて示す。なお、3枚のミラーを組み合わせても、イメージローテータプリズムと同様に投影光のシフト(回転)を行うことができる。
【0080】
また、フォーカシングレンズ18の光軸と光学的に一致する回転軸を有するゴニオステージ(あおりステージ)に光偏向器16を装着し、ゴニオステージの角度調整によって光偏向器16を回転させて、投影光の偏向方向を調整してコマFをシフトしてもよい。
さらに、このゴニオステージに変えて、ゴニオステージの回転中心に相当する位置にピン等の規制部材を設けて、光偏向器16の回転を規制し、規制部材から離れた位置で光偏向器16を押し引きすることにより、光偏向器16の回転調整を行ってコマFをシフトしてもよい。
【0081】
以上、本発明の画像記録方法および画像記録装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0082】
例えば、以上の例は、印刷用途における網点面積率などの画像面積率の適正化を中心に説明したが、本発明は、これに限定はされない。
例えば、光造形などの記録装置においては、露光硬化する部分のミクロ的なサイズが、結像する画素のスポット形状の局所変動にによってバラツクことが有り得るが、この場合にも、二次元配列光源を用いてコマFをシフトし、かつ、各画素のon/offの閾値を位置に応じて、適宜、設定することにより、前記バラツキを補正した、好適な造形品を作製できる。
【0083】
また、以上の例は、二次元配列光源の投影光を偏向することにより、記録媒体上に投影光(コマ)を静止して1コマの画像を記録する追随走査を行う画像記録装置であるが、本発明はこれに限定はされず、例えば、前述の図16に示されるような、二次元配列光源において画像を移動(シフト)することにより、記録材料上に二次元配列光源の投影光を静止して多重露光を行う画像記録にも、好適に利用可能である。この際においては、一例として、二次元配列光源の主走査方向の最上流の画素列から最下流の画素列までの同一画像のシフトを前述の例の1コマと見なして、同様に、1コマの画像記録中にコマを主副両方向の成分を含む方向に移動すればよい。
【0084】
また、本発明は、上述の例のような主走査および副走査を行って、1コマの画像を二次元的に配列することにより、1つの画像を記録するものにも限定はされず、例えば、1コマの画像記録で1つの画像を記録してもよい。
【0085】
さらに、図示例においては、二次元配列光源の画素配列方向の両成分を含む方向に二次元配列光源の投影光をシフトしているが、本発明はこれに限定はされず、画素配列方向の一方のみに投影光をシフトして、この方向のみシェーディングの補正を行ってももよい。
【0086】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、光源とDMAなどの空間変調素子との組み合わせ、LEDなどの点光源を二次元的に配列した光源等、二次元的に配列された光学的な記録素子を有する二次元配列光源を用いた画像記録において、シェーディングを好適に補正した画像記録を行うことができ、画像面積率の局所変動等の無い、高画質な画像記録を行うことができ、例えば、印刷用途等においては、網点面積率のローカリティーが極めて少ない、高画質な印刷版を作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の画像記録装置の一例の概略斜視図である。
【図2】 図1に示される画像記録装置の画像記録タイミング制御を示すブロック図である。
【図3】 図1に示される画像記録装置による画像記録を説明するための概念図である。
【図4】 本発明による画像記録を説明するための概念図である。
【図5】 (A)はDMAによる投影光を、(B)は記録画像を、(C)は本発明による画像記録を、それぞれ説明するための概念図である。
【図6】 (A)〜(C)は、本発明による画像記録を説明するための概念図である。
【図7】 (D)〜(F)は、本発明による画像記録を説明するための概念図である。
【図8】 (G)〜(I)は、本発明による画像記録を説明するための概念図である。
【図9】 本発明による画像記録を説明するための概念図である。
【図10】 図6〜図9で行われた画像記録による画像を概念的に示す図である。
【図11】 本発明による画像記録の一例を説明するための概念図である。
【図12】 図11に示される画像記録方法を実施するための制御ブロック図の一例である。
【図13】 図6〜図9における画像記録を概念的に示す図である。
【図14】 (A)〜(C)は、図1に示される画像記録装置における画像記録を説明するための概念図である。
【図15】 本発明の画像記録における投影光の移動方法の例示である。
【図16】 (A)〜(C)は、従来の二次元配列光源を用いた画像記録を説明するための概念図である。
【符号の説明】
10 (画像)記録装置
11 光源
12 DMA
14 コリメータレンズ
16 光偏向器
18 フォーカシングレンズ
20 副走査駆動系
22 (エクスターナル)ドラム
24 感光材料
26 主走査位置検出器
28 副走査位置検出器
30 変調信号発生器
32 光偏向器ドライバ
Pt 記録媒体
Claims (4)
- 二次元的に配列された光源群により形成される画像を、記録媒体に記録するに際し、
記録中に、前記光源群による記録媒体上における画像記録位置を、前記光源群の二次元的な配列方向の少なくとも一方の成分を含む方向に移動させると共に、この移動に対応して、前記光源群の各光源に対応して設定された、前記各光源による投影像の中心位置と記録画像の画素の中心位置との位置ズレの閾値に従って、前記光源群の各光源を画像データに応じて変調駆動して、前記記録媒体に画像を記録することを特徴とする画像記録方法。 - 二次元的に配列された記録画素を有する二次元配列光源と、
記録中に、前記二次元配列光源による記録媒体上における画像記録位置を、前記二次元配列光源の記録画素配列方向の少なくとも一方の成分を含む方向に移動する移動手段と、
前記移動手段による画像記録位置の移動に対応して、前記二次元配列光源の各記録画素に対応して設定された、前記各記録画素による投影像の中心位置と記録画像の画素の中心位置との位置ズレの閾値に従って、前記二次元配列光源の各記録画素を画像データに応じて変調駆動する変調手段とを有することを特徴とする画像記録装置。 - 前記移動手段は、前記二次元配列光源の記録画素配列方向の両成分を含む方向に画像記録位置を移動するものである請求項2に記載の画像記録装置。
- 前記二次元配列光源における1つの記録画素配列方向と一致する主走査方向に、前記二次元配列光源と記録媒体とを相対的に移動する主走査手段と、前記主走査方向と直交する副走査方向に、前記二次元配列光源と記録媒体とを相対的に移動する副走査手段と、前記二次元配列光源による画像記録位置を、前記主走査手段による二次元配列光源と記録媒体との相対的な移動に追随させる追随手段とを有し、前記二次元配列光源による画像を前記主走査方向および副走査方向に配列して画像を記録する請求項2または3に記載の画像記録装置。
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