JP3957285B2 - 釣竿の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、魚釣りに用いる釣竿、特に、リールからの釣糸を竿体の外周面側において順次案内するタイプの釣竿の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
魚釣りに用いる釣竿の竿体の外周面には、釣糸を支持しつつリールと穂先側との間で案内する釣糸ガイドが装着されている。この釣糸ガイドは、竿体周面から起立するように位置する脚部と、脚部の一端に形成され竿体に固定される固定部と、脚部の他端に配置され釣糸が挿通するセラミックス等の硬質部材からなるガイドリングとを有する。そして、この脚部先端の固定部が竿体の周面に例えば合成樹脂と巻糸とによって固定されている。
【0003】
このような竿体に別部材を装着するタイプの釣糸ガイドでは、竿体に釣糸ガイドを固定するための部材が必要となること、別途釣糸ガイドを装着するので竿体周面から径外方向に釣糸ガイドが突出するので糸絡みが生じ易いこと、釣糸ガイドからの振動(アタリ)を竿体に良好に伝達し難くなること等の問題点が指摘されてきた。そこで、このような別部材を竿体に装着するのに代えて、ガイドリングを直接樹脂製の保持部材で竿体周面に固定した釣竿が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
しかし、上述の特許文献においては、ガイドリングを保持部材となる合成樹脂部分内に配置しつつインジェクション成型することやプリプレグ素材でガイドリングを固定すること等が予定されており、成型作業が複雑且つ煩雑であり製造コストもかさむ。そこで、より簡易な構造乃至製法において、釣竿の竿体に一体的に釣糸を案内する部分を形成する方法が求められている。
【0005】
【特許文献1】
特開平5-111340号公報(第4欄〜第5欄,図1等)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、簡易な方法で釣糸を案内する部分を竿体に一体的に形成できる釣竿の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明1の方法は、魚釣りに用いる釣竿の製造方法であって、繊維強化樹脂から筒状の竿体を製造する工程と、竿体の周面に熱硬化性樹脂を塗布する工程と、竿体の周面に塗布した熱硬化性樹脂上に棒材を配置する工程と、配置した棒材の周面からさらに熱硬化性樹脂を塗布し、竿体の径外方向に盛り上がる丘状部分を形成する工程と、熱硬化性樹脂の硬化後に棒材を引き抜く工程とを含む。
【0008】
竿体は周知の方法で製造する。即ち、芯材に炭素繊維若しくはガラス繊維などの強化繊維を配向した繊維強化樹脂を巻回し焼成して筒状の竿体を製造する。製造した竿体の周面の所定の箇所に、熱硬化性樹脂を塗布し,棒材を配置し、さらに熱硬化性樹脂を上塗りして丘状部分とし、パイプを引き抜くことで、竿体の周面に軸方向(長手方向)に釣糸が挿通する挿通路が容易に形成される。このように形成する丘状部分は、竿体周面から大きく突出することもなく糸絡みも少ない。また、竿体製造後の極めて容易に形成できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
この釣竿は、図1に示すように、複数の竿体を並継形式で連結して構成されている。例えば、この釣竿は、もっとも竿元側に位置する元竿1,その穂先側に連結される穂先竿2の2本の竿体を連結することで構成されている。
【0010】
元竿1及び穂先竿2は、それぞれ炭素繊維やガラス繊維などの強化繊維のエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグ素材をシート状若しくはテープ状に加工したものを焼成して製造されている。穂先側ほど小径化する先細りテーパが施されている。穂先竿2については、例えば、中空の筒状体の穂先側に中実のソリッド体を一体的に連結して形成してもよい。
【0011】
元竿1の周面にはリール3を脱着自在に装着可能なリールシート4が設けられ、リールシート4の軸方向の前後にはグリップ5などが装着されている。さらに、リールシート4の穂先側の周面には、周知の釣糸ガイド6が装着されると共に、その穂先側には軸方向に間隔を隔てて複数の丘状部分10が形成されている。また、穂先竿2の周面にも、同様に、軸方向に間隔を隔てて複数の丘状部分10が形成され、穂先側端部にはトップガイド7が装着されている。
【0012】
図2に示すように、丘状部分10は各竿体の周面の周方向の一部において各竿体の周面より盛り上がるように形成されている。また、複数の丘状部分10はそれぞれその盛り上がり部分が周方向において一致するようになっている。この周方向位置はリールシート4のリール載置面に合致する。この丘状部分10は、後に詳しく説明するように、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂から形成される。この丘状部分10は、その形成される釣竿の位置によっても異なるが、軸方向におよそ1.5〜4.0mm程度の長さを有し、元竿1若しくは穂先竿2の周面からの高さは2.0〜4.0mm程度に設定される。丘状部分10の軸方向の両端は竿体の周面にかけてなだらかに傾斜する傾斜面となっており、この両傾斜面から丘状部分10を軸方向に貫通する貫通孔10aが形成されている。この貫通孔10に釣糸Lが挿通するので、釣糸Lの円滑な案内及びこの釣糸Lの丘状部分10への糸絡みなどを防止するためには、上述のような軸方向長さ及び高さを設定するのが好ましい。
【0013】
この釣竿を使用する際には、元竿1の穂先側に穂先竿2を並継形式に連結し、リールシート4にリール3を装着し、リール3からの釣糸Lを、釣糸ガイド6,各丘状部分10の貫通孔10aを通して、トップガイド7へと導くことになる。
次に、このような丘状部分10を有する竿体について、元竿1を例にして説明する。
【0014】
まず、元竿1自体を周知の方法によって製造する。具体的には、所定の先細りテーパを施した先細り筒状の芯材を準備し、その周面に必要に応じて離型剤を塗布した上で、プリプレグ素材を巻回する。例えば、テープの長手方向に炭素繊維が引き揃えられた炭素繊維強化樹脂素材からなるプリプレグテープを螺旋状に芯材に巻回し、その外周面に、芯材の長手方向に炭素繊維が引き揃えられた炭素繊維強化樹脂ならなるプリプレグシートを巻回する。巻回するプリプレグ素材は任意に設定可能であり、その巻回数も適宜設定する。このように芯材に巻回したプリプレグ素材を炉内において焼成し、芯材を脱芯し、周面を研磨加工等して元竿1を構成する筒状部分を形成する。その後、リールシート4等を装着する。
【0015】
次に、図3(a)に示すように、元竿1の所定の軸方向位置の周面に、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂Sを周面全体に塗布する。なお、この実施形態では、元竿1の周面全体に熱硬化性樹脂Sを塗布しているが、リールシート4の載置面側のみに塗布してもよい。この熱硬化性樹脂Sの厚塗りによって一定の厚みを形成した後に、図3(b)に示すように、棒材11を所定の周面方向位置において元竿1の軸方向に配置する。その後、さらにこの棒材11の周面から熱硬化性樹脂Sを丘状に厚塗りしてゆく(図3(c)参照)。なお、この棒材11の周面には必要に応じて離型剤などを塗布しておいてもよい。
【0016】
熱硬化性樹脂Sが硬化した後に、この棒材11を軸方向に引き抜きその跡に軸方向への貫通孔を形成し、図3(d)に示すように、熱硬化性樹脂Sを研磨加工して所定の形状に整えて、丘状部分10とする。
このような熱硬化性樹脂の塗布作業により、比較的簡易に釣糸Lを案内するための丘状部分10を各竿体の周面に一体的に形成できる。また、このように竿体の周面に一体的に丘状の部分を形成することで、この丘状部分10への釣糸Lの糸絡みも抑えられる。
【0017】
[他の実施形態]
(a)上記実施形態では、リール3からの釣糸Lを最初に案内するために従前の釣糸ガイド6を元竿1の周面に配置しているが、これを配置することなく、全て丘状部分10に代えることもできる。
(b)図5に示すように、棒材11を熱硬化性樹脂S上に配置する際に、セラミックスなどのガイドリング12も配置してもよい。例えば、棒材11の軸方向の前後2カ所にガイドリング12を配置し、棒材11とガイドリング12とを熱硬化性樹脂Sで埋め込み、棒材11のみを引き抜くことで、ガイドリング12を内在させた丘状部分20を製造することもできる。
【0018】
若しくは、上記実施形態のようにガイドリングを内在させることなく丘状部分を形成し、その貫通孔にガイドリングを後にはめ込んで固定してもよい。
【0019】
【発明の効果】
本発明に係る方法によれば、竿体の周面に釣糸を案内するための部分を容易に一体的に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を採用した釣竿ガイドの全体図。
【図2】図1の元竿1の丘状部分10の拡大図。
【図3】図2の丘状部分10の製造工程を示した図。
【図4】図2の丘状部分10付近の断面図。
【図5】他の実施形態を採用した丘状部分20の製造工程を示した図。
【符号の説明】
1 元竿
2 穂先竿
10 丘状部分
11 棒材
12 ガイドリング
Claims (1)
- 魚釣りに用いる釣竿の製造方法であって、
繊維強化樹脂から筒状の竿体を製造する工程と、
前記竿体の周面に熱硬化性樹脂を塗布する工程と、
前記竿体の周面に塗布した熱硬化性樹脂上に棒材を配置する工程と、
前記配置した棒材の周面からさらに熱硬化性樹脂を塗布し、前記竿体の径外方向に盛り上がる丘状部分を形成する工程と、
前記熱硬化性樹脂の硬化後に棒材を引き抜く工程と
を含む、釣竿の製造方法。
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