JP3955779B2

JP3955779B2 - 車両用構体

Info

Publication number: JP3955779B2
Application number: JP2002085777A
Authority: JP
Inventors: 憲昭坪坂; 慶知渡辺
Original assignee: Nippon Sharyo Ltd
Current assignee: Nippon Sharyo Ltd
Priority date: 2002-03-26
Filing date: 2002-03-26
Publication date: 2007-08-08
Anticipated expiration: 2022-03-26
Also published as: JP2003276596A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用構体に関し、詳しくは、衝突時の乗客や乗務員の安全性を向上させた車両用構体に関する。
【０００２】
【従来の技術】
例えば、鉄道車両のように、台枠、側構体、屋根構体及び妻構体を接合して構成される箱形断面を持つ車両が踏切に立ち往生した自動車等の障害物に衝突した場合、又は車両同士が正面衝突した場合に、衝撃を緩和して、以て乗客や乗務員の安全を図る車両用構体については、例えば、特開平１１−１９２９４１号公報、特開２００１−８８６９８号公報に開示されている。
【０００３】
前者は、妻構体に妻面よりも突出するとともに、変形により衝突時の衝撃を緩和する緩衝部材を設けたもので、正面衝突時に、緩衝部材を介して妻構体に曲げモーメントが作用して、妻構体が湾曲・変形するとともに、この曲げモーメントにより、側構体及び屋根構体の妻構体との接合箇所近傍が外側に変形することにより、衝突エネルギーを吸収し、客室内への影響を緩和するものである。
【０００４】
後者は、衝突荷重と平行に配置された荷重分担部材を有し、変形モード制御用開口を荷重分担部材の長さ方向に複数箇所設け、該開口あるいは開口の軸が衝突方向に対して斜めになるようにするか、または、開口の軸の傾斜方向あるいは開口の上下位置を千鳥状に交互にずらして設けることにより、変形モードを制御するようにしたもので、正面衝突時に、荷重分担部材の変形が局所的になることを防いで、変形する領域が広範囲になるようにして、衝突時に荷重分担部材が吸収するエネルギーを高めるようにしたものである。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、最近になって、複線の鉄道路線曲線部にある引き込み線のポイントで引き込み線側に脱線した鉄道車両の車輪が引き込み線のレールによって対向方向の線路に向かって押し出され、そこに対向方向から来た車両が衝突する場合のように、車両が障害物と斜めに衝突する、いわゆるオフセット衝突事故が起こり得ること、そして、このようなオフセット衝突が起きると、車両の側構体が広範囲に破壊されて、乗客や乗員に大きな被害を及ぼすことが判明した。
【０００６】
このような場合には、衝突の初期段階で、脱線車両の隅柱が対向車両を抱えるように内側に変形する。このため、脱線車両の側構体の端部に車両長手方向の力が加わる際に、対向車両が楔のように作用し、脱線車両の側構体が引き剥がされるように破壊される。また、脱線によりレール高の分だけ車高が下がった脱線車両に対向車両が乗り上げるように衝突した場合、対向車両の台枠が脱線車両の側構体に楔のように作用し、脱線車両の側構体が削り取られるように破壊が進行する。さらに、衝突後も走行惰性が残っているので、例えば引き込み線のレールに案内されるような外力によって、対向車両が脱線車両に何度も押しつけられた場合、脱線車両の側構体が圧迫され、脱線車両の台枠と側構体との接合部に亀裂が進行することが判明した。
【０００７】
そこで本発明は、上述のオフセット衝突が起きた場合でも、車両の破壊を局限し、乗客や乗務員の被害を最小限に止める車両用構体を提供することを目的としている。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するため、本発明は、台枠の四隅に立設された隅柱に前後の妻構体と左右の側構体とをそれぞれ接合し、その上に屋根構体を接合して構成される車両用構体において、前記側構体は、隅柱に接合される車体端部における前記台枠と窓との間の腰部側板、車体中間部における腰部側板の腰板下部材、及び戸袋側板を、外板と内板との間を、両者の間隔を保持して連結する強度確保部材にて結合した二重構造材でそれぞれ構成し、前記隅柱は、前記腰部側板の内板の端部から車体前後方向に延びる妻構体接合面と、車体幅方向に延びる側構体接合面と、前記妻構体と前記側構体の双方に対して傾斜するリブとを有し、前記妻構体接合面と前記側構体接合面とを直角に結合し、前記妻構体接合面の先端と前記側構体接合面の先端とを前記リブで結合した横断面三角形であることを特徴としている。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を鉄道車両の構体に適用した実施形態例を図面に基づいて説明する。車両用構体１は、台枠２に前後の妻構体３と左右の側構体４とを接合し、その上に屋根構体を接合して構成されている。妻構体３と側構体４とは、台枠２の四隅に立設された隅柱６を介して接合されている。
【００１０】
隅柱６は、図１に示されるように、横断面三角形で、車体前後方向に延びる妻構体接合面６ａと、車体幅方向に延びる側構体接合面６ｂと、妻構体３と側構体４の双方に対して傾斜するリブ６ｃとを有し、前記妻構体接合面６ａと前記側構体接合面６ｂとを直角に結合し、妻構体接合面６ａの先端と前記側構体接合面６ｂの先端とを前記リブ６ｃで結合している。リブ６ｃは、隅柱６の全長に亘る長さ、あるいは側構体４の腰部の高さに相当する下部に形成されていればよい。
【００１１】
これにより、妻構体３と側構体４とは、双方に対して傾斜するリブ６ｃを有する隅柱６にて結合される。この隅柱６は、想定された衝突条件において、隅柱６が局部変形を起こさないような肉厚に設計されるため、妻構体接合面６ａ、側構体接合面６ｂ及びリブ６ｃは、従来よりも肉厚に形成される。なお、隅柱６は、図７に示されるように、横断面四角形で、妻構体３と側構体４の双方に対して傾斜するリブ６ｃを少なくとも下部に有する構造でも良い。また、隅柱６は、妻構体３又は側構体４に一体に形成されたものでもよい。
【００１２】
前記妻構体３は、従来と同様に骨組みに一枚の外板３ａを張った構成である。前記側構体４は、隅柱６に接合される車体端部では、図２の断面図に示されるように、前記台枠２と窓との間の腰部側板７の、外板７ａと内板７ｂとの間を、両者の間隔を保持して連結する強度確保部材としての複数のリブ７ｃにて結合した二重構造材で構成している。この二重構造材は、外板７ａと内板７ｂとの間を所定間隔を保持して三角形を形成するように連結するリブ７ｃとからなる閉断面形状を有するアルミニウム合金製中空押し出し材から構成されている。
【００１３】
また、戸袋側板８を、前記腰部側板７と同様に、外板８ａと内板８ｂとの間を、両者の間隔を保持して連結する強度確保部材として車体上下方向に亘る複数のリブ８ｃにて結合した二重構造材で構成している。この戸袋側板８は、引き戸の厚みを考慮して、腰部側板７よりも薄く形成されている。
【００１４】
さらに、図６に示されるように、車体中間部では、腰部側板９を、台枠２上部の腰板下部材１０とその上部の腰板上部材１１とで構成している。腰板下部材１０は、前記腰部側板７と同様に、外板１０ａと内板１０ｂとの間を、両者の間隔を保持して連結する強度確保部材としての複数のリブ１０ｃにて所定間隔を保持して三角形を形成するように連結結合している。腰板上部材１１は、従来と同様の一枚側板で、車体前後方向の補強リブ１１ａを複数有している。なお、前記腰部側板７、前記戸袋側板８及び腰板下部材１０は、外板と内板とがほぼ平行に図示されているがこれに限定されるものではなく、また、図示の構造に限らず、例えばハニカムパネル等の二重構造材でも良い。
【００１５】
次に、このように構成された車両用構体１を有する車両１２が、図８に示されるように、複線の線路１３，１４の曲線部分にポイントがあり、線路１３を走行中の車両１２が脱線して、車輪が引き込み線のレールによって対向方向の線路１４に向かって押し出され、対向方向の線路１４を走行中の車両１５と衝突した場合について説明する。
【００１６】
この場合に、車両１２の隅柱６は、想定された衝突条件内であれば、局部変形を起こすことがない。そして、リブ６ｃの傾斜により、車両１２と車両１５とを引き離す方向に作用する。よって、車両１５の抱え込みをなくし、衝突の初期段階において車両１５が楔のように作用することを防いで、車両１２の側構体４が破壊されることや、引き剥がされることを防止する。
【００１７】
また、図９に示されるように、脱線により車高が下がった車両１２に車両１５が乗り上げるように衝突した場合は、車両１５の台枠が車両１２の側構体４を削り取るように作用するが、車両１２の側構体４は、前記腰部側板７、前記戸袋側板８及び腰板下部材１０が二重構造材で構成されているので、例え外板７ａ，８ａ，１０ａが破断したとしても、内板７ｂ，８ｂ，１０ｂが破壊されなければ、台枠２と側構体４の分離を防ぐことができる。
【００１８】
さらに、前記腰部側板７、前記戸袋側板８及び腰板下部材１０を二重構造材とすることにより、衝突後更に車両１２と車両１５とが何度も押しつけられた場合に、車両１２の台枠２と側構体４との接合部に亀裂が生じたとしても、内板７ｂ，８ｂ，１０ｂが台枠２と結合しているから、亀裂の進展を防ぐことができる。
【００１９】
しかも、前記腰部側板７、前記戸袋側板８及び腰板下部材１０を二重構造材とするだけであるから、車体重量の増加を許容範囲に止めつつ上述の効果を奏することができ、乗客や乗務員の安全性を向上させることができる。
【００２０】
なお、上記実施形態例では、本発明を鉄道車両の構体に適用したもので説明したが、本発明は、バス、トラック等オフセット衝突が起こり得る車両の構体に適用可能である。
【００２１】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の車両用構体は、台枠四隅の隅柱が、妻構体と側構体の双方に対して傾斜するリブを少なくとも下部に有するので、オフセット衝突した場合に、隅柱のリブが衝撃を受け流す方向に作用し、側構体が破壊されることや引き剥がされることを防止する。また、側構体の腰部側板及び戸袋側板を二重構造材で構成することにより、相手車両の台枠による側構体の破壊や亀裂を防止することができ、オフセット衝突時の乗客及び乗務員の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】図３のＩ−Ｉ断面図
【図２】図３のＩＩ−ＩＩ断面図
【図３】車両用構体を車内側から見た斜視図
【図４】図３のＩＶ−ＩＶ断面図
【図５】図４のＶ−Ｖ断面図
【図６】図３のＶＩ−ＶＩ断面図
【図７】隅柱の別の形状を示す平面断面図
【図８】オフセット衝突の一例を示す平面図
【図９】オフセット衝突時の脱線車両と対向車両を示す側面図
【符号の説明】
１…車両用構体、２…台枠、３…妻構体、４…側構体、６…隅柱、６ｃ…リブ、７…腰部側板、７ａ…腰部側板の外板、７ｂ…腰部側板の内板、７ｃ…腰部側板のリブ、８…戸袋側板、８ａ…戸袋側板の外板、８ｂ…戸袋側板の内板、８ｃ…戸袋側板のリブ、１０…腰板下部材、１０ａ…腰板下部材の外板、１０ｂ…腰板下部材の内板、１０ｃ…腰板下部材のリブ

Claims

台枠の四隅に立設された隅柱に前後の妻構体と左右の側構体とをそれぞれ接合し、その上に屋根構体を接合して構成される車両用構体において、前記側構体は、隅柱に接合される車体端部における前記台枠と窓との間の腰部側板、車体中間部における腰部側板の腰板下部材、及び戸袋側板を、外板と内板との間を、両者の間隔を保持して連結する強度確保部材にて結合した二重構造材でそれぞれ構成し、前記隅柱は、前記腰部側板の内板の端部から車体前後方向に延びる妻構体接合面と、車体幅方向に延びる側構体接合面と、前記妻構体と前記側構体の双方に対して傾斜するリブとを有し、前記妻構体接合面と前記側構体接合面とを直角に結合し、前記妻構体接合面の先端と前記側構体接合面の先端とを前記リブで結合した横断面三角形であることを特徴とする車両用構体。