JP3955393B2 - ステータコアの組立装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動モータ等に用いられるステータコアの組立装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ステータコア10は、図11に示すように、略T字状の複数の分割コア12が組み合わされて形成される。この分割コア12は円弧状のヨーク部14と、ヨーク部14から半径方向内方に延在するポール部16と、ポール部16の半径方向内端に形成された歯部18とを有する。ヨーク部14の周方向一端側には突部20が形成され、他端側には隣接する分割コア12の突部20が嵌合する凹部22が形成される。
【0003】
この分割コア12を組み合わせてステータコア10を組み立てるには、分割コア12の外周面が支持されて装着された治具を放射状に配置し、各治具を半径方向内方に同時に変位させて分割コア12の突部20を隣接する分割コア12の凹部22に嵌合させる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来のステータコア10の組立方法およびその装置では、分割コア12の外周面のみを支持して組み立てているため、ステータコア10の内周面の精度を向上させることが困難で、ステータコア10が真円形状とならないおそれがあった。また、分割コア12を高精度に保持するには、治具の形状を分割コア12の種類に合わせて各分割コア12毎に作成しなければならない。従って、設備の費用が増大する不具合が生じる。
【0005】
本発明は前記の課題を解決すべくなされたものであって、ステータコアの組立精度を向上させることができ、また、設備に要する費用を低減させることのできるステータコアの組立装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、円弧状のヨーク部と、ヨーク部から半径方向内方に延在するポール部と、ポール部の半径方向内端の歯部とを有し、ヨーク部の周方向一端側に突部を形成し、他端側に凹部を形成して成る分割コアを、複数個連結させてステータコアを組み立てる装置において、
放射状に変位可能に配置され、前記分割コアの前ヨーク部を支持する一方、前記歯部を開放状態として保持する複数の保持治具と、
前記保持治具を半径方向内方に変位させる変位機構と、
前記分割コアの前記歯部側に固定して配置された円柱形状の内径ガイド部材と、
を備え、前記変位機構の変位作用下に前記分割コアの前記突部を隣接する分割コアに形成された前記凹部に嵌合させるとともに、前記歯部の内周面を前記内径ガイド部材によってガイドさせてステータコアを組み立てることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、歯部の内周面が内径ガイド部材にガイドされるため、ステータコアを高い精度で組み立てることが可能となる。
【0008】
この場合、前記変位機構が放射状に配置された前記保持治具に向かって変位する傾斜面を有するカム部材を備え、前記カム部材が前記保持治具に設けられた傾斜面を押圧することで前記保持治具を変位させると、簡単な機構により前記保持治具を半径方向内方に変位させることができ、好適である。
【0009】
また、この場合、前記内径ガイド部材の直径は、組み立てられるステータコアの内径より小さく設定されると、ステータコアを高精度に組み立てることができ、一層好適である。
【0010】
さらにこの場合、前記保持治具には位置決め部材が着脱可能に装着され、前記位置決め部材には前記分割コアの外周部に形成された位置決め部が嵌合自在であると、分割コアの位置精度を向上させることが可能で、また、位置決め部材を交換することにより形状の異なるステータコアを組み立てることができ、好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係るステータコアの組立装置について、好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0012】
図1において、参照符号30は、本実施の形態に係る組立装置によって組み立てられるステータコアを示す。このステータコア30は、基本的には、複数の分割コア32が組み合わされて形成され、分割コア32は磁性を有する金属板の如き材料が積層されて形成される(図2参照)。分割コア32は円弧状のヨーク部34と、ヨーク部34から半径方向内方に延在するポール部36と、ポール部36の半径方向内端に形成された歯部38とを有する。歯部38にはステータコア30の内壁を構成する内周面39が形成される。前記ヨーク部34にはステータコア30が取り付けられる図示しないモータの筐体に対して位置決めする位置決め部40が半径方向外方に突出形成され、位置決め部40にはねじ(図示せず)が挿通する孔部42が形成される。ヨーク部34の周方向一端側には突部44が形成され、他端側には隣接する分割コア32の突部44に嵌合する凹部46が形成される。それぞれの分割コア32のポール部36には、図1に2点鎖線で示すように、ボビン50が装着され、ボビン50にはステータコイル52が巻回される。
【0013】
次に、本実施の形態に係るステータコア30の組立装置60について、図3および図4を参照して説明する。
【0014】
組立装置60は、下型ダイセット62と、下型ダイセット62に対して接近、離間可能な上型ダイセット64とを備える。下型ダイセット62には円形のプレート66が固着され、プレート66には放射状に複数のガイド孔68が形成される。
【0015】
プレート66の上部には、図5、図6に示すように、複数の保持治具70が放射状に配置される。保持治具70のプレート66の中心側の部位には半径方向内方に向かって徐々に幅狭となるくさび状部73が形成される(図6参照)。保持治具70の下部に形成されたガイド突部72はプレート66のガイド孔68に変位可能に嵌入し、保持治具70はプレート66の半径方向に変位可能に構成される。放射状に配置された保持治具70の外周側の上部壁面には、半径方向外方に傾斜した傾斜面74が形成される。また、保持治具70の中間部には凹部76が形成され、この凹部76には位置決め部材78がねじ80により着脱可能に装着される。位置決め部材78には分割コア32の位置決め部40が嵌合する凹部82が形成される。保持治具70の上部にはリング部材84が設けられ、リング部材84はねじ86によってプレート66および下型ダイセット62に装着される。このため、保持治具70はリング部材84によって浮き上がりが防止される。
【0016】
プレート66の中央には支柱90を介して円形の内径ガイド部材92が固着される。内径ガイド部材92はねじ94によって下型ダイセット62に固定される。内径ガイド部材92の直径は組み立てられるステータコア30の内周の直径より僅かに小さく形成される。
【0017】
下型ダイセット62の隅角部近傍にはガイドシャフト96が立設され、ガイドシャフト96は上型ダイセット64に設けられた筒状のガイド部材98の内部に摺動自在に挿通する。
【0018】
上型ダイセット64には、図7、図8に示すように、保持治具70に対応して変位機構を構成するカム部材100が放射状に配置され、カム部材100はねじ部材102によって上型ダイセット64に固着される。カム部材100には保持治具70の傾斜面74に係合し、半径方向内方に傾斜する押圧面104が形成される。
【0019】
上型ダイセット64には、図3に示すように、円盤状部材106が設けられる。円盤状部材106には複数のシャフト108が立設され、シャフト108の上部は上型ダイセット64に形成された孔部110に挿通する。シャフト108の上部にはフランジ部112が形成され、フランジ部112が孔部110を構成する壁部に形成された段部114に係合してシャフト108が孔部110から抜け止めされる。シャフト108の外周部にはコイルスプリング117が装着され、コイルスプリング117の一端部は上型ダイセット64の下部に着座し、他端部は円盤状部材106に形成された凹部119を構成する底部に着座する。
【0020】
円盤状部材106の下部には、図4に示すように、押さえ部材120が固着され、円盤状部材106と押さえ部材120との間に間隙122が形成される。円盤状部材106の下部には複数のスライダ124が放射状に配置される。スライダ124には半径方向内方に突出部126が形成され、突出部126は間隙122に挿入される。このため、スライダ124は押さえ部材120によってその落下が防止される。
【0021】
スライダ124の上部には案内溝128が形成され、案内溝128には円盤状部材106の下部に固着されたピン部材130が摺動自在に係合する。スライダ124の下部には分割コア32に当接可能な押さえ部132a、132bが突出形成される。一方の押さえ部132aの壁部にはコイルスプリング134の一端部が着座し、コイルスプリング134の他端部は押さえ部材120に形成された孔部136の底部に着座する。このため、スライダ124は半径方向外方に常時付勢される。
【0022】
本実施の形態に係るステータコア30の組立装置60は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作について説明する。
【0023】
ステータコア30の組立に先立ち、リング部材84は下型ダイセット62から取り外されている。この状態で、複数の保持治具70にそれぞれ分割コア32が放射状に配置して装着される。この場合、分割コア32の位置決め部40が保持治具70の凹部82に嵌合して分割コア32が位置決めされる(図6参照)。また、このとき、分割コア32のヨーク部34に形成された突部44の先端部は隣接する分割コア32の凹部46に挿入された状態となり、一方、分割コア32の歯部38の内周面39は開放された状態となる。そして、リング部材84がねじ86によって下型ダイセット62に装着され、分割コア32の脱落がリング部材84によって防止される。
【0024】
次に、上型ダイセット64が下降すると、スライダ124の押さえ部132a、132bが分割コア32の上部に当接する(図3参照)。上型ダイセット64がさらに下降すると、スライダ124はコイルスプリング117の弾発力によって分割コア32を押圧する。このため、分割コア32の浮き上がりが防止される。
【0025】
このとき、カム部材100の押圧面104が保持治具70の傾斜面74に係合する。上型ダイセット64のさらなる下降作用下に、押圧面104が傾斜面74を押圧し、全ての保持治具70は互いに同期して半径方向内方に変位する(図9、図10参照)。従って、分割コア32が互いに周方向に接近し、突部44が凹部46に嵌合してステータコア30が組み立てられる。このとき、分割コア32の位置決め部40は凹部82に嵌合しているため、それぞれの分割コア32が周方向に変位してしまう懸念がなく、互いの分割コア32の周方向の位置精度が向上する。
【0026】
また、このとき、歯部38の内周面39が内径ガイド部材92に当接し、分割コア32が内径ガイド部材92によってガイドされる。さらに、内径ガイド部材92はステータコア30の内径より僅かに小さく形成されているため、分割コア32が変位する際、歯部38の内周面39に当接した内径ガイド部材92が分割コア32を必要以上に半径方向外方に押圧してしまうことがない。従って、ステータコア30の内径が高い精度で組み立てられ、楕円形状となってしまう懸念が払拭される。
【0027】
以上のようにして組み立てられたステータコア30は、モータ等に組み付けられる。
【0028】
分割コア32の形状が異なる場合、位置決め部材78を分割コア32の形状に対応して交換することによってステータコア30を組み立てることができる。このため、ステータコア30の機種が変更されても組立装置60全体を交換する必要がなく、組立装置60のコストを低廉化することができる。
【0029】
【発明の効果】
本発明に係るステータコアの組立装置によれば、以下のような効果ならびに利点が得られる。
【0030】
分割コアを半径方向内方に変位させる際に、分割コアの内周面が内径ガイド部材によってガイドされるため、ステータコアの内径が高い精度で組み立てられ、ステータコアが真円形状となる。また、内径ガイド部材はステータコアの内径より僅かに小さく設定されているため、分割コアが変位する際、歯部に当接した内径ガイド部材が分割コアを必要以上に半径方向外方に押圧してしまうことがなく、ステータコアが一層高い精度で組み立てられる。
【0031】
さらに、異なる形状のステータコアを組み立てる際に、分割コアの形状に対応して保持治具に装着される位置決め部材を交換するだけでよく、ステータコアの機種が変更されても組立装置全体を交換する必要がないため、組立装置のコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るステータコアの平面図である。
【図2】図1に示すステータコアに使用される分割コアの斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る組立装置の縦断面図である。
【図4】図3に示す組立装置の一部拡大断面図である。
【図5】図3に示す組立装置の下型ダイセットの斜視図である。
【図6】図5に示す下型ダイセットの平面図である。
【図7】図3に示す組立装置の上型ダイセットの斜視図である。
【図8】図7に示す上型ダイセットの平面図である。
【図9】図3に示す組立装置の使用方法を説明する縦断面図である。
【図10】図5に示す下型ダイセットの使用方法を説明する平面図である。
【図11】従来技術に係るステータコアの平面図である。
【符号の説明】
30…ステータコア 32…分割コア
34…ヨーク部 36…ポール部
38…歯部 40…位置決め部
60…組立装置 62、64…ダイセット
70…保持治具 74…傾斜面
78…位置決め部材 92…内径ガイド部材
100…カム部材 104…押圧面
124…スライダ

Claims (4)

  1. 円弧状のヨーク部と、ヨーク部から半径方向内方に延在するポール部と、ポール部の半径方向内端の歯部とを有し、ヨーク部の周方向一端側に突部を形成し、他端側に凹部を形成して成る分割コアを、複数個連結させてステータコアを組み立てる装置において、
    放射状に変位可能に配置され、前記分割コアの前ヨーク部を支持する一方、前記歯部を開放状態として保持する複数の保持治具と、
    前記保持治具を半径方向内方に変位させる変位機構と、
    前記分割コアの前記歯部側に固定して配置された円柱形状の内径ガイド部材と、
    を備え、前記変位機構の変位作用下に前記分割コアの前記突部を隣接する分割コアに形成された前記凹部に嵌合させるとともに、前記歯部の内周面を前記内径ガイド部材によってガイドさせてステータコアを組み立てることを特徴とするステータコアの組立装置。
  2. 請求項1記載の装置において、
    前記変位機構は放射状に配置された前記保持治具に向かって変位する傾斜面を有するカム部材を備え、前記カム部材が前記保持治具に設けられた傾斜面を押圧することで前記保持治具を変位させることを特徴とするステータコアの組立装置。
  3. 請求項1または2記載の装置において、
    前記内径ガイド部材の直径は、組み立てられるステータコアの内径より小さく設定されることを特徴とするステータコアの組立装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置において、
    前記保持治具には位置決め部材が着脱可能に装着され、前記位置決め部材には前記分割コアの外周部に形成された位置決め部が嵌合自在であることを特徴とするステータコアの組立装置。
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