JP2000041364A - ステータコアの組立装置 - Google Patents

ステータコアの組立装置

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哲男 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ステータコアの組立精度を向上させることがで
き、また、設備に要する費用を低減させることのできる
ステータコアの組立装置を提供する。 【解決手段】放射状に配置された保持治具70に分割コ
ア32を装着し、上型ダイセット64が下型ダイセット
62に接近すると、カム部材100の押圧面104が保
持治具70の傾斜面74を押圧して分割コア32は半径
方向内方に変位する。分割コア32の内周は内径ガイド
部材92にガイドされ、ステータコアの内周が真円とな
り、高い精度のステータコアを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動モータ等に用
いられるステータコアの組立装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ステータコア10は、図11
に示すように、略T字状の複数の分割コア12が組み合
わされて形成される。この分割コア12は円弧状のヨー
ク部14と、ヨーク部14から半径方向内方に延在する
ポール部16と、ポール部16の半径方向内端に形成さ
れた歯部18とを有する。ヨーク部14の周方向一端側
には突部20が形成され、他端側には隣接する分割コア
12の突部20が嵌合する凹部22が形成される。
【0003】この分割コア12を組み合わせてステータ
コア10を組み立てるには、分割コア12の外周面が支
持されて装着された治具を放射状に配置し、各治具を半
径方向内方に同時に変位させて分割コア12の突部20
を隣接する分割コア12の凹部22に嵌合させる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来のステータコア10の組立方法およびその装置で
は、分割コア12の外周面のみを支持して組み立ててい
るため、ステータコア10の内周面の精度を向上させる
ことが困難で、ステータコア10が真円形状とならない
おそれがあった。また、分割コア12を高精度に保持す
るには、治具の形状を分割コア12の種類に合わせて各
分割コア12毎に作成しなければならない。従って、設
備の費用が増大する不具合が生じる。
【0005】本発明は前記の課題を解決すべくなされた
ものであって、ステータコアの組立精度を向上させるこ
とができ、また、設備に要する費用を低減させることの
できるステータコアの組立装置を提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明は、円弧状のヨーク部と、ヨーク部から半
径方向内方に延在するポール部と、ポール部の半径方向
内端の歯部とを有し、ヨーク部の周方向一端側に突部を
形成し、他端側に凹部を形成して成る分割コアを、複数
個連結させてステータコアを組み立てる装置において、
放射状に変位可能に配置され、前記分割コアの前部ヨー
ク部を支持する一方、前記歯部を開放状態として保持す
る複数の保持治具と、前記保持治具を半径方向内方に変
位させる変位機構と、前記分割コアの前記歯部側に配置
された内径ガイド部材と、を備え、前記変位機構の変位
作用下に前記分割コアの前記突部を隣接する分割コアに
形成された前記凹部に嵌合させるとともに、前記歯部の
内周面を前記内径ガイド部材によってガイドさせてステ
ータコアを組み立てることを特徴とする。
【0007】本発明によれば、歯部の内周面が内径ガイ
ド部材にガイドされるため、ステータコアを高い精度で
組み立てることが可能となる。
【0008】この場合、前記変位機構が放射状に配置さ
れた前記保持治具に向かって変位する傾斜面を有するカ
ム部材を備え、前記カム部材が前記保持治具に設けられ
た傾斜面を押圧することで前記保持治具を変位させる
と、簡単な機構により前記保持治具を半径方向内方に変
位させることができ、好適である。
【0009】また、この場合、前記内径ガイド部材の直
径は、組み立てられるステータコアの内径より小さく設
定されると、ステータコアを高精度に組み立てることが
でき、一層好適である。
【0010】さらにこの場合、前記保持治具には位置決
め部材が着脱可能に装着され、前記位置決め部材には前
記分割コアの外周部に形成された位置決め部が嵌合自在
であると、分割コアの位置精度を向上させることが可能
で、また、位置決め部材を交換することにより形状の異
なるステータコアを組み立てることができ、好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に係るステータコアの組立
装置について、好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を
参照しながら以下詳細に説明する。
【0012】図1において、参照符号30は、本実施の
形態に係る組立装置によって組み立てられるステータコ
アを示す。このステータコア30は、基本的には、複数
の分割コア32が組み合わされて形成され、分割コア3
2は磁性を有する金属板の如き材料が積層されて形成さ
れる(図2参照)。分割コア32は円弧状のヨーク部3
4と、ヨーク部34から半径方向内方に延在するポール
部36と、ポール部36の半径方向内端に形成された歯
部38とを有する。歯部38にはステータコア30の内
壁を構成する内周面39が形成される。前記ヨーク部3
4にはステータコア30が取り付けられる図示しないモ
ータの筐体に対して位置決めする位置決め部40が半径
方向外方に突出形成され、位置決め部40にはねじ(図
示せず)が挿通する孔部42が形成される。ヨーク部3
4の周方向一端側には突部44が形成され、他端側には
隣接する分割コア32の突部44に嵌合する凹部46が
形成される。それぞれの分割コア32のポール部36に
は、図1に2点鎖線で示すように、ボビン50が装着さ
れ、ボビン50にはステータコイル52が巻回される。
【0013】次に、本実施の形態に係るステータコア3
0の組立装置60について、図3および図4を参照して
説明する。
【0014】組立装置60は、下型ダイセット62と、
下型ダイセット62に対して接近、離間可能な上型ダイ
セット64とを備える。下型ダイセット62には円形の
プレート66が固着され、プレート66には放射状に複
数のガイド孔68が形成される。
【0015】プレート66の上部には、図5、図6に示
すように、複数の保持治具70が放射状に配置される。
保持治具70のプレート66の中心側の部位には半径方
向内方に向かって徐々に幅狭となるくさび状部73が形
成される(図6参照)。保持治具70の下部に形成され
たガイド突部72はプレート66のガイド孔68に変位
可能に嵌入し、保持治具70はプレート66の半径方向
に変位可能に構成される。放射状に配置された保持治具
70の外周側の上部壁面には、半径方向外方に傾斜した
傾斜面74が形成される。また、保持治具70の中間部
には凹部76が形成され、この凹部76には位置決め部
材78がねじ80により着脱可能に装着される。位置決
め部材78には分割コア32の位置決め部40が嵌合す
る凹部82が形成される。保持治具70の上部にはリン
グ部材84が設けられ、リング部材84はねじ86によ
ってプレート66および下型ダイセット62に装着され
る。このため、保持治具70はリング部材84によって
浮き上がりが防止される。
【0016】プレート66の中央には支柱90を介して
円形の内径ガイド部材92が固着される。内径ガイド部
材92はねじ94によって下型ダイセット62に固定さ
れる。内径ガイド部材92の直径は組み立てられるステ
ータコア30の内周の直径より僅かに小さく形成され
る。
【0017】下型ダイセット62の隅角部近傍にはガイ
ドシャフト96が立設され、ガイドシャフト96は上型
ダイセット64に設けられた筒状のガイド部材98の内
部に摺動自在に挿通する。
【0018】上型ダイセット64には、図7、図8に示
すように、保持治具70に対応して変位機構を構成する
カム部材100が放射状に配置され、カム部材100は
ねじ部材102によって上型ダイセット64に固着され
る。カム部材100には保持治具70の傾斜面74に係
合し、半径方向内方に傾斜する押圧面104が形成され
る。
【0019】上型ダイセット64には、図3に示すよう
に、円盤状部材106が設けられる。円盤状部材106
には複数のシャフト108が立設され、シャフト108
の上部は上型ダイセット64に形成された孔部110に
挿通する。シャフト108の上部にはフランジ部112
が形成され、フランジ部112が孔部110を構成する
壁部に形成された段部114に係合してシャフト108
が孔部110から抜け止めされる。シャフト108の外
周部にはコイルスプリング117が装着され、コイルス
プリング117の一端部は上型ダイセット64の下部に
着座し、他端部は円盤状部材106に形成された凹部1
19を構成する底部に着座する。
【0020】円盤状部材106の下部には、図4に示す
ように、押さえ部材120が固着され、円盤状部材10
6と押さえ部材120との間に間隙122が形成され
る。円盤状部材106の下部には複数のスライダ124
が放射状に配置される。スライダ124には半径方向内
方に突出部126が形成され、突出部126は間隙12
2に挿入される。このため、スライダ124は押さえ部
材120によってその落下が防止される。
【0021】スライダ124の上部には案内溝128が
形成され、案内溝128には円盤状部材106の下部に
固着されたピン部材130が摺動自在に係合する。スラ
イダ124の下部には分割コア32に当接可能な押さえ
部132a、132bが突出形成される。一方の押さえ
部132aの壁部にはコイルスプリング134の一端部
が着座し、コイルスプリング134の他端部は押さえ部
材120に形成された孔部136の底部に着座する。こ
のため、スライダ124は半径方向外方に常時付勢され
る。
【0022】本実施の形態に係るステータコア30の組
立装置60は、基本的には以上のように構成されるもの
であり、次にその動作について説明する。
【0023】ステータコア30の組立に先立ち、リング
部材84は下型ダイセット62から取り外されている。
この状態で、複数の保持治具70にそれぞれ分割コア3
2が放射状に配置して装着される。この場合、分割コア
32の位置決め部40が保持治具70の凹部82に嵌合
して分割コア32が位置決めされる(図6参照)。ま
た、このとき、分割コア32のヨーク部34に形成され
た突部44の先端部は隣接する分割コア32の凹部46
に挿入された状態となり、一方、分割コア32の歯部3
8の内周面39は開放された状態となる。そして、リン
グ部材84がねじ86によって下型ダイセット62に装
着され、分割コア32の脱落がリング部材84によって
防止される。
【0024】次に、上型ダイセット64が下降すると、
スライダ124の押さえ部132a、132bが分割コ
ア32の上部に当接する(図3参照)。上型ダイセット
64がさらに下降すると、スライダ124はコイルスプ
リング117の弾発力によって分割コア32を押圧す
る。このため、分割コア32の浮き上がりが防止され
る。
【0025】このとき、カム部材100の押圧面104
が保持治具70の傾斜面74に係合する。上型ダイセッ
ト64のさらなる下降作用下に、押圧面104が傾斜面
74を押圧し、全ての保持治具70は互いに同期して半
径方向内方に変位する(図9、図10参照)。従って、
分割コア32が互いに周方向に接近し、突部44が凹部
46に嵌合してステータコア30が組み立てられる。こ
のとき、分割コア32の位置決め部40は凹部82に嵌
合しているため、それぞれの分割コア32が周方向に変
位してしまう懸念がなく、互いの分割コア32の周方向
の位置精度が向上する。
【0026】また、このとき、歯部38の内周面39が
内径ガイド部材92に当接し、分割コア32が内径ガイ
ド部材92によってガイドされる。さらに、内径ガイド
部材92はステータコア30の内径より僅かに小さく形
成されているため、分割コア32が変位する際、歯部3
8の内周面39に当接した内径ガイド部材92が分割コ
ア32を必要以上に半径方向外方に押圧してしまうこと
がない。従って、ステータコア30の内径が高い精度で
組み立てられ、楕円形状となってしまう懸念が払拭され
る。
【0027】以上のようにして組み立てられたステータ
コア30は、モータ等に組み付けられる。
【0028】分割コア32の形状が異なる場合、位置決
め部材78を分割コア32の形状に対応して交換するこ
とによってステータコア30を組み立てることができ
る。このため、ステータコア30の機種が変更されても
組立装置60全体を交換する必要がなく、組立装置60
のコストを低廉化することができる。
【0029】
【発明の効果】本発明に係るステータコアの組立装置に
よれば、以下のような効果ならびに利点が得られる。
【0030】分割コアを半径方向内方に変位させる際
に、分割コアの内周面が内径ガイド部材によってガイド
されるため、ステータコアの内径が高い精度で組み立て
られ、ステータコアが真円形状となる。また、内径ガイ
ド部材はステータコアの内径より僅かに小さく設定され
ているため、分割コアが変位する際、歯部に当接した内
径ガイド部材が分割コアを必要以上に半径方向外方に押
圧してしまうことがなく、ステータコアが一層高い精度
で組み立てられる。
【0031】さらに、異なる形状のステータコアを組み
立てる際に、分割コアの形状に対応して保持治具に装着
される位置決め部材を交換するだけでよく、ステータコ
アの機種が変更されても組立装置全体を交換する必要が
ないため、組立装置のコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るステータコアの平面
図である。
【図2】図1に示すステータコアに使用される分割コア
の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る組立装置の縦断面図
である。
【図4】図3に示す組立装置の一部拡大断面図である。
【図5】図3に示す組立装置の下型ダイセットの斜視図
である。
【図6】図5に示す下型ダイセットの平面図である。
【図7】図3に示す組立装置の上型ダイセットの斜視図
である。
【図8】図7に示す上型ダイセットの平面図である。
【図9】図3に示す組立装置の使用方法を説明する縦断
面図である。
【図10】図5に示す下型ダイセットの使用方法を説明
する平面図である。
【図11】従来技術に係るステータコアの平面図であ
る。
【符号の説明】
30…ステータコア 32…分割コア 34…ヨーク部 36…ポール部 38…歯部 40…位置決め部 60…組立装置 62、64…ダイセ
ット 70…保持治具 74…傾斜面 78…位置決め部材 92…内径ガイド部
材 100…カム部材 104…押圧面 124…スライダ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H615 AA01 BB01 BB14 PP01 PP07 PP10 PP13 QQ02 QQ19 RR01 SS05 SS10 SS13 SS19 SS20 TT04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円弧状のヨーク部と、ヨーク部から半径方
    向内方に延在するポール部と、ポール部の半径方向内端
    の歯部とを有し、ヨーク部の周方向一端側に突部を形成
    し、他端側に凹部を形成して成る分割コアを、複数個連
    結させてステータコアを組み立てる装置において、 放射状に変位可能に配置され、前記分割コアの前部ヨー
    ク部を支持する一方、前記歯部を開放状態として保持す
    る複数の保持治具と、 前記保持治具を半径方向内方に変位させる変位機構と、 前記分割コアの前記歯部側に配置された内径ガイド部材
    と、 を備え、前記変位機構の変位作用下に前記分割コアの前
    記突部を隣接する分割コアに形成された前記凹部に嵌合
    させるとともに、前記歯部の内周面を前記内径ガイド部
    材によってガイドさせてステータコアを組み立てること
    を特徴とするステータコアの組立装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の装置において、 前記変位機構は放射状に配置された前記保持治具に向か
    って変位する傾斜面を有するカム部材を備え、前記カム
    部材が前記保持治具に設けられた傾斜面を押圧すること
    で前記保持治具を変位させることを特徴とするステータ
    コアの組立装置。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の装置において、 前記内径ガイド部材の直径は、組み立てられるステータ
    コアの内径より小さく設定されることを特徴とするステ
    ータコアの組立装置。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装
    置において、 前記保持治具には位置決め部材が着脱可能に装着され、
    前記位置決め部材には前記分割コアの外周部に形成され
    た位置決め部が嵌合自在であることを特徴とするステー
    タコアの組立装置。
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